説明

券管理システム、端末装置、券管理サーバ、レジスタ装置、バリュー変換方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

本発明は、支払の形態に合わせ、更新不可能な価値情報を割り当てられた券と電子バリューの双方を使用しての精算処理を行うことができる有用な券管理システムを提供する。 券管理システムは、金券に付されたICタグと、金券管理サーバと、携帯端末とから成り、前記ICタグは、金券を識別する金券IDを保持し、当該金券IDを出力し、前記金券管理サーバは、記憶手段を備え、前記携帯端末から金券IDを受信し、備える記憶手段に有効な金券IDを書き込み、前記携帯端末は、記憶手段を備え、前記ICタグが保持する金券IDを取得し、取得した金券IDを前記金券管理サーバに送信し、有効な金券IDにより識別される金券の金額情報を、備える記憶手段に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金券などの券及び電子バリューを用いて取引を行う券管理システムに関し、特に前記券と前記電子バリューを併用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、金額に関する情報等の送受信が通信回線を通じて可能であるなど、プリペイドカード、紙幣、金券等に比べて取り扱いが容易である電子バリューの使用が広まりつつあるが、当該電子バリューと並行して、プリペイドカード、紙幣、金券等も使用されている。
電子バリューをさらに便利に使用する技術として、プリペイドカードに記録されたプリペイド価値を電子マネーカードに移動し、プリペイドカードに記憶されるプリペイド価値を移動した価値の分だけ減算した価値に更新するシステムが開示されている(特許文献1)。これにより、プリペイド価値と、電子マネーカードに元々記録されていた電子バリューとの両方を用い、1枚の電子マネーカードで決済を行うことができる。
【特許文献1】特開2000−003399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のシステムにおいては、プリペイドカード等とは異なり、更新不可能な価値情報を割り当てられた券である、紙に印刷された金券、クーポン券などと、電子バリューとを併用して料金を精算することができず、不便であるという問題がある。
例えば、購入者が、パソコン等を用いネットワークを通じて書籍を購入する場合、料金精算において、購入者が保有する電子バリューの残高が、購入を希望する書籍の代金より少ないが、購入者の手元にある図書券の額面を前記電子バリューの残高に加えれば当該書籍の代金より多くなるとしても、前記購入者は、当該書籍を購入することができず、不便である。
【0004】
上記の問題に鑑み、本発明は、金券などの券と電子バリューとを併用して料金の精算ができる有用な券管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、端末装置と券管理サーバとから成る券管理システムであって、前記端末装置は、電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段と、更新不可能な価値情報を割り当てられた券から当該券を識別する識別情報を取得する取得手段と、取得した前記識別情報を含む電子化要求を券管理サーバに送信する送信手段と、前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新手段とを含み、前記券管理サーバは、前記識別情報と、前記識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す状態情報とを対応づけて記録している状態記録手段と、端末装置から前記電子化要求を受信する受信手段と、前記状態記録手段に記録されている、前記電子化要求に含まれる識別情報に対応する状態情報が、電子化済みを示さない場合に電子化済みを示すよう変更する変更手段とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の券管理システムは、上述の構成を備えることにより、券に割り当てられている価値情報を電子バリューへと、重複することなく変換することができる。
本発明の端末装置は、更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置であって、識別情報により識別される券の電子化を管理している券管理サーバと共に用いられ、前記電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段と、前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得手段と、取得した前記識別情報を含む電子化要求を券管理サーバに送信する送信手段と、前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新手段とを備える。
【0007】
この構成によれば、券に割り当てられている価値情報を電子バリューへと、重複することなく変換することができる。
また、前記バリュー更新手段は、取得した前記識別情報により識別される券が有効か否かを判定する書込判定部と、前記券が有効と判定された場合に、当該券の価値情報が示す電子バリューを取得するバリュー取得部と、取得した電子バリューを、前記バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新部とを含んでもよい。
【0008】
この構成によれば、電子バリューへの変換を有効な券のみに制限することができ、不正な券を不正に電子バリューに変更するのを防ぐことができる。
また、前記書込判定部は、前記券管理サーバから、前記識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す電子化情報を受信する受信部と、前記電子化情報が電子化済みでないことを示す場合に、前記識別情報が有効であると決定する決定部とを含んでもよい。
【0009】
この構成によれば、サーバで管理されている情報に基づいて、既に電子化された券を再度電子化するのを防ぐことができる。
また、前記券には、前記識別情報に基づく判定情報が記録されており、前記書込判定部は、前記判定情報を取得する判定情報取得部と、前記識別情報と前記判定情報とが一致する場合に、前記券が有効であると決定する決定部とを含んでもよい。
【0010】
この構成によれば、一意な識別情報と、判定情報とが一致する場合のみ有効な券であると判定して、コピー等による不正な券と、有効な券とを区別することができる。
また、前記判定情報は、前記券にバーコード形式で記録されており、前記読取部は、前記バーコード形式で記録された判定情報を読み取ってもよい。
この構成によれば、一意な識別情報と、バーコード形式で記録された判定情報とが一致する場合のみ有効な券であると判定して、コピー等による不正な券と、有効な券とを区別することができる。
【0011】
また、前記バリュー取得部は、前記券が有効と判定された場合に、前記券管理サーバに、前記識別情報を含む、前記券に割り当てられた価値情報の通知要求を行う要求部と、前記通知要求に対する応答として前記券管理サーバから前記価値情報を受信し、前記価値情報が示す電子バリューを取得する応答取得部とを含んでもよい。
この構成によれば、価値情報を記録しない券を用いてシステムを構成することができる。
【0012】
また、価値情報を券管理サーバで、一括管理することができる。
また、前記識別情報は、前記券に割り当てられた価値情報を含み、前記バリュー取得部は、前記券が有効と判定された場合に、前記識別情報から価値情報を抽出し、前記価値情報が示す電子バリューを取得してもよい。
この構成によれば、券管理サーバに問い合わせることなく識別情報から金額情報を得ることができる。
【0013】
また、前記券は、前記券を識別する識別情報を記憶している記憶デバイスを含み、前記取得手段は、前記記憶デバイスに記憶されている前記識別情報を取得してもよい。
また、前記記憶デバイスは、前記識別情報を記憶しているICタグであり、前記取得手段は、前記ICタグに記憶されている識別情報を取得してもよい。
また、前記識別情報は、前記券にバーコード形式で記録されており、前記取得手段は、前記バーコード形式で記録された識別情報を取得してもよい。
【0014】
この構成によれば、券を識別する識別情報を当該券から取得して、券を区別することができる。
また、前記端末装置は、さらに、無効な券を識別する識別情報を取得する無効識別取得手段と、取得した前記識別情報により識別される無効な券の価値情報が示す電子バリューである無効バリューを取得する無効バリュー取得手段と、前記無効バリューが、前記バリュー記憶手段により記憶されている電子バリュー以下であるか否かを判定する残高判定手段と、記憶されている電子バリュー以下であると判定された場合に、前記券の有効化要求を券管理サーバに送信する有効化要求送信手段と前記券管理サーバから、前記券の有効化を許可する許可情報を受信する許可受信手段と、前記許可情報を受信した場合に、前記無効バリューを、前記バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューから減算する減算手段とを含んでもよい。
【0015】
この構成によれば、電子バリューの残高より高額な金額に相当する券を有効化するという不正な処理を防止することができる。
