説明

加熱器

【課題】本発明は、水などの液体から飽和ガスより加熱された過熱ガスあるいは過熱蒸気等の生成等に用いる加熱器に関し、効率的に液体を蒸発させ、気体とする加熱器を提供する。
【解決手段】内部に発熱源となる加熱体と、その加熱体の周辺に介在させた多孔質材2とを備えた加熱部58と、加熱部58の周辺に予熱部55とを備え、加熱対象物は予熱部55から加熱された後、加熱部58で加熱される構造であるので、従来一般的に利用されている安価な加熱体を利用でき低コストとなるばかりでなく、加熱体と最外郭との間に予熱部、多孔質材2が介在し、外部への放熱によるロスが低減する。これにより、小型高効率で安価となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの液体から飽和ガスより加熱された過熱ガスあるいは過熱蒸気等の生成等に用いる加熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過熱水蒸気を生成する場合を例にとって説明すると、従来では、飽和蒸気発生器内において、該内部に設置された飽和蒸気ヒーターにより水を約100℃に加熱して飽和蒸気を生成し、生成した飽和蒸気を過熱器に送り、過熱器内に設置されたパイプ状の過熱ヒーターにより更に飽和蒸気を加熱することで100℃を越える過熱水蒸気を生成していた。
【0003】
しかしながら、この方法では、加熱体となるヒーターが複数必要となるので、コストアップとなる。更に、加熱容器部分として飽和蒸気発生器と過熱器の複数を必要とし、外部へ放熱する面が増加してしまいエネルギーロスが大きくなる。更に、過熱器においては飽和蒸気のようなガス状の物質を加熱するので、加熱体となる過熱ヒーターは伝熱面を多く必要とし、大型化してしまうという課題がある。
【0004】
この課題を解決する手段として、利用可能な蒸気発生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図5は、従来の蒸気発生装置と称した加熱器の一実施例を示す縦断面による側面図である。
【0006】
同図において、ジャケット1内に多孔質材2が収納されており、多孔質材2は水に対して不溶性及び耐蝕性を有するセラミック、金属、耐熱性プラスチック等の材料により構成されている。また、多孔質材2の周りにはヒーター3が設けられ、給水予熱通路4が多孔質材2の一端部に連通し、ジャケット1内のヒーター3の周りに形成されている。
【0007】
また、給水管5は、ジャケット1外の給水圧送ポンプ(図示せず)から給水予熱通路4へ連通し、さらに、蒸気導出管6は、多孔質材2の他端部からジャケット1外へ延出し、また、電線7はヒーター3へ結線されている。そして、ジャケット1は、保温材8により覆われている。
【0008】
次に動作を具体的に説明する。加熱対象物である水は、給水管5を経て給水予熱通路4に供給される。ここで、前記水は、給水予熱通路4を通るときに、ヒーター3により予熱される。また、給水予熱通路4を出る水は、給水定量圧送ポンプ(図示せず)からの圧力により、多孔質材2の一端部へ導入され、多孔質材2に浸透される。
【0009】
このように、供給された水は、多孔質材2の毛細管現象によりその動きが或る程度拘束されながらヒーター3により予熱され、次いで多孔質材2の中間部へ導入される。
【0010】
多孔質材2の中間部へ導入された水は、上記と同様にその動きが拘束されながらヒーター3により加熱され、沸騰、気化されて水蒸気となる。
【0011】
次に、前記水蒸気は、多孔質材2の他端部へ導入され、上記と同様にその動きが拘束されながらヒーター3により加熱され、過熱蒸気となる。そして、この過熱蒸気は、圧力の低い蒸気導出管6内へ流れ、ここからジャケット1の外部へ排出される。
【0012】
このように、上記従来の構成は、加熱対象物である水を、給水管5及び給水圧送ポンプを経て蒸気発生装置の給水予熱通路(蒸気発生装置の略全長を水予熱部とした給水予熱通路)4へ導入し、その給水予熱通路4を通るときに、加熱装置であるヒーター3により予熱する。
【0013】
また、給水予熱通路4を出る水を、給水圧送ポンプからの圧力により、多孔質材2の一端部(水予熱部)へ導入し、ここで多孔質材2に浸透させ、該多孔質材2の毛細管現象により給水の動きを或る程度拘束しながらヒーター3(加熱装置)により予熱し、次いで多孔質材2の中間部(蒸発部)へ導入して、上述と同様に給水の動きを拘束しながらヒーター3(加熱装置)により加熱し、沸騰、気化させて、水蒸気にする。
【0014】
