説明

動力伝達機構及び破砕装置

【課題】変速機構または駆動機に過大な負荷がかかることを回避しながらも、装置の動力を遮断した場合に、動力伝達軸から動力被伝達軸へ動力の伝達が可能な動力伝達機構及び動力伝達機構により動力伝達される破砕装置を提供する。
【解決手段】出力軸37側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22が滑り、設定トルク未満になると摩擦プレート21と加圧プレート22が一体に回転して出力軸37に動力伝達されるように加圧プレート22を摩擦プレート21に圧接する加圧機構26と、加圧機構26による加圧プレート22と摩擦プレート21への圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧プレート22と摩擦プレート21に所定の押圧力81を付与する押圧機構80を備えたトルクリミッタ20が動力伝達機構に組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達機構及び破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、破砕装置は、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータの周囲に固定された回転刃と、破砕ロータの回転軸心に沿って対向配置された固定刃で構成された破砕処理部を備え、破砕処理部で電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を破砕するように構成されている。
【0003】
このような破砕装置では、破砕処理部の回転刃と固定刃で破砕できない硬さや大きさの異物が被破砕物に混入することがあり、そのような異物が破砕処理部に達した場合に、回転刃と固定刃が破損したり、駆動機から破砕ロータに動力を伝達する変速機構等の動力伝達機構や駆動機に過大な負荷がかかり、動力伝達機構や駆動機が破損する虞があった。
【0004】
そこで、破砕ロータから過大な負荷を動力伝達機構や駆動機に伝達しないように、破砕ロータと動力伝達機構を接続するカップリング部にトルクリミッタを設けることが考えられる。例えば、破砕ロータの回転軸の一端に備えた第一部材と、動力伝達機構の動力の出力軸に備えた第二部材を、複数のピンで接続したようなトルクリミッタが考えられる。
【0005】
当該トルクリミッタは、動力伝達機構の出力軸と、破砕ロータの回転軸との相対的な回転トルクの差がピンのせん断強度以上になると、前記ピンが破断し、動力伝達機構の出力軸から破砕ロータの回転軸に動力を伝達しないように構成される。
【0006】
このようなトルクリミッタを備えることで、被破砕物への異物の混入による回転刃と固定刃、動力伝達機構、駆動機等の破損を防ぐことができるが、復旧するには、第一部材と第二部材を新たなピンで接続しなおす作業を要し、煩雑である。
【0007】
また、特許文献1には、図15に示すように、駆動機の動力により所定軸心周りに回転する破砕ロータ90の周囲に固定された回転刃91、回転刃91と協働して被破砕物をせん断し破砕ロータ90の軸と平行な軸を回転中心として回転し得るように支持された固定刃92と、固定刃92を任意に設定した限界トルクが加わらない状態では固定刃92を固定支持し、且つ前記限界トルクが加わると受け刃を回転させるトルクリミッタ93を備え、回転刃91と固定刃92の間にこれらではせん断できない異物が挟まった場合は、固定刃92が回転し過大な負荷を逃がすことができる破砕装置が提案されている。
【0008】
トルクリミッタ93は、固定刃92と一体に固定されたクラッチ板94と、クラッチ板94と圧接されるクラッチ板95と、クラッチ板94,95を圧接する皿ばね96及び皿ばね96による圧接力を調整する調整ナット97で構成され、調整ナット97の締め具合により2枚のクラッチ板94,95が相対的に回転する限界トルクを調整できるように構成されている。
【0009】
前記限界トルクを被破砕物のせん断に必要な最大トルクとほぼ同じ程度の値に設定しておけば、回転刃91と固定刃92とで被破砕物をせん断している状態では、固定刃にかかる負荷がトルクリミッタ93の限界トルクを超えることはないので、固定刃の姿勢が崩されることはない。
【0010】
そして回転刃91と固定刃92とでせん断できない異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92にトルクリミッタ93の限界トルクを超える過大な負荷が加わるので、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がし、その際に駆動機を停止して破砕ロータの回転を停止し、回転刃91と固定刃92の破損を回避するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−79129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の特許文献1に記載のような破砕装置では、回転刃91と固定刃92とでせん断できない小さな異物がこれらの間に挟まった場合は、固定刃92は回転刃91に押されるように回転してその負荷を逃がすことができるが、回転した固定刃92を元の姿勢に復旧する作業が必要であり煩雑であった。
【0013】
また、大きな異物だと固定刃92が回転しても回転刃91と固定刃92の間に挟まったままの状態になる場合がある。その際、駆動機を停止しても破砕ロータは慣性でしばらく回り続けようとするため、破砕ロータの回転軸と駆動機との動力伝達機構や、駆動機そのものに過大な負荷がかかり、動力伝達機構や駆動機が破損する虞があった。
【0014】
そこで、本願出願人は、特願2009−84055号により、摩擦プレートと加圧プレートを所定の圧接力で圧接するトルクリミッタを介して、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると、動力伝達軸から動力被伝達軸への設定トルク以上の動力伝達を抑制し、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク未満になると動力伝達軸から動力被伝達軸に動力伝達する動力伝達機構を提案している。
【0015】
しかし、メンテナンス等のために、動力伝達機構に組み込まれる変速機の駆動機側の入力軸を手動回転させて、動力被伝達軸を回転させる必要がある場合に、安全のために駆動機の電源を遮断するとともに加圧機構の動力源を遮断すると、その後、加圧機構による加圧力が低下して、摩擦プレートと加圧プレートが滑って動力被伝達軸を回転させることができない場合があるという問題があった。
【0016】
