説明

創傷閉鎖材料

配向をまったく有さないか、または多方向配向を有する物品が提供される。そのような物品は、フィルム、リボン、シート、および/またはテープの形態とすることができ、外科用ステープリング器具を伴ったバットレス、または縫合線のための補強手段として利用することができる。本開示の態様によれば、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマー材料を得るステップと、このポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップと、この物品を回収するステップとを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年3月6日に出願された、米国仮特許出願第60/905,503号の利益およびこの仮特許出願に対する優先権を主張する。この仮特許出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
技術分野
本開示は、テープ、リボン、シート、および/またはフィルム形態でのポリマー材料の物品に関する。これらのポリマー材料は、配向をまったく有さないか、または多方向配向を有するように形成することができ、これにより、多方向の力がこれらのポリマー材料に加えられるとき、これらの完全性を増強することができる。本開示のポリマー材料は、実施形態では、外科用バットレスまたはステープル線もしくは縫合線用の補強テープとしての用途を含めて、多数の用途において利用することができる。
【背景技術】
【0003】
関連技術の背景
ポリマー材料製のフィルム、リボン、シート、テープなどは、当業者の認識範囲内である。そのような材料は、ポリマー材料を融解し、ダイを通してこの材料を押し出し、次いで得られる材料を冷却することによって作製することができる。このプロセスは、フィラメントまたはフィルムを形成するのに利用される方法に非常に類似する場合がある。得られる材料は、加熱された炉または様々な形態での同様の手段と連結した、一連の延伸ステーション(draw station)を通じて様々な延伸比で引き続いて延伸することができる。このプロセスは、連結しても切り離してもよい。フィルム、リボン、シート、テープなどの形態とすることができる、得られる延伸された材料は、通常、単一方向に高度に配向しており、すなわち、これは、その長さの直線的下方(これが延伸された方向)に単方向配向を有する。
【0004】
これらの材料の直線引張張力特性は、その配向と同じ方向で通常測定される。したがって、そのような材料は、引張力がその材料の長さに沿って加えられるとき、大きな強さを有することができる。この単方向配向は、ある特定の用途、例えば、類似の押出し、回転、および延伸方法が、縫合糸、フィラメントなどの繊維を作製するために利用される場合、望ましい場合があるが、テープ、リボン、シート、フィルムなどを作製するためのそのような方法は、望ましくない場合がある。これは、材料の単方向配向に垂直な力が加わる場合、特に望ましくないことがあり、これは、ポリマー材料中に穴、裂け目、または切れ目をもたらす結果となり得る。場合によっては、これらの裂け目は、わずかな力を加えると発生する場合があり、これは望ましくないことになり得る。
【0005】
外科用ステープリングデバイスには、体組織が接合され、または取り除かれる外科手術において広範囲な用途が見つかっている。バットレスは、創傷密閉を増強するためのステープリングデバイスまたは縫合糸と併せて使用することができるが、上述した単方向配向を有する材料は、わずかな力を加えるとひびが入り、または裂ける場合がある。さらに、これらの材料が、ステープルまたは針によって穴を開けられると、伝搬性の裂け目が単方向配向に平行に形成する場合があり、ポリマーの配向に垂直に力が加わると、早すぎる材料破壊に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、創傷密閉を増強するために、現存する創傷閉鎖方法とともに使用するための材料を提供することは有利となるであろう。そのような材料は、外科用ステープリングデバイス、ならびに縫合糸および他の創傷閉鎖方法と併せて利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本開示の態様によれば、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマー材料を得るステップと、このポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップと、この物品を回収するステップとを含む方法が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、コポリマーであって、コポリマーの約60重量%から約75重量%の量のグリコリド、およびコポリマーの約25重量%から約40重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、コポリマーであって、コポリマーの約55重量%から約65重量%の量のグリコリド、コポリマーの約10重量%から約18重量%の量のジオキサノン、およびコポリマーの約17重量%から約35重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、コポリマーであって、コポリマーの約14重量%から約20重量%の量のカプロラクトン、コポリマーの約4重量%から約10重量%の量のラクチド、コポリマーの約4重量%から約10重量%の量のトリメチレンカーボネート、およびコポリマーの約60重量%から約78重量%の量のグリコリドを含むコポリマーを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を物品に形成するステップは、リボン、テープ、シート、およびフィルムからなる群から選択される物品を形成するステップを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップにより、配向をまったく有さない物品がもたらされる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップにより、多方向配向を有する物品がもたらされる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップは、圧縮ローラー(compression roller)法、成形ローラー(contoured roller)法、熱プレス法、インフレーションフィルム法、およびこれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによって行われる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップは、ポリマー材料を、約95℃から約230℃の温度、および約1psiから約2500psiの圧力に、約5秒間から約10分間曝すことによって行われる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップは、約290°Fから約355°Fの温度に加熱された樽形容器中にポリマー材料を導入し、約1インチから約1.5インチの直径を有するダイを通じてこのポリマー材料を押し出すことによって管状フィルムを作製し、この管状フィルムを約2インチから約4インチの直径に拡大し、この管状フィルムを平らにすることによって、約0.001インチから約0.014インチの厚さを有するフィルムを作製することによって行われる。
