説明

削孔管の先端位置測定方法および先端位置測定システム

【課題】小径の削孔管や地上構造物がある場所などであっても正確かつ容易にその先端位置の測定が可能な削孔管の先端位置測定方法および先端位置測定システムの提供。
【解決手段】地中を削孔しながら推進する削孔管Cの先端位置を測定する方法であって、前記削孔管Cの推進方向後端側に受信器30を設けると共に、前記削孔管Cの先端が推進する地中の所定の位置に複数の発信器20を埋設しておき、前記各発信器20から前記削孔管Cの先端方向に測定用音波を発信して当該削孔管Cを伝播する各測定用音波を前記受信器30によって受信した後、受信した各測定用音波を解析して前記削孔管Cの先端位置を測定する。これによって、小径の削孔管や地上構造物がある場所などであっても正確かつ容易にその先端位置を測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔機によって地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定する方法およびその先端位置測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震対策のための地盤改良工法として水平ボーリング技術を用いた薬液注入工法が知られている。
【0003】
この薬液注入工法は、先端が斜めにカットされた削孔管を専用の削孔機によって地中に送り込み、その削孔管の先端位置を測定しつつ曲がり・直線といった方向制御をしながら目的地点まで削孔(水平ボーリング)する。そして、その削孔管が目的地点に到達したならば、その削孔管内に注入用の管を挿入した後、削孔管を回収し、その注入用の管から薬液を地中に浸透注入して目的地点の地盤改良を行うものである。
【0004】
このように削孔機による水平ボーリングに際しては、その削孔管の先端位置を正確に測定する必要があるが、この測定方法としては例えば以下の非特許文献1などに開示されているような電磁誘導方式とジャイロ方式とがある。
【0005】
電磁誘導方式は、バッテリーを内蔵した位置情報発信器を削孔管の先端に装着し、その発信器から発せられる電磁情報を直上の地表面に設けた受信器により検知することで削孔管の先端位置を検出する方法である。
【0006】
一方、ジャイロ方式は、ケーブル先端に接続したジャイロを削孔経路内に沿って走らせ、測定される3次元方向の加速度により削孔経路や先端位置を算定する方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】大成建設技術センター報 第39号(2006)37−1頁〜37−5頁、[平成22年1月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.taisei.co.jp/giken/report/01_2006_39/paper/A039_037.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記電磁誘導方式では、削孔管の先端に装着した位置情報発信器から発せられる電磁情報を直上の地表面に設けた受信機により検知する方法であるため、地上に大きな構造物がある場所などではその位置を検出するのは困難である。
【0009】
一方、ジャイロ方式では、削孔管内にジャイロを挿入して計測を行わなければならないため、計測作業性が悪い上に信号ケーブルの断線なども考えられる。
【0010】
また、小型の削孔機の場合では削孔管も小径となるため、その削孔管先端への位置情報発信器の装着やジャイロの挿入が困難となる。
【0011】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は小径の削孔管や地上構造物がある場所などであっても正確かつ容易にその先端位置の測定が可能な削孔管の先端位置測定方法および先端位置測定システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために第1の発明は、
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定する方法であって、前記削孔管の推進方向後端側に受信器を設けると共に、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に複数の発信器を埋設しておき、前記各発信器から前記削孔管の先端方向に測定用音波を発信して当該削孔管を伝播する各測定用音波を前記受信器によって受信した後、当該受信器で受信した各測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法である。
【0013】
第2の発明は、
第1の発明において、前記削孔管の先端が推進する地中であって前記各発信器から所定距離離れた位置に第2の受信器を埋設しておき、前記各発信器から発信される測定用音波を当該第2の受信器で受信して前記地中の測定用音波の伝播速度を測定し、測定した伝播速度も考慮して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法である。
【0014】
第3の発明は、
