力学量センサモジュール
【課題】検出レンジや検出感度が異なる複数の力学量センサを統合し、より小型化を図ることができる力学量センサモジュールを提供する。
【解決手段】センサECU11は、加速度センサ12a,13aについて感度調整部12b,13bを備え、複数のカレントミラー回路が加速度センサ12a,13aの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、感度調整部12b,13bのオペアンプ回路は、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力段の電流/電圧変換部により電圧Voに再変換してマイコン14に出力する。
【解決手段】センサECU11は、加速度センサ12a,13aについて感度調整部12b,13bを備え、複数のカレントミラー回路が加速度センサ12a,13aの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、感度調整部12b,13bのオペアンプ回路は、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力段の電流/電圧変換部により電圧Voに再変換してマイコン14に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される力学量センサと、センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える力学量センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、加速度センサ(Gセンサ)や角速度センサ(ヨーレートセンサ)などの力学量センサが複数使用されている。例えば、図21に示すように、エアバッグ装置を制御するセンサECU(Electronic Control Unit)1には、衝突が発生した場合、車両の前後方向に加わる強い衝撃(例えば50G程度)を検出する前後メイン用Gセンサ2,前後方向の衝突時においてより低いレベル(例えば20G程度)で加速度を検出し、予備的に通電経路を閉じるための前後セーフィング用Gセンサ3,同様に左右方向の衝突時(例えば20G程度)に対応する左右セーフィング用Gセンサ4等を備え、これらのセンサ2〜4のセンサ信号は、マイクロコンピュータ5に出力される。尚、センサ2〜4について示すG4,G3,G3は、各センサの検出レンジを示している。
【0003】
また、図22に示すESC(Electronic Stability Control)装置用のセンサECU6には、車両の左右,前後の各方向について2G程度の加速度を検出する左右用Gセンサ7(レンジG1),前後用Gセンサ8(使用しない構成もある,レンジG1)に加え、車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサ9(レンジY1)を備え、これらのセンサ7〜9のセンサ信号は、マイクロコンピュータ10に出力される。尚、検出レンジの大小関係は(G1<G3<G4)となっている。
すなわち、エアバッグ装置とESC装置とはそれぞれシステムが異なるため、各システムに使用されるセンサ,またはそれらを含むECUは個別に設けられており、より多くの配置スペースが必要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両の進行方向,幅方向に沿った加速度を検出する前後Gセンサ,左右Gセンサやヨーレートセンサ、車両衝突時の大きな加速度を検出して衝突トリガー信号を発生させる衝突Gセンサ、車内LAN用のバスコントローラ、車両の運行状態を示すデータを記憶するメモリやワンチップマイコンを集約したセンサ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−291673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のセンサ装置においても、前後Gセンサと衝突Gセンサとは、加速度の検出方向が略同じであるが、加速度の検出レンジや検出感度の設定が異なるためこれらを統合することはできず、小型化に限界があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出レンジや検出感度が異なる複数の力学量センサを統合することで、より小型化を図ることができる力学量センサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つにつき、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる感度調整部を備える。感度調整部では、複数のカレントミラー回路が力学量センサの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、オペアンプ回路が、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行う。すると、出力部は、変換された電流信号を電圧に変換してマイクロコンピュータに出力する。
【0007】
この場合、1つの力学量センサの出力信号が変化すると、複数のミラー電流がそれぞれ異なる倍率の設定に応じて変化するが、それらの変化率は力学量センサの感度に対応する。そして、1つのセンサで広い検出レンジをカバーすることを想定すると、そのセンサの感度は、検出対象とする力学量の値が小さい領域では高く、大きい領域では低くなることが望ましい。オペアンプ回路は、与えられる複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものを電流に変換するので、1つのセンサ信号に基づいて複数のミラー電流が並行して流れそれぞれが異なる変化を呈した場合でも、倍率が大きいミラー電流に対応する電圧信号はより早く上昇し、倍率が小さいミラー電流に対応する電圧信号はより遅く上昇する。
【0008】
その結果、オペアンプ回路は、力学量センサの出力信号レベルが低い領域から高い領域に移行するのに伴い、倍率の設定が大きいものから小さいものに順次移行しつつ電圧/電流変換を行うことになる。したがって、1つの力学量センサによって、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を減らすことができ、モジュールの外形サイズをより小型にすることができる。
【0009】
請求項2記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つは、固定電極に対する可動電極の変位状態に応じて検出を行うと共に可動電極に対するサーボ制御が可能となる構成とし、サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる。
ここで言う「サーボ制御」とは、例えば特開平5−172844号公報に開示されているように、2つの固定電極の間に位置する可動電極が検出対象とする力学量に応じて変位した場合に、各固定電極との空隙変化量に応じた電圧を各固定電極に印加して力学量と静電気力とを平衡させることで、上記印加電圧に、検出対象とする力学量を反映させる制御を示す。
【0010】
すなわち、上記のサーボ制御を利用して、力学量センサの可動電極,固定電極の間に静電気力を作用させれば、それによりセンサの感度を調整することが可能となる。したがって、1つの力学量センサにより、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を減らすことができ、モジュールの外形サイズをより小型にすることができる。
【0011】
請求項3記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つにつき、検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のサブセンサを用意する。そして、オペアンプ回路は、各サブセンサが出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力部は、変換された電流信号を電圧に変換してマイクロコンピュータに出力する。
すなわち、広い検出レンジをカバーするために複数のサブセンサを用いるとしても、それらのセンサ信号を、請求項1と同様な共通のオペアンプ回路により統合的に処理することができるため、トータルでは必要なスペースを、従来構成よりも削減することが可能となる。
【0012】
請求項4記載の力学量センサモジュールによれば、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサ,車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサ,車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサを備え、マイクロコンピュータが、エアバッグ装置用の制御信号とESC装置用の制御信号とを出力するように構成する。したがって、エアバッグ装置とESC装置とを制御するために必要な力学量センサを統合して1つのモジュールにすることができ、複数のセンサを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0013】
請求項5記載の力学量センサモジュールによれば、請求項4と同様の前後加速度センサ,左右加速度センサに加え、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサ,車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサを備え、マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号とロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するように構成する。したがって、エアバッグ装置とロールオーバ抑制装置とを制御するために必要な力学量センサを統合して1つのモジュールにできる。
【0014】
請求項6記載の力学量センサモジュールによれば、前後加速度センサと、ヨーレートセンサとを統合する。すなわち、ヨーレートセンサを加速度センサと同様の検出方式で構成すれば両者を統合することができるので、各センサを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0015】
請求項7記載の力学量センサモジュールによれば、前後加速度センサと、左右加速度センサと、ヨーレートセンサとを統合するので、請求項6と同様に、ヨーレートセンサを加速度センサと同様の検出方式で構成すれば3つのセンサを統合することができ、それらを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0016】
請求項8記載の力学量センサモジュールによれば、請求項4,6,7の何れかの構成について、請求項5と同様の上下加速度センサ並びに横軸ヨーレートセンサを備え、縦軸ヨーレートセンサと横軸ヨーレートセンサとを統合し、マイクロコンピュータは、ロールオーバ抑制装置用の制御信号も出力するように構成する。したがって、3つの装置に対応する制御信号を1つのモジュールによって出力可能となり、多くのセンサを配置するのに必要なスペースを大きく削減できる。
【0017】
請求項9記載の力学量センサモジュールによれば、請求項8の構成について、上下加速度センサを、その他のセンサと統合するので、全ての力学量センサを統合して、配置に必要なスペースを一層削減できる。
【0018】
