説明

加齢関連性障害を処置するための組成物および方法

加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の処置および予防のための組成物が提供され、この組成物は、約6日齢〜約14日齢の間で成熟させたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含有する。これらのリン脂質を抽出するための方法もまた提供され、この方法は、約6日齢〜約14日齢の間にわたって、そのニワトリ胚を孵卵することによる。そのニワトリ胚を、次いで、化学的抽出用に調製し、その脂質を、そのニワトリ胚から抽出する。加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の処置を必要とするヒト被験体において、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を予防および処置するための方法がさらに提供され、この方法は、約6日〜約14日の間にわたって孵卵されたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む組成物の十分な投薬量をヒト被験体に投与することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、加齢関連性障害を予防および処置するための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は、約6日間〜約14日間成熟させたニワトリ胚から抽出され、経口投与または舌下投与のために調製されたリン脂質を使用して、加齢関連性障害を処置するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
加齢の症状は、肉体的および精神的両方の様式において人体に影響を及ぼす。細胞および組織の加齢は、個人の体力、精力および敏捷性に影響を及ぼし得る。種々の細胞および組織の加齢は、満足のいく状態であるという感覚の減少、疲労、肉体および精神の回復の遅れ、認知能力の減少および不眠症を生じ得る。さらなる肉体的影響としては、皮膚の加齢、しわになること、およびしみ(discoloration)、脱毛症、肉体的活動および精神的活動に対する持久力および忍耐力の低下、ならびに筋肉疲労が挙げられる。神経−内分泌障害(例えば、性的能力、ならびに正常血圧および血液化学の維持の低下)はまた、組織の加齢と密接に関連する。人体の細胞膜および細胞内膜の生理学的加齢は、これらの加齢関連性障害の多くの原因である。
【0003】
その人体の細胞膜および細胞内膜は、主に、脂質から構成される。より具体的には、これらの膜は、リン脂質、疎水性末端および親水性末端を含むリン酸含有脂質を含み、これらは、加水分解に際して、グリセロールおよび脂肪酸を生じる。より具体的には、人体において最も一般的に存在するリン脂質は、ホスホグリセリドおよびスフィンゴ脂質である。リン酸に関連したホスホグリセリドは、リン脂質を含み、ここで、グリセロールの一級ヒドロキシル基は、リン酸に対してエステル化され、リン酸は、いくつかの塩基またはポリオールを結合する一方で、他のヒドロキシル基は、脂肪酸に対してエステル化される。リン脂質である唯一のスフィンゴ脂質であるスフィンゴミエリンは、3つの構築ブロック成分:1分子の、骨格としてのスフィンゴシンまたは関連塩基、1分子の脂肪酸、および極性ヘッド基を含む。
【0004】
最も豊富なリン脂質は、ホスファチジルコリン(レシチンとしても公知)およびホスファチジルエタノールアミン(phosphotidylethanolamine)(ケファリンとしても公知)である。ホスファチジルセリン(phosphotidylserine)、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)、ホスファチジルグリセロール(phosphotidylglycerol)、およびジホスファチジルグリセロールはまた、ヒトの細胞および組織中で見出されるが、見出されるホスホグリセリド(phosphoglyceride)の量はわずかである。ホスファチジルコリンは、他の組織中で見出されるリン脂質の約20%に対して、血漿中で見出されるリン脂質の約75%より多くを構成する。ホスファチジルエタノールアミンは、血漿を除く全ての組織中で見出されるリン脂質の10%より多くを構成する。
【0005】
プラスマロゲン(リン脂質の亜群)は、基本的に、アルキルエーテルアシルグリセロールのホスホグリセリドアナログである。それらは、通常のエステルの代わりに、そのリン脂質の脂肪酸に対するビニルエーテル結合を有する。プラスマロゲンは、人体の組織(例えば、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、精巣、赤血球および血漿)全体にわたってしばしば見出される。その最も豊富なプラスマロゲンは、エタノールアミンプラスマロゲン(1−(1’−アルケニル)−2−アシルグリセロホスファチジルエタノールアミン(1−(1’−alkenyl)−2−acylglycerophosphotidylethanolamine))であり、これは、心臓、肝臓および血漿を除く人体の全ての組織において見出される。実質的な量のコリンプラスマロゲンは、心臓細胞においてのみ見出される。
