説明

動画記録装置、および動画記録再生装置

【課題】サムネイル表示の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮する動画ファイルを生成する動画記録装置、および動画記録再生装置を得ること。
【解決手段】JPEG符号化部12は映像信号処理部10によって生成されたデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してサムネイル画像データを生成し、MPEG4符号化部13はデジタル映像信号にMPEG4符号化処理を施して映像ストリームデータを生成し、オーディオ符号化部14は音声入力部11によって生成されたデジタル音声信号にオーディオ符号化処理を施して音声ストリームデータを生成する。ファイル生成部15は、制御部5からサムネイル画像作成指示があった場合、所定の動画ファイルフォーマットに従って、映像ストリームおよび音声ストリームデータを設定するとともに、サムネイル画像データ領域を作成してサムネイル画像データを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サムネイル機能を有する動画記録装置、および動画記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラなど、CCD(Charge Coupled Device)によって捉えた画像や動画をデジタルデータに変換してフラッシュメモリなどの記録媒体に所定のファイルフォーマットの動画ファイルとして記録する動画記録装置や、映像の記録とともに、記録した動画ファイルを再生する動画記録再生装置が普及している。
【0003】
また、動画記録装置の普及にともなって、動画記録再生装置によって記録された動画ファイルを再生する機能を備えたパーソナルコンピュータやテレビなども普及している。
動画記録装置は、映像を動画ファイルとして記録するが、映像のデータをそのまま記録することは、データ量から考えると現実的ではない。そのため、映像のデータに符号化処理を施してデータを圧縮して記録媒体に記録するようにしている。また、記録媒体に記録するファイルフォーマットも、パーソナルコンピュータや携帯端末、テレビ、動画ビューワーなどと互換性のあるフォーマットを採用するようにしている。
【0004】
一般的に用いられるデータ圧縮に関する従来技術として、たとえば、非特許文献1および2がある。非特許文献1には、MPEG(Moving Picture coding Experts Group)−4における視聴覚情報と音響情報の多重化/組立てに関する技術が開示されている。また、非特許文献2には、MPEG−4における視覚情報の符号化に関する技術が開示されている。
【0005】
また、動画を記録するファイルフォーマットに関する従来技術として、たとえば、非特許文献3〜5がある。非特許文献3には、動画および音声データを記録するファイルフォーマットに関する基本技術が開示されている。
【0006】
また、非特許文献4には、MP4と呼ばれる動画および音声データを記録するファイルフォーマットに関する技術が開示されている。さらに、非特許文献5には、ASF(Advanced Systems Format)ファイルと呼ばれる動画および音声データを記録するファイルフォーマットに関する技術が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】ISO/IEC 14496−1 MPEG4 System
【非特許文献2】ISO/IEC 14496−2 MGEG4 Visual
【非特許文献3】ISO/IEC 14496−12 ISO Base File Format
【非特許文献4】ISO/IEC 14496−14 MP4 File Format
【非特許文献5】ASF_Specification
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、動画記録再生装置には、記録した動画ファイルの任意の画面(フレーム)を表示するサムネイル表示機能がある。しかしながら、上記非特許文献1および2に記載のデータ圧縮アルゴリズムの特性、および上記非特許文献3〜4のファイルフォーマットの特性から、サムネイルの表示処理の処理負荷が大きく、処理時間がかかるという問題があった。
【0009】
具体的には、上記非特許文献1および2に記載のデータ圧縮技術(MPEG−4)では、フレーム間予測符号化、動き補償予測、離散コサイン変換、およびエントロピー符号化によってデータを圧縮している。フレーム間予測符号化では、現フレームの画像と直前に処理した前フレームとの差を取ることにより、差分値の統計的偏りを持たせてエントロピー符号化による符号化量削減効果を高めるようにしている。すなわち、MPEG−4では、フレーム画像のデータ全ての情報を有し単体でフレーム画像を構築できる(Iピクチャ)ストリームデータと、前フレームとの差分データのみの情報を有し単体でフレーム画像を構築することができない(PピクチャおよびBピクチャ)ストリームデータとがある。
【0010】
そのため、PピクチャまたはBピクチャのフレームをサムネイル表示として指定された場合には、そのピクチャから、Iピクチャまでの全てのフレームのストリームデータを伸張しなければならないので、サムネイルを表示するまでの処理負荷が大きく、処理時間もかかる。
【0011】
また、Iピクチャは、フレーム全ての情報を有しているので、ビットレートや画素サイズなどの圧縮条件によっては1フレームを構成するストリームデータのデータサイズが大きくなる。しかしながら、非特許文献3および4に記載のMP4ファイルや、非特許文献5に記載のASFファイルのフォーマットでは、画像データを格納するデータ領域が所定のサイズに分割されているので、データサイズが大きいIピクチャのストリームデータは、分割されて格納されることが多い。そのため、1フレームの画像を伸張するために、複数のデータ領域からデータを読み出さなければならない。すなわち、ストリームデータの分割回数だけ記憶媒体にアクセスしなければならず、サムネイルを表示する処理時間が長くなる。
【0012】
たとえば、非特許文献3および4に記載のMP4ファイルの場合、ストリームデータはすべて、コンテンツデータ領域(Movie Data Box)内のチャンクデータに格納される。しかし、チャンクデータのファイル先頭からのオフセットおよびチャンクデータ内に含まれるストリーム数、ストリームサイズ、時間などの情報は、すべてコンテンツデータ領域内以下のSample Description Boxに記載される。また、Sample Description Boxとチャンクデータとは配置先が異なるため、ストリームの情報を取得してからストリームデータを取得するまでの間に、必ず動画ファイルが記憶されている記憶媒体にアクセスしなければならない。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、サムネイル表示の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮する動画ファイルを生成する動画記録装置、および動画記録再生装置を得ることを目的とする。
【0014】
第2の目的は、コンテンツの内容を明確に示すサムネイル画像を表示することができる動画記録装置、および動画記録再生装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録すべき映像のデジタル映像信号およびデジタル音声信号から、予め定められた動画ファイルフォーマットの動画ファイルを生成して記憶する動画記録装置において、前記デジタル映像信号に予め定められた第1の符号化処理を施して圧縮した映像ストリームデータを生成する第1の符号化部と、前記デジタル音声信号に予め定められた第2の符号化処理を施して圧縮した音声ストリームデータを生成する第2の符号化部と、前記映像ストリームデータおよび前記音声ストリームデータを前記動画ファイルのビデオストリームおよびオーディオストリームに設定するとともに、前記動画ファイルの中でユーザが任意に作成できるユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を作成し、外部からサムネイル画像の作成の指示を受けた場合、作成したサムネイル画像データ領域に、サムネイル画像として用いるフレームのデジタル映像信号をサムネイル画像データとして設定するファイル生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、記録すべき映像のデジタル映像信号およびデジタル音声信号から、予め定められた動画ファイルフォーマットの動画ファイルを生成する際に、動画ファイルの中でユーザが任意に作成できるユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を作成し、作成したサムネイル画像データ領域に、サムネイル表示時に用いるサムネイル画像のサムネイル画像データを設定するようにしているので、サムネイル表示時に、サムネイル画像データを読み出して表示するだけでよく、デジタル映像信号から生成された映像ストリームデータからサムネイル画像を生成する場合と比較して、サムネイルの表示処理の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明にかかる動画記録再生装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1.
