説明

加熱補修装置および加熱補修方法

【課題】ガスタービン動翼におけるチップスキーラ部の予熱温度の変動を抑えるとともに、効率的に予熱する。
【解決手段】加熱補修装置は、補修部位に第1スポット光を照射し、補修部位を局所的に加熱する第1レーザ照射部と、第1スポット光が補修部位の設定経路に沿って移動するように、第1レーザ照射部を移動制御する第1移動制御部と、補修部位の温度を検出する検出部と、補修部位の温度に基づき、第1スポット光のエネルギー密度を制御する制御部と、補修部位に第2スポット光を照射し、補修部位に供給された補修材料を溶解して補修部位を肉盛補修する第2レーザ照射部と、経路に対応して第2スポット光が移動するように、第2レーザ照射部を移動制御する第2移動制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン動翼のチップスキーラ部(先端縁部)の加熱補修装置および加熱補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップスキーラ部は、ガスタービン動翼の運転時に高温ガスのシール性を高めるため、シュラウドセグメントと摺動しながら使用されるので、摩耗による損耗および高温ガスによる酸化やエロージョンによって劣化が生じる。また、ガスタービン動翼は、高価であり、繰り返し使用することが望まれていた。
そこで、従来、ガスタービン動翼全体を不活性ガス雰囲気のチャンバー内に収納し、高周波加熱炉あるいは抵抗加熱装置等で翼面を加熱し、溶接等でチップスキーラ部を補修する手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−524526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した先行技術には、高周波加熱コイルの形状によって予熱温度にむらが生じたり、ガスタービン動翼全体を不活性ガス雰囲気とするために補修作業に時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、チップスキーラ部の予熱温度の変動を抑えるとともに、効率的に予熱することができる加熱補修装置および加熱補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明の加熱補修装置は、ガスタービン翼の補修部位に第1スポット光を照射し、この補修部位を局所的に加熱する第1レーザ照射部と、前記照射された第1スポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御する第1移動制御部と、前記加熱された補修部位の温度を検出する検出部と、前記検出された補修部位の温度に基づいて、前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御する制御部と、前記加熱されたガスタービン翼の補修部位に第2スポット光を照射し、この補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修する第2レーザ照射部と、前記第1スポット光が移動する前記経路に対応して、前記照射された第2スポット光が移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する第2移動制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の加熱補修方法は、第1レーザ照射部が、ガスタービン翼の補修部位に第1スポット光を照射し、この補修部位を局所的に加熱するステップと、第1移動制御部が、前記照射された第1スポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御するステップと、前記加熱された補修部位の温度を検出部が検出するステップと、前記検出された補修部位の温度に基づいて、制御部が前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御するステップと、第2レーザ照射部が、前記加熱されたガスタービン翼の補修部位に第2スポット光を照射し、この補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修するステップと、第2移動制御部が、前記第1スポット光が移動する前記経路に対応させて、前記照射された第2スポット光が移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガスタービン動翼におけるチップスキーラ部の予熱温度の変動を抑えるとともに、効率的に予熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の加熱補修装置の構成を示す図である。
【図2】チップスキーラ部の概略上面図である。
【図3】実施形態1におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。
【図4】加熱補修装置の補修動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態2の加熱補修装置の構成を示す図である。
【図6】実施形態2におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。
【図7】本発明の実施形態3の加熱補修装置の構成を示す図である。
【図8】実施形態3におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。
