説明

動作分析装置

【課題】 静止時及び運動時の身体動揺を検出、解析、記録し、同時にリハビリテーションも行える安価な装置を提供しようとすること。
【解決手段】 本発明は、回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサからなる姿勢角検出用センサユニットと、超音波送信機、超音波受信機、これら超音波送受信機を制御する制御回路により構成される距離検出部と、検出したデータの演算処理部と、表示部と、被検者に前記ユニットを固定する固定装置とを備えている。このため設置や移動も簡単な小型、軽量かつ低コストの歩行検査装置を実現できる。センサーの数、設置部位により運動機能の測定も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の身体各部の位置、運動に関する情報を総合的に測定、解析、記録することにより、随意的又は不随意的運動の解析、記録を行なう動作分析装置に関するものである。さらに詳しくは、被検者の動作状態を姿勢角度と移動距離の複合により測定、記録し、疾病や部位の特定などの医学的診断を行なうのに使用される動作分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間が正常な平衡感覚を持って2足直立姿勢で歩行できることは、全身の骨格、筋肉、感覚器および脳の精密な連携により実現される。これらの一部または複数の部位が損傷や疾病により異常をきたした場合、部位に応じた影響が姿勢や歩行の状態に現れる。すなわち、身体平衡の状態、直立姿勢や歩行の状態を測定、分析することにより疾病部位や病因を鑑別し、疾患の治癒程度や経過を観察することができる。
【0003】
従来より、この関係を利用して患者の平衡感覚の分析を行うものに重心動揺計が知られている。これは、被検者の乗る測定台と、この測定台からの信号を受けて計算、分析を行うパソコンや専用コントローラ等の演算装置とで構成される。前記測定台は、3角形の板の各頂点付近に床面と接触する脚が設置されており、この脚の中に自身の伸縮を電気信号として出力するストレインゲージが内蔵されている。
そして、被検者が測定台に乗り、所定の位置で直立姿勢をとった状態で重心動揺の測定を行う。演算装置で各ストレインゲージからの電気信号を取り込み、計算して被検者の重心位置を算出する。また、重心位置を連続して記録することで重心動揺の軌道を得ることもできる。ただし、この装置で得られるのは、直立時のデータのみであり、利用できる疾病の種類も限られている。
【0004】
前記重心動揺計が定位置での身体の動揺を測定するのに対して、歩行検査装置は、歩行に現れる移動時の身体の動揺を測定するものである。この歩行検査は、身体障害者福祉法における平衡機能障害の障害程度等級診断のために用いられている。具体的には、末梢迷路性平衡失調、後迷路及び小脳性平衡失調、外傷又は薬物による平衡失調、中枢性平衡失調などが挙げられる。
この歩行検査装置と重心動揺計とを組み合わせることで診断の対象拡大や精度向上が可能である。被検者の歩行状態を検出する方法としては、CCDカメラを用いた画像解析によるもの、赤外線や超音波を被検者の足に当てて足の動きを検出するものなどが提案されている。
【0005】
しかし、これらの方法は、カメラや光源などの設置精度が検出結果の精度に大きく影響する。したがって、専用の取り付け部品や架台などが必要となる。また、歩行状態を検出するためには、被検者が自然な姿勢で歩行できる十分なスペースを確保するか、移動しなくても歩行状態を再現できるような仮想歩行装置が必要であり、必然的に検出装置全体が大型化する。加えて価格の面でも一式で数百万から数千万というレベルになる。超音波方式に限っていえば、設置精度やコストの面で他の方式より若干有利であるが、超音波のみでは測定精度が劣るのと、測定できる要素が直線距離だけであるため、求める結果によっては複雑な計算を行う必要があり、その分誤差も大きくなるという問題がある。
【特許文献1】特開平11−113884
【特許文献2】特開2003−319922
【非特許文献1】「関節モーメントによる歩行分析」江原義弘・山本澄子 臨床歩行分析研究会 編、医歯薬出版(1997−07−25出版)
【非特許文献2】「運動学実習第3版」中村隆一・斎藤宏・長崎浩 編、医歯薬出版(2004−03−01出版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重心動揺計は、重心位置を測定しようとするものであるが、平衡障害を検出、解析、記録する目的では、重心の移動を指標とするより、頭部の動揺を検出する方がより合理的である。しかし、頭部の動揺を検出する装置は無かった。また、従来の歩行検査装置は、装置全体として大型であることから設置の方法や場所、精度などにさまざまな制限があり、価格の面でも高額になっていた。さらに、重心動揺計によって平衡障害を検出し、歩行検査によって歩行時の動揺を検出したとしても、このデータを直ちにリハビリテーションに利用できる装置は無いという問題があった。
