説明

効果顔料を含有するコーティングの色及び外観のマッチング方法

本発明は、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法に関する。本発明はまた、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法に関する。本発明はまた、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
光吸収顔料、光散乱顔料、光干渉顔料、および光反射顔料のような効果顔料を含有する表面コーティングは周知である。メタリックフレーク顔料たとえばアルミニウムフレーク顔料は、そのような効果顔料の例であり、自動車の車体の保護および加飾にとくに有利である。その理由は、たとえば、そうした顔料により、「フロップ」と一般に呼ばれる示差的光反射効果が得られること、さらにはフレークのサイズ分布およびフレークにより付与される光輝ならびにコーティングの奥行き知覚の増強を含むフレーク外観効果が得られることである。フロップ効果は、車体を目視する角度に依存する。達成されるフロップ効果度は、コーティングの外表面に対するメタリックフレークの配向の関数である。光輝度は、フレークサイズ、表面平滑性、配向、および縁均一性の関数である。メタリックコーティングは、通常、顔料をも含有し、この顔料は、一般的には、光散乱タイプではなく光吸収タイプである。顔料またはフレーク自体たとえばフレーク縁からのいかなる光散乱も、コーティングのフロップおよび光輝の両方を低減させる。
【0003】
すでにコーティングされている基材(たとえば、自動車の車体の基材)を補修する場合、その基材の色にマッチングする適正な顔料を選択するだけでなく、その基材の色および外観にマッチングする適正な効果顔料たとえばフレーク顔料を選択することも必要である。コーティングされる種々の車両および物体にマッチングするように、塗料供給業者は、多くのコーティング処方を利用できるようにしている。配合物、使用成分、コーティング適用条件、たとえば、車両の相手先商標製造業者が使用するコーティング適用技術またはコーティング適用場所、のわずかな変動に起因して車両のコーティングの色および外観が変化するので、多くの場合、同一の車両の製造および型式に対して利用可能なコーティング処方が多数存在する。こうした色および外観の変動が起こると、自動車車体修理工場において優れたマッチングを達成する最良処方を同定することが困難になる。カラーマッチングを達成する適正な顔料の処方を同定するためのいくつかの方法が開発されている。たとえば、米国特許第5,668,633号明細書には、色スペクトルの読取り値を用いて標準の色にマッチングする1つ以上の色処方を同定するためのコンピューターに実装される方法が開示された。2001年2月12日出願の欧州特許出願EP1139234号明細書には、車両識別番号(VIN)およびその車両の色コードを用いて車両の色にマッチングする1つ以上のカラーマッチング処方を同定する方法が開示された。
【0004】
対象コーティングの色および外観の両方にマッチングさせるべく、いくつかの試みがなされた。米国特許第6,952,265号明細書には、ディジタル画像中の対象コーティングの外観データを取得して、外観データをコーティングデータベース中に記憶された外観特性と比較する方法が開示された。しかしながら、その場合、色データを相関付ける能力が欠如しているため、色および外観の両方にマッチングする処方を同定することができない。国際出願番号PCT/EP2005/054627を有する2005年9月16日出願の国際公開第2006/030028号パンフレットには、塗料基本要素の色およびテクスチャーの特性を用いて色および外観の両方にマッチングするようにコーティングを処方する方法が開示された。しかしながら、その場合、各特性を別々に考慮しているため、コーティング中に混合した時に各特性間の複雑な関係を考慮する性能が欠如している。米国特許第6,959,111号明細書には、測色計を用いて色データをL*,a*,b*値で取得しかつCCDカメラを用いて定量的粒子感データを取得することにより対象コーティングの色にマッチングさせる方法が開示された。しかしながら、その場合、色および外観に関してベストマッチングを選択するために、複数の候補コーティングで被覆された多数の試験パネルを作製して試験パネルの色および粒子感データを反復測定することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、対象コーティングの外観を自動測定して、対象コーティングの色および外観の両方にかなりよくマッチングする1つ以上のマッチング処方を多数の既存のコーティング処方から選択する方法およびシステムが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法であって、
a)対象コーティングの色データを取得する工程と、
b)対象コーティングの外観データを取得する工程と、
c)色データおよび外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
d)コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む方法に関する。
【0007】
本発明はまた、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法であって、
a)測色デバイスを用いて対象コーティングの色データを取得する工程と、
b)撮像デバイスを用いて1つ以上の事前設定照度で対象コーティングの1つ以上の対象画像を取得する工程と、
c)前記対象画像から前記対象コーティングの特性を測定して外観データを生成する工程と、
d)色データおよび外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
e)コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む方法に関する。
【0008】
本発明はさらに、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムであって、
a)対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、
b)対象コーティングの外観データを取得するための外観測定デバイスと、
c)プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、
d)色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、
e)以下の工程、すなわち、
i)前記対象コーティングの色データおよび外観データを受信する工程と、
ii)前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
iii)コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを計算デバイスに実行させるようにする、メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含むシステムに関する。
【0009】
本発明はまたさらに、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムであって、
a)対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、
b)前記事前設定照度で対象コーティングの対象画像を取得するための撮像デバイスと、
c)1つ以上の事前設定照度で対象コーティングに照明を施して前記照明の反射を撮像デバイスの方向に方向付ける照明デバイスと、
d)プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、
e)色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、
f)以下の工程、すなわち、
i)前記対象コーティングの色データおよび対象画像を受信する工程と、
ii)前記対象画像から前記対象コーティングの特性を測定して外観データを生成する工程と、
iii)前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
iv)コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを計算デバイスに実行させるようにする、メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含むシステムに関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の態様および利点は、以下の詳細な説明を読むことにより当業者であればより容易に理解されよう。当然のことながら、明確にするために個々の実施形態に関連して以上および以下に記載した本発明の特定の態様を、組み合わせて単一の実施形態で提供することも可能である。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に関連して記載した本発明の種々の態様を、単独でまたは任意の部分的組合せで提供することも可能である。そのほか、文脈上明らかに異なる場合を除いて、単数形による参照は、複数形をも包含しうる(たとえば、「a」および「an」は、1つまたは1つ以上を意味しうる)。
