説明

加熱炉及び処理材の加熱方法

【課題】加熱炉内の温度分布のムラを低減した加熱炉及び処理材の加熱方法を提供する。
【解決手段】帯状の処理材200の表面に熱風wを吹き付ける吹付け面15を有する吹き付け部10と、熱風wを吐出する送風手段22と、処理材200の一方の端面201に臨む方向で吹き付け部に連通し、送風手段22から吐出された熱風wを処理材200の幅方向に平行になるように吹き付け部に導入する熱風流路20とを備えた加熱炉101、102であって、吹付け面15のうち処理材200の移動する長手方向Lにおいて、連通部30の一部を少なくとも含む位置に、熱風wの流速を低下させる流速低下部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続式の加熱炉、及び金属ストリップ等の処理材の加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ストリップ等の処理材は加熱炉(例えば、連続焼鈍炉)によって熱処理され、結晶粒度や各種特性を所定の範囲に調整されている。このような加熱炉は、処理材を通過させる炉体(チャンバー)と、炉体に接続された熱風流路とを備え、熱風流路に配置されたファンから炉体内に熱風を吹き付けるタイプのものが多用されている。
このようなことから、ストリップの表面に対向配置されたファンから、ストリップに熱風を吹き付けるタイプの連続加熱炉が開発されている(特許文献1)。
【0003】
又、縦型の焼鈍炉等の場合、設置スペースの制限から、図8に示すようにストリップ200の一方の端面201に対向してファン22を配置した加熱炉1000がある。ファン22から吐出された熱風wは、熱風流路20を介して吹き付け部100に導入され、吹き付け部100に設けられた吹付け面150からストリップ200の表面に熱風wが吹き付けられる。なお理解を容易にするため、図8において、ストリップ200と吹付け面150とを離間して表示してあるが、実際にはストリップ200が吹付け面150に近接している。又、吹付け面150には多数の開口150a、150bが形成され、ファン22から吹き付け部100内に導入された熱風wは、開口150a、150bからストリップ200に吹付けられる。
さらに、熱風吹付け式の加熱炉において、炉内の温度分布を均一にするため、熱風の吐出風量を巾方向に均等分散する風量分散装置を設けた焼付炉が開発されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3893629号公報(0009、図1)
【特許文献2】特許第2663501号公報(請求項1、第2図の符号28)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した図8に示す加熱炉1000の場合、ファン22からの熱風wは、熱風流路20と吹き付け部100の連通部300から吹き付け部10内に入り、連通部300側の面160と反対側の面180に当った後、ストリップ200の移動する長手方向Lに渦状に流れてゆく(図8の太字の矢印参照)。このため、渦流の中心部分150x、150yには熱風wがあまり循環せず、中心部分150x、150yの温度が周囲より低温になり温度分布にムラが生じるという問題がある。
又、加熱炉1000の場合、ファン22がストリップ200の一方の端面201側に偏って配置されているため、特許文献1に記載されたタイプの加熱炉に比べ、ストリップ200の幅方向での温度分布のムラも大きくなる。
【0006】
図9は、所定の条件(後述)で加熱炉1000内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果である。渦流の中心部分150x、150yで流速が低下し(図9(a))、温度も低くなる(図9(b))ことがわかる。又、ストリップ200の幅方向Wdから見たとき、連通部300に相当する領域150cにおいて、反対側の面180側で流速が高く(図9(a))、温度も高くなり(図9(b))、幅方向Wdに沿って温度ムラが生じることがわかる。
特に、単に塗料を焼付ける場合と異なり、金属の焼鈍等の場合には結晶成長等が温度によって大きく影響されるため、炉内での温度分布の均一性が重要となる。例えば、銅合金のストリップを焼鈍する場合、結晶粒径を微細にすることが必要であるため、炉内の温度ムラが大きいと、部分的に結晶粒が粗大になる恐れがある。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、加熱炉内の温度分布のムラを低減した加熱炉及び処理材の加熱方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の加熱炉は、帯状の処理材の表面に熱風を吹き付ける吹付け面を有し、かつ内部空間を有する吹き付け部と、前記熱風を吐出する送風手段と、前記処理材の一方の端面に臨む方向で前記吹き付け部に連通し、前記送風手段から吐出された前記熱風を前記処理材の幅方向に平行になるように前記吹き付け部に導入する熱風流路とを備えた加熱炉であって、前記吹付け面のうち前記処理材の移動する長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置に、前記熱風の流速を低下させる流速低下部材が設けられている。