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定する方法であって、前記削孔管の推進方向後端側に発信器を設けると共に、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に複数の受信器を埋設しておき、前記発信器によって前記削孔管に計測用音波を発生させ、当該削孔管を伝播してその先端から地中に発信される測定用音波を前記各受信器によって受信した後、前記各受信器で受信した測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法である。
【0015】
第4の発明は、
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定するシステムであって、前記削孔管を地中に送り込んでその先端を目的位置まで推進させる削孔管推進手段と、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に埋設され、前記削孔管の先端方向に測定用音波を発信する複数の発信器と、前記削孔管の推進方向後端側に設けられ、前記各発信器から発信されて当該削孔管の先端から後端側に伝播する各測定用音波を受信する受信器と、前記受信器で受信した各測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定する位置測定手段と、を備えたことを特徴とする削孔管の先端位置測定システムである。
【0016】
第5の発明は、
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定するシステムであって、前記削孔管を地中に送り込んでその先端を目的位置まで推進させる削孔管推進手段と、前記削孔管の推進方向後端側に設けられ、当該後端側から削孔管に計測用音波を与える発信器と、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に埋設され、当該削孔管を伝播してその先端から地中に発信される前記計測用音波を受信する複数の受信器と、前記各受信器で受信した計測用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定する位置測定手段と、を備えたことを特徴とする削孔管の先端位置測定システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下に示すような主な効果を発揮することができる。
(1)従来のように位置情報発信器の装着やジャイロの挿入が困難な小型(小径)の削孔機(削孔管)であってもその先端位置を正確に測定することができる。
(2)削孔管の先端が推進する所定の場所に複数の発信器を埋設しておけば良いことから、地上に大きな構造物がある場所などであってもその先端位置を容易且つ正確に測定することができる。
(3)削孔管内に位置情報発信器やジャイロを挿入する必要がないため、計測作業が極めて容易となる上に位置情報を取得するための信号ケーブルなどの断線も回避できる。
(4)削孔管に対する受信器の脱着作業も短時間で行えるため、削孔管の先端位置測定に要する時間も大幅に短縮できる。
(5)地中に埋設された発信器(既知点)は繰り返し利用できるため、常設が可能となり、その後の位置測定作業がさらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る削孔管の先端位置測定システム100および先端位置測定方法の第1の実施の形態を示す全体図である。
【図2】本発明に係る削孔管の先端位置測定システム100および先端位置測定方法の第1の実施の形態を示す概念図である。
【図3】図2中A部を示す部分拡大図である。
【図4】4つの発信器20,20,20,20の位置と、削孔管Cの先端位置との位置関係を示す模式図である。
【図5】削孔管Cの先端位置測定の流れを示すフローチャート図である。
【図6】第1の実施の形態の変形例を示す概念図である。
【図7】本発明に係る削孔管の先端位置測定システム100および先端位置測定方法の第2の実施の形態を示す概念図である。
【図8】(a)は図7中A部を示す部分拡大図であり、(b)は図8(a)中A部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明に係る削孔管の先端位置測定システム100および先端位置測定方法の第1の実施の形態を示したものである。
【0021】
図示するようにこの先端位置測定システム100は、削孔管Cを地中に送り込んでその先端を目的位置まで推進させる削孔機10と、削孔管Cの先端が推進する地中の所定の位置に埋設された4つの発信器20,20,20,20と、削孔管Cの推進方向後端側に設けられた受信器30と、コントローラ40とから主に構成されている。
【0022】
削孔機10は、水平ボーリング工法などに用いられている従来公知のものであり、例えば地表面を走行するクローラー式の移動車台11上に、削孔管Cを地中に送り込む送込機構12を備えた構成となっている。そして、この削孔機10によって所定径の削孔管Cを任意の位置から任意の角度で地中に送り込んで削孔しながらその削孔管Cの先端を目的位置まで推進させるようになっている。