【0007】
このような従来技術の状況から、本発明の第1の目的は、静止時及び運動時の身体動揺を検出、解析、記録し、同時にリハビリテーションも行える安価な装置を提供しようとすることにある。
また、本発明の他の目的は、運動科学的見地から、スポーツ行動学における学習とその身体の運動制御に関し、リハビリテーション同様に、身体各部の運動特性(関節の回転角、角速度、角加速度の相対的及び動特性)を観察し、正しいフォームへの改善等適切に行える装置を提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような課題を解決するため、本発明による動作分析装置は、回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサ、前記センサを固定し電気的に接続する配線を含む基板、前記センサ及び基板を収納する筐体とで構成された1つまたは複数の姿勢角検出用センサユニットと、超音波を送信する1個又は複数の送信機、前記超音波を受信する1個または複数の受信機、前記超音波送信機及び受信機を制御する制御回路により構成される距離検出部と、前記センサユニット及び前記距離検出部を接続し、検出したデータの演算処理、加工、記録を行う記憶部を備えた演算処理部と、演算結果を表示する表示部と、前記姿勢角検出用センサユニットと前記演算部、前記演算部と前記表示部をそれぞれ有線または無線で接続する接続手段と、被検者に前記ユニットを固定する固定装置とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、従来のような大型で高コストな装置を使用せず、また設置や移動も簡単な小型、軽量かつ低コストの歩行検査装置を実現できる。
なお、本装置のセンサーの数、設置部位により運動機能の測定が可能であることも同時に理解できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、静止時及び運動時における身体動揺のすべてのデータを収集することができる。現在、医学領域、特に耳鼻咽喉科領域で行われている平衡機能に関する検査のうち、身体動揺を指標とした検査はすべて本発明で可能となる。また、耳鼻咽喉科、整形外科、リハビリテーション科を中心に行われている歩行検査については、本発明によってコストパフォーマンスの高い検査機器が実現できる。
加えて、スポーツ医学・運動科学の見地から、軽量かつ適正なセンサーによる測定は、本来の運動科学・スポーツ行動学の観点から、極めて負荷の少ない条件における適正な測定が実現できる。
【0011】
本発明の動作分析装置において、前記姿勢角検出用センサユニットの回転状態センサユニット部を用いて、立位、坐位、仰臥位など静止時における身体各部の動揺を検出、解析、記録することができる。回転状態検出センサユニットを頭部に装着すれば頭部動揺を測定できる。
現在、めまい・平衡機能検査において、身体動揺を測定する機器として重心動揺計が汎用されている。従来、身体動揺そのものを正確に測定する機器がなかったため、重心を測定することによって身体動揺の測定機器としていた。しかし、重心動揺計は、安価なものでも100万円以上で、測定できる項目が多いと数百万円と高価である。
本発明によれば、重心動揺計より直接的に頭部動揺を測定でき、かつ数十万円の価格で実現できるため、コストパフォーマンスにすぐれている。
【0012】
本発明の動作分析装置において、距離検出部を用いて歩行時における偏倚を検出、解析、記録することができる。歩行検査装置としては、ビデオカメラによるデータを解析するものが実用化されているが、高価であり、カメラアングルの関係から検査に広い面積が必要である。
本発明においては、超音波送信機と受信機によってデータ収集を行う構成としたので、歩行に要する場所だけで検査できる。
【0013】
姿勢角検出用センサユニットと距離検出部で検出されるデータを統合することにより、回転と横移動の動きを検出することができ、歩行時のセンサ装着部位の運動を検出、解析、記録することができる。センサを頭部に装着することにより、歩行時の頭部の動揺を検出できる。センサを躯幹や、下肢、上肢など身体の各部に装着することにより、歩行時の身体各部の動揺や各部の動揺の相互関係を検出、解析することができる。中枢又は末梢の神経疾患に起因した歩行障害や運動障害の診断に寄与するところが大きい。
