説明

加速度センサ素子、加速度センサ装置及び加速度センサ素子の製造方法

【課題】重り部の強度を維持しつつ梁部を長くすることが可能な加速度センサ素子を提供する。
【解決手段】加速度センサ素子1は、開口部13が形成された固定部3と、開口部13内に配置される重り部7と、一方端が重り部7に連結され、他方端が固定部3に連結される梁部5と、梁部5に設けられ、梁部5の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子9とを有する。重り部7は、梁部5の一方端が連結される主部15と、主部15に連結され、梁部5の重り部7側の端部よりも固定部3側に突出する付属部17とを有する。付属部17(非重なり部19)は、開口部13の開口方向に見て梁部5と重ならない位置において主部15に連結されている。さらに、付属部17(重なり部21)は、梁部5よりも第2主面Sb側、且つ、開口方向に見て梁部5と重なる位置において主部15に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサ素子、加速度センサ装置及び加速度センサ素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピエゾ抵抗効果を利用して加速度を検出する加速度センサ素子が知られている(例えば、特許文献1)。図10は、特許文献1等に記載された加速度センサ素子501の斜視図である。
【0003】
加速度センサ素子501は、固定部503と、一端が固定部503に支持される梁部505と、梁部505の他端に支持される重り部507と、梁部505に設けられた抵抗素子9とを有している。加速度センサ素子501に加速度に比例した外力が加えられると、重り部507が固定部503に対して変位するとともに梁部505に曲げ変形が生じる。そして、梁部505とともに曲げ変形が生じた抵抗素子9の抵抗値の変化を検出することにより、加速度が検出される。
【0004】
加速度センサ素子501では、重り部507を大きくするほど、また、梁部505を長くするほど、加速度に対する梁部505の撓みが大きくなり、加速度の検出感度が高くなる。そこで、重り部507は、いわゆるクローバー型に形成されている。すなわち、重り部507は、梁部505に固定される主部515と、主部515から固定部503側に突出する複数の付属部517とを有している。これにより、梁部505の長さを維持したまま、重り部507の体積が大きくなり、加速度センサ素子501は、感度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−172745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
付属部517と梁部505とは溝部525により隔てられている。従って、溝部525を2点鎖線で示すように長くすることにより、梁部505を長くして感度の向上を図ることが考えられる。しかし、この場合、付属部517と主部515との連結部が縮小され、重り部507の強度が低下する。
【0007】
本発明の目的は、重り部の強度を維持しつつ梁部を長くすることが可能な加速度センサ素子、加速度センサ装置及び加速度センサ素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点の加速度センサ素子は、開口部が形成された固定部と、前記開口部内に配置される重り部と、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、を有し、前記重り部は、前記梁部の前記一方端が連結される主部と、前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、を有し、前記付属部は、前記開口方向に見て前記梁部と重ならない位置において前記主部に連結される非重なり部と、前記非重なり部に連結されるとともに、前記開口方向に見て前記梁部と重なる位置において前記主部に連結され、前記梁部との間に隙間を有する重なり部と、を有する。
【0009】
本発明の第2の観点の加速度センサ素子は、積層された複数の層により構成された固定部と、前記複数の層により構成され、前記固定部に対して前記複数の層の積層方向に直交する方向において隣接する重り部と、前記複数の層の一部の層により構成され、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、を有し、前記重り部は、前記梁部の前記一方端が連結される主部と、前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、を有し、前記付属部は、前記積層方向に見て前記梁部と重ならない位置において前記主部に連結される非重なり部と、前記非重なり部に連結されるとともに、前記積層方向に見て前記梁部と重なる位置において前記主部に連結され、前記梁部との間に隙間を有する重なり部と、を有する。
【0010】
本発明の第3の観点の加速度センサ素子は、開口部が形成された固定部と、前記開口部内に配置される重り部と、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、を有し、前記重り部は、前記梁部の前記一方端が連結される主部と、前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、を有し、前記付属部は、前記梁部よりも前記開口方向の一方側においてのみ設けられている。
【0011】
本発明の加速度センサ装置は、上記のいずれか一に記載の加速度センサ素子と、前記加速度センサ素子の出力信号を信号処理するICチップとを有する。
【0012】