このようにすると、熱風の流速が最も高くなる連通部近傍の熱風の流速が低下し、その分だけ吹付け面の他の部分へ熱風が流れ、長手方向の流速分布(温度分布)のムラが低減する。また、熱風の流速が処理材の幅方向で均一になるため、熱風が処理材に対して与える圧力も幅方向で均一になり、幅方向で圧力が不均一の場合に生じる加熱炉内での処理材のネジレを防止することができる。
【0008】
前記流速低下部材は、前記長手方向に垂直な方向の中心より前記連通部の反対側に配置されていることが好ましい。
このようにすると、連通部から吹き出して連通部の反対側に高い流速で熱風が流れることを抑制し、幅方向の流速分布(温度分布)のムラが低減する。
【0009】
前記吹付け面には、前記熱風を通過させる開口が設けられ、前記流速低下部材は、前記吹付け面のうち前記長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置の前記開口の開口率を、前記吹付け面の他の開口率より低くして構成されていてもよい。
前記流速低下部材は、前記開口の開口率を0%とした邪魔板であってもよい。
前記吹付け面は、前記処理材の表面と平行であるか、又は前記処理材の表面に対して斜めに配置されていてもよい。
前記吹き付け部の前記内部空間に、整流板が配置されていてもよい。
【0010】
本発明の処理材の加熱方法は、帯状の処理材に吹付け面から熱風を吹き付ける方法であって、前記吹付け面を有し、かつ内部空間を有する吹き付け部と、前記処理材の一方の端面に臨む方向で前記吹き付け部に連通し、熱風を前記処理材の幅方向に平行になるように前記吹き付け部に導入する熱風流路とを備えた加熱炉を用い、前記吹付け面のうち前記処理材の移動する長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置に、前記熱風の流速を低下させる流速低下部材が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱炉内の温度分布のムラを低減することができる。また、熱風の流速が処理材の幅方向で均一になるため、熱風が処理材に対して与える圧力も幅方向で均一になり、幅方向で圧力が不均一の場合に生じる加熱炉内での処理材のネジレを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加熱炉を示す斜視図である。
【図2】加熱炉の吹付け面近傍の構造を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態における、加熱炉内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る加熱炉を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態における、加熱炉内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果を示す図である。
【図6】図5及び図9の流速分布及び温度分布を、幅方向から見た結果を示すである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る加熱炉を示す図である。
【図8】ストリップの一方の端面に対向してファンを配置した従来の加熱炉を示す斜視図である。
【図9】図8の加熱炉内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る加熱炉を示す上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る加熱炉について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る加熱炉を示す図である。
図1において、同一構造の2つの加熱炉101、102が吹付け面15、15同士を対向させて配置され、吹付け面15、15の間を銅ストリップ(帯状の処理材)200が通過する際に加熱(熱処理)されるようになっている。なお、加熱炉101、102をさらに所定の炉体に収容してもよい。又、この実施形態では、銅ストリップ200の長手方向に加熱炉101、102が連続して複数組配置され、これら複数の加熱炉101、102の組で銅ストリップ200が順次加熱されるようになっている。