請求項10記載の力学量センサモジュールによれば、マイクロコンピュータは、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力するように構成する。すなわち、車両の盗難が発生する場合には、車体に対して通常とは異なるレベルで外力が加わることが多い。そして、複数の方向について加速度を検出するセンサを備えていれば、それらの検出状態に基づいて車体に過剰な外力が加わったことが判定できる。したがって、セキュリティ装置に対応する制御信号も出力可能となり、配置に必要なスペースを一層削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図4を参照して説明する。尚、図21,図22と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図1は、2つのセンサECU1,6の機能を統合することで、エアバッグ装置とESC装置との双方に制御信号を出力可能としたセンサECU(力学量センサモジュール)11の構成を示すものである。センサECU11は、車両の前後方向に加わる加速度を検出する前後Gセンサユニット12,車両の左右方向(幅方向)に加わる加速度を検出する左右Gセンサユニット13と、ヨーレートセンサ9とを備え、これらのGセンサユニット12,13並びにヨーレートセンサ9のセンサ信号は、マイクロコンピュータ14に出力される。
マイコン14は、具体的には図示しないが、CPUやROM,RAM,車内LANなどの通信用インターフェイス等も備えており、Gセンサユニット12,13やヨーレートセンサ9より出力されるセンサ信号に応じて、エアバッグ装置やESC装置に制御信号を送信する。
【0020】
前後Gセンサユニット12は、Gセンサ12a(センサチップ)と感度調整部12bとで構成され、図2に示すように、検出レンジがG1,G3,G4まで対応可能となっている。左右Gセンサ13も同様に、Gセンサ13aと感度調整部13bとで構成され、検出レンジがG1,G3まで対応するようになっている。
例えば前後Gセンサユニット12のセンサ感度、すなわち、Gセンサ12aが出力するセンサ信号の変化に対するGセンサユニット12の出力信号のVo傾きは、感度調整部12bにより、Gセンサ12aの検出レンジに応じて
検出レンジ 0−G1 G1−G3 G3−G4 G4−
検出感度 大 中 小 0(フラット)
と変化するように設定されている。左右Gセンサユニット13のセンサ感度についても、感度調整部13bにより、0−G1−G3の範囲で上記と同様に変化する。
【0021】
尚、Gセンサ12a,13aは、例えば周知の容量式の加速度センサとして構成されている。すなわち、加速度が発生していない状態における固定電極と可動電極との距離dについて容量Co(=εS/d:εは誘電率,Sは電極対向面積)が定まる場合に、加速度aが発生すると可動部の質量mに応じた慣性力maが加わり、電極間距離はΔd(=ma/k:kは所定の係数)だけ縮まる。すると、それに伴う静電容量変化ΔCは、
ΔC=2Co・Δd/(d2−Δd2)
となる。そして、上記容量変化ΔCにより加速度aが求められる。
【0022】
図3は、左右Gセンサユニット13の構成を、感度調整部13bについて詳細に示すものである。感度調整部13bの入力段には、Gセンサ13aが出力する電圧信号を電流に変換する電圧/電流変換部(V/I)21と、カレントミラー回路22とが配置されている。カレントミラー回路22は、エミッタがグランドに接続されるNPNトランジスタ22a,22b(及び後述する22c)で構成されており、両者のベースはトランジスタ22aのコレクタに接続され、電圧/電流変換部21は、電源Vcとトランジスタ22aのコレクタとの間に挿入されている。
【0023】
次段には、カレントミラー回路23が配置されている。カレントミラー回路23は、エミッタが電源Vcに接続されるPNPトランジスタ23a,23bで構成されており、両者のベースはトランジスタ23aのコレクタに接続され、そのコレクタは、トランジスタ22bのコレクタに接続されている。トランジスタ23bのコレクタは、抵抗素子24を介してグランドに接続されている。
【0024】
カレントミラー回路23の次段には、同様にPNPトランジスタ25a,25bで構成されるカレントミラー回路25が配置されており、両者のベースはトランジスタ25aのコレクタに接続され、そのコレクタは、NPNトランジスタ22cのコレクタに接続されている。トランジスタ22cのベースは、ミラー対をなすトランジスタ22aのベースに接続されている。トランジスタ25bのコレクタは、抵抗素子27を介してグランドに接続されている。
【0025】
カレントミラー回路25の次段には、電流源28及び抵抗素子29の直列回路が並列に接続されており、その直列回路の共通接続点(F3)は、オペアンプ30が備えている3つの非反転入力端子の1つに接続されている。非反転入力端子の他の2つは、トランジスタ23b,25bのコレクタ(F1,F2)にそれぞれ接続されている。
【0026】
オペアンプ30の次段には、PNPトランジスタ31a,31bで構成されるカレントミラー回路31が配置されており、両者のベースはトランジスタ31aのコレクタに接続され、そのコレクタは、NPNトランジスタ32のコレクタに接続されている。トランジスタ32のエミッタは、オペアンプ30の反転入力端子に接続されていると共に、可変抵抗素子33を介してグランドに接続され、ベースは、オペアンプ30の出力端子に接続されている。尚、オペアンプ30,トランジスタ32及び抵抗素子33は、オペアンプ回路34を構成している。
【0027】
トランジスタ31bのコレクタは、出力段となる電流/電圧変換部(I/V,出力部)34を介してグランドに接続されており、電流/電圧変換部35より出力される電圧がセンサユニット13の出力電圧Voとなる。
【0028】
ここで、各カレントミラー回路22,23,25,31のミラー比は、例えば以下のように設定されている。
カレントミラー回路22a:22b ミラー比1:4
カレントミラー回路22a:22c ミラー比1:1
カレントミラー回路23,25 ミラー比1:2
カレントミラー回路31 ミラー比1:1
また、抵抗素子24,27,29の抵抗比は、例えば2:1:1に設定されている。
【0029】
図4(a)は、オペアンプ30の内部回路を入力部について概略的に示すものである。電源とグランドとの間には、電流源41,PNPトランジスタ42a,42bよりなる差動対42及びNPNトランジスタ43a,43bよりなるカレントミラー回路43が接続されている。差動対42の非反転入力端子側であるトランジスタ42aのベースと電源との間には電流源44が接続されており、前記ベースとグランドとの間には、3つのPNPトランジスタ45〜47のエミッタ−コレクタが接続されている。そして、これらのトランジスタ45〜47のベースに、入力電圧F1〜F3が与えられる。
【0030】
一方、差動対42の反転入力端子側であるトランジスタ42bのベースと電源との間には電流源48が接続されており、前記ベースとグランドとの間には、PNPトランジスタ49のコレクタ−エミッタが接続されている。そして、トランジスタ49のベースが反転入力端子となり、トランジスタ32のエミッタに接続されている。以上の構成において、トランジスタ42aのベース電位は、入力電圧F1〜F3のうち、電圧レベルが最低を示すものを基準にベース−エミッタ間電圧VFを加えたものとなる。
【0031】
図4(b),(c)は、Gセンサ13aが出力するセンサ信号の電圧に対する,Gセンサユニット13の出力電圧Voの変化特性を示す。尚、説明の都合上、検出レンジG3をG2に置き換えている。この場合、検出レンジと検出感度との関係は以下のように設定されている。
検出レンジ 0−G1 G1−G2 G2−
検出感度 大 小 0(フラット)
そして、検出レンジ(0−G1)は、感度調整部13bの入力電圧F1に応じて決まり、検出レンジ(G1−G2)は入力電圧F2に応じて、検出レンジ(G2−)は入力電圧F3に応じて決まる。
【0032】
上述した各ミラー比及び抵抗比の設定により、入力電圧F2の傾きは、入力電圧F1の傾きに対して1/8となるように設定されている。すなわち、電圧/電流変換部21が流す電流をIとし、抵抗素子27,29の抵抗値をRとすると、
F1=2R×4×2×I=16・RI
F2= R×2×I=2・RI
であるから、両者の傾き変化比は8:1となっている。尚、可変抵抗素子33は、入力電圧F1の傾きを調整するために配置されており、オペアンプ回路34は、入力電圧F1〜F3を電圧/電流変換する作用をなす。
【0033】
したがって、図4(b)に示すように、入力電圧F1に応じた一次関数:直線が入力電圧F2に応じた直線と交差する検出レンジG1までは、出力電圧Voは入力電圧F1に従って変化し、そこから入力電圧F2に応じた直線が入力電圧F3に応じた直線と交差する検出レンジG2までは、出力電圧Voは入力電圧F2に従って変化する。そして、入力電圧F3は一定であるから、予め検出レンジG2に対応する電圧となるように電流源28の電流値と抵抗素子29の抵抗値とを設定しておく。つまり、各検出レンジの上限を示すG1,G2は、感度の変曲点となっている。
また、前後Gセンサユニット12の感度調整部12bも基本的な構成は上記と同様であり、検出レンジ(G3−G4)に対応するカレントミラー回路が追加され、オペアンプの非反転入力端子は4入力となる。
【0034】
次に、本実施例の作用について説明する。センサECU11では、図21及び図22 に示す従来構成の前後メイン用Gセンサ2,前後セーフィング用Gセンサ3,前後用Gセンサ7を統合したものが前後Gセンサユニット12に対応し、左右セーフィングセンサ4,左右用加速度センサ8を統合したものが左右Gセンサユニット13に対応する。
すなわち、これらのセンサユニット12,13は、それぞれ車体の前後方向について発生する加速度、左右方向について発生する加速度を検出する場合、感度調整部12b,13bの作用により、検出レンジの高低に応じてセンサ感度が変化するように構成され、加速度が小さい領域では感度が高く、加速度が大きい領域では感度が低くなることから、単一のユニットで加速度を広いレンジについて検出可能となっている。
【0035】
そして、マイコン14は、前後Gセンサユニット12及び左右Gセンサユニット13の出力信号を参照することで図示しないエアバッグ装置に対して制御信号を出力し、また、それらに加えてヨーレートセンサ9の出力信号も参照することで、図示しないESC装置に対して制御信号を出力する。
【0036】
以上のように本実施例によれば、センサECU11は、加速度センサ12a,13aについて感度調整部12b,13bを備え、複数のカレントミラー回路22,23,25等が加速度センサ12a,13aの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、オペアンプ回路34は、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力段の電流/電圧変換部35により電圧Voに再変換してマイコン14に出力するようにした。
したがって、1つの加速度センサ12a,13aにより、感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を少なくすることができ、ECU11の外形サイズをより小型にすることができる。そして、マイコン14は、エアバッグ装置用の制御信号とESC装置用の制御信号とを出力するので、各装置を制御するために必要なセンサを統合して1つのモジュールにすることができ、配置スペースを削減することができる。
【0037】
(第2実施例)
図5は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)51は、第1実施例の前後Gセンサユニット12と、縦軸ヨーレートセンサ9に相当する縦軸ヨーレートセンサ52とを統合した、前後Gセンサ・ヨーレートセンサユニット53を備えている。例えば、特開2004−4127号公報には、容量式により構成されるヨーレートセンサ(X軸,Y軸方向に振動可能に指示された振動子をX軸方向に振動させ、Z軸回りに作用する角速度をY軸方向の振動に基づいて検出するもの)が開示されている。
【0038】
上記のような縦軸ヨーレートセンサ52であれば、容量式の加速度センサと一体に構成することは容易であるため、センサユニット53の内部に縦軸ヨーレートセンサ52も含むように構成する。この場合、センサユニット53は、マイコン14に対して前後方向加速度の検出信号と角速度検出信号とをそれぞれ出力する。