また、前記端末装置は、通信装置と、記憶媒体とから成り、前記通信装置は、前記取得手段と、前記送信手段と、前記バリュー更新手段とを含み、前記記憶媒体は、前記電子バリュー記憶手段を含んでもよい。
【0016】
この構成によれば、端末装置を、通信装置と記憶媒体とを分けて構成することができる。
これにより、記憶媒体に電子マネーを保持したままで、通信装置のみを交換して新たな端末装置を構成することが容易となる。
本発明の券管理サーバは、更新不可能な価値情報を割り当てられた券の状態を管理する券管理サーバであって、前記券を識別する識別情報と、当該識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す状態情報とを対応づけて記録している状態記録手段と、端末装置から、前記券の識別情報を含む電子化要求を受信する受信手段と、前記電子化要求に含まれる識別情報により識別される券が有効である場合に、前記状態記録手段において、前記識別情報に対応づけられて記憶されている状態情報を電子化済みを示すよう変更する変更手段とを備える。
【0017】
この構成によれば、有効な券の識別情報を一括管理することができる。
また、前記変更手段は、前記状態記録手段に記録され、前記電子化要求に含まれる識別情報と対応づけられている状態情報が電子化済みを示すか否かを判定する判定部と、電子化済みでないと判定された場合に、前記識別情報が有効であると決定し、前記状態情報を電子化済みを示すよう変更する変更部とを含んでもよい。
【0018】
この構成によれば、既に電子バリューへと変換済みである券について、再度電子バリューを付与するのを防ぐことができる。
また、前記券管理サーバは、更に、前記端末装置から、無効な券の識別情報を含む券有効化要求を受信する有効化要求受信手段と、前記有効化要求に含まれる識別情報に対応づけられた状態情報が、電子化済みを示すか否かを判定する電子化判定手段と、前記状態情報が電子化済みを示す場合に、前記状態情報を電子化済みでないことを示すよう変更する券有効化手段と、前記状態情報が電子化済みを示す場合に、券の有効化許可を示す許可情報を、前記端末装置に送信する許可送信手段とを備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、既に電子化して無効となった券を再度有効な券として使用できるようにすることができる。
本発明のレジスタ装置は、金券の有効性を管理している券管理サーバ及び端末装置と共に用いられ、支払代金の精算を行うレジスタ装置であって、前記支払代金を計算する計算手段と、前記金券を識別する金券IDと、前記金券の金額を示す金額情報とを対応づけて保持する保持手段と、前記金券に付されたICタグから、当該金券を識別する金券IDを取得する取得手段と、前記券管理サーバに対し、取得した金券IDが有効か否かを問い合わせる問い合わせ手段と、前記券管理サーバから、前記取得した金券IDにより識別される金券が有効か否かを示す応答を受信する受信手段と、前記応答が、有効であることを示す場合に、前記取得した金券IDにより識別される金券の金額相当分を前記支払代金から差し引いた金額を、端末装置に支払請求する請求手段とを備える。
【0020】
この構成によれば、金券の額面を支払代金から減額した上で、端末装置に対し請求し、精算することができる。
本発明のバリュー変換方法は、電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段を備えかつ更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置において用いられるバリュー変換方法であって、前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得ステップと、取得した前記識別情報を含む電子化要求を前記券の電子化を管理する券管理サーバに送信する送信ステップと、前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新ステップとを含む。
【0021】
本発明のコンピュータプログラムは、電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段を備えかつ更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置において用いられるコンピュータプログラムであって、前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得ステップと、取得した前記識別情報を含む電子化要求を前記券の電子化を管理する券管理サーバに送信する送信ステップと、前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新ステップとを含む。
【0022】
本発明の記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムを記録している。
この構成によれば、券に割り当てられている価値情報を電子バリューへと、重複することなく変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子金券管理システムの構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子金券管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る紙金券を電子金券化する処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る紙金券化を有効化する処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る紙金券が有効であるか否かの問い合わせ処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る紙金券を用いた精算処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る電子金券を用いた精算処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 電子金券管理システム
11 携帯端末
12 記憶媒体
13 紙金券
14 ICタグ
15 金券管理サーバ
16 レジスタ装置
101 操作取得部
102 表示部
103 無線通信部
104 ネットワーク通信部
105 SSL処理部
106 CPRM処理部
107 メモリ通信部
108 制御部
111 入出力部
112 CPRM処理部
113 制御部
114 記憶部
121 ネットワーク通信部
122 SSL処理部
123 記憶部
124 制御部
131 バーコードリーダ
132 操作取得部
133 表示部
134 記憶部
135 無線通信部
136 ネットワーク通信部
137 SSL処理部
138 制御部
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子金券管理システム1の構成の概略を示す図である。
電子金券管理システム1は、図1に示すように、携帯端末11、記憶媒体12、紙金券13、ICタグ14、金券管理サーバ15及びレジスタ装置16から構成される。
【0026】
携帯端末11、金券管理サーバ15、レジスタ装置16は、ネットワークを介して接続し、携帯端末11及びレジスタ装置16は、ICタグ14から無線を用いて情報を取得する。
電子金券管理システム1の利用者は、携帯端末11と、紙金券13とを所持し、レジスタ装置16が設置されたスーパーマーケット等の店舗において買い物を行ったのち、その支払を、携帯端末11と、紙金券13とを用いて行う。
【0027】
携帯端末11には、電子マネーの金額情報(以下「電子バリュー」という。)を記憶している記憶媒体12が挿入されている。
紙金券13は、1000円券などのように予め額面が決まっている商品券等であり、紙金券13に付されたICタグ14は、紙金券13の金券IDを保持している。
レジスタ装置16は、前記利用者が購入を希望する商品群の各売価を合計して支払金額を算出するレジスタ装置であり、電子バリューを保持しており、ネットワークを通じて、携帯端末11に対し当該支払金額の精算を要求する。
【0028】
携帯端末11は、レジスタ装置16から前記支払金額の精算要求を受けた場合には、記憶媒体12に保持する電子バリューが、精算要求された支払金額以上であれば、前記支払金額相当分を前記電子バリューから減額して減額完了をレジスタ装置16に通知し、レジスタ装置16は、保持している電子バリューを前記支払金額相当分増額して支払処理が終了する。
【0029】
ここで、携帯端末11において、記憶媒体12に保持されている前記電子バリューが、前記支払金額に満たない場合には、紙金券13を電子金券化して前記電子バリューを補充し、支払処理を行う。
携帯端末11は、ICタグ14から金券IDを読み出して、ネットワークを介して、金券管理サーバ15に送信する。
【0030】