図1〜図7を参照してこの発明にかかる実施の形態1を説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置の構成を示すブロック図である。図1において、動画記録再生装置は、映像信号処理部10、音声入力部11、JPEG符号化部12(特許請求の範囲でいうところの第3の符号化部)、MPEG4符号化部13(特許請求の範囲でいうところの第1の符号化部)、オーディオ符号化部14(特許請求の範囲でいうところの第2の符号化部)、およびファイル生成部15を有する記録処理部1と、JPEG復号化部21(特許請求の範囲でいうところの第3の復号化部)、MPEG4復号化部22(特許請求の範囲でいうところの第1の復号化部)、オーディオ復号化部23(特許請求の範囲でいうところの第2の復号化部)、表示部24、および音声出力部25を有する再生処理部2と、操作部3と、記憶部4と、制御部5とを備えている。
【0019】
映像信号処理部10は、記録すべき映像のデジタル映像信号を生成する。具体的には、たとえば、図示しないCCD(Charge Coupled Device)などによって取り込まれたアナログの映像信号をデジタル信号に変換してデジタル映像信号を生成する。
【0020】
MPEG4符号化部13は、映像信号処理部10によって生成されたデジタル映像信号にMPEG4符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮した映像ストリームデータを生成する。JPEG符号化部12は、映像信号処理部10によって生成されたデジタル映像信号、またはMPEG4復号化部22によって生成されたデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮したサムネイル表示用のサムネイル画像データを生成する。
【0021】
音声入力部11は、記録すべき音声のデジタル音声信号を生成する。具体的には、たとえば、図示しないマイクによって取り込まれたアナログの音声信号をデジタル信号に変換してデジタル音声信号を生成する。
【0022】
オーディオ符号化部14は、音声入力部11によって生成されたデジタル音声信号に予め定められたオーディオ符号化方式による符号化処理を施して、デジタル音声信号を圧縮した音声ストリームデータを生成する。
【0023】
ファイル生成部15は、JPEG符号化部12によって生成されたサムネイル画像データと、MPEG4符号化部13によって生成された映像ストリームデータと、オーディオ符号化部14によって生成された音声ストリームデータとから、所定のファイルフォーマットの動画ファイルを生成する。
【0024】
記憶部4は、たとえば、フラッシュメモリなどの記憶媒体で構成され、ファイル生成部15が生成した動画ファイルを記憶する。操作部3は、記録開始/終了や、再生開始/終了、サムネイル作成/表示などの指示を受け付ける入力手段として用いられる。
【0025】
制御部5は、操作部3が受け付けた指示に基づいて動画記録再生装置の各構成要素を統括的に制御する。制御部5は、操作部3を介してサムネイルの画像が指定されると、サムネイル画像作成指示をファイル生成部15に出力する。また、制御部5は、再生時には、記憶部4が記憶している動画ファイルの映像ストリームデータをMPEG4復号化部22に出力させ、音声ストリームデータをオーディオ復号化部23に出力させる。制御部5は、サムネイル表示時には、記憶部4が記憶している動画ファイルのサムネイル画像データをJPEG復号化部21に出力させる。
【0026】
MPEG4復号化部22は、記憶部4から入力される映像ストリームデータにMPEG4復号化処理を施して映像ストリームデータを伸張したデジタル映像信号を生成する。JPEG復号化部21は、サムネイル画像データにJPEG復号化処理を施してサムネイル画像データを伸張したサムネイル画像信号を生成する。
【0027】
表示部24は、MPEG4復号化部22によって生成されたデジタル映像信号や、JPEG復号化部21によって生成されたサムネイル画像信号に基づいて動画や画像を表示する。
【0028】
オーディオ復号化部23は、記憶部4から入力される音声ストリームデータに予め定められたオーディオ復号化処理を施して音声ストリームデータを伸張したデジタル音声信号を生成する。音声出力部25は、たとえば、スピーカで構成され、オーディオ復号化部23によって生成されたデジタル音声信号に基づいて音声を出力する。
【0029】
つぎに、図2、図5、および図6のフローチャートを参照して、この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置の動作を説明する。まず、図2のフローチャートを参照して動画記録再生装置の記録動作について説明する。
【0030】
操作部3を介してユーザから記録開始の指示を受けると、制御部5は、記録処理部1の各構成要素に記録開始指示を通知して記録動作を開始させる。また、制御部5は、JPEG符号化部12が映像信号処理部10によって生成されたデジタル映像信号を選択するように設定する。
【0031】
記録開始指示を受けると、映像信号処理部10は、入力される映像信号からデジタル映像信号を生成し、音声入力部11は入力される音声信号からデジタル音声信号を生成する(ステップS100,S101)。映像信号処理部10は、生成したデジタル映像信号をJPEG符号化部12とMPEG4符号化部13とに出力する。音声入力部11は、生成したデジタル音声信号をオーディオ符号化部14に出力する。
【0032】
JPEG符号化部12は、デジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮したサムネイル画像データを生成する(ステップS102)。JPEG符号化部12は、生成したサムネイル画像データをファイル生成部15に出力する。
【0033】
一方、MPEG4符号化部13は、映像信号処理部10によって生成されたデジタル映像信号にMPEG4符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮した映像ストリームデータを生成し、オーディオ符号化部14は、音声入力部11によって生成されたデジタル音声信号に予め定められたオーディオ符号化方式による符号化処理を施してデジタル音声信号を圧縮した音声ストリームデータを生成する(ステップS103)。MPEG4符号化部13は生成した映像ストリームデータをファイル生成部15に出力し、オーディオ符号化部14は生成した音声ストリームデータをファイル生成部15に出力する。
【0034】
ファイル生成部15は、サムネイル画像作成指示があるか否かを判定する(ステップS104)。サムネイル画像作成指示がある場合、ファイル生成部15は、予め定められたファイルフォーマットに従って、JPEG符号化部12によって生成されたサムネイル画像データ、MPEG4符号化部13によって生成された映像ストリームデータ、およびオーディオ符号化部14によって生成された音声ストリームデータを記憶部4に記憶されている動画ファイルに付加する(ステップS105)。
【0035】
一般的に、動画ファイルのファイルフォーマットは、ファイルの管理や再生時に必要なファイル構成に関する情報(ファイル名やファイルフォーマット、データ量など)が設定されるファイルヘッダ領域と、映像ストリームデータおよび音声ストリームデータを設定するデータ領域と、ユーザが任意に作成できるユーザ作成領域とを備えている。ファイル生成部15は、映像ストリームデータおよび音声ストリームデータを所定のファイルフォーマットに従って設定し、ユーザ作成領域に設けたサムネイル画像領域にサムネイル画像データを設定する。
【0036】
サムネイル画像作成指示がない場合、ファイル生成部15は、予め定められたファイルフォーマットに従って、MPEG4符号化部13によって生成された映像ストリームデータ、およびオーディオ符号化部14によって生成された音声ストリームデータを記憶部4に記憶されている動画ファイルに付加する(ステップS106)。
【0037】
映像信号処理部10、音声入力部11、JPEG符号化部12、MPEG4符号化部13、オーディオ符号化部14、およびファイル生成部15は、上述したステップS101〜106で示した記録動作を、制御部5が操作部3を介して記録終了の指示を受けて各構成要素に記録終了指示を出力するまで繰り返す(ステップS101〜S107)。
【0038】
図3は、ファイル生成部15が、ASFファイルフォーマットに従って生成する動画ファイルの構成を示す図である。図3において、ASFファイルフォーマットの動画ファイルは、ファイルの管理や再生時に必要なファイル構成に関する情報が設定されるファイルヘッダ領域30と、映像ストリームデータおよび音声ストリームデータが設定されるn(0<n、nは自然数)個のデータパケット(図中では、Data Packet#1〜#n)を有するデータ領域31というンデックスデータ領域32とで構成される。
【0039】
ファイルヘッダ領域30は、ヘッダーオブジェクト(図中では、Header Object)と、ファイルプロパティオブジェクト(図中では、File Properties Object)と、ユーザデータオブジェクト(図中では、User Data Object)とを有している。ユーザデータオブジェクトは、ユーザが任意に作成できるユーザ作成領域であるので、ASFファイルフォーマットにおいては、ユーザデータオブジェクトをサムネイル画像データ領域33として使用する。
【0040】
サムネイル画像データ領域33は、サムネイル画像データ領域であることを示す識別子が設定されるGUID34と、サムネイル画像データ領域のサイズが設定されるオブジェクトサイズ(図中では、ObjectSize)35と、m(1≦m、mは自然数)個のサムネイル画像データが設定されるサムネイルデータ領域36とで構成される。
【0041】
データパケット#1〜#nは、パケットヘッダー(図中では、Packet Header)と、オーディオトリーム(図中では、Audio Stream)および/またはビデオストリーム(図中では、Video Stream)で構成される。