【図9】本発明の実施形態4の加熱補修装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態の加熱補修装置10の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、この加熱補修装置10は、ガスタービン動翼20の先端縁部であるチップスキーラ部21の劣化した補修領域(以下、「補修面」という)を予め加熱する予熱用レーザと、この加熱されたチップスキーラ部21の補修面にスポット光を照射し、供給される補修材料(図示せず)を溶解して肉盛補修する溶接用レーザを備える。
【0012】
予熱用レーザは、予熱用トーチ11、光ファイバ13および発振器15を有し、予熱用トーチ11が光ファイバ13を介して発振器15と接続されている。
予熱用トーチ11は、発振器15から発振されるレーザ光に基づいて生成したスポット光S1を、光軸を鉛直にしてチップスキーラ部21の補修面に照射し、この補修面を予め局所的に加熱する。予熱用トーチ11は、ガスタービン翼の補修部位に第1スポット光を照射し、この補修部位を予め局所的に加熱する第1レーザ照射部として機能する。
【0013】
溶接用レーザは、溶接用トーチ12、光ファイバ14および発振器16を有し、溶接用トーチ12が光ファイバ14を介して発振器16と接続されている。溶接用トーチ12は、発振器16から発振されるレーザ光に基づいて生成したスポット光を、光軸を鉛直にして加熱されたチップスキーラ部21の補修面に照射し、供給される粉末またはワイヤー等の補修材料を溶解して、補修面を肉盛補修する。溶接用トーチ12は、前記加熱された補修部位に第2スポット光を照射し、この補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修する第2レーザ照射部として機能する。
【0014】
なお、チップスキーラ部21は、主に折出強化型Ni基超合金からなっており、補修材料は、チップスキーラ部21と同一材料あるいは類似組成の材料からなっている。発振器16は、溶接用トーチ12からのスポット光が、補修材料を溶解可能とする温度、たとえば1600[℃]に達するような発振出力のレーザ光を溶接用トーチ12に供給する。また、補修材料の供給は、図示しない供給装置が行い、この供給装置は、たとえば後述する駆動制御部30によって駆動制御されている。
【0015】
また、加熱補修装置10は、放射温度計17を備える。この放射温度計17は、予熱用トーチ11からのスポット光が照射されるチップスキーラ部21の予熱温度を測定する。この放射温度計17は、発振器15の制御部15bとケーブル19を介して接続され、測定した予熱温度(以下、「測定温度」という)の情報を制御部15bに出力する。放射温度計17は、加熱された補修部位の温度を検出する検出部として機能する。
【0016】
制御部15bは、放射温度計17から入力する測定温度を、予め設定された所定温度(以下、「設定温度」という)、たとえば1000[℃]と比較して、発振部15aのレーザ光の発振出力を調整制御する。すなわち、制御部15bは、入力する測定温度が設定温度より低いときには、発振出力を高くするように発振部15aを制御し、入力する測定温度が設定温度より高いときには、発振出力を低くするように発振部15aを制御する。このように、制御部15bは、前記検出された補修部位の温度に基づいて、前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を変更制御する機能を有する。
【0017】
また、制御部15bは、駆動制御部30から入力する各種情報または予め設定された情報から、補修を行うチップスキーラ部21の位置や補修の必要な高さ等を認識することも可能である。このため、制御部15bは、この認識に基づいて、発振部15aのオン・オフ制御や発振の時間制御等も行うこともできる。
【0018】
チップスキーラ部21を含むガスタービン動翼20の先端部は、部分雰囲気置換用カバー18によって覆われている。この部分雰囲気置換用カバー18内には、図示しないガス供給装置によってアルゴンガスが充填される。
【0019】
また、予熱用トーチ11、溶接用トーチ12および放射温度計17は、部分雰囲気置換用カバー18内に移動可能に配置され、駆動制御部30によって駆動制御される。駆動制御部30は、補修情報および補修プログラムを記憶している。この補修情報には、たとえば予め計測されたチップスキーラ部21の形状、このチップスキーラ部21の補修面を移動するスポット光の経路情報が含まれる。また、この補修情報には、補修される一回の肉盛の長さ、厚さ、幅等の肉盛情報も含まれる。
【0020】
図2はチップスキーラ部21の概略上面図である。図2に示すように、経路情報は、チップスキーラ部21の補修面を、たとえば等間隔にプロットしたx,y,z方向の3次元の座標位置情報P0〜P17を有する。ここで、座標位置情報P0〜P17はたとえば(x0,y0,z0)〜(x17,y17,z17)で表され、スポット光S1,S2が移動する経路の構築を可能にする。また、座標位置情報P0は、スポット光S1の加熱開始位置、加熱終了位置に、さらにスポット光S2の溶接開始位置、溶接終了位置に設定される。なお、この実施形態では、加熱開始位置と溶接開始位置、加熱終了位置および溶接終了位置をそれぞれ同一座標位置としたが、異なる座標位置でもよい。
【0021】