本発明の加速センサ素子の製造方法は、半導体基板に対して加工を行い、前記半導体基板の一方主面から他方主面に貫通する開口部が形成された固定部と、前記開口部内に配置される重り部と、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、を有し、前記重り部が、前記梁部の前記一方端が連結される主部と、前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側へ突出する付属部と、を有する加速度センサ素子を製造する方法であって、前記一方主面を構成する半導体層と、前記他方主面を構成する支持層と、前記半導体層と前記支持層との間に配置された絶縁層とを有する前記半導体基板を準備する工程と、前記一方主面側から前記半導体層に対してエッチングを行い、前記梁部の側面を形成する工程と、前記一方主面側から前記絶縁層に対して等方性エッチングを行い、前記梁部の前記他方主面側に位置する絶縁層を除去して前記梁部を形成する工程と、前記他方主面側から前記支持層に対してエッチングを行い、前記重り部と前記固定部とを隔てる溝部を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、重り部の強度を維持しつつ梁部を長くできる。したがって破損が少なく加速度の検出感度に優れた加速度センサ素子及び加速度センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加速度センサ素子の斜視図であり、(a)は第1主面から見た斜視図、(b)は第2主面からみた斜視図である。
【図2】図1の加速度センサ素子の平面図である。
【図3】(a)は図2のIIIa−IIIa線における断面図、(b)は図2のIIIb−IIIb線における断面図、(c)はIIIc−IIIc線における断面図である。
【図4】(a)は図3の領域IVa領域の拡大図、(b)は図3の領域IVbの拡大図、(c)は図3の領域IVcの拡大図である。
【図5】図1の加速度センサにおける絶縁層の範囲を示す平面図である。
【図6】図1のセンサ素子の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る加速度センサ素子の斜視図である。
【図8】図7の加速度センサ素子の図3(a)に相当する断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る加速度センサ装置の構成を示す断面図である。
【図10】従来の加速度センサ素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して、本発明に係る加速度センサ素子、加速度センサ装置及び加速度センサ素子の製造方法の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率は現実のものとは必ずしも一致していない。また、以下に述べる各種の実施形態において、同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係る加速度センサ素子1を第1主面Saから見た斜視図である。図1(b)は、センサ素子1を第1主面Saの背面側(第2主面Sb側)から見た斜視図である。なお、以下では、第1主面Saの平面視を単に平面視ということがある。
【0017】
センサ素子1は、例えば、ピエゾ抵抗効果を利用した三次元加速度センサ素子として構成されている。すなわち、センサ素子1は、3次元直交座標系における、X軸、Y軸、Z軸の各軸方向の加速度を検出可能に構成されている。
【0018】
センサ素子1は、センサ素子1に加えられた加速度をセンサ素子1の変形に変換するために、固定部3と、重り部7と、重り部7を固定部3に対して揺動可能に支持する梁部5(図1(a))とを有している。また、センサ素子1は、梁部5の変形を電気的変化に変換して出力するために、梁部5の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子9(図1(a))と、抵抗素子9に接続され、端子として機能する電極パッド11(図1(a))とを有している。
【0019】
固定部3には、重り部7が配置される開口部13が形成されている。より具体的には、例えば、固定部3は、平面視において概ね略正方形の枠状に形成され、開口部13は、概ね正方形に形成されている。固定部3の平面視における一辺の長さは、例えば、0.8mm〜3.0mmである。固定部3の平面視における各辺の幅は、例えば0.1mm〜1.8mmである。固定部3の厚み(開口部13の開口方向における大きさ)は、例えば、0.2mm〜0.625mmである。
【0020】
梁部5は、一端が重り部7に連結され、他端が固定部3に連結されることにより、重り部7を固定部3に対して揺動可能に支持している。梁部5は、例えば、X軸方向において重り部7を挟んで2本、Y軸方向において重り部7を挟んで2本、合計4本設けられている。各梁部5は、開口部13の開口方向の一方側(第1主面Sa側)において設けられている。より具体的には、梁部5は、第1主面Sa側の一方主面が固定部3の第1主面Saと面一になるように、また梁部5の一方主面と反対側の他方主面は、固定部3の第2主面Sbより第1主面Sa側に位置するように形成されている。また、梁部5の厚さ(開口部13の開口方向における大きさ)は、固定部3の厚さよりも小さい。梁部5の長さは、例えば、0.1mm〜1.0mmである。梁部5の平面視における幅は、例えば、0.01mm〜0.2mmである。梁部5の厚さは、例えば、5μm〜20μmである。
【0021】
重り部7は、いわゆるクローバー型の重り部において、クローバーの葉の部分(図10の付属部517を参照)が互いに連結されて一つになった形状に形成されている。重り部7は、梁部5に連結された主部15と、主部15の外周に連結された付属部17とを有している。
【0022】