本発明は、上述した問題点に鑑み、変速機構または駆動機に過大な負荷がかかることを回避しながらも、装置の動力を遮断した場合に、動力伝達軸から動力被伝達軸へ動力の伝達が可能な動力伝達機構及び動力伝達機構により動力伝達される破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、本発明による動力伝達機構の第一特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、駆動機からの動力を被動機に伝達する変速機構を備えた動力伝達機構であって、環状の摩擦プレートと加圧プレートが動力被伝達軸の軸心周りに配置され、動力伝達軸からの伝達動力により摩擦プレートと加圧プレートの何れか一方が回転駆動され、他方が両プレートの摩擦力で回転駆動されて動力被伝達軸に動力伝達するように配置され、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートが滑り、設定トルク未満になると摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるように加圧プレートを摩擦プレートに圧接する加圧機構と、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートへの圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧プレートと摩擦プレートに所定の押圧力を付与する押圧機構を備えたトルクリミッタが、変速機構または変速機構と被動機との間に組み込まれている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、トルクリミッタを変速機構または変速機構と被動機との間に組み込むことで、動力被伝達側の要求トルクが設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートが滑り、駆動機から被動機への設定トルク以上の動力伝達が回避され、動力被伝達側の要求トルクが設定トルク未満になると、摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるようになる。
【0019】
従って、異常な高負荷による変速機構や駆動機の破損を未然に回避できる。動力被伝達側の要求トルクが設定トルクより小さい場合は、摩擦プレートと加圧プレートが加圧機構により圧接され、駆動機の動力が被動機に伝達される。
【0020】
このように、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルクより大であるか小であるかのみに基づいて駆動機の動力の伝達または動力伝達の抑制を自動で切り替えることができ、煩雑な復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートの圧接力を変えることで、加圧プレートと摩擦プレートが滑るとき、つまり動力伝達を抑制するための設定トルクを簡便に調節できる。
【0021】
さらに、メンテナンス作業等で動力被伝達軸を回転させる必要がある場合に、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートの圧接力が解除された加圧解除状態でも、押圧機構により加圧プレートと摩擦プレートに所定の押圧力を付与され接触状態が維持されるため、動力伝達軸の回転を動力被伝達軸側に伝達させることができる。
【0022】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、押圧機構により加圧プレートと摩擦プレートに付与される所定の押圧力は、加圧機構による圧接力未満であって、加圧解除状態で動力伝達軸側の動力を動力被伝達軸側に伝達するのに必要な最小圧接力以上に設定されている点にある。
【0023】
上述の構成によれば、押圧機構により加圧プレートと摩擦プレートに付与される所定の押圧力は、加圧解除状態で動力伝達軸側の動力を動力被伝達軸側に伝達するのに必要な最小圧接力以上に設定されているため、比較的小さな力、例えば手動による動力伝達軸の回転力を動力被伝達軸側に確実に伝達させることができる。
【0024】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、駆動機からの動力が伝達される入力軸と、被動機へ動力を伝達する出力軸と、入力軸から出力軸へ動力を伝達するギア機構を備えた変速機構の出力軸に、出力段のギアが回転自在に設けられるとともに、摩擦プレートと加圧プレートが出力軸の軸心周りに配置され、出力段のギアから摩擦プレートまたは加圧プレートの何れか一方に第一係合部を介して動力伝達され、他方から出力軸と一体回転する支持部に第二係合部を介して動力伝達されるように配置され、加圧機構と押圧機構が支持部に設けられている点にある。
【0025】
上述の構成によれば、動力伝達軸側の動力は出力段のギアから摩擦プレートまたは加圧プレートに動力伝達され、加圧プレートまたは摩擦プレートから出力軸に動力伝達されるように配置され、加圧機構により加圧プレートと摩擦プレートが圧接された状態で、動力被伝達軸としての出力軸側の要求トルクが、出力段のギアを駆動するトルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートが滑るので、入力軸から出力軸へ動力を伝達する複数段のギア機構のギアに異常な負荷がかかり破損したり、駆動機の負荷が増大して駆動機を破損したりする虞を回避できる。
【0026】
さらに、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートの圧接が解除された状態で、押圧機構により加圧プレートと摩擦プレートに所定の押圧力を付与され接触状態が維持されるため、手動による動力伝達軸の回転を動力被伝達軸側に伝達させることができる。
【0027】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、加圧機構により加圧プレートと摩擦プレートを圧接する加圧部材と支持部の間に押圧機構が設けられ、押圧機構は、加圧機構による加圧部材への圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧部材に所定の押圧力を付与するように構成されている点にある。
【0028】
加圧機構による加圧部材への圧接力が解除された状態で、押圧機構により加圧部材に所定の押圧力が付与される。加圧機構と押圧機構の双方が、加圧部材という共通の部材を介して加圧プレートと摩擦プレートを加圧または押圧することができ、シンプルな構造を実現できる。
【0029】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第三または第四の特徴構成に加えて、押圧機構は、弾性体で構成されている点にある。
【0030】
上述の構成によれば、押圧機構は、弾性体で構成されているので、加圧プレート及び摩擦プレート等の寸法公差による押圧力のばらつきをある程度吸収することができ、加圧機構による圧接力未満であって、加圧解除状態で動力伝達軸側の動力を動力被伝達軸側に伝達するのに必要な最小圧接力以上という所定の押圧力を容易に得ることができる。
【0031】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第三から第五の何れかの特徴構成に加えて、押圧機構は、支持部に形成された位置保持部により支持部に対して相対的に位置が保持されている点にある。
【0032】
上述の構成によれば、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生した場合に、押圧機構が追従して円周方向に滑るような事態の発生を防止でき、押圧機構の押圧力の変動や故障の虞を低減することができる。
【0033】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第三から第六の何れかの特徴構成に加えて、押圧機構は、支持部に形成された開口から加圧機構に当接するように挿設され、開口の覆蓋により所定の押圧力を与えるように構成されている点にある。
【0034】
上述の構成によれば、押圧機構は、支持部に形成された開口から加圧機構に当接するように挿設され、開口の覆蓋により所定の押圧力を与えるように構成されているため、容易に押圧力の微調整ができるようになる。
【0035】
本発明による破砕装置の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項9に記載した通り、上述した第一から第七の何れかの特徴構成を備えた動力伝達機構が組み込まれ、駆動機からの動力が破砕ロータの回転軸に伝達されるように構成されている点にある。