図3は、実施形態1におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。図3に示すように、経路情報は、この他に予熱用トーチ11と溶接用トーチ12の移動速度S(図2参照)、予熱用トーチ11のスポット光S1と溶接用トーチ12のスポット光S2間の距離D、チップスキーラ部21からの予熱用トーチ11のスポット光S1と溶接用トーチ12のスポット光S2の長さHの情報を有する。ここで、予熱用トーチ11と溶接用トーチ12の移動速度Sは同一で、かつ一定である。スポット光S1とスポット光S2間の距離Dは一定である。また、スポット光S1とスポット光S2の長さHは、同一で、かつ一定である。
【0022】
駆動制御部30は、経路情報および制御プログラムに基づいて、予熱用トーチ11の図示しない駆動部(たとえばロボットアーム)を駆動制御する。すなわち、駆動制御部30は、チップスキーラ部21の座標位置情報P0〜P17、移動速度S等の補修情報に基づいて、スポット光S1の現在位置を認識し、このスポット光S1を一定の移動速度Sで、この経路に沿ってP0→P1→P3→…→P16→P17→P0と移動させるように、予熱用トーチ11を移動制御する。なお、この座標位置情報間は、制御プログラムによって予め経路が補完されており、これにより駆動制御部30は、チップスキーラ部21の補修面におけるスポット光S1の現在位置を常時認識することができる。
【0023】
さらに、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21の補修面からの予熱用トーチ11の高さを調整することができる。すなわち、予熱用トーチ11は、チップスキーラ部21上に配置され、このチップスキーラ部21は摩耗などによって表面が凹凸に変形している。一方、スポット光S1の長さHは、常に一定に設定されている。また、駆動制御部30は、照射するスポット光S1の光軸を鉛直にし、経路に沿ってスポット光S1を移動させるように、予熱用トーチ11を移動制御する。
【0024】
そこで、駆動制御部30は、座標位置情報に基づいて認識されたチップスキーラ部21におけるスポット光S1の現在位置を認識し、この現在位置の座標のうちのy値に、スポット光S1の長さHを加えた値が、予熱用トーチ11の位置(スポット光S1の出射位置)になるように、予熱用トーチ11を移動制御する。
【0025】
この駆動制御により、予熱用トーチ11は、加熱開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部21の補修面に対して、常に一定の長さで光軸が鉛直のスポット光S1を照射するとともに、スポット光S1を上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部21の補修面を局所的に加熱することができる。なお、駆動制御部30は、補修情報および補修プログラムに基づいて、発振器15,16をオン、オフ制御することも可能である。
【0026】
また、駆動制御部30は、補修情報および補修プログラムに基づいて、溶接用トーチ12の図示しない駆動部(たとえばロボットアーム)を移動制御する。すなわち、駆動制御部30は、チップスキーラ部21の座標位置情報P0〜P17、移動速度S、距離Dの情報等の補修情報に基づいて、スポット光S1から距離D遅れたスポット光S2の現在位置を認識する。そして、このスポット光S2を一定の移動速度Sで、この経路に沿ってP0→P1→P3→…→P16→P17→P0と移動させるように、溶接用トーチ12を移動制御する。この移動制御では、スポット光S1とS2間の距離がDに設定されるので、スポット光S2が、移動するスポット光S1にこの距離D遅れて追従し、スポット光S1の通過した経路に沿って移動することが可能となる。
【0027】
さらに、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21からの溶接用トーチ12の高さを調整する。また、駆動制御部30は、照射するスポット光S2の光軸を鉛直にし、経路に沿ってスポット光S2を移動させるように、溶接用トーチ12を移動制御する。
【0028】
この移動制御は、予熱用トーチ11の移動制御の場合と同様で、駆動制御部30は、座標位置情報に基づいて認識されたチップスキーラ部21におけるスポット光S2の現在位置を認識し、この現在位置の座標のうちのy値に、スポット光S2の長さHを加えた値が、溶接用トーチ12の位置(スポット光S2の出射位置)になるように、溶接用トーチ12を移動制御する。
【0029】
この移動制御により、溶接用トーチ12は、溶接開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部21に対して光軸がスポット光S1の光軸と同じ一定の長さで、かつ同じ鉛直方向を向くスポット光S2を、チップスキーラ部21の補修面に照射するとともに、先行するスポット光S1に一定距離D遅れて追従させながら経路に沿って移動させることができる。この結果、補修面には、常に同じ口径のスポット光が照射され、補修面を一定温度(1600[℃])に加熱することができ、このスポット光S2によって、この補修面に供給された補修材料を溶解して補修面を肉盛補修することができる。この駆動制御部30は、第1レーザ照射部を移動制御する第1移動制御部および第2レーザ照射部を移動制御する第2移動制御部として機能する。なお、この肉盛補修では、補修の必要な補修面の高さに応じて、補修面の溶接を階層的に行ってこの補修面を肉盛させることができる。
【0030】
放射温度計17は、予熱用トーチ11と連動するように、図示しない接続部材によって予熱用トーチと連結されている。これにより、放射温度計17は、予熱用トーチ11によって加熱されたチップスキーラ部21の補修面の温度を常に非接触で検出することが可能となる。