金券管理サーバ15は、データベースとして、金券IDに相当する発行IDと、発行IDにより識別される金券の額面情報と、発行IDにより識別される金券が電子金券化されているか、紙の金券として扱われているかを示す状態情報とを対応づけて保持しており、携帯端末11から受信した金券IDと一致する発行IDが記憶されており、当該発行IDに対応する状態情報が電子金券化されていないことを示す場合に、当該発行IDに対応する状態情報を、電子金券化されていることを示すように更新し、携帯端末11に対し、当該発行IDに対応する額面情報を送信する。
【0031】
携帯端末11は、記憶媒体12に保持している電子バリューを、受信した額面情報相当分増額してから、前記支払金額を減額することにより、支払処理を行う。
また、支払の際には、前述のように紙金券13を電子金券化せず、前記利用者が紙金券13を、レジスタ装置16を操作する店員に引き渡してもよい。
この場合、レジスタ装置16が、ICタグ14から金券IDを読み出し、ネットワークを介して、金券管理サーバ15に当該金券IDを送信する。
【0032】
金券管理サーバ15は、レジスタ装置16に対し、前記金券IDに係る金券が電子金券化されているか否かと、額面情報とを応答する。
レジスタ装置16は、紙金券13が電子金券化されていない場合に、額面情報相当分の減額を行った支払金額に基づき、携帯端末11に精算を要求する。
<1.構成>
図2は、携帯端末11、記憶媒体12、ICタグ14、金券管理サーバ15及びレジスタ装置16の構成を示すブロック図である。
<1.1.携帯端末11>
携帯端末11は、図2に示すように、操作取得部101、表示部102、無線通信部103、ネットワーク通信部104、SSL処理部105、CPRM処理部106、メモリ通信部107及び制御部108を備えており、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、液晶ディスプレイ、キーパッド、通信インターフェイス、カードスロット等から成るコンピュータシステムであって、ROMには、コンピュータプログラムが記憶され、前記CPUが前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、携帯端末11は、その機能を実現する。
【0033】
操作取得部101は、キーパッド及びキーの押下に応じた信号を出力する回路から成り、前記利用者がキーパッドを用いて行った操作に応じた信号であるユーザ要求を、制御部108に出力する。
前記ユーザ要求には、携帯端末11の電源のオン/オフ切替など装置自体の基本的な動作要求の他に、電子金券化要求、紙金券化要求、状態通知要求等が含まれる。
【0034】
表示部102は、液晶ディスプレイとその駆動回路から成り、制御部108の指示に基づき、GUI(Graphical User Interface)や、前記ユーザ要求に対する処理の結果、エラー表示等を画面表示する。
無線通信部103は、具体的には、13.56MHz帯の電波を使用した無線通信を行うICタグのリーダであり、制御部108の指示により、ICタグ14に対しID読出要求を送信し、当該送信に対する応答としてID読出応答を取得し、取得したID読出応答を制御部108に通知する。
【0035】
ネットワーク通信部104は、PHS(Personal Handyphone System)などを利用した無線通信によって、ネットワークに接続する通信インターフェイスであり、ネットワークの通信系内に設置された基地局(図示せず)と無線通信を行い、ネットワークに接続する。
ネットワーク通信部104は、ネットワークを介し、制御部108により指示された送信先にデータを送信し、また受信したデータを制御部108に送信する。
【0036】
SSL処理部105は、SSL(Secure Sockets Layer)により、ネットワーク通信部104が送信するデータを暗号化し、また、ネットワーク通信部104が受信するデータを復号する。
なお、SSLについては、「ディジタル署名と暗号技術 第2版 P.130−P.134 ウォーウィック・フォード、マイケル・バウム著、山田 慎一郎訳 2001年10月10日 ピアソンエデュケーション発行」等において詳述されている。
【0037】
CPRM処理部106は、SDカード規格で用いられているCPRM(Content Protection for Recordable Media)方式に基づき、メモリ通信部107を介して記憶媒体12に対し送信するデータに暗号化処理を行い、また、記憶媒体12からメモリ通信部107を介して受信するデータを復号処理する。
なお、CPRMについては、「Matsushita Technical Journal 第48巻第2号(2002年4月)P.4−P.10 松下電器産業株式会社発行」に説明されている。
【0038】
メモリ通信部107は、メモリカードのリーダ/ライタであり、制御部108の制御により、記憶媒体12との間でデータの通信処理を行う。
制御部108は、以下に示す動作を行う。
以降の記載を簡潔にするため、制御部108は、明示的な記載が無くとも、ICタグ14と通信を行う場合には、無線通信部103を介して通信し、ネットワークを用いて通信する場合には、ネットワーク通信部104及びSSL処理部105を介して通信し、記憶媒体12と通信を行う場合には、CPRM処理部106及びメモリ通信部107を介して通信するものとする。
(1)制御部108は、操作取得部101から電子金券化要求、紙金券化要求、状態通知要求のいずれかを取得した場合、取得した前記要求を保持しておき、無線通信部103に対し、ID読出要求をICタグ14に送信するよう指示する。
(2)無線通信部103から、金券IDを含むID読出応答を受信した場合、保持している前記要求に応じた処理要求を、金券管理サーバ15に対し送信する。
【0039】
保持している前記要求が電子金券化要求であった場合、当該金券IDをパラメータとした電子金券化要求を送信し、同様に、前記要求が紙金券化要求であった場合には、当該金券IDをパラメータとした紙金券化要求を送信し、前記要求が状態通知要求であった場合、当該金券IDをパラメータとした状態通知要求を金券管理サーバ15に対し送信する。
(3)制御部108は、金券IDと、金額を示す情報である応答金額とを含む電子金券化応答を受信した場合、前記応答金額が「0」か否かを判定し、「0」であった場合、表示部102に対し、電子金券化できなかった旨のエラー表示を行うよう指示し、「0」でなかった場合、当該応答金額を示す金額情報を含む増額コマンドを記憶媒体12に対し送信する。
【0040】
また、金券IDと、応答金額とを含む紙金券化応答を受信した場合、前記応答金額が「0」か否かを判定し、「0」であった場合、表示部102に対し、紙金券化できなかった旨のエラー表示を行うよう指示し、「0」でなかった場合、当該応答金額を示す金額情報を含む減額コマンドを記憶媒体12に対し送信する。
また、金券IDと、応答金額、状態情報とを含む状態通知応答を受信した場合、表示部102に対し、当該状態情報と当該応答金額とを表示するよう指示する。
【0041】
前記状態情報は、前記金券IDに係る金券が、紙金券と電子金券とのうちのいずれであるかを示し、前記応答金額は、1000円等といった金額を示す。
(4)制御部108は、減額情報をパラメータに含む減額応答を受信した場合、金券管理サーバ15に対し当該減額情報をパラメータに含む減額完了通知送信を送信する。前記減額情報は、減額成功か減額失敗かのいずれかを示す。
(5)制御部108は、レジスタ装置16から、金額情報をパラメータに含む増額要求を受信した場合、記憶媒体12に対し当該金額情報をパラメータに含む増額コマンドを送信する。
(6)制御部108は、レジスタ装置16から、支払金額をパラメータに含む支払要求を受信した場合、記憶媒体12に対し支払金額を示す金額情報をパラメータに含む減額コマンドを送信する。
また、記憶媒体12から、応答金額を含む減額応答を受信した場合、レジスタ装置16に対し、当該応答金額を含む支払応答を送信する。
<1.2.記憶媒体12>
記憶媒体12は、図2に示すように、入出力部111、CPRM処理部112、制御部113、記憶部114を備え、具体的には、IC(Integrated Circuits)、ROM、RAM等を備え、耐タンパ性を有するセキュアなメモリカードであり、携帯端末11が備えるカードスロットに挿入されて携帯端末11と電気的に接続する。
【0042】
入出力部111は、携帯端末11と通信を行うインターフェイスである。
CPRM処理部112は、入出力部111を介して携帯端末11に送信するデータの暗号化処理、及び携帯端末11から受信したデータの復号処理を、CPRM方式に基づき行う。
以降の記載を簡潔にするため、明示的な記載が無くとも、制御部113は、携帯端末11と通信を行う場合に、CPRM処理部112及び入出力部111を介して通信するものとする。
【0043】
制御部113は、携帯端末11から、金額情報を含む増額コマンドを受けた場合、記憶部114に保持された電子バリューを読み出し、前記増額要求に含まれる金額相当分の増額を読み出した電子バリューに対し行い、記憶部114に書き戻す。
また、制御部113は、携帯端末11から、金額情報を含む減額コマンドを受けた場合、記憶部114に保持された電子バリューを読み出し、前記金額情報が示す金額が、読み出した電子バリューが示す金額以下の場合、前記金額情報相当分の減額を当該電子バリューに対して実施し記憶部114に書き戻し、減額成功を示す減額情報を含む減額応答を携帯端末11に送信する。
【0044】
前記金額情報が示す金額が、読み出した電子バリューが示す金額よりも大きい場合、減額失敗を示す減額情報を含む減額応答を携帯端末11に送信する。