以上のように構成される第2実施例によれば、センサECU51に、前後Gセンサユニット12と縦軸ヨーレートセンサ52とを統合したセンサユニット53を備えるので、ECU51を更に小型化することができる。
【0039】
(第3実施例)
図6は本発明の第3実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分について説明する。第3実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)54は、第2実施例の前後Gセンサ・ヨーレートセンサユニット53に、左右Gセンサユニット13を統合したセンサユニット55を備えている。この場合、センサユニット55は、マイコン14に対して、前後方向,左右方向の加速度検出信号と角速度検出信号とをそれぞれ出力する。
以上のように構成される第3実施例によれば、センサECU54に、センサユニット53と左右Gセンサユニット13と統合したセンサユニット55を備えるので、ECU54を更に小型化することができる。
【0040】
(第4実施例)
図7及び図8は本発明の第4実施例を示すものである。図8は、従来のロールーオーバ抑制装置に対して制御信号を出力するセンサECU(力学量センサモジュール)56の構成例である。センサECU56は、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサ57(Y2)と、車体の左右方向,上下方向の加速度をそれぞれ検出する左右セーフィング用Gセンサ(G2)58,上下セーフィング用Gセンサ(G2)59と、これらのセンサ57〜59より出力されるセンサ信号を参照し、図示しないロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力するマイコン60とを備えている。
【0041】
そして、図7に示す第4実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)61は、エアバッグ制御用の前後メイン用Gセンサ2と、前後セーフィング用Gセンサ3とを統合した前後Gセンサユニット62(G3,G4)と、左右セーフィング用Gセンサ4と上記左右セーフィング用Gセンサ58とを統合した左右Gセンサユニット63(G2,G3)と、横軸ヨーレートセンサ57,上下セーフィング用Gセンサ59とを備えて構成されている。
【0042】
Gセンサユニット62,63は、第1実施例と同様に、Gセンサ62a,63aと感度調整部62b,63bとを備えており、感度調整部62b,63bによって加速度の検出レンジ(G3−G4),(G2−G3)に応じた感度の変化を付与するようになっている。そして、マイコン64は、Gセンサユニット62,63並びにセンサ57,59が出力する各種センサ信号を参照し、エアバッグ装置とロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力する。
【0043】
以上のように構成される第4実施例によれば、センサECU61は、前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63に加え、上下セーフィング用Gセンサ59,横軸ヨーレートセンサ57を備え、マイコン64は、エアバッグ装置用の制御信号とロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するので、これらの装置を制御するために必要なセンサを統合して配置スペースを削減することができる。
【0044】
(第5実施例)
図9は本発明の第5実施例を示すものであり、第4実施例と異なる部分について説明する。第5実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)65は、第4実施例の前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63を統合した前後・左右Gセンサユニット66(G2,G3,G4)を備えており、Gセンサユニット66は、マイコン64に対して前後方向の加速度検出信号と、左右方向の加速度検出信号とを出力する。
以上のように構成される第5実施例によれば、センサECU65に、前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63を統合したGセンサユニット66を備えるので、センサECU65を更に小型化することができる。
【0045】
(第6実施例)
図10は本発明の第6実施例を示すものであり、第5実施例と異なる部分について説明する。第6実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)67は、第5実施例の前後・左右Gセンサユニット66に、上下セーフィング用Gセンサ59,横軸ヨーレートセンサ57を統合したセンサユニット68を備えている。尚、横軸ヨーレートセンサ57は、縦軸ヨーレートセンサ52と同様に容量式で構成されるヨーレートセンサ57’に置き換えられている。センサユニット68は、マイコン64に対して、前後・左右・上下各方向の加速度検出信号と、角速度検出信号とを出力する。以上のように構成される第6実施例によれば、センサECU67を一層小型に構成することができる。
【0046】
(第7実施例)
図11は本発明の第7実施例を示すものである。第7実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)71は、第1実施例の前後Gセンサユニット12と、左右Gセンサユニット13と、図8に示す左右セーフィング用Gセンサ58とを統合した左右Gセンサユニット72(G1,G2,G3)と、第4実施例の上下セーフィング用Gセンサ59と、縦軸ヨーレートセンサ9と横軸ヨーレートセンサ57とを統合したヨーレートセンサユニット73とを備えている。左右Gセンサユニット72は、Gセンサ72aと感度調整部72bとで構成されている。
そして、マイコン74は、これらのセンサユニット12,72,73並びにセンサ59より出力される各種センサ信号を参照することで、エアバッグ装置,ESC装置,ロールオーバ抑制装置に制御信号を出力する。
【0047】
また、車両の駐車時(IG:OFF)において、センサECU71がバッテリ電源+Bが直接供給されるラインにより動作している場合(+B動作時)に、前後Gセンサユニット12が検出する加速度信号(G1)と、左右Gセンサユニット72が検出する加速度信号(G1)とが与えられると、マイコン74が、図示しない車両盗難防止装置に対してセキュリティ用傾斜信号を出力することも可能である。すなわち、駐車時に車両の盗難が行われる場合には、車体に対して通常よりも大きな外力が加わるため、それを検出することで盗難防止に利用しても良い。
【0048】
以上のように構成される第7実施例によれば、センサECU71は、前後Gセンサユニット12と、左右Gセンサユニット72と、上下セーフィング用Gセンサ59と、ヨーレートセンサユニット73とを備えるので、エアバッグ装置,ESC装置,ロールオーバ抑制装置に制御信号を出力することができ、ECU71を一層小型化することができる。また、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力することで、各装置に応じて必要となるセンサを配置するスペースを更に削減することができる。
【0049】
(第8実施例)
図12は本発明の第8実施例を示すものであり、第7実施例と異なる部分について説明する。第8実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)75は、第7実施例の前後Gセンサユニット12と、ヨーレートセンサユニット73(但し、ヨーレートセンサ9,57は52,57’に置き換えられている)とを統合したセンサユニット76(G1,G3,G4/Y1,Y2)を備えており、センサユニット76は、前後方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第8実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU75を、一層小型に構成することができる。
【0050】
(第9実施例)
図13は本発明の第9実施例を示すものであり、第8実施例と異なる部分について説明する。第9実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)77は、第8実施例のセンサユニット76と、左右Gセンサユニット72とを統合したセンサユニット78を備えており、センサユニット78は、前後方向,左右方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第9実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU77を、一層小型に構成することができる。
【0051】
(第10実施例)
図14は本発明の第10実施例を示すものであり、第9実施例と異なる部分について説明する。第10実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)79は、第9実施例のセンサユニット78と、上下Gセンサユニット59とを統合したセンサユニット80を備えており、センサユニット80は、前後方向,左右方向,上下方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第10実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU79を、一層小型に構成することができる。
【0052】
(第11実施例)
図15は本発明の第11実施例を示すものである。第11実施例は、容量式のGセンサについて、例えば特開平5−172844号公報に開示されているようなサーボ制御が適用可能に構成されている場合、そのサーボ制御を利用して感度を変更する。Gセンサ81は、2つの固定電極82,83の間に可動電極84が配置されており、サーボ制御部85は、固定電極82,83の間に電圧を印加することでサーボ制御を行うものである。
【0053】
この場合、例えば検出レンジ(0−G1)ではサーボ制御を行うことなく、可動電極84を印加される加速度に応じて変位させ、容量変化に応じて高い感度で検出を行う。そして、検出レンジがG1を超える領域では、サーボ制御部85が固定電極82,83間に電圧を印加することで可動電極84に所定の静電力を作用させる。すると、可動電極84は、印加される加速度に応じた慣性力と静電力との差に応じた分だけ変位するので、その際に、固定電極82,83に印加した電圧と、可動電極84の制御電圧との差に基づいて加速度を検出することができる。またこの時、可動電極84をサーボ制御することで、等価的にセンサ感度を低下させることになる。
【0054】
以上のように構成される第11実施例によれば、Gセンサ81を、固定電極82,83に対する可動電極84の変位状態に応じて加速度検出を行うと共に、可動電極84に対するサーボ制御が可能となる構成とし、サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで検出レンジの高低に応じて感度を変化させるので、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を少なくすることができ、Gセンサ81を用いて構成するセンサECUの外形サイズを、より小型にすることができる。
【0055】
(第12実施例)
図16は本発明の第12実施例を示すものである。第12実施例は、第1実施例の感度調整部13bの構成を利用して感動調整を行うための異なる方式を示す。第1実施例では、1つのGセンサ13aが出力するセンサ信号を元に、感度調整部13bが感度を変更するようにしたが、第12実施例では、オペアンプ30の3つの非反転入力端子に、感度設定が異なる3つのGセンサ86,87,88(サブセンサ)を接続する。そして、オペアンプ30以降の構成部分は第1実施例と同様であり、当該部分が感度調整部89を構成しており、Gセンサ86,87,88と感度調整部89とがセンサユニット90を構成している。