【0036】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第三から第七の何れかの特徴構成に加えて、出力段のギア側面に形成された環状凹部に、複数枚の摩擦プレートと加圧プレートが交互に配置されるように収容され、摩擦プレートまたは加圧プレートの何れか一方の内周と環状凹部の側壁とが第一係合部で係合され、他方が支持部と第二係合部で係合されている点にある。
【0037】
出力段のギア側面に形成した環状凹部に、トルクリミッタを構成する摩擦プレートと加圧プレートを配置することができ、さらに、複数枚の摩擦プレートと加圧プレートを交互に配置することで、摩擦プレートと加圧プレートの圧接面を増やすことができ、加圧機構による比較的小さな圧接力でも、摩擦プレートと加圧プレートが滑りだす限界のトルクを大きくできる。一対の摩擦プレートと加圧プレートの圧接による限界のトルクと同じトルクを複数枚の小径の摩擦プレートと加圧プレートで発生することができるので、トルクリミッタをコンパクトに構成することができ、変速機構の小型化が図れる。
【0038】
上述の構成によれば、破砕装置の破砕ロータに異物が噛み込まれた場合であっても、それにより駆動機から伝達される動力以上の異常な高負荷が発生すると、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートが相対的に回転して、異常な高負荷により破砕ロータの刃や、駆動機、さらには、駆動機から破砕ロータへの動力伝達機構の破損を未然に回避しながらも、装置の動力を遮断した場合に、駆動機側の入力軸等から動力被伝達軸へ動力の伝達が可能になる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明した通り、本発明によれば、変速機構または駆動機に過大な負荷がかかることを回避しながらも、装置の動力を遮断した場合に、動力伝達軸から動力被伝達軸へ動力の伝達が可能な動力伝達機構及び動力伝達機構により動力伝達される破砕装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による破砕装置の概略図
【図2】本発明による破砕装置の側面図
【図3】本発明による破砕装置の平面図
【図4】本発明による動力伝達機構の平断面図
【図5】動力伝達機構の要部の説明図
【図6】本発明による動力伝達機構の外観図
【図7】作動油路及び冷却油路の説明図
【図8】(a)は通常時の制御部の説明図、(b)は振動センサが検知する振動の説明図
【図9】(a)はトルクリミッタによる動力の動力伝達の説明図、(b)はトルクリミッタによる伝達抑制の説明図
【図10】(a)は異物の噛み込みによる所定時間内の回転数の低下の説明図、(b)は負荷の高い被破砕物の噛み込みによる所定時間内の回転数の低下の説明図
【図11】加圧機構による動力伝達の説明図
【図12】押圧機構による動力伝達の説明図
【図13】(a)は押圧機構を組み込む手順の説明図、(b)は押圧機構を組み込んだ支持部の説明図
【図14】別実施形態による押圧機構の説明図
【図15】従来の破砕装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明による動力伝達機構、動力伝達制御装置、及び動力伝達機構により動力伝達される破砕装置の好ましい実施形態を説明する。
図1から図3に示すように、破砕装置1は、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を投入する受入ホッパ2と、受入ホッパ2に投入された被破砕物を破砕処理する破砕処理部10と、破砕処理部10に向けて水平方向から被破砕物を押圧する押込プッシャ3を備え、当該破砕装置1は、図示しない制御盤に備えられた制御部100によって駆動制御されている。
【0042】
押込プッシャ3は、油圧ポンプ(図示せず)からの圧油により伸縮作動する油圧シリンダのピストンに連結されたアーム3aが押込プッシャ3の後端に連結され、台盤4上を摺動かつ進退動自在に駆動される。
【0043】
破砕処理部10は、受入ホッパ2の下方に配置され、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ5の周面に周方向に形成された溝部に固定された先端V字状の回転刃6と、破砕ロータ5の回転軸5c方向に沿って対向配置され、回転刃6と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃7とで構成されている。
【0044】
破砕ロータ5の周部には所定のピッチで互いに平行な多数のV字状の溝5vが形成され、この溝5v内に形成された複数個の取付座6bの夫々に刃体6aがボルトで締着されている。それぞれの回転刃6は、隣り合う溝5vに設けられているもの同士がその頂点を連ねるとジグザグ状になるように配置されている。固定刃7は、先端V字状の刃体7aが破砕ロータ5の軸心方向に沿って台盤4の端部に設けられた取付座7bにボルトで締着されている。
【0045】
破砕処理部10の下部には、回転刃6と固定刃7により所定サイズ以下に破砕された被破砕物を選択的に通過させるスクリーン機構8と、スクリーン機構8を通過した被破砕物を受け止める排出ホッパ9が設けられている。
【0046】
スクリーン機構8は、回転刃6の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成され、多数の開口が形成されたパンチングメタルで構成され、破砕処理部10で破砕された被破砕物のうちスクリーン機構8の開口より小さく破砕された被破砕物が、前記開孔から落下して排出ホッパ9に収容され、前記開孔を通らなかったものは、再び回転刃6と固定刃7で破砕される。
【0047】
駆動機としての電動機Mは破砕装置1下部の架台に固定され、変速機構としての減速機構30は本体フレーム11の一側部11aに組み付けた支持体の一例としての取付架台12aに固定されている。電動機Mの出力軸に取り付けられたプーリ13と、減速機構30の入力軸31に取り付けられたプーリ15はVベルト14により連結され、電動機Mの動力は、減速機構30により所定の回転速度に変速されて出力軸37から出力され被動機としての破砕ロータ5の回転軸5cに伝達されるように構成されている。
【0048】
なお、電動機Mの出力軸と減速機構30の入力軸31を、プーリ13,15を介してVベルト14で連結せずに、カップリングで連結してもよい。
【0049】
図4に示すように、減速機構30は電動機Mからの動力が伝達される入力軸31と、破砕ロータ5へ動力を伝達する出力軸37と、入力軸31から出力軸37へ動力を伝達する複数段のギア機構と、トルクリミッタ20を備えて構成されて動力伝達機構となる。
【0050】
前記複数段のギア機構は、入力軸31の周面に形成された第一ギア32と、第一ギア32と噛合する第二ギア33と、第二ギア33に挿通された回転軸34と、回転軸34の周面に形成された第三ギア35と、第三ギア35と噛合する第四ギア36で構成されている。第四ギア36は、中央に開孔が形成され軸受38を介して出力軸37に嵌挿されている。
【0051】
入力軸31は、ケーシング39の内壁に固定された軸受40,41で支持され、回転軸34の両端は軸受42,43で支持され、出力軸37の両端は軸受44,45で支持されている。軸受45には出力軸37の振動を検知できる適当な位置に振動センサ101が設置されている。
【0052】