【0017】
いくつかの実施形態では、この方法は、物品の少なくとも1つの表面上にテクスチャーを形成するステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、物品は、約0.0005インチから約0.014インチの厚さを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、物品は、約0.002インチから約0.005インチの厚さを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、外科用ステープルバットレスを作製するための方法が開示される。
【0021】
いくつかの実施形態では、縫合線補強ストリップを作製するための方法が開示される。
【0022】
一実施形態では、少なくとも1つのステープルを含むステープルカートリッジと、ステープル形成表面を有するアンビルと、アンビルまたはカートリッジに隣接して配置されたバットレスとを含み、このバットレスは、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマー材料を得るステップと、このポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップと、この物品を回収するステップとを含む方法によって作製された物品を含む、外科用ステープリング器具が提供される。
【0023】
一実施形態では、創傷を密閉する方法であって、外科用ステープリング器具のカートリッジとアンビルの間の組織を封鎖するステップであって、このカートリッジまたはアンビルのうちの1つは、これらに隣接して配置されたバットレスを有し、このバットレスは、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマー材料を得るステップと、このポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップと、この物品を回収するステップとを含む方法によって作製された物品を含むステップと、カートリッジからステープルを射出することによってバットレスを組織に固定するステップとを含む方法が提供される。
【0024】
単一方向に配向を有さない、すなわち、配向をまったく有さないか、または多方向配向を有することができるポリマー物品が提供される。このポリマー物品は、外科用ステープリング器具または同様の創傷閉鎖デバイスとともに使用することによって、体液およびガスの漏出を防止するために組織を密閉するのを補助するのに適することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
テープ、リボン、シート、フィルムなどの形態でのポリマー物品は、単一方向に高度に配向していない、すなわち、配向をまったく有さないか、または多方向配向を有することができる材料製の本開示物によって提供される。材料が多方向配向を有する場合、この材料は、異なる方向、実施形態では垂直な方向にいくつかの配向を伴った状態で、一方向により多く配向することができ、またはこの材料は、全方向性配向を有する、すなわち、すべての方向に配向されていることができる。実施形態では、ポリマー材料は、創傷閉鎖を増強するためのステープラーおよび縫合糸などの創傷閉鎖デバイスとともに使用するための、バットレスまたは同様の材料を形成するために利用することができる。
【0026】
ポリマーのテープ、リボン、シート、およびフィルムを形成するのに使用するための適当な材料として、任意の生体適合性材料を挙げることができる。したがって、ポリマー物品は、天然材料または合成材料から形成することができる。このポリマー物品は、生体吸収性であっても、非生体吸収性であってもよい。もちろん、天然、合成、生体吸収性および/または非生体吸収性材料の任意の組合せを使用することができることが理解されるべきである。本開示の物品を形成するのに使用することができる材料のいくつかの非限定例として、それだけに限らないが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組合せが挙げられる。
【0027】
実施形態では、テープ、リボン、シート、フィルムなどの本開示の物品を形成するのに利用することができる適当な材料として、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、および前述の様々な組合せを有するホモポリマー、コポリマー、および/またはブレンドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、グリコリドとトリメチレンカーボネートのコポリマーを利用することができる。そのようなコポリマーを形成するための方法は、当業者の認識範囲内であり、例えば、その開示全体が本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第4,300,565号に開示された方法を含む。グリコリドとトリメチレンカーボネートの適当なコポリマーは、コポリマーの約60重量%から約75重量%、実施形態では、コポリマーの約65重量%から約70重量%の量でグリコリドを有することができ、トリメチレンカーボネートは、コポリマーの約25重量%から約40重量%、実施形態では、コポリマーの約30重量%から約35重量%の量で存在する。
【0028】