その後、前記水蒸気を多孔質材2の他端部(過熱部)へ導入して、上述と同様に給水の動きを拘束しながらヒーター3(加熱装置)により加熱し、過熱蒸気にして、この過熱蒸気を圧力の低い蒸気導出管6内へ導出する流れを形成するものである。
【0015】
したがって、上記従来の構成は、加熱体となるヒーター3を複数必要とせず、低コスト化が可能であり、更に、飽和蒸気発生部分と過熱蒸気生成部分とを一体化しているので、外部へ放熱する面が低減でき、エネルギーロスが小さくなる。更に、内表面積の非常に広い多孔質材2を介して加熱するので、大型の伝熱部材を必要としなくて、小型化できる利点を有している。
【特許文献1】特公平6−3307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の加熱器では、加熱装置として内部が空洞である管状のヒーター3が必要であり、通常の市販されている棒状ヒーターのような単純なものと比較するとコストが高くなる。また、最も高温となる発熱体のヒーター3が外郭の保温材8部に近いため、放熱によるエネルギーロスが多く、これは高温の蒸気を得ようとするほど顕著となり、これを抑制するためには、保温材8を、高価な高断熱の材料とするか、厚みを厚くする必要がある。
【0017】
しかし、前者ならば高コスト化の要因となり、後者ならば大型化する。したがって、水のように蒸発潜熱の大きい物質を蒸発させる場合には、低コストで少しでもエネルギーロスを減らして消費電力を低減することが好ましいが、上記従来の構成は、低コスト、小型化、低エネルギーで蒸気生成が行えるよう改善が求められるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本発明は、加熱部を、内部に設けた発熱源となる加熱体と該加熱体の周辺に介在させた多孔質材より構成し、さらに、前記加熱部の周辺に予熱部を設けたものである。
【0019】
したがって、加熱対象物は予熱部から加熱された後、加熱部で加熱されることになるが、かかる構成は、最も高温となる加熱体から最外郭までの間に前記多孔質材が介在するため、前記多孔質材が断熱作用をなし、最外郭への放熱を低減する。
【0020】
また、前記加熱体は、周辺が前記多孔質材にて覆われているため、加熱対象物は前記加熱体の周囲を通過するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外郭から内部中心に向けて予熱部、加熱部が構成され、さらに、加熱部の内部には、前記加熱部の外郭から多孔質材を介して発熱源となる加熱体が設置されているため、最も高温となる加熱体から最外郭までの間に加熱対象物だけでなく、多孔質材が介在し、それが断熱となり最外郭への放熱ロスが低減できる。
【0022】
また、内部空洞を有した管状となる加熱体を必要とせず、市販されている棒状や板状のものが利用できるため低コスト化がはかれる。
【0023】
以上のように、本発明によれば、小型高効率、かつ低コストで蒸気生成が行える加熱器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
請求項1に記載の発明は、内部に発熱源となる加熱体および前記加熱体の周辺に介在させた多孔質材とを備えた加熱部と、前記加熱部の周辺に予熱部とを備え、加熱対象物が前記予熱部から加熱された後、前記加熱部で加熱される加熱器としたものである。
【0025】
したがって、前記加熱対象物は予熱部から加熱された後、加熱部で加熱されるため、加熱体となるヒーターを複数必要とせず、低コスト化が可能であり、また、飽和蒸気発生部分と過熱蒸気生成部分とを一体化しているため、外部へ放熱する面が低減でき、エネルギーロスを抑えることができる。さらに、内表面積が非常に広い多孔質材を介して加熱するため、大型の伝熱部材を必要とせず、小型化がはかれるとともに、加熱装置として市販されている棒状や板状の電気ヒーターの使用が可能となる。
【0026】
したがって、より低コスト化がはかれるだけでなく、発熱源となる加熱体と最外郭との間には予熱部、多孔質材が介在するため、従来の予熱部分だけの構成と比較して介在物が多く、結果、前記介在物が断熱作用を果たし、外部への放熱によるロスをより低減し、さらなるエネルギーロスの低減が可能となり、また、外郭の断熱を薄くして小型化する、あるいは低価格な断熱材が利用可能となり、低コスト化がはかれるものである。
【0027】