トルクリミッタ20は、両面に摩擦材が貼り付けられ、回転軸34からの伝達動力で回転する環状の摩擦プレート21と、摩擦プレート21との摩擦力で出力軸37に動力伝達する環状の加圧プレート22とが、出力軸37の軸心周りに配置され、出力軸37側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22が滑り、設定トルク未満になると摩擦プレート21と加圧プレート22が一体に回転して出力軸37に動力伝達されるように加圧プレート22を摩擦プレート21に圧接する加圧機構26を備えて構成されている。本実施形態では、回転軸34が動力伝達軸となり、出力軸37が動力被伝達軸となる。
【0053】
詳述すると、図5に示すように、出力段のギアである第四ギア36の一側面には複数枚の摩擦プレート21と加圧プレート22及び加圧プレートの支持部23を収容可能な環状凹部36aが形成され、支持部23は、複数の加圧プレート22と摩擦プレート21を交互に整列配置した状態で保持するストッパ25と、摩擦プレート21と加圧プレート22を出力軸37の軸心に平行な方向に圧接する加圧機構26を備えている。
【0054】
摩擦プレート21の内周側に形成された歯部21aと環状凹部の側壁に形成された溝部36bがスプライン結合され、摩擦プレート21が第四ギア36に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向には移動可能となっている。つまり、歯部21aと溝部36bにより第一係合部が構成されている。第一係合部はスプライン結合に限るものではなく、キー溝とキーが係合するキー構造であってもよい。
【0055】
加圧プレート22の外周側に形成された歯部22aと支持部23の側壁に形成された溝部23aとスプライン結合され、加圧プレート22が、支持部23に対して相対回転不可かつ出力軸37の軸心方向に移動可能となっている。つまり、歯部22aと溝部23aにより第二係合部が構成されている。第二係合部もスプライン結合に限るものではなく、キー溝とキーが係合するキー構造であってもよい。
【0056】
さらに、支持部23は、中央に出力軸37を挿嵌可能な開孔が形成され、出力軸37の周囲に形成された溝部37cと、支持部の内周に形成された溝部23cが噛み合い一体となって回転するように構成されている。
【0057】
加圧機構26は、支持部23に形成された環状のシリンダ部と、前記シリンダ部内に配置され出力軸37の軸心と平行な方向に移動可能に環状のピストン26aとピストン26aを軸心方向に作動する作動油を注入する油圧室26bとで構成されている。つまり、ピストン26aが加圧プレートと摩擦プレートを圧接する加圧部材となる。
【0058】
ピストン26aの周面には、周面に沿って溝が設けられ、当該溝にシール部材26c,26dが挿入されている。これらのシール部材26c,26dにより油圧室26bが油密保持されている。
【0059】
出力軸37は、中央に破砕ロータ5の回転軸5cを嵌装可能な円筒状に形成され、周部には加圧機構26の油圧室26bに作動油を供給する作動油路37aが軸心と平行な方向に沿って形成されている。トルクリミッタ20の外部から作動油路37aを経て油圧室26b内に作動油が供給され、ピストン26aを出力軸37の軸心と平行な方向に移動させることで加圧プレート22と摩擦プレート21を圧接することとなる。
【0060】
さらに出力軸37には、環状凹部36aの内側側壁と支持部23の間隙27から摩擦プレート21と加圧プレート22の接合部に冷却油を供給する冷却油路37bが形成されている。なお、供給された冷却油は摩擦プレート21と加圧プレート22の外周縁からケーシング39内に漏れるように構成されている。
【0061】
作動油及び冷却油は、それぞれケーシング39に備えた給油口37d,37eから供給される。出力軸37は、ケーシング39に対して相対回転するので、作動油路37a及び冷却油路37bに作動油及び冷却油を供給するために、出力軸37の全周に亘って給油溝37f,37gが形成してある。供給口37d,37eから供給された作動油及び冷却油は、それぞれ給油溝37f,37gから作動油路37a及び冷却油路37bに供給される。
【0062】
図7に示すように、冷却油はケーシング39内に溜まった冷却油をオイルポンプ60により循環させて供給される。作動油は油圧ポンプ52により押込プッシャ3の油圧シリンダ3bを進退作動させる圧油の供給配管51から分岐した供給配管47により供給される。作動油の供給配管47に減圧弁50を備え、加圧機構26に対する作動油の供給圧力を変更することで、加圧プレート22と摩擦プレート21の圧接力を簡単に変更できる。なお、供給配管47,51には図示しないリリーフ弁やシーケンス弁が適宜設けられている。
【0063】
ところで、破砕ロータ5の回転刃6の刃体6aを交換する場合には、破砕ロータ5を回転させる必要があるが、破砕ロータ5は重量物であるため、直接手動で回転させることは困難である。
【0064】
そこで、動力伝達軸である入力軸31を手動で回転させ、動力伝達機構内に備えられたギア機構を利用し、動力被伝達軸である出力軸37を回転させる、つまり、小さな力で破砕ロータ5を回転させることが考えられるが、このような交換作業中は安全のために押込プッシャ3の油圧シリンダ3bへの作動油の供給や、トルクリミッタ20への作動油の供給や、電動機Mへの電力の供給は停止されている。
【0065】
すると、トルクリミッタ20の加圧機構26は摩擦プレート21と加圧プレート22を所定の圧接力で加圧しない加圧解除状態となり、このような加圧解除状態では、入力軸31を回転させても摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生し、出力軸37が回転せずに破砕ロータ5を回転させることができないという問題があった。
【0066】
そこで、トルクリミッタ20は、図11,12に示すように、加圧機構26による加圧プレート22と摩擦プレート21への圧接力28が解除された加圧解除状態で、加圧プレート22と摩擦プレート21に所定の押圧力81を付与する押圧機構80を備えている。
【0067】
押圧機構80により加圧プレート22と摩擦プレート21に付与される所定の押圧力81は、加圧機構26による圧接力28未満であって、加圧解除状態で動力伝達軸31側の動力を動力被伝達軸37側に伝達するのに必要な最小圧接力以上に設定されている。駆動機側入力軸を手動で回転させたときに、入力軸にかかるトルクを被動機側出力軸に伝達可能な圧接力に設定されている。
【0068】
よって、加圧解除状態であっても摩擦プレート21と加圧プレート22は接触状態が維持され、適当な摩擦力が働いた状態となり、手動で減速機構30の入力軸31を回転させると、入力軸31の回転が出力軸37に伝達され、破砕ロータ5を容易に回転させることができるのである。
【0069】
具体的には、押圧機構80は、加圧機構26と支持部23の間であって、支持部23に形成された位置保持部23dにより支持部23に対して相対的に位置が保持され、加圧機構26のピストン26aを加圧プレート22及び摩擦プレート21側に押圧する弾性体で構成されている。なお、位置保持部は支持部に形成する場合に限らず、ピストンに形成してもよい。
【0070】
図13(a),(b)に基づいて、押圧機構80を支持部23内部に組み込む手順を説明する。なお、図13(a),(b)に示す、ボルト25a,押圧機構80以外の支持部23,摩擦プレート21,加圧プレート22等の各部材は、環状であるため紙面の都合上の要部の断面のみ示している。
【0071】
図13(a)に示すように、支持部23は、加圧機構26を構成する環状のピストン26aを配置するシリンダ部の底部に、押圧機構80の一部を嵌挿可能であって、支持部23と押圧機構80の相対的な位置を保持する位置保持部23dとしてのザグリが同心円上に複数個形成されている。
【0072】