本開示の物品を形成するための、他の適当な材料には、実施形態では、グリコリド、ジオキサノンおよびトリメチレンカーボネートのコポリマーが含まれる。そのような材料として、例えば、コポリマーの約55重量%から約65重量%、実施形態では、コポリマーの約58重量%から約62重量%、いくつかの実施形態では、コポリマーの約60重量%の量のグリコリド、コポリマーの約10重量%から約18重量%、実施形態では、コポリマーの約12重量%から約16重量%、いくつかの実施形態では、コポリマーの約14重量%の量のジオキサノン、およびコポリマーの約17重量%から約35重量%、実施形態では、コポリマーの約22重量%から約30重量%、いくつかの実施形態では、コポリマーの約26重量%の量のトリメチレンカーボネートを有するコポリマーを挙げることができる。
【0029】
他の実施形態では、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネートおよびε−カプロラクトンのコポリマーを利用することによって、本開示の物品を形成することができる。そのような材料として、例えば、コポリマーの約14重量%から約20重量%、実施形態では、コポリマーの約16重量%から約18重量%、いくつかの実施形態では、コポリマーの約17重量%の量のカプロラクトン、コポリマーの約4重量%から約10重量%、実施形態では、コポリマーの約6重量%から約8重量%、いくつかの実施形態では、コポリマーの約7重量%の量のラクチド、コポリマーの約4重量%から約10重量%、実施形態では、コポリマーの約6重量%から約8重量%、実施形態では、コポリマーの約7重量%の量のトリメチレンカーボネート、およびコポリマーの約60重量%から約78重量%、実施形態では、コポリマーの約66重量%から約72重量%、実施形態では、コポリマーの約69重量%の量のグリコリドを有するランダムコポリマーを挙げることができる。
【0030】
そのようなコポリマーを形成するための方法は、当業者の認識範囲内である。実施形態では、個々のモノマーは、ジエチレングリコールなどの開始剤、および第一スズオクトエートなどの触媒の存在下で混合することができる。材料は、約4時間から約8時間、実施形態では、約5時間から約7時間、他の実施形態では約6時間の適当な時間混合することができる。場合によっては、混合物は、窒素ガス下などの不活性雰囲気下で維持することができる。次いでこの混合物は、約80℃から約120℃、実施形態では、約90℃から約110℃、場合によっては約100℃の温度に、約5分から約30分、実施形態では、約10分から約20分、他の実施形態では約15分の適当な時間加熱することができる。次いでこの反応混合物は、約130℃から約170℃、実施形態では約140℃から約160℃、実施形態では約150℃の温度に、約5分から約30分、実施形態では、約10分から約20分、他の実施形態では約15分の適当な時間加熱することができる。次いでこの混合物は、約170℃から約190℃、実施形態では約180℃の温度に加熱し、約14から約24時間、実施形態では、約16から約20時間、いくつかの実施形態では、約18時間の期間重合させることができる。
【0031】
ポリマー材料が得られたら、これらの材料からリボン、テープ、シート、および/またはフィルムなどの物品を形成するための方法には、それだけに限らないが、圧縮ローラーの使用、成形ローラーの使用、熱プレス、インフレーションフィルム法、これらの組合せなどが含まれる。
【0032】
圧縮ローラーシステムでは、ポリマーは、融解され、適当な厚さのダイから押し出される。ポリマー融解物が押出機のダイを出る際、これは、互いに向かい合う2つのローラーを通して搬送することができ、これらのローラーは、互いに、およびその間を通過する任意のフィルムを十分な圧力で押圧することによって、材料を圧縮して所望の厚さにする。これらのローラーは、ともに冷却し、ともに加熱し、または一方を冷却し、一方を加熱することができる。当業者の認識範囲内である任意の方法を、ローラーを加熱および/または冷却するのに利用することができる。そのような方法には、例えば、誘導、ジャケット、空気加熱、空気冷却、オーブンまたは冷蔵室に入れるなどが含まれる。ポリマー融解物内の単方向配向を低減するために、圧縮ローラーを、材料を進めてシステムに通すために使用される収集ローラーとほぼ同じ、すなわち同じに近い速度で回転させ、ダイを出る材料の押出速度を整合させることができる。圧縮ローラーシステムを通過した後、得られる物品は、テープ、リボン、シート、フィルム、または同様の形態とすることができる。
【0033】
他の実施形態では、成形ローラーを圧縮ローラーの代わりに利用することによって、本開示の物品を形成することができる。現行の延伸ステーションローラーは円筒形であり、押出機を出る、回転延伸される(spun−drawn)ポリマー材料を一方向に延伸し、生じるフィルムの単方向配向に至る場合がある。延伸ステーションの間に、横方向に向いた非円筒形(例えば、球状、フットボール形、楕円形)ローラーを使用することにより、フィルムが延伸プロセスを通じて移動する際に、このフィルムを横方向に伸ばすことができ、したがって生じるフィルムの縦方向と横方向の両方の配向がもたらされる。多方向の延伸および得られる多方向配向により、得られる材料中での破損面の形成を最小限にし、または回避することができる。
【0034】
さらに他の実施形態では、フィルムを含めた本開示の物品は、場合により本明細書では加熱液圧プレス機と呼ばれる熱プレス機を利用して形成することができる。適当な熱プレス機は市販されており、例えば、Greenerd Press and Machine Co.,Inc.(Nashua、NH)からのモデル#HPB−10プレス機を含む。ポリマー材料は、プレス機内に配置されるとき、ペレット、プリフォームドシートなどを含めた任意の形態とすることができる。プレス機は、約95℃から約230℃、実施形態では、約130℃から約225℃の温度に加熱することができる。ポリマー材料がペレット形態である場合、このペレットは、融解させ、プレス機のプレート全体にわたって広げることができる。適当な圧力をこのポリマー融解物に加えることによって、所望の厚さを有する、本開示による物品を形成することができる。適当な圧力は、1平方インチ当たり約1ポンド(psi)から約2500psi、実施形態では約10psiから約100psiとすることができる。ポリマー材料は、本開示の物品を形成するのに十分な時間、実施形態では、約5秒から約10分、他の実施形態では、約15秒から約3分間この熱および温度に曝すことができる。本明細書に説明されたように、熱プレス機を利用してポリマー材料のペレットから形成される物品は、多方向配向を有し、したがってそのように形成されたフィルム中の破損面を排除することができる。
【0035】