記憶部114は、制御部113からの指示に基づき、電子バリューを保持する。
CPRM処理部112、制御部113、記憶部114は、耐タンパ性を有するモジュールであるTRM(Tamper Resist Module)内に配置されている。
<1.3.ICタグ14>
ICタグ14は、具体的には、アンテナと、記憶領域を備えたICチップとから成り、ICタグリーダが発信する電磁波を、コイル状の前記アンテナで受信することにより、ICタグ14の周辺に電界ができ、電界内にあるコイル状のアンテナの両端に電位差が生じて電流が発生し、ICチップは、動作可能となる。
【0045】
また、前記記憶領域内に保持する金券IDに基づき前記ICチップが変調した、前記ICタグリーダが出力する電磁波の反射波を、前記ICタグリーダが読み取ることによって、ICタグ14から前記ICタグリーダへの情報通信を行う。
<1.4.金券管理サーバ15>
金券管理サーバ15は、図2に示すように、ネットワーク通信部121、SSL処理部122、記憶部123、制御部124を備えており、具体的には、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、ネットワークインターフェイス等から成るパーソナルコンピュータ、ワークステーション等のコンピュータシステムであり、前記ROMには、コンピュータプログラムが記憶され、前記CPUが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能を実現する。
【0046】
ネットワーク通信部121は、ネットワークインターフェイスとその駆動回路であり、ネットワークに接続して通信を行う。
ネットワーク通信部121は、ネットワークを介し、制御部124により指示された送信先に指示されたデータを送信し、ネットワークを介して受信したデータを制御部124に送信する。
【0047】
SSL処理部122は、SSL(Secure Sockets Layer)により、ネットワーク通信部121が送信するデータを暗号化し、また、ネットワーク通信部121が受信するデータを復号する。
記憶部123は、ハードディスク等不揮発性の記憶領域で構成され、前記記憶領域に、1以上の金券情報を含む金券管理情報を記憶する。
【0048】
前記金券情報は、発行済み金券のIDに相当する発行IDと、当該発行IDで識別される金券の金額を示す金額情報と、当該発行IDで識別される金券が電子金券であることを示す「0」か、紙金券を示す「1」かの値を取る状態情報とから構成される。
制御部124は、ネットワーク通信部121及びSSL処理部122を介して、要求元の装置から受信する、(1)電子金券化要求、(2)紙金券化要求、(3)状態通知要求、(4)減額完了通知、のそれぞれに応じた処理を行い、前記(1)〜(3)の処理に対する処理結果を応答する場合には、ネットワーク通信部121及びSSL処理部122を介して当該要求元装置に送信する。
【0049】
ここで、前記要求元装置と成りうる装置は、携帯端末11及びレジスタ装置16である。
(1)電子金券化要求
前記受信した要求が電子金券化要求であった場合、受信した電子金券化要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定し、一致する発行IDが登録されていない場合には、受信した金券IDと、値がエラーを示す「0」である金額情報とを含む電子金券化応答を、前記要求元装置に対し送信する。
【0050】
また、前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合も、受信した金券IDと「0」を示す金額情報とを含む電子金券化応答を、前記要求元装置に対し送信する。
前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が紙金券を示す「1」である場合には、前記金券管理情報中の当該発行IDに対応する状態情報を電子金券を示す「0」に変更し、前記金券IDと、前記発行IDに対応する金額情報とを含む電子金券化応答を、前記要求元装置に対し、送信する。
【0051】
(2)紙金券化要求
前記受信した要求が紙金券化要求であった場合、受信した紙金券化要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定し、一致する発行IDが登録されていない場合、受信した金券IDと、値がエラーを示す「0」である金額情報とを含む電子金券化応答を、前記要求元装置に対し送信する。
【0052】
また、前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が紙金券を示す「1」である場合も、受信した金券IDと、値がエラーを示す「0」である金額情報とを含む電子金券化応答を、前記要求元装置に対し送信する。
前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合、当該状態情報を紙金券を示す「1」に変更し、前記金券IDと、前記発行IDに対応する金額情報とを含む紙金券化応答を、前記要求元装置に対し、送信する。
【0053】
(3)状態通知要求
前記受信した要求が状態通知要求であった場合、受信した状態通知要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定し、一致する発行IDが登録されていない場合、前記要求元装置に対し、受信した金券IDと、値がエラーを示す「0」である金額情報とを含む状態通知応答を送信する。
【0054】
また、前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が紙金券を示す「1」である場合、前記要求元装置に対し、受信した金券IDと、当該発行IDに対応する金額情報と、紙金券を示す値「1」である状態情報とを含む状態通知応答を送信する。
また、前記一致する発行IDが登録されており、かつ、対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合、前記要求元装置に対し、受信した金券IDと、当該発行IDに対応する金額情報と、電子金券を示す値「0」である状態情報とを含む状態通知応答を送信する。
【0055】
(4)減額完了通知
減額完了通知に含まれる減額情報が、減額成功を示すか否かを判定し、減額成功を示す場合、金券管理情報中の前記金券IDに対応する状態情報を、紙金券を示す「1」に変更し、減額失敗を示す場合、処理を終了する。
<1.5.レジスタ装置16>
レジスタ装置16は、図2に示すように、バーコードリーダ131、操作取得部132、表示部133、記憶部134、無線通信部135、ネットワーク通信部136、SSL処理部137及び制御部138を備えており、ハードウェアとしてはCPU、ROM、RAM等から構成され、ROMには、コンピュータプログラムが記憶され、前記CPUが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、レジスタ装置16は、その機能を実現する。
【0056】
バーコードリーダ131は、前記利用者が購入を希望する商品に付されたバーコードを読み取り、読み取った値から、前記商品の売価を示す代金情報を生成し、制御部138へ送信する。
操作取得部132は、キーパッド及びキーの押下に応じた信号を出力する回路から成り、前記店員がキーパッドを用いて行った操作に応じた信号である操作要求を、制御部138に送信する。
【0057】
前記店員が前記キーパッド中の計算指示キーを押下した場合、操作取得部132は、制御部138に対し操作要求として、バーコードリーダ131が読み出した代金情報の合計計算要求を送信し、また、前記店員が前記キーパッド中の精算指示キーを押下した場合、制御部138に対し、精算要求を送信する。
また、操作取得部132は、前記店員が前記キーパッド中の金券精算キーを押下した場合、金券による精算を示す精算方法情報を含む精算方法選択指示を制御部138に送信し、前記店員が前記キーパッド中の電子バリュー精算キーを押下した場合、電子バリューによる精算を示す精算方法情報を含む精算方法選択指示を制御部138に送信する。
【0058】
表示部133は、具体的には液晶ディスプレイ等の表示装置とその駆動回路から成り、制御部138の指示に従い、文字、図形等の表示を行う。
記憶部134は、制御部138からの制御により、増額、減額が行われる電子バリューを保持している。
無線通信部135は、具体的にはICタグリーダであり、13.56MHz帯の電波を使用し、制御部138からの指示に従ってICタグ14と無線による通信を行う。
【0059】
ここで、紙金券は、まとめて金属等でシールドされ、読み取り対象である紙金券のみ、前記シールドの外に取り出され、無線通信部135が、金券IDを読み出すものとする。
シールド内からシールド外へ紙金券が取り出す処理は、前記店員が行ってもよいし、レジスタ装置16に、前記取り出し処理を行う取り出し処理部を設けてもよい。
ネットワーク通信部136は、ネットワークインターフェイスとその駆動回路であり、ネットワークに接続して通信を行う。
【0060】
ネットワーク通信部136は、ネットワークを介し、制御部138により指示された送信先に指示されたデータを送信し、ネットワークを介して受信したデータを制御部138に送信する。
SSL処理部137は、SSLにより、ネットワーク通信部136が送信するデータを暗号化し、また、ネットワーク通信部136が受信するデータを復号する。