【0011】
とくに明示的な指定がないかぎり、本出願に規定される種々の範囲内の数値の使用は、あたかも記載の範囲内の最小値および最大値の両方に「約」という単語が前に付されているかのごとく近似値として記載されているものとする。このようにして、記載の範囲をわずかに超える変動値およびわずかに下回る変動値を用いて、こうした範囲内の値と実質的に同一の結果を達成することが可能である。また、こうした範囲の開示は、最小値と最大値との間のすべての値を包含する連続範囲が意図されるものとする。
【0012】
本明細書中で用いられる場合、以下のとおりとする。
【0013】
本明細書中で用いられる1種もしくは複数種の「顔料」という用語は、1つもしくは複数の色を生成する1種もしくは複数種の着色剤を意味する。顔料は、天然起源および合成起源に由来するものおよび有機成分または無機成分で構成されたものでありうる。また、顔料としては、特定のもしくは混合された形状および寸法を有するメタリック粒子またはメタリックフレークも挙げられる。顔料は、通常、コーティング組成物に可溶でない。
【0014】
1種もしくは複数種の「効果顔料」という用語は、コーティング中で特殊効果を生じる顔料を意味する。効果顔料の例としては、光散乱顔料、光干渉顔料、および光反射顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。フレーク、たとえば、アルミニウムフレークなどのようなメタリックフレークは、そのような効果顔料の例である。
【0015】
本明細書中で用いられる「外観」とは、(1)コーティングを目視または認識する基になる視覚経験の側面と、(2)コーティングの分光的側面および幾何学的側面をその照明・目視環境と統合して行われる認知と、を意味する。一般的には、外観としては、テクスチャー、光輝、またはコーティングの他の視覚的効果が挙げられ、特定的には、異なる目視角および/または異なる照明角で目視したときのものが挙げられる。
【0016】
ゴニオアパレントフレークとは、照明角または目視角の変化に伴って色もしくは外観またはそれらの組合せが変化することに関係するフレークを意味する。アルミニウムフレークのようなメタリックフレークは、ゴニオアパレントフレークの例である。
【0017】
「染料」という用語は、1つもしくは複数の色を生じる1種もしくは複数種の着色剤を意味する。染料は、通常、コーティング組成物に可溶である。
【0018】
「データベース」という用語は、検索および取り出しが可能な関連情報の集合を意味する。データベースは、検索可能な数値、英数字、もしくはテキストの電子ドキュメント、検索可能なPDFドキュメント、Microsoft Excel(登録商標)スプレッドシート、Microsoft Access(登録商標)データベース(両方ともMicrosoft Corporation of Redmond,Washingtonにより供給される)、Oracle(登録商標)データベース(Oracle Corporation of Redwood Shores,Californiaにより供給される)、またはLynuxデータベースでありうる。これらは、それぞれ、それらの個々の商標で登録されている。データベースは、検索および取り出しが可能なコンピューター可読記憶媒体中に存在する一連の電子ドキュメント、写真、画像、図表、または図面でありうる。データベースは、単一のデータベースまたは一連の関連データベースまたは一群の非関連データベースでありうる。「関連データベース」とは、そのようなデータベースを関連付けるために使用しうる少なくとも1つの共通情報要素が関連データベース中に存在することを意味する。関連データベースの一例は、Oracle(登録商標)リレーショナルデータベースでありうる。
【0019】
「車両」、「自動車の」、「自動車」という用語は、自動車、たとえば、乗用車、バン、ミニバン、バス、SUV(スポーツ用多目的車);トラック;トレーラートラック;トラクター;オートバイ;トレーラー;ATV(全地形型車両);ピックアップトラック;ヘビーデューティームーバー、たとえば、ブルドーザー、クレーン車、およびアースムーバー;航空機;ボート;船舶;またはコーティング組成物で被覆される他の輸送手段を意味する。
【0020】
本明細書中で用いられる計算デバイスとは、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ポケットPC、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルド電子処理デバイス、PDAおよび移動電話の機能を組み合わせたスマートフォン、または情報の自動処理が可能な任意の他の電子デバイスを意味する。計算デバイスは、データベースまたは他の計算デバイスへの有線接続または無線接続を有しうる。計算デバイスは、イントラネットやインターネットをはじめとする有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して接続されたマルチコンピュータークライアントホストシステム内でホストコンピューターと通信するクライアントコンピューターでありうる。計算デバイスはまた、有線接続または無線接続を介してデータ入力デバイスまたはデータ出力デバイスと結合するように構成可能である。たとえば、ラップトップコンピューターは、無線接続を介して色データおよび画像を受信するように作動的に構成可能である。計算デバイスはさらに、他のデバイスのサブユニットでありうる。そのようなサブユニットの例は、撮像デバイス内、分光光度計内、または変角分光光度計内の処理チップでありうる。計算デバイスは、モニタースクリーンのようなディスプレイデバイスに接続可能である。しかしながら、ディスプレイデバイスが必要というわけではない。「ポータブル計算デバイス」としては、ラップトップコンピューター、ポケットPC、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルド電子処理デバイス、移動電話、PDAおよび移動電話の機能を組み合わせたスマートフォン、タブレットコンピューター、または情報およびデータの処理が可能かつ人による持運びが可能な任意の他のスタンドアロンデバイスもしくはサブユニットデバイスが挙げられる。
【0021】
有線接続としては、ハードウェア結合、スプリッター、コネクター、ケーブル、またはワイヤーが挙げられる。無線接続および無線デバイスとしては、Wi−Fiデバイス、Bluetoothデバイス、広域ネットワーク(WAN)無線デバイス、ローカルエリアネットワーク(LAN)デバイス、赤外線通信デバイス、光データ転送デバイス、無線送信機および場合により無線受信機、無線電話、無線電話アダプターカード、または高周波長、可視波長、もしくは不可視波長をはじめとする広範にわたる電磁波長で信号を送信可能な任意の他のデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
撮像デバイスとは、可視波長または不可視波長をはじめとする広範にわたる電磁波長で画像を取込み可能なデバイスを意味する。撮像デバイスの例としては、スチルフィルム光学カメラ、ディジタルカメラ、X線カメラ、赤外線カメラ、アナログビデオカメラ、およびディジタルビデオカメラが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ディジタルイメージャーまたはディジタル撮像デバイスとは、撮像デバイスがディジタル信号で画像を取り込むことを意味する。ディジタルイメージャーの例としては、ディジタルスチルカメラ、ディジタルビデオカメラ、ディジタルスキャナー、および電荷結合デバイス(CCD)カメラが挙げられるが、これらに限定されるものではない。撮像デバイスは、白黒レベル、グレースケールレベル、または種々の色レベルで画像を取り込むことが可能である。本発明ではディジタルイメージャーが好ましい。非ディジタル撮像デバイスを用いて取り込まれた画像たとえばスチル写真は、ディジタルスキャナーを用いてディジタル画像に変換可能であり、これもまた本発明に好適でありうる。
【0023】
照明を提供するための照明デバイスは、典型的には、Illumination Technologies Inc.,East Syracuse,New Yorkにより供給されるタングステンハロゲンランプEKEを備えたIT3900のような光源と、Schott Fostec Inc.,Auburn,New Yorkにより供給される光ファイバーバンドルA08025.60と、を含む。これは、設定強度で400ナノメートル〜700ナノメートルの可視光領域内の照明ビームを生成しうる。システムは、好ましくは、持運び可能であり、好ましくは、光源を収容するための密閉された拡張部分を備える。しかしながら、出願人はまた、他の選択肢の手段、たとえば、LM−50ランプを備えたMHF−C50LR光源と、光源から照明ビームをパイプ内伝送するためのMML4−45Dマイクロマシンレンズ系に接続された光ファイバーバンドル(Moritex USA Inc.,San Jose,Californiaにより供給される)と、を使用することも可能であると考える。有効照度を選択するための手段は、任意の従来手段、たとえば、電流を変化させて光源のフィラメントに印加しうる電圧調整器でありうる。照度は、事前設定強度を達成するようにコンピューターから実行される従来のソフトウェアプログラムに従って制御可能である。照度を制御するためにここで使用されるコンピューターは、画像を受信するための同一の上述の計算デバイスまたは個別のコンピューターまたは個別のコンピューターでありうる。任意の好適なコンピューター、たとえば、Dell Computer Corp.,Round Rock,Texasにより供給されるDell Precision M50モデルを使用することが可能である。所望により、システムは、当業者により必要であると判断された場合、追加の手段、たとえば、光源から放出された1つ以上の光ビームを平行化するためのコリメーティングレンズまたはアパーチャーを含みうる。