他の実施形態では、熱プレス機を利用することによって、プリフォームドシートからフィルムを形成することができる。例えば、ポリマーは、汎用押出機からスリットダイを通して押し出すことができる。スリットの厚さは、約0.1ミリメートルから約25.4ミリメートルまで変更することができ、いくつかの実施形態では約0.5ミリメートルである。得られるテープ様材料は、外科用ステープラーまたは縫合線用の支持材料を伴った、バットレス材料としての使用を含めたある特定の用途に対して厚すぎる場合がある。したがって得られるテープは、上述した加熱液圧プレス機のプレート上に配置し、約95℃から約230℃、実施形態では、約108℃から約115℃の温度に加熱することができる。次いで、約25psiから約2000psi、実施形態では、約50psiから約100psiの圧力をかけることができる。押し出されたシートは、実施形態では、ペレットから形成されるフィルムより低い結晶化度を有し、したがって、シートから適当なフィルムを形成するのにより少ない熱および圧力で済む場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、シムまたは同様のスペーサーデバイスを熱プレス機のプレート上に配置することによって、フィルムなどの得られる物品が所望の厚さを有することを保証することができる。さらに、例えば、ステープルバットレスまたは縫合補強線(sature reinforcing line)のような所望の最終プロダクトの一般的な形態を有する、熱プレス機内のダイを利用することが望ましい場合がある。ポリマーがこの熱プレス機で処理された後、得られる物品は、所望の最終プロダクトの形態を有することができ、したがって、あるとしても非常にわずかな追加の処理で済む。
【0037】
さらに他の実施形態では、インフレーションフィルム法を利用することによって、本開示の物品を形成することができる。ポリマーは、スクリュー/樽形容器構造と、ポリマーを融解させるのを補助するための外部加熱素子を装着したジャケットとを含む押出機中に導入することができる。当業者に容易に理解されるように、樽形容器を加熱することができる温度は、利用されるポリマーに応じて変更することができる。実施形態では、樽形容器は、約150℃から約270℃、実施形態では、約185℃から約250℃の温度に加熱することができる。他の実施形態では、樽形容器の異なる範囲または区域を、異なる温度に加熱することができる。
【0038】
ポリマーは、融解させ、スクリューによってダイに移すことができ、そこから、ポリマーは、円形のスリットを通じて押し出されることによって、初期直径Dを有する管状フィルムが形成される。この管状フィルムは、圧縮空気または窒素などの圧縮ガスによって膨張させることができ、この空気またはガスは、ダイの入口を通じてシステムに入り、管状フィルム内部に入り、この環状フィルムの直径を直径Dに膨らませる効果を有する。いくつかの実施形態では、Dは、約1インチから約2インチ、いくつかの実施形態では、約1.25インチから約1.75インチとすることができ、Dは、約2インチから約6インチ、いくつかの実施形態では、約3インチから約5インチとすることができる。エアーリングなどの手段も、押し出された管状フィルムの外部周囲に空気を向けるために提供し、その結果、管を急速かつ有効に冷却し、安定化させることができる。いくつかの実施形態では、加熱もしくは冷却マンドレル、または同様のデバイスを使用することによって、管状フィルムを加熱/冷却することができ、これは、結晶化速度を制御するために使用することができる。フィルムが完全に冷却および硬化する短い距離の後、フィルムは、従動ニップローラー(driven nip roller)システムによってつぶされ、これにより材料が平らにされて二重厚さのフィルムのシートになり、これは、実施形態ではフィルムの2枚のシートに分離される。次いでこのフィルムのシートは、切断または同様に処理することによって所望の寸法を有するフィルムを形成することができる。約0.001インチから約0.014インチ、実施形態では、約0.002インチから約0.005インチの厚さを有するものを含めて、様々な厚さのフィルムを作製することができる。
【0039】
実施形態では、得られるフィルムは、窒素などのガス下で、約12時間から約24時間、実施形態では、約14時間から約22時間、実施形態では約18時間の期間、アニーリングプロセス開始での約40±5℃から、アニーリングプロセスの最後の約6時間の約125±5℃の温度でアニールすることによって、バットレスとして使用するのに適当となり得るフィルムを提供することができる。上記アニーリング処理の後、このフィルムは、室温、実施形態では、約21±5℃に、約1時間から約10時間、実施形態では、約2時間から約8時間の期間冷却することができる。上記加熱および冷却は、利用されるポリマーに応じて変更することができる。例えば、上記アニーリング処理は、実施形態では、グリコリド、ジオキサノン、およびトリメチレンカーボネートのコポリマーを含めたコポリマー、ならびにグリコール酸とトリメチレンカーボネートのコポリマーを含めたコポリマー製のフィルムに対して適当となり得る。
【0040】
しかし、他の材料は、他の処理にかけることができる。例えば、グリコリド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、およびラクチドのコポリマーを含むフィルムは、約40±5℃から約90±5℃の温度で、約9時間から約12時間、実施形態では、約9.25時間から約11時間の期間、加熱の最後の8時間に対して約90±5℃の温度を用いて加熱することによってアニールすることができる。上記アニーリング処理の後、このフィルムは、室温、実施形態では、約21±5℃に、約4時間から約8時間の期間冷却することができる。
【0041】
実施形態では、テクスチャー表面を有する、本開示の物品を提供することが望ましい場合がある。例えば、上述した加熱液圧プレス機のプレートは、テクスチャーを有することができ、これは、次に加熱液圧プレス機で作製されるフィルムなどの物品にテクスチャー表面をもたらす。他の実施形態では、メッシュなどのテクスチャー形態を有する別の材料をプレートの表面上に配置することができ、ポリマーは、加熱液圧プレス機で押圧することができ、その結果、メッシュの存在により、得られる物品にテクスチャー表面が付与される。他の実施形態では、上述したローラーは、同様にテクスチャーを持たせることによって、本開示の物品にテクスチャー表面を付与することができる。いくつかの実施形態では、別のエンボスローラー、プレート、または同様のデバイスを利用することによって、本開示の物品の表面にテクスチャーを提供することができる。そのようなテクスチャーは、物品が既に形成された後に、テクスチャーを加えるための手段を有するプレス機内にこの形成された物品を配置し、またはそのようなテクスチャーを有するローラー上にこの物品を通過させることによって施すことができる。他の実施形態では、物品は、物品自体の形成中にテクスチャーがこの物品に付与される方法を利用して形成することができる。したがって、例えば、テクスチャー表面を伴ったプラテンを有する熱プレス機を利用することによって、テープ、リボン、シート、またはフィルムを作製し、単一ステップで前記物品にテクスチャー表面を提供することができる。単一ステップを使用して物品を形成し、その表面にテクスチャーを提供することは、状況によっては望ましい場合がある。