【0056】
斯様に構成すれば、感度調整部89は、第1実施例と同様に、3つのGセンサ86,87,88が並行して出力するセンサ信号のうち、電圧レベルが最低を示すものに基づいて電圧/電流変換を行うので、結果として、検出レンジの高低に応じて感度を順次変化させることができる。尚、検出レンジが上限しきい値を超えた場合に、出力電圧Voを第1実施例と同様にフラットにする必要がある場合は、第1実施例の電流源28及び抵抗素子29の直列回路も別途加えれば良い。
【0057】
以上のように構成される第12実施例によれば、検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のGセンサ86,87,88を用い、オペアンプ回路34は、これらのGセンサ86〜88が出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行うので、センサユニット90を用いてセンサECUを構成する場合に必要なスペースを、従来よりも削減することができる。
【0058】
(第13実施例)
図17は本発明の第13実施例を示すものである。第13実施例は、例えば1つのGセンサを用いて、マイコンがそのセンサ信号を例えば16ビットでA/D変換する際に、変換したデータ値に応じて検出レンジを分けることで、1つのGセンサが検出する加速度の対象が何であるのかを判定し分ける。
【0059】
例えば図17に示すように、16ビットデータの上位6ビット(第15〜第10ビット)が「0」であれば低レベル加速度、上位3ビット(第15〜第13ビット)が「0」であれば中レベル加速度、第13ビットが「1」であれば高レベル加速度であるとして、低レベル加速度はESC用前後センサ7(G1)、中レベル加速度は前後セーフィング用センサ3(G3)、高レベル加速度は前後メイン用Gセンサ2(G4)に対応させる。
【0060】
この場合、高レベルと中レベルの間、中レベルと低レベルとの間のデータ値(両者の境界)は必ずしもオーバーラップさせる必要はない。例えば、高レベル,低レベルで上位,下位8ビットずつ2分しても良いし、第13ビット〜第4ビットは中レベルとして、それより上,下はそれぞれ高レベル,低レベルとしても良い。
以上のように構成すれば、1つのGセンサが出力するセンサ信号のレンジをマイコンが判定し分けることにより、加速度の検出対象を判別することができる。
【0061】
(第14〜第16実施例)
図18〜図20は本発明の第14〜第16実施例であり、これらは検出レンジに応じた感度設定のバリエーションを示す。図18(第14実施例)は感度切り替えの変曲点をG1,G4の2点とした場合であり、図19(第15実施例)は変曲点をG1,G2,G3,G4の4点とした場合である。また、図20(第16実施例)は、ヨーレートセンサについても感度調整部を設けて感度切り替えを行い、変曲点をY1,Y2の2点とした場合である。これらのように、感度切り替えを何段階で行うかは、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
【0062】
本発明は上記且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
変曲点を跨いでセンサの感度を切替える場合に、センサの検出信号の電圧上昇時,下降時とで、それぞれ現在の検出レンジ−感度に応じた電圧を発生させている構成をそのまま機能させて、感度の切り替わりで出力電圧に大きな変動が生じることを抑制しても良い。例えば変曲点G1について、上昇時は電圧F1の特性が(G1+α)まで、下降時は電圧F2の特性が(G1−β)まで継続するように制御しても良い。
感度調整部を、マイコンの内部に設けても良い。
センサECUは、必ずしも通信を使用する必要はなく、エアバッグ装置等に対して制御信号を直接出力しても良い。
加速度センサや角速度センサ以外の力学量センサを統合して、モジュールを構成しても良い。
制御信号を出力する対象の装置は、エアバッグ装置,ESC装置、ロールオーバ抑制装置や車両盗難防止装置に限ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例であり、センサECUの構成を示す図
【図2】左右Gセンサユニットの出力電圧特性を示す図
【図3】左右Gセンサユニットの構成を、感度調整部について詳細に示す図
【図4】(a)はオペアンプ内の入力部を概略的に示す図、(b),(c)はGセンサの出力信号に対する出力電圧Voの変化特性を示す図
【図5】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図8】ロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力するセンサECUの従来構成図
【図9】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図11】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図12】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図13】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第10実施例を示す図1相当図
【図15】本発明の第11実施例であり、サーボ制御が適用可能に構成される容量式Gセンサを示す図
【図16】本発明の第12実施例を示す図3相当図
【図17】本発明の第13実施例であり、Gセンサ信号のA/D変換データを示す図
【図18】本発明の第14実施例を示す図2相当図
【図19】本発明の第15実施例を示す図2相当図
【図20】本発明の第16実施例であり、ヨーレートセンサユニットについての図2相当図
【図21】従来技術を示す図1相当図(その1)
【図22】従来技術を示す図1相当図(その2)
【符号の説明】
【0064】
図面中、9は縦軸ヨーレートセンサ(角速度センサ)、11はセンサECU(力学量センサモジュール)、12は前後Gセンサユニット、12aはGセンサ(加速度センサ)、12bは感度調整部、13は左右Gセンサユニット、13aはGセンサ、13bは感度調整部、14はマイクロコンピュータ、21は電圧/電流変換部、22,23,25はカレントミラー回路、34はオペアンプ回路、35は電流/電圧変換部、51はセンサECU(力学量センサモジュール)、52は縦軸ヨーレートセンサ、53は前後G/ヨーレートセンサユニット、54はセンサECU(力学量センサモジュール)、55はセンサユニット、56はセンサECU(力学量センサモジュール)、57,57’は横軸ヨーレートセンサ、58は左右セーフィング用Gセンサ、59は上下セーフィング用Gセンサ、61はセンサECU(力学量センサモジュール)、62は前後Gセンサユニット、63は左右Gセンサユニット、64はマイクロコンピュータ、65はセンサECU(力学量センサモジュール)、66はGセンサユニット、67はセンサECU(力学量センサモジュール)、68はセンサユニット、71はセンサECU(力学量センサモジュール)、73はヨーレートセンサユニット、74はマイクロコンピュータ、75はセンサECU(力学量センサモジュール)、76はセンサユニット、77はセンサECU(力学量センサモジュール)、78はセンサユニット、79はセンサECU(力学量センサモジュール)、80はセンサユニット、81はGセンサ、82,83は固定電極、84は可動電極、85はサーボ制御部、86〜88はGセンサ(サブセンサ)、89は感度調整部、90はセンサユニットを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される力学量センサと、センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える力学量センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、加速度センサ(Gセンサ)や角速度センサ(ヨーレートセンサ)などの力学量センサが複数使用されている。例えば、図21に示すように、エアバッグ装置を制御するセンサECU(Electronic Control Unit)1には、衝突が発生した場合、車両の前後方向に加わる強い衝撃(例えば50G程度)を検出する前後メイン用Gセンサ2,前後方向の衝突時においてより低いレベル(例えば20G程度)で加速度を検出し、予備的に通電経路を閉じるための前後セーフィング用Gセンサ3,同様に左右方向の衝突時(例えば20G程度)に対応する左右セーフィング用Gセンサ4等を備え、これらのセンサ2〜4のセンサ信号は、マイクロコンピュータ5に出力される。尚、センサ2〜4について示すG4,G3,G3は、各センサの検出レンジを示している。
【0003】
また、図22に示すESC(Electronic Stability Control)装置用のセンサECU6には、車両の左右,前後の各方向について2G程度の加速度を検出する左右用Gセンサ7(レンジG1),前後用Gセンサ8(使用しない構成もある,レンジG1)に加え、車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサ9(レンジY1)を備え、これらのセンサ7〜9のセンサ信号は、マイクロコンピュータ10に出力される。尚、検出レンジの大小関係は(G1<G3<G4)となっている。
すなわち、エアバッグ装置とESC装置とはそれぞれシステムが異なるため、各システムに使用されるセンサ,またはそれらを含むECUは個別に設けられており、より多くの配置スペースが必要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両の進行方向,幅方向に沿った加速度を検出する前後Gセンサ,左右Gセンサやヨーレートセンサ、車両衝突時の大きな加速度を検出して衝突トリガー信号を発生させる衝突Gセンサ、車内LAN用のバスコントローラ、車両の運行状態を示すデータを記憶するメモリやワンチップマイコンを集約したセンサ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−291673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のセンサ装置においても、前後Gセンサと衝突Gセンサとは、加速度の検出方向が略同じであるが、加速度の検出レンジや検出感度の設定が異なるためこれらを統合することはできず、小型化に限界があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出レンジや検出感度が異なる複数の力学量センサを統合することで、より小型化を図ることができる力学量センサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つにつき、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる感度調整部を備える。感度調整部では、複数のカレントミラー回路が力学量センサの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、オペアンプ回路が、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行う。すると、出力部は、変換された電流信号を電圧に変換してマイクロコンピュータに出力する。
【0007】