【0031】
(加熱補修装置の動作)
以下、図4を参照してこの加熱補修装置10の動作を説明する。図4は、加熱補修装置10の補修動作を説明するためのフローチャートである。
まず、この加熱補修装置10では、電源をオンにすると駆動制御部30が記憶されている補修情報に基づいて初期設定を行う(ステップS101)。ここでは、経路情報、加熱開始位置および溶接開始位置等の設定の他に、たとえば溶接の最終層の設定や最初の層の溶接を示す情報を設定してもよい。
【0032】
次に、部分雰囲気置換用カバー18を、チップスキーラ部21を含むガスタービン動翼20の先端部に被せ、図示しないガス供給装置によってアルゴンガスをこのカバー18内に充填する(ステップS102)。さらに、駆動制御部30は、溶接のシーケンスに基づいて予熱用トーチ11を駆動制御して予熱を開始させる(ステップS103)。
【0033】
ここでは、まず予熱用トーチ11の位置座標を予め設定した零地点に到るように、図示しないロボットアームを移動させ、その零地点から加熱開始位置に移動させる。
予熱用トーチ11が加熱開始位置に移動したら、予熱用トーチ11の高さを調整して、このトーチ11からスポット光S1をチップスキーラ部21の補修面(座標位置P0)に照射させて、予熱を開始する。
【0034】
次に、放射温度計17によって補修面の温度を測定し(ステップS104)、制御部15bが、放射温度計17による測定温度が設定温度か否か判断する(ステップS105)。
ここで、制御部15bは、測定温度が設定温度の場合(ステップS105のYesの場合)は、現状の予熱用トーチ11の発振出力を維持させる(ステップS106)。
【0035】
また、制御部15bは、測定温度が設定温度でない場合(ステップS105のNoの場合)は、発振部15aを制御して予熱用トーチ11の発振出力を調整する(ステップS107)。なお、このステップS107の調整において、制御部15bは、測定温度が設定温度より低いときには、発振部15aから発振されるレーザ光の発振出力を高く制御し、また測定温度が設定温度より高いときには、発振部15aから発振されるレーザ光の発振出力を低く制御する。
【0036】
次に、駆動制御部30は、溶接のシーケンスに基づいて溶接用トーチ12を駆動制御して溶接を開始させる(ステップS108)。ここでは、溶接用トーチ12を溶接開始位置の座標に移動させる。
溶接用トーチ12が溶接開始位置に移動したら、溶接用トーチ12の高さを調整して、この溶接用トーチ12からスポット光S2をチップスキーラ部21の補修面(座標位置P0)に照射させて、この補修面に供給される補修材料を溶接してこの補修面を肉盛補修する。
【0037】
次に、駆動制御部30は、予熱用トーチ11が加熱終了位置に到ったか否か判断する(ステップS109)。このステップS109では、駆動制御部30は、図示しないロボットアームを移動させ、予熱用トーチ11のスポット光S1が加熱終了位置(座標位置P0)の座標まで移動したか否か判断する。
【0038】
ここで、予熱用トーチ11が加熱終了位置に到っていない場合(ステップS109のNoの場合)は、ステップS105に戻って、発振部15aの制御を行う。また、予熱用トーチ11が溶接終了位置に到った場合(ステップS109のYesの場合)は、駆動制御部30は、発振器15を停止させるとともに予熱用トーチ11の駆動を停止させて予熱動作を終了する(ステップS110)。
【0039】
さらに、駆動制御部30は、溶接用トーチ12を距離Dだけ移動制御した後、発振器16を停止させるとともに溶接用トーチ12を停止させて溶接動作を終了させて(ステップS111)、上記動作を終了する。なお、発振器15,16の可動、停止(ステップS103、S108、S110、S111)は、この実施形態のように駆動制御部30の制御によって行ってもよいし、ユーザが手動で行ってもよい。
【0040】
このように、この実施形態の加熱補修装置10によれば、チップスキーラ部21の予熱温度を測定し、この測定結果に基づいて予熱用レーザの発振出力を調整するので、ガスタービン動翼におけるチップスキーラ部21の予熱温度の変動を抑えるとともに、効率的に予熱することができる。
【0041】
また、この実施形態の加熱補修装置10によれば、予熱用トーチ11はスポット光を照射して局所的に予熱することができるので、チップスキーラ部21のうちで補修の必要な部分のみを予熱することができる。この結果、その他の部分への入熱が少なくなり、熱による影響、たとえば歪等を防ぐことができる。
【0042】
さらに、この実施形態の加熱補修装置10によれば、溶接用トーチ12のスポット光S2の光軸が予熱用トーチ11のスポット光S1の光軸と同一方向を向き、スポット光S2が、移動するスポット光S1に所定距離遅れて追従し、経路に沿って移動するように、溶接用トーチ12を移動制御するので、加熱されたチップスキーラ部21の補修面の熱損失を低減することができる。
【0043】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2の加熱補修装置10の構成を示す図である。
図5に示すように、この実施形態では、溶接用トーチ12から照射されるスポット光S2の光軸が、予熱用トーチ11から照射されるスポット光S1の光軸に直交するように、予熱用トーチ11と溶接用トーチ12とを接続するL字形の接続部材25を備える。この接続部材25によって、光軸が交わる位置までのスポット光S1,S2の長さHを、一定に設定する。