まず、支持部23に形成された複数の位置保持部23dの夫々に押圧機構80を嵌挿し、その後、押圧機構80に当接するようにピストン26aを配置し、加圧プレート22及び摩擦プレート21を交互に所定枚数配置する。
【0073】
このとき、加圧プレート22の外周側に形成された歯部22aと支持部23の側壁に形成された溝部23aとスプライン結合され、加圧プレート22が、支持部23に対して相対回転不可となる。
【0074】
一方、摩擦プレート21は周方向に移動可能となっているが、後に、支持部23を出力軸37に嵌め込む際に、摩擦プレート21の内周部に形成された歯部21aと第四ギア36の環状凹部の側壁に形成された溝部36bとが円滑に結合できるように、図示しない位置決め用の治具を用いることで各摩擦プレート21の各歯部21aの周方向に対する位置を揃えながら組み立てる。
【0075】
図13(b)に示すように、支持部23に、加圧プレート22と摩擦プレート21を所定枚数配置した後に、ストッパ25をボルト25aによって支持部23に固定する。これにより、加圧プレート22及び摩擦プレート21には、押圧機構80により所定の押圧力81が生じた状態となる。この状態では、摩擦プレート21の歯部21aを周方向に相対的に回転させることが困難になり、第四ギア36の溝部36bとの結合が困難となるために、位置決め用の治具を用いるのである。
【0076】
押圧機構80は、例えば、コイル状の圧縮バネのような弾性体が好ましい。なお、弾性体は、コイル状の圧縮バネに限らず、皿バネ、板バネその他公知のバネであってもよいが、バネ定数が小さいものが好ましい。
【0077】
例えば、摩擦プレートと加圧プレートを夫々10枚ずつ交互に重ね合わせる場合、摩擦プレート21と加圧プレート22の寸法公差が±0.1mmであっても、合計20枚重ねたときには最大+2mm、最小−2mmと合計4mmの誤差が生じる可能性がある。
【0078】
このような場合でも、押圧機構80を圧縮バネのような弾性体により構成することにより、摩擦プレートと加圧プレートの寸法公差によらず、加圧機構26による圧接力未満であって、加圧解除状態で動力伝達軸31側の動力を動力被伝達軸37側に伝達するのに必要な最小圧接力以上という所定の押圧力を達成し易いからである。
【0079】
なお、上述の実施形態では、支持部23のシリンダ部の底部に押圧機構80の一部を嵌挿可能であって、支持部23と押圧機構80の相対的な位置を保持する位置保持部23dとしてのザグリを形成し、まず、支持部23に押圧機構80を嵌挿した後、加圧機構26を構成するピストン26aを配置する構成について説明したが、このような構成によれば、上述した位置決め用の治具を用いた手間のかかる組み立て作業が要求される。
【0080】
そこで、図14に示すように、開口23eが形成された支持部23に、ピストン26a、複数の加圧プレート22及び摩擦プレート21を順に配置し、ストッパ25を固定した後に、開口23eから押圧機構80を嵌挿し、覆蓋23fをボルト23gで固定するように構成してもよい。
【0081】
この場合、支持部23に加圧プレート22と摩擦プレート21を組み込み、ストッパ25を固定した段階では、加圧プレート22及び摩擦プレート21には押圧力が働いていないため、摩擦プレート21の歯部21aは周方向に容易に移動させることができる。
【0082】
この状態で、支持部23を出力軸37に嵌め込み、第四ギア36の環状凹部の側壁に形成された溝部36bと摩擦プレート21の歯部21aとを結合させ、その後に、開口23eから押圧機構80を嵌挿して覆蓋23fをボルト23gで固定する。
【0083】
このように構成すれば、位置決め用の治具を用いる必要が無く、押圧機構が組み込まれたトルクリミッタの組立作業を極めて円滑に進めることができる。
【0084】
さらに、支持部23に加圧プレート22及び摩擦プレート21を組み込んだ後でも、覆蓋23fと押圧機構80の間にシムを挟む等により、押圧力81の微調整が簡単にできる。
【0085】
また、このように構成すれば、支持部23に形成された開口23eにより押圧機構80の位置保持機能が実現でき、安定的に押圧機構80を位置保持できる。
【0086】
なお、図13では、覆蓋23fのうち、押圧機構80と接当する部位に突部を形成して、その突出量を調整可能に構成しているが、上述の製作誤差を吸収可能な適切なバネがあれば、突部を設けたり、シムを挟む必要はない。
【0087】
上述の実施形態では、押圧機構を構成する弾性体がバネである場合について説明したが、弾性体はバネに限らず、エラストマや樹脂等であってもよい。この場合も、摩擦プレートや加圧プレート等の寸法公差を考慮して適当な弾性率のものを採用すればよい。
【0088】
押圧機構は、弾性体で構成されるものに限らず、剛体で構成されるものであってもよい。例えば、ピストン26aを機械的に加圧して摩擦プレートと加圧プレートを押圧するボルト等を支持部23の内壁に螺合してもよいし、位置保持部23dとしてのザグリに柱状の剛体を嵌め込むようにしてもよい。
【0089】
また、押圧機構を、バッテリ等により駆動される別系統の油圧機構で構成し、別系統の油圧機構から供給される圧油でピストン26aを加圧して、摩擦プレートと加圧プレートを加圧機構による圧接力未満且つ前記最小圧接力以上に圧接するように構成してもよい。
【0090】
さらには、上述した押圧機構を、加圧プレート22と摩擦プレート21を加圧するピストン26aと、ピストン26aに対向するプレートの間に設けてもよい。例えば、ピストン26aの加圧面にザグリを形成して、ザグリにバネが保持され、バネによりプレートを押圧する押圧機構を構成することも可能である。
【0091】
ケーシング39は、図6に示すように、上縁部39aと下縁部39bが中心線CLに対して対称で、且つ、一端側39cから他端側39dに間隔が次第に狭まるように形成され、当該中心線CL上に入力段の第一ギア32の軸心、つまり入力軸31の軸心と、回転軸34の軸心と、出力段の第四ギア36の軸心、つまり出力軸37の軸心が位置する形状で構成されている。
【0092】
ケーシング39の一端側39c及び他端側39dが、外方に向けた凸状の曲面で上縁部39a及び下縁部39bの端部より内側に連なるように形成され、上縁部39a及び下縁部39bの端部近傍に、当該減速機構30を取付架台12aに取り付ける取付部46が形成され、当該取付部46にボルト孔が形成されている。
【0093】
図7に示すように、ケーシング39の外部にはオイルポンプ60が備えられ、オイルポンプ60によりケーシング39内に漏れて溜まった冷却油をケーシング39側面に形成した排出口から吸込み、給油配管48を介して給油口37eへと循環供給して、摩擦プレート21と加圧プレート22の冷却をするように構成されている。
【0094】
オイルポンプは必ずしもケーシング39に固設する必要はないが、動力コストの低減の観点から入力軸31の回転を動力源とするトロコイドポンプや、プランジャポンプが好ましい。
【0095】
トロコイドポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたインナーギアと、アウターロータの内部で回転させることで吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよく、プランジャポンプを採用する場合は、入力軸31に固定されたカムとケーシング39との相対回転により、吸入と吐出の工程を繰り返すように構成すればよい。何れにせよケーシング39内に溜まった油を冷却油として冷却油路37bに循環させて、摩擦プレート21と加圧プレート22の接合部に供給できればよい。
【0096】