【0023】
発信器20,20,20,20は、削孔管Cの先端が推進する地中の所定の位置に埋設され、それぞれ同時に削孔管Cの先端方向に位置測定用の音波を発信するようになっている。具体的には、図2に示すように削孔管Cの先端が推進する地中に、内部中空の一対の埋設管21,21をほぼ垂直に打ち込み、それら各埋設管21,21内の底部および中間部付近にそれぞれ発信器20を固定した構造となっている。なお、これら埋設管21,21内には、発信器20からの測定用音波を地中に伝わりやすくするために水が張られており、各発信器20、20は各埋設管21,21内で水没した状態となっている。
【0024】
受信器30は、削孔管Cの推進方向後端側に設けられ、前記各発信器20,20,20,20から発信されて削孔管Cの先端から後端側に伝播する各測定用音波を受信するようになっている。具体的には、図3に示すように地上に露出した削孔管Cの端部に、例えばΦ50mm程度の単管(鋼管)31を沿わせ、クランプ32などによって削孔管Cと一体化する。そして、この単管31内に音波を効率良く伝えるための水を満たし、その水中に受信器30を没入した構造となっている(水による振動伝播の効率化)。なお、図3中33はこの受信器30をコントローラ40に接続するためのケーブルである。
【0025】
コントローラ40は、シーケンサ(PLC)などの情報処理機器などから構成されており、前記削孔機10と前記発信器20,20,20,20と受信器30とが無線または有線ケーブルなどによって接続されている。そして、このコントローラ40は、後述するように発信器20,20,20,20および受信器30を用いて地中にある削孔管Cの先端位置を測定し、その測定結果に応じて削孔機10を制御するようになっている。なお、このコントローラ40には、前記各発信器20,20,20,20の位置および設置深さなどの所定の位置情報やその周辺の地図情報などが予め入力されている。
【0026】
次に、このような構成をした先端位置測定システム100を用いた削孔管Cの先端位置検出方法の第1実施形態を、主に図5のフローチャート図を参照しながら説明する。
【0027】
先ず図1に示すように削孔機10によって削孔管Cを地中に送り込み、その先端位置が発信器20,20,20,20方向に位置したならば、コントローラ40は、図5の最初のステップS100において、各発信器20、20,20,20からその削孔管Cの先端方向に位置測定用の音波を発信して次のステップS102に移行する。
【0028】
ステップS102では、その直後に受信器30によって何らかの音波を受信したならば受信した受信音波を解析して次のステップS104に移行する。
【0029】
ステップS104では、これら各発信器20,20,20,20から発信されて各測定用音波を受信したか否かを判断する。
【0030】
すなわち、各発信器20,20,20,20からその削孔管Cの先端方向に発信された位置測定用の音波は、地中の土砂を媒体としてこれを伝播してその削孔管Cの先端に到達し、その先端から後端側に伝播することになる。そして、受信器30がこの削孔管Cの後端側に伝播してきた位置測定用の音波を受信するため、コントローラ40は、その音波を解析して全ての位置測定用の音波を受信したか否かを解析する。
【0031】
ここで全ての位置測定用音波を受信したか否かの判断方法としては特に限定されるものではないが、例えば各発信器20,20,20,20から同時にそれぞれ周波数の異なる位置測定用音波を発信した場合には、それら全ての周波数の位置測定用音波を受信したか否かを解析することで容易に判断できる。また、各発信器20,20,20,20が同じ周波数の位置測定用音波をそれぞれ異なるタイミングで別々に発信した場合にも、少なくとも4つの位置測定用音波を受信したか否かを解析することで容易に判断できる。
そして、このステップS104において全ての位置測定用音波を受信していないと判断した(No)ならば、最初のステップS100に戻って次の受信音波を受信して解析することになるが、全ての位置測定用音波を受信したと判断したならば、次のステップS106に移行する。
【0032】
ステップS106では、受信した全ての位置測定用音波の発信時間と到達時間とを解析して削孔管Cの先端の三次元方向の位置を算出する。
【0033】
ここで、受信した全ての位置測定用音波の発信時間と到達時間とに基づく位置算出方法としては特に限定されるものではないが、公知の最小二乗法や幾何学的方法を用いることにより容易に算出することが可能となる。
【0034】
すなわち、図4に示すように予め位置が分かっているY軸平面上の4点A、B、C、D(既知点)をそれぞれ各発信器20、20,20,20の位置と仮定すると共に、これら4点A、B、C、D(既知点)が位置するY軸平面からXおよびZ方向に離れた位置にあるX点を削孔管Cの先端位置(未知点)と仮定すると、その間に介在する媒体(地盤:土砂)の伝播速度はいずれも同じであることから、X点から各点A、B、C、Dまでの距離L、L、L、Lの大きさに応じて各音波の到達時間が異なってくる。
【0035】