【0014】
本発明における姿勢角検出用センサユニットで検出されるデータを解析することによって、センサが装着されている部位の回転角速度、加速度、傾斜、方位に関する運動と位置情報の検出、解析、記録ができる。従って、サンプリングタイムの変更により密度の高いデータを得ることが可能であり、分布曲線、特性曲線に換算することで、運動時における身体の筋肉及び骨格に対するパワースペクトルを解析することを可能とした。
【0015】
本発明による動作分析装置の機能を用いて、現在、めまい・平衡検査として日常の臨床で行われている以下の検査が可能である。ただし、ここに記載した検査は例示であって、その他の実施できる検査を排除するものではない。
(1)頭部に本発明のセンサを装着することによって施行できる検査として、重心動揺検査、足踏み検査、Romberg検査、Mann検査、片足起立検査、斜面台検査などがある。
(2)手指や上肢に本発明のセンサを装着することによって施行できる検査として、指示検査、遮眼書字検査などがある。
【0016】
本発明による動作分析装置で得られた情報を映像化することによって、平衡障害や歩行障害などを有する障害者に自身の体動や偏倚を視覚的に呈示し、障害の状態や程度を理解させる。また、体動や偏倚の程度を実際より誇張して映像化するなど情報を加工することによって、障害の状態の理解を容易にする。障害の状態を十分理解する手段を提供することにより、障害のリハビリテーションを容易ならしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による動作分析装置は、被測定対象である被検者の回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサを備えた回転状態センサユニットと、前記被検者に向けて超音波を送信する送信機、この送信機の超音波を受信する受信機、前記送信機及び受信機を制御する制御回路により構成される距離検出部と、前記回転状態センサユニット及び前記距離検出部で検出したデータの演算処理、加工、記録を行う記憶部を備えた演算処理部と、演算処理された結果を表示する表示部と、前記回転状態センサユニットと前記演算処理部、前記演算処理部と前記表示部を有線または無線で接続する接続手段とを備えている。
【0018】
前記解析、記録、表示する手段は、回転状態センサユニットで検出されるデータと距離検出部で検出されるデータを統合して演算することにより、センサが設置された被検者の運動状態と位置を解析、記録、表示する。
【0019】
前記回転状態センサユニットによって検出される回転角速度、加速度、傾斜、方位の各データを統合して、被検者のセンサユニットの取り付け部位における回転、傾斜、方位に関する動きと位置情報を算出する回転状態演算手段及び前記回転状態に関する情報の記録、解析、表示の各手段を備える。
【0020】
前記回転状態センサユニットは、一例として、ジヤイロスロープ、加速度センサ、地磁気センサからなる。
【0021】
前記ジャイロスコープによって検出された回転角速度、加速度センサによって検出された加速度、地磁気センサによって検出された方位の各データと、これらの各データから別個に算出された結果を相互に補正することでセンサユニットが設置されている被検者の部位における動きを算出する回転状態演算手段を備える。
【0022】
前記距離検出部は、超音波信号の送信時と受信時の時間差、位相差、振幅差の少なくともひとつを利用して移動距離、移動速度、加速度を検出し、超音波受信機が設置された被測定対象の移動距離、移動時間、移動経路、移動時の動揺及び超音波受信機設置部位の位置を算出し、解析し、表示する各手段を備える。
【0023】
前記表示部は、得られた情報を映像化又は情報を加工して映像化する機構を有する。
【実施例1】
【0024】
以下、本発明による動作分析装置の実施例1を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明による動作分析装置を模式的に表現した俯瞰図である。
この動作分析装置は、姿勢角検出用センサユニットと位置検出用の超音波受信機を内蔵し、被測定対象である被検者10に固定的に取り付けられる測定ユニット11と、測定空間の天井に設置した超音波送信機を複数個内蔵した超音波送信機16と、各ユニットの制御、データ収集、演算、記録を行うパソコン13と、測定したデータや演算結果を表示する表示部14と、これらをケーブルなどの有線又は音波、電波などの無線で接続する接続手段12、15とで構成される。