主部15は、例えば、平面視において概ね正方形の直方体状(立方体含む)に形成されている。また、主部15は、例えば、固定部3の厚さ(開口部13の開口方向における大きさ)と同等の厚さを有し、主部15の第1主面Sa側の面及び第2主面Sb側の面は、それぞれ固定部3の第1主面Sa側の面及び第2主面Sb側の面と同一平面に収まる。主部15の平面視における一辺の長さは、図10に示した従来の主部515に比較して短くされてよい。当該一辺の長さは、例えば、0.1mm〜0.5mmである。また、主部15の厚みは、例えば、0.2mm〜0.625mmである。
【0023】
付属部17は、梁部5の主部15側の端部よりも梁部5の固定部3側の端部側へ突出している。このように付属部17が主部15から突出することにより、梁部5が長く形成されつつ、重り部7の体積が大きくなる。付属部17の詳細については後述する。
【0024】
抵抗素子9は、変形に伴って抵抗値が変化するピエゾ抵抗である。抵抗素子9は、各計測方向の加速度を検出するために、適宜な位置に適宜な数で設けられる。例えば、X軸方向の加速度を検出するために、X軸方向に延びる2本の梁部5それぞれに抵抗素子9が2個ずつ設けられる。そして、その4個の抵抗素子はブリッジ回路を構成するように、第1主面Saに設けられた不図示の配線により互いに接続される。ブリッジ回路の出力電圧は、梁部5の変形に伴う抵抗素子9の抵抗値の変化により変化する。なお、図1等では、3軸方向に対応する抵抗素子9を例示している。
【0025】
電極パッド11は、固定部3の第1主面Saに設けられている。電極パッド11は、第1主面Saに形成された不図示の配線を介して、抵抗素子9を含むブリッジ回路と接続されている。抵抗素子9を含むブリッジ回路は、電極パッド11を介して、電圧の印加がなされ、また、出力電圧を加速度センサ素子1の外部へ出力する。
【0026】
なお、特に図示しないが、固定部3、梁部5及び重り部7の連結部分、並びに、主部15及び付属部17の連結部分においては、応力集中が生じないように、適宜な大きさの丸みが付与されてよい。
【0027】
図2は、加速度センサ素子1の平面図である。図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、それぞれ、図2のIIIa−IIIa線、IIIb−IIIb線及びIIIc−IIIc線における断面図である。なお、図3において電極パッド11は省略する。
【0028】
図1〜図3に示すように、付属部17は、平面視において主部15の回りに環状に形成されている。そして、付属部17は、主部15の全周に亘って主部15に連結されている。なお、図1(b)、図3(b)及び図3(c)においては、説明の便宜上、主部15と付属部17との境界線L1を図示している。
【0029】
付属部17は、例えば、平面視において概ね正方形の直方体状(立方体含む)に形成されている。付属部17は、全体が梁部5よりも下方に位置しており、第2主面Sb側の面は、固定部3の第2主面Sb側の面と同一平面に収まっている。そして、付属部17は、固定部3の厚さから梁部5の厚さを差し引いた厚さよりも、梁部5と付属部17との距離H(図4(a)も参照)だけ小さい厚さを有している。
【0030】
付属部17の平面視における1辺の長さは、例えば、0.6mm〜1.2mmである。付属部17の主部15からの梁部5の他方端側(固定部3側)への突出量は、付属部17の外周面17aと固定部3の内周面3aとを隔てる溝部14の幅W1(符号は図2及び図3)よりも大きい。
【0031】
付属部17は、平面視において大きく形成されることが好ましい。換言すれば、溝部14の幅W1は小さく設定されることが好ましい。幅W1は、種々の事情を考慮して設定される。例えば、幅W1が可能な限り狭く設定され、また、溝部14が後述するようにエッチングによって形成される場合、幅W1は、エッチングに必要な幅によって規定され、40〜50μmである。
【0032】
なお、溝部14は、センサ素子1の対象計測範囲内の最大加速度がセンサ素子1に加えられ、重り部7が固定部3に対して揺動したときに、重り部7が固定部3に衝突しない幅に設定される必要がある。しかし、一般に、当該幅は、エッチングに必要な幅よりも狭く、例えば、10μm程度である。
【0033】
付属部17の外周面17aと固定部3の内周面3aとは、平面視においても、また、開口部13の開口方向に平行な断面においても、互いに平行且つ一定の距離を保っている。換言すれば、溝部14は、一定の幅で加速度センサ素子1を貫通するとともに、平面視において一定の幅で延びている。
【0034】
付属部17は、平面視において梁部5と重ならない非重なり部19と、平面視において梁部5と重なる重なり部21とを有している。なお、図1(b)及び図3(a)では、説明の便宜的上、非重なり部19と重なり部21との境界線L2を点線で示している。
【0035】
図3に示すように、センサ素子1は、例えば、半導体基板29に加工が施されることにより構成されている。半導体基板29は、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板である。半導体基板29は、第1主面Sa側から順に、半導体層31、絶縁層33及び支持層35が積層されて構成されている。
【0036】
なお、半導体基板29、半導体層31、絶縁層33及び支持層35、並びに、第1主面Sa及び第2主面Sbは、加工前と加工後とで形状が異なるが、便宜上、加工前と加工後とで共通の符号を用いる。
【0037】
半導体層31及び支持層35は、例えばシリコンにより形成されている。絶縁層33は、例えばSiOにより形成されている。半導体層31の厚さは、例えば、5μm〜20μmである。絶縁層33の厚さは、例えば、0.1μm〜5μmである。支持層35の厚さは、例えば、0.2mm〜0.6mmである。
【0038】