【0042】
図3に示したASFファイルフォーマットで動画ファイルを生成する場合、ファイル生成部15は、一般的なASFファイルの作成処理に従って、オーディオストリームに音声ストリームデータを設定し、ビデオストリームに映像ストリームデータを設定する。映像ストリームデータはMPEG4符号化によって生成されているので、単体でフレーム画像を構築可能なストリームデータと、単体ではフレーム画像を構築できないストリームデータ(前のフレーム画像との差分のみのストリームデータ)とがある。図3においては、データパケット#1のビデオストリーム#1とデータパケット#2のビデオストリーム#1とには単体でフレーム画像を構築可能な映像ストリームデータが分割して設定され、ビデオストリーム#2,#3には、同一データパケット内のビデオストリーム#1の映像ストリームデータを用いてフレーム画像を構築する映像ストリームデータが設定されている。
【0043】
また、ファイル生成部15は、サムネイル画像作成指示があった場合、動画ファイル内にサムネイル画像データ領域33が存在するか否かを判定する。具体的には、ファイル生成部15は、サムネイル画像データ領域33を示す識別子が設定されているGUID34を検索する。GUID34が存在する場合には、追加するサムネイル画像データのサイズ分、データ領域31およびインデックスデータ領域32をシフトして、既に設定されているサムネイル画像データと、データ領域31のデータパケット#1との間に新たに作成されたサムネイル画像データを挿入する。ファイル生成部15は、挿入したサムネイル画像データのサイズをオブジェクトサイズ35に設定されているサイズに加算した値を、オブジェクトサイズ35に設定する。
【0044】
GUID34が存在しない場合には、GUID34およびオブジェクトサイズ35のサイズと、サムネイル画像データのサイズとを加算した分、データ領域31およびインデックスデータ領域32をシフトして、GUID34、オブジェクトサイズ35、およびサムネイルデータ領域36を生成する。ファイル生成部15は、GUID34にサムネイル画像データ領域33を示す識別子を設定し、サムネイル画像データ領域33のサイズをオブジェクトサイズ35に設定し、サムネイルデータ領域36にサムネイル画像データを設定する。
【0045】
図4は、ファイル生成部15が、MP4ファイルフォーマットに従って生成する動画ファイルの構成を示す図である。図4において、MP4ファイルフォーマットの動画ファイルは、ファイルの管理や再生時に必要なファイル構成に関する情報が設定されるファイルヘッダ領域40と、映像ストリームデータおよび音声ストリームデータが設定されるコンテンツデータ領域41やユーザオブジェクト領域42などの複数のオブジェクトで構成される。MP4においては、コンテンツデータ領域41の後のユーザオブジェクト領域42などの複数のオブジェクトを有する領域にユーザが任意に作成できるユーザ作成領域があるので、コンテンツデータ領域41の後のユーザ作成領域をサムネイル画像データ領域43として使用する。
【0046】
ファイルヘッダ領域40は、ファイルタイプが設定されるファイル識別子領域と、映像コンテンツ情報領域および音声コンテンツ情報領域を有するコンテンツ情報領域とで構成される。映像コンテンツ情報領域および音声コンテンツ情報領域は、それぞれTime To Sample Box、Sample Size Box、Chunk Offset Boxを有するストリーム情報領域で構成される。
【0047】
コンテンツデータ領域41は、複数のオーディオストリーム(図中では、Audio Stream)および/またはビデオストリーム(図中では、Video Stream)を有するn(0<n、nは自然数)個のチャンクデータ(図中では、Chunk Data)#1〜#nで構成される。
【0048】
サムネイル画像データ領域43は、オブジェクトがサムネイル画像データ領域43であることを示す識別子が設定されるオブジェクトタイプ(図中では、Object Type)44と、サムネイル画像データ領域43のサイズが設定されるオブジェクトサイズ(図中では、ObjectSize)45と、m(0<m,mは自然数)個のサムネイル画像データが設定されるサムネイルデータ領域46とで構成される。
【0049】
図4に示したMP4ファイルフォーマットで動画ファイルを生成する場合、ファイル生成部15は、一般的なMP4ファイルの作成処理に従って、オーディオストリームに音声ストリームデータを設定し、ビデオストリームに映像ストリームデータを設定する。動画ストリームはMPEG4符号化によって生成されているので、単体でフレームを構築可能なストリームデータと、単体ではフレーム画像を構築できないストリームデータ(前のフレーム画像との差分のみのストリームデータ)とがある。図4においては、ビデオストリーム#1には単体でフレーム画像を構築可能な映像ストリームデータが設定され、ビデオストリーム#2には、ビデオストリーム#1の動画を用いてフレーム画像を構築する映像ストリームデータが設定されている。
【0050】
また、ファイル生成部15は、サムネイル画像作成指示があった場合、動画ファイルにサムネイル画像データ領域43が存在するか否かを判定する。具体的には、ファイル生成部15は、サムネイル画像データ領域43を示す識別子が設定されているオブジェクトタイプ44を検索する。オブジェクトタイプ44が存在する場合には、追加するサムネイル画像データのサイズ分、コンテンツデータ領域41の後のユーザオブジェクト領域42などの複数のオブジェクトをシフトして、既に設定されているサムネイル画像データの後ろに新たに作成されたサムネイル画像データを挿入する。ファイル生成部15は、挿入したサムネイル画像データのサイズをオブジェクトサイズ45に設定されているサイズに加算した値を、オブジェクトサイズ45に設定する。
【0051】
オブジェクトタイプ44が存在しない場合には、オブジェクトタイプ44およびオブジェクトサイズ45のサイズと、サムネイル画像データのサイズとを加算した分、コンテンツデータ領域41の後のユーザオブジェクト領域42などの複数のオブジェクトをシフトして、オブジェクトタイプ44、オブジェクトサイズ45、およびサムネイルデータ領域46を生成する。ファイル生成部15は、オブジェクトタイプ44にサムネイル画像データ領域43を示す識別子を設定し、サムネイル画像データ領域43のサイズをオブジェクトサイズ45に設定し、サムネイルデータ領域46にサムネイル画像データを設定する。
【0052】
つぎに、図5のフローチャートを参照して、動画記録再生装置の再生動作について説明する。操作部3を介してユーザから再生開始の指示を受けると(ステップS200)、制御部5は、再生処理部2の各構成要素と、記録処理部1のJPEG符号化部12およびファイル生成部15に再生開始指示を通知して再生動作を開始させる。また、制御部5は、JPEG符号化部12がMPEG復号化部22によって生成されたデジタル映像信号を選択するように設定する。
【0053】
制御部5は、予め定められた動画ファイルのフォーマットに従って、記憶部4に、動画ファイルのビデオストリームに格納されている映像ストリームデータをMPEG4復号化部22に出力させ、オーディオストリームに格納されている音声ストリームデータをオーディオ復号化部23に出力させる(ステップS201)。
【0054】
具体的には、再生すべき動画ファイルが図3に示したASFファイルフォーマットの動画ファイルの場合、制御部5は、ファイルヘッダ領域30およびインデックスデータ領域32に設定されている情報を用いて一般的なASFファイルの再生処理によって、記憶部4に、ビデオストリームに設定されている映像ストリームデータをMPEG4復号化部22に出力させ、オーディオストリームに設定されている音声ストリームデータをオーディオ復号化部23に出力させる。
【0055】
また、再生すべき動画ファイルが図4に示したMP4ファイルフォーマットの動画ファイルの場合、制御部5は、ファイルヘッダ領域40に設定されている情報を用いた一般的なMP4ファイル再生処理によって、記憶部4に、ビデオストリームに設定されている映像ストリームデータをMPEG4復号化部22に出力させ、オーディオストリームに設定されている音声ストリームデータをオーディオ復号化部23に出力させる。
【0056】
MPEG4復号化部22は、記憶部4から入力される映像ストリームデータにMPEG4復号化処理を施して映像ストリームデータを伸張したデジタル映像信号を生成し、オーディオ復号化部23は、記憶部4から入力される音声ストリームデータに予め定められたオーディオ復号化方式による復号化処理を施して音声ストリームデータを伸張したデジタル音声信号を生成する(ステップS202)。MPEG4復号化部22は生成したデジタル映像信号を表示部24、およびJPEG符号化部12に出力し、オーディオ復号化部23は生成したデジタル音声信号を音声出力部25に出力する。
【0057】
表示部24は、デジタル映像信号に基づいて映像を表示し、音声出力部25は、デジタル音声信号に基づいて音声を出力する(ステップS203,S204)。
【0058】
一方、JPEG符号化部12は、MPEG4復号化部22から入力されるデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮したサムネイル画像データを生成する(ステップS205)。JPEG符号化部12は、生成したサムネイル画像データをファイル生成部15に出力する。
【0059】
ファイル生成部15は、サムネイル画像作成指示があるか否かを判定する(ステップS206)。サムネイル画像作成指示がある場合、ファイル生成部15は、JPEG符号化部12によって生成されたサムネイル画像データを、再生している動画ファイルのファイルフォーマットに従って、動画ファイルにサムネイル画像データを追加する(ステップS207)。
【0060】