図示例は、測定ユニット11を被検者10の腰部に固定した場合を示しているが、これは測定ユニット11の固定方法や位置を限定するものではなく、頭部、手先部、足先部など測定目的によって固定位置を変えることができる。
【0025】
図2に基づきさらに詳しく説明する。
前記測定ユニット11には、後述する公知の姿勢角検出用センサユニットと、本発明により新たに付加された距離検出用の超音波受信機とを内蔵している。また、この測定ユニット11は、ベルトなどの固定器具を用いて被検者10の腰部、頭部その他の体幹に固定される。
この測定ユニット11に接続手段12を介して結合されたハブユニット17には、前記超音波送信機16と測定ユニット11内蔵の超音波受信機とのための制御回路も内蔵しており、このハブユニット17に接続手段15を介して前記超音波送信機16が接続されている。そして、超音波送信機16、測定ユニット11内の距離検出用超音波受信機、ハブユニット17内の制御回路により距離検出部が構成されている。
前記ハブユニット17は、USBケーブル18を介してパソコン13のUSBインタフェース19に接続されている。このUSBインタフェース19は、デバイスドライバ20、演算処理部21に順次接続され、この演算処理部21は、記憶部22と表示部14に接続されている。
【0026】
前記測定ユニット11内の公知の姿勢角検出用センサユニットは、例えば、特願平10−23742号「姿勢角検出装置」に記載された3Dセンサを用いることができる。
これを図3及び図4に基づき詳細に説明する。
図3において、X軸、Y軸、Z軸は、基準座標系を表わし、x軸、y軸、z軸は、センサ座標系を表わしている。このセンサ座標系(x軸、y軸、z軸)には、それぞれこれら3軸のx軸、y軸、z軸の回りの角速度を検出するための第1のジャイロスコープ23、第2のジャイロスコープ24、第3のジャイロスコープ25が配置され、また、x軸、y軸の2軸には、それぞれヨー角を検出するための第1の地磁気センサ27と第2の地磁気センサ28が配置されるとともに、加速度検出用の第1の加速度センサ29と第2の加速度センサ30とが配置されている。
【0027】
つぎに、図4において、前記第1のジャイロスコープ23、第2のジャイロスコープ24、第3のジャイロスコープ25には、これらの出力から単位時間当たりの移動角度(運動角)を演算する運動角演算部26が接続され、また、第1の地磁気センサ27、第2の地磁気センサ28、第1の加速度センサ29、第2の加速度センサ30には、Φ(ヨー角)、R(ロール角)、P(ピッチ角)を求める静止角演算部31が接続されている。これら運動角演算部26と静止角演算部31は、それぞれの演算結果から出力すべき姿勢角を演算する姿勢角演算部32に接続され、出力端子33から出力する。
【0028】
以上のように構成された動作分析装置の作用を説明する。
被検者10が測定ユニット11を搭載して歩行動作をすると、測定ユニット11に内蔵された姿勢角検出用センサユニットで被検者10の体幹の姿勢角度を検出すると同時に、内蔵する距離検出用の超音波受信機により天井に設置された超音波送信機16からの信号を検出して歩行による移動を検出する。測定ユニット11で得られたデータは、接続手段12を経由してハブユニット17に送られ、さらにUSBケーブル18を経由してパソコン13のUSBインタフェース19に伝送される。
ハブユニット17は、超音波送信機16と測定ユニット11内蔵の超音波受信機との制御回路も内蔵しており、この制御回路もUSBケーブル18によりパソコン13に接続されている。超音波送信機16には、パソコン13から接続手段15を介して一定間隔で超音波信号を発信するように制御信号が送られている。このため、測定ユニット11内蔵の超音波受信機で受信した際の時間差、位相差、振幅差などが測定データとしてパソコン13に伝送される。
【0029】
USBインタフェース19からパソコン13に入力された測定データは、メモリ上に展開されたデバイスドライバ20に引き渡される。このデバイスドライバ20内では、まず、第1のジャイロスコープ23、第2のジャイロスコープ24、第3のジャイロスコープ25、第1の地磁気センサ27、第2の地磁気センサ28、第1の加速度センサ29、第2の加速度センサ30のオフセットやゲインの調整がおこなわれる。
次に、測定ユニット11からの姿勢角度データに対して座標変換行列を適用してオイラー角表現の3軸の角度が算出される。
【0030】