なお、ケーシング39内の油の排出口はケーシング39側面の適当な位置に設ければよく、吸込口から冷却油路37bまでの給油配管48にはフィルタ、冷却機、逆止弁等を適宜備えて構成すればよく、オイルポンプ60の動力源も入力軸31に限らず、回転軸34や、出力軸37であってもよい。なお、冷却油はギア機構の潤滑油としても利用される。さらにケーシング39にオーバーフロー配管49を備え、内部に溜まった冷却油を所定の液位で排出するように構成することが好ましい。
【0097】
破砕ロータ5の回転軸5cの一端側が、減速機構30の出力軸37に嵌装され、他端側が本体フレーム11の他側部に組み付けた取付架台12bに装着された軸受16で支持されている。軸受16には破砕ロータ5の回転軸5cの振動を検知できる適切な位置に振動センサ102が設置されている。
【0098】
このように、減速機構30を取付架台12aに固定することにより、減速機構30用の支持体を別途備える必要がなくなり設置スペースが小さくなり、且つ、減速機構30の出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの位置出しが容易に行なえるようになる。しかも、出力軸37に破砕ロータ5の回転軸5cの一端側を嵌装して、当該回転軸5cを減速機構30の軸受45で支持できるので、軸受の個数を減らすことで部品点数の低減が図れる。
【0099】
減速機構30は中心線CLに対して上縁部39a側と下縁部39b側が対称の形状であるので、中心線CL周りに180度回転させ、上縁部39aを底面とし取付架台12aに取り付けることができるため、本体フレーム11の何れの側部にでも設けることができる。
【0100】
出力軸37は、破砕ロータ5の回転軸5cを嵌入支持する中空軸で構成され、出力軸37の中空部に形成されたキー溝37hと回転軸5cの端部に形成されたキー溝とがキー連結されるように構成されている。
【0101】
前記制御盤には、図8(a)に示すように、制御部100が備えられている。制御部100には、起動スイッチS1と停止スイッチS2から入力される信号に基づいて、電動機Mを起動停止したり、供給配管47,51に作動油を供給する油圧ポンプ52を起動停止したり、油圧シリンダ3b内に備えた前進スイッチS3,後退スイッチS4の入力に基づいて、方向切換弁53を制御し押込プッシャ3の前進後退を制御するように構成されている。
【0102】
制御部100には、フィルタ部103からの信号が入力される。フィルタ部103は、振動センサ101,102で検知した出力軸37及び破砕ロータ5の回転軸5cの振動から高周波成分のみを取り出す微分フィルタで構成されている。振動センサ101,102の出力信号は、フィルタ部103へと入力される。フィルタ部103は、図8(b)に示すように、振動センサ101,102からの出力から高周波成分55を取り出して制御部100へと出力する。本実施形態では、振動センサ101,102及びフィルタ部103が状態検知部となる。
【0103】
制御部100は、フィルタ部103が取り出した高周波成分が予め設定した所定の閾値を超えたときに、トルクリミッタ20が作動したと判断するように構成されている。
【0104】
回転刃6と固定刃7が異物を噛み込むことによって発生するトルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートの滑りは、例えば数十ミリ秒という一瞬であり、異物の噛み込み状態が解消するとトルクリミッタは動力伝達状態に自動復帰する。しかし、大きな異物であったり複数の異物が存在すると、異物が何度も噛み込まれて回転刃6と固定刃7を破損する虞がある。
【0105】
また、回転刃6と固定刃7の間に異物が噛み込まれた一瞬に動力被伝達側の要求トルクが設定トルク以上となるが、その後、回転刃と固定刃の間に異物を噛み込んだ状態で破砕ロータの回転が停止するような場合であっても、動力被伝達側の要求トルクが設定トルク未満になると、トルクリミッタが動力伝達状態に自動復帰して、駆動機や変速機構が破損する虞もある。
【0106】
このような場合でも、制御部100は、トルクリミッタ20の作動を検知する状態検知部からの信号に基づいて、トルクリミッタ20が作動したと判断すると、電動機Mを停止するので、破砕ロータ5への動力の供給が停止され、回転刃6と固定刃7の破損を防止できるのである。
【0107】
なお、制御部100は、トルクリミッタ20が作動したと判断する度に、電動機Mを停止する必要はない。硬い異物であっても回転刃6と固定刃7で破砕できたり、小さい異物であれば回転刃6と固定刃7の間隙を通過してスクリーン機構8へ落下するので、所定時間内でのトルクリミッタの作動回数が設定回数を超えると電動機Mを停止するように制御してもよい。例えば、5秒間に5回以上トルクリミッタ20が作動したと判断すると、電動機Mを停止するのである。
【0108】
図7に示すように、冷却油はケーシング39内に溜まった冷却油をオイルポンプ60により循環させて供給される。作動油は油圧ポンプ52により押込プッシャ3の油圧シリンダ3bを進退作動させる圧油の供給配管51から分岐させて供給すればよい。
【0109】
作動油の供給配管47に減圧弁50を備え、加圧機構26に対する作動油の供給圧力を変更することで、加圧プレート22と摩擦プレート21の圧接力を簡単に変更できる。なお、供給配管47,51には図示しないリリーフ弁やシーケンス弁が適宜設けられている。
【0110】
図7,図8(a),図9(a)に基づいて破砕装置1の動作を説明する。制御盤に備えられた起動スイッチS1が押圧されると、制御部100は、トルクリミッタ20の加圧機構26へ作動油を供給するため油圧ポンプ52を起動し、破砕ロータ5を回転させるため電動機Mを起動する。なお、停止スイッチS2が押圧されると、方向切換弁53を制御して押込プッシャ3を後退位置まで移動させ、電動機Mを停止し、トルクリミッタ20の加圧機構26への作動油の供給を停止する。
【0111】
制御部100は、油圧ポンプ52が起動すると供給配管51に作動油が供給され押込プッシャ3が作動する。油圧シリンダ3b内に備えられた前進リミットスイッチS3及び後退リミットスイッチS4が押されると方向切換弁53が制御され、油圧シリンダ3bの作動方向が切り換わる。
【0112】
電動機Mの動力は減速機構30の入力軸31に入力され、ギア機構を介して出力段の第四ギア36,摩擦プレート21に伝達され、加圧機構26により摩擦プレート21に所定の圧力で圧接された加圧プレート22に伝達され、出力軸37から出力され、破砕ロータ5が回転する。
【0113】
破砕処理部10に、回転刃6と固定刃7が破砕できない硬さや大きさの異物を噛み込んだときは、図9(b)に示すように、破砕ロータ5を回転させるのに必要なトルクが瞬間的に増大し、第四ギア36を回転させるトルクより大きくなることがある。
【0114】
このように、出力軸37の要求トルクが、電動機Mの出力トルクより大きな値に設定されているトルクリミッタの設定トルク以上になると、摩擦プレート21と加圧プレート22に滑りが発生する。このように、出力軸37の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレート21と加圧プレート22が相対的に滑り、減速機構30の各ギアの破損を回避することができる。
【0115】
設定トルクは、破砕処理部10への異物の噛み込み時に過渡的に発生する衝撃力に対応する値に設定され、例えば、電動機Mの出力トルクの3〜4倍のトルクに設定される。
【0116】
破砕処理部10への異物の噛み込み状態が継続すると、過渡的に発生した衝撃力より低いトルクに低下するので、摩擦プレート21と加圧プレート22の滑り状態が解消され、摩擦プレート21と加圧プレート22が焼きつくような事態が回避される。
【0117】