【0006】
リン脂質は、組織構造および細胞構造の強化を補助する。それらはまた、いくらかの抗酸化特性を有し、細胞が酸化するのを防止し、かつそれによって加齢を防止する。ヒト生理において利用可能なリン脂質およびプラスマロゲンの両方の量が減少すると、加齢関連状態の重篤度の増大がもたらされる。
【0007】
加齢の症状を減少させる処置が望ましい。特に、外部の哺乳動物供給源から得られたさらなるリン脂質の摂取は、リン脂質の人体の内部供給を補助することが見出された。ヒトの生理において、リン脂質およびプラスマロゲンは、加齢関連症状の処置を補助することが見出された。抽出された哺乳動物リン脂質は、加齢関連状態を処置することにおいて、制限された成功があるに過ぎなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明の一局面に従って、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の予防および処置のための組成物が提供される。この組成物は、約6日齢〜約14日齢の間で成熟させたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む。
【0009】
本発明の別の局面に従って、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を緩和するための組成物を使用するために、ニワトリ胚からリン脂質を抽出するための方法が提供される。受精卵は、約6日〜約14日の間で孵卵される。そのニワトリ胚は分離され、ニワトリ胚の脂質は、有機溶媒によって抽出される。リン脂質は、エバポレーションおよび凍結乾燥によって溶媒および残りの水から分離される。
【0010】
本発明のさらに別の局面に従って、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の処置が必要なヒト被験体において、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を予防および処置するための組成物を使用するための方法が提供される。約6日〜約14日の間にわたって孵卵されたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む組成物の一定の投薬量が、被験体に投与される。その投薬量は、肉体的持久力を増大するに十分な量である。
【0011】
本発明のなお別の局面に従って、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の処置が必要なヒトにおいて、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を処置するための方法が提供される。約6日〜約14日の間にわたって孵卵されたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む組成物の一定の投薬量が、患者に投与される。その投薬量は、肉体的持久力を増大するに十分な量である。
【0012】
本発明の他の局面は、以下の発明の詳細な説明に関連して明らかになる。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、加齢関連性障害の予防および処置のための、胚性リン脂質、特に、ニワトリ肺組織から調製されたホスホグリセリドのプラスマロゲンの治療的使用の分野に関する。本発明は、6〜14日齢のニワトリ胚から回収されたリン脂質抽出物を含む、これらの加齢関連性の肉体的障害および認知障害を予防および処置するための組成物を提供する。本発明は、経口投与または舌下投与のために、不活性な、非毒性キャリアに混合された、初期ニワトリ胚リン脂質(特に、プラスマロゲンを含むリン脂質)を含む薬学的組成物、およびこれらの組成物を調製および投与する方法を包含する。
【0014】
一般に、胚性ニワトリ組織および誕生後のニワトリ脳に存在するリン脂質の2つの群が存在する。第一の群は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルイノシトールを含む。第2の群は、コリン、エタノールアミンおよびセリンのプラスマロゲンを含む。この第2の群はまた、スフィンゴミエリン、およびエタノールアミンエーテルホスファチドを含む。若齢のニワトリ胚において、第1の群のリン脂質は、その胚の化学的構成で優勢である。ニワトリ胚が約16日齢になるまでに、その第1の群のリン脂質は、非常に迅速に合成される一方で、第2の群のリン脂質の量は、わずかに増えるに過ぎない。ニワトリ胚を、約16日齢〜約20日齢の間で成熟させる場合、その第2の群のリン脂質は、同様に迅速に合成され始め、その第2の群のリン脂質のレベルは、その第1の群のレベルに近くなる。加齢関連の疾患を予防および処置する目的で、好ましい胚の年齢は、約6日齢〜約14日齢の間;より好ましくは、その胚の年齢は、約9日齢〜約10日齢の間である。