固定部3及び主部15は、半導体層31、絶縁層33及び支持層35により構成されている。梁部5は、半導体層31により構成されている。付属部17は、支持層35により構成されている。
【0039】
梁部5は、固定部3等よりも薄く形成されることにより、固定部3等に比較して曲げ剛性が小さい。すなわち、梁部5は、可撓性を有している。
【0040】
図4(a)は、図3(a)の領域IVaの拡大図である。図3(a)及び図4(a)に示すように、梁部5は半導体層31のみにより構成され、付属部17(重なり部21)は支持層35のみにより構成されている。従って、重なり部21の第1主面Sa側の面と、梁部5の第2主面Sb側の面との間には隙間が設けられており、その距離Hは、絶縁層33の厚みと同等である。
【0041】
図4(b)は、図3(b)の領域IVbの拡大図である。絶縁層33の主部15を構成する部分の外周縁33aは、半導体層31の主部15を構成する部分の外周縁31aよりも内周側に位置している。なお、その差D1は、梁部5の幅の半分と同程度、若しくは、それよりも若干大きく、例えば、5μm〜100μmである。
【0042】
図4(c)は、図3(b)の領域IVcの拡大図である。絶縁層33の固定部3を構成する部分の内周縁33bは、半導体層31の固定部3を構成する部分の内周縁31bよりも外周側に位置している。なお、その差D2は、差D1と同様に、梁部5の幅の半分と同程度、若しくは、それよりも若干大きく、例えば、5μm〜100μmである。
【0043】
図5は、絶縁層33の範囲を示す平面図である。
【0044】
上述のように、絶縁層33の縁部(33a、33b)は、半導体層31の縁部(31a、31b)よりも奥まったところに位置している。このような絶縁層33の縁部(33a、33b)の浸食は、梁部5と主部15との連結部分、及び、梁部5と固定部3との連結部分においても生じている。
【0045】
一方で絶縁層33の縁部の侵食をしないようにすることも可能である。絶縁層33の縁部(33a、33b)の侵食が生じないようにする方法としては、その縁部を含む領域に絶縁層33を設けず半導体層31と支持層35とが直接接続された状態としておけばよい。例えば、半導体基板29として、主部15となる部分の直下領域には絶縁層33を設けず、この領域のみ半導体層31と支持層35とが直に接続されているものを用いることで絶縁層33の縁部33aの侵食が生じないようにすることができる。
【0046】
なお、本願において、半導体層31の主部15を構成する部分の外周縁31aというときには、当該外周縁31aは、半導体層31における主部15と梁部5との(仮想的な)境界線を含むものとする。同様に、本願において、半導体層31の固定部3を構成する部分の内周縁31bというときには、当該内周縁31bは、固定部3と梁部5との(仮想的な)境界線を含むものとする。
【0047】
(センサ素子1の製造方法)
図6は、センサ素子1の製造方法を説明する断面図である。当該断面図は、図3(a)に対応する位置における断面図である。なお、図6の半導体基板29において、梁部5や重り部7等のセンサ素子1の各部になるべき個所(形成過程の各部)に、理解を容易にするために、各部の符号を示すことがある。センサ素子1は、上述のように、半導体基板29に対する加工により形成される。
【0048】
図6(a)に示すように、半導体基板29の加工では、まず、抵抗素子9の形成が行われる。具体的には、半導体層31にイオン注入法により不純物を注入することでピエゾ抵抗からなる抵抗素子9が形成される。不純物としては、半導体基板29としてn型のSOI基板を用いた場合にはB(ボロン)が例示でき、半導体基板29としてp型のSOI基板を用いた場合にはP(リン)、As(ヒ素)などが例示できる。
【0049】
抵抗素子9の形成後、図6では図示を省略するが、半導体層31には、不図示の配線及び電極パッド11が形成される。これらは、金属スパッター、CVD、蒸着などによりアルミなどの金属材料を成膜した後、成膜した金属材料をドライエッチング、ウェットエッチングなどによりパターニングすることにより形成される。
【0050】
次に、第1主面Sa及び第2主面Sbに対してエッチングを行うことにより、固定部3、梁部5及び重り部7を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもよいし、ドライエッチングでもよい。好適には、エッチングは、誘導結合型プラズマ反応性イオンエッチング(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:ICP-RIE)である。
【0051】
具体的には、まず、図6(b)に示すように、第1主面Saに対するエッチングが行われる。このエッチングでは、固定部3、梁部5及び主部15を互いに隔てる領域において半導体層31が除去される。当該除去される領域は、図1(a)等から理解されるように、4つの概ね矩形状の領域である。半導体層31の除去において、絶縁層33は、エッチングストッパとして機能する。
【0052】
次に、図6(c)に示すように、第2主面Sbに対するエッチングが行われる。このエッチングでは、固定部3及び付属部17を互いに隔てる領域において支持層35が除去される。当該除去される領域は、図1(b)等から理解されるように、矩形の枠状である。当該枠状の領域の幅は、上述した溝部14の説明から理解されるように、全周に亘って一定(幅W1)である。支持層35の除去においては、絶縁層33は、エッチングストッパとして機能する。
【0053】
その後、既に参照した図3(a)に示されるように、絶縁層33のエッチングが行われる。このエッチングでは、半導体層31を除去した領域、並びに、平面視において梁部5と重なる領域において絶縁層33が除去される。
【0054】