【0042】
このように作製された、テクスチャー表面を有する物品は、摩擦係数の増大ならびに物品表面の一般的外観の改善を含めた、望ましい物理的性質を有することができる。適当なテクスチャーパターンには、それだけに限らないが、ランダムな方向の線または他の幾何学的形状、単語、絵、ロゴ、商標、これらの組合せなどが含まれる。
【0043】
本開示によって形成されるフィルム、リボン、テープ、シート、バットレスなどは、その上に形成された任意のテクスチャーを含めて、約0.0005インチから約0.014インチ、実施形態では、約0.002インチから約0.005インチの厚さを有することができる。
【0044】
上述したように、実施形態では、得られるリボン、テープ、シート、および/またはフィルムは、創傷閉鎖に利用されるステープリングデバイス用のバットレス材料として利用することができる。同様に、得られるリボン、テープ、シート、および/またはフィルムは、縫合線の上に配置され、接着剤を含めた当業者の認識範囲内の手段を利用してそこに貼られることによって、またはリボン、テープ、シート、および/またはフィルムを創傷に隣接した組織に直接縫合し、したがってリボン、テープ、シート、および/またはフィルムが縫合によって創傷の上の位置に保持されることによって、縫合線のための補強剤として利用することができる。
【0045】
本開示の物品は、多方向に配向しており、または配向をまったく有さないので、物品の破損面および配向の方向性は、排除または低減される。得られる物品は、ステープル線補強または縫合線補強としての使用を含めて、多数の用途に適している。これらの材料の多方向配向により、得られるフィルム、リボン、シート、および/またはテープの裂け目の耐性が改善されるが、これは、この材料が、単方向配向を有するテープで形成され得る伝搬性の裂け目を形成することに対する潜在性を有さないためである。
【0046】
例えば、本開示のフィルム、リボン、シート、および/またはテープは、縫合線を補強し、創傷密閉を増強するために、任意の縫合に使用することができる。さらに、本開示のフィルム、リボン、シート、および/またはテープは、外科手術手順において利用される任意のステープラーを伴ったバットレスとして使用することができる。そのようなステープラーとして、吻合手順において利用されるものを含めた、線状ステープラー、環状または輪状ステープラーなどが挙げられる。利用することができる適当なステープラーの例には、例えば、そのそれぞれの開示全体が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第3,490,675号、ならびに米国特許出願公開第2006/0085034号、同第2006/0135992号、および同第2005/0245965号に開示されているものが含まれる。
【0047】
本明細書に記載される物品で形成されたバットレスとともに利用することができるステープリング器具の他の例には、腹腔鏡下用ステープラー(例えば、そのそれぞれの開示全体が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第6,330,965号、および同第6,241,139号を参照されたい)、患者の腸間膜をステープルするための横断吻合タイプの代替ステープリング器具(例えば、その開示全体が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第5,964,394号を参照されたい)、ならびに輪状カートリッジおよびアンビル腸間膜(anvil mesentery)を用いた外科吻合ステープリングを実施するための端々吻合タイプ(その開示全体が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第5,915,616号を参照されたい)が含まれる。本開示の物品で形成されるバットレスとともに利用することができる、内視鏡下および/または腹腔鏡下外科用ステープリングデバイスの他の例は、例えば、そのそれぞれの開示全体が、本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第5,040,715号(Greenら)、米国特許第5,307,976号(Olsonら)、米国特許第5,312,023号(Greenら);米国特許第5,318,221号(Greenら)、米国特許第5,326,013号(Greenら);米国特許第5,332,142号(Robinsonら)、および米国特許第6,241,139号(Millimanら)に開示されている。本開示の物品で形成されるバットレスとともに利用することができる市販のステープラーには、それだけに限らないが、Multifire ENDO GIA(商標)30およびMultifire ENDO GIA(商標)60機器の名称でTyco Healthcare Group,LPから入手可能なものが含まれる。
【0048】
本開示の物品で形成されるバットレスは、二部ファスナー(two−part fastener)を利用する機器とともに使用することができ、この二部ファスナーの第一部は、カートリッジまたはカートリッジ状部材中に格納され、アンビルまたはアンビル状部材中に配置された、二部ファスナーの第二部に発射し、適切に連結することができる。本開示を読んだ当業者は、そのような器具とともに使用するために本バットレスを適合させるための方法を容易に想定し、本明細書に記載されるバットレスが使用できる他の外科用器具も想定するであろう。
【0049】
最小限でも、本明細書に記載されるバットレスを利用する外科用ステープリング器具は、少なくとも1個のステープルを含むステープルカートリッジ、ステープル形成表面を有するアンビル、およびアンビルまたはカートリッジに隣接して配置された本開示のバットレスを有することができる。そのような器具を用いて創傷を閉鎖するための方法は、当業者の認識範囲内であり、実施形態では、外科用ステープリング器具のカートリッジとアンビルの間の組織を最初に封鎖するステップを含むことができる。本開示のバットレスは、カートリッジ、アンビル、またはその両方に隣接して配置することができる。次いでステープルをカートリッジから射出することによってバットレスを組織に固定することができる。