【0061】
制御部138は、バーコードリーダ131から代金情報を受信する毎に保持し、操作取得部132から合計計算要求を受信した場合に、保持している代金情報が示す金額を合計することにより、支払金額を取得する。
制御部138は、操作取得部132から、金券による精算か、電子バリューによる精算かのいずれかを示す精算方法情報を取得した場合に、当該精算方法情報を保持しておく
また、制御部138は、操作取得部132から精算要求を受信した場合に、前記保持している精算方法情報を参照する。
【0062】
前記精算方法情報が、金券による精算を示す場合に、金券による支払処理の制御を行い、電子バリューによる精算を示す場合に、電子バリューによる支払処理の制御を行う。
(1)金券による支払処理の制御
制御部138は、無線通信部135に対し、ID読出要求を送信するよう指示する。
制御部138は、前記指示に対する応答として、ICタグ14から、無線通信部135を介して、金券IDを含むID読出応答を受信し、受信した金券IDを含む状態通知要求を、SSL処理部137、ネットワーク通信部136を介して、金券管理サーバ15に送信する。
【0063】
金券管理サーバ15から、制御部138は、SSL処理部137、ネットワーク通信部136を介して、金券ID、当該金券IDに対応する金額情報及び状態情報を含む状態通知応答を受信し、前記購入代金と前記金額情報が示す金額との差が、「0」、「0」より大きい、「0」より小さいかのいずれであるかを判定する。
「0」である場合、処理を終了する。
【0064】
「0」より小さい場合、釣銭が発生しているので、前記金額情報が示す金額と前記購入代金との差分である釣銭金額を、表示部133に表示するよう指示し、前記釣銭金額を含む増額要求を、SSL処理部137、ネットワーク通信部136を介して携帯端末11に送信する。
「0」より大きい場合、前記支払金額から前記金額情報が示す金額を減額し、前記支払金額を表示部133に表示するよう指示した後、読み出す紙金券がなくなる、又は、前記支払金額が「0」になるまで、次の紙金券に対して本紙金券に対し行った処理と同様の処理を繰り返していく。
【0065】
(2)電子バリューによる支払処理の制御
制御部138は、前記支払金額を含む支払要求を、SSL処理部137、ネットワーク通信部136を介して、携帯端末11に送信し、その応答として、携帯端末11から、応答金額を含む支払応答を受信する。
携帯端末11は、前記応答金額を、表示部133に表示するよう指示し、記憶部134に保持している電子バリューを、前記応答金額が示す金額分増額する。
【0066】
携帯端末11が前記支払金額を支払う能力がない場合、前記応答金額は「0」を示している。
<2.動作>
電子金券管理システム1の動作について、
(1)紙金券を電子金券化する処理
(2)電子金券を紙金券化する処理
(3)紙金券が有効であるか否かの問い合わせ処理
(4)紙金券を用いた精算処理
(5)電子金券を用いた精算処理
に分けて、各処理について順に説明する。
【0067】
以下、記載の簡潔化のため、明示的な記載がなくとも、携帯端末11において、制御部108がネットワークを用いて通信する場合、ネットワーク通信部104とSSL処理部105を介して通信するものとし、記憶媒体12と通信する場合には、CPRM処理部106とメモリ通信部107とを介して記憶媒体12と通信しているものとする。
同様に、明示的な記載がなくとも、記憶媒体12において、制御部113が、携帯端末11と通信する場合には、CPRM処理部112、入出力部111を介して通信しているものとし、金券管理サーバ15において、制御部124が、ネットワークを用いて通信する場合には、ネットワーク通信部121とSSL処理部122とを介して通信しているものとし、レジスタ装置16において、制御部138が、ネットワークを用いて通信する場合、ネットワーク通信部136とSSL処理部137を介して通信しているものとする
<2.1>紙金券を電子金券化する処理
図3は、紙金券を電子金券化する処理の動作を示すフローチャートである。
携帯端末11の利用者が、電子金券化を望む、ICタグ14が付された紙金券13を保持しているものとする。
携帯端末11の利用者は、操作取得部101の前記キーパッドにより電子金券化を指示し、操作取得部101は、電子金券化要求を制御部108に対し送信する。
【0068】
制御部108は、前記電子金券化要求を保持し、無線通信部103にID読出要求を送信するよう指示する。
無線通信部103は、ICタグ14に対し、ID読出要求を送信する(S101)。
無線通信部103は、ICタグ14から、保持している金券IDを含むID読出応答を取得し、制御部108に送信する(S102)。
【0069】
制御部108は、保持している要求が前記電子金券化要求であるので、受信した金券IDを含む電子金券化要求を、金券管理サーバ15へと送信する(S103)。
金券管理サーバ15において、制御部124は、携帯端末11から、前記電子金券化要求を受信する。
制御部124は、当該電子金券化要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定する(S104)。
一致する発行IDが登録されていない場合(S104=NO)、金額情報=「0」とする(S105)。
一致する発行IDが登録されている場合(S104=YES)、当該発行IDに対応する状態情報が、電子金券を示す「0」であるか否かを判定する(S106)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合(S106=YES)、携帯端末11に応答する応答金額=「0」とする(S105)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」でない場合(S106=NO)、当該状態情報を電子金券を示す「0」に変更し、金券管理情報に記憶し、当該発行IDに対応する金額情報を応答金額として読み出す(S107)。
【0070】
制御部124は、前記金券IDと、前記応答金額とを含む電子金券化応答を、携帯端末11に対し送信する(S108)。
携帯端末11において、制御部108は、金券管理サーバ15から前記電子金券化応答を受信し、当該電子金券化応答に含まれる応答金額が「0」であるか否かを判定する(S109)。
前記応答金額が「0」である場合(S109=YES)、制御部108は、表示部102に電子金券化できなかった旨のエラー表示を行わせる(S110)。
前記応答金額が「0」でない場合(S109=NO)、制御部108は、記憶媒体12に対し、前記応答金額を示す金額情報を含む増額コマンドを送信し(S111)、表示部102に、前記金額情報が示す金額を表示させる(S112)。
【0071】
記憶媒体12において、制御部113は、携帯端末11から前記増額コマンドを受信し、記憶部114が記憶している電子バリューを前記金額情報が示す金額分増額する(S113)。
<2.2>電子金券を紙金券化する処理
携帯端末11の利用者が、電子金券化済みの紙金券13を保持しており、紙金券13を紙金券として有効化するための処理について説明する。図4は、紙金券を有効化する処理の動作を示すフローチャートである。
携帯端末11の利用者は、電子金券化済みの紙金券13を保持しているものとする。
携帯端末11の利用者は、操作取得部101の前記キーパッドにより紙金券化を指示し、操作取得部101は、紙金券化要求を制御部108に対し送信する。
【0072】
制御部108は、前記紙金券化要求を保持し、無線通信部103にID読出要求を送信するよう指示する。
無線通信部103は、ICタグ14に対し、ID読出要求を送信する(S201)。
無線通信部103は、ICタグ14から、保持している金券IDを含むID読出応答を取得し、制御部108に送信する(S202)。
【0073】
制御部108は、保持している要求が前記紙金券化要求であるので、受信した金券IDを含む紙金券化要求を、金券管理サーバ15へと送信する(S203)。
金券管理サーバ15において、制御部124は、携帯端末11から前記紙金券化要求を受信する。
制御部124は、前記紙金券化要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定する(S204)。
一致する発行IDが登録されていない場合(S204=NO)、応答金額=「0」とする(S205)。
一致する発行IDが登録されている場合(S204=YES)、当該発行IDに対応する状態情報が、電子金券を示す「0」であるか否かを判定する(S206)。対応する状態情報が紙金券を示す場合(S206=NO)、応答金額は紙金券の額面となる。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合(S206=YES)、応答金額=「0」とする(S205)。
制御部124は、前記金券IDと、前記応答金額とを含む紙金券化応答を、携帯端末11に対し送信する(S207)。
【0074】
制御部108は、金券管理サーバ15から前記紙金券化応答を受信し、当該紙金券化応答に含まれる応答金額が「0」であるか否かを判定する(S208)。
前記応答金額が「0」である場合(S208=YES)、制御部108は、表示部102に紙金券化できなかった旨のエラー表示を行わせる(S209)。