例えば、まず、半導体層31のエッチングのために用いられたフォトマスクと同一のフォトマスクが使用されることにより、フォトレジストのエッチングマスクが形成される。なお、半導体層31がエッチングマスクとして使用されてもよい。
【0055】
次に、絶縁層33を除去する等方性エッチングが行われる。等方性エッチングが採用されることにより、梁部5の側方から梁部5と重なる領域の絶縁層33が浸食され、半導体層31を除去した領域だけでなく、梁部5と重なる領域においても絶縁層33が除去される。
【0056】
また、等方性エッチングが採用されることにより、絶縁層33の主部15及び固定部3における縁部(33a、33b)も浸食される。これにより、当該縁部(33a、33b)は、半導体層31の主部15及び固定部3における縁部(31a、31b)よりも奥まったところに位置する。等方性エッチングとしては例えば、フッ酸を用いたウェットエッチング、あるいはフッ酸ガスを用いたドライエッチングが例示できる。
【0057】
なお、半導体層31よりも開口の狭いエッチングマスクを形成することにより、絶縁層33の縁部(33a、33b)と半導体層31の縁部(31a、31b)とを概ね一致させることも可能である。
【0058】
以上の実施形態によれば、加速度センサ素子1は、開口部13が形成された固定部3と、開口部13内に配置される重り部7と、一方端が重り部7に連結され、他方端が固定部3に連結される梁部5と、梁部5に設けられ、梁部5の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子9とを有する。重り部7は、梁部5の一方端が連結される主部15と、主部15に連結され、梁部5の一方端(重り部7側の端部)よりも他方端側(固定部3側)に突出する付属部17とを有する。付属部17(非重なり部19)は、開口部13の開口方向に見て梁部5と重ならない位置において主部15に連結されている。さらに、付属部17(重なり部21)は、梁部5よりも開口方向の一方側(第2主面Sb側)、且つ、開口方向に見て梁部5と重なる位置において主部15に連結されている。
【0059】
このような構造を有する加速度センサ素子1は、図10に示す従来の形状に比較して、付属部17と主部15との連結部が拡張される。従って、重り部7の強度を維持しつつ、図10の溝部525を長くすることはもちろん、隣接する溝部525同士を主部側の端部において接続したり、本実施形態のように溝部525を無くしたりすることもできる。すなわち、重り部7の強度を維持しつつ、梁部5を長くして、感度を向上させることができる。さらに、梁部5の下方側領域まで重り部7が拡張されることにより、重り部7の質量が増加し、感度の向上が図られる。
【0060】
付属部17は、開口部13の開口方向に見て、梁部5と重なる部分(重なり部21)を介して梁部5の側方の一方側から梁部5の側方の他方側に亘って設けられている。従って、梁部5の下方部分が梁部5の幅方向全体に亘って有効利用され、主部15と付属部17との連結の強化及び重り部7の質量増大が一段と図られる。さらに、従来の図10の付属部517同士が連結されることになり、重り部7の強度向上が一層図られる。
【0061】
開口部13(固定部3)の内周面3a及び付属部17の外周面17aは、梁部5よりも開口方向の一方側(第2主面Sb側)において、互いの距離が開口方向の一方側の端面(第2主面Sb)まで一定である。従って、図6(c)を参照して説明したように、第2主面Sbに対するエッチングにより付属部17(重り部7の梁部5よりも第2主面Sb側部分)を形成することが容易である。すなわち、第2主面Sbに対するエッチングを、フォトマスクを交換しつつ行ったりする必要がない。
【0062】
梁部5よりも開口方向の一方側(第2主面Sb側)において開口部13の内周面3a及び重り部7の外周面17aにより形成される溝部(14)は、開口部13の開口方向に見て一定の幅に形成されている。ここで、例えば、プラズマエッチングを行う場合において、エッチングされる領域に、幅の広い部分と、幅の狭い部分とがあると、幅の広い部分においては幅の狭い部分よりも粒子密度が高くなる。その結果、幅の広い部分においては、幅の狭い部分よりも速くエッチングが進み、オーバーエッチングとなりやすい。しかし、本実施形態では、溝部14の幅が一定であることから、オーバーエッチングの発生が抑制される。
【0063】
このような開口部13の内周面3a及び重り部7の外周面17aにより形成される溝部を一定の幅にできるのは、重り部7を梁部5と重なる位置まで拡張していることによる。例えば、図10に示す従来のセンサ素子501では、梁部505よりも第2主面Sb側において、溝部14の他に、2つの付属部517同士を隔てる溝部516が形成されている。一般に、溝部516は、溝部14よりも広い。従って、溝部516においてオーバーエッチングが発生しやすい。しかし、本実施形態では、重り部7を梁部5と重なる位置まで拡張して溝部516を無くしていることから、第2主面Sb側において開口部13の内周面3a及び重り部7の外周面17aにより形成される溝部(14のみ)を一定の幅にできる。
【0064】
付属部17の主部15からの梁部5の他方端側(固定部3側)への突出量は、付属部17と固定部3との距離W1よりも大きい。上述のように、距離W1は、クローバー型のセンサ素子1において、できるだけ小さくされることが好ましく、エッチングの最小幅とされることもあり得る。従って、付属部17の突出量が距離W1よりも大きいことは、付属部17がエッチングの精度誤差等によって偶然に形成されたものではないことの目安となる。また、付属部17の突出量が距離W1よりも大きいことは、付属部17が梁部5の長さの半分以上の大きさで突出していることになるから、重り部7の質量増大の効果も非常に大きい。
【0065】