制御部100は、フィルタ部103が検知する振動センサ101,102の振動が予め設定した所定の閾値を超えたことを検知すると、トルクリミッタ20が作動したと判断し、押込プッシャ3に組み込まれた油圧シリンダ3bへの作動油の供給及び電動機Mを停止する。
【0118】
仮に、回転刃6や固定刃7が噛み込まれて破砕ロータ5の回転が停止した場合に、出力軸37の要求トルクがトルクリミッタの設定トルク未満となり、摩擦プレート21と加圧プレート22の滑りが生じない状態となっても、制御部100により電動機Mが停止されるので、その後の回転刃6や固定刃7の破損、電動機Mや減速機構30の各ギアの破損を回避することができる。
【0119】
以上のように、トルクリミッタを変速機構または変速機構と被動機との間に組み込むことで、動力被伝達側を回転させるのに必要なトルクが設定トルク以上の場合は、摩擦プレートと加圧プレートが滑り、駆動機からの設定トルク以上の動力を被動機に伝達することを抑制できる。
【0120】
このように、動力被伝達軸側の要求トルクの設定トルクに対する大小のみで駆
動機の動力の伝達抑制と伝達を自動で切り替えることができるので、復旧作業が不要となる。さらに、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートの圧接力を変えることで、加圧プレートと摩擦プレートが滑るときの設定トルクを簡便に調節することができるのである。
【0121】
なお、振動センサは、変速機構である減速機構30の出力軸または当該出力軸と連結された被動機の回転軸の振動を検知できればよく、減速機構30の出力軸37の何れか一方の軸受部や、減速機構30の出力軸近傍に取り付けることも可能である。
【0122】
上述の実施形態では、振動センサとフィルタ部で構成された状態検知部と、フィルタ部の出力が所定の閾値を超えたときにトルクリミッタが作動したと判断する制御部を備えた制御装置を説明したが、本発明は、状態検知部に振動センサを用いるものに限定されるものではない。
【0123】
例えば、変速機構の出力軸または当該出力軸と連結された被動機の回転軸に取り付けたトルクセンサ(歪ゲージ式)と、トルクセンサの出力から高周波成分を取り出すフィルタ部(微分フィルタ)により状態検知部を構成してもよい。この場合も、制御部は、フィルタ部の出力が所定の閾値を超えたときにトルクリミッタが作動したと判断する。
【0124】
また、変速機構の入力軸及び出力軸の回転数を検知するエンコーダで状態検知部を構成してもよい。制御部は、エンコーダの出力に基づいて、所定時間内の入力軸及び出力軸の回転数の比が所定の閾値を超えたときに、トルクリミッタが作動したと判断する。
【0125】
例えば、エンコーダにより検知される、所定時間内の入力軸の回転数Na(rpm)と、出力軸の回転数Nb(rpm)は、トルクリミッタの摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生していないのであれば、同じ値を示す。しかし、回転刃と固定刃が異物を噛み込んだ場合は入力軸と回転数Na(rpm)と出力軸の回転数Nb(rpm)が僅かにずれたり回転ムラが生じる。制御部は、所定時間内の入力軸及び出力軸の回転数の比Na/Nbまたは差(Na―Nb)の絶対値が所定の閾値を超えたときに、トルクリミッタが作動したと判断する。
【0126】
さらに、変速機構の出力軸の回転数を検知するエンコーダで状態検知部を構成してもよい。制御部は、エンコーダの出力に基づいて、所定時間内で出力軸の回転数の低下率が所定の閾値を超えたときに、トルクリミッタが作動したと判断する。
【0127】
例えば、回転刃と固定刃が異物を噛み込んだ場合は、瞬間的に被動機側の動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になりトルクリミッタが作動する。このときエンコーダの出力は、図10(a)に示すように、所定時間t(sec)で出力軸の回転数がNc(rpm)低下する。このときの回転数の低下率Nc/tが予め設定した所定の閾値を超えるようであれば、トルクリミッタが作動したと判断する。
【0128】
しかし、雑誌の束のように破砕に対する負荷の高い被破砕物の場合は、図10(b)に示すように、所定時間t(sec)で出力軸の回転数がNd(rpm)低下するものの、被動機側の動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上にはならず、トルクリミッタは作動しない。
【0129】
このように、エンコーダの出力に基づいて、所定時間内で出力軸の回転数の低下率が所定の閾値を越えるような場合は、異物の噛み込みによる出力軸の回転数の低下と判断でき、トルクリミッタが作動したことを確実に検出できるのである。
【0130】
エンコーダの具体的な構成は特に制限されるものではなく、軸端部に取り付けたギアと、ギアの歯を検知するレーザセンサで構成するものや、軸端部に取り付けたギアと、ギアの歯を検知する電磁式ピックアップセンサで構成するもの等、回転軸の回転をパルス信号に変換して検知するものであればよい。
【0131】
上述した何れの状態検知部を用いる場合であっても、制御部は、トルクリミッタの作動を検出して電動モータMを停止するように制御するだけでなく、回転刃と固定刃の間に異物を噛み込んだ状態で破砕ロータの回転が停止したことを検知して、電動モータMを停止するように制御してもよい。
【0132】
振動センサやトルクセンサを用いる場合には、センサ出力の下限閾値を適切に設定して、制御部が、センサ出力が下限閾値以下となる場合に破砕ロータの回転が停止したと判断すればよい。
【0133】
エンコーダを用いる場合にも、制御部が、センサ出力が下限閾値以下となる場合、あるいは、入力軸または出力軸の回転が停止したことを検知して破砕ロータの回転が停止したと判断すればよい。
【0134】
さらに、制御部による破砕ロータの回転停止判断は、トルクリミッタの作動を検出した後の所定時間内(例えば数秒間)に行なわれることが好ましい。
【0135】
異物の噛み込みにより破砕ロータが回転停止して、その後動力被伝達側の要求トルクが設定トルク未満になり、トルクリミッタが動力伝達状態に自動復帰するような場合であっても、電動モータMや減速機構30の破損を確実に回避することができるようになる。
【0136】
上述した実施形態では、第四ギア36と出力軸37の間の軸受38について詳述しなかったが、破砕ロータ5に異物が噛み込む等により、トルクリミッタ20の摩擦プレート21と加圧プレート22の間に相対的な回転が生じると、第四ギア36と出力軸37も相対的に回転することになるため、価格と耐久性の観点から適当な滑り軸受や転がり軸受が採用される。例えば、固体潤滑剤分散型焼結複層軸受を好適に用いることができる。
【0137】
上述の実施形態では、第一ギア32及び第三ギア35は回転軸の周部に歯が形成された構成であるが、夫々の回転軸に挿通されるものであってもよい。なお、減速機構30が備えるギア数はこれに限らない。
【0138】
上述した実施形態では、出力軸側に備えられた加圧プレートを、出力段のギア側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから摩擦プレートに動力伝達され、加圧プレートから出力軸に動力伝達される構成を説明したが、出力段のギア側に備えられた加圧プレートを、出力軸側に備えられ、両面に摩擦材が貼り付けられた摩擦プレートに、加圧機構により圧接することで、出力段のギアから加圧プレートに動力伝達され、摩擦プレートから出力軸に動力伝達されるように構成してもよい。
【0139】