【0044】
駆動制御部30は、予熱用トーチ11がチップスキーラ部21の外側面にスポット光S1を照射し、溶接用トーチ12がチップスキーラ部21の補修面にスポット光S2を照射するように、移動制御する。この移動制御により、予熱用トーチ11は、チップスキーラ部21の外側面にスポット光S1を照射することができるので、この結果、チップスキーラ部21の外側面および外側面近傍の補修面を加熱することができる。
【0045】
図6は、実施形態2におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。図6に示すように、この実施形態における経路情報は、実施形態1に示した座標位置情報P0〜P17の他に、チップスキーラ部21の外側面を、座標位置情報P0〜P17と同様に、たとえば等間隔にプロットしたx,y,z方向の3次元の座標位置情報Q0〜Q17を有する。ここで、座標位置情報Q0〜Q17はたとえば(x0,ya,z0)〜(x17,yq,z17)で表され、スポット光S1が移動する経路の構築を可能にする。また、座標位置情報P0〜P17は、スポット光S2が移動する経路の構築を可能にする。さらに、座標位置情報P0は溶接開始位置および溶接終了位置に、座標位置情報Q0は加熱開始位置および加熱終了位置に設定される。なお、座標位置情報P0〜P17と座標位置情報Q0〜Q17は、座標位置のうちの高さ方向yが異なるのみで、横方向xと幅方向zとは互いに同一で対応している。a〜qは、プロットしたy方向の数を示す。
【0046】
駆動制御部30は、経路情報および制御プログラムに基づいて、予熱用トーチ11の図示しないロボットアームを駆動制御する。すなわち、駆動制御部30は、チップスキーラ部21外側面の座標位置情報Q0〜Q17、移動速度S等の補修情報に基づいて、スポット光S1の現在位置を認識し、スポット光S1を一定の移動速度Sで、Q0→Q1→Q3→…→Q16→Q17→Q0と移動させるように、予熱用トーチ11を移動制御する。なお、この座標位置情報間は、制御プログラムによって予め経路が補完されており、これにより駆動制御部30は、チップスキーラ部21の外側面におけるスポット光S1の現在位置を認識することができる。
【0047】
また、駆動制御部30は、照射されるスポット光S1の光軸を、チップスキーラ部21の外側面と直交するように、予熱用トーチ11を移動制御する。この制御では、座標位置情報Q0〜Q17に基づいて外側面の形状(たとえば図2に示したチップスキーラ部21の形状と同様の形状)を認識し、この形状から直交するスポット光S1の出射位置(予熱用トーチ11の位置)を決定する。そして、この出射位置に基づいて、照射されるスポット光S1の光軸がチップスキーラ部21外側面に直交するように、予熱用トーチ11を移動制御する。これにより、予熱用トーチ11は、加熱開始位置(座標位置Q0)からチップスキーラ部21の外側面に対して一定の長さHのスポット光S1を照射するとともに、上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部21の外側面とともに、その外周面近傍の補修面を局所的に加熱することができる。
【0048】
また、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21からの溶接用トーチ12の高さを調整およびスポット光S2の光軸を鉛直に駆動制御することができる。この高さ調整や駆動制御は、実施形態1の溶接用トーチ12の制御と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0049】
これにより、溶接用トーチ12は、溶接開始位置(座標位置P0)から光軸がスポット光S1の光軸に直行し、かつチップスキーラ部21に対して鉛直方向を向くスポット光S2を、チップスキーラ部21の補修面に照射するとともに、経路に沿って移動させることができる。この結果、溶接用トーチ12は、加熱されたチップスキーラ部21の補修面に、スポット光S1による加熱とスポット光S2を照射を同時に行うことができ、このスポット光S2によって補修面に供給される補修材料を溶解してこの補修面を肉盛補修することができる。
【0050】
このように、この実施形態の加熱補修装置10によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、スポット光S1がチップスキーラ部21の外側面の予め設定された経路に沿って移動するように、予熱用トーチ11を移動制御し、スポット光S2がチップスキーラ部21の補修面の予め設定された経路に沿って移動するように、溶接用トーチ12を移動制御する。この結果、スポット光S1によって加熱された補修面に同時に、スポット光S2を照射することができるので、予熱温度の変動を考慮することなく、予熱用レーザの発振出力を制御することができ、この発振出力の制御が容易になる。
【0051】
なお、この実施形態はこれに限らず、予熱用トーチ11の光軸位置よりも溶接用トーチ12の光軸の位置を若干後方にし、予熱用トーチ11からのスポット光の照射位置と、溶接用トーチ12からのスポット光の照射位置とをずらした状態にすることも可能である。この場合には、予熱と溶接をほぼ同時に行うことができ、実施形態2と同様に、予熱温度の変動がほとんど生じない状態で補修面を肉盛補修することができる。