具体的には、再生している動画ファイルがASFファイルフォーマットの場合には、上述したように、データ領域31およびインデックスデータ領域32をシフトして、ファイルヘッダ領域30内にサムネイル画像データ領域33(サムネイル画像データ領域33が存在する場合には、サムネイル画像データのみ)を挿入する。
【0061】
また、再生している動画ファイルがMP4ファイルフォーマットの場合には、上述したように、コンテンツデータ領域41の後のユーザオブジェクト領域42などの複数のオブジェクトをシフトして、コンテンツデータ領域41の後にサムネイル画像データ領域43(サムネイル画像データ領域43が存在する場合には、サムネイル画像データのみ)を挿入する。
【0062】
サムネイル画像作成指示がない場合、ファイル生成部15は、何も処理を行なわない。すなわち、再生している動画ファイルは変更されない。
【0063】
制御部5、MPEG4復号化部22、オーディオ復号化部23、表示部24、音声出力部25、JPEG符号化部12、およびファイル生成部15は、上述したステップS201〜S207で示した再生動作を、操作部3を介して再生終了の指示を受けた制御部5が各構成要素に記録終了指示を出力するか、再生すべき動画ファイルのデータがなくなるまで繰り返す(ステップS201〜S209)。
【0064】
つぎに、図6のフローチャートを参照して、動画記録再生装置のサムネイル表示動作について説明する。操作部3を介してユーザからサムネイル表示の指示を受けると(ステップS300)、制御部5は、再生処理部2のJPEG復号化部21および表示部24にサムネイル表示指示を通知してサムネイル表示動作を開始させる。
【0065】
制御部5は、予め定められた動画ファイルのフォーマットに従って、記憶部4に、動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定されているサムネイル画像データをJPEG復号化部21に出力させる(ステップS301)。
【0066】
具体的には、動画ファイルが図3に示したASFファイルフォーマットの動画ファイルの場合には、制御部5は、GUID34によってサムネイル画像データ領域33を検出し、オブジェクトサイズ45に設定されているサイズに基づいてサムネイルデータ領域36に設定されているサムネイル画像データを取得する。
【0067】
動画ファイルが図4に示したMP4ファイルフォーマットの動画ファイルの場合、制御部5は、オブジェクトタイプ44によってサムネイル画像データ領域43を検出し、オブジェクトサイズ45に設定されているサイズに基づいてサムネイルデータ領域46に設定されているサムネイル画像データを取得する。
【0068】
JPEG復号化部21は、サムネイル画像データにJPEG復号化処理を施してサムネイル画像データを伸張したサムネイル画像信号を生成する(ステップS302)。JPEG復号化部21は、生成したサムネイル画像信号を表示部24に出力する。表示部24は、サムネイル画像信号に基づいてサムネイル画像を表示する(ステップS303)。
【0069】
制御部5、JPEG復号化部21、および表示部24は、記憶部4に記憶されている動画ファイルのサムネイル画像データを全て表示するまで、上述したステップS301〜303の動作を繰り返す(ステップS301〜S304)。
【0070】
図7は、この実施の形態1の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。図7では、記録開始時と、記録開始から30分後、および記録開始から60分後にユーザからサムネイル画像作成の指示を受けた場合、すなわち、3回サムネイル画像作成の指示を受けて、3枚のサムネイル画像データを生成した場合を示している。
【0071】
以上説明したように、この実施の形態1においては、記録すべき映像のデジタル映像信号およびデジタル音声信号から、予め定められた動画ファイルフォーマットの動画ファイルを生成する際に、動画ファイルの中でユーザが任意に作成できるユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を作成し、作成したサムネイル画像データ領域に、サムネイル表示時に用いるサムネイル画像のサムネイル画像データを設定するようにしているので、サムネイル表示時に、サムネイル画像データを読み出して表示するだけでよく、デジタル映像信号から生成された映像ストリームデータからサムネイル画像を生成する場合と比較して、サムネイルの表示処理の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【0072】
具体的には、ASFファイルフォーマットの動画ファイルの場合、動画ファイルに設定する際の映像ストリームデータの分割数、およびデータパケットサイズに影響されることなく、サムネイル画像データ領域のみを読み出すだけでサムネイル画像のサムネイル画像データを取得することができるので、サムネイルの表示処理の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【0073】
また、MP4ファイルフォーマットの動画ファイルの場合、映像ストリームデータのストリームデータ情報が格納されているSample Description Boxの検索および解析、チャンクデータの取得およびストリームの分離を行なう必要がなくなり、サムネイル画像データ領域のみを読み出すだけでサムネイル画像のサムネイル画像データを取得することができるので、サムネイルの表示処理の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【0074】
さらに、この実施の形態1においては、予め定められた動画ファイルフォーマットの動画ファイルの中で、ユーザが任意に作成できるユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を作成するようにしているので、既存の動画ファイルフォーマットを逸脱することなく、互換性を保つことができる。
【0075】
さらにまた、この実施の形態1においては、外部からの指定によって同一の動画ファイルのサムネイル画像を任意の枚数作成することができるため、長時間の録画の場合、容易に動画ファイルのシーンを検索することができる。
【0076】
なお、この実施の形態1では、MPEG4符号化によって映像ストリームデータを生成し、JPEG符号化によってサムネイル画像データを生成する場合を例に挙げて説明したが、符号化方式はこれに限るものではないが、サムネイル画像データを生成する符号化方式として、映像ストリームデータを生成する符号化方式よりも画素数が少ない条件の符号化方式を用いることが望ましい。
【0077】
実施の形態2.
図8を参照してこの発明にかかる実施の形態2を説明する。実施の形態1では、映像ストリームデータを生成するMPEG4符号化方式よりも画素数の少ない条件で圧縮可能なJPEG符号化方式を用いてデジタル映像信号を圧縮して、サムネイル表示用のサムネイル画像データを生成したが、サムネイル画像データとしてデジタル映像信号をそのまま用いるようにしてもよい。
【0078】
この場合の動画記録再生装置は、図8に示すように、先の図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置の記録処理部1からJPEG符号化部12を削除した記録処理部1aと、再生処理部2からJPEG復号化部21を削除した再生処理部2aとで構成される。図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
つぎに、この実施の形態2の動画記録再生装置の動作を説明する。なお、この実施の形態2の動画記録再生装置と、先の実施の形態1の動画記録再生装置との相違点は、サムネイル画像データが圧縮されているか否かであるので、ここでは詳細な説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0080】
まず、記録動作について説明する。記録動作時には、制御部5は、ファイル生成部15に映像信号処理部10が生成したデジタル映像信号を選択するように設定し、サムネイル画像作成指示があった場合、ファイル生成部15は、サムネイル画像データとして映像信号処理部10が生成したデジタル映像信号を用いる。その他の動作は、先の図2のフローチャートを参照して説明した記録動作の処理の中で、JPEG符号化部12がデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮したサムネイル画像データを生成するステップS102を省略した動作となる。
【0081】
つぎに、再生動作について説明する。制御部5は、ファイル生成部15に、MPEG4復号化部22によって生成されたデジタル映像信号を選択するように設定し、サムネイル画像作成指示があった場合、ファイル生成部15は、サムネイル画像データとしてMPEG4復号化部22が生成したデジタル映像信号を用いる。その他の動作は、先の図5のフローチャートを参照して説明した記録動作の処理の中で、JPEG符号化部12がデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してデジタル映像信号を圧縮したサムネイル画像データを生成するステップS205を省略した動作となる。
【0082】
つぎに、サムネイル表示動作について説明する。サムネイル表示動作時には、記憶部4から読み出されたサムネイル画像データを表示部24が表示するので、先の図6のフローチャートを参照して説明したサムネイル表示動作の処理中で、記憶部4から入力されるサムネイル画像データにJPEG復号化処理を施して、サムネイル画像データを伸張したサムネイル画像信号を生成するステップS302を省略した動作となる。
【0083】
以上説明したように、この実施の形態2においては、サムネイル画像データとして符号化を施していないデジタル映像信号を用いるようにしているので、サムネイルを表示する際に復号化処理を施す必要が無くなり、サムネイル表示を指示されてからサムネイルを表示するまでの時間を短縮するとともに、処理時間を軽減することができる。
【0084】
実施の形態3.
