説明

加熱炉

【課題】燃焼空間の全体に燃焼ガスをできるだけ均一に充満させることができ、エネルギー効率を効果的に向上させることができる加熱炉を提供する。
【解決手段】加熱炉10は、るつぼ、耐火炉7及びバーナを有している。バーナは、耐火炉の下部から燃焼空間101へ燃焼ガスG1を供給するよう構成してある。耐火炉の底面72には、耐火炉の周方向Cにおける燃焼ガス進行方向C1に向かうに連れて底面位置が高くなると共に、耐火炉の径方向Rの外側に向かうに連れて底面位置が高くなる耐火傾斜面73が形成してある。加熱炉は、バーナから燃焼空間へ供給する燃焼ガスを、耐火傾斜面によって燃焼空間を上昇させながら旋回させるよう構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火炉に収容したるつぼ内の被加熱物を加熱するバーナを有する加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム、亜鉛等の溶解炉、保持炉等の加熱炉においては、器形状のるつぼを耐火炉内に収容し、るつぼと耐火炉との間に形成された燃焼空間へ、バーナの燃焼による火炎を形成すると共にその燃焼ガスを供給することが行われている。
例えば、特許文献1の溶湯保持炉においては、炉底部の最も低い所の壁部に、溶湯の温度よりも低い融点を有する金属板で塞がれた溶湯排出口を設置することが開示されている。また、炉底部にガラスウールを敷設し、炉底部が溶湯排出口に向けて下降傾斜した炉体の構造が開示されている。これにより、るつぼから溶湯が漏れ出ても、この溶湯が溶湯排出口に集まり、溶湯の温度よりも低い融点の金属板を溶かして炉体外へ適格に自動排出することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1の溶湯保持炉においては、バーナによる燃焼ガスを、燃焼空間へ適切に供給することについては、電気ヒータ等の補助熱源を設置することを前提としているためか何らの工夫がなされていない。すなわち、バーナにおける燃料ノズル(火炎形成ノズル)の先端を炉体の下部に配置したときには、燃焼空間の下部にのみ燃焼ガスが充満し、燃焼空間の上部を十分に加熱することができない。そのため、燃焼空間に燃料ノズルから十分な燃焼ガスを投入することが制限される。なお、特許文献1における炉底部の下降傾斜は、溶湯排出口に向けて形成されたものであり、燃料ノズルとの位置関係を考慮したものではない。
【0004】
【特許文献1】特許第3311504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、燃焼空間の全体に燃焼ガスをできるだけ均一に充満させることができ、エネルギー効率を効果的に向上させることができる加熱炉を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上方に開口部を備え、溶湯を貯留するための器形状を有するるつぼと、該るつぼを上記開口部を上方に開放した状態で収容する耐火炉と、該耐火炉の側壁に配設し、上記るつぼと上記耐火炉との間に形成された燃焼空間へ火炎形成後の燃焼ガスを供給するためのバーナとを有する加熱炉において、
上記バーナは、上記耐火炉の下部から上記燃焼空間へ上記燃焼ガスを供給するよう構成してあり、
上記耐火炉の底面には、該耐火炉の周方向における燃焼ガス進行方向に向かうに連れて底面位置が高くなると共に、当該耐火炉の径方向外側に向かうに連れて底面位置が高くなる耐火傾斜面が形成してあり、
上記バーナから上記燃焼空間へ供給する燃焼ガスを、上記耐火傾斜面によって上記燃焼空間を上昇させながら旋回させるよう構成したことを特徴とする加熱炉にある(請求項1)。
【0007】
本発明の加熱炉は、バーナによって耐火炉の下部から燃焼空間へ燃焼ガスを供給するよう構成した場合において、バーナから供給する燃焼ガスを、環状燃焼空間にできるだけ均一に充満させるための工夫を行っている。
具体的には、本発明の耐火炉の底面には、耐火傾斜面が形成してあり、この耐火傾斜面は、耐火炉の周方向における燃焼ガス進行方向に向かうに連れて底面位置が高くなると共に、耐火炉の径方向外側に向かうに連れて底面位置が高くなる状態で形成してある。
【0008】
そして、本発明の加熱炉におけるバーナの燃焼によって、燃焼空間に火炎を形成したときには、バーナから吐出された燃焼ガスは、耐火傾斜面における径方向外側に向けた傾斜によって、燃焼空間内を旋回し易くなり、耐火傾斜面における燃焼ガス進行方向に向けた傾斜によって、上昇しながら旋回させることができる。