なお、銅ストリップ200の移動する方向を長手方向Lとする。この実施形態では、銅ストリップ200が上下方向に移動し、加熱炉101、102は縦型炉となっている。
【0014】
加熱炉101は、銅ストリップ200の表面に熱風wを吹き付ける吹付け面15を有する吹き付け部10と、熱風wを吐出するファン(送風手段)22と、銅ストリップ200の一方の端面201に臨む方向で吹き付け部10に連通する熱風流路20とを備えている。吹き付け部10は銅ストリップ200の表面に対向する面が開口する略矩形状をなし、この開口内部に、銅ストリップ200の表面に対して斜めに吹付け面15が形成されている。又、吹き付け部10は内部空間10aを有し、吹付け面15は、内部空間10aと銅ストリップ200の表面との間に位置している。又、熱風流路20は内部空間10aに連通している。吹付け面15はパンチングメタルから成り、そのパンチング(開口)から熱風wが吹き出すようになっている。又、長手方向Lにおいて、吹き付け部10の下端(銅ストリップ200の入側)12と上端(銅ストリップ200の出側)11とのほぼ中間位置に熱風流路20が接続されている。
【0015】
一方、吹き付け部10との連通部30と反対側の熱風流路20にファン22が接続されている。ファン22はシロッコファンであり、回転羽根22bの軸心22a方向から熱風を吸い込み、熱風流路20に向かって吐出すようになっている。なお、熱風は、例えば可燃ガスを燃焼して生成させることができる。そして、ファン22から吐出された熱風wは熱風流路20で整流され、銅ストリップ200の幅方向(長手方向Lに垂直な方向)に平行に流れつつ吹き付け部10内に導入される。
なお、加熱炉102も加熱炉101と同一の構成を有するので、その説明を省略する。又、加熱炉101と加熱炉102は、熱風流路20が互いに反対向きになるように配置されている。
【0016】
図2は、加熱炉101の吹付け面15近傍の構造を示す図である。上記したように、吹付け面15は、開口15a、15bを有するパンチングメタルからなっている。吹付け面15のうち、長手方向Lにおいて連通部30に相当する領域15cに開口15aが形成され、その他の部分に開口15bが形成されている。なお、吹付け面15は、連通部30が設けられた吹き付け部10の側面16側で吹き付け部10の前面へ突出し、側面16と反対側の側面18で吹き付け部10の背面に接続しており、銅ストリップ200の表面に対して吹付け面15が斜めになっている。そして、吹き付け部10本体と吹付け面15で囲まれる内部空間10aに連通部30から熱風wが導入され、開口15a、15bから外部に吹き出すようになっている。
又、吹付け面15の長手方向Lにおいて、連通部30を含み連通部30と下端12との間の位置では、パンチングメタルの開口率が0%となる領域が長手方向Lに細長く形成され、この領域が邪魔板(流速低下部材)41を構成している。邪魔板41となる吹付け面15では開口15a、15bが無く、連通部30を含む部分における熱風wの流速が低下する。なお、邪魔板41は、銅ストリップ200の幅方向(長手方向Lに垂直な方向)の中心C上に位置している。
【0017】
吹付け面15のうち、長手方向Lにおいて連通部30を含む部分を領域15cとすると、領域15cで熱風の流速が最も高くなる。従って、領域15cに邪魔板41を設けると、領域15cの熱風の流速が低下し、その分だけ吹付け面15の他の部分へ熱風が流れ、流速分布のムラが低減する。
【0018】
図3は、邪魔板41を設けた場合の、加熱炉101内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果である。又、図9は、邪魔板41が無い場合(図9の加熱炉1000に相当)の、炉内の熱風の流速分布及び温度分布を数値計算した結果である。
図9の場合、渦流の中心部分150x、150yで流速が低下し(図9(a))、温度も低くなる(図9(b))ことがわかる。又、銅ストリップ200の幅方向Wdから見たとき、連通部30の反対側の面180側で流速が高く(図9(a))、温度も高くなり(図9(b))、幅方向Wdの端部の温度が高くなることがわかる。
一方、図3の場合、渦流の中心部分150x、150yに相当する位置15x、15yの流速が高くなり(図3(a))、その場所の温度も上昇する(図3(b))ことがわかる。又、ストリップ200の幅方向Wdから見たとき、邪魔板41近傍の中央部15sの流速が高くなって(図3(a))、その場所の温度も高くなり(図3(b))、幅方向Wdに沿った温度ムラが低減されたことがわかる。
【0019】