なお、図4における運動角演算部26では、第1のジャイロスコープ23、第2のジャイロスコープ24、第3のジャイロスコープ25の出力から単位時間当たりの移動角度(運動角)を演算する。また、第1の地磁気センサ27と第2の地磁気センサ28では、x軸、y軸上のそれぞれの地磁気分力を検出し、第1の加速度センサ29と第2の加速度センサ30では、x軸、y軸上のそれぞれ重力加速度のx、y成分分力を検出し、これらのx軸、y軸上の地磁気分力と重力加速度のx、y成分分力とから図4における静止角演算部31にて方位角(ヨー角γ)、傾斜角(ロール角αとピッチ角β)が演算される。
そして、運動角演算部26と静止角演算部31の出力から姿勢角演算部32にて3次元の姿勢角度が演算されて出力する。
【0031】
また、測定ユニット11内蔵の超音波受信機からのデータと超音波送信機16への制御信号を比較することで、歩行による移動距離を算出する。さらに各データ間での比較、補正が行われ、最終的に3次元空間上の位置データが求められる。この位置データは、一定の周期で演算処理部21のアプリケーションソフトウェアに渡される。演算処理部21のアプリケーションソフトウェア内では、渡された位置データを記憶部22に記録する。
【0032】
これらの演算処理を任意の時間内で繰り返して行うことにより時間軸を加味したダイナミックな4次元の歩行データが得られる。さらに、これらのデータを加工することで歩行の経路や、体幹の動揺などの各種のパラメータも同時に算出される。
以上の結果は、グラフや表などの形で表示部14に伝送されその画面上に表示される。
ここで用いられる姿勢角検出用センサユニットや距離検出用の超音波受信機は、小型、軽量であり、前記測定ユニット11内に組み合わせても、容積にして100cc以下、重量も100g以下となりに被検者10に対する装着時の負荷はほとんどない。
【0033】
前記実施例において、解析、記録、表示する手段では、回転状態センサユニットで検出されるデータと距離検出部で検出されるデータを統合して演算することにより、センサが設置された被検者10の運動状態と位置を解析、記録、表示する。
【0034】
前記実施例において、回転状態センサユニットによって検出される回転角速度、加速度、傾斜、方位の各データを統合して回転状態センサユニットが設置されている被検者10の部位における回転、傾斜、方位に関する動きと位置情報を算出する回転状態演算手段及び前記回転状態に関する情報の記録、解析、表示手段を備えている。
【0035】
前記実施例において、回転状態センサユニットは、一例として、ジヤイロスロープ、加速度センサ、地磁気センサからなるが、これに限定されない。
【0036】
前記実施例において、ジャイロスコープによって検出された回転角速度、加速度センサによって検出された加速度、地磁気センサによって検出された方位の各データから別個に算出された結果を相互に補正することでセンサユニットが設置されている被検者10の部位における動きを算出する回転状態演算手段を備えている。
【0037】
前記実施例において、距離検出部は、超音波信号の送信時と受信時の時間差、位相差、振幅差の少なくともひとつを利用して移動距離、移動速度、加速度を検出し、超音波受信機が設置された被測定対象の移動距離、移動時間、移動経路、移動時の動揺及び超音波受信機設置部位の位置を算出し、解析し、表示する各手段を備えている。
【0038】
前記実施例において、表示部は、得られた情報を映像化又は情報を加工して映像化する機構を有する。例えば、本発明による動作分析装置で得られた情報を映像化することによって、平衡障害や歩行障害などを有する障害者に自身の体動や偏倚を視覚的に呈示し、障害の状態や程度を理解させる。また、体動や偏倚の程度を実際より誇張して映像化するなど情報を加工することによって、障害の状態の理解を容易にする。
【0039】
前記実施例では、測定ユニット11内の姿勢角検出用センサユニットは、例えば、特願平10−23742号「姿勢角検出装置」に記載された公知の3Dセンサを用いたが、これに限られるものではなく、回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサを具備する一般的な姿勢角検出用センサユニットを用いることができる。
【0040】
前記実施例では、測定ユニット11とハブユニット17を接続する接続手段12と、ハブユニット17と超音波送信機16とを接続する接続手段15とを接続ケーブルなどの有線で接続した図示例としたが、これに限られるものではなく、電波、音波などの無線とすることもできる。
【0041】
前記実施例では、被測定対象が人体の場合を図示したが、これに限られるものではなく、稼動する物体であってもよい。例えば、洗濯機内で水流により稼動する洗濯物の動きを測定し、洗濯物の捩じれ・動き、洗濯物の疲労、洗濯効果などを判断することに利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による動作分析装置の使用例を示す斜視図である。