この媒体(地盤:土砂)の音波の伝播速度および削孔管(鋼管)Cの音波の伝播速度(約5000m/s)は予め分かっているため、各発信器20,20,20,20からの各位置測定用音波の発信時刻と到達時刻との時間から削孔管(鋼管)Cの音波の伝播時間を差し引くことで各発信器20,20,20,20から削孔管(鋼管)Cの先端位置までの距離を算出することができる。
【0036】
そして、前述したように公知の最小二乗法や幾何学的方法を用いることにより、各発信器20,20,20,20の位置情報および各発信器20,20,20,20からの各距離L、L、L、Lの一致する位置(点)を算出することで算出されたその位置を削孔管(鋼管)Cの先端位置として特定することができる。
【0037】
このようにして削孔管Cの先端位置が求められたならば、次のステップS108に移行して、その削孔管Cの先端位置が予定された所定の位置にあるか否かを判断する。
【0038】
すなわち、前記コントローラ40には削孔管Cの推進予定ラインに関する地図情報などが予め記憶されているため、コントローラ40はステップS106で算出された現在の削孔管Cの先端位置がこの推進予定ラインからどの程度ずれているかを算出することができる。
【0039】
従って、このステップS108では、この推進予定ラインに対する現在の削孔管Cの先端位置のずれが許容範囲であるときは、削孔管Cが目的位置に向かって順調に推進していると判断して(Yes)最初のステップS100に戻って同様な処理を繰り返すことになる。
【0040】
これに対し、現在の削孔管Cの先端位置がこの推進予定ラインから大きくずれていると判断したとき(No)は、次のステップS110に移行して削孔管Cの先端位置がこの推進予定の削孔ライン上に戻るように削孔機10を制御することになる。なお、コントローラ40は、測定した位置情報をモニターなどに表示するのみであって削孔機10の制御はこのモニターを見ながら作業員が手作業で行うようにしても良い。
【0041】
このように本発明は、複数の発信器20、20…から削孔管Cの先端方向に測定用音波を発信してこれを伝播する音波をその後端側に設けた受信器30によって受信するようにしたことから、従来のように位置情報発信器の装着やジャイロの挿入が困難な小型(小径)の削孔機(削孔管)であってもその先端位置を正確に測定することができる。
【0042】
また、削孔管Cが推進する所定の場所に予め複数の発信器20を埋設しておけば良いことから、地上に大きな構造物がある場所などであってもその先端位置を容易且つ正確に測定することができる。
【0043】
また、削孔管C内に位置情報発信器やジャイロを挿入する必要がないため、計測作業が極めて容易となる上に、位置情報を取得するための信号ケーブルなどの断線も回避できる。
【0044】
また、削孔管Cに対する受信器30の脱着作業も短時間で行えるため、削孔管Cの先端位置測定作業に要する労力や時間も大幅に短縮できる。
【0045】
また、埋設管21を介して地中に埋設された発信器20,20…(既知点)は繰り返し利用できるため、常設が可能となり、その後の位置測定作業がさらに容易となる。
【0046】
さらに、図6に示すように発信器20,20,20,20(既知点)の近傍(既知点)に第2の受信器50、50をさらに埋設しておき、前記のように発信器20,20,20,20から発信された測定用音波をこの第2の受信器50、50でも受信し、その受信時間を計測することでその付近の地盤(土砂)の音波の伝播速度を正確に求めることができる。
【0047】
従って、図6に示すような構成にすれば削孔管Cの先端付近の地盤の音波の伝播速度を正確に求めることができるため、より精度良く削孔管Cの先端位置を測定することができる。
【0048】
次に、図7および図8は、本発明に係る削孔管の先端位置測定システム100および先端位置測定方法の第2の実施形態を示したものである。
【0049】
すなわち、本実施の形態は前記第1の実施形態とは反対に発信器20と受信器30の位置を逆にし、削孔管Cの先端から地中に埋設された受信器30側に位置測定用の音波を発信するようにしたものである。
【0050】
このような構成にあっては、発信器20および受信器30共に第1の実施形態で用いたものと同じものであっても良いが、削孔管Cの先端から地中側に向けてより大きな音波を発信させるために削孔管Cの後端側に設ける発信器20として、例えば図8に示すように機械的な衝撃音を発生できる打撃方式の発振機を用いることが望ましい。
【0051】
この発振機20は、図8(a)および(b)に示すように、削孔管Cの後端に取り付け可能な接続管22と、この接続管22にガスケット23を介して取り付けられる打撃発生装置24とから構成されている。また、この打撃発生装置24は、前記コントローラ40によって制御されるアクチュエータ24aと打撃棒24bとから構成されている。
【0052】
そして、このアクチュエータ24aによって打撃棒24bをガスケット23の端面に衝突させることで衝撃音を発生させ、その衝撃音が接続管22を介して削孔管C側に発信音波として伝播される構成となっている。
【0053】