これにより、燃焼空間の下部のみに燃焼ガスが充満することを回避することができ、燃焼ガスを燃焼空間の上下方向におけるできるだけ広い範囲に充満させることができる。そして、燃焼ガスの投入量を増大することが可能となることから、短時間にるつぼ内に配置した被加熱物又はるつぼ内に貯留する溶湯の加熱が可能となる。そのため、経時的に発生する放熱ロスを低減することができ、加熱炉におけるエネルギー効率を効果的に向上させることができる。
【0009】
それ故、本発明の加熱炉によれば、燃焼空間の全体に燃焼ガスをできるだけ均一に充満させることができ、エネルギー効率を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記耐火傾斜面の径方向における傾斜角度は、例えば、45°以下の範囲で設定することができる。また、上記耐火傾斜面の周方向における傾斜角度は、例えば、45°以下の範囲で設定することができる。
【0011】
また、上記耐火傾斜面は、上記耐火炉の底面における一部に形成してあり、上記耐火傾斜面を形成していない上記底面の残部は、略平坦な面に形成してあり、上記耐火傾斜面は、上記略平坦な面からの形成高さが、上記燃焼ガス進行方向における形成開始位置において、径方向外側の端部と径方向内側の端部とにおいてほぼ同じであり、上記燃焼ガス進行方向における形成終了位置において、径方向外側の端部の方が径方向内側の端部よりも高くなっていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、耐火炉の底面における適切な部位にのみ耐火傾斜面を形成し、その他の部位は、略平坦な面にすることによって、耐火傾斜面の形成が容易である。また、上記耐火傾斜面の形成により、この耐火傾斜面に3次元的なうねりを形成して、燃焼空間内の燃焼ガスが上昇しながら旋回する状態を一層容易に形成することができる。
【0012】
また、上記るつぼは、円筒形状の側部を有しており、上記耐火炉の内側壁面は、水平方向における断面が円形状を有しており、上記バーナは、上記耐火炉内を加熱した後の燃焼排ガスを自己回収し、該燃焼排ガスの排熱を利用して燃焼に用いる空気の予熱を行うよう構成した自己排熱回収型バーナであることが好ましい(請求項3)。
【0013】
この場合には、自己排熱回収型バーナを用いることにより、加熱炉におけるエネルギー効率をより向上させることができる。また、この場合には、燃焼空間を、るつぼにおける円筒形状の側部と、耐火炉における円形状の内側壁面との間に円環状に形成することができ、燃焼ガスを、燃焼空間における全体により効果的に充満させることができる。
なお、上記耐火炉の内側壁面は、水平方向における断面を円形状にする以外にも、例えば、楕円、四角、六角、八角等の形状にすることができる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の加熱炉にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の加熱炉10は、図1、図2に示すごとく、上方に開口部80を備え、溶湯Xを貯留するための器形状を有するるつぼ8と、るつぼ8を開口部80を上方に開放した状態で収容する耐火炉7と、耐火炉7の側壁70に配設し、るつぼ8と耐火炉7との間に形成された燃焼空間101へ火炎形成後の燃焼ガスG1を供給するためのバーナ1とを有している。バーナ1は、耐火炉7の下部から燃焼空間101へ燃焼ガスG1を供給するよう構成してある。
【0015】
図3に示すごとく、耐火炉7の底面72には、耐火炉7の周方向Cにおける燃焼ガス進行方向C1に向かうに連れて底面位置が高くなると共に、耐火炉7の径方向Rの外側に向かうに連れて底面位置が高くなる耐火傾斜面73が形成してある。そして、加熱炉10は、バーナ1から燃焼空間101へ供給する燃焼ガスG1を、耐火傾斜面73によって燃焼空間101を上昇させながら旋回させるよう構成してある。
【0016】
以下に、本例の加熱炉10につき、図1〜図5を参照して詳説する。
図1、図2に示すごとく、本例の加熱炉10は、被加熱物としてアルミニウム、亜鉛等の金属材料のインゴットをるつぼ8内に配置し、バーナ1による加熱によって、上記インゴットを溶解して溶湯Xにすると共に、上記加熱を継続して、るつぼ8内に溶湯Xを貯留するものである。
本例のるつぼ8は、黒鉛材料から形成してあり、本例の耐火炉7は、セラミックス等の耐火材料から形成してある。なお、るつぼ8は、鉄材料から形成することもできる。
【0017】