センサ素子1は、開口部13の開口方向において順に積層された半導体層31、絶縁層33及び支持層35を有する。固定部3及び重り部7は、半導体層31、絶縁層33及び支持層35により構成され、梁部5は、半導体層31により構成されている。そして、付属部17のうち開口方向に見て梁部5と重なる部分(重なり部21)は、支持層35により構成されている。従って、図6を参照して説明したように、絶縁層33を除去する等方性エッチングの採用により、簡単に梁部5と重なり部21との間の隙間を形成することができる。
【0066】
絶縁層33の主部15を構成する部分の外周縁33aは、半導体層31の主部15を構成する部分の外周縁31aよりも内周側に位置している。従って、重り部7のうち支持層35により構成される部分の半導体層31に対する作用点は、固定部3から遠ざかる。その結果、梁部5の固定部3側に設けられた抵抗素子9に対して、梁部5が長くなることに近似した効果が期待される。
【0067】
同様に、絶縁層33の固定部3を構成する部分の内周縁33bは、半導体層31の固定部3を構成する部分の内周縁31bよりも外周側に位置しており、梁部5が長くなることに近似した効果が期待される。
【0068】
また、別の観点においては、本実施形態のセンサ素子1は、開口部13が形成された固定部3と、開口部13内に配置される重り部7と、一方端が重り部7に連結され、他方端が固定部3に連結される梁部5と、梁部5に設けられ、梁部5の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子9とを有する。重り部7は、梁部5の一方端が連結される主部15と、主部15に連結され、梁部5の一方端(重り部7側の端部)よりも他方端側(固定部3側)に突出する付属部17とを有する。付属部17は、梁部5よりも開口方向の一方側においてのみ設けられている。
【0069】
従って、付属部17は、図9に示す従来技術のように溝部525と隔てられる必要はない。その結果、付属部を、図9に示す従来技術よりも梁部5に近接させたり、本実施形態のように付属部17を梁部5と重なる位置まで拡張させたりすることができる。そして、重り部7の強度を維持しつつ、梁部5を長くして、感度を向上させることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態のセンサ素子1の製造方法は、第1主面Saを構成する半導体層31と、第2主面Sbを構成する支持層35と、半導体層31と支持層35との間に配置された絶縁層33とを有する半導体基板29を準備する工程(図6(a))を有する。また、当該製造方法は、第1主面Sa側から半導体層31に対してエッチングを行い、梁部5の側面を形成する工程(図6(b))と、第2主面Sb側から支持層35に対してエッチングを行い、重り部7と固定部3とを隔てる溝部14を形成する工程(図6(c))とを有する。さらに、当該製造方法は、第1主面Sa側から絶縁層33に対してウェットエッチングを行い、梁部5の第2主面Sb側に位置する絶縁層33を除去して梁部5を形成する工程(図3(a))を有する。従って、上述のように、簡便に、梁部5よりも第2主面Sb側において、平面視において重り部7を梁部5側へ拡張することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る加速度センサ素子101の第1主面Sa側から見た斜視図である。なお、センサ素子101を第2主面Sb側から見た斜視図は、図1(b)と同様である。
【0072】
第2の実施形態は、重り部107の形状が第1の実施形態の重り部7の形状と相違する。具体的には、重り部107の付属部117は、第1主面Sa側の面に、梁部5の第2主面Sb側の面よりも第1主面Sa側に突出する突部123を有している。
【0073】
付属部117の非重なり部119は、第1の実施形態の非重なり部19と同様の形状の垂下部122を有し、突部123は垂下部122上に形成されている。突部123は、例えば、複数の梁部5間に対応して複数(実施形態では4つ)設けられている。突部123は、第1主面Sa側に開口する溝部125により、梁部5と隔てられている。
【0074】
なお、溝部125は、図10に示す従来のセンサ素子501における溝部525に対応するものである。ただし、溝部125は、溝部525よりも主部15側に延ばされており、その突き当り部分で隣接する他の溝部125と接続されている。なお、溝部125は、溝部525と同様に、隣接する他の溝部125と非接続とされてもよい。換言すれば、突部123は、主部15と連結されていてもよい。
【0075】
溝部125の幅W2(符号は図8参照)は、重り部107の質量の増大の観点からは、できるだけ狭くされることが好ましい。幅W2は、種々の事情を考慮して設定される。幅W2は、例えば、幅W1と同様の事情から、幅W1と同様の大きさに設定される。すなわち、幅W2が可能な限り狭く設定され、また、溝部125がエッチングによって形成される場合、幅W2は、エッチングに必要な幅によって規定され、40〜50μmである。
【0076】
図8は、センサ素子101の図3(a)に相当する断面図である。
【0077】
垂下部122は、非重なり部19と同様に、支持層35により構成されている。突部123は、絶縁層33及び半導体層31により構成されている。
【0078】
第2の実施形態のセンサ素子101の製造方法は、第1の実施形態のセンサ素子1の製造方法と概ね同一である。ただし、センサ素子101の製造方法では、半導体層31及び絶縁層33のエッチングにおいて、第1の実施形態とは異なるフォトマスク(エッチングマスク)が用いられる。すなわち、固定部3、梁部5、主部15及び突部123に相当する部分を残し、溝部125に相当する部分を除去可能なフォトマスクが用いられる。
