説明

剥離シート付きラベル

【課題】 剥離シートにおける離型層にシリコーンを含まない離型剤を用いた場合にも、ラベルにおける粘着剤層が剥離シートの離型層から適切に分離されて、ラベルが剥離シートから適切に剥離されると共に、上記の粘着剤層の被貼付物に対する接着力が低下することなく、ラベルが被貼付物に対して十分に接着されるようにする。
【解決手段】 ラベル11の少なくとも片面に設けられた粘着剤層11bにより、このラベルを剥離シート12に形成された離型層12bの上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルにおいて、上記の粘着剤層を構成する粘着剤に、ポリエステル系粘着剤を用いると共に、上記の離型層を構成する離型剤に、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルの少なくとも片面に設けられた粘着剤層により、このラベルを剥離シートに形成された離型層の上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルに関するものである。特に、剥離シートにおける離型層にシリコーンを含まない離型剤を用いた場合において、離型層に対する粘着剤層の離型性を高めて、ラベルが剥離シートから適切に剥離されるようにすると共に、上記の粘着剤層の被貼付物に対する接着力が低下するのを抑制し、ラベルが被貼付物に対して十分に接着されるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
ラベルの少なくとも片面に設けた粘着剤層により、ラベルを離型層が形成された剥離シートにおける離型層の上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルが従来から広く利用されている。そして、上記の剥離シートの離型層における離型剤としては、各種の粘着剤に対する離型性が高いシリコーン系離型剤が一般に利用されている。
【0003】
また、近年においては、ハードディスクドライブや半導体関連機器等を装着させたり、また装着されたこれらの機器を封止させたりする等の目的で、これらの機器にラベルを貼付させることが行われている。
【0004】
ここで、上記のハードディスクドライブや半導体関連機器において、その内部にシリコーンが侵入すると、これらの機器において機能障害が発生するという問題があった。この問題は、粘着剤層に剥離シートの離型層中のシリコーンの一部が付着し、このシリコーンから発生するシロキサンガスに起因すると考えられる。
【0005】
このため、特許文献1に示されるように、これらの機器の開口部を覆うように貼着させる第2の接着テープに、アクリル系でシリコーンフリーの粘着剤層を設けるようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、このようにアクリル系でシリコーンフリーの粘着剤層を設けた場合においても、上記のように剥離シートにおける離型剤にシリコーン系離型剤を用いると、ラベルを剥離シートから剥離させる際に、上記の粘着剤層にシリコーン系離型剤が部分的に付着し、このラベルをこれらの機器に貼付させた場合、粘着剤層に付着されたシリコーン系離型剤におけるシリコーンがこれらの機器の内部に侵入して、機能障害が発生するという問題があった。
【0007】
そして、近年においては、特許文献2,3に示されるように、ラベルの粘着剤層における粘着剤として、アクリル系粘着剤を用いる一方、剥離シートの離型層における離型剤として、ポリオレフィン系等の非シリコーン系離型剤を用いるようにしたものが提案されている。
【0008】
しかし、上記のようにラベルの粘着剤層における粘着剤にアクリル系粘着剤を用いると共に、剥離シートの離型層における離型剤にポリオレフィン系等の非シリコーン系離型剤を用いた場合、上記の離型層に対する粘着剤層の離型性が悪くなり、ラベルを剥離シートから剥離させることが困難になる等の問題があった。また、離型層に対する粘着剤層の離型性を高めるため、粘着剤層における接着力を弱めると、ラベルが被貼付物に対して十分に接着されなくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−209829号公報
【特許文献2】特開2005−234591号公報
【特許文献3】特開2009−74060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ラベルの少なくとも片面に設けられた粘着剤層により、このラベルを剥離シートに形成された離型層の上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルにおける上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、上記のような剥離シート付きラベルにおいて、剥離シートにおける離型層にシリコーンを含まない離型剤を用いた場合においても、離型層に対する粘着剤層の離型性を高めて、ラベルが剥離シートから適切に剥離されるようにすると共に、上記の粘着剤層の被貼付物に対する接着力が低下するのを抑制し、ラベルが被貼付物に対して十分に接着されるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、ラベルの少なくとも片面に設けられた粘着剤層により、このラベルを剥離シートに形成された離型層の上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルにおいて、上記の粘着剤層を構成する粘着剤に、ポリエステル系粘着剤を用いると共に、上記の離型層を構成する離型剤に、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いるようにした。
【0013】
ここで、上記の離型層を構成する離型剤としては、側鎖に炭素数が4以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いることがさらに好ましい。
【0014】
また、上記の粘着剤層を構成する粘着剤には、上記のポリエステル系粘着剤の他にカルボジイミドを添加させたものを用いるようにすることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明における剥離シート付きラベルのように、ラベルにおける粘着剤層を構成する粘着剤に、ポリエステル系粘着剤を用いると共に、剥離シートにおける離型層を構成する離型剤に、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いると、ラベルを剥離シートから剥離させる際に、上記の粘着剤層に上記の離型剤が部分的に付着しても、この離型剤にシリコーンが含まれないため、このラベルをハードディスクドライブや半導体関連機器に貼付させた場合に、粘着剤層に付着された離型剤に含まれるシリコーンがこれらの機器の内部に侵入して、機能障害が発生するということがなくなる。
【0016】
また、上記のポリエステル系粘着剤が一般に親水性であるのに対して、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤は疎水性であるため、両者の親和性が低くなって、離型層に対する粘着剤層の接着力が弱くなり、特に、側鎖に炭素数が4以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤の場合には、離型層に対する上記の粘着剤層の接着力が確実に弱くなり、ラベルを剥離シートから適切に剥離できるようになる。このため、ラベルにおける粘着層自体の接着力を弱くする必要がなく、ラベルを上記の機器等の被貼付物に対して十分に接着できるようになる。
【0017】
また、上記の粘着剤層を構成する粘着剤に、上記のポリエステル系粘着剤の他にカルボジイミドを添加させたものを用いると、この粘着剤層によりラベルを被貼付物に貼着した場合に、貼着されたラベルが高温・高湿度の環境下においても安定して接着されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る剥離シート付きラベルの概略断面図である。
【図2】上記の実施形態に係る剥離シート付きラベルにおいて、ラベルを剥離シートから剥離させた状態を示した概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る剥離シート付きラベルについて具体的に説明する。なお、本発明に係る剥離シート付きラベルは、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態の剥離シート付きラベルは、図1に示すように、ラベル基材11aの片面に粘着剤層11bが設けられたラベル11と、シート基材12aの片面に離型層12bが設けられた剥離シート12とで構成され、上記のラベル11における粘着剤層11bにより、このラベル11を剥離シート12における離型層12bの上に剥離可能に貼付させている。
【0021】
そして、上記のラベル11における粘着剤層11bを構成する粘着剤に、ポリエステル系粘着剤を用いる一方、剥離シート12における離型層12bを構成する離型剤に、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いるようにしている。
【0022】
ここで、上記の粘着剤層11bに用いるポリエステル系粘着剤としては、例えば、下記の化学式(1)に示されるようなものを用いることができる。
【0023】
【化1】