【0052】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3の加熱補修装置10の構成を示す図である。図7に示すように、この実施形態では、スポット光S1の光軸とスポット光S2の光軸のなす内角θ(後述する図8参照)が鋭角になるように、予熱用トーチ11と溶接用トーチ12とを接続する接続部材25を備える。そして、駆動制御部30は、スポット光S2がスポット光S1によるチップスキーラ部21の補修面の照射位置とほぼ同一位置をほぼ同時に照射するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する。
【0053】
図8は、実施形態3におけるガスタービン動翼の概略斜視図である。図8に示すように、この実施形態における補修情報は、上記内角θ、スポット光S1と補修面(紙面と水平の方向)のなす角度ω=90°−θ(一定)、補修面からのスポット光S1の高さH1=Hsinω(一定)の情報を含む。ここで、Hは、実施形態1に示したチップスキーラ部21からの予熱用トーチ11のスポット光S1と溶接用トーチ12のスポット光S2の長さである。
【0054】
駆動制御部30は、経路情報および制御プログラムに基づいて、予熱用トーチ11の駆動部(たとえば図示しないロボットアーム)を駆動制御する。すなわち、駆動制御部30は、チップスキーラ部21の座標位置情報P0〜P17、移動速度S等の補修情報に基づいて、スポット光S1の現在位置を認識し、このスポット光S1を一定の移動速度Sで、この経路に沿ってP0→P1→P3→…→P16→P17→P0と移動させるように、予熱用トーチ11を移動制御する。なお、この実施形態でも、実施形態1,2と同様に、座標位置情報間は、制御プログラムによって予め経路が補完されており、これにより駆動制御部30は、スポット光S1の現在位置を認識することができる。
【0055】
さらに、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、角度ω、長さH、高さH1の情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21からの予熱用トーチ11の高さを調整することができる。この角度ωと高さH1は、常に一定に設定されている。そこで、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、移動速度S等の補修情報に基づいて認識されたチップスキーラ部21におけるスポット光S1の現在位置を認識し、この現在位置(座標位置のうちの高さ方向y)、角度ω、長さH、高さH1によって、予熱用トーチ11の高さを調整し、補修面から予熱用トーチ11までの距離を一定にすることが可能となる。
【0056】
この駆動制御により、予熱用トーチ11は、加熱開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部21に対して常に一定の長さのスポット光S1をチップスキーラ部21の補修面に照射するとともに、上記経路に沿って移動させることができる。この結果、このスポット光S1によってチップスキーラ部21の補修面を局所的に加熱することができる。
【0057】
また、駆動制御部30は、溶接用トーチ12からのスポット光S2の光軸の方向を鉛直方向に設定する。駆動制御部30は、補修情報および補修プログラムに基づいて、溶接用トーチ12の図示しないロボットアームを駆動制御する。さらに、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21からの溶接用トーチ12の高さを調整することができる。この駆動制御や高さ調整は、実施形態1と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0058】
また、駆動制御部30は、スポット光S2がスポット光S1によるチップスキーラ部21の補修面の照射位置とほぼ同一位置をほぼ同時に照射するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する。すなわち、駆動制御部30は、チップスキーラ部21の座標位置情報P0〜P17、移動速度Sの情報等に基づいて、スポット光S1の現在の照射位置を認識し、この照射位置を常にスポット光S2が照射し、かつこのスポット光が経路に沿って移動するように、溶接用トーチ12を移動制御する。
【0059】
また、駆動制御部30は、座標位置情報P0〜P17、長さHの情報等の補修情報に基づいて、チップスキーラ部21からの溶接用トーチ12の高さの調整およびスポット光S2の光軸を鉛直に駆動制御することができる。この高さ調整や駆動制御は、実施形態1の溶接用トーチ12の制御と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0060】
この移動制御により、溶接用トーチ12は、溶接開始位置(座標位置P0)からチップスキーラ部21に対して常に一定の長さのスポット光S2をチップスキーラ部21の補修面に照射するとともに、スポット光S1の照射位置と同一位置を同時に照射することができる。
【0061】
このように、この実施形態の加熱補修装置10によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、両トーチ11,12のスポット光の光軸を所定角度ずらして配置し、両トーチ11,12からのスポット光を、チップスキーラ部21の補修面の同一の照射位置にオーバーラップするように照射する。この結果、予熱温度の変動が全くなくなり、この変動を考慮することなく、予熱用レーザの発振出力を制御することができ、この発振出力の制御がさらに容易になる。
【0062】