【0015】
初期段階および中期段階の胚(すなわち、約6日齢〜約14日齢まで成熟させた胚)におけるリン脂質は、後期段階の胚とは顕著に異なるホスホグリセリドを含む。これらの中期段階のホスホグリセリド(phosphogeyceride)は、アルケニル基およびアシル基を含み、これらの基は、代表的には、後期段階のホスホグリセリドには存在しない。例えば、中期段階のホスホグリセリドは、単鎖のラウリルエステル結合およびミリスチルエステル結合ならびにパルミチルエーテル結合を有するエタノールアミンプラスマロゲンを含む。
【0016】
中期段階の胚から抽出されたプラスマロゲンおよびリン脂質は、加齢関連性障害の予防および処置において重要な役割を果たす。例えば、生物学的膜の内側層に実質的な量のプラスマロゲンが存在することは、十分に実証されており、これらの脂質は、これらの膜内の結合調節機構後のシグナル伝達に関与していることが示されている。補酵素Q、NADH、FMNおよびシトクロームaのようなミトコンドリア内膜成分の関与と同様に、化学浸透圧プロセスにおけるエーテル脂質による特異的関与があると考えられている。膜脂質組成は、脂質形状によって強く影響を受け、脂質組成における観察される変化は、細胞膜および亜細胞膜の二重層配置を安定化させるように働くと考えられる。これらの要因は全て、細胞表面の膜、および亜細胞オルガネラの膜を強化し得、加齢関連疾患の影響を低下させ得る。
【0017】
プラスマロゲンはまた、LDLタンパク質の酸化に対する潜在的な保護剤である。総LDLリン脂質のうちの約3%〜約5%はプラスマロゲンである。酸化剤を用いたLDLのインビトロ酸化は、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンにおけるプラスマロゲン亜群の選択的減少を誘導する。VLDLプラスマロゲンおよびLDLプラスマロゲンは、HDLプラスマロゲン(35%)と比較して、かなりの程度まで酸化された(99%減少)。このことは、プラスマロゲンが、アテローム発生、血流中の脂肪および脂肪酸の構築に関して、保護的な役割を果たすことを示唆する。このことはまた、血圧の調節に寄与し、血圧の調節はまた、年齢によって影響を受ける。
【0018】
8日齢のニワトリ胚線維芽細胞および16日齢のニワトリ胚線維芽細胞におけるコレステロールおよびリン脂質の含有量もまた、比較した。コレステロール含有量は変化しなかったのに対して、総リン脂質は、時間が変化するにつれて減少し、コレステロール:リン脂質の比の増加を生じた。さらに、これらの線維芽細胞におけるホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンの脂肪酸組成は、独特の特徴を示した。例えば、ミリスチン酸の含有量は、8〜16日齢の線維芽細胞から3分の2より多くが減少していた。このことは、発生の間の膜流動性における変化を示し、比較的強く細胞の維持を補助し、加齢関連状態の緩和を補助する。
【0019】
加齢関連状態を予防および処置するための組成物を調製するために、約6日〜約14日の間;好ましくは、約9日〜約10日の間で成熟させたニワトリ胚を、選択する。これらの胚は、好ましくは、約90°F〜約100°Fの間、好ましくは、約95°F〜約100°Fの間、より好ましくは、約99°F〜約100°Fの間の温度での成熟期間にわたって孵卵される。その胚は、次いで、その胚を迅速に凍結し、これらを約−70℃〜約−90℃の間、好ましくは、約−75℃〜約−85℃の間、より好ましくは、−80℃〜−85℃の間の温度の冷凍庫中で保存することにより、使用時まで保存される。
【0020】
使用するための凍結胚を調製するために、これらの胚は、まず融解され、次いで、短時間、ブレンダーで細かくされる。その細かくした胚の小片を、次いで、当業者に公知の任意の方法により遠心分離する。その遠心分離は、その胚の液体部分から分離するために行われる。固相中のいかなる残りの水も、エタノールと混合した後に、さらなる遠心分離法によって除去される。その残りの水はまた、凍結乾燥法、温かい気流、または当業者に公知の任意の他の乾燥法によって除去されてもよい。遠心分離府をエタノールとともに使用する場合、アセトンをエタノールに添加して、乾燥特性を改善してもよい。大規模調製においては、細かくした胚組織を、部分的真空を有するエバポレーター中で乾燥させてもよい。このようなエバポレーターにおいては、その真空圧は、細かくした組織の沸点が約50℃〜約60℃の間であるように、維持される。好ましくは、その真空圧は、その沸点が約54℃〜約57℃であるように維持される。必要な場合、温かい気流が使用されて、その濃縮され、細かくされた胚の混合物がさらに乾燥され得る。その生物学的化合物を化学的に破壊することなく、胚の小片を乾燥させるには、その気流は、約180℃〜約200℃、好ましくは、約188℃〜約192℃で維持されるべきである。
【0021】