【図2】本発明による動作分析装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の動作分析装置に用いた公知の測定ユニット11の原理説明図である。
【図4】図3における測定ユニット11の内部回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
10…被検者、11…測定ユニット、12…接続手段、13…パソコン、14…表示部、15…接続手段、16…超音波送信機、17…ハブユニット、18…USBケーブル、19…USBインタフェース、20…デバイスドライバ、21…演算処理部、22…記憶部、23…第1のジャイロスコープ、24…第2のジャイロスコープ、25…第3のジャイロスコープ、26…運動角演算部、27…第1の地磁気センサ、28…第2の地磁気センサ、29…第1の加速度センサ、30…第2の加速度センサ、31…静止角演算部、32…姿勢角演算部、33…出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象の回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサを備えた回転状態センサユニットと、前記被測定対象に向けて超音波を送信する送信機、この送信機の超音波を受信する受信機、前記超音波送信機及び受信機を制御する制御回路により構成される距離検出部と、前記回転状態センサユニット及び前記距離検出部で検出したデータの演算処理、加工、記録を行う記憶部を備えた演算処理部と、演算処理された結果を表示する表示部と、前記回転状態センサユニットと前記演算処理部、前記演算処理部と前記表示部を有線または無線で接続する接続手段とを備えたことを特徴とする動作分析装置。
【請求項2】
回転状態センサユニットで検出されるデータと距離検出部で検出されるデータを統合して演算することにより、センサが設置された被測定対象の運動状態と位置を解析、記録、表示する手段を有することを特徴とする請求項1記載の動作分析装置。
【請求項3】
回転状態センサユニットによって検出される回転角速度、加速度、傾斜、方位の各データを統合して回転状態センサユニットが設置されている被測定対象の部位における回転、傾斜、方位に関する動きと、位置情報を算出する回転状態演算手段及び前記回転状態に関する情報の記録、解析、表示の各手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の動作分析装置。
【請求項4】
回転状態センサユニットがジヤイロスロープ、加速度センサ、地磁気センサからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の動作分析装置。
【請求項5】
ジャイロスコープによって検出された回転角速度、加速度センサによって検出された加速度、地磁気センサによって検出された方位の各データから別個に算出された結果を相互に補正することでセンサユニットが設置されている被測定対象の部位における動きを算出する回転状態演算手段を備えることを特徴とする請求項4記載の動作分析装置。
【請求項6】
距離検出部は、超音波信号の送信時と受信時の時間差、位相差、振幅差の少なくともひとつを利用して移動距離、移動速度、加速度を検出し、超音波受信機が設置された被測定対象の移動距離、移動時間、移動経路、移動時の動揺及び超音波受信機設置部位の位置を算出し、解析し、表示する各手段を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の動作分析装置。
【請求項7】
表示部は、得られた情報を映像化又は情報を加工して映像化する機構を有することを特徴とする1、2、3、4、5、6又は7記載の動作分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−55532(P2006−55532A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242882(P2004−242882)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(500216628)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【出願人】(592146900)永島医科器械株式会社 (5)
【Fターム(参考)】