【0050】
外科用ステープラーとともに利用される場合、バットレス材料は、ステープリングプロセスの前および間、バットレスをカートリッジおよび/またはアンビルと接触させて保持する一方で、外科用ステープルまたは他の締結用デバイスによるバットレスの貫通後に、カートリッジおよび/またはアンビルからバットレスが取り外される、または解放されることを可能にすることができる任意の様式で、ステープラーのカートリッジおよび/またはアンビル構成部分に解放可能に取り付けることができることが想定される。例えば、バットレスは、接着剤、シーラント、糊、ピン、鋲、タブ、クランプ、チャネル、ストラップ、突起およびこれらの組合せを使用して、カートリッジおよび/またはアンビルに取り付けることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生物活性剤を、本開示のリボン、テープ、シート、および/またはフィルム製のバットレス材料または縫合補強材料と組み合わせることができる。これらの実施形態では、本開示の物品は、生物活性剤送達用のビヒクルとして機能することもできる。本明細書で使用される場合、用語「生物活性剤」は、その最も広い意味で使用され、臨床用途を有する任意の物質または物質の混合物を含む。したがって、生物活性剤は、それ自体薬理学的活性を有しても有さなくてもよく、例えば、色素、芳香剤、もしくはシーラントであることもできる。あるいは、生物活性剤は、治療または予防効果を提供する任意の作用剤、組織成長、細胞増殖、細胞分化に影響または関与する化合物、抗接着化合物、密閉し、または接着力を提供する化合物、免疫応答などの生物作用を生じさせることができ、または1つもしくは複数の生物学的プロセスにおいて任意の他の役割を果たすことができる化合物とすることができる。生物活性剤は、物質の任意の適当な形態、例えば、フィルム、粉末、液体、ゲルなどで、本開示のリボン、テープ、シート、および/またはフィルムに適用することができることが想定される。
【0052】
本開示によって利用することができる生物活性剤のクラスの例として、抗接着剤、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、心血管薬、診断薬、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン剤、鎮痙剤、ホルモン、成長因子、筋弛緩剤、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、抗悪性腫瘍薬、免疫原剤、免疫抑制剤、胃腸剤、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖、多糖類、および酵素が挙げられる。生物活性剤の組合せを使用することができることも意図されている。
【0053】
抗接着剤は、本開示の物品と、標的組織と異なる周囲組織との間で接着が形成されるのを防止するのに使用することができる。さらに、抗接着剤は、本開示の物品と、任意の包装材料との間で接着が形成されるのを防止するのに使用することができる。こうした作用剤のいくつかの例として、それだけに限らないが、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0054】
本開示の物品に、生物活性剤として含めることができる適当な抗菌剤として、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても知られるトリクロサン、クロルヘキシジンならびに酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、および硫酸クロルヘキシジンを含めたその塩、銀ならびに酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質、および銀スルファジアジンを含めたその塩、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド、例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシンなど、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシンなど、ペニシリン、例えば、オキサシリンおよびピプラシルなど、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにこれらの組合せが挙げられる。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリンBなどの抗菌タンパク質および抗菌ペプチドを、本開示の物品に生物活性剤として含めることができる。
【0055】
本開示の物品に生物活性剤として含めることができる他の生物活性剤として、局所麻酔剤;非ステロイド性避妊薬;副交感神経様作用薬;精神治療薬;精神安定剤;うっ血除去薬;催眠鎮静薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用薬;ワクチン;ビタミン;抗マラリア剤;抗片頭痛薬;抗有糸分裂薬;レボドーパなどの抗パーキンソン病薬;鎮痙剤;抗コリン剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張剤;冠血管拡張剤およびニトログリセリンなどの心血管薬;アルカロイド;鎮痛剤;麻薬、例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど;非麻薬、例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど;ナルトレキソンおよびナロキソンなどのオピオイド受容体アンタゴニスト;抗癌剤;テロメラーゼ阻害剤;抗痙攣薬;制吐薬;抗ヒスタミン剤;抗炎症剤、例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど;プロスタグランジンおよび細胞毒性薬;エストロゲン;抗菌薬;抗生物質;抗真菌薬;抗ウイルス剤;抗凝固剤;抗増殖剤;抗血管新生薬;高分子薬;ホスホリルコリンおよび/またはフラノンを有するポリマーを含めた生物活性機能性ポリマー;抗痙攣薬;抗うつ剤;抗ヒスタミン剤;ならびに免疫剤(immunological agent)が挙げられる。