【0024】
本発明は、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観の両方にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法に関する。
【0025】
色データは、測色計、分光光度計、または変角分光光度計のような測色デバイスを用いて対象コーティングの反射率を測定することにより取得可能である。任意の好適な測色計または分光光度計、たとえば、X−Rite,Grandville,Michiganにより製造されるModel SP64を使用することが可能である。種々の形状およびサイズを有するコーティングされた基材表面上に容易に定置可能であることから、ポータブル分光光度計が好ましい。所望により、対象コーティングのいくつかの部分上で反射率を測定して対象コーティングの反射率を平均することが可能である。分光反射率データは、分光光度計を用いて取得可能である。典型的な分光光度計では、既知の強度の光ビームが対象コーティングの方向に方向付けられ、事前設定波長で少なくとも1つ、好ましくは3つのアスペキュラー角で対象コーティングの反射率が逐次的に測定される。他の選択肢として、既知の強度の光ビームを対象コーティングの方向に少なくとも1つ、好ましくは3つの入射角で逐次的に方向付けることが可能であり、次に、照明角に依存して異なるアスペキュラー角で測定が行われるように単一の検出デバイスを用いて事前設定波長で対象コーティングの反射率を測定する。変角分光光度計は、双方向ジオメトリーを用いてさまざまな照明角および目視角で測定する能力を有する分光光度計である。変角分光光度計はまた、マルチアングル分光光度計としても知られる。任意の好適な変角分光光度計、たとえば、X−Rite,Grandville,MichiganのModel MA68IIまたはMurakami Color Research Laboratory,Tokyo,JapanもしくはIsoColor Inc.,Carlstadt,New Jersey,USAにより提供されるものを使用することが可能である。多数の角度、好ましくは3つ〜5つの角度でゴニオアパレント色を測定することが望ましい。ベタ色の場合、単一のアスペキュラー角、典型的には45度で十分である。ベタ色の場合の一般的手段は、単一の角度で照明し、反射された光を全角度で捕捉する積分球を用いて対象コーティングの拡散反射率を測定することである。拡散照明を行って単一の角度で測定する逆の方法でも、等価な結果が得られる。対象コーティングがテクスチャー表面を有する場合、拡散反射率が好ましい。
【0026】
典型的には、測定は、400nm〜700nmの波長にわたり10nmの波長間隔で行われる。波長の関数としての反射率パーセントのプロットは、「スペクトル曲線」または分光反射率データと呼ばれる。ベタ色(非フレーク色または非ゴニオアパレント色、たとえば、メタリックフレークの欠如した色)の場合、ベタ色の性質を測定するのに1つのスペクトル曲線だけで典型的には十分である。他の一般的な測定ジオメトリーは、0°もしくは8°の目視を用いる拡散照明またはその逆である。フレークを有する対象コーティングすなわちゴニオアパレント色にマッチングさせる場合、追加の角度での反射率測定が必要であろう。ASTM E−2194は、正反射の方向を基準にして測定したときの3つの角度、すなわち、15°、45°、および110°を推奨している。DIN 6175−2は、すべてこれと同一の角度範囲内にある5つまでの角度を推奨している。X−Rite MA68IIでは、15°、25°、45°、75°、および110°で測定が可能である。測定データまたは分光反射率データは、上述の米国特許公開第2006/0181707号明細書(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に詳細に記載されるように、L*,a*,b*値またはL,C,h値に変換可能である。
【0027】
色データとしては、彩度、色相、明度、暗色度などのような分光特性が挙げられうる。色データとしてはさらに、車両の色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せが挙げられうる。
【0028】
外観データは、以下に記載の方法を用いて生成可能である。一実施形態では、撮像デバイスを用いて1つ以上の対象画像を取り込んでから計算デバイスを用いて対象画像を測定することにより、外観データを取得することが可能である。対象画像は、静止画像またはビデオ画像でありうる。静止画像およびビデオ画像はいずれも、本発明に好適である。対象画像は、静止画像またはビデオ画像のいずれについても、同時にまたは後で外観特性を測定するためにディジタル形式で記憶可能である。永久記憶させずに外観の測定を行うために、対象画像を取り込んで計算デバイスに送信することが可能である。たとえば、記憶させずにリアルタイムビデオ画像を用いることが可能である。本発明では、記憶画像が好ましく、記憶静止画像がさらに好ましい。他の実施形態では、外観測定デバイスにより外観データを生成し、非画像電子ファイルとして記憶することが可能である。そのような非画像電子ファイルの例としては、位置と各位置の反射率強度とを関連付ける数値、テキスト、または英数字のデータファイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像および非画像のデータファイルは、周知の方法に従って相互変換が可能である。たとえば、以下に記載の方法を用いて画像を測定し、個別の外観データファイル内に記憶することが可能である。
【0029】
外観データは、フィーチャー、フィーチャー値、フィーチャー値から計算もしくは誘導された値、またはそれらの組合せから選択される1つ以上の外観特性を含みうる。フィーチャーとは、コーティングの外観に寄与する特性または属性のことである。フィーチャー、たとえば、光輝物体、フレークもしくはフレーク状物体、2つの隣接する物体間の物理的距離、1つ以上の物体が存在する領域、多数の物体を有する領域、またはそれらの組合せは、同定および位置特定が可能である。フィーチャーはまた、強度の分布、強度の変動、またはコーティング外観の他の統計学的記述のような特性または属性でありうる。たとえば、フィーチャーは、対象画像の目視可能なフレークまたはフレーク状物体でありうる。当業者であれば、コーティングのある特性または属性を外観測定のためのフィーチャーとして含めるべきかどうかおよびフィーチャー値をどのように生成しうるかについての判断を可能にする一連の要件を決定することが可能である。こうした要件および判断をコンピュータープログラムプロダクトに組み込んで、コーティングの外観を自動測定することが可能である。こうした要件および判断の例は、以下に記載の1つ以上の実施形態により提供される。
【0030】
一実施形態では、フレークを含有する対象コーティングの1つ以上の画像は、
i)固定照明角でかつさまざまな照度で対象コーティングに照明を施す工程と、
ii)対象コーティングのフレークがさまざまな明るさを呈する有効強度の有効照明を選択する工程と、
iii)前記有効照明の反射を対象コーティングから撮像デバイスの方向に方向付けて対象コーティングの少なくとも1つの画像を取り込む工程と、
を含む方法を用いて取り込まれる。
【0031】
この実施形態で取り込まれた画像を測定して、当業者により適切であると判断された方法を用いて外観データを生成させることが可能である。この実施形態で画像を測定するそのような方法の一例は、i)第1の閾値レベルでかつ後続の閾値レベルで対象画像を走査して、フレークが最大の明るさを呈する前記画像の明領域の集合と、フレークが中間の明るさを呈する中間領域の集合と、目視可能なフレークを本質的に含まない暗領域の集合と、を同定する工程と、ii)明領域、中間領域、および暗領域のフィーチャーを抽出する工程と、を含みうる。前記領域から抽出されるフィーチャー値としては、さまざまな事前設定閾値レベルで識別可能なフレークまたはフレーク状物体の数、サイズ、および分割面積が挙げられる。当然のことながら、この実施形態に係るコーティングデータベースは、フィーチャー間の対応する差(本明細書中ではフィーチャー距離と呼ばれる)を適切に計算しうるように、比較可能な外観特性、好ましくは、同一の方法、類似の方法、もしくは互換性のある方法により生成されたものを有する必要がある。
【0032】