この場合、1つの力学量センサの出力信号が変化すると、複数のミラー電流がそれぞれ異なる倍率の設定に応じて変化するが、それらの変化率は力学量センサの感度に対応する。そして、1つのセンサで広い検出レンジをカバーすることを想定すると、そのセンサの感度は、検出対象とする力学量の値が小さい領域では高く、大きい領域では低くなることが望ましい。オペアンプ回路は、与えられる複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものを電流に変換するので、1つのセンサ信号に基づいて複数のミラー電流が並行して流れそれぞれが異なる変化を呈した場合でも、倍率が大きいミラー電流に対応する電圧信号はより早く上昇し、倍率が小さいミラー電流に対応する電圧信号はより遅く上昇する。
【0008】
その結果、オペアンプ回路は、力学量センサの出力信号レベルが低い領域から高い領域に移行するのに伴い、倍率の設定が大きいものから小さいものに順次移行しつつ電圧/電流変換を行うことになる。したがって、1つの力学量センサによって、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を減らすことができ、モジュールの外形サイズをより小型にすることができる。
【0009】
請求項2記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つは、固定電極に対する可動電極の変位状態に応じて検出を行うと共に可動電極に対するサーボ制御が可能となる構成とし、サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる。
ここで言う「サーボ制御」とは、例えば特開平5−172844号公報に開示されているように、2つの固定電極の間に位置する可動電極が検出対象とする力学量に応じて変位した場合に、各固定電極との空隙変化量に応じた電圧を各固定電極に印加して力学量と静電気力とを平衡させることで、上記印加電圧に、検出対象とする力学量を反映させる制御を示す。
【0010】
すなわち、上記のサーボ制御を利用して、力学量センサの可動電極,固定電極の間に静電気力を作用させれば、それによりセンサの感度を調整することが可能となる。したがって、1つの力学量センサにより、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を減らすことができ、モジュールの外形サイズをより小型にすることができる。
【0011】
請求項3記載の力学量センサモジュールによれば、車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと各センサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備える場合、前記センサの少なくとも1つにつき、検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のサブセンサを用意する。そして、オペアンプ回路は、各サブセンサが出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力部は、変換された電流信号を電圧に変換してマイクロコンピュータに出力する。
すなわち、広い検出レンジをカバーするために複数のサブセンサを用いるとしても、それらのセンサ信号を、請求項1と同様な共通のオペアンプ回路により統合的に処理することができるため、トータルでは必要なスペースを、従来構成よりも削減することが可能となる。
【0012】
請求項4記載の力学量センサモジュールによれば、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサ,車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサ,車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサを備え、マイクロコンピュータが、エアバッグ装置用の制御信号とESC装置用の制御信号とを出力するように構成する。したがって、エアバッグ装置とESC装置とを制御するために必要な力学量センサを統合して1つのモジュールにすることができ、複数のセンサを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0013】
請求項5記載の力学量センサモジュールによれば、請求項4と同様の前後加速度センサ,左右加速度センサに加え、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサ,車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサを備え、マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号とロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するように構成する。したがって、エアバッグ装置とロールオーバ抑制装置とを制御するために必要な力学量センサを統合して1つのモジュールにできる。
【0014】
請求項6記載の力学量センサモジュールによれば、前後加速度センサと、ヨーレートセンサとを統合する。すなわち、ヨーレートセンサを加速度センサと同様の検出方式で構成すれば両者を統合することができるので、各センサを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0015】
請求項7記載の力学量センサモジュールによれば、前後加速度センサと、左右加速度センサと、ヨーレートセンサとを統合するので、請求項6と同様に、ヨーレートセンサを加速度センサと同様の検出方式で構成すれば3つのセンサを統合することができ、それらを配置するために必要なスペースを削減できる。
【0016】
請求項8記載の力学量センサモジュールによれば、請求項4,6,7の何れかの構成について、請求項5と同様の上下加速度センサ並びに横軸ヨーレートセンサを備え、縦軸ヨーレートセンサと横軸ヨーレートセンサとを統合し、マイクロコンピュータは、ロールオーバ抑制装置用の制御信号も出力するように構成する。したがって、3つの装置に対応する制御信号を1つのモジュールによって出力可能となり、多くのセンサを配置するのに必要なスペースを大きく削減できる。
【0017】
請求項9記載の力学量センサモジュールによれば、請求項8の構成について、上下加速度センサを、その他のセンサと統合するので、全ての力学量センサを統合して、配置に必要なスペースを一層削減できる。
【0018】
請求項10記載の力学量センサモジュールによれば、マイクロコンピュータは、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力するように構成する。すなわち、車両の盗難が発生する場合には、車体に対して通常とは異なるレベルで外力が加わることが多い。そして、複数の方向について加速度を検出するセンサを備えていれば、それらの検出状態に基づいて車体に過剰な外力が加わったことが判定できる。したがって、セキュリティ装置に対応する制御信号も出力可能となり、配置に必要なスペースを一層削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図4を参照して説明する。尚、図21,図22と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。図1は、2つのセンサECU1,6の機能を統合することで、エアバッグ装置とESC装置との双方に制御信号を出力可能としたセンサECU(力学量センサモジュール)11の構成を示すものである。センサECU11は、車両の前後方向に加わる加速度を検出する前後Gセンサユニット12,車両の左右方向(幅方向)に加わる加速度を検出する左右Gセンサユニット13と、ヨーレートセンサ9とを備え、これらのGセンサユニット12,13並びにヨーレートセンサ9のセンサ信号は、マイクロコンピュータ14に出力される。
マイコン14は、具体的には図示しないが、CPUやROM,RAM,車内LANなどの通信用インターフェイス等も備えており、Gセンサユニット12,13やヨーレートセンサ9より出力されるセンサ信号に応じて、エアバッグ装置やESC装置に制御信号を送信する。
【0020】
前後Gセンサユニット12は、Gセンサ12a(センサチップ)と感度調整部12bとで構成され、図2に示すように、検出レンジがG1,G3,G4まで対応可能となっている。左右Gセンサ13も同様に、Gセンサ13aと感度調整部13bとで構成され、検出レンジがG1,G3まで対応するようになっている。
例えば前後Gセンサユニット12のセンサ感度、すなわち、Gセンサ12aが出力するセンサ信号の変化に対するGセンサユニット12の出力信号のVo傾きは、感度調整部12bにより、Gセンサ12aの検出レンジに応じて
検出レンジ 0−G1 G1−G3 G3−G4 G4−
検出感度 大 中 小 0(フラット)
と変化するように設定されている。左右Gセンサユニット13のセンサ感度についても、感度調整部13bにより、0−G1−G3の範囲で上記と同様に変化する。
【0021】
尚、Gセンサ12a,13aは、例えば周知の容量式の加速度センサとして構成されている。すなわち、加速度が発生していない状態における固定電極と可動電極との距離dについて容量Co(=εS/d:εは誘電率,Sは電極対向面積)が定まる場合に、加速度aが発生すると可動部の質量mに応じた慣性力maが加わり、電極間距離はΔd(=ma/k:kは所定の係数)だけ縮まる。すると、それに伴う静電容量変化ΔCは、
ΔC=2Co・Δd/(d2−Δd2)
となる。そして、上記容量変化ΔCにより加速度aが求められる。
【0022】
図3は、左右Gセンサユニット13の構成を、感度調整部13bについて詳細に示すものである。感度調整部13bの入力段には、Gセンサ13aが出力する電圧信号を電流に変換する電圧/電流変換部(V/I)21と、カレントミラー回路22とが配置されている。カレントミラー回路22は、エミッタがグランドに接続されるNPNトランジスタ22a,22b(及び後述する22c)で構成されており、両者のベースはトランジスタ22aのコレクタに接続され、電圧/電流変換部21は、電源Vcとトランジスタ22aのコレクタとの間に挿入されている。
【0023】
次段には、カレントミラー回路23が配置されている。カレントミラー回路23は、エミッタが電源Vcに接続されるPNPトランジスタ23a,23bで構成されており、両者のベースはトランジスタ23aのコレクタに接続され、そのコレクタは、トランジスタ22bのコレクタに接続されている。トランジスタ23bのコレクタは、抵抗素子24を介してグランドに接続されている。
【0024】
カレントミラー回路23の次段には、同様にPNPトランジスタ25a,25bで構成されるカレントミラー回路25が配置されており、両者のベースはトランジスタ25aのコレクタに接続され、そのコレクタは、NPNトランジスタ22cのコレクタに接続されている。トランジスタ22cのベースは、ミラー対をなすトランジスタ22aのベースに接続されている。トランジスタ25bのコレクタは、抵抗素子27を介してグランドに接続されている。
【0025】
カレントミラー回路25の次段には、電流源28及び抵抗素子29の直列回路が並列に接続されており、その直列回路の共通接続点(F3)は、オペアンプ30が備えている3つの非反転入力端子の1つに接続されている。非反転入力端子の他の2つは、トランジスタ23b,25bのコレクタ(F1,F2)にそれぞれ接続されている。
【0026】
オペアンプ30の次段には、PNPトランジスタ31a,31bで構成されるカレントミラー回路31が配置されており、両者のベースはトランジスタ31aのコレクタに接続され、そのコレクタは、NPNトランジスタ32のコレクタに接続されている。トランジスタ32のエミッタは、オペアンプ30の反転入力端子に接続されていると共に、可変抵抗素子33を介してグランドに接続され、ベースは、オペアンプ30の出力端子に接続されている。尚、オペアンプ30,トランジスタ32及び抵抗素子33は、オペアンプ回路34を構成している。
【0027】