細かくされ、乾燥された胚組織は、次いで、適切な有機溶媒(例えば、ヘキサン−エタノール溶液)と混合され、ここでその細かくされた胚組織中の脂質は、有機溶媒への抽出される。好ましくは、その脂質は、攪拌しながら抽出される。結果として、脂質抽出物は、液相から取り出され、その脂質抽出物は、一時的に脇に置いておかれる。脂質抽出後に残ったその液相は、次いで、その元の容積の約5%〜約15%にまで濃縮され、好ましくは、その元の容積の約9%〜約11%にまで濃縮される。これは、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得るが、好ましくは、約40℃〜約50℃、より好ましくは、約43℃〜約46℃より低いフラッシュエバポレーターを使用することによって行われる。
【0022】
その液相は、次いで、水層と有機層に分離される。その有機層は、次いで、さらに濃縮されて、リン脂質抽出物をもたらす。いかなる残りの水も有機溶媒もそのリン脂質抽出物から排除するために、その抽出されたリン脂質は、一定の部の不活性成分と混合した後に凍結乾燥され得る。例えば、食事性の抗酸化剤およびイソロイシンが、その凍結乾燥混合物と混合しされ得る。そのリン脂質抽出物は、好ましくは、標準的な凍結乾燥法によって凍結乾燥されるが、当業者に公知の任意の方法によって精製され得る。
【0023】
少量のリン脂質抽出物を脇に置いておいて、その組成物中の得られた脂質の定性分析のために取っておく。薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、NMR分光法、またはこれらの技術の任意の組み合わせにより、分析を行い得る。代表的には、NMR分光法は、この方法の結果として、そのリン脂質抽出物が、総リン脂質の約50%〜約70%を構成し、より好ましくは、総リン脂質の約55%〜約66%を構成するホスファチジルコリンを含むことを示す。ホスファチジルコリンのプラスマロゲンは、一般に、この方法から得られるそのリン脂質抽出物中で、意の容易に評価できる量では検出されない。ホスファチジルエタノールアミンおよびそのプラスマロゲンは、そのリン脂質抽出物中の総リン脂質の約20%〜約30%、より好ましくは、その総リン脂質の23%〜約26%を構成する。さらなる分析もまた、そのリン脂質抽出物中で見出される主な脂肪酸は、C18:0およびC16:0(ホスファチジルエタノールアミンに由来)およびC16:0、C20:4n6、C16:1、C22:6n3、およびC18:1(ホスファチジルコリン由来)を含むことを示す。その上記で使用される化学命名法は、脂肪酸の長さ(「C」の直ぐ後にくるメンバーにより示される)、ならびにその骨格に伴う二重結合の数(コロンの直ぐ後の数字によって示される)およびこれらの二重結合の位置(「n」の後の数字によって示される)を示す。
【0024】
いかなる残りの水も有機溶媒も排除するために、そのリン脂質抽出物は、これらの抽出物と、食事性抗酸化剤およびアミノ酸とを混合した後に凍結乾燥される。アミノ酸は、人体の塩基性の構築ブロックであり、これらのアミノ酸を含む健康補助食品は、それらのレベルを補給するように働く。疎水性である任意のアミノ酸は、この化合物において使用され得る。一般的なアミノ酸(例えば、リジン、ロイシン、イソロイシンおよびシステイン)が使用され得る。より好ましくは、イソロイシンが使用される。特に好ましい疎水性アミノ酸であるイソロイシンは、しばしば、筋肉組織中にしばしば集中して見出される。特に、イソロイシンは、人体におけるヘモグロビンの形成を補助する。イソロイシンはまた、人体全体にわたる血糖およびエネルギーレベルを安定化および調節するように働く。
【0025】
さらに、そのリン脂質抽出物は凍結乾燥され得るか、または他の方法では、抗酸化剤と混合され得る。抗酸化化合物は、細胞向増の酸化を減少させる化合物である。これは、細胞の加齢プロセスを遅らせ、細胞をより強く維持する。本発明の混合物において、抗酸化剤を添加すると、リン脂質の酸化の防止に役立つように作用する。この組成物において使用するための好ましい抗酸化剤は、ビタミンEおよびその誘導体、ならびにビタミンCおよびその誘導体を含む。より好ましくは、ビタミンEおよびアスコルビルパルミテート(ビタミンC誘導体)が使用される。ビタミンE(脂溶性の天然に存在するビタミン)は、特に良好な抗酸化特性を有する。ビタミンEは、冠動脈疾患の割合の低下に関連した。ビタミンCは、細胞酸化を防止するのみならず、体内のコラーゲンの合成をも補助するように作用し、加齢した皮膚組織および筋肉組織を修復するように補助する。アスコルビルパルミテートは、健康補助食品中のビタミンCの特に有効な誘導体であることが示された。これらの抗酸化剤はまた、本発明の実施形態においてそのアミノ酸に取って代わり得る。
【0026】
さらに、結合要素は、好ましくは、そのリン脂質抽出物に添加される。その結合要素は、その組成物の成分を一緒に保持するように働く。ヒトの消費にとって安全な全てのステアレートベースの化合物(例えば、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛)が使用され得る。しかし、好ましい結合要素は、ステアリン酸マグネシウムである。マグネシウムの誘導体であるこの化合物は、食品中の結合を促進するために食品添加剤としてしばしば使用される。