【0056】
本開示の物品に含めることができる適当な生物活性剤の他の例として、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、これらの類似体、突然変異タンパク質、および活性断片、例えば、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子(blood clotting factor)、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、(α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍薬および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモン類似体(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘤抗原、細菌性抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子(blood coagulation factor);成長因子(例えば、神経成長因子、インスリン様成長因子);タンパク質阻害剤、タンパク質アンタゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸、例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNAなど;オリゴヌクレオチド;生物学的複合体;金属イオン錯体;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムなどが挙げられる。
【0057】
上述したように、実施形態では、任意の前述の生物活性剤の組合せを、本開示のフィルムに添加することができる。
【0058】
本開示の物品に含めることができる他の生物活性剤には、化学療法剤が含まれ、これはさらには、放射線治療薬を含むことができる。任意のそのような化学療法剤および/または放射線治療薬を、本開示の物品中に含めることができる。そのような化学療法剤の例として、それだけに限らないが、放射性同位元素、例えば、ヨウ素125、パラジウム103、イリジウム192、セシウム131、金198、イットリウム90およびリン32、これらの組合せなどが挙げられる。
【0059】
実施形態では、放射性同位体(isotype)は、シードとしての本開示のフィルムに適用することができ、したがってこのフィルムは近接照射療法に利用される。
【0060】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために提出されている。これらの実施例は、例示的なものとしてのみ意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていない。また、部およびパーセンテージは、別段の指定のない限り、重量によるものである。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
約60重量%のグリコリド、約14重量%のジオキサノン、および約26重量%のトリメチレンカーボネートを含んだポリマーからフィルムを作製した。ポリマーペレットを加熱液圧プレス機(Carver Laboratory Press、Model 2626)内に置いた。このプレス機を約125℃から約165℃の温度に加熱した。得られるフィルムの厚さを制御するためのスチールシムとともに、このペレットをテフロン(登録商標)コートスチールプレートの中央に置いた。このペレットを融解させ、プレート全体にわたって散布させ、約100psi未満の圧力をこのポリマー融解物にかけた。装置全体を、プレートを通して水を流すことによってクラッシュ冷却した(crash cooled)。約0.002インチから約0.012インチの厚さを有するフィルムを得た。このフィルムは多方向配向を有していた。
【0062】
(実施例2)
約17重量%のカプロラクトン、約7重量%のラクチド、約7重量%のトリメチレンカーボネートおよび約69重量%のグリコリドを有するランダムコポリマーを利用することによってフィルムを作製した。このコポリマーを、3/4インチの汎用押出機からスリットダイを通して押し出した。厚いテープを作製した。所望の厚さを有するフィルムを作製するための適切なシムとともに、得られたテープを実施例1で上述した液圧熱プレス機内のテフロン(登録商標)コートスチールプレート上に置いた。この熱プレス機を、約105℃から約120℃の温度に加熱し、約100psi未満の圧力をかけた。ペレットを利用して実施例1で作製したフィルムと同様に、この方法によって作製されたフィルムは、約0.002インチから0.012インチの厚さを有していた。押し出したフィルムは、実施例1のペレットより低い程度の結晶構造を有していたので、より低温を使用することによって、ポリマー流動を生じさせることができた。このフィルムは多方向配向を有していた。
【0063】
(実施例3)
インフレーションフィルム法を使用して、実施例2で上述したポリマーを用いてフィルムを作製した。スクリュー/樽形容器構造と、外部加熱素子を装着したジャケットとを有する押出機(Randcastle Extrusion System、Inc.、Cedar Grove、New Jersey)中にポリマーペレットを導入した。この樽形容器は、3つの異なる温度で維持された3つのゾーンを有し、ゾーン1は、樽形容器の部分に最も近く、この中にポリマーペレットを導入し、ゾーン2は、樽形容器の中央部分であり、ゾーン3は、樽形容器の端部であり、ここからポリマーを押し出した。樽形容器の長さ/直径比は、24対1であり、樽形容器内部に3/4インチのスクリューを有していた。約1.25インチの直径を有するダイは、樽形容器の端部に位置し、これを通してポリマー融解物を押し出した。
【0064】
ゾーン1についての樽形容器温度は約344°Fであり、ゾーン2については、約347°Fから約350°Fであり、ゾーン3については、約294°Fであり、樽形容器とダイの間のアダプターについては、約345°Fであった。スクリューの回転速度は、1分当たり約80.5回転(rpm)から約81.5rpmであり、ダイの位置での温度は、約342°Fから約346°Fであった。樽形容器内の圧力は、約2000psiから約2069psiであり、ダイの位置での圧力は、約2079psiから約2196psiであった。押出位置でのポリマー融解物の温度は、約297°Fであった。
【0065】