【0024】
ここで、上記の化学式(1)中、mは自然数であり、nは1〜6の整数である。特に、上記の長鎖アルキル系離型剤を用いた離型層12bに対する接着力を弱くして、剥離シート12に対するラベル11の剥離性を高めるためには、上記のnが1〜4の整数であるものを用いることが好ましい。
【0025】
また、ハードディスクドライブや半導体関連機器等の被貼付物に対するラベル11の接着力を高めるためには、上記のポリエステル系粘着剤にイソシアネート化合物等の架橋剤を添加させることが好ましく、さらに、高温・高湿度の環境下において、ラベル11の接着力が低下するのを抑制するためには、このポリエステル系粘着剤にさらにカルボジイミド化合物を添加させることが好ましい。
【0026】
また、上記の離型層12bに用いる側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤としては、例えば、下記の化学式(2)に示されるようなものを用いることができる。
【0027】
【化2】

【0028】
ここで、上記の化学式(2)中、y,zは自然数であって、このy,zによって主鎖となる長鎖アルキル基が構成され、xは側鎖となるアルキル基の炭素数を示し2以上の整数である。特に、上記の粘着剤層11bに用いるポリエステル系粘着剤との接着力を弱くして、剥離シート12に対するラベル11の剥離性を高めるためには、上記のxが4以上の整数で、側鎖となるアルキル基における炭素数が4以上になったものを用いることが好ましい。
【0029】
そして、本発明の実施形態に係る剥離シート付きラベルにおいては、図2に示すように、剥離シート12における離型層12bの上に粘着剤層11bによって貼付されたラベル11を剥離シート12から剥離させ、このように剥離させたラベル11を、ハードディスクドライブや半導体関連機器等の被貼付物(図示せず)に貼付させるようにしている。
【0030】
ここで、この剥離シート付きラベルにおいては、上記のようにラベル11の粘着剤層11bに用いるポリエステル系粘着剤と、剥離シート12の離型層12bに用いる側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤との接着力が弱くなっているため、ラベル11を剥離シート12から容易に剥離できるようになる。
【0031】
また、上記のようにラベル11を剥離シート12から剥離させる際に、このラベル11の粘着剤層11bに剥離シート12の離型層12bにおける離型剤の一部が付着しても、剥離シート12の離型層12bにおける離型剤にはシリコーンが含まれていないため、このように剥離させたラベル11をハードディスクドライブや半導体関連機器等の被貼付物に貼付させた場合にも、従来のように離型剤に含まれるシリコーンがこれらの機器の内部に侵入して、機能障害が発生するということもなくなる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明の実施例に係る剥離シート付きラベルと比較例の剥離シート付きラベルとを比較し、この実施例の剥離シート付きラベルにおいては、剥離シートにおける離型層を構成する離型剤にシリコーンを含まない離型剤を用いた場合おいても、ラベルが剥離シートから適切に剥離されるようになると共に、このラベルがSUS等の被貼付物に対して十分に貼付されるようになることを明らかにする。
【0033】
ここで、ラベルとしては、下記のようにして作製した5種類のラベルA1,A2,A3,B1,C1を用いるようにした。
【0034】
そして、ラベルA1,A2,A3,B1,C1においては、ラベル基材として、アルミニウム箔の両面をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで被覆したラミネート材を用い、このラベル基材の片面にそれぞれ粘着層材料を塗工し、これを乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0035】
ここで、ラベルA1においては、ポリエステル系粘着剤1である日本合成化学工業株式会社のNP−101S50E0(商品名)と、架橋剤のイソシアネート化合物である日本ポリウレタン工業株式会社のコロネートL−55E(商品名)とを100:3の重量比で混合させた粘着層材料を、上記のラベル基材の片面に乾燥後の塗工量が25g/mになるように塗布し、これを105℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0036】