請求項2に記載の発明は、前記予熱部の内部に多孔質材を設置したもので、予熱部内の多孔質材は、前記加熱部内に設置された多孔質材より少量でよく、しかも、予熱部に多孔質が介在することから、より外部への放熱によるロスが低減できるとともに、前記予熱部での熱交換面積も増加し、小型化できる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、前記多孔質材を、アルミナを主成分とする材料としたもので、多孔質材としてアルミナを主成分とする材料を使用するため、金属より非表面積の大きいものの製作が容易であり、かつ安価となる。さらに、熱膨張が少ないことから、充填率が高くても加熱の作動、停止により、多孔質材自らの破損、予熱部や加熱部の外郭壁の破損が抑制できる。
【0029】
また、加熱対象物が水の場合、100℃を越える温度で水分を脱着することから、排出口から液体が排出されることも抑制される。例えば、種類にもよるが、活性アルミナなどでは160℃〜180℃以上が脱水脱温となるので、加熱部と予熱部の境になる加熱部付近が仮に水の凝縮温度以下(100℃以下)となった場合でも、水を吸着して外部へ排出されるのを抑制する。
【0030】
請求項4に記載の発明は、前記予熱部により前記加熱対象物の液体の一部を蒸発して気体とし、その体積膨張を利用して、先に蒸発した気体を前記加熱部へ流通させ、外部へ排出するものである。
【0031】
したがって、前記加熱対象物の流通の駆動力に、自らの体積膨張を利用することができ、その結果、前記加熱対象物を多孔質材に流通させるために、圧送ポンプのような駆動装置を必要とすることがなく、小型で低コスト化がはかれると共に機器の信頼性が向上する。
【0032】
請求項5に記載の発明は、前記予熱部を、一端に開閉可能な加熱対象物の液体を供給する供給口を備え、他端に前記加熱部の一端と連通する連通部を有し、前記供給口を閉止して前記加熱対象物の液体の一部を蒸発、ガス化させるもので、構成の簡素化がはかれるものである。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一の構成及び差異がない部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1における加熱器の縦断面による側面図、図2は同加熱器の縦断面による正面図である。
【0035】
図1、図2において、加熱器本体50は、周囲がグラスウール等の保温材8で覆われており、保温材8の内部に、ステンレスなどの耐水性、耐熱性のある材料からなる管状の予熱管51と、さらに内部に、予熱管51と同様の機能を有する材料からなり、かつ予熱管51の内径より小さい外径寸法である管状の加熱管52と、加熱管52の内径より小さい外径寸法である棒状ヒーター53が配置されている。さらに、加熱管52の管内面と棒状ヒーター53の管外表面と間、および予熱管51内表面と加熱管52外表面には、多孔質材2a、2bがそれぞれ設置・充填されている。多孔質材2a、2bは、アルミナを主成分とするものであり、細孔を有する粒状の物を多数個充填しても良く、この場合は粒の最小外径より小さいメッシュにて粒が所定位置範囲内より大きく移動しないように処置を講ずる必要がある。
【0036】
したがって、予熱管51内表面と加熱管52外表面で形成される予熱空間(以下、予熱部と称す)55、および加熱管52内表面と棒状ヒーター53外表面で形成される空間(以下、加熱部と称す)58は、それぞれ独立しており、これらの両空間は、後述する流入口54および排出口57から最も離れた位置(図1の右端)に形成された連通空間56でつながっている。
【0037】
予熱管51には、一端部(図1左端部)に、加熱器本体50を貫通し、内部に開口した流入口54と排出口57がそれぞれ相対して設けられている。流入口54は、予熱管51における軸方向に対して上部直角方向(径方向)から加熱対象流体を流入させる如く直径方向に設けられている。また、加熱管52は、流入口54と排出口57を遮断し、排出口57と連通している。したがって、排出口57は、加熱管52からの加熱流体を加熱管52における軸方向に対して下部直角方向(径方向)に排出する如く直系方向に設けられている。
【0038】
棒状ヒーター53はシーズヒーターなどのニクロム線やカンタル線を絶縁体で被覆し、耐水性と耐熱性を有する材料で覆ったものであり、両端に電線7が結線されている。もちろん、水などの導電物質を流通させた場合でも漏電無きように施されていることは言うまでもない。
【0039】
なお、図中の矢印は、加熱対象流体および加熱流体の流通方向を示している。
【0040】
以上のように構成された加熱器について、以下その動作、作用を説明する。ここでは、加熱対象流体を水とし、100℃を越える過熱水蒸気を生成する場合について述べる。