トランジスタ31bのコレクタは、出力段となる電流/電圧変換部(I/V,出力部)34を介してグランドに接続されており、電流/電圧変換部35より出力される電圧がセンサユニット13の出力電圧Voとなる。
【0028】
ここで、各カレントミラー回路22,23,25,31のミラー比は、例えば以下のように設定されている。
カレントミラー回路22a:22b ミラー比1:4
カレントミラー回路22a:22c ミラー比1:1
カレントミラー回路23,25 ミラー比1:2
カレントミラー回路31 ミラー比1:1
また、抵抗素子24,27,29の抵抗比は、例えば2:1:1に設定されている。
【0029】
図4(a)は、オペアンプ30の内部回路を入力部について概略的に示すものである。電源とグランドとの間には、電流源41,PNPトランジスタ42a,42bよりなる差動対42及びNPNトランジスタ43a,43bよりなるカレントミラー回路43が接続されている。差動対42の非反転入力端子側であるトランジスタ42aのベースと電源との間には電流源44が接続されており、前記ベースとグランドとの間には、3つのPNPトランジスタ45〜47のエミッタ−コレクタが接続されている。そして、これらのトランジスタ45〜47のベースに、入力電圧F1〜F3が与えられる。
【0030】
一方、差動対42の反転入力端子側であるトランジスタ42bのベースと電源との間には電流源48が接続されており、前記ベースとグランドとの間には、PNPトランジスタ49のコレクタ−エミッタが接続されている。そして、トランジスタ49のベースが反転入力端子となり、トランジスタ32のエミッタに接続されている。以上の構成において、トランジスタ42aのベース電位は、入力電圧F1〜F3のうち、電圧レベルが最低を示すものを基準にベース−エミッタ間電圧VFを加えたものとなる。
【0031】
図4(b),(c)は、Gセンサ13aが出力するセンサ信号の電圧に対する,Gセンサユニット13の出力電圧Voの変化特性を示す。尚、説明の都合上、検出レンジG3をG2に置き換えている。この場合、検出レンジと検出感度との関係は以下のように設定されている。
検出レンジ 0−G1 G1−G2 G2−
検出感度 大 小 0(フラット)
そして、検出レンジ(0−G1)は、感度調整部13bの入力電圧F1に応じて決まり、検出レンジ(G1−G2)は入力電圧F2に応じて、検出レンジ(G2−)は入力電圧F3に応じて決まる。
【0032】
上述した各ミラー比及び抵抗比の設定により、入力電圧F2の傾きは、入力電圧F1の傾きに対して1/8となるように設定されている。すなわち、電圧/電流変換部21が流す電流をIとし、抵抗素子27,29の抵抗値をRとすると、
F1=2R×4×2×I=16・RI
F2= R×2×I=2・RI
であるから、両者の傾き変化比は8:1となっている。尚、可変抵抗素子33は、入力電圧F1の傾きを調整するために配置されており、オペアンプ回路34は、入力電圧F1〜F3を電圧/電流変換する作用をなす。
【0033】
したがって、図4(b)に示すように、入力電圧F1に応じた一次関数:直線が入力電圧F2に応じた直線と交差する検出レンジG1までは、出力電圧Voは入力電圧F1に従って変化し、そこから入力電圧F2に応じた直線が入力電圧F3に応じた直線と交差する検出レンジG2までは、出力電圧Voは入力電圧F2に従って変化する。そして、入力電圧F3は一定であるから、予め検出レンジG2に対応する電圧となるように電流源28の電流値と抵抗素子29の抵抗値とを設定しておく。つまり、各検出レンジの上限を示すG1,G2は、感度の変曲点となっている。
また、前後Gセンサユニット12の感度調整部12bも基本的な構成は上記と同様であり、検出レンジ(G3−G4)に対応するカレントミラー回路が追加され、オペアンプの非反転入力端子は4入力となる。
【0034】
次に、本実施例の作用について説明する。センサECU11では、図21及び図22 に示す従来構成の前後メイン用Gセンサ2,前後セーフィング用Gセンサ3,前後用Gセンサ7を統合したものが前後Gセンサユニット12に対応し、左右セーフィングセンサ4,左右用加速度センサ8を統合したものが左右Gセンサユニット13に対応する。
すなわち、これらのセンサユニット12,13は、それぞれ車体の前後方向について発生する加速度、左右方向について発生する加速度を検出する場合、感度調整部12b,13bの作用により、検出レンジの高低に応じてセンサ感度が変化するように構成され、加速度が小さい領域では感度が高く、加速度が大きい領域では感度が低くなることから、単一のユニットで加速度を広いレンジについて検出可能となっている。
【0035】
そして、マイコン14は、前後Gセンサユニット12及び左右Gセンサユニット13の出力信号を参照することで図示しないエアバッグ装置に対して制御信号を出力し、また、それらに加えてヨーレートセンサ9の出力信号も参照することで、図示しないESC装置に対して制御信号を出力する。
【0036】
以上のように本実施例によれば、センサECU11は、加速度センサ12a,13aについて感度調整部12b,13bを備え、複数のカレントミラー回路22,23,25等が加速度センサ12a,13aの出力電圧を変換した電流に基づき倍率が異なるミラー電流をそれぞれ出力すると、オペアンプ回路34は、各ミラー電流に応じた複数の電圧信号のうち最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行い、出力段の電流/電圧変換部35により電圧Voに再変換してマイコン14に出力するようにした。
したがって、1つの加速度センサ12a,13aにより、感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を少なくすることができ、ECU11の外形サイズをより小型にすることができる。そして、マイコン14は、エアバッグ装置用の制御信号とESC装置用の制御信号とを出力するので、各装置を制御するために必要なセンサを統合して1つのモジュールにすることができ、配置スペースを削減することができる。
【0037】
(第2実施例)
図5は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)51は、第1実施例の前後Gセンサユニット12と、縦軸ヨーレートセンサ9に相当する縦軸ヨーレートセンサ52とを統合した、前後Gセンサ・ヨーレートセンサユニット53を備えている。例えば、特開2004−4127号公報には、容量式により構成されるヨーレートセンサ(X軸,Y軸方向に振動可能に指示された振動子をX軸方向に振動させ、Z軸回りに作用する角速度をY軸方向の振動に基づいて検出するもの)が開示されている。
【0038】
上記のような縦軸ヨーレートセンサ52であれば、容量式の加速度センサと一体に構成することは容易であるため、センサユニット53の内部に縦軸ヨーレートセンサ52も含むように構成する。この場合、センサユニット53は、マイコン14に対して前後方向加速度の検出信号と角速度検出信号とをそれぞれ出力する。
以上のように構成される第2実施例によれば、センサECU51に、前後Gセンサユニット12と縦軸ヨーレートセンサ52とを統合したセンサユニット53を備えるので、ECU51を更に小型化することができる。
【0039】
(第3実施例)
図6は本発明の第3実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分について説明する。第3実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)54は、第2実施例の前後Gセンサ・ヨーレートセンサユニット53に、左右Gセンサユニット13を統合したセンサユニット55を備えている。この場合、センサユニット55は、マイコン14に対して、前後方向,左右方向の加速度検出信号と角速度検出信号とをそれぞれ出力する。
以上のように構成される第3実施例によれば、センサECU54に、センサユニット53と左右Gセンサユニット13と統合したセンサユニット55を備えるので、ECU54を更に小型化することができる。
【0040】
(第4実施例)
図7及び図8は本発明の第4実施例を示すものである。図8は、従来のロールーオーバ抑制装置に対して制御信号を出力するセンサECU(力学量センサモジュール)56の構成例である。センサECU56は、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサ57(Y2)と、車体の左右方向,上下方向の加速度をそれぞれ検出する左右セーフィング用Gセンサ(G2)58,上下セーフィング用Gセンサ(G2)59と、これらのセンサ57〜59より出力されるセンサ信号を参照し、図示しないロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力するマイコン60とを備えている。
【0041】
そして、図7に示す第4実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)61は、エアバッグ制御用の前後メイン用Gセンサ2と、前後セーフィング用Gセンサ3とを統合した前後Gセンサユニット62(G3,G4)と、左右セーフィング用Gセンサ4と上記左右セーフィング用Gセンサ58とを統合した左右Gセンサユニット63(G2,G3)と、横軸ヨーレートセンサ57,上下セーフィング用Gセンサ59とを備えて構成されている。
【0042】
Gセンサユニット62,63は、第1実施例と同様に、Gセンサ62a,63aと感度調整部62b,63bとを備えており、感度調整部62b,63bによって加速度の検出レンジ(G3−G4),(G2−G3)に応じた感度の変化を付与するようになっている。そして、マイコン64は、Gセンサユニット62,63並びにセンサ57,59が出力する各種センサ信号を参照し、エアバッグ装置とロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力する。
【0043】
以上のように構成される第4実施例によれば、センサECU61は、前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63に加え、上下セーフィング用Gセンサ59,横軸ヨーレートセンサ57を備え、マイコン64は、エアバッグ装置用の制御信号とロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するので、これらの装置を制御するために必要なセンサを統合して配置スペースを削減することができる。
【0044】
(第5実施例)
図9は本発明の第5実施例を示すものであり、第4実施例と異なる部分について説明する。第5実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)65は、第4実施例の前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63を統合した前後・左右Gセンサユニット66(G2,G3,G4)を備えており、Gセンサユニット66は、マイコン64に対して前後方向の加速度検出信号と、左右方向の加速度検出信号とを出力する。
以上のように構成される第5実施例によれば、センサECU65に、前後Gセンサユニット62,左右Gセンサユニット63を統合したGセンサユニット66を備えるので、センサECU65を更に小型化することができる。
【0045】
(第6実施例)
図10は本発明の第6実施例を示すものであり、第5実施例と異なる部分について説明する。第6実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)67は、第5実施例の前後・左右Gセンサユニット66に、上下セーフィング用Gセンサ59,横軸ヨーレートセンサ57を統合したセンサユニット68を備えている。尚、横軸ヨーレートセンサ57は、縦軸ヨーレートセンサ52と同様に容量式で構成されるヨーレートセンサ57’に置き換えられている。センサユニット68は、マイコン64に対して、前後・左右・上下各方向の加速度検出信号と、角速度検出信号とを出力する。以上のように構成される第6実施例によれば、センサECU67を一層小型に構成することができる。