また、ラベルA2においては、ポリエステル系粘着剤1である日本合成化学工業株式会社のNP−101S50E0(商品名)と、架橋剤のイソシアネート化合物である日本ポリウレタン工業株式会社のコロネートL−55Eと、添加剤のカルボジイミド化合物である日清紡ケミカル株式会社のカルボジライトV−05(商品名)とを100:3:2の重量比で混合させた粘着層材料を、上記のラベル基材の片面に乾燥後の塗工量が25g/mになるように塗布し、これを105℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0037】
また、ラベルA3においては、ポリエステル系粘着剤1である日本合成化学工業株式会社のNP−101S50E0(商品名)と、架橋剤のイソシアネート化合物である日本ポリウレタン工業株式会社のコロネートL−55E(商品名)と、添加剤のカルボジイミド化合物である日清紡ケミカル株式会社のカルボジライトV−05(商品名)とを100:3:5の重量比で混合させた粘着層材料を、上記のラベル基材の片面に乾燥後の塗工量が25g/mになるように塗布し、これを105℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0038】
また、ラベルB1においては、ポリエステル系粘着剤2である日本合成化学工業株式会社のXI−0002S50E0(商品名)と、架橋剤のイソシアネート化合物である日本ポリウレタン工業株式会社のコロネートL−55E(商品名)とを100:3.5の重量比で混合させた粘着層材料を、上記のラベル基材の片面に乾燥後の塗工量が25g/mになるように塗布し、これを105℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0039】
また、ラベルC1においては、アクリル系粘着剤である日本合成化学工業株式会社のN−2147(商品名)からなる粘着層材料を、上記のラベル基材の片面に乾燥後の塗工量が14g/mになるように塗布し、これを105℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成するようにした。
【0040】
次いで、上記のラベルA1,A2,A3,B1,C1をそれぞれSUS板に接着させ、SUSに対する30分後の接着力を、JIS Z 0237に規定される「180度引きはがし法」に準拠して測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
この結果、ポリエステル系粘着剤1,2やアクリル系粘着剤を用いたラベルA1,A2,A3,B1,C1の何れのラベルもSUSに対して十分な接着力が得られた。
【0043】
次に、上記のラベルA1,B1,C1を離型層が形成された剥離シートに貼付させて、各ラベルの剥離シートに対する剥離性能を調べる実験を行った。
【0044】
ここで、剥離シートとしては、下記のようにして作製した4種類の剥離シートa1〜a4を用いるようにした。
【0045】
剥離シートa1〜a4においては、PETのシート材の片面にそれぞれの離型剤を塗工し、これを乾燥させて離型層を形成するようにした。
【0046】
ここで、剥離シートa1においては、離型剤として、前記の化学式(2)に示されるxが1で、側鎖における炭素数が1であるポリプロピレンからなる長鎖アルキル系離型剤1を用いるようにした。
【0047】
また、剥離シートa2においては、離型剤として、前記の化学式(2)に示されるxが4で、側鎖における炭素数が4であるポリメチルペンテンからなる長鎖アルキル系離型剤2を用いるようにした。
【0048】
また、剥離シートa3においては、離型剤として、前記の化学式(2)に示されるxが18で、側鎖における炭素数が18である長鎖アルキル系離型剤3を用いるようにした。
【0049】
また、剥離シートa4においては、離型剤として、一般に使用されているシリコーン系離型剤を用いるようにした。
【0050】
そして、前記のラベルA1,B1,C1をそれぞれ剥離シートに設けられた離型層の上に貼付し、10kg/cmの圧力で10分間プレスした後、これらを温度23℃、湿度50%R.H.の環境下において1週間放置した。その後、これらを幅50mm,長さ125mmの大きさに切り取り、上記のラベルが上に位置するようにして引っ張り試験器にセットし、温度23℃、湿度50%R.H.、剥離速度300mm/分の条件で、上記のラベルを上に、剥離シートを下に、ラベルをその長さ方向に引っ張り、幅50mmのラベルを剥離シートから剥離させるのに必要な剥離力(g/50mm)を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0051】
【表2】