本例のるつぼ8は、円筒形状の側部81を有しており、耐火炉7の内側壁面71は、水平方向における断面が円形状を有している。本例のるつぼ8は、耐火炉7の底面72の中心部に配置した台座75上に載置してあり、燃焼空間101は、その全体において円環状に形成されている。また、耐火炉7は、その中心軸線を鉛直方向に配置して形成されている。
なお、るつぼ8の上方の開口部80に、径方向Rに拡径するフランジ部を形成した場合には、フランジ部を耐火炉7の側壁70の上面に載置することにより、台座75は使用しないこともできる。この場合には、るつぼ8の側部81と耐火炉7の内側壁面71との間に、環状の燃焼空間101が形成される。
【0018】
また、図1、図3に示すごとく、耐火傾斜面73は、耐火炉7の底面72における一部において、その平面形状が、燃焼空間101の周方向Cに沿った円弧形状に形成してあり、耐火傾斜面73を形成していない底面72の残部は、略平坦な面720に形成してある。
本例の耐火傾斜面73は、略平坦な面720からの形成高さが、燃焼ガス進行方向C1における形成開始位置731において、径方向Rの外側の端部702と径方向Rの内側の端部701とにおいてほぼ同じであり、燃焼ガス進行方向C1における形成終了位置732において、径方向Rの外側の端部702の方が径方向Rの内側の端部701よりも高くなっている。また、耐火傾斜面73は、燃焼ガス進行方向C1に向けて、径方向Rの外側の端部702が径方向Rの内側の端部701よりも高くなる割合を大きくして形成してある。そして、耐火傾斜面73は、3次元的なうねり形状に形成してある。
【0019】
耐火傾斜面73は、耐火炉7の底面72における周方向Cに沿って、種々の位置に形成することができる。
例えば、図4に示すごとく、燃焼空間101に対するバーナ1の周方向Cの配置位置の反対側に位置する部分に形成したり、図5に示すごとく、燃焼空間101に対するバーナ1の周方向Cの配置位置に近い位置に形成したりすることができる。また、耐火傾斜面73の周方向Cの形成領域は、90°以内の範囲、180°以内の範囲、270°以内の範囲等種々の範囲とすることができる。
【0020】
図1、図2に示すごとく、本例のバーナ1は、耐火炉7内を加熱した後の燃焼排ガスG2を自己回収し、燃焼排ガスG2の排熱を利用して燃焼に用いる空気Aの予熱を行うよう構成した自己排熱回収型バーナである。本例のバーナ1は、外部ボディ2を耐火炉7の外部に配置し、内部に火炎形成ノズル51を配置した燃焼筒4の先端部を、耐火炉7の下部に配置してなる。火炎形成ノズル51は、燃焼空間101の円環形状に対する接線方向に火炎Hを形成する状態で配置されている。
【0021】
本例のバーナ1は、耐火炉7の外部から燃焼用空気Aを流入させるための外部ボディ2と、外部ボディ2内に配置され耐火炉7内(燃焼空間101)から燃焼排ガスG2を回収するための内部筒3と、内部筒3内に配置され外部ボディ2内へ流入した燃焼用空気Aを通過させて耐火炉7内(燃焼空間101)へ噴出させるための燃焼筒4と、燃焼筒4内に配置され燃焼用空気Aと燃焼させるための燃料ガスFを通過させて耐火炉7内(燃焼空間101)へ噴出させるためのガスパイプ5とを有している。そして、燃焼筒4内には、燃焼用空気Aを通過させるための空気流路40が形成されており、内部筒3内には、燃焼排ガスG2を回収するための排気流路30が形成されている。また、排気流路30は、耐火炉7に形成したバーナ配置口76と燃焼筒4との間にも形成されている。
【0022】
本例のバーナ1は、火炎Hの形成方向(ガスパイプ5、燃焼筒4及び内部筒3の軸方向L)を、略水平方向に向けて耐火炉7に配設して用いる。なお、バーナ1は、略水平方向よりも若干上に(例えば10°以下の範囲で)傾斜させて耐火炉7に配設することもできる。
そして、バーナ1の燃焼筒4の先端部における火炎Hの形成と共に燃焼空間101へ噴出された燃焼ガスG1は、燃焼空間101の周方向Cに旋回して耐火炉7内を加熱した後、燃焼排ガスG2として排気流路30へ回収される。
【0023】
本例の加熱炉10は、バーナ1によって耐火炉7の下部から燃焼空間101へ燃焼ガスG1を供給するよう構成した場合において、バーナ1から供給する燃焼ガスG1を、燃焼空間101にできるだけ均一に充満させるための工夫を行っている。
上記のごとく、本例の耐火炉7の底面72には、耐火傾斜面73が形成してあり、この耐火傾斜面73は、略平坦な面720からの形成高さが、燃焼ガス進行方向C1における形成開始位置731において、径方向Rの外側の端部702と径方向Rの内側の端部701とにおいてほぼ同じであり、燃焼ガス進行方向C1における形成終了位置732において、径方向Rの外側の端部702の方が径方向Rの内側の端部701よりも高くなる状態で形成してある。