上記した数値計算は以下の条件で行った。銅ストリップ200を銅合金とし、所定の密度、比熱、通板速度、板厚、及び熱伝導度を設定した。又、ファンから吐出される熱風の温度、流速を設定し、吹付け面15の開口率から圧力損失を算出した。そして、熱風の物性値の温度依存性を考慮するために、非圧縮の理想気体の状態方程式を用い、室温の銅ストリップ200に上記条件で熱風が吹き付けられたときの、熱風の流速分布及び温度分布を計算した。
なお、銅ストリップ200の幅を600mm、銅ストリップ200表面と吹き付け部10との距離を100mm、吹き付け部10の幅及び長手方向長さをそれぞれ950mm、4500mmとした。又、連通部30の位置を、長手方向Lの中央よりやや上方(出側11側)とした。
【0020】
以上のように、熱風流路20から吹き付けられて熱風の最も流速が高くなる領域15cに邪魔板41を形成することで、領域15cの熱風の流速が低下して渦流の中心部分15x、15yとの流速の差が小さくなり、長手方向Lの流速分布(=温度分布)のムラを低減させることができる。又、幅方向Wdの流速分布(=温度分布)のムラも低減する。
【0021】
次に、図4を参照して本発明の第2の実施形態に係る加熱炉103の構成について説明する。第2の実施形態に係る加熱炉103は、邪魔板42、43が異なること以外は、第1の実施形態に係る加熱炉101と同一であるので、同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図4において、長手方向Lにおける連通部30の中央位置でかつ中心C上に、パンチングメタルの開口率が0%となる領域が長手方向Lに細長く形成され、この領域が邪魔板(流速低下部材)42を構成している。又、吹付け面15の長手方向Lのほぼ全長にわたり、かつ側面18に隣接した位置に、パンチングメタルの開口率が0%となる領域が長手方向Lに細長く形成され、この領域が邪魔板(流速低下部材)43を構成している。従って、吹付け面15のうち、邪魔板42,43が形成された部分では開口15a、15bが閉塞されるので、連通部30を含む部分における熱風wの流速が低下する。
【0022】
図5は、邪魔板42、43を設けた場合の、加熱炉103内の熱風の流速分布及び温度分布を図3と同様に計算した結果である。図9の場合(邪魔板なし)に比べ、渦流の中心部分15x、15yに相当する位置の流速が高くなり(図5(a))、温度も上昇する(図5(b))ことがわかる。又、銅ストリップ200の幅方向Wdから見たとき、図9の場合(邪魔板無し)には面18側で流速が高かったのに対し、面18に隣接して邪魔板43を形成した図5の場合、面18側の流速が低下して(図5(a))、温度も低くなり(図5(b))、幅方向Wdに沿った温度ムラが低減されたことがわかる。
【0023】
図6は、図4及び図8にそれぞれ相当する加熱炉を用いた場合の、L方向に沿った温度分布を示す。なお、図6の縦軸は、L方向の各位置において、銅ストリップ200の幅方向のエッジ部と中心部の温度差Δである。
図8の場合(邪魔板無し)に比べ、邪魔板42,43を設けることで、銅ストリップ200の温度差ΔがL方向で低減されたことがわかる。
【0024】
次に、図7を参照して本発明の第3の実施形態に係る加熱炉の構成について説明する。第3の実施形態に係る加熱炉は、吹付け面15xが異なること以外は、第1の実施形態に係る加熱炉101と同一であるので、吹付け面15x以外の説明を省略する。
図7は、吹付け面15xの構成を示す。第3の実施形態においては、邪魔板は設けられず、吹付け面15x全面がパンチングメタルとなっていて、領域15cでのパンチング(開口)の開口率を低くすることによって、領域15cの流速を低下させている。つまり、吹付け面15xの開口率を変化させて流速低下部材が構成されている。
ここで、開口率とは、吹付け面15xの単位面積当りの開口面積であり、開口径や開口数を変えることで開口率を調整することができる。例えば、開口径を小さくし、単位面積当りの開口数を少なくすれば、開口率が低くなる。
【0025】
具体的には、領域15cでの開口15s2、15t2、15u2の開口率を、上端11の開口15s1、15t1、15u1及び下端1の開口15s3、15t3、15u3の開口率より低くする。(15s1=15s3>15s2、15t1=15t3>15t2、15u1=15u3>15u2)。これにより、吹付け面15xのうち、連通部30を含む部分における熱風wの流速が低下する。
又、好ましくは、吹付け面15xの幅方向の開口率を、中心Cが最も高く、側面18側が最も低くなるようにする(15s1<15u1<15t1、15s2<15u2<15t2、15s3<15u3<15t3)。これにより、吹付け面15xのうち、最も流速が高くなっていた側面18側の熱風wの流速が低下し、一方で中心の流速が高くなるので、幅方向に沿った流速ムラ(温度ムラ)が低減する。
なお、長手方向Lにおいて、領域15cから上端11及び下端1に向かい開口率が徐々に高くなるようにすると好ましい。同様に、幅方向において、中心Cから側面16及び側面18に向かい開口率が徐々に変化するようにすると好ましい。