【0052】
この結果、ポリエステル系粘着剤1,2を用いたラベルA1,B1を、側鎖における炭素数xが2以上になった長鎖アルキル系離型剤2,3を用いた剥離シートa2,a3に貼付させた本発明の実施例に該当するものは、これらのラベルA1,B1を上記の剥離シートから剥離させる際の剥離力が、シリコーン系離型剤を用いた剥離シートa4から剥離させる際の剥離力と同程度であり、ラベルを剥離シートから剥離させる作業が簡単に行えた。
【0053】
これに対して、ポリエステル系粘着剤1を用いたラベルA1を、側鎖における炭素数xが1になった長鎖アルキル系離型剤1を用いた剥離シートa1に貼付させた場合や、側鎖における炭素数xが2以上になった長鎖アルキル系離型剤2,3を用いた剥離シートa2,a3であってもアクリル系粘着剤を用いたラベルC1を貼付させた場合には、これらのラベルA1,C1を上記の剥離シートa2,a3から剥離させる際の剥離力が、シリコーン系離型剤を用いた剥離シートa4から剥離させる際の剥離力よりも非常に大きくなり、ラベルを剥離シートから剥離させる作業が困難になった。
【0054】
また、上記のポリエステル系粘着剤1を用いたラベルA1における粘着層材料に、さらにカルボジイミド化合物を添加させた粘着層材料を用いたラベルA2,A3についても、上記の場合と同様にして、側鎖における炭素数xが18になった長鎖アルキル系離型剤3を用いた剥離シートa3に貼付させて、これらのラベルA2,A3を剥離シートから剥離させるのに必要な剥離力(g/50mm)を測定し、その結果を下記の表3に示した。
【0055】
【表3】

【0056】
この結果、ポリエステル系粘着剤1を用いたラベルA1における粘着層材料に、さらにカルボジイミド化合物を添加させた粘着層材料を用いたラベルA2,A3においても、側鎖における炭素数xが2以上になった長鎖アルキル系離型剤3を用いた剥離シートa3に貼付させた場合、これらのラベルA2,A3を上記の剥離シートa3から剥離させる際の剥離力が、上記のラベルA1を用いた場合と同程度であり、ラベルを剥離シートから剥離させる作業が簡単に行えた。
【0057】
また、上記のラベルA1〜A3をそれぞれ前記のようにSUS板に接着させた後、これらを温度80℃、湿度85%R.H.の恒温槽内に保管し、11日後、24日後、31日後、43日後において、それぞれラベルA1〜A3におけるSUSに対する接着力を、JIS Z 0237に規定される「180度引きはがし法」に準拠して、温度23℃、湿度50%R.H.、剥離速度300mm/分の条件で測定し、その結果を下記の表4に示した。
【0058】
【表4】

【0059】
この結果、ポリエステル系粘着剤1を用いたラベルA1における粘着層材料に、さらにカルボジイミド化合物を添加させた粘着層材料を用いたラベルA2,A3は、カルボジイミド化合物を添加させていないラベルA1に比べて、温度80℃、湿度85%R.H.の高温・高湿度の環境下において、長期にわたってSUSに対して安定した接着力が得られた。
【符号の説明】
【0060】
11 ラベル
11a ラベル基材
11b 粘着剤層
12 剥離シート
12a シート基材
12b 離型層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルの少なくとも片面に設けられた粘着剤層により、このラベルを剥離シートに形成された離型層の上に剥離可能に貼付させた剥離シート付きラベルにおいて、上記の粘着剤層を構成する粘着剤に、ポリエステル系粘着剤を用いると共に、上記の離型層を構成する離型剤に、側鎖に炭素数が2以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いたことを特徴とする剥離シート付きラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の剥離シート付きラベルにおいて、上記の離型層を構成する離型剤に、側鎖に炭素数が4以上のアルキル基を有する長鎖アルキル系の非シリコーン系離型剤を用いたことを特徴とする剥離シート付きラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の剥離シート付きラベルにおいて、上記の粘着剤層を構成する粘着剤に、上記のポリエステル系粘着剤の他にカルボジイミド化合物を添加させたものを用いたことを特徴とする剥離シート付きラベル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−150214(P2011−150214A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12831(P2010−12831)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】