管状フィルムを、入口を通じてシステムに入り、前記管状フィルム内部に入る圧縮空気によって膨張させた。この圧縮空気を利用することによって、管状フィルムの直径を、約3インチの直径に拡大させた。エアーリングを利用することによって、押し出された管状フィルムの外部周囲に空気を向け、急速かつ有効に冷却するようにした。フィルムを冷却および硬化させた短い距離の後、これを巻取りロール上に巻き上げ、この巻取りロールによりこの材料を平らにし、次いでニップローラーに通すことによって、様々な厚さのフィルムを作製した。このフィルムの厚さは、約0.003インチ、約0.004インチ、約0.006インチ、および約0.008インチであった。このように作製されたフィルムは、多方向配向を有していた。
【0066】
本明細書に開示した実施形態に様々な改変を行うことできることが理解される。したがって、上記説明は、限定的ではなく、単に好適な実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、本開示の目的および精神の範囲内で他の改変を想定する。そのような改変および変形は、以下の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマー材料を得るステップと、
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップと、
前記物品を回収するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリマー材料が、コポリマーであって、前記コポリマーの約60重量%から約75重量%の量のグリコリド、および前記コポリマーの約25重量%から約40重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、コポリマーであって、前記コポリマーの約55重量%から約65重量%の量のグリコリド、前記コポリマーの約10重量%から約18重量%の量のジオキサノン、および前記コポリマーの約17重量%から約35重量%の量のトリメチレンカーボネートを含むコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー材料が、コポリマーであって、前記コポリマーの約14重量%から約20重量%の量のカプロラクトン、前記コポリマーの約4重量%から約10重量%の量のラクチド、前記コポリマーの約4重量%から約10重量%の量のトリメチレンカーボネート、および前記コポリマーの約60重量%から約78重量%の量のグリコリドを含むコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー材料を物品に形成するステップが、リボン、テープ、シート、およびフィルムからなる群から選択される物品を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップにより、配向をまったく有さない物品がもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップにより、多方向配向を有する物品がもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップが、圧縮ローラー法、成形ローラー法、熱プレス法、インフレーションフィルム法、およびこれらの組合せからなる群から選択されるプロセスによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップが、前記ポリマー材料を、約95℃から約230℃の温度、および約1psiから約2500psiの圧力に、約5秒間から約10分間曝すことによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料を、単一方向に配向を有さない物品に形成するステップが、約290°Fから約355°Fの温度に加熱された樽形容器中に前記ポリマー材料を導入し、約1インチから約1.5インチの直径を有するダイを通してポリマー材料を押し出すことによって管状フィルムを作製し、前記管状フィルムを約2インチから約4インチの直径に拡大し、前記管状フィルムを平らにすることによって、約0.001インチから約0.014インチの厚さを有するフィルムを作製することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物品の少なくとも1つの表面上にテクスチャーを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記物品が、約0.0005インチから約0.014インチの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記物品が、約0.002インチから約0.005インチの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法によって作製された前記物品を含む外科用ステープラーバットレス。
【請求項15】
生物活性剤をさらに含む、請求項14に記載の外科用ステープラーバットレス。
【請求項16】
前記生物活性剤が化学療法剤を含む、請求項15に記載の外科用ステープラーバットレス。
【請求項17】
請求項1に記載の方法によって作製された前記物品を含む、縫合線のための補強手段。
【請求項18】
少なくとも1つのステープルを含むステープルカートリッジと、
ステープル形成表面を有するアンビルと、
前記アンビルまたは前記カートリッジに隣接して配置されたバットレスと
を含み、前記バットレスは、請求項1に記載の方法によって作製された物品を含む外科用ステープリング器具。
【請求項19】
創傷を密閉する方法であって、
外科用ステープリング器具のカートリッジとアンビルの間の組織を封鎖するステップであって、前記カートリッジまたはアンビルのうちの1つは、これらに隣接して配置されたバットレスを有し、前記バットレスは、請求項1に記載の方法によって作製された物品を含むステップと、
前記カートリッジからステープルを射出することによって前記バットレスを前記組織に固定するステップと
を含む方法。

【公表番号】特表2010−520097(P2010−520097A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552730(P2009−552730)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/002978
【国際公開番号】WO2008/109123
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】