図9を用いてこの発明にかかる実施の形態3を説明する。実施の形態1および2では、ファイル生成部15が生成する動画ファイルフォーマットに従って、ユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を設けるようにしたが、サムネイル画像データ領域をファイルヘッダ領域に設けるようにしてもよい。
【0085】
たとえば、先の図3に示したASFファイルフォーマットにおいては、サムネイル画像データ領域33をファイルヘッダ領域30内に設けたが、先の図4に示したMP4ファイルフォーマットにおいては、コンテンツデータ領域41の後にサムネイル画像データ領域43が設けられている。
【0086】
MP4ファイルフォーマットにおいては、ファイルヘッダ領域40内のコンテンツ情報領域にもユーザ作成領域があるので、図9に示すように、ファイルヘッダ領域40のコンテンツ情報領域内の音声コンテンツ情報領域の後ろに、サムネイル画像データ領域43aを設けてもよい。なお、図9においては、コンテンツデータ領域41、映像コンテンツ情報領域、および音声コンテンツ情報領域の詳細な構成については、図3と同じであるので省略している。
【0087】
ファイルヘッダ領域に設定されている情報の解析は、ファイルフォーマットを特定する上で、必ず一番最初に実行される処理である。すなわち、再生処理動作、およびサムネイル表示動作において、制御部5が記憶部4に記憶されている動画ファイルから映像ストリームデータや音声ストリームデータ、サムネイル画像データを出力させる際に、ファイルヘッダ領域に設定されている情報を解析する。その際に、制御部5が、サムネイル画像データ領域の情報を取得しておけば、サムネイル表示の指示を受けてから、動画ファイルからサムネイル画像データ領域を検索する場合と比較して、サムネイル表示を指示されてからサムネイルを表示するまでの時間を短縮することができる。
【0088】
実施の形態4.
図10を用いてこの発明にかかる実施の形態4を説明する。実施の形態1〜3では、順次作成される映像ストリームデータ、音声ストリームデータ、およびサムネイル画像データを、ビデオストリーム、オーディオストリーム、およびサムネイル画像データ領域のデータ領域に設定するようにした。そのため、図3に示したサムネイル画像データ領域33、図4に示したサムネイル画像データ領域43、または図9に示したサムネイル画像データ領域43aにサムネイル画像データを挿入する際に、後続している領域(図3においては複数のデータパケットからなるデータ領域31およびインデックスデータ領域32、図4においてはユーザオブジェクト領域42や複数のオブジェクト領域、図9においてはコンテンツデータ領域41やユーザオブジェクト領域42、複数のオブジェクト領域)をシフトする必要があり、サムネイル画像データを含む動画ファイルの生成時の処理負荷が大きく、処理時間もかかるという問題があった。
【0089】
このような問題を改善するために、サムネイル画像データを記憶部4の作成中の動画ファイルとは異なる領域(ワーク領域)、または、図示しないワークメモリなどに生成しておき、記録終了時、または再生終了時に、合成するようにしてもよい。
【0090】
すなわち、ファイル生成部15は、所定のファイルフォーマットに従って、通常の動画ファイルを生成するとともに、サムネイル画像作成指示があった場合には、サムネイル画像を記憶部4のワーク領域、または図示しないワークメモリなどに格納しておく。そして、記録終了指示、または再生終了指示があった場合に、サムネイル画像データ領域に後続する領域をシフトしてサムネイル画像データ領域を挿入し、挿入した画像データ領域に、ワーク領域またはワークメモリに格納したサムネイル画像データを設定する。
【0091】
また、サムネイル画像データ領域を、動画ファイルの最後尾に付加するようにすれば、サムネイル画像データ領域に後続する領域をシフトする必要が無くなり、サムネイル画像データを含む動画ファイルの生成時の処理負荷を軽減し、処理時間を短縮することができる。
【0092】
たとえば、MP4ファイルフォーマットの場合には、コンテンツデータ領域やユーザオブジェクト領域、その他複数のオブジェクト領域がユーザ作成領域であるので、図10に示すように、ファイル生成部15は、ファイルヘッダ領域40、チャンクデータ(図中では、Chunk Data)#1〜#nを有するコンテンツデータ領域41、ユーザオブジェクト領域42や複数のオブジェクトを備える通常のMP4ファイルフォーマットの動画ファイルを記憶部4に作成するとともに、オブジェクトタイプ(図中では、Object Type)44、オブジェクトサイズ(図中では、Object Size)45、およびサムネイル画像データ#1〜#mを有するサムネイルデータ領域46を備えるサムネイル画像データ領域43bをワーク領域またはワークメモリに作成する。そして、記録終了指示、または再生終了指示があった場合、ファイル生成部15は、ワーク領域またはワークメモリに作成したサムネイル画像データ領域43bを記憶部4に作成した動画ファイルの最後に追加する。
【0093】
以上説明したように、この実施の形態4においては、サムネイル画像データを設定するサムネイル画像データ領域を、通常の動画ファイルとは異なる領域に作成しておき、記録/再生終了時に、サムネイル画像データ領域を動画ファイルに挿入するようにしているので、サムネイル画像データを作成するたびに、サムネイル画像データ領域に後続する領域をシフトする必要がなくなり、記憶媒体にアクセスする概数を減らすことができ、サムネイル表示の画像を生成する際の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【0094】
さらに、動画ファイルの最後尾にサムネイル画像データ領域を作成するようにした場合、データをシフトする必要がなくなるので、記憶媒体にアクセスする概数を減らすことができ、サムネイル表示の画像を生成する際の処理負荷を軽減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【0095】
実施の形態5.