他の実施形態では、米国特許第6,952,265号明細書(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に詳細に記載される方法を用いて、対象画像を取り込むことが可能である。最初に、事前設定強度の1つ以上の照明ビームを対象コーティングの方向に方向付ける。ビームは、対象コーティングの表面に対して垂直な角度(0°)(法線角(0°)としても知られる)または法線を基準にして−5°〜+5°の範囲内の角度に方向付け可能である。好ましくは、1つ以上の照明ビームを複数の事前設定強度で、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの事前設定強度で逐次的に方向付ける。次に、対象コーティングの反射を撮像デバイスの方向に方向付けて、対象コーティングの対象画像をカラーでまたは好ましくはグレースケールで取り込む。好ましくは、複数の他の事前設定強度で対象コーティングの1つ以上の反射を撮像デバイスの方向に逐次的に方向付ける。
【0033】
この実施形態に係る対象画像は、コンピューターやポータブルコンピューターのような計算デバイスに送信可能である。対象コーティングの外観データは、画像から外観特性を測定することにより計算デバイスにより生成される。前記外観データの生成に好適な一測定法は、米国特許第6,952,265号明細書に記載されており、以下の工程を含む。
【0034】
(a)第1の事前設定強度でかつ第1の閾値レベルで対象画像を走査する工程。
【0035】
(b)第1の事前設定強度で対象画像内の第1の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの領域の位置を決定する工程。
【0036】
(c)第1の事前設定強度でかつ後続の前記閾値レベルで対象画像を走査する工程。
【0037】
(d)第1の事前設定強度で対象画像内の後続の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの新領域の位置を決定する工程。
【0038】
(e)前記工程(b)で位置決定された第1の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの領域を内包する後続の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの一致領域の位置を決定する工程。
【0039】
(f)前記工程(d)および(e)で位置決定された事前設定サイズのピクセルの新領域および一致領域の数を加算して、第1の事前設定強度で閾値レベルを超える認識可能なピクセルの領域の事前設定サイズの最終数を記録する工程。この実施形態に係るフィーチャーは、1つ以上の閾値レベルで目視可能なフレークもしくはフレーク状物体、2つの隣接する物体間の物理的距離、または多数の物体を有する領域のような特性または属性でありうる。事前設定サイズの最終数はフィーチャー値と呼ばれる。
【0040】
(g)後続の事前設定強度で、工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)を反復する工程。
【0041】
以上の方法の工程(a)〜(g)では、事前設定基準に基づいていくつかの判断が下される。工程(a)では、第1の事前設定強度でかつ第1の閾値レベルで、すなわち、最高閾値レベルで対象画像を走査した場合、最も顕著な目視可能なフィーチャーを有するフレークに対応するピクセルの領域の位置が決定されるであろう。その位置およびサイズ(サイズの事前設定基準を満たす)、そのような領域は新フレークとして記録される。後続の閾値レベルで同一の対象画像を工程(c)で走査した場合、ピクセルの新領域が、第1の事前設定強度で対象画像内で後続の閾値レベルを超えて認識可能になる可能性がある。したがって、新フレークとして記録されたすでに位置決定された領域は、その追加のフィーチャーがより低い閾値レベルで位置決定された後、より大きくなる可能性がある。以上の一致領域は、前記後続の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの単一の領域内に包囲された第1の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの単一の連続領域を含む。そのような想定下では、すでに位置決定され記録されたフレークサイズは廃棄され、新しいより大きいサイズがその場所に記録される。
【0042】
他の選択肢として、以上の一致領域はまた、後続の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの領域内に併合された第1の閾値レベルを超える認識可能なピクセルの複数の領域をも含みうる。したがって、すでに位置決定され小サイズの新フレークとして記録された小領域のクラスターは、より低い閾値レベルで解析した場合、より大きいフレークの一部になる可能性がある。そのような想定下では、こうした小領域のすでに位置決定され記録されたサイズは廃棄され、新しいより大きい領域が位置決定されそれらの場所に記録される。そのほか、他の想定では、より高い閾値レベルで、より大きい領域がより小さい領域に隣接して位置決定される可能性があり、それらは両方とも、位置決定され記録されるであろう。しかしながら、より低い閾値レベルで目視した場合、同一の組合せがより大きい領域の一部になる可能性がある。そのような想定下では、こうしたより小さい/より大きい領域のすでに位置決定され記録されたサイズは保持され、より大きい領域は廃棄される。なぜなら、より大きい領域は、1つの併合されたフレークとして出現した多数のフレークの結果である可能性があるからである。したがって、それは、1つの大きいフレークとして計数すべきではなく、2つの識別可能な領域、すなわち、より大きい領域およびより小さい領域として計数すべきである。以上の状況のほかに、より高い閾値ではまったく記録されなかった領域が、より低い閾値で出現する可能性があり、それもまた、その閾値レベルで位置決定され記録されるであろう。さらに、より低い閾値レベルでさえもそのサイズに変化を示さないいかなる領域もまた、位置決定され変化なしとして記録されるであろう。他の事前設定強度で同一のプロセスが反復される。
【0043】
より高い閾値およびより低い閾値ならびに多数の照明レベルで対象画像からフレークの位置を決定しその数を記録することにより、前記測定方法は、事前設定照度で複数の対象フィーチャーと対象コーティング中のフレークのサイズを反映する対応する対象フィーチャー値とを含む外観データを生成させる。効果顔料としてフレークを有する対象コーティングについてとくに説明されているが、以上で述べた方法はまた、他の効果顔料を含有するコーティングにも好適である。
【0044】
1つ以上のコーティング処方に関連付けられた代替コーティングのいくつかの既知のフレークの外観特性は、コーティングデータベース中に記憶される。代替コーティングのそれぞれの個々の外観特性としては、前記個々の外観特性を提供するように前記コーティング処方に組み込まれたフレークのサイズ、量、およびタイプに関連付けられた複数の代替フィーチャーおよび対応する代替フィーチャー値が挙げられる。個々の代替コーティングは、既知のフレークおよび既知のバインダー(ポリマーなど)、顔料、溶媒、添加剤、ならびに当業者により決定されるようなコーティングの形成に必要な他の成分を有する代替コーティング組成物で代替パネルをコーティングすることにより作製される。代替コーティングの外観特性は、上述の撮像方法および測定方法と同一の方法またはそれと互換性のある方法を用いて生成される。代替コーティングの外観特性に関するデータは、記憶された画像データファイルもしくは非画像データファイルまたはそれらの組合せでありうる。代替コーティングの画像を記憶する利点は、対象コーティングの外観特性の測定にさまざまな閾値レベルを用いる場合、新しい代替画像を取り込む必要なく同一の閾値レベルを用いて、記憶された代替コーティング画像を測定しうることである。
【0045】
さらに他の実施形態では、対象コーティングの1つ以上の画像は、
i)2つ以上の照明角でかつ1つ以上の事前設定強度で対象コーティングに逐次的に指向性照明を施す工程と、
ii)前記照明のそれぞれの反射を前記対象コーティングから撮像デバイスの方向に方向付けて、前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を逐次的に取り込む工程と、
を含む方法を用いて取り込まれる。
【0046】
さらに他の実施形態では、対象コーティングの1つ以上の画像は、
i)1つ以上の事前設定強度で対象コーティングに逐次的に拡散照明を施す工程と、
ii)前記照明のそれぞれの反射を前記対象コーティングから撮像デバイスの方向に方向付けて、前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を逐次的に取り込む工程と、
を含む方法を用いて取り込まれる。
【0047】
さらに他の実施形態では、対象コーティングの1つ以上の画像は、
i)1つ以上の照明角でかつ1つ以上の事前設定強度で対象コーティングに逐次的に指向性照明と拡散照明との組合せを施す工程と、
ii)前記照明のそれぞれの反射を前記対象コーティングから撮像デバイスの方向に方向付けて、前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を逐次的に取り込む工程と、
を含む方法を用いて取り込まれる。
【0048】