【0027】
ポリサッカリドは、複数の糖分子を含む炭水化物ベースのデンプンであり、これはまた、その組成物の成分を一緒に保持するために役立つ。任意のポリサッカリドが使用され得る;しかし、組成物中の好ましいポリサッカリドとしては、ラクトース、セルロース、およびフルクトースが挙げられる。より好ましくは、ラクトースおよびセルロースが使用される。
【0028】
他の成分もまた添加されて、当該分野で公知であるように、最終処方物の味および粘度を改善し得る。例えば、その組成物に矯味矯臭剤が添加され得る。このような矯味矯臭剤は、投与の際のその組成物の味、ミント、果物、または任意の消費者にとってより好ましい味にされる。矯味矯臭剤を使用することは、液体形態で投与される組成物において好ましいが、固体形態組成物においてもまた、使用され得る。
【0029】
そのリン脂質抽出物を調製した後に、選択された成分は、次いで、一緒に混合されて、最終組成物の用量が作りだされる。この組成物は、液体形態にあり得るかまたは固体のカプセル形態にあり得る。その組成物は、当業者に公知の任意の形態で投与され得る;例えば、固体カプセル形態は、フィルムコーティングされた錠剤またはソフトゼラチン錠剤であり得る。さらなる例として、液体組成物は、液体エリキシルまたは舌下スプレーもしくは経口スプレーとして投与され得る。投与の形態は、変化し得る一方で、投薬量は、単一の投薬量が約40mg〜約100mgのリン脂質抽出物を含むように、計算されるべきである。より好ましくは、単一投薬量は、約50mg〜約80mgのリン脂質抽出物を含む。
【0030】
以下の実施例は、その組成物の異なる実施形態を示し、その実施形態は、その組成物を異なる最終形態により適しているようにする、その組成物の別の成分および最終的組成物の投与方法を示す。
【実施例】
【0031】
(実施例I:ニワトリ胚リン脂質からの舌下フィルムコーティング錠剤)
【0032】
【表1】

この実施例において、そのニワトリ胚リン脂質を、上記のように処理する。その処理されたリン脂質抽出物を、次いで、他の成分と合わせ、一緒に混合する。当該分野で公知であるように、カプレットを、次いで、その混合物をカプレット型に注ぎ込み、その混合物を硬化させることにより作製する。そのカプレットを、離型剤(例えば、ワックス、グリース、またはフィルム)を介して、型から外す。上記の各成分の特定の量は、その組成物の十分量を生成して、約1000個のフィルムコーティング錠剤を作製する。
【0033】
(実施例II:ニワトリ胚リン脂質の舌下液体懸濁液)
【0034】
【表2】

上記の方法によって調製したリン脂質抽出物を、この実施例において使用し得る。その上記の第1の6つの成分が合わされ、一緒に混合され、そのキャリアであるエチルアルコールおよび精製水を、次いで、計1000mlの溶液を作製するに十分な量で添加する。ペパーミント香油は、好ましい矯味矯臭エリキシルである;しかし、これは、別の矯味矯臭剤で置換されてもよいし、または排除されてもよい。当該分野で公知であるように、その成分を、徹底的に一緒に混合して、液体組成物を作製し、約2ml〜約10mlの用量で;好ましくは、約3ml〜約6mlの用量で調剤する。
【0035】
本実施例においてアミノ酸は使用しないことに注意すること。しかし、抗酸化剤:リン脂質の相対量を、その2つの成分間で適切なバランスを維持するように調節する。
【0036】
(実施例III:ニワトリ胚リン脂質の経口スプレーエアロゾル)
【0037】
【表3】

上記の実施例は、経口スプレーエアロゾル投薬機構(口の中に向けられるスプレー)に関する。実施例IIのように、アミノ酸は、この実施例においても省略される。ここで、そのアミノ酸の除去は、混合組成物についてのスプレー可能な液体粘度を維持する。さらに、実施例IIのように、そのペパーミント香油は、別の矯味矯臭剤で置換されてもよいし、省略されてもよい。得られる組成物を、次いで、当該分野で公知であるように、計量投薬量を分与することが可能なスプレー容器に注ぐ。各計量投薬量は、約2ml〜約10の溶液である;好ましくは、各用量は、約3ml〜約6mlの溶液である。
【0038】
(実施例IV:ニワトリ胚リン脂質の経口軟質ゲル錠剤)
【0039】
【表4】

この実施例において、別の処方物(軟質ゲル投薬のためにより適した別の結合要素を含む)は、実施例Iの組成物の代わりに提示される。この軟質ゲル錠剤を作製する方法は、当該分野で周知であり、実施例Iの方法と類似している。これらの成分は、約1000個の軟質ゲル錠剤のための組成物に十分な量生成される。
【0040】
(実施例V:ニワトリ胚リン脂質の経口フィルムコーティング錠剤)
【0041】
【表5】

この実施例において、別の処方物(別の結合剤を含む)は、実施例Iのフィルムコーティング錠剤の代わりに提示される。実施例Iのように、これらの成分は、約1000個のフィルムコーティング錠剤のための十分な組成物をもたらす。
【0042】
上記の実施例は、代表的な示唆される投薬方法として提示される。その好ましい投薬レベルは、1日あたり約1用量〜約3用量の間、より好ましくは、1日あたり1用量である。
【0043】