従って、本実施の形態では、先端から地中に埋設された複数(4つ)の受信器30,30,30,30(既知点)に対して位置測定用の音波が同時に発信されるようになるため、この発信時刻と各受信器30,30,30,30への到達時刻とを検出して解析することで前記第1の実施の形態と同様にその削孔管Cの先端の位置を容易且つ正確に測定することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、削孔管Cの後端内面に予め形成されたジョイント用のネジ溝(図示せず)を利用して図8(a)に示すように発振機20の接続管22のネジ部22aを螺合させるようにしたため、削孔管Cの後端に対して容易に発振機20を着脱することができる。
【0055】
また、図8(a)に示すようにアクチュエータ24aによって動作する打撃棒24bを紡錘状またはその先端を球面状にしたため、大きな衝撃音波を削孔管Cに発生させることができる。
【0056】
なお、前記課題を解決するための手段の欄に記載した発明における削孔管推進手段は、前記第1の実施の形態および本実施の形態の削孔機10に対応し、同じく発信器、受信器および第2の受信器ならびに位置測定手段は、前記第1の実施の形態および本実施の形態の発信器20、受信器30および受信器50およびコントローラ40にそれぞれ対応するものである。
【符号の説明】
【0057】
100…削孔管の先端位置測定システム
10…削孔機
11…移動車台
12…送込機構
20…発信器(発振機)
21…埋設管
22…接続管
22a…ネジ部
23…ガスケット
24…打撃発生装置
24a…アクチュエータ
24b…打撃棒
30…受信器
31…単管(鋼管)
32…クランプ
33…ケーブル
40…コントローラ
50…(第2の)受信器
C…削孔管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定する方法であって、
前記削孔管の推進方向後端側に受信器を設けると共に、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に複数の発信器を埋設しておき、
前記各発信器から前記削孔管の先端方向に測定用音波を発信して当該削孔管を伝播する各測定用音波を前記受信器によって受信した後、
当該受信器で受信した各測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の削孔管の先端位置測定方法において、
前記削孔管の先端が推進する地中であって前記各発信器から所定距離離れた位置に第2の受信器を埋設しておき、
前記各発信器から発信される測定用音波を当該第2の受信器で受信して前記地中の測定用音波の伝播速度を測定し、
測定した伝播速度も考慮して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法。
【請求項3】
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定する方法であって、
前記削孔管の推進方向後端側に発信器を設けると共に、前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に複数の受信器を埋設しておき、
前記発信器によって前記削孔管に計測用音波を発生させ、当該削孔管を伝播してその先端から地中に発信される測定用音波を前記各受信器によって受信した後、
前記各受信器で受信した測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定することを特徴とする削孔管の先端位置測定方法。
【請求項4】
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定するシステムであって、
前記削孔管を地中に送り込んでその先端を目的位置まで推進させる削孔管推進手段と、
前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に埋設され、前記削孔管の先端方向に測定用音波を発信する複数の発信器と、
前記削孔管の推進方向後端側に設けられ、前記各発信器から発信されて当該削孔管の先端から後端側に伝播する各測定用音波を受信する受信器と、
前記受信器で受信した各測定用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定する位置測定手段と、を備えたことを特徴とする削孔管の先端位置測定システム。
【請求項5】
地中を削孔しながら推進する削孔管の先端位置を測定するシステムであって、
前記削孔管を地中に送り込んでその先端を目的位置まで推進させる削孔管推進手段と、
前記削孔管の推進方向後端側に設けられ、当該後端側から削孔管に計測用音波を与える発信器と、
前記削孔管の先端が推進する地中の所定の位置に埋設され、当該削孔管を伝播してその先端から地中に発信される前記計測用音波を受信する複数の受信器と、
前記各受信器で受信した計測用音波を解析して前記削孔管の先端位置を測定する位置測定手段と、を備えたことを特徴とする削孔管の先端位置測定システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−149757(P2011−149757A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9920(P2010−9920)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】