これらの実施形態で取り込まれた画像を測定して、当業者により適切であると判断された方法を用いて外観データを生成させることが可能である。この実施形態で画像を測定するそのような方法の一例は、それぞれの前記照明角または強度でフィーチャーおよびフィーチャー値を抽出することを含みうる。当然のことながら、この実施形態に係るコーティングデータベースは、対応するフィーチャー距離を計算しうるように、比較可能な外観特性、好ましくは、同一の方法、類似の方法、もしくは互換性のある方法により生成されたものを有する必要がある。
【0049】
さらに他の実施形態では、外観データは、対象画像を取り込まずに生成可能である。それは、対象コーティングの反射率を検出して、設定されたバイナリーデータファイルのような非画像データファイル中または外観情報を記録しうる他の非画像データファイル中に直接記録することにより実施可能である。上述のディジタル撮像デバイスはいずれも、バイナリーデータファイルのような非画像データファイルを直接またはコンバーターを介して生成させるように構成可能である。スチルフィルムカメラにより取り込まれた写真のようにアナログ撮像デバイスにより記録された画像は、たとえばスキャナーにより、ディジタル画像または非画像データファイルの形態に変換可能である。
【0050】
対象コーティングの色データまたは外観データは、対象コーティングの同一の部分または異なる部分で取得可能である。対象コーティングの異なる部分としては、対象コーティングで被覆された基材の同一の部片の異なる部分および同一の対象コーティングで被覆された基材の異なる部片の異なる部分が挙げられる。たとえば、色データまたは外観データは、同一の型式の、同一の製造年の、かつ同一のコーティングで被覆された、異なる車両から取得可能である。他の例では、色データまたは外観データは、同一の対象コーティングで被覆された、異なる対象パネルから取得可能である。
【0051】
対象コーティングのL,a,b値またはL*,a*,b*値またはL,C,h値のような色データを計算デバイスに入力して、コーティングデータベース中に記憶されたコーティングのL,a,b値またはL*,a*,b*値またはL,C,h値のような色特性と比較することが可能である。対象コーティングとコーティングデータベース中のコーティングとの間の色差(本明細書中では、ΔL、Δa、Δb、またはΔL*、Δa*、Δb*、またはΔL、ΔC、ΔHと呼ばれる)の個々の側面は、上述の米国特許公開第2006/0181707号明細書に記載の式を用いて決定可能である。ただし、式中、ΔL、Δa、Δb、またはΔL*、Δa*、Δb*、またはΔL、ΔC、ΔHは、それぞれ、対象コーティングのL,a,b色値またはL*,a*,b*色値またはL,C,h色値と、コーティングデータベース中に記憶されたコーティングの対応する色値との差を表す。全色差ΔEまたはΔE*は、次式を用いる計算可能である。
【数1】

【0052】
他の選択肢として、ΔEまたはΔE*はまた、上述の米国特許公開第2006/0181707号明細書に記載の式を用いてΔL、ΔC、ΔHから計算可能である。
【0053】
いくつかの色差式は、文献に発表されている。1994年、International Committee on Illumination(CIE)は、現在「CIE94式」と呼ばれる色差式を推奨した。他の一般に使用される式は「CMC式」である。これらは両方とも、上述の米国特許公開第2006/0181707号明細書に示されている。これらの式は、所与の照明条件下で、典型的には平均昼光に対応するイルミナントD65を用いて、法線方向の観測者により観測される等色の正確さの数学的推定を提供する。研究用のより最近のCIE推奨式は、CIEDE2000式である(出版物CIE 142−2001,ISBN 3 901 906 08 8,CIE,Vienna,Austria,2001)。ゴニオアパレント色の場合、これらを多数の角度(好ましくは3つ〜5つ)で計算し、それぞれの角度でΔEまたはΔE*を加重することにより組み合わせることが望ましい。他の選択肢として、それぞれの角度に対して個々のΔL成分、ΔC成分、ΔH成分を加重することによりそれらを組み合わせることが可能である。この例は、Saris,H.J.A.ら(Color Res.Appl,15,200−205,1990)により示されている。彼らは、その出版物中でCMC式を用いてそれぞれの角度で各成分に対して最適化された加重を提案した。
【0054】
ΔEまたはΔE*の値が特定の事前設定値未満である場合、一般的には、色差は有意でないとみなされる。したがって、対象コーティングと記憶された処方に基づいて作製されたコーティングとの間の全色差ΔEまたはΔE*が前記事前設定値未満である場合、記憶された処方に基づいて作製されたコーティングは、一般的には、対象コーティングに対してマッチングまたはブレンド可能なマッチングを提供しうる。事前設定値は、当業者であれば、特定のニーズに応じて決定可能である。たとえば、車のミラーケースを車のコーティングの残りの部分の色および外観にマッチングする補修コーティングで被覆する場合、ミラーケースと車のコーティングの残りの部分との間の色および外観の差はそれほど目立たない可能性があるので、ΔEまたはΔE*の事前設定値をわずかに高くすることが可能である。しかしながら、車のドアパネルの領域を補修コーティングで被覆する場合、補修領域とドアパネルの残りの部分と間の色および外観の差はかなり目立つので、ΔEまたはΔE*の事前設定値をかなり小さくすることが可能である。
【0055】
米国特許公開第2006/0181707号明細書に記載の他の代替形態を用いて、対象コーティングの色データを記憶された色特性と比較することも可能である。色データと記憶された色特性との間の全色差は、順位付けられる。
【0056】
個々の対象フィーチャー値と個々の代替フィーチャー値との差(本明細書中ではフィーチャー距離と呼ばれる)を計算することにより、外観データをコーティングデータベース中に記憶されたそれぞれの個々の外観特性と比較することが可能である。次に、フィーチャー距離の単純和、二乗平均平方根和、加重累積和、または他の計算和を求めることが可能である。そのような計算和の一例は、当業者に公知の二乗平均平方根(RMS)和である。当業者の熟知するところであるが、最適化された色および/または外観のマッチングを得るために、それぞれのフィーチャー、フィーチャー値、またはフィーチャー距離にさまざまな加重係数を付与することが可能である。計算要件、加重係数、およびアルゴリズムについては、上述の米国特許第6,952,265号明細書(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に詳細に記載されている。比較の結果は、フィーチャー距離の選択された和に基づいて順位付けられる。
【0057】
1つ以上のマッチング処方をコーティングデータベースから選択することが可能である。ただし、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する。一般的には、2未満のΔEを有するすべてのコーティング処方を選択し、次に、フィーチャー距離の和を検討する。2未満のΔEを有しかつフィーチャー距離の最小和を有するコーティング処方をマッチング処方として選択する。
【0058】
対象コーティングの色データは、色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せから取得可能である。多くの塗料供給業者、特定的には車両再仕上げ塗料供給業者は、多くの場合、車両の元のコーティング(OEMコーティング)にマッチングするマッチングコーティングを作製し、マッチングコーティングは、通常、OEMコーティングの色コード、車両識別番号、または車両のVINの一部に関連付けられる。色コードまたはVINに基づいて車両のコーティングの色にマッチングさせる方法は周知である。VINおよび色コードを用いて対象コーティングの色にマッチングさせる一例は、上述の欧州特許出願EP1139234号明細書に開示された。色コードもしくはVINまたは色コードとVINとの組合せを使用する場合、色コード、VIN、VINの一部、またはそれらの組合せに関連付けられたコーティング処方を有するコーティングデータベースからいくつかのコーティング処方を取り出すことが可能である。本発明により生成された外観特性をそのようなコーティングデータベースに統合することが可能であり、かつコーティング処方に関連付けることが可能である。その結果、対象コーティングの色データおよび外観データを用いて、色および外観の両方にマッチングする1つ以上の処方を選択することが可能になる。
【0059】
当業者には当然のことながら、対象コーティングの色データおよび外観データは、コーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と互換性のある形式でなければならない。たとえば、対象コーティングの色データがL*,a*,b*データである場合、コーティングデータベース中に記憶された色特性は、L*,a*,b*データと互換性がなければならず、対象コーティングの外観データが多数の強度で固定照明角から得られたものである場合、コーティングデータベース中に記憶された外観特性もまた、同一のデータまたは互換性のあるデータにすべきである。同様に、当業者には当然のことながら、いくつかのデータ形式は、変換または相互変換が可能である。たとえば、分光反射率データは、L*,a*,b*データに変換可能である。コーティングデータベースは、多数のデータ形式の色特性および/または外観特性をそれぞれの記憶されたコーティング処方に関連付けて色データまたは外観データをデータベース中の互換性のある特性と自動比較できるように構築可能である。