【0079】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、付属部117は、梁部5の開口方向の一方側(第2主面Sb側)の面よりも開口方向の他方側(第1主面Sa側)へ突出する突部123を有することから、第1の実施形態よりも重り部の質量を増大させ、感度を向上させることができる。溝部125の幅W2と、溝部14の幅W1とが同一であれば、オーバーエッチングの抑制も図られる。
【0080】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る加速度センサ装置201の構成を示す断面図である。
【0081】
加速度センサ装置201は、第1の実施形態のセンサ素子1又は第2の実施形態のセンサ素子101を有して構成されている。なお、以下では、加速度センサ装置201は、センサ素子1を有するものとして説明する。
【0082】
加速度センサ装置201は、センサ素子1に加えて、センサ素子1を収容するケース206と、ケース206に保持されるIC203とを有している。
【0083】
ケース206は、例えば、複数の基板(第1基板207A〜第5基板207E)が積層されて構成されている。複数の基板のうち一部の基板に孔部が形成されることにより、センサ素子1が収容される第1収容空間223、並びに、IC203が収容される第2収容空間224が形成されている。なお、第1収容空間223は、ケース206に取り付けられた蓋体205により塞がれる。ケース206の外部若しくは内部には、導電層(電極219、端子217等)やビア導体220が形成されている。
【0084】
センサ素子1は、固定部3が接着剤225によりケース206に固定されている。また、センサ素子1の電極パッド11は、ボンディングワイヤ218により電極219に接続されている。
【0085】
IC203は、半田221により、ケース206に設けられた不図示の電極上に実装されている。そして、IC203は、ビア導体220や電極219等を介してセンサ素子1に接続される。
【0086】
ケース206の表面には、端子217が設けられている。端子217は、ビア導体220等を介してIC203に接続されている。加速度センサ装置201は、端子217が不図示の回路基板等に半田により固定されることにより、回路基板に実装される。
【0087】
そして、IC203は、端子217からの電気信号に基づいて、センサ素子1に適宜に電圧を印加して出力値を取得し、その出力値に基づく処理を実行し、その処理結果を端子217に出力する。IC203の処理は、例えば、電極パッド11から得られる出力値を3軸の加速度に変換する処理である。
【0088】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0089】
センサ素子は、3軸の加速度を計測可能なものに限定されず、例えば、1軸の加速度を計測するものであってもよい。センサ素子は、梁部の曲げ変形を利用するものに限定されず、捩り変形を利用するものであってもよい。センサ素子は、重り部の両側に梁部が設けられるものに限定されず、重り部の片側にのみ梁部が設けられるものであってもよい。
【0090】
付属部は、主部の回りに環状に形成されるものに限定されない。例えば、図10に示す付属部517と同様にクローバー型に形成され、且つ、付属部の梁部側部分が梁部と重なる位置まで拡張されていてもよい。換言すれば、第1の実施形態又は第2の実施形態の付属部において、梁部と重なる位置に溝部が形成されていてもよい。この場合において当該溝部は付属部と固定部とを隔てる溝部と同一の幅で形成されていることが好ましい。また、例えば、片持ち梁状(梁部が1本のみ)のセンサ素子において、主部に対して梁部側にのみ付属部が設けられてもよい。また、例えば、梁部の捩りを利用するセンサ素子など、梁部が捩れてよいセンサ素子において、主部に対して梁部の側方片側のみに付属部が設けられてもよい。
【0091】
本発明の第3の観点のセンサ素子、すなわち、固定部の開口方向の一方側のみに付属部が設けられるセンサ素子においては、付属部は平面視において梁部と重なる位置まで拡張されていなくてもよい。梁部と重なる位置まで拡張されなくても、従来よりも付属部を梁部に近づけ、ひいては、主部と付属部との連結部を拡張できる。
【0092】
センサ素子の製造方法は、実施形態において例示した方法を適宜に変更してよい。例えば、実施形態において、半導体層31に対するエッチングと支持層35に対するエッチングとの順序を逆にしてもよい。実施形態において、絶縁層33の除去が、半導体層31に対するエッチングの直後であって支持層35のエッチングの前に行われてもよい。このように、半導体層31のエッチングの直後に絶縁層33のエッチングを行うこととすると、ウェハをひっくり返す回数が減り、また、共通のエッチングマスクを使用することも可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1…加速度センサ素子、3…固定部、5…梁部、7…重り部、9…抵抗素子、13…開口部、15…主部、17…付属部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された固定部と、
前記開口部内に配置される重り部と、
一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、
前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、
を有し、
前記重り部は、
前記梁部の前記一方端が連結される主部と、
前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、
を有し、
前記付属部は、
前記開口方向に見て前記梁部と重ならない位置において前記主部に連結される非重なり部と、
前記非重なり部に連結されるとともに、前記開口方向に見て前記梁部と重なる位置において前記主部に連結され、前記梁部との間に隙間を有する重なり部と、