【0041】
電線7より棒状ヒーター53に通電を開始すると、棒状ヒーター53が発熱し、加熱部58の多孔質材2b、加熱管52の壁、予熱部55の多孔質材2aが順次加熱される。そして、加熱部58と予熱部55が昇温し、例えば予熱部55に設けた温度センサ(図示せず)により、予熱部55の温度が100℃を超える所定温度になると、予熱管51の流入口54から水が流入される。このとき、棒状ヒーター53の発熱は、加熱部58に設けた多孔質材2から加熱管52の管壁を経て予熱部55に設けた多孔質材2aで形成される大きな熱交換面から水に伝熱される。したがって、水は蒸発し、100℃の蒸気となって連通口56から加熱部58に流入する。
【0042】
そして、加熱部58では、連通口56から流入してきた蒸気が、棒状ヒーター53により伝熱して高温となっている多孔質材2bの細孔内を通過する。このとき、棒状ヒーター53からの熱を比表面積の大きい多孔質材2bを通じて蒸気を加熱することになり、大きな熱交換面積で蒸気が加熱され、排気口57より過熱蒸気となって排出され、適宜利用される。
【0043】
また、仮に加熱管52の管内面付近に位置する部分の温度が、管外壁での水の蒸発により蒸発温度である100℃となった場合は、蒸気の一部が凝縮して水となる場合や、蒸発しないまま流入することがあるが、その水分はその温度の部分にある多孔質材2bに吸着され、外部への排出が抑制される。そして、吸着した水は、吸着の飽和により高温部へ移動したり、また、多孔質材2b内部の細部で毛細管現象や拡散などで蒸発するだけの現象を生じる高温部へ移動したり、エジェクタと同様の原理による圧力差により蒸気流通している部分、つまり、蒸気として存在するだけの高温部、すなわち、前述の如く水が蒸発する部分に流入する。
【0044】
これにより、多孔質材2bに吸着された水は、水蒸気となって外部へ排出される。つまり、水が混入した状態で外部へ排出されることが抑制される。
【0045】
以上のように、加熱体となるヒーター53は、一般に広く利用されている従来の棒状ヒーターを利用しているので、低コスト化が可能であり、さらに、飽和蒸気発生部分(予熱部55)と過熱蒸気生成部分(加熱部58)とを一体化しているので、外部へ放熱する面が低減でき、エネルギーロスが小さくなる。また、内表面積の非常に広い多孔質材2a、2bを介して加熱するので、大型の伝熱部材を不要とし、小型化できる。これに加えて、発熱源となる加熱体と最外郭との間には予熱部55および多孔質材2aが介在するため、従来の予熱部分だけに比べると介在物が多く、それが断熱機能に寄与することから、外部への放熱によるロスがより低減でき、さらなるエネルギーロスの低減が可能となる。また、外郭の断熱を薄くして小型化する、もしくは低価格な断熱材の利用が可能となり、低コスト化がはかれる。
【0046】
(実施の形態2)
図3は本実施の形態2における加熱器の縦断面による側面図、図4は同過熱器における要部を透過した斜視図である。なお、先の実施の形態1と同一構成及び差異がない部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図3、図4において、蒸発器61は、周囲を保温材8で覆われた箱(容器)状に形成され、必要量の水を一時貯留し、この貯留した水を蒸発する。蒸発器61の内部には、加熱容器62が収納されている。
【0048】
加熱容器62は箱(容器)状に形成され、内部に棒状のヒーターを蛇行して引き回した蛇行ヒーター63が設置され、蛇行ヒーター63と加熱容器62の内壁面との間には、多孔質材2bが充填収納されている。
【0049】
蒸発器61、加熱容器62、および蛇行ヒーター63は、それぞれ耐水性、耐熱性を有する材料で形成されている。
【0050】
また、蒸発器61の上方面の端部(図3の左端)には、電動式の開閉弁64を有する流入口54が設けられており、また流入口54と離れた他端(図3の右端)には、連通管65が接続されている。
【0051】
連通管65は、両端開口が同一面に開口した略U文字形の通路に形成され、一端の開口部は、蒸発器61の上部において下方に開口し、他端は、加熱容器62の上面に接続されている。したがって、蒸発器61内部空間と加熱容器62の内部とは連通されている。連通管65は、直管をU文字状もしくはJ文字状に折り曲げ加工で形成することも可能である。
【0052】
加熱容器62における連通管65との接続部から離れた端部(図3の左端)には、加熱容器62の内部に連通した排出口57が設けられ、加熱容器62内の気体は、この排出口57から蒸発器61の外部へ排出される。