図11を用いてこの発明にかかる実施の形態5を説明する。この発明にかかる実施の形態5の動画記録再生装置は、先の図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置、または先の図8に示した実施の形態2の動画記録再生装置とほぼ同じであるが、制御部5、映像信号処理部10、およびMPEG4復号化部22の動作が異なる。以下は、先の図1に示した動画記録再生装置を例に挙げて説明する。
【0096】
制御部5は、実施の形態1の機能に加えて、操作部3を介してユーザから入力されるサムネイルの画像の指定とともに入力されるサムネイル画像領域に基づいて、フレーム内の領域情報を生成する。制御部5は、記録動作時にはフレーム内の領域情報を映像信号処理部10に出力し、再生動作時にはフレーム内の領域情報をMPEG4復号化部22に出力する。
【0097】
映像信号処理部10は、入力される映像信号からデジタル映像信号を生成してMPEG4符号化部13に出力するとともに、制御部5から入力されたフレーム内の領域情報内のデジタル映像信号をJPEG符号化部12に出力する。
【0098】
MPEG4復号化部22は、記憶部4から入力される映像ストリームデータにMPEG4復号化処理を施して映像ストリームデータを伸張したデジタル映像信号を生成して表示部24に出力するとともに、制御部5から入力されたフレーム内の領域情報内のデジタル映像信号をJPEG符号化部12に出力する。
【0099】
つぎに、この実施の形態5の動画記録再生装置の動作を説明する。なお、この実施の形態5の動画記録再生装置と、先の実施の形態1の動画記録再生装置との相違点は、実施の形態1の動画記録再生装置ではサムネイルの画像として指定されたフレームからサムネイル画像データを生成するのに対して、この実施の形態5の動画記録再生装置ではサムネイルの画像として指定されたフレームの一部(フレーム内の領域情報内の画像)でサムネイル画像データを作成するかであるので、詳細な説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0100】
まず、記録動作について説明する。制御部5は、JPEG符号化部12に映像信号処理部10から入力されるデジタル映像信号を選択するように設定する。制御部5は、操作部3を介してユーザから入力されるサムネイルの画像の指定とともに入力されるサムネイル画像領域に基づいて、フレーム内の領域情報を生成する。たとえば、フレーム内の領域情報は、フレーム内の画素の位置情報などで、フレーム内の領域を確定する情報とする。制御部5は、生成したフレーム内の領域情報を映像信号処理部10に出力する。
【0101】
映像信号処理部10は、入力される映像信号からデジタル映像信号を生成してMPEG4符号化部13に出力するとともに、制御部5から入力されたフレーム内の領域情報内のデジタル映像信号をJPEG符号化部12に出力する。
【0102】
JPEG符号化部12は、映像信号処理部10から入力されるフレーム内の領域情報内のデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施して、フレーム内の一部を示すサムネイル画像データを生成する。
【0103】
サムネイル画像作成指示がある場合、ファイル生成部15は、予め定められたファイルフォーマットに従って、JPEG符号化部12によって生成されたサムネイル画像データ、MPEG4符号化部13によって生成された映像ストリームデータ、およびオーディオ符号化部14によって生成された音声ストリームデータを記憶部4に記憶されている動画ファイルに付加する。
【0104】
サムネイル画像作成指示がない場合、ファイル生成部15は、予め定められたファイルフォーマットに従って、MPEG4符号化部13によって生成された映像ストリームデータ、およびオーディオ符号化部14によって生成された音声ストリームデータを記憶部4に記憶されている動画ファイルに付加する。
【0105】
つぎに、再生動作について説明する。制御部5は、JPEG符号化部12にMPEG4復号化部22によって生成されたデジタル映像信号を選択するように設定する。制御部5は、操作部3を介してユーザから入力されるサムネイルの画像の指定とともに入力されるサムネイル画像領域に基づいて、フレーム内の領域情報を生成する。制御部5は、生成したフレーム内の領域情報をMPEG4復号化部22に出力する。
【0106】
MPEG4復号化部22は、記憶部4から入力される映像ストリームデータにMPEG4復号化処理を施して映像ストリームデータを伸張したデジタル映像信号を生成して表示部24に出力するとともに、制御部5から入力されたフレーム内の領域情報内のデジタル映像信号をJPEG符号化部12に出力する。
【0107】
サムネイル画像作成指示がある場合、ファイル生成部15は、JPEG符号化部12によって生成されたサムネイル画像データを、再生している動画ファイルのファイルフォーマットに従って、動画ファイルにサムネイル画像データを追加する。
【0108】
なお、サムネイル画像表示動作は、実施の形態1と同じであるのでここではその説明を省略する。
【0109】
図11は、この実施の形態5の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。図11では、記録開始時と、記録開始から30分後、および記録開始から60分後にユーザからサムネイル画像作成の指示を受けた場合、すなわち、3回サムネイル画像作成の指示を受けて、3枚のサムネイル画像データを生成した場合を示している。
【0110】
図11において、記録開始時には領域50がサムネイル画像領域と指定されてサムネイル画像55が生成され、記録開始から30分後には領域51がサムネイル画像領域と指定されてサムネイル画像56が生成され、記録開始から60分後には領域52がサムネイル画像領域と指定されてサムネイル画像57が生成されている。
【0111】
以上説明したように、この実施の形態5においては、デジタル映像信号が示すフレームの中で、外部から設定された領域の画像、すなわちフレームの一部のサムネイル用デジタル映像信号を生成し、サムネイル用デジタル映像信号にJPEG符号化を施して圧縮したサムネイル画像データをサムネイル画像データ領域に設定するようにしているので、シーンと状態を容易に判別することができ、コンテンツ内容を明確に判断することができるサムネイルを表示することができる。
【0112】
実施の形態6.
図12および図13を用いてこの発明にかかる実施の形態6を説明する。実施の形態1〜5の動画記録再生装置の表示部24において、動画を再生する表示部24と、動画コンテンツのアスペクト比とが異なることが考えられる。動画を再生する表示部24と、動画コンテンツのアスペクト比とが異なる場合、たとえば、図12に示すように、サムネイル画像データのアスペクト比が16:9であるのに対して、表示部24のアスペクト比が4:3である場合、表示するサムネイルの領域58、59が切れてしまい表示されない。
【0113】
このような問題を改善するために、この実施の形態5の動画記録再生装置は、図13に示すように、表示部24のアスペクト比にあわせたサムネイル画像データを生成してサムネイルを表示する際に画像が切れることを防止するものである。
【0114】
この実施の形態6の動画記録再生装置は、先の図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置、または先の図8に示した実施の形態2の動画記録再生装置とほぼ同じであるが、映像信号処理部10、およびMPEG4復号化部22の動作が異なる。以下は、先の図1に示した動画記録再生装置を例に挙げて説明する。
【0115】
動画記録再生装置の記録動作時には、映像信号処理部10は、入力される映像信号からデジタル映像信号を生成してMPEG4符号化部13に出力するとともに、入力される映像信号から表示部24のアスペクト比に応じたフレームのデジタル映像信号を生成してJPEG符号化部12に出力する。
【0116】
また、動画記録再生装置の再生動作時には、MPEG4復号化部22は、記憶部4から入力される映像ストリームデータにMPEG4復号化処理を施して映像ストリームデータを伸張したデジタル映像信号を生成して表示部24に出力するとともに、生成したデジタル映像信号から、さらに表示部24のアスペクト比に応じたフレームのデジタル映像信号を生成してJPEG符号化部12に出力する。
【0117】
これにより、JPEG符号化部12は、表示部24のアスペクト比に応じたフレームのデジタル映像信号にJPEG符号化処理を施してサムネイル画像データを生成し、ファイル生成部15は、表示部24のアスペクト比に応じたサムネイル画像データをサムネイル画像データ領域のデータ領域に設定した動画ファイルを生成する。なお、動画ファイルフォーマットは、先の図3、図4、図9、図10に示した何れのものであってもかまわない。
【0118】
以上説明したように、この実施の形態6においては、表示部のアスペクト比に応じたサムネイル画像データを生成するようにしているので、動画を再生する表示部と動画コンテンツのアスペクト比とが異なる場合でも、サムネイルを表示する際に、サムネイルの画像が切れることがなくなり、コンテンツ内容を明確に表示することができる。
【0119】
実施の形態7.