を有する
加速度センサ素子。
【請求項2】
前記重なり部は、前記開口方向に見て、前記梁部の一方の側面から前記梁部の他方の側面に亘って設けられている
請求項1に記載の加速度センサ素子。
【請求項3】
前記固定部の内周面と前記付属部の外周面とを隔てる溝部の幅は開口方向に見て一定である
請求項2に記載の加速度センサ素子。
【請求項4】
前記付属部の前記主部からの前記梁部の前記他方端側への突出量は、前記付属部と前記固定部との距離よりも大きい
請求項1〜3のいずれか1項に記載の加速度センサ素子。
【請求項5】
前記固定部は第1主面および前記第1主面と反対側の第2主面を有し、
前記梁部は、前記第1主面と面一の一方主面および前記一方主面と反対側で、且つ前記第2主面より前記第1主面側に位置する他方主面とを有し、
前記非重なり部の前記第1主面と同じ側の面には、前記梁部の他方主面よりも前記固定部の第1主面側へ突出する突部が設けられている
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加速度センサ素子。
【請求項6】
前記開口方向において順に積層された半導体層、絶縁層及び支持層を有し、
前記固定部及び前記重り部は、前記半導体層、前記絶縁層及び前記支持層により構成され、
前記梁部は、前記半導体層により構成され、
前記付属部のうち前記重なり部は、前記支持層により構成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の加速度センサ素子。
【請求項7】
前記絶縁層の前記主部を構成する部分の外周縁は、前記半導体層の前記主部を構成する部分の外周縁よりも内周側に位置している
請求項6に記載の加速度センサ素子。
【請求項8】
前記絶縁層の前記固定部を構成する部分の内周縁は、前記半導体層の前記固定部を構成する部分の内周縁よりも外周側に位置している
請求項6又は7に記載の加速度センサ素子。
【請求項9】
積層された複数の層により構成された固定部と、
前記複数の層により構成され、前記固定部に対して前記複数の層の積層方向に直交する方向において隣接する重り部と、
前記複数の層の一部の層により構成され、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、
前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、
を有し、
前記重り部は、
前記梁部の前記一方端が連結される主部と、
前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、
を有し、
前記付属部は、
前記積層方向に見て前記梁部と重ならない位置において前記主部に連結される非重なり部と、
前記非重なり部に連結されるとともに、前記積層方向に見て前記梁部と重なる位置において前記主部に連結され、前記梁部との間に隙間を有する重なり部と、
を有する
加速度センサ素子。
【請求項10】
開口部が形成された固定部と、
前記開口部内に配置される重り部と、
一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、
前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、
を有し、
前記重り部は、
前記梁部の前記一方端が連結される主部と、
前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側に突出する付属部と、
を有し、
前記付属部は、前記梁部よりも前記開口方向の一方側においてのみ設けられている
加速度センサ素子。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の加速度センサ素子と、
前記加速度センサ素子の出力信号を信号処理するICチップと
を有する加速度センサ装置。
【請求項12】
半導体基板に対して加工を行い、前記半導体基板の一方主面から他方主面に貫通する開口部が形成された固定部と、前記開口部内に配置される重り部と、一方端が前記重り部に連結され、他方端が前記固定部に連結される梁部と、前記梁部に設けられ、前記梁部の変形に伴って抵抗値が変化する抵抗素子と、を有し、前記重り部が、前記梁部の前記一方端が連結される主部と、前記主部に連結され、前記梁部の前記一方端よりも前記他方端側へ突出する付属部と、を有する加速度センサ素子を製造する方法であって、
前記一方主面を構成する半導体層と、前記他方主面を構成する支持層と、前記半導体層と前記支持層との間に配置された絶縁層とを有する前記半導体基板を準備する工程と、
前記一方主面側から前記半導体層に対してエッチングを行い、前記梁部の側面を形成する工程と、
前記一方主面側から前記絶縁層に対して等方性エッチングを行い、前記梁部の前記他方主面側に位置する絶縁層を除去して前記梁部を形成する工程と、
前記他方主面側から前記支持層に対してエッチングを行い、前記重り部と前記固定部とを隔てる溝部を形成する工程と、
を有する加速度センサ素子の製造方法。
【請求項13】
前記開口方向に見て前記溝部の幅は一定である
請求項12に記載の加速度センサ素子の製造方法。
【請求項14】
前記等方性エッチングがウェットエッチングである
請求項12又は13に記載の加速度センサ素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−276503(P2010−276503A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130056(P2009−130056)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】