つまり、トルクリミッタは、環状の摩擦プレートと加圧プレートが動力被伝達軸の軸心周りに配置され、動力伝達軸からの伝達動力により摩擦プレートと加圧プレートの何れか一方が回転駆動され、他方が両プレートの摩擦力で回転駆動されて動力被伝達軸に動力伝達するように配置され、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートが滑り、設定トルク未満になると摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるように加圧プレートを摩擦プレートに圧接する加圧機構と、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートへの圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧プレートと摩擦プレートに所定の押圧力を付与する押圧機構を備えた構成であればよい。
【0140】
何れにせよ、破砕ロータの動力が設定トルク以上になると、摩擦プレートと加圧プレートに滑りが発生し、駆動機からの設定トルク以上の動力を破砕ロータに伝達することを抑制できる。これにより、変速機構のギアに異常な負荷がかかり破損する虞を回避できる。
【0141】
上述した実施形態では、減速機構30の内部にトルクリミッタ20を組み込む場合について説明したが、トルクリミッタ20を減速機構30の外部であって、出力軸37と破砕ロータ5の回転軸5cの間に備えて構成してもよく、さらに、変速機構として減速機構を例に説明したが、本発明の変速機構は増速機構にも適用可能である。
【0142】
上述した実施形態では、トルクリミッタ20がいわゆる湿式の多板式のトルクリミッタである場合について説明したが、摩擦プレートと加圧プレートの枚数は、電動機、変速機構、破砕ロータ等に応じて適宜選択される。また、その場合必ずしも複数枚用いる必要はなく単数枚でもよい。さらに、トルクリミッタは乾式のトルクリミッタでもよく、摩擦プレートと加圧プレートの圧接力は空気圧や、バネの伸縮力等により調節できる。
【0143】
上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0144】
1:破砕装置
2:受入ホッパ
3:押込プッシャ
3a:アーム
3b:油圧シリンダ
4:台盤
5:被動機(破砕ロータ)
5c:回転軸
5v:溝
6:回転刃
6a:刃体
6b:取付座
7:固定刃
7a:刃体
7b:取付座
8:スクリーン機構
9:排出ホッパ
10:破砕処理部
11:本体フレーム
11a:一側部
12a:支持体(取付架台)
12b:支持体(取付架台)
13:プーリ
14:Vベルト
15:プーリ
16:軸受
20:トルクリミッタ
21:摩擦プレート
21a:歯部
22:加圧プレート
22a:歯部
23:支持部
23a:溝部
23c:溝部
23d:位置保持部
23e:開口
23f:覆蓋
23g:ボルト
25:ストッパ
25a:ボルト
26:加圧機構
26a:ピストン
26b:油圧室
26c:シール部材
26d:シール部材
27:間隙
28:圧接力
30:変速機構(減速機構)
31:入力軸
32:ギア機構(第一ギア)
33:ギア機構(第二ギア)
34:回転軸(動力伝達軸)
35:ギア機構(第三ギア)
36:ギア機構(第四ギア)
36a:環状凹部
36b:溝部
37:動力被伝達軸(出力軸)
37a:作動油路
37b:冷却油路
37c:溝部
37d:給油口
37e:給油口
37f:給油溝
37g:給油溝
37h:キー溝
38:軸受
39:ケーシング
39a:上縁部
39b:下縁部
39c:一端側
39d:他端側
40:軸受
41:軸受
42:軸受
43:軸受
44:軸受
45:軸受
46:取付部
47:供給配管
48:給油配管
49:オーバーフロー配管
50:減圧弁
51:供給配管
52:油圧ポンプ
53:方向切換弁:
55:高周波成分
60:オイルポンプ
80:押圧機構
81:押圧力
90:破砕ロータ
91:回転刃
92:固定刃
93:トルクリミッタ
94:クラッチ板
95:クラッチ板
96:皿ばね
97:調整ナット
100:制御部
101:振動センサ
102:振動センサ
103:フィルタ部
M:駆動機(電動機)
CL:中心線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機からの動力を被動機に伝達する変速機構を備えた動力伝達機構であって、
環状の摩擦プレートと加圧プレートが動力被伝達軸の軸心周りに配置され、動力伝達軸からの伝達動力により摩擦プレートと加圧プレートの何れか一方が回転駆動され、他方が両プレートの摩擦力で回転駆動されて動力被伝達軸に動力伝達するように配置され、動力被伝達軸側の要求トルクが設定トルク以上になると摩擦プレートと加圧プレートが滑り、設定トルク未満になると摩擦プレートと加圧プレートが一体に回転して動力被伝達軸に動力伝達されるように加圧プレートを摩擦プレートに圧接する加圧機構と、加圧機構による加圧プレートと摩擦プレートへの圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧プレートと摩擦プレートに所定の押圧力を付与する押圧機構を備えたトルクリミッタが、変速機構または変速機構と被動機との間に組み込まれている動力伝達機構。
【請求項2】
押圧機構により加圧プレートと摩擦プレートに付与される所定の押圧力は、加圧機構による圧接力未満であって、加圧解除状態で動力伝達軸側の動力を動力被伝達軸側に伝達するのに必要な最小圧接力以上に設定されている請求項1記載の動力伝達機構。
【請求項3】
駆動機からの動力が伝達される入力軸と、被動機へ動力を伝達する出力軸と、入力軸から出力軸へ動力を伝達するギア機構を備えた変速機構の出力軸に、出力段のギアが回転自在に設けられるとともに、摩擦プレートと加圧プレートが出力軸の軸心周りに配置され、出力段のギアから摩擦プレートまたは加圧プレートの何れか一方に第一係合部を介して動力伝達され、他方から出力軸と一体回転する支持部に第二係合部を介して動力伝達されるように配置され、加圧機構と押圧機構が支持部に設けられている請求項1または2記載の動力伝達機構。
【請求項4】
加圧機構により加圧プレートと摩擦プレートを圧接する加圧部材と支持部の間に押圧機構が設けられ、押圧機構は、加圧機構による加圧部材への圧接力が解除された加圧解除状態で、加圧部材に所定の押圧力を付与するように構成されている請求項3記載の動力伝達機構。
【請求項5】
押圧機構は、弾性体で構成されている請求項3または4記載の動力伝達機構。
【請求項6】
押圧機構は、支持部に形成された位置保持部により支持部に対して相対的に位置が保持されている請求項3から5の何れかに記載の動力伝達機構。
【請求項7】
押圧機構は、支持部に形成された開口から加圧機構に当接するように嵌挿され、開口の覆蓋により所定の押圧力を与えるように構成されている請求項3から6の何れかに記載の動力伝達機構。
【請求項8】
出力段のギア側面に形成された環状凹部に、複数枚の摩擦プレートと加圧プレートが交互に配置されるように収容され、摩擦プレートまたは加圧プレートの何れか一方の内周と環状凹部の側壁とが第一係合部で係合され、他方が支持部と第二係合部で係合されている請求項3から7の何れかに記載の動力伝達機構。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載の動力伝達機構が組み込まれ、駆動機からの動力が破砕ロータの回転軸に伝達されるように構成されている破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−270869(P2010−270869A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124757(P2009−124757)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】