【0024】
そして、本例の加熱炉10におけるバーナ1の燃焼によって、燃焼空間101に火炎Hを形成したときには、バーナ1から吐出された燃焼ガスG1は、耐火傾斜面73における径方向Rの外側に向けた傾斜によって、燃焼空間101内を旋回し易くなり、耐火傾斜面73における燃焼ガス進行方向C1に向けた傾斜によって、上昇しながら旋回させることができる。
これにより、燃焼空間101の下部のみに燃焼ガスG1が充満することを回避することができ、燃焼ガスG1を燃焼空間101の上下方向におけるできるだけ広い範囲に充満させることができる。そして、燃焼ガスG1の投入量を増大することが可能となることから、短時間にるつぼ8内に配置した被加熱物又はるつぼ8内に貯留する溶湯Xの加熱が可能となる。そのため、経時的に発生する放熱ロスを低減することができ、加熱炉10におけるエネルギー効率を効果的に向上させることができる。
【0025】
それ故、本例の加熱炉10によれば、燃焼空間101の全体に燃焼ガスG1をできるだけ均一に充満させることができ、エネルギー効率を効果的に向上させることができる。
【0026】
(確認試験1)
本確認試験においては、耐火傾斜面73を形成していない従来のるつぼを用いた場合(比較品)と、上記実施例に示した耐火傾斜面73を形成したるつぼ8を用いた場合(発明品)とについて、加熱炉10に要したエネルギー効率の差を確認した。るつぼ内には、溶湯Xとしてのアルミニウムを溶解し、このアルミニウムが溶解するまでに要した時間と、アルミニウムの全量を溶解するために必要となったバーナ1における燃焼量とを実測した。なお、るつぼ8内には、350kgのアルミニウムのインゴットを溶解した。
【0027】
るつぼ内のアルミニウムの全体を溶解するのに要した時間は、比較品においては、5時間であったのに対し、発明品においては、3時間19分であった。これにより、耐火傾斜面73の形成により、被加熱物の溶解に要する時間を34%程度短縮できることがわかった。
また、上記溶解に消費したバーナ1における燃焼量は、比較品においては、5100kJ/kgであったのに対し、発明品においては、4300kJ/kgであった。これにより、耐火傾斜面73の形成により、燃焼量を16%程度削減できることがわかった。
【0028】
(確認試験2)
本確認試験においては、燃焼空間101の周方向Cにおいて、バーナ1の配置位置に対する耐火傾斜面73の配置位置を変更した場合(試験2−1)、耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θ(図3参照)を変更した場合(試験2−2)について、加熱炉10から排気される燃焼排ガスG2の温度のシミュレーションを行った。
図6は、加熱炉10の燃焼空間101を上方から見た状態の平面レイアウトにおいて、耐火傾斜面73の配置位置を示す図である。
【0029】
試験2−1においては、同図に示すごとく、バーナ1における通過方向Lを平面レイアウトの上下に配置すると共に、バーナ1を平面レイアウトの右下の領域に配置し、耐火傾斜面73を燃焼空間101の平面レイアウトの上部aに配置したとき、又は平面レイアウトの左部bに配置したときについて、バーナ1による燃焼を行ったときの燃焼排ガスG2の温度を計算した。なお、この場合、耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θは45°とした。
【0030】
この計算を行った結果を、図7に示す。同図は、横軸に耐火傾斜面73の配置位置a、bをとり、縦軸に燃焼排ガスG2の温度(℃)をとって、各位置a、bにした場合の燃焼排ガスG2の温度を示すグラフである。同図からわかるように、耐火傾斜面73の配置位置aの方が配置位置bの場合よりも燃焼排ガスG2の温度が低く、加熱炉10におけるエネルギー効率を向上できることがわかる。
したがって、バーナ1における通過方向Lを平面レイアウトの上下に配置すると共に、バーナ1を平面レイアウトの右下の領域に配置した場合において、耐火炉7内の燃焼空間101を、平面レイアウトの上下左右に平行に90°の間隔で4つ(右上、右下、左上、左下)の領域に区分したとき、耐火傾斜面73は、少なくとも形成開始位置731を平面レイアウトの右下又は右上の領域に位置させて形成することが好ましいことがわかる。
【0031】
試験2−2においては、上記試験2−1の条件下において、耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θを15°、30°、45°と変更した場合に、バーナ1による燃焼を行ったときの燃焼排ガスG2の温度を計算した。なお、耐火傾斜面73は燃焼空間101の上部bに配置した。