【0060】
1つ以上のマッチング処方を選択した後、対象コーティングの色および外観にマッチングするコーティングを作製するために、マッチング処方に従ってマッチングコーティング組成物を調製することが可能である。マッチングコーティングが色または外観に関して完全に満足すべきでものではない場合、当業者は、処方中の1つ以上の成分の量を変更することにより処方をさらに調整することが可能である。
【0061】
本発明はさらに、効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムに関する。
【0062】
そのようなシステムの一実施形態は、対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、対象コーティングの対象画像を取得するための撮像デバイスと、1つ以上の事前設定照度で対象コーティングに照明を施して前記照明の反射を撮像デバイスの方向に方向付ける照明デバイスと、プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、以下の工程、すなわち、
a.前記対象コーティングの色データおよび対象画像を受信する工程と、
b.前記対象画像から前記対象コーティングの特性を測定して外観データを生成する工程と、
c.前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
d.コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを計算デバイスに実行させるようにする、メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含む。
【0063】
そのようなシステムの他の実施形態は、対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、前記対象コーティングの外観データを取得するための外観測定デバイスと(ただし、前記外観デバイスは、1つ以上の事前設定照度で対象コーティングに照明を施して前記照明の反射を前記撮像デバイスの外観測定素子の方向に方向付ける照明デバイスをさらに含みうる)、プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、以下の工程、すなわち、
a.前記対象コーティングの色データおよび外観データを受信する工程と、
b.前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
c.コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、色データにマッチングする色特性と外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを計算デバイスに実行させるようにする、メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含む。
【0064】
当業者であれば、光反射を検出しかつ外観データを記録するように上述の撮像デバイスの一部もしくは全部を変更または再構成することが可能である。また、撮像デバイスを1つ以上の計算デバイスと組み合わせて外観データを測定しかつ記録することが可能である。撮像デバイスはまた、画像を別の計算デバイスに転送することなく外観データを処理しかつ記録しうる内蔵型計算デバイスユニットを有しうる。
【実施例】
【0065】
以下の実施例で本発明をさら明確にする。当然のことながら、こうした実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、実例として与えられているにすぎない。以上の考察およびこうした実施例から、当業者であれば、本発明の本質的特性を確認することが可能であり、その趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更および修正を加えて種々の用途および条件に適合するようにすることが可能である。
【0066】
外観の測定
Jai Pulnix of San Jose,California,USAの撮像デバイスTM−7EXを用いて対象画像を取り込んだ。照明角を対象コーティングの表面に垂直な0°に設定し、対象コーティング中のフレークがさまざまな明るさを示すように有効照度を選択した。ここで使用した撮像デバイスは、0〜255の範囲内の画像強度レベルでディジタル画像を記憶する。この範囲は、ディジタル画像中の任意の1つのピクセルのデータを表すために使用される8ビットデータ形式に由来する。画像の最も明るい部分が画像強度レベル255またはその近傍になるようにすると同時により低い画像強度の物体が依然として画像中に目視可能であるように、照度の設定値を選択する。コーティングデータベースは、代替コーティングの個々の画像を含む。ただし、代替コーティングの画像は、同一の照明条件を用いて取り込まれたものであった。
【0067】
取り込まれた画像から外観特性を測定するために、3つの異なる閾値レベルを設定した。T1は最大であり、T2は中間であり、T3はバックグラウンドに対応する。この実施例に記載の測定では、次の閾値レベルを設定した。
T1=225、
T2=150、および
T3=100。
【0068】
次に、コンピュータープログラムプロダクトを用いて各画像から以下のフィーチャーを抽出した。画像ごとに、全画像のピクセルを測定した。統計学的目的のために、2つ以上の画像を測定することが可能である。実施例に示されるいくつかのデータは、2つ以上の画像から得られた測定値の平均値を表す。対象コーティングまたは代替コーティングの同一部分または異なる部分で画像を取り込んだ。以下に記載の指定のサイズに基づいて、小、中、大、および特大のような異なるカテゴリーにフィーチャーを分類した。当然のことながら、当業者であれば、適切な判断に基づいて、フィーチャーの一部もしくは全部に対して異なるサイズを選択することが可能である。
【0069】
1)閾値レベルT1の場合:
物体の数:T1閾値以上の画像強度を有する識別可能かつ連続の光輝物体の全数。
Smの数:各画像で測定された小さい光輝物体の平均数。小さい光輝物体は、10〜20マイクロメートルの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する物体として定義される。10マイクロメートル未満の物体は、この特定の測定では無視された。
Medの数:各画像で測定された中程度の光輝物体の平均数。中程度の光輝物体は、20〜30マイクロメートルの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する物体として定義される。
Lgの数:各画像で測定された大きい光輝物体の平均数。大きい光輝物体は、30〜50マイクロメートルの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する物体として定義される。
ExLgの数:各画像で測定された特大の光輝物体の平均数。特大の光輝物体は、50マイクロメートル超の少なくとも1つの寸法を有する物体として定義される。
T1の面積:閾値レベルT1を超える画像強度を有する画像の分割面積。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった。
【0070】
測定データを表1に示す。
【0071】
表 1. 閾値レベルT1における測定データ

【0072】
2)閾値レベルT2の場合:
Expの数:4つの上述のカテゴリー、すなわち、小、中、大、および特大に属する光輝物体の平均数。ただし、光輝物体のサイズは、閾値レベルT1のときと比較して閾値レベルT2のときに拡張されている。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった(表2)。
Newの数:4つの上述のカテゴリーに属する新しい光輝物体の平均数。ただし、新しい光輝物体は、閾値レベルT1のときに検出されたいかなる光輝物体とも異なる連続領域である。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった(表2)。
Expの面積:閾値レベルT1のときと比較して閾値レベルT2のときに拡張された光輝物体を有する画像の分割面積。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった(表3)。
Newの面積:閾値レベルT2のときの新しい光輝物体を有する画像の分割面積。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった(表3)。
Hiの面積:以上に記載したExpの面積とNewの面積との和(表3)。
【0073】
3)閾値レベルT3の場合:
Midの面積:閾値レベルT2およびT3の間の画像強度を有する画像の分割面積。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった。
Loの面積:閾値レベルT3未満の画像強度を有する画像の分割面積。平均値は、各コーティングに対してそのコーティングの多数の測定に基づいて与えられたものであった。