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態4の加熱補修装置10の構成を示す図である。
図9に示すように、この実施形態では、発振器16から発振されるレーザ光の光軸上にレンズ群40を配置して、このレーザ光を分割し、分割されたレーザ光を両トーチ11,12にそれぞれ供給する。なお、両トーチ11,12は、実施形態3と同様に接続され、実施形態3と同様に予熱用トーチ11および溶接用トーチ12を駆動制御している。
【0063】
レンズ群40は、コリメートレンズ41、集光レンズ42、プリズム43を備える。コリメートレンズ41は、発振器16から発振されたレーザ光を平行光に変更する。集光レンズ42は、この平行光の束のうちのほぼ半分の束を集光して光ファイバ14を介して溶接用トーチ12に供給することで、溶接用トーチ12から1600[℃]に達するような発振出力のスポット光の出力を可能にする。
【0064】
また、コリメートレンズ41と集光レンズ42間で残りのほぼ半分の平行光の束を遮る位置にプリズム43を配置する。プリズム43は、この残りの平行光の束を角度を変えて分光し、集光レンズ42に入射させる。集光レンズ42は、プリズム43から入射した平行光の束を集光して光ファイバ13を介して予熱用トーチ11に予熱用トーチ11に供給することで、1000[℃]に達するような発振出力のスポット光の出力を可能にする。
【0065】
また、この実施形態の加熱補修装置10は、放射温度計17で測定されたチップスキーラ部21の測定温度に基づいて、プリズム43の配置位置を移動制御する駆動制御部31を備える。すなわち、この駆動制御部31は、プリズム43の配置位置を移動させて、集光レンズ42を介して光ファイバ13に入射するレーザ光のエネルギー密度を変化させる。
【0066】
たとえば、駆動制御部31は、入力する測定温度が設定温度より低いときには、プリズム43を図中の集光レンズ42側に移動させることで、集光レンズ42を介して光ファイバ13に入射するレーザ光のエネルギー密度を高く変化させる。これにより、予熱用トーチ11から照射されるスポット光の温度上昇を図ることができる。また、駆動制御部31は、入力する測定温度が設定温度より高いときには、プリズム43を図中のコリメートレンズ41側に移動させることで、集光レンズ42を介して光ファイバ13に入射するレーザ光のエネルギー密度を低く変化させる。これにより、予熱用トーチ11から照射されるスポット光の温度下降を図ることができる。
【0067】
なお、この実施形態における予熱用トーチ11および溶接用トーチ12の移動制御は、実施形態3と同様の制御方法を用いて行うので、ここでは説明を省略する。
【0068】
このように、この実施形態の加熱補修装置10によれば、実施形態3と同様の効果が得られるとともに、分割したレーザ光を予熱用トーチ11と溶接用トーチ12とにそれぞれ供給し、かつレンズ群40のプリズム43を移動制御して予熱用トーチ11に供給されるレーザ光のエネルギー密度を変化させる。この結果、高価な発振器の部品点数を削減できるとともに、プリズム43の物理的な移動のみで容易に予熱用トーチ11から照射されるスポット光の温度を変化することができる。
【0069】
なお、この実施形態では、予熱用トーチ11および溶接用トーチ12の駆動制御を実施形態3の制御方法で行ったが、本発明はこれに限らず、両トーチ11,12を実施形態1,2のように駆動制御することも可能である。この場合には、実施形態1,2と同様の効果も得られる。
【0070】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…加熱補修装置、11…予熱用トーチ、12…溶接用トーチ、13,14…光ファイバ、15,16…発振器、15a…発振部、15b…制御部、17…放射温度計、18…部分雰囲気置換用カバー、19…ケーブル、20…ガスタービン動翼、21…チップスキーラ部、25…接続部材、30,31…駆動制御部、40…レンズ群、41…コリメートレンズ、42…集光レンズ、43…プリズム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン翼の補修部位に第1スポット光を照射し、この補修部位を局所的に加熱する第1レーザ照射部と、
前記照射された第1スポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御する第1移動制御部と、
前記加熱された補修部位の温度を検出する検出部と、
前記検出された補修部位の温度に基づいて、前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御する制御部と、
前記加熱されたガスタービン翼の補修部位に第2スポット光を照射し、この補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修する第2レーザ照射部と、
前記第1スポット光が移動する前記経路に対応して、前記照射された第2スポット光が移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する第2移動制御部と、
を具備することを特徴とする加熱補修装置。
【請求項2】
前記第2移動制御部は、前記第2スポット光の光軸が前記第1スポット光の光軸と同一方向を向き、前記第2スポット光が、前記移動する第1スポット光に所定距離遅れて追従し、前記経路に沿って移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項1記載の加熱補修装置。