【0046】
(第7実施例)
図11は本発明の第7実施例を示すものである。第7実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)71は、第1実施例の前後Gセンサユニット12と、左右Gセンサユニット13と、図8に示す左右セーフィング用Gセンサ58とを統合した左右Gセンサユニット72(G1,G2,G3)と、第4実施例の上下セーフィング用Gセンサ59と、縦軸ヨーレートセンサ9と横軸ヨーレートセンサ57とを統合したヨーレートセンサユニット73とを備えている。左右Gセンサユニット72は、Gセンサ72aと感度調整部72bとで構成されている。
そして、マイコン74は、これらのセンサユニット12,72,73並びにセンサ59より出力される各種センサ信号を参照することで、エアバッグ装置,ESC装置,ロールオーバ抑制装置に制御信号を出力する。
【0047】
また、車両の駐車時(IG:OFF)において、センサECU71がバッテリ電源+Bが直接供給されるラインにより動作している場合(+B動作時)に、前後Gセンサユニット12が検出する加速度信号(G1)と、左右Gセンサユニット72が検出する加速度信号(G1)とが与えられると、マイコン74が、図示しない車両盗難防止装置に対してセキュリティ用傾斜信号を出力することも可能である。すなわち、駐車時に車両の盗難が行われる場合には、車体に対して通常よりも大きな外力が加わるため、それを検出することで盗難防止に利用しても良い。
【0048】
以上のように構成される第7実施例によれば、センサECU71は、前後Gセンサユニット12と、左右Gセンサユニット72と、上下セーフィング用Gセンサ59と、ヨーレートセンサユニット73とを備えるので、エアバッグ装置,ESC装置,ロールオーバ抑制装置に制御信号を出力することができ、ECU71を一層小型化することができる。また、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力することで、各装置に応じて必要となるセンサを配置するスペースを更に削減することができる。
【0049】
(第8実施例)
図12は本発明の第8実施例を示すものであり、第7実施例と異なる部分について説明する。第8実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)75は、第7実施例の前後Gセンサユニット12と、ヨーレートセンサユニット73(但し、ヨーレートセンサ9,57は52,57’に置き換えられている)とを統合したセンサユニット76(G1,G3,G4/Y1,Y2)を備えており、センサユニット76は、前後方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第8実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU75を、一層小型に構成することができる。
【0050】
(第9実施例)
図13は本発明の第9実施例を示すものであり、第8実施例と異なる部分について説明する。第9実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)77は、第8実施例のセンサユニット76と、左右Gセンサユニット72とを統合したセンサユニット78を備えており、センサユニット78は、前後方向,左右方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第9実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU77を、一層小型に構成することができる。
【0051】
(第10実施例)
図14は本発明の第10実施例を示すものであり、第9実施例と異なる部分について説明する。第10実施例のセンサECU(力学量センサモジュール)79は、第9実施例のセンサユニット78と、上下Gセンサユニット59とを統合したセンサユニット80を備えており、センサユニット80は、前後方向,左右方向,上下方向の加速度検出信号と、縦軸周り,横軸周りの角速度検出信号とをマイコン74に出力する。以上のように構成される第10実施例によれば、4つの装置に対して制御信号を出力するセンサECU79を、一層小型に構成することができる。
【0052】
(第11実施例)
図15は本発明の第11実施例を示すものである。第11実施例は、容量式のGセンサについて、例えば特開平5−172844号公報に開示されているようなサーボ制御が適用可能に構成されている場合、そのサーボ制御を利用して感度を変更する。Gセンサ81は、2つの固定電極82,83の間に可動電極84が配置されており、サーボ制御部85は、固定電極82,83の間に電圧を印加することでサーボ制御を行うものである。
【0053】
この場合、例えば検出レンジ(0−G1)ではサーボ制御を行うことなく、可動電極84を印加される加速度に応じて変位させ、容量変化に応じて高い感度で検出を行う。そして、検出レンジがG1を超える領域では、サーボ制御部85が固定電極82,83間に電圧を印加することで可動電極84に所定の静電力を作用させる。すると、可動電極84は、印加される加速度に応じた慣性力と静電力との差に応じた分だけ変位するので、その際に、固定電極82,83に印加した電圧と、可動電極84の制御電圧との差に基づいて加速度を検出することができる。またこの時、可動電極84をサーボ制御することで、等価的にセンサ感度を低下させることになる。
【0054】
以上のように構成される第11実施例によれば、Gセンサ81を、固定電極82,83に対する可動電極84の変位状態に応じて加速度検出を行うと共に、可動電極84に対するサーボ制御が可能となる構成とし、サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで検出レンジの高低に応じて感度を変化させるので、検出感度を順次変化させつつ広いレンジに亘って検出を行うことが可能となり、必要なセンサ数を少なくすることができ、Gセンサ81を用いて構成するセンサECUの外形サイズを、より小型にすることができる。
【0055】
(第12実施例)
図16は本発明の第12実施例を示すものである。第12実施例は、第1実施例の感度調整部13bの構成を利用して感動調整を行うための異なる方式を示す。第1実施例では、1つのGセンサ13aが出力するセンサ信号を元に、感度調整部13bが感度を変更するようにしたが、第12実施例では、オペアンプ30の3つの非反転入力端子に、感度設定が異なる3つのGセンサ86,87,88(サブセンサ)を接続する。そして、オペアンプ30以降の構成部分は第1実施例と同様であり、当該部分が感度調整部89を構成しており、Gセンサ86,87,88と感度調整部89とがセンサユニット90を構成している。
【0056】
斯様に構成すれば、感度調整部89は、第1実施例と同様に、3つのGセンサ86,87,88が並行して出力するセンサ信号のうち、電圧レベルが最低を示すものに基づいて電圧/電流変換を行うので、結果として、検出レンジの高低に応じて感度を順次変化させることができる。尚、検出レンジが上限しきい値を超えた場合に、出力電圧Voを第1実施例と同様にフラットにする必要がある場合は、第1実施例の電流源28及び抵抗素子29の直列回路も別途加えれば良い。
【0057】
以上のように構成される第12実施例によれば、検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のGセンサ86,87,88を用い、オペアンプ回路34は、これらのGセンサ86〜88が出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものに従い電圧/電流変換を行うので、センサユニット90を用いてセンサECUを構成する場合に必要なスペースを、従来よりも削減することができる。
【0058】
(第13実施例)
図17は本発明の第13実施例を示すものである。第13実施例は、例えば1つのGセンサを用いて、マイコンがそのセンサ信号を例えば16ビットでA/D変換する際に、変換したデータ値に応じて検出レンジを分けることで、1つのGセンサが検出する加速度の対象が何であるのかを判定し分ける。
【0059】
例えば図17に示すように、16ビットデータの上位6ビット(第15〜第10ビット)が「0」であれば低レベル加速度、上位3ビット(第15〜第13ビット)が「0」であれば中レベル加速度、第13ビットが「1」であれば高レベル加速度であるとして、低レベル加速度はESC用前後センサ7(G1)、中レベル加速度は前後セーフィング用センサ3(G3)、高レベル加速度は前後メイン用Gセンサ2(G4)に対応させる。
【0060】
この場合、高レベルと中レベルの間、中レベルと低レベルとの間のデータ値(両者の境界)は必ずしもオーバーラップさせる必要はない。例えば、高レベル,低レベルで上位,下位8ビットずつ2分しても良いし、第13ビット〜第4ビットは中レベルとして、それより上,下はそれぞれ高レベル,低レベルとしても良い。
以上のように構成すれば、1つのGセンサが出力するセンサ信号のレンジをマイコンが判定し分けることにより、加速度の検出対象を判別することができる。
【0061】
(第14〜第16実施例)
図18〜図20は本発明の第14〜第16実施例であり、これらは検出レンジに応じた感度設定のバリエーションを示す。図18(第14実施例)は感度切り替えの変曲点をG1,G4の2点とした場合であり、図19(第15実施例)は変曲点をG1,G2,G3,G4の4点とした場合である。また、図20(第16実施例)は、ヨーレートセンサについても感度調整部を設けて感度切り替えを行い、変曲点をY1,Y2の2点とした場合である。これらのように、感度切り替えを何段階で行うかは、個別の設計に応じて適宜変更すれば良い。
【0062】
本発明は上記且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
変曲点を跨いでセンサの感度を切替える場合に、センサの検出信号の電圧上昇時,下降時とで、それぞれ現在の検出レンジ−感度に応じた電圧を発生させている構成をそのまま機能させて、感度の切り替わりで出力電圧に大きな変動が生じることを抑制しても良い。例えば変曲点G1について、上昇時は電圧F1の特性が(G1+α)まで、下降時は電圧F2の特性が(G1−β)まで継続するように制御しても良い。
感度調整部を、マイコンの内部に設けても良い。
センサECUは、必ずしも通信を使用する必要はなく、エアバッグ装置等に対して制御信号を直接出力しても良い。
加速度センサや角速度センサ以外の力学量センサを統合して、モジュールを構成しても良い。
制御信号を出力する対象の装置は、エアバッグ装置,ESC装置、ロールオーバ抑制装置や車両盗難防止装置に限ることはない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例であり、センサECUの構成を示す図
【図2】左右Gセンサユニットの出力電圧特性を示す図
【図3】左右Gセンサユニットの構成を、感度調整部について詳細に示す図
【図4】(a)はオペアンプ内の入力部を概略的に示す図、(b),(c)はGセンサの出力信号に対する出力電圧Voの変化特性を示す図
【図5】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【図8】ロールーオーバ抑制装置に制御信号を出力するセンサECUの従来構成図
【図9】本発明の第5実施例を示す図1相当図
【図10】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図11】本発明の第7実施例を示す図1相当図
【図12】本発明の第8実施例を示す図1相当図
【図13】本発明の第9実施例を示す図1相当図
【図14】本発明の第10実施例を示す図1相当図
【図15】本発明の第11実施例であり、サーボ制御が適用可能に構成される容量式Gセンサを示す図
【図16】本発明の第12実施例を示す図3相当図