前記応答金額が「0」でない場合(S208=NO)、制御部108は、記憶媒体12に対し、前記応答金額を示す金額情報を含む減額コマンドを送信する(S210)。
【0075】
制御部113は、携帯端末11から前記減額コマンドを受信し、記憶部114が記憶している電子バリューから前記金額情報が示す金額分減額できるか否かを判定する(S211)。
減額可と判定した場合(S211=YES)、前記電子バリューから前記金額情報が示す金額相当分を減額し(S212)、減額成功を示す減額情報を含む減額完了通知を携帯端末11に送信する(S213)。
減額不可と判定した場合(S211=NO)、減額失敗を示す減額情報を含む減額応答を、携帯端末11に送信する(S213)。
制御部108は、記憶媒体12から前記減額応答を受信し、前記金券IDと前記減額情報とを含む減額完了通知を、金券管理サーバ15に送信する(S214)。
【0076】
金券管理サーバ15において、制御部124は、携帯端末11から受信した減額完了通知に含まれる減額情報が、減額成功を示すか否かを判定する(S215)。
前記減額情報が減額成功を示す場合(S215=YES)、制御部122は、金券管理情報中の前記金券IDに対応する状態情報を、紙金券を示す「1」に変更する(S216)。
減額失敗を示す場合(S215=NO)、金券管理サーバ15は、処理を終了する。
<2.3.紙金券が有効であるか否かの問い合わせ処理>
図5は、紙金券が有効であるか否かの問い合わせとその応答の処理を示すフローチャートである。
携帯端末11の利用者は、操作取得部101の前記キーパッドにより状態通知要求を指示し、操作取得部101は、状態通知要求を制御部108に対し送信する。
【0077】
制御部108は、前記状態通知要求を保持し、無線通信部103にID読出要求を送信するよう指示する。
無線通信部103は、ICタグ14に対し、ID読出要求を送信する(S301)。
無線通信部103は、ICタグ14から、保持している金券IDを含むID読出応答を取得し、制御部108に送信する(S302)。
【0078】
制御部108は、保持している要求が前記状態通知要求であるので、受信した金券IDを含む状態通知要求を、金券管理サーバ15へと送信する(S303)。
金券管理サーバ15において、制御部124は、携帯端末11から前記状態通知要求を受信する。
制御部124は、当該電子金券化要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定する(S304)。
一致する発行IDが登録されていない場合(S304=NO)、応答状態をエントリー無しを示す「2」とする(S305)
一致する発行IDが登録されている場合(S304=YES)、当該発行IDに対応する状態情報が、電子金券を示す「0」であるか否かを判定する(S306)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合(S306=YES)、応答状態を、電子金券を示す「0」とする(S307)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」でない場合(S306=NO)、応答状態を、紙金券を示す「1」とする(S308)。
【0079】
制御部124は、携帯端末11に対し、前記金券IDと、前記発行IDに対応する金額情報、前記応答状態を含む状態通知応答を送信する(S309)。
携帯端末11において、制御部108は、金券管理サーバ15から、前記状態通知応答を受信し、前記取得した状態通知応答に含まれる、金券ID、金額情報、前記応答状態を表示部102に表示させる(S310)。
【0080】
前記利用者は、表示部102に表示される応答状態を見ることにより、紙金券が電子化されたものであるか否かを知ることができる。
<2.4.紙金券を用いた精算処理>
図6は、紙金券を用いた精算処理の動作を示すフローチャートである。
前記利用者は、購入を希望する商品を、レジスタ装置16を操作する前記店員に引き渡す。
前記店員は、バーコードリーダ131に、前記利用者が購入を希望する全商品に付されたバーコードを読み取らせる。
【0081】
バーコードリーダ131は、読み取ったバーコードから各商品の売価を示す代金情報を生成し、制御部138へ送信する。
前記店員は、操作取得部132のキーパッドにより合計計算要求を指示し、操作取得部132は、合計計算要求を制御部138に対し送信する。制御部138は、バーコードリーダ131から代金情報を受信する毎に保持し、操作取得部132から合計計算要求を受信した場合に、保持している代金情報が示す金額を合計することにより、支払金額を取得する(S401)。
前記店員は、操作取得部132のキーパッドにより金券精算キーを押下し、操作取得部132は、金券による精算を示す精算方法情報を含む精算方法選択指示を制御部138に送信する。
【0082】
制御部138は、前記精算方法情報が金券による精算を示すので、以降の精算処理を金券により行うものと判断し、無線通信部135にID読出要求を送信するよう指示し、無線通信部135は、ICタグ14に対し、ID読出要求を送信する(S402)。
無線通信部135は、ICタグ14から、ICタグ14が保持している金券IDを含むID読出応答を取得し、制御部138に送信する(S403)。
【0083】
制御部138は、取得した金券IDを含む状態通知要求を、金券管理サーバ15へと送信する(S404)。
金券管理サーバ15において、制御部124は、レジスタ装置16から、前記状態通知要求を受信する。
制御部124は、当該状態通知要求に含まれる金券IDに一致する発行IDが、前記金券管理情報に登録されているか否か判定する(S405)。
一致する発行IDが登録されていない場合(S405=NO)、応答金額=「0」とする(S406)。
一致する発行IDが登録されている場合(S405=YES)、当該発行IDに対応する状態情報が、電子金券を示す「0」であるか否かを判定する(S407)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」である場合(S407=YES)、携帯端末11に応答する応答金額=「0」とする(S406)。
対応する状態情報が電子金券を示す「0」でない場合(S407=NO)、制御部124は、前記発行IDに対応する金額情報を記憶部123読み出す(S408)。
制御部124は、レジスタ装置16に対し、前記金券ID、前記応答金額、前記発行IDに対応する前記状態情報とを含む状態通知応答を送信する(S409)。
レジスタ装置16において、制御部138は、金券管理サーバ15から前記状態通知応答を受信する。
制御部138は、支払金額が、受信した状態通知応答に含まれる応答金額が示す金額より大きいか否かを判定する(S410)。
【0084】
前記支払金額が大きいと判定した場合(S410=YES)、制御部138は、(前記支払金額−前記応答金額)を前記支払金額として更新、記憶し(S411)、前記支払金額を表示部133に表示させる(S412)。
制御部138は、前記取り出し処理部の動作により、前記シールドから次の紙金券を取り出す等の読出準備を行い(S413)、再度S402からの処理を開始する。
【0085】
但し、前記支払金額が0とならない場合でも、当該支払代金を、前記利用者が紙金券ではなく現金で支払う場合などは、本処理を終了することとなる。
前記支払代金が、受信した状態通知応答に含まれる金額情報が示す金額以上である場合(S410=NO)、前記支払代金と前記応答金額との差分である釣銭情報が「0」であるか否かを判定する(S414)。
前記釣銭情報が「0」である場合(S414=YES)、処理を終了する。
前記釣銭情報が「0」でない場合(S414=NO)、制御部138は、前記釣銭情報を表示部133に表示させ(S415)、携帯端末11に対し、前記釣銭情報を含む増額要求を送信する(S416)。
【0086】
携帯端末11において、制御部108は、レジスタ装置16から前記増額要求を受信し、前記増額要求に含まれる釣銭情報を含む増額コマンドを記憶媒体12に対し送信する(S417)。
記憶媒体12において、制御部113は、携帯端末11から前記増額コマンドを取得し、記憶部114に保持する電子バリューに対し、前記増額コマンドに含まれる釣銭情報相当分の増額を行う(S418)。
<2.5.電子金券を用いた精算処理>
図7は、電子金券を用いた精算処理の動作を示すフローチャートである。
前記利用者は、購入を希望する商品を、レジスタ装置16を操作する前記店員に引き渡す。
前記店員は、バーコードリーダ131に、前記利用者が購入を希望する全商品に付されたバーコードを読み取らせる。
【0087】
バーコードリーダ131は、読み取ったバーコードから各商品の売価を示す代金情報を生成し、制御部138へ送信する。
前記店員は、操作取得部132のキーパッドにより合計計算要求を指示し、操作取得部132は、合計計算要求を制御部138に対し送信する。制御部138は、バーコードリーダ131から代金情報を受信する毎に保持し、操作取得部132から合計計算要求を受信した場合に、保持している代金情報が示す金額を合計することにより、支払金額を取得する(S501)。
前記店員は、操作取得部132のキーパッドにより電子バリュー精算キーを押下し、操作取得部132は、電子バリューによる精算を示す精算方法情報を含む精算方法選択指示を制御部138に送信する。
【0088】
制御部138は、前記精算方法情報が電子バリューによる精算を示すので、以降の精算処理を電子バリューにより行うものと判断する。