【請求項3】
前記第2移動制御部は、前記第2スポット光が前記第1スポット光による前記補修部位の照射位置とほぼ同一位置をほぼ同時に照射するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項1記載の加熱補修装置。
【請求項4】
前記第1スポット光の光軸と前記第2スポット光の光軸のなす内角が鋭角になるように、前記第1レーザ照射部と前記第2レーザ照射部とを接続する接続部材を、
さらに具備することを特徴とする請求項3記載の加熱補修装置。
【請求項5】
前記第1移動制御部は、前記第1スポット光が前記補修部位の外側面の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御し、
前記第2移動制御部は、前記照射される第2スポット光の光軸の方向が鉛直方向になるように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項1記載の加熱補修装置。
【請求項6】
前記照射する第2スポット光の光軸が、前記第1スポット光の光軸に直交するように、前記第1レーザ照射部と前記第2レーザ照射部とを接続する接続部材を、
さらに具備することを特徴とする請求項5記載の加熱補修装置。
【請求項7】
レーザ光を発振して前記第1レーザ照射部に供給する第1レーザ光源と、
レーザ光を発振して前記第2レーザ照射部に供給する第2レーザ光源と、
をさらに具備し、前記制御部は、前記検出された補修部位の温度に基づいて、前記第1レーザ光源から発振するレーザ光の発振出力を変更することで、前記第1スポット光のエネルギー密度を制御する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱補修装置。
【請求項8】
複数のレンズを有し、発振されたレーザ光を分割して前記第1レーザ照射部および第2レーザ照射部にそれぞれ供給するレンズ群と、
前記検出部で検出された補修部位の温度に基づいて、前記レンズ群のレンズの配置位置を移動させて、前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御するレンズ移動制御部と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱補修装置。
【請求項9】
第1レーザ照射部が、ガスタービン翼の補修部位に第1スポット光を照射し、この補修部位を局所的に加熱するステップと、
第1移動制御部が、前記照射された第1スポット光が前記補修部位の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御するステップと、
前記加熱された補修部位の温度を検出部が検出するステップと、
前記検出された補修部位の温度に基づいて、制御部が前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御するステップと、
第2レーザ照射部が、前記加熱されたガスタービン翼の補修部位に第2スポット光を照射し、この補修部位に供給された補修材料を溶解してこの補修部位を肉盛補修するステップと、
第2移動制御部が、前記第1スポット光が移動する前記経路に対応させて、前記照射された第2スポット光が移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御するステップと、
を含むことを特徴とする加熱補修方法。
【請求項10】
前記肉盛補修するステップでは、前記第2スポット光の光軸が前記第1スポット光の光軸と同一方向を向き、前記第2スポット光が、前記移動する第1スポット光に所定距離遅れて追従し、前記経路に沿って移動するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項9記載の加熱補修方法。
【請求項11】
前記肉盛補修するステップでは、前記第2スポット光が前記第1スポット光による前記補修部位の照射位置とほぼ同一位置をほぼ同時に照射するように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項9記載の加熱補修方法。
【請求項12】
前記加熱するステップでは、前記第1スポット光が前記補修部位の外側面の予め設定された経路に沿って移動するように、前記第1レーザ照射部を移動制御し、
前記肉盛補修するステップでは、前記第1スポット光の光軸に直交するように設定された前記第2スポット光の光軸の方向が、鉛直方向になるように、前記第2レーザ照射部を移動制御する
ことを特徴とする請求項9記載の加熱補修方法。
【請求項13】
複数のレンズを有するレンズ群が、レーザ光源から発振されたレーザ光を分割して前記第1レーザ照射部および第2レーザ照射部にそれぞれ供給するステップを
さらに含み、前記制御するステップでは、前記検出部で検出された補修部位の温度に基づいて、前記レンズ群のレンズの配置位置を移動させて、前記照射される第1スポット光のエネルギー密度を制御する
ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の加熱補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−86235(P2012−86235A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233832(P2010−233832)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】