【0074】
表 2. 閾値レベルT2におけるフィーチャー値

【0075】
表 3: 閾値レベルT2およびT3におけるフィーチャー値

【0076】
対象コーティングの外観データは、3つの閾値レベルで生成された対象コーティングの測定データを含み、表1、2、および3に示される。コーティングデータベース中に記憶された外観特性は、3つの閾値レベルで生成された代替コーティングの測定データを含み、同様に、表1、2、および3に示される。
【0077】
色の測定および比較
X−Rite,Grandville,Michiganにより製造された変角分光光度計Model MA68IIを用いて、以上で述べた対象コーティングおよび代替コーティングの測色を行った。X−Rite,Grandville,Michiganにより製造されたModel SP64のような分光光度計を使用することも可能である。
【0078】
対象コーティングと各代替コーティングとの間の全色差ΔEを計算し、表4に示した。
【0079】
表 4. 全色差

【0080】
外観データの比較
対応するフィーチャー値を計算して比較することにより、対象コーティングの外観フィーチャーを含む外観データを代替コーティングの外観フィーチャーと比較した。
【0081】
最初に、フィーチャー値の個々の比、すなわち、Expの面積/T1の面積およびNewの面積/T1の面積を以下の式を用いて計算した。
EA=Expの面積/T1の面積
NA=Newの面積/T1の面積
ここで、対応するフィーチャー値のT1の面積は表1に示され、そしてExpの面積およびNewの面積は表3に示される。
【0082】
次に、個々のフィーチャー距離REA-Alt−REA-Tgt、RNA-Alt−RNA-Tgt、およびフィーチャー距離の二乗平均平方根(RMS)を以下の式を用いて計算した。
RMS=(((REA-Alt−REA-Tgt2+(RNA-Alt−RNA-Tgt2)/2)1/2
ただし、上記式中、
EA-Altは、代替コーティングのREA値であり、
EA-Tgtは、対象コーティングのREA値であり、
NA-Altは、代替コーティングのREN値であり、
NA-Tgtは、対象コーティングのREN値である。
【0083】
フィーチャー距離とフィーチャー距離の和とを計算するためにこの実施例では2つの比だけが示されたことに留意すべきである。当業者により必要であると判断された場合、追加のフィーチャー、フィーチャー値、またはフィーチャー距離を使用することが可能である。また、当然のことながら、1つ以上のフィーチャー、フィーチャー値、またはフィーチャー距離に異なる加重係数を与えて、フィーチャー距離の加重和を求めることも可能である。
【0084】
フィーチャー距離のRMSの計算結果を表5に示す。
【0085】
表 5. フィーチャー距離のRMS

【0086】
表5に示されたRMSの結果に基づいて、代替コーティングに対して以下の最初の外観の順位付けを行った(表6)。
【0087】
表 6. 最初の外観の順位付けリスト

【0088】
次に、上位に順位付けられた代替コーティングに対して追加のフィーチャー値を検討した。特大の光輝物体の数(表1中のExLgの数の列)の差を比較した。表1のデータに基づいて、最上位に順序付けられた代替Aコーティングは、対象コーティングと比較してより粗いコーティングを生じる原因となりうる特大の光輝物体が多すぎることが確認された。次に、代替コーティングの代替Fを順位付けリスト中で上位に移動させた。上位の代替コーティングのそれぞれに対してこのプロセスを反復して、洗練された外観の順位付けを行った。色および外観の両方の順位付けに関するバランス要件に基づいて処方の選択を行った。代替Fはベストマッチングであり、代替Bおよび代替Aもまた、許容範囲内で対象コーティングの色および外観の両方にマッチングする、満足すべきものであった。最終処方の選択結果を表7に示す。
【0089】
表 7. 処方選択結果


【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法であって、
a)前記対象コーティングの色データを取得する工程と、
b)前記対象コーティングの外観データを取得する工程と、
c)前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
d)前記コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、前記色データにマッチングする色特性と前記外観データにマッチングする外観特性とを有する、工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記色データがL*,a*,b*値またはL,C,h値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記色データが分光反射率データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記色データが、車両の色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せから選択される色識別コードを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記効果顔料がゴニオアパレントフレークである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象コーティングが自動車の車体の表面に固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定する方法であって、
a)測色デバイスを用いて前記対象コーティングの色データを取得する工程と、
b)撮像デバイスを用いて1つ以上の事前設定照度で前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を取得する工程と、
c)前記対象画像から前記対象コーティングの特性を測定して外観データを生成する工程と、
d)前記色データおよび前記外観データをコーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
e)前記コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、前記色データにマッチングする色特性と前記外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む方法。
【請求項8】
前記工程b)が、
i)少なくとも2つの前記事前設定照度で前記対象コーティングに逐次的に照明を施すことと、
ii)前記照明のそれぞれの反射を前記対象コーティングから前記撮像デバイスの方向に方向付けて、前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を逐次的に取り込むことと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記工程b)が、
i)固定照明角でかつ前記事前設定照度で前記対象コーティングに照明を施すことと、
ii)前記対象コーティングの前記効果顔料がさまざまな明るさを呈する有効強度の有効照明を選択することと、
iii)前記有効照明の反射を前記対象コーティングから前記撮像デバイスの方向に方向付けて前記対象コーティングの少なくとも1つの画像を取り込むことと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記工程b)が、
i)2つ以上の照明角でかつ前記1つ以上の事前設定強度で前記対象コーティングに逐次的に照明を施すことと、
ii)前記照明のそれぞれの反射を前記対象コーティングから前記撮像デバイスの方向に方向付けて、前記対象コーティングの1つ以上の対象画像を逐次的に取り込むことと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記測色デバイスが、測色計、分光光度計、または変角分光光度計である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記色データがL*,a*,b*値またはL,C,h値を含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記色データが分光反射率データを含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記色データが、車両の色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せから選択される色識別コードを含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記撮像デバイスがディジタルイメージャーである、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記効果顔料がゴニオアパレントフレークである、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象コーティングが自動車の車体の表面に固定されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが、前記対象コーティングの同一の部分から前記色データおよび前記対象画像を同時にまたは逐次的に取得するように構成されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが、前記対象コーティングの異なる部分から前記色データおよび前記対象画像を同時にまたは逐次的に取得するように構成されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムであって、