約6日〜約14日の間で成熟させたニワトリ胚由来のリン脂質抽出物(上記実施例Iにに示されるように処理した)を、寿命に対する胚リン脂質の効果について、15ヶ月齢の雄性マウスにおいて試験した。15ヶ月齢の雄性マウスに対するこの組成物の効果は、約40〜45歳のヒトに対するその組成物の効果に匹敵することは、当該分野で周知である。合計100匹のNIA balb/cNNiaマウスを、3群に分けた。30匹のマウスのその第1の群に、生理食塩水のみを与えた。30匹のマウスのその第2の群に、リン脂質抽出物の代わりに、リン脂質なしのニワトリ胚抽出物の部分を使用したことを除いて、上記実施例Iのように処理された組成物を与えた。40匹のマウスのその最後の群に、ニワトリ胚リン脂質抽出物を使用する、上記実施例Iのように処理された組成物を与えた。各群に、1週間に1度、経口投薬を与えた。実験の最初の10ヶ月の間に、ニワトリ胚リン脂質で処置した40匹のマウスのうちの1匹のみ(2.5%)が死亡したが、生理食塩水溶液を与えた群の30匹のうちの7匹(23.3%)、および非リン脂質ニワトリ胚抽出物組成物を与えた群の30匹のマウスのうちの7匹(23.3%)が死亡した。
【0044】
実験の全ての範囲にわたって、非リン脂質を与えた群のその生存パターンは、本質的に、コントロール群のその生存パターンと類似していた。対照的に、リン脂質抽出物を含む組成物を与えた群は、表Iに示されるように、有意に低い死亡率を有した。
【0045】
(表I:マウスの死亡率)
【表I】

【0046】
約47歳〜約70歳の間の年齢の21名のヒト被験体に対して、試験を行った。そのリン脂質抽出物を含む組成物(実施例Iのように調製した)を、8週間にわたって、1週間に2回経口投薬で与えた。各投与した用量は、各々、約10日で成熟させた10個のニワトリ胚に含まれるリン脂質に匹敵する。この用量は、約40mg〜約100mgの間のリン脂質抽出物である。
【0047】
ヒト被験体に対する、約6日〜約14日の間で成熟させたニワトリ胚に由来するリン脂質抽出物の効果を、実験を開始して4週間後、8週間後、および10週間後で患者が行った申告に基づいて、主観的に試験した。その申告が基づく問診票に、作業能力、感情安定性、精神的および肉体的疲労、頭痛、睡眠パターン、食欲、食品摂取、性的能力、毛髪および爪の成長、ならびに肉体的および精神的活動における他の目立った変化の評価を含めた。これらの質問の大部分に対する有意に正の応答は、60%を超える被験体において見いだされた。さらに、肉体的持久力試験におけるかなりの改善もまた認められた。それらの被験体に対するさらなる生化学的研究により、血小板数、肝臓の酵素値(例えば、アルカリホスファターゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼ)、総コレステロールレベル、および絶食時グルコース値における目立った改善が示された。
【0048】
本明細書中に記載の発明は、その好ましい実施形態に関連して記載されてきたものの、本明細書中に具体的に記載されなかった付加、改変、置換、および削除が、添付の特許請求の範囲に規定される発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の予防および処置のための組成物であって、該組成物は、約6日齢〜約14日齢の間で成熟させたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む、組成物。
【請求項2】
前記ニワトリ胚は、約9日齢〜約10日齢の間で成熟させている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のアミノ酸をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミノ酸は、イソロイシン、リジン、ロイシン、およびシステインからなる群より選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノ酸はイソロイシンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の抗酸化剤は、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンC、およびビタミンC誘導体からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の抗酸化剤は、ビタミンEおよびアスコルビルパルミテートを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の結合エレメントをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の結合エレメントはステアレート化合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の結合エレメントは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸亜鉛からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の結合エレメントはステアリン酸マグネシウムを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種のポリサッカリドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のポリサッカリドは、フルクトース、ラクトースおよびセルロースからなる群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のポリサッカリドは、ラクトースおよびセルロースを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