【図17】本発明の第13実施例であり、Gセンサ信号のA/D変換データを示す図
【図18】本発明の第14実施例を示す図2相当図
【図19】本発明の第15実施例を示す図2相当図
【図20】本発明の第16実施例であり、ヨーレートセンサユニットについての図2相当図
【図21】従来技術を示す図1相当図(その1)
【図22】従来技術を示す図1相当図(その2)
【符号の説明】
【0064】
図面中、9は縦軸ヨーレートセンサ(角速度センサ)、11はセンサECU(力学量センサモジュール)、12は前後Gセンサユニット、12aはGセンサ(加速度センサ)、12bは感度調整部、13は左右Gセンサユニット、13aはGセンサ、13bは感度調整部、14はマイクロコンピュータ、21は電圧/電流変換部、22,23,25はカレントミラー回路、34はオペアンプ回路、35は電流/電圧変換部、51はセンサECU(力学量センサモジュール)、52は縦軸ヨーレートセンサ、53は前後G/ヨーレートセンサユニット、54はセンサECU(力学量センサモジュール)、55はセンサユニット、56はセンサECU(力学量センサモジュール)、57,57’は横軸ヨーレートセンサ、58は左右セーフィング用Gセンサ、59は上下セーフィング用Gセンサ、61はセンサECU(力学量センサモジュール)、62は前後Gセンサユニット、63は左右Gセンサユニット、64はマイクロコンピュータ、65はセンサECU(力学量センサモジュール)、66はGセンサユニット、67はセンサECU(力学量センサモジュール)、68はセンサユニット、71はセンサECU(力学量センサモジュール)、73はヨーレートセンサユニット、74はマイクロコンピュータ、75はセンサECU(力学量センサモジュール)、76はセンサユニット、77はセンサECU(力学量センサモジュール)、78はセンサユニット、79はセンサECU(力学量センサモジュール)、80はセンサユニット、81はGセンサ、82,83は固定電極、84は可動電極、85はサーボ制御部、86〜88はGセンサ(サブセンサ)、89は感度調整部、90はセンサユニットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つについて、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる感度調整部を備え、
前記感度調整部は、前記力学量センサの出力電圧を変換した電流に基づいて、倍率が異なるミラー電流を出力する複数のカレントミラー回路と、
これらのカレントミラー回路が出力するミラー電流に応じて発生する複数の電圧信号のうち、最低レベルを示すものに従って電圧/電流変換を行うように動作するオペアンプ回路と、
このオペアンプ回路により変換された電流信号を電流/電圧変換して前記マイクロコンピュータに出力する出力部とを有して構成されることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項2】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つは、固定電極に対する可動電極の変位状態に応じて検出を行うと共に、前記可動電極に対するサーボ制御が可能に構成されており、
前記サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで、検出レンジの高低に応じて感度を変化させることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項3】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つは、
検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のサブセンサと、
これらのサブセンサが出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものにしたがって電圧/電流変換を行うように動作するオペアンプ回路と、
このオペアンプ回路により変換された電流信号を電流/電圧変換して前記マイクロコンピュータに出力する出力部とを有して構成されることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項4】
前記加速度センサの1つは、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサであり、
前記角速度センサは、車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサであり、
前記マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号と、ESC(Electronic Stability Control)装置用の制御信号とを出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項5】
前記加速度センサの1つは、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサであり、
前記角速度センサは、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサであり、
前記マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号と、ロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項6】
前記前後加速度センサと、前記ヨーレートセンサとを統合したことを特徴とする請求項4又は5記載の力学量センサモジュール。
【請求項7】
前記前後加速度センサと、前記左右加速度センサと、前記ヨーレートセンサとを統合したことを特徴とする請求項4又は5記載の力学量センサモジュール。
【請求項8】
前記加速度センサの他の1つは、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサであり、
前記角速度センサの他の1つは、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサであり、
前記縦軸ヨーレートセンサと横軸ヨーレートセンサとを統合し、
前記マイクロコンピュータは、ロールオーバ抑制装置用の制御信号も出力するように構成されていることを特徴とする請求項4,6,7の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項9】
前記上下加速度センサを、その他のセンサと統合したことを特徴とする請求項8記載の力学量センサモジュール。
【請求項10】
前記マイクロコンピュータは、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項1】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つについて、検出レンジの高低に応じて感度を変化させる感度調整部を備え、
前記感度調整部は、前記力学量センサの出力電圧を変換した電流に基づいて、倍率が異なるミラー電流を出力する複数のカレントミラー回路と、
これらのカレントミラー回路が出力するミラー電流に応じて発生する複数の電圧信号のうち、最低レベルを示すものに従って電圧/電流変換を行うように動作するオペアンプ回路と、
このオペアンプ回路により変換された電流信号を電流/電圧変換して前記マイクロコンピュータに出力する出力部とを有して構成されることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項2】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つは、固定電極に対する可動電極の変位状態に応じて検出を行うと共に、前記可動電極に対するサーボ制御が可能に構成されており、
前記サーボ制御における制御電圧の印加レベルを調整することで、検出レンジの高低に応じて感度を変化させることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項3】
車両に搭載される加速度センサ及び角速度センサと、これらのセンサより出力されるセンサ信号の処理を行うマイクロコンピュータとを備えて一体に構成される力学量センサモジュールにおいて、
前記センサの少なくとも1つは、
検出レンジの高低に応じて感度が異なる複数のサブセンサと、
これらのサブセンサが出力する複数のセンサ信号のうち、最低レベルを示すものにしたがって電圧/電流変換を行うように動作するオペアンプ回路と、
このオペアンプ回路により変換された電流信号を電流/電圧変換して前記マイクロコンピュータに出力する出力部とを有して構成されることを特徴とする力学量センサモジュール。
【請求項4】
前記加速度センサの1つは、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサであり、
前記角速度センサは、車体の垂直軸回りについて発生する角速度を検出する縦軸ヨーレートセンサであり、
前記マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号と、ESC(Electronic Stability Control)装置用の制御信号とを出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項5】
前記加速度センサの1つは、車体の前後方向に加わる加速度を検出する前後加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の左右方向に加わる加速度を検出する左右加速度センサであり、
前記加速度センサの他の1つは、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサであり、
前記角速度センサは、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサであり、
前記マイクロコンピュータは、エアバッグ装置用の制御信号と、ロールオーバ抑制装置用の制御信号とを出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項6】
前記前後加速度センサと、前記ヨーレートセンサとを統合したことを特徴とする請求項4又は5記載の力学量センサモジュール。
【請求項7】
前記前後加速度センサと、前記左右加速度センサと、前記ヨーレートセンサとを統合したことを特徴とする請求項4又は5記載の力学量センサモジュール。
【請求項8】
前記加速度センサの他の1つは、車体の上下方向に加わる加速度を検出する上下加速度センサであり、
前記角速度センサの他の1つは、車体の前後軸回りについて発生する角速度を検出する横軸ヨーレートセンサであり、
前記縦軸ヨーレートセンサと横軸ヨーレートセンサとを統合し、
前記マイクロコンピュータは、ロールオーバ抑制装置用の制御信号も出力するように構成されていることを特徴とする請求項4,6,7の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【請求項9】
前記上下加速度センサを、その他のセンサと統合したことを特徴とする請求項8記載の力学量センサモジュール。
【請求項10】
前記マイクロコンピュータは、車両盗難防止装置に対して車体の傾斜信号も出力するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の力学量センサモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−162485(P2009−162485A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339027(P2007−339027)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]