制御部138は、携帯端末11に対して、前記支払金額を含む支払要求を送信する(S502)。
携帯端末11において、制御部108は、レジスタ装置16から前記支払要求を受信し、前記支払金額を含む減額コマンドを記憶媒体12に対し送信する(S503)。
記憶媒体12において、制御部113は、携帯端末11から前記減額コマンドを受信し、前記減額コマンドに含まれる前記支払金額が、記憶部114に記憶している電子バリューに相当する金額より大きいか否かを判定し(S504)、大きいと判定した場合(S504=YES)、応答金額を値「0」とする(S505)。
小さい又は等しいと判定した場合(S504=NO)、前記支払金額相当分を、前記記憶している電子バリューから減額し、前記支払金額を携帯端末11に送信する応答金額とする(S506)。
制御部113は、携帯端末11に対し、前記応答金額を含む減額応答を通知する(S507)。
携帯端末11において、制御部108は、前記減額応答を受信し、前記減額応答に含まれる応答金額を含む支払応答を、レジスタ装置16に送信する(S508)。
レジスタ装置16において、制御部138は、表示部133に、前記応答金額を表示させる(S509)。
制御部138は、記憶部134に記憶している電子バリューを前記応答金額相当分増額する(S510)。
<3.その他変形例>
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)記憶媒体12は、携帯端末11が備えるカードスロットに挿入され電気的に接続するとしているが、記憶媒体12が無線通信手段を備え、無線により、携帯端末11と通信することとしてもよい。
(2)ICタグ及びそのリーダ/ライタが使用する電波は、13.56MHz帯の電波に限るものではなく、135KHz、2.45GHz等、その他の周波数帯でもよい。
(3)CPRM方式により行っている暗号化処理及び復号処理は、CPRM方式に限定するものではない。
(4)レジスタ装置16は、精算時に、紙金券を無効化し、該当する額面分、保持する電子バリューを増額してもよい。
【0089】
この場合、レジスタ装置16は、金券管理サーバ15に対し、無効化要望を送信する。
(5)前記紙金券を用いた精算処理において、レジスタ装置16が、紙金券13に付されたICタグ14からタグIDを取得して、金券管理サーバ15に対し、紙金券13が、電子金券化されているか否かを判定している、つまり、紙金券13は、前記利用者から、レジスタ装置16が設置された店舗の店員に渡されることとしているが、紙金券13の受け渡しを行わずに、精算処理を行うこととしてもよい。
【0090】
携帯端末11が、紙金券13に付されたICタグ14からタグIDを取得し、金券管理サーバ15に対し、紙金券13が、電子金券化されているか否かを問い合わせ、問い合わせに対する応答が、電子金券化されていないことを示す場合に、前述の「紙金券を電子金券化する処理」を実行する。
携帯端末11は、電子金券化した電子バリューを用い、前述の「電子金券を用いた精算処理」を実行し、精算処理を行う。
(6)金券管理サーバ15は、金券IDが記憶部123に記憶されている場合に、当該金券IDに係る金券が「電子金券」であり、記憶されていない場合に、当該金券が「紙金券」であると扱ってもよい。
【0091】
携帯端末11は、紙金券を電子金券化する場合に、金券管理サーバ15に対し、当該紙金券の金券IDを送信する。
金券管理サーバ15は、当該金券IDを記憶部123に記憶し、携帯端末11に対して、電子金券化応答を送信する。
携帯端末11は、電子金券を紙金券化する場合に、金券管理サーバ15に対し、当該紙金券の金券IDを送信する。
【0092】
金券管理サーバ15は、当該金券IDを記憶部123から削除し、携帯端末11に対して、電子金券化応答を送信する。
また、金券管理サーバ15は、発行済みの全金券に係る識別情報と、全金券の状態(一例として、前記状態は、「紙金券」又は「電子金券」を選択的に示す。)とを対応づけて記録していることとしてもよい。
(7)ICタグが付された紙の金券の所持者は、当該金券の所持者以外の端末により読み出されるのを防止するために、当該金券を使用時以外は金属等でシールドした財布に入れておいてもよい。
(8)紙の金券に関する金額情報は、金券管理サーバ15が、金券管理情報として保持しているが、紙の金券にかかるICタグ内の読出専用領域に、当該金額情報を保持しておいてもよい。
(9)紙の金券については、ICタグの添付に代えて、又はICタグの添付と共に、バーコードを金券に印刷することとしてもよい。
【0093】
このとき、偽造防止のため、金券IDを、金券識別情報+前記金券識別情報に秘密の変換を施した値というフォーマットとし、金券IDが偽造された値でないことの確認は、金券IDが前記データフォーマットになっているか否かで判定する。
或いは、バーコードの情報を復号した金券IDと、ICタグから取得した金券IDとが一致すれば、前記金券が偽造されたものでないと判定してもよい。
【0094】
このとき、ICタグの内容を読み出すリーダは、バーコードリーダに置き換えるものとする。
また、ICタグと、バーコードの両方を、紙の金券に対して付することとしてもよい。
また、金券に対し金券IDを、ホログラムにより記録することとしてもよい。
(10)電子金券管理システム1の利用者は、携帯端末11と、紙金券13を含む紙金券とを所持し、レジスタ装置16が設置されたスーパーマーケット等の店舗において買い物を行ったのち、その支払の一部を、所持している紙金券で行い、残りを携帯端末11に保持している電子バリューで行うこととしてもよい。
(11)本実施形態において、携帯型の端末装置を用いて説明を行ってきたが、端末装置は携帯型に限らない。
【0095】
例えば、携帯端末と同等の機能を持つデスクトップ型のパーソナルコンピュータなど、据え置き型の端末装置であってもよい。
(12)紙金券への金券IDの記録は、紙金券に付されたICタグへの記録、バーコード形式での記録に限らず、ホログラムを用いた記録、コピーによる印刷が不能な特殊インクを用いた記録などの全ての組み合わせ、また一部の組合せを用いて行ってもよい。
(13)本実施の形態において、紙金券と電子金券との間の相互変換について説明したが、金券は、金銭的な価値を持つものに限定するものではない。
【0096】
例えば、クーポン券、ビール券、割引券、電車の切符等の券と、電子バリューとの相互変換を行ってもよい。
また、本実施の形態においては、紙金券を用いた例で説明してきたが、これに限らず、書換不可能でさえあれば、例えばプラスチックシート、金属シート、ガラス、ビニールなどの紙以外の券を用いてもよい。
(14)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0097】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optic disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory)、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0098】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0099】
また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(15)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(16)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の券管理システム、バリュー変換方法は、電子バリューを用いた電子商取引システムを扱う産業において使用され、本発明の携帯端末、券管理サーバ、レジスタ装置は、デジタル家電又はパーソナルコンピュータ、オフィス機器等の製造業者により生産、販売される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と券管理サーバとから成る券管理システムであって、
前記端末装置は、
電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段と、
更新不可能な価値情報を割り当てられた券から当該券を識別する識別情報を取得する取得手段と、
取得した前記識別情報を含む電子化要求を券管理サーバに送信する送信手段と、
前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新手段と
を含み、
前記券管理サーバは、
前記識別情報と、当該識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す状態情報とを対応づけて記録している状態記録手段と、
端末装置から前記電子化要求を受信する受信手段と、
前記状態記録手段に記録されている、前記電子化要求に含まれる識別情報に対応する状態情報が、電子化済みを示さない場合に電子化済みを示すよう変更する変更手段と
を含む
ことを特徴とする券管理システム。
【請求項2】
更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置であって、識別情報により識別される券の電子化を管理している券管理サーバと共に用いられ、