図14および図15を参照してこの発明にかかる実施の形態7を説明する。実施の形態1〜6では、1〜複数のサムネイル画像データを生成して、サムネイルを表示するようにしたが、サムネイル画像データに対応した音声ストリームデータを生成して、サムネイルを表示する際に、音声を出力するようにしてもよい。
【0120】
具体的には、実施の形態1〜6の動画記録再生装置の記録動作時、または再生動作時に、ユーザが、図示しないマイクを介して、作成するサムネイルに対応する音声信号、たとえば、「xx時yy分のドラマです」というような音声信号を入力する。マイクを介して入力される音声信号は、音声入力部11によってデジタル音声信号に変換され、オーディオ符号化部14によって符号化され音声ストリームデータとしてファイル生成部15に入力される。この音声ストリームデータを、ファイル生成部15は、サムネイル画像データとともに、サムネイル画像データ領域のデータ領域に設定する。
【0121】
たとえば、ファイル生成部15が生成する動画ファイルフォーマットが、図3に示したASFファイルフォーマットである場合には、図14に示すように、サムネイル画像データ領域33のサムネイルデータ領域36には、1回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#1とサムネイル音声データ#1を設定し、2回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#2とサムネイル音声データ#2を設定し、m回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#1とサムネイル音声データ#mを設定する。
【0122】
また、ファイル生成部15が生成する動画ファイルフォーマットが、図4、図9、図10に示したMP4ファイルフォーマットである場合も、サムネイル画像データ領域43,43a、43bのデータ領域に、ASFファイルフォーマットと同様に、1回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#1とサムネイル音声データ#1を設定し、2回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#2とサムネイル音声データ#2を設定し、m回目のサムネイル画像作成指示においてサムネイル画像データ#1とサムネイル音声データ#mを設定する。
【0123】
実施の形態1〜6の動画記録再生装置のサムネイル表示動作時には、制御部5は、動画ファイルフォーマットに従って、記憶部4からサムネイル画像データ領域のサムネイル画像データをJPEG復号化部21に出力させるとともに、サムネイル画像データに対応するサムネイル音声データをオーディオ復号化部23に出力させる。
【0124】
JPEG復号化部21は、サムネイル画像データにJPEG復号化処理を施してサムネイル画像データを伸張したサムネイル画像信号を生成し、表示部24は、JPEG復号化部21によって生成されたサムネイル画像信号を表示する。
【0125】
一方、オーディオ復号化部23は、サムネイル音声データに予め定められたオーディオ復号化方式による復号化処理を施してサムネイル音声データを伸張したデジタル音声信号を生成し、音声出力部25は、デジタル音声信号に基づいて音声を出力する。
【0126】
図15は、この実施の形態7の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。図15では、記録開始時と、記録開始から30分後、および記録開始から60分後にユーザからサムネイル画像作成の指示を受けた場合、すなわち、3回サムネイル画像作成の指示を受けて、3枚のサムネイル画像データを生成した場合を示している。
【0127】
図15において、記録開始時のサムネイルの表示には、「xx時yy分のドラマです」という音声が出力され、映像開始から30分後のサムネイルの表示には、「xx時yy分のドキュメンタリーです」という音声が出力され、映像開始から60分後のサムネイルの表示には、「xx時yy分のスポーツです」という音声が出力される。
【0128】
以上説明したように、この実施の形態7においては、サムネイル画像データの作成時に入力された音声から生成した音声ストリームデータを、サムネイル画像データに対応付けて、サムネイル画像データ領域に設定するようにしているので、サムネイルを表示する際に、音声を出力することが可能となり、ユーザは、視覚的にコンテンツのシーンを判断するだけでなく、聴覚的にコンテンツのシーンを判断することができる。
【0129】
実施の形態8.
図16を用いてこの発明にかかる実施の形態8を説明する。実施の形態1〜6ではサムネイル画像データ領域のデータ領域にサムネイル画像データを設定し、実施の形態7では、サムネイル画像データ領域のデータ領域に、サムネイル画像データおよびサムネイル音声データを設定したが、さらに、サムネイル画像データを生成した映像のフレーム番号を設定するようにしてもよい。
【0130】
この場合、先の図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置、または先の図8に示した実施の形態2の動画記録再生装置の制御部5が、映像信号処理部10を監視して入力される映像信号のフレームをカウントしておき、サムネイル画像作成指示とともにフレームのカウント値をフレーム番号としてファイル生成部15に出力し、ファイル生成部15がサムネイル画像データとともにフレーム番号を設定するようにすればよい。
【0131】
具体的には、ASFファイルフォーマットの場合、ファイル生成部15は、図3に示したサムネイル画像データ領域33のサムネイルデータ領域36に、図16に示すように、1回目のサムネイル画像作成指示によってサムネイル画像データ#1に対応するフレーム番号(この場合は「1」)とサムネイル画像データ#1を設定し、2回目のサムネイル画像作成指示によってサムネイル画像データ#2に対応するフレーム番号(この場合は「5」)とサムネイル画像データ#2を設定し、m回目のサムネイル画像作成指示によってサムネイル画像データ#mに対応するフレーム番号(この場合は「100」)とサムネイル画像データ#mを設定する。
【0132】
以上説明したように、この実施の形態8においては、記録すべきデジタル映像信号のフレームをカウントしておき、サムネイル画像データを生成する際に用いた記録すべきデジタル映像信号のフレームのカウント値、すなわちフレーム番号をサムネイル画像データに対応付けて、サムネイル画像データ領域に設定するようにしているため、サムネイルを表示した際に、ユーザがサムネイルの画像からの再生を要求した場合に、フレーム番号をインデックスとして用いることができ、頭出しを容易に行なうことができる。
【0133】
実施の形態9.
図17を用いてこの発明にかかる実施の形態9を説明する。実施の形態1〜8では、ASFファイルフォーマットの場合には、サムネイル画像データ領域33をGUID34、オブジェクトサイズ35、およびサムネイル画像データやサムネイル音声データ、サムネイル画像データのフレーム番号を設定するサムネイルデータ領域36で構成し、MP4ファイルフォーマットの場合には、サムネイル画像データ領域43をオブジェクトタイプ44、オブジェクトサイズ45、およびサムネイル画像データやサムネイル音声データ、サムネイル画像データのフレーム番号を設定するサムネイルデータ領域46で構成したが、さらに、サムネイル画像データを生成した際の、サムネイル画像データ生成情報を設定するサムネイル画像データ生成情報領域を備えるようにしてもよい。
【0134】
具体的には、たとえば、図1に示したASFファイルフォーマットのサムネイル画像データ領域33の代わりに、図17に示したサムネイル画像データ領域33aを備える動画ファイルを用いる。図17に示したサムネイル画像データ領域33aは、オブジェクトサイズ35とサムネイル画像データ#1〜#mが設定されるサムネイルデータ領域36との間に、コントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、および圧縮情報などのサムネイル画像作成情報が設定されるサムネイル画像データ生成情報領域37が追加されている。
【0135】
この場合、先の図1に示した実施の形態1の動画記録再生装置、または先の図8に示した実施の形態2の動画記録再生装置の制御部5が、映像信号処理部10を監視して入力される映像信号やJPEG符号化部12のJPEG符号化処理に基づいて、コントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、および色特性情報を生成し、生成した各種情報とJPEG符号化部12の圧縮情報とを、サムネイル画像作成指示とともにファイル生成部15に出力し、ファイル生成部15が、制御部5からの情報をサムネイル画像データ生成情報領域37に設定すればよい。
【0136】
そして、サムネイル表示動作時には、制御部5は、サムネイル画像データ領域33のサムネイル画像データ生成情報領域37に設定されているコントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、および圧縮情報を読み出して、これらの情報に基づいてサムネイル画像データから生成されたサムネイル画像信号を表示部24に表示させる。
【0137】
以上説明したように、この実施の形態9においては、サムネイル画像データ作成時の入力される映像信号および/またはJPEG符号化部のJPEG符号化処理に基づいて、コントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、および圧縮情報を含むサムネイル画像データ生成情報を生成し、サムネイル画像データ作成領域内のサムネイル画像データ生成情報領域に設定するようにしているので、サムネイル画像を表示する際に、サムネイル画像データを作成したときと同じ条件でサムネイル画像を表示することができる。
【0138】
なお、この実施の形態9では、ASFファイルフォーマットについて説明したが、MP4ファイルフォーマットのサムネイル画像データ領域内に、コントラスト情報や、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、圧縮情報を含むサムネイル画像データ生成情報領域を備えるようにしてもかまわない。
【0139】
また、サムネイル画像データ生成情報は、コントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、圧縮情報の少なくとも1つを含んでいればよい。
【0140】
実施の形態10.