【0053】
以上のように構成された加熱器について、以下その動作、作用を説明する。ここでは、加熱対象物である流体を水とし、100℃を越える過熱水蒸気を生成する場合について述べる。
【0054】
開閉弁64を開放して、流入口54から必要量の水を蒸発器61へ注入し、開閉弁64を閉止する。つまり、予熱部55にあらかじめ必要量の水を注入し貯留しておく。このとき、蒸発器61の水が連通管65から加熱容器62へ流入しない水面となるだけの注入量とする。
【0055】
その後、蛇行ヒーター63に通電を開始すると、蛇行ヒーター63が加熱され、蛇行ヒーター周囲にある多孔質材2が加熱され、更に多孔質材2を介して加熱容器62が加熱され、加熱容器62を介して蒸発器61内に貯留された水が加熱される。
【0056】
このようにして加熱された水は、所定時間経つと100℃となり、一部が蒸発する。この蒸発した水蒸気は、連通管65を通じて加熱容器62に流入し、多孔質材2bを通じて更に加熱されて過熱水蒸気となり、排出口57から外部へ排出され、適宜利用される。
【0057】
以上のように、加熱体となるヒーターは一般に広く利用されている棒状ヒーターを蛇行状に加工した従来品を利用しているので、低コスト化が可能であり、さらに、飽和蒸気発生部分と過熱蒸気生成部分とを一体化しているので、外部へ放熱する面が低減でき、エネルギーロスが小さくなる。また、内表面積の非常に広い多孔質材2bを介して加熱するので、大型の伝熱部材を必要とせず、小型化できる。これに加えて、発熱源となる加熱体(蛇行ヒーター63)と最外郭との間には予熱部55、多孔質材2bが介在するため、従来の予熱部分だけに比べると介在物が多く、それが断熱作用に寄与することから外部への放熱によるロスがより低減し、さらなるエネルギーロスの低減化が可能であり、また、外郭の断熱を薄くしての小型化あるいは、低価格な断熱材の利用が可能となり、低コスト化がはかれる。
【0058】
さらに、予熱部55へ水を随時送水する必要がなくなるため、送水手段を必要とする場合は、その送水手段にかかる費用や送水手段を動かすエネルギーが低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる加熱器は、スチーム調理器やスチームクリーナーなどの水蒸気や過熱蒸気を効率的に発生させる加熱器として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱器の縦断面による側面図
【図2】同実施の形態1における加熱器の縦断面による正面図
【図3】本発明の実施の形態2における加熱器の縦断面による側面図
【図4】同実施の形態2における加熱器の要部を透過した斜視図
【図5】従来例を示す加熱器の縦断面による側面図
【符号の説明】
【0061】
2a 多孔質材
2b 多孔質材
8 保温材
50 加熱器本体
51 予熱管
52 加熱管
53 棒状ヒーター
54 流入口
55 予熱部
57 排出口
58 加熱部
61 蒸発器
62 加熱容器
63 蛇行ヒーター
65 連通管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に発熱源となる加熱体および前記加熱体の周辺に介在させた多孔質材とを備えた加熱部と、前記加熱部の周辺に予熱部とを備え、加熱対象物は前記予熱部から加熱された後、前記加熱部で加熱される加熱器。
【請求項2】
前記予熱部の内部に多孔質材が設置された請求項1に記載の加熱器。
【請求項3】
前記多孔質材は、アルミナを主成分とする材料である請求項1または請求項2に記載の加熱器。
【請求項4】
前記予熱部により前記加熱対象物の液体の一部を蒸発して気体とし、その体積膨張を利用して、先に蒸発した気体を前記加熱部へ流通させ、外部へ排出する請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱器。
【請求項5】
前記予熱部は、一端に開閉可能な加熱対象物の液体を供給する供給口を備え、他端に前記加熱部の一端と連通する連通部を有し、前記供給口を閉止して前記加熱対象物の液体の一部を蒸発させてガスとする請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−138522(P2006−138522A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327438(P2004−327438)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】