【0026】
次に、図10を参照して本発明の第4の実施形態に係る加熱炉104の構成について説明する。第4の実施形態に係る加熱炉104は、吹付け面15の配置方法が異なると共に、吹き付け部10の内部空間10aに整流板19を設けたこと以外は、第1の実施形態に係る加熱炉101と同一であるので、同一部分について同一符号を付してその説明を省略する。なお、図10は、L方向に垂直な方向(上面)から見た上面断面図である。
図10において、吹付け面15は、銅ストリップ200の表面と平行になるように配置されている。又、吹き付け部10の対角線上の位置に、吹き付け部10を仕切るようにパンチングメタル(整流板)19を設けている。
この整流板19についても、吹付け面15と同様に邪魔板を設け、長手方向Lにおいて連通部30を含む部分の熱風流速を低減すると、吹付け面15の邪魔板との相乗効果により、長手方向Lの熱風流速のムラをさらに低減することができる。なお、整流板19を内部空間10aに複数枚設けてもよい。
【0027】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、縦型炉としたが、処理材を水平に移動させる横型炉に本発明を適用しても勿論よい。又、送風手段は、シロッコファン以外のファンを用いてもよい。又、上記実施形態では、処理材の表面に対して斜めに吹付け面が形成されているが、処理材の表面に平行に吹付け面を設けてもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 吹き付け部
10a 内部空間
15a、15b、15s1〜15u3 開口
15、15x 吹付け面
19 整流板
20 熱風流路
22 送風手段(ファン)
30 連通部
41、42、43 流速低下部材(邪魔板、開口)
101、102、103 加熱炉
w 熱風
L 処理材の移動する長手方向
C 長手方向に垂直な方向の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の処理材の表面に熱風を吹き付ける吹付け面を有し、かつ内部空間を有する吹き付け部と、
前記熱風を吐出する送風手段と、
前記処理材の一方の端面に臨む方向で前記吹き付け部に連通し、前記送風手段から吐出された前記熱風を前記処理材の幅方向に平行になるように前記吹き付け部に導入する熱風流路とを備えた加熱炉であって、
前記吹付け面のうち前記処理材の移動する長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置に、前記熱風の流速を低下させる流速低下部材が設けられている加熱炉。
【請求項2】
前記流速低下部材は、前記長手方向に垂直な方向の中心より前記連通部の反対側に配置されている請求項1に記載の加熱炉。
【請求項3】
前記吹付け面には、前記熱風を通過させる開口が設けられ、
前記流速低下部材は、前記吹付け面のうち前記長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置の前記開口の開口率を、前記吹付け面の他の開口率より低くして構成されている請求項1又は2に記載の加熱炉。
【請求項4】
前記流速低下部材は、前記開口の開口率を0%とした邪魔板である請求項3に記載の加熱炉。
【請求項5】
前記吹付け面は、前記処理材の表面と平行であるか、又は前記処理材の表面に対して斜めに配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の加熱炉。
【請求項6】
前記吹き付け部の前記内部空間に、整流板が配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の加熱炉。
【請求項7】
帯状の処理材に吹付け面から熱風を吹き付ける処理材の加熱方法であって、
前記吹付け面を有し、かつ内部空間を有する吹き付け部と、前記処理材の一方の端面に臨む方向で前記吹き付け部に連通し、熱風を前記処理材の幅方向に平行になるように前記吹き付け部に導入する熱風流路とを備えた加熱炉を用い、前記吹付け面のうち前記処理材の移動する長手方向において、前記連通部の一部を少なくとも含む位置に、前記熱風の流速を低下させる流速低下部材が設けられている、処理材の加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−197995(P2012−197995A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63465(P2011−63465)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】