前記電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段と、
前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得手段と、
取得した前記識別情報を含む電子化要求を券管理サーバに送信する送信手段と、
前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記バリュー更新手段は、
取得した前記識別情報により識別される券が有効か否かを判定する書込判定部と、
前記券が有効と判定された場合に、当該券の価値情報が示す電子バリューを取得するバリュー取得部と、
取得した電子バリューを、前記バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新部と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記書込判定部は、
前記券管理サーバから、前記識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す電子化情報を受信する受信部と、
前記電子化情報が電子化済みでないことを示す場合に、前記券が有効であると決定する決定部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記券には、前記識別情報に基づく判定情報が記録されており、
前記書込判定部は、
前記判定情報を取得する判定情報取得部と、
前記識別情報と前記判定情報とが一致する場合に、前記券が有効であると決定する決定部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項6】
前記判定情報は、前記券にバーコード形式で記録されており、
前記読取部は、前記バーコード形式で記録された判定情報を読み取る
ことを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記バリュー取得部は、
前記券が有効と判定された場合に、前記券管理サーバに、前記識別情報を含む、前記券に割り当てられた価値情報の通知要求を行う要求部と、
前記通知要求に対する応答として前記券管理サーバから前記価値情報を受信し、前記価値情報が示す電子バリューを取得する応答取得部と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項8】
前記識別情報は、前記券に割り当てられた価値情報を含み、
前記バリュー取得部は、
前記券が有効と判定された場合に、前記識別情報から価値情報を抽出し、前記価値情報が示す電子バリューを取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の端末装置。
【請求項9】
前記券は、前記券を識別する識別情報を記憶している記憶デバイスを含み、
前記取得手段は、前記記憶デバイスに記憶されている前記識別情報を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項10】
前記記憶デバイスは、前記識別情報を記憶しているICタグであり、
前記取得手段は、前記ICタグに記憶されている識別情報を取得する
ことを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記識別情報は、前記券にバーコード形式で記録されており、
前記取得手段は、前記バーコード形式で記録された識別情報を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項12】
前記端末装置は、さらに、
無効な券を識別する識別情報を取得する無効識別取得手段と、
取得した前記識別情報により識別される無効な券の価値情報が示す電子バリューである無効バリューを取得する無効バリュー取得手段と、
前記無効バリューが、前記バリュー記憶手段により記憶されている電子バリュー以下であるか否かを判定する残高判定手段と、
記憶されている電子バリュー以下であると判定された場合に、前記券の有効化要求を券管理サーバに送信する有効化要求送信手段と
前記券管理サーバから、前記券の有効化を許可する許可情報を受信する許可受信手段と、
前記許可情報を受信した場合に、前記無効バリューを、前記バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューから減算する減算手段と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項13】
前記端末装置は、通信装置と、記憶媒体とから成り、
前記通信装置は、前記取得手段と、前記送信手段と、前記バリュー更新手段とを含み、
前記記憶媒体は、前記電子バリュー記憶手段を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項14】
更新不可能な価値情報を割り当てられた券の状態を管理する券管理サーバであって、
前記券を識別する識別情報と、当該識別情報により識別される券が電子化済みか否かを示す状態情報とを対応づけて記録している状態記録手段と、
端末装置から、前記券の識別情報を含む電子化要求を受信する受信手段と、
前記電子化要求に含まれる識別情報により識別される券が有効である場合に、前記状態記録手段において、前記識別情報に対応づけられて記憶されている状態情報を電子化済みを示すよう変更する変更手段と
を備えることを特徴とする券管理サーバ。
【請求項15】
前記変更手段は、
前記状態記録手段に記録され、前記電子化要求に含まれる識別情報と対応づけられている状態情報が電子化済みを示すか否かを判定する判定部と、
電子化済みでないと判定された場合に、前記識別情報が有効であると決定し、前記状態情報を電子化済みを示すよう変更する変更部と
を含むことを特徴とする請求項14に記載の券管理サーバ。
【請求項16】
前記券管理サーバは、更に、
前記端末装置から、無効な券の識別情報を含む券有効化要求を受信する有効化要求受信手段と、
前記有効化要求に含まれる識別情報に対応づけられた状態情報が、電子化済みを示すか否かを判定する電子化判定手段と、
前記状態情報が電子化済みを示す場合に、前記状態情報を電子化済みでないことを示すよう変更する券有効化手段と、
前記状態情報が電子化済みを示す場合に、券の有効化許可を示す許可情報を、前記端末装置に送信する許可送信手段と
を備えることを特徴とする請求項14に記載の券管理サーバ。
【請求項17】
金券の有効性を管理している券管理サーバ及び端末装置と共に用いられ、支払代金の精算を行うレジスタ装置であって、
前記支払代金を計算する計算手段と、
前記金券を識別する金券IDと、前記金券の金額を示す金額情報とを対応づけて保持する保持手段と、
前記金券に付されたICタグから、当該金券を識別する金券IDを取得する取得手段と、
前記券管理サーバに対し、取得した金券IDが有効か否かを問い合わせる問い合わせ手段と、
前記券管理サーバから、前記取得した金券IDにより識別される金券が有効か否かを示す応答を受信する受信手段と、
前記応答が、有効であることを示す場合に、前記取得した金券IDにより識別される金券の金額相当分を前記支払代金から差し引いた金額を、前記端末装置に支払請求する請求手段と
を備えることを特徴とするレジスタ装置。
【請求項18】
電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段を備えかつ更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置において用いられるバリュー変換方法であって、
前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得ステップと、
取得した前記識別情報を含む電子化要求を前記券の電子化を管理する券管理サーバに送信する送信ステップと、
前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新ステップと
を含むことを特徴とするバリュー変換方法。
【請求項19】
電子バリューを記憶している電子バリュー記憶手段を備えかつ更新不可能な価値情報を割り当てられた券を電子バリューに変換する端末装置において用いられるコンピュータプログラムであって、
前記券から当該券を識別する識別情報を取得する取得ステップと、
取得した前記識別情報を含む電子化要求を前記券の電子化を管理する券管理サーバに送信する送信ステップと、
前記識別情報により識別される券の価値情報が示す電子バリューを、前記電子バリュー記憶手段に記憶されている電子バリューに加算するバリュー更新ステップと
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、請求項19に記載のコンピュータプログラムを記録していることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【国際公開番号】WO2005/096201
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−511813(P2006−511813)
【国際出願番号】PCT/JP2005/006326
【国際出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】