図18を参照してこの実施の形態10を説明する。実施の形態1〜9では、制御部5が操作部3を介してユーザからサムネイル画像の作成の指示を受けると、制御部5が、サムネイル画像作成指示を出力し、ファイル生成部15はサムネイル画像作成指示によってサムネイル画像データを動画ファイルに設定するようにしたが、サムネイル画像作成指示の有無に関係なく、図18に示すように、サムネイル画像データ領域33のサムネイルデータ領域36に映像信号の全てのフレームの画像データをサムネイル画像データとして設定するようにしてもよい。この場合は、データ量を考えると、実施の形態1の動画記録再生装置を用いて、JPEG符号化部12によってJPEF符号化処理が施されたサムネイル画像データをサムネイルデータ領域36に設定することが望ましい。
【0141】
以上説明したように、この実施の形態10においては、サムネイル画像データ領域に記録すべきデジタル映像信号の全てのフレームのサムネイル画像データをサムネイル画像データ領域に設定するようにしているので、生成する動画ファイルのファイルフォーマットに依存することなく、サムネイル画像データを再生することで動画ファイルに記録されている映像を表示することができ、ユーザは動画ファイルの内容を容易に判別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上のように、本発明にかかる動画記録装置、および動画記録再生装置は、動画ファイルを扱う機器に有用であり、特に、デジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラ、テレビ、動画ビューワー製品に適している。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置の記録動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】ASFファイルフォーマットに従って生成した動画ファイルの構成を示す図である
【図4】MP4ファイルフォーマットに従って生成した動画ファイルの構成を示す図である。
【図5】この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置の再生動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置のサムネイル表示動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明にかかる実施の形態1の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。
【図8】この発明にかかる実施の形態2の動画記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明にかかる実施の形態3の動画記録再生装置が生成する動画ファイルの構成を示す図である。
【図10】この発明にかかる実施の形態4の動画記録再生装置が生成する動画ファイルの構成を示す図である。
【図11】この発明にかかる実施の形態5の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。
【図12】サムネイル画像データのアスペクト比と表示部のアスペクト比とが異なる場合のサムネイルの表示イメージを示す図である。
【図13】この発明にかかる実施の形態6の動画記録再生装置が生成したサムネイル画像データを表示部に表示した表示イメージ図である。
【図14】この発明にかかる実施の形態7の動画記録再生装置が生成する動画ファイルのサムネイル画像データ領域のデータ領域に設定されるデータを示す図である。
【図15】この発明にかかる実施の形態7の動画記録再生装置によって生成したサムネイルの画像と記録した映像との関係を示す図である。
【図16】この発明にかかる実施の形態8の動画記録再生装置が生成する動画ファイルのサムネイルデータ領域の構成を示す図である。
【図17】この発明にかかる実施の形態9の動画記録再生装置が生成する動画ファイルのサムネイルデータ領域の構成を示す図である。
【図18】この発明にかかる実施の形態10の動画記録再生装置が生成する動画ファイルの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
1,1a 記録処理部
2,2a 再生処理部
3 操作部
4 記憶部
5 制御部
10 映像信号処理部
11 音声入力部
12 JPEG符号化部
13 MPEG4符号化部
14 オーディオ符号化部
15 ファイル生成部
21 JPEG復号化部
22 MPEG4復号化部
23 オーディオ復号化部
24 表示部
25 音声出力部
30,40 ファイルヘッダ領域
31,36,46 データ領域
32 インデックスデータ領域
33,43,43a,43b サムネイル画像データ領域
34 GUID
35,45 オブジェクトサイズ
37 サムネイル画像データ生成情報領域
41 コンテンツデータ領域
42 ユーザオブジェクト領域
44 オブジェクトタイプ
50,51,52 領域
55,56,57 サムネイル画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録すべき映像のデジタル映像信号およびデジタル音声信号から、予め定められた動画ファイルフォーマットの動画ファイルを生成して記憶する動画記録装置において、
前記デジタル映像信号に予め定められた第1の符号化処理を施して圧縮した映像ストリームデータを生成する第1の符号化部と、
前記デジタル音声信号に予め定められた第2の符号化処理を施して圧縮した音声ストリームデータを生成する第2の符号化部と、
前記映像ストリームデータおよび前記音声ストリームデータを前記動画ファイルのビデオストリームおよびオーディオストリームに設定するとともに、前記動画ファイルの中でユーザが任意に作成できるユーザ作成領域にサムネイル画像データ領域を作成し、外部からサムネイル画像の作成の指示を受けた場合、作成したサムネイル画像データ領域に、サムネイル画像として用いるフレームのデジタル映像信号をサムネイル画像データとして設定するファイル生成部と、
を備えることを特徴とする動画記録装置。
【請求項2】
前記デジタル映像信号に予め定められた第3の符号化処理を施して圧縮したサムネイル画像データを生成する第3の符号化部、
をさらに備え、
前記ファイル生成部は、
前記第3の符号化部によって生成されたサムネイル画像データをサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項1に記載の動画記録装置。
【請求項3】
前記第3の符号化部の第3の符号化処理を、前記第1の符号化部の第1の符号化処理よりも画素数の少ない条件の符号化処理とすること、
を特徴とする請求項2に記載の動画記録装置。
【請求項4】
前記ファイル生成部は、
前記サムネイル画像データ領域を、前記動画ファイルのファイルヘッダ領域内、前記ビデオストリームおよび前記オーディオストリームが設定されるデータ領域の後、または前記動画ファイルの最後尾に作成すること、
を特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項5】
前記ファイル生成部は、
サムネイル画像データを所定の領域に記憶しておき、記録終了時に、動画ファイルにサムネイル画像データ領域を生成し、生成したサムネイル画像データ領域に、前記所定の領域に記憶しておいたサムネイル画像データを設定すること、
を特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項6】
前記デジタル映像信号からサムネイル画像データの作成に用いるサムネイル用デジタル映像信号を生成する映像信号処理部、
をさらに備え、
前記映像信号処理部は、
前記デジタル映像信号が示すフレームの中で、外部から設定された領域の画像からサムネイル用デジタル映像信号を生成し、
前記第3の符号化部、または前記ファイル生成部は、
前記サムネイル用デジタル映像信号を用いてサムネイル画像データを生成すること、
を特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項7】
前記映像信号処理部は、
前記デジタル映像信号が示すフレームのアスペクト比を変更してサムネイル用デジタル映像信号を生成すること、
を特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項8】
前記ファイル生成部は、
前記第2の符号化部によって生成された音声ストリームデータの中で、前記サムネイル画像データの作成時に入力された音声に対応する音声ストリームデータを、前記サムネイル画像データとともに前記動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項9】
前記記録すべきデジタル映像信号のフレームをカウントする制御部、
をさらに備え、
前記ファイル生成部は、
前記サムネイル画像データを生成する際に用いた前記記録すべきデジタル映像信号のフレームのカウント値をフレーム番号として、前記サムネイル画像データに対応付けてサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記記録すべき映像信号および/または前記第3の符号化部の第3の符号化処理に基づいて、コントラスト情報、白ポイント温度情報、階調特性情報、色特性情報、圧縮情報の少なくとも1つを含むサムネイル画像データ生成情報を作成し、
前記ファイル生成部は、
前記制御部によって生成されたサムネイル画像データ生成情報を、前記動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項9に記載の動画記録装置。
【請求項11】
前記ファイル生成部は、
前記記録すべき映像のデジタル映像信号の全てのフレームのサムネイル画像データを、前記動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項1〜10の何れか一つに記載の動画記録装置。
【請求項12】
前記請求項1〜11の何れか一つに記載の動画記録装置を備える動画記録再生装置であって、
前記動画記録装置によって生成された動画ファイルのビデオストリームに設定されている映像ストリームデータに第1の復号化処理を施して伸張したデジタル映像信号を生成する第1の復号化部と、
前記動画記録装置によって生成された動画ファイルのオーディオストリームに設定されている音声ストリームデータに第2の復号化処理を施して伸張したデジタル音声信号を生成する第2の復号化部と、
前記動画記録装置によって生成された動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定されているサムネイル画像データが符号化されている場合に、前記サムネイル画像データに第3の復号化処理を施して伸張したサムネイル画像信号を生成する第3の復号化部と、
前記第1の復号化部によって生成されたデジタル映像信号に基づいて映像を表示するとともに、サムネイル表示の指示を受けた場合、前記第3の復号化部によって生成されたサムネイル画像信号に基づいてサムネイルの画像を表示する表示部と、
前記第2の復号化部によって生成されたデジタル音声信号に基づいて音声を出力する音声出力部と、
を備えることを特徴とする動画記録再生装置。
【請求項13】
前記動画記録装置のファイル生成部は、
前記表示部が前記第1の復号化部によって生成されたデジタル映像信号に基づいて映像を表示している際に、前記サムネイル画像の作成指示を受けた場合、前記第1の復号化部によって生成されたデジタル映像信号、または前記第3の符号化部が前記第1の復号化部によって生成されたデジタル映像信号に第3の符号化処理を施して圧縮したサムネイル画像データを、前記動画ファイルのサムネイル画像データ領域に設定すること、
を特徴とする請求項12に記載の動画記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−304103(P2006−304103A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125567(P2005−125567)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】