この計算を行った結果を、図8に示す。同図は、横軸に耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θをとり、縦軸に燃焼排ガスG2の温度(℃)をとって、両者の関係を示すグラフである。同図からわかるように、耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θを45°と大きくした方が、燃焼排ガスG2の温度が低くなり、加熱炉10におけるエネルギー効率を向上できることがわかる。なお、加熱炉10の装置構成を考慮すると、耐火傾斜面73の周方向Cにおける傾斜角度θは30°位にすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例における、バーナを設けた加熱炉を上方から見た状態で示す断面説明図。
【図2】実施例における、バーナを設けた加熱炉を側方から見た状態で示す断面説明図。
【図3】実施例における、耐火炉の底面に形成した耐火傾斜面を示す斜視説明図。
【図4】実施例における、耐火傾斜面の形成位置が異なる他の加熱炉を上方から見た状態で示す断面説明図。
【図5】実施例における、耐火傾斜面の形成位置が異なる他の加熱炉を上方から見た状態で示す断面説明図。
【図6】確認試験2における、耐火傾斜面の配置位置を示す平面説明図。
【図7】確認試験2(試験2−1)における、横軸に耐火傾斜面の配置位置をとり、縦軸に燃焼排ガスの温度をとって、両者の関係を示すグラフ。
【図8】確認試験2(試験2−2)における、横軸に耐火傾斜面の周方向における傾斜角度をとり、縦軸に燃焼排ガスの温度をとって、両者の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0033】
10 加熱炉
101 燃焼空間
1 バーナ
4 燃焼筒
7 耐火炉
70 側壁
71 内側壁面
72 底面
73 耐火傾斜面
731 形成開始位置
732 形成終了位置
8 るつぼ
80 開口部
C 周方向
C1 燃焼ガス進行方向
R 径方向
A 燃焼用空気
F 燃料ガス
G1 燃焼ガス
G2 燃焼排ガス
H 火炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を備え、溶湯を貯留するための器形状を有するるつぼと、該るつぼを上記開口部を上方に開放した状態で収容する耐火炉と、該耐火炉の側壁に配設し、上記るつぼと上記耐火炉との間に形成された燃焼空間へ火炎形成後の燃焼ガスを供給するためのバーナとを有する加熱炉において、
上記バーナは、上記耐火炉の下部から上記燃焼空間へ上記燃焼ガスを供給するよう構成してあり、
上記耐火炉の底面には、該耐火炉の周方向における燃焼ガス進行方向に向かうに連れて底面位置が高くなると共に、当該耐火炉の径方向外側に向かうに連れて底面位置が高くなる耐火傾斜面が形成してあり、
上記バーナから上記燃焼空間へ供給する燃焼ガスを、上記耐火傾斜面によって上記燃焼空間を上昇させながら旋回させるよう構成したことを特徴とする加熱炉。
【請求項2】
請求項1において、上記耐火傾斜面は、上記耐火炉の底面における一部に形成してあり、上記耐火傾斜面を形成していない上記底面の残部は、略平坦な面に形成してあり、
上記耐火傾斜面は、上記略平坦な面からの形成高さが、上記燃焼ガス進行方向における形成開始位置において、径方向外側の端部と径方向内側の端部とにおいてほぼ同じであり、上記燃焼ガス進行方向における形成終了位置において、径方向外側の端部の方が径方向内側の端部よりも高くなっていることを特徴とする加熱炉。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記るつぼは、円筒形状の側部を有しており、上記耐火炉の内側壁面は、水平方向における断面が円形状を有しており、
上記バーナは、上記耐火炉内を加熱した後の燃焼排ガスを自己回収し、該燃焼排ガスの排熱を利用して燃焼に用いる空気の予熱を行うよう構成した自己排熱回収型バーナであることを特徴とする加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−216358(P2009−216358A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63271(P2008−63271)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】