矯味矯臭剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の予防および処置のための組成物であって、該組成物は、以下:
約6日齢〜約14日齢の間で成熟させたニワトリ胚から抽出されたリン脂質;
イソロイシン;
ビタミンE;
アスコルビルパルミテート;
ステアリン酸マグネシウム;
ラクトース;および
セルロース、
を含む、組成物。
【請求項18】
前記ニワトリ胚は、約9日齢〜約10日齢の間で成熟させている、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を緩和するための組成物において使用するためのニワトリ胚からリン脂質を抽出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
該ニワトリ胚を、約6日〜約14日の間にわたって孵卵する工程;
該ニワトリ胚を化学的抽出のための調製する工程;
該ニワトリ胚から脂質を抽出する工程;
リン脂質を、該脂質から分離する工程;および
該リン脂質を凍結乾燥する工程、
を包含する、方法。
【請求項20】
前記ニワトリ胚は、約9日〜約10日の間にわたって孵卵される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
加齢関連性の肉体的障害および精神的障害の処置を必要とするヒト被験体において、加齢関連性の肉体的障害および精神的障害を処置するための組成物を使用するための方法であって、該方法は、約6日〜約14日の間にわたって孵卵されたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む組成物の一定の投薬量を投与する工程であって、該投薬量は、肉体的持久力を増大させるに十分な量である、工程、を包含する、方法。
【請求項22】
前記ニワトリ胚は、約9日〜約10日の間にわたって孵卵される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物の形態は、錠剤形態、液体エリキシル形態、および経口スプレー形態からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物は、約40mg〜約100mgの間のリン脂質を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物は、約50mg〜約80mgのリン脂質を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
加齢関連状態を処置するための方法であって、該方法は、約6日〜約14日の間にわたって孵卵されたニワトリ胚から抽出されたリン脂質を含む組成物の一定の投薬量を摂取する工程を包含する、方法。
【請求項27】
前記ニワトリ胚は、約9日〜約10日の間にわたって孵卵される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投薬量は経口摂取される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記投薬量の形態は、錠剤形態、液体エリキシル形態、および経口スプレー形態からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記投薬量は、約40mg〜約100mgの間のリン脂質を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記投薬量は、約50mg〜約80mgの間のリン脂質を含む、請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2006−516568(P2006−516568A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500781(P2006−500781)
【出願日】平成16年1月2日(2004.1.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/000086
【国際公開番号】WO2004/062626
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505250281)
【出願人】(505250292)
【Fターム(参考)】