a)前記対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、
b)前記対象コーティングの外観データを取得するための外観測定デバイスと、
c)プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、
d)色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、前記計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、
e)以下の工程、すなわち、
i)前記対象コーティングの前記色データおよび前記外観データを受信する工程と、
ii)前記色データおよび前記外観データを前記コーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
iii)前記コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、前記色データにマッチングする色特性と前記外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを前記計算デバイスに実行させるようにする、前記メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含むシステム。
【請求項21】
前記測色デバイスが、測色計、分光光度計、または変角分光光度計である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記色データがL*,a*,b*値またはL,C,h値を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記色データが分光反射率データを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記色データが、車両の色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せから選択される色識別コードを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記外観測定デバイスがディジタルイメージャーである、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
前記効果顔料がゴニオアパレントフレークである、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
前記対象コーティングが自動車の車体の表面に固定されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
効果顔料を含有する対象コーティングの色および外観にマッチングする1つ以上のマッチング処方を同定するシステムであって、
a)前記対象コーティングの色データを取得するための測色デバイスと、
b)事前設定照度で前記対象コーティングの対象画像を取得するための撮像デバイスと、
c)1つ以上の事前設定照度で前記対象コーティングに照明を施して前記照明の反射を前記撮像デバイスの方向に方向付ける照明デバイスと、
d)プロセッサーとメモリー要素とを含む計算デバイスと、
e)色特性と外観特性とに関連付けられたコーティング処方を含有するコーティングデータベースであって、前記計算デバイスからアクセス可能であるコーティングデータベースと、
f)以下の工程、すなわち、
i)前記対象コーティングの前記色データおよび前記対象画像を受信する工程と、
ii)前記対象画像から前記対象コーティングの特性を測定して外観データを生成する工程と、
iii)前記色データおよび前記外観データを前記コーティングデータベース中に記憶された色特性および外観特性と比較する工程と、
iv)前記コーティングデータベースから1つ以上の前記マッチング処方を選択する工程であって、前記マッチング処方は、前記色データにマッチングする色特性と前記外観データにマッチングする外観特性とを有する工程と、
を含む計算プロセスを前記計算デバイスに実行させるようにする、前記メモリー要素中に作動的に存在する計算プログラムプロダクトと、
を含むシステム。
【請求項29】
前記測色デバイスが、測色計、分光光度計、または変角分光光度計である、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記色データがL*,a*,b*値またはL,C,h値を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記色データが、車両の色コード、車両の車両識別番号(VIN)、VINの一部、またはそれらの組合せから選択される色識別コードを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記撮像デバイスがディジタルイメージャーである、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
前記効果顔料がゴニオアパレントフレークである、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記照明デバイスが、照度を調整するための手段を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
前記照明デバイスが、照明角を調整するための手段を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項36】
前記測色デバイスが、照明角を調整するための手段を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項37】
前記測色デバイスが、照度を調整するための手段を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項38】
前記色データおよび前記外観データを記憶しかつ取り出すための第2のデータベースをさらに含み、前記第2のデータベースが前記計算デバイスからアクセス可能である、請求項28に記載のシステム。
【請求項39】
前記測色デバイスが、有線接続または無線接続を介して前記計算デバイスに作動的に結合されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項40】
前記撮像デバイスが、有線接続または無線接続を介して前記計算デバイスに作動的に結合されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項41】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが1つのハウジングユニット内に構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項42】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが個別のハウジングユニット内に構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項43】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが、前記対象コーティングの同一の部分から前記色データおよび前記対象画像を同時にまたは逐次的に取得するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項44】
前記測色デバイスおよび前記撮像デバイスが、前記対象コーティングの異なる部分から前記色データおよび前記対象画像を同時にまたは逐次的に取得するように構成されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項45】
前記計算デバイスがポータブル計算デバイスである、請求項28に記載のシステム。
【請求項46】
前記ポータブル計算デバイスが、無線接続を介して前記測色デバイスまたは前記撮像デバイスに作動的に結合されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記対象コーティングが自動車の車体の表面に固定されている、請求項28に記載のシステム。

【公表番号】特表2010−508134(P2010−508134A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531426(P2009−531426)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/021195
【国際公開番号】WO2008/042393
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】