説明

包装充填方法

【課題】過不足無く、正確にタンク内の製品残量を設定できる包装充填方法を提供する。
【解決手段】ブランクスから紙容器に成形し、搬送手段によって縦列的に搬送される紙容器に、充填ステーションで容器の上部開口から液体食品を容器内に充填手段によって迅速に充填し、上部開口を閉じてヒートシールし、液体食品充填容器の製品を製造する包装充填方法であって、製造を終了するに際して、所定の関係式に従って、タンク34dのカウントダウン開始レベルで、製造終了へのカウントダウンを開始し、カウントダウン数に到達した時点で、充填を終了して、タンク内、定量ポンプ内及び流路内の変更前の液体食品の残量にし、液体食品の充填容器の製品の製造を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器を搬送し容器の上部開口から液体食品を充填してシールする包装充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器には、各種形状の容器がある。例えば、パウチ容器、屋根型紙容器では、液体食品が充填され、上部開口が順次閉鎖されてシールされる容器である。
【0003】
図3(b)に示す屋根型容器36は、屋根型の上部36aと、直方体の本体36bとからなり、シール前には、上部に開口36dが形成されており、この開口36dから液体食品が充填される。
図3(a)に示すシール前の容器33では、上方開口36dを折目線36eに沿って内側に折り込んだ状態で上端部を止じ合せ、その止じ合面をヒートシール等の手段によってトップシール36cを形成することで、容器が作られる。
【0004】
図5、図4に示す態様の屋根型紙容器用包装充填機では、折目線が付けられた印刷済み積層包装材料が所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクス31を得る。底部シール手段32でブランクスの底がシールされる。充填ステーション34aで、シール前の容器33がリフター34bによってノズル34cまで持ち上げらる。容器33の開口36dから、充填手段のタンク34dに一時貯留された液体食品が、充填手段34のノズル34cでヘッドスペースを残して充填される。充填完了後に搬送手段のレールに戻り、次いで、上部開口36dが折目線に沿って内側に折り込んで、順次閉鎖され、予熱ステーション35a及びトップシールステーション35bで容器33の上端がトップシール手段35でヒートシールされて、図2に示すような充填容器36を得る。
【0005】
屋根型容器は、容器内の上部にヘッドスペースが作られる。この閉空間内には、酸素ガスが存在し、容器内に充填された液体食品は閉空間内の酸素と接触し酸化による製品劣化が進む。衛生管理上、ヘッドスペース内を不活性ガスの窒素ガス等に置換する包装充填装置が提案されている。(特許文献1参照)
また、牛乳、乳酸菌飲料等のような液体食品を収容する包装容器を製造する場合でも、製品タンクに収容され、蓋付きケーシングに充填される。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−37215号公報
【特許文献2】特開平10−278903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
製品の液体食品の充填を終了する際、他の製品に切り替える際、液体食品を無駄にすること無いことが望まれる。充填手段のタンクやノズルに液体食品を残すこと無く容器に充填することが望まれる。換言すれば、容器のカートンを使用して製品の液体食品を充填タンクから回収することが特に想定されている。
製造時にはある製品液面レベルを保つように複数のバルブを開閉し、製品を充填タンクに補給している。製造を終了する際又は他製品に切替る際には、ある限られたパック数を決め、その数に到達するまで充填するか、あるレベルを設定してそのレベルに到達するまで充填し続け、製品を補給しない。
レベルで制御する後者タイプの充填機のタンクのレベルセンサーは、例えば、フロート式を採用している。通常は製品を補給しながら、図2に示すように、例えば、タンク容量の80%の位置を設定値にして制御している為、比較的多くの製品量が有る状態で1、2リットルずつ充填、減少するので、図2の通常レベルに示しているように、レベル変化率は小さく、また安定した変化を示すので補給も安定して行われ、結果として液面レベルは安定して保たれる。
しかし、製品の液体食品の充填を終了する際、他の製品に切り替える際、タンク内に存在する製品をできるだけ少なくしようとしている場合は、途中の製品補給がなく、かつ充填中に液面レベルが低下するにしたがって、図2の右下のグラフに示すレベル上下変動の変化率が上昇し、その影響で液面も大きく変動し、正確なレベルを検出できない。
この状況下でカートンの紙容器を使用して製品をタンクから回収しようとすると、できるだけ製品を紙容器に充填して製造し、タンク内の製品残量を少なくする事が条件となる。しかし、上述した問題が発生するため、比較的大量の残量が発生する。
【0008】
この発明は、過不足無く、正確にタンク内の製品残量を設定できる包装充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の包装充填方法は、ブランクスから紙容器に成形し、搬送手段によって縦列的に搬送される紙容器に、充填ステーションで該容器の上部開口から液体食品を該容器内に充填手段によって迅速に充填し、該上部開口を閉じてヒートシールし、液体食品充填容器の製品を製造する包装充填方法であって、
(a)該充填手段において、液体食品を製品製造時にタンクに供給して一時的に貯留し、該容器開口から該液体食品を該容器内に充填ノズルによって高速に充填し、該タンクから該充填ノズルへの途中にある定量ポンプによって一定量の該液体食品を送り出し、他方、該タンクに、液体食品の貯留量を示すレベル計によって、液体食品を補充し、
(b)製造を終了するに際して、下記関係式に従って、該タンクのカウントダウン開始レベルで、製造終了への充填回数のカウントダウンを開始し、カウントダウン数に到達した時点で、充填を終了して、該タンク内、該定量ポンプ内及び流路内の変更前の液体食品の残量にし、液体食品の充填容器の製品の製造を停止する;
製造終了時の製品残量≧最大カートンロード量×最大充填容量−設定値‥(1)
通常の下位レベル警報発令点<カウントダウン開始レベル<上位レベル警報発令点‥(2)
カウントダウン数=(カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量−製造終了時の残量)/最大充填容量‥(3)
カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量=(最大カートンロード量×最大充填容量×リカバリー工程数)+製造終了時の製品残量‥(4)
最大充填容量=定量ポンプによって送り出す液体食品の容量‥(5)
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明による包装充填方法は、搬送手段によって縦列的に高速に搬送される容器に、充填ステーションで容器の上部開口から液体食品を容器内に充填手段によって迅速に充填し、上部開口を閉じてヒートシールし、液体食品充填容器の製品を製造する包装充填方法である。
この充填方法によって、連続的に多数個の紙容器が縦列的に配列して高速に搬送され、その容器の上部開口から液体食品が高速に迅速に充填される。次いで、上部をヒートシールして、製品を製造する。
高速に充填されるために、充填手段のタンクなどは安全確実な製造運転のために十分なバッファ(緩衝)機能が要求される。
【0011】
この発明による包装充填方法の(a)工程の充填手段において、液体食品を製品製造時にタンクに供給して一時的に貯留し、容器開口から液体食品を容器内に充填ノズルによって高速に充填し、タンクから充填ノズルへの途中にある定量ポンプによって一定量の液体食品を送り出する。
この工程の機能及び作用を、図5を参照して説明する。充填手段34では、液体食品を製品製造時にタンク34dに供給して一時的に貯留し、タンク34dから充填ノズル34cへの途中にある定量ポンプ34eによって一定量の液体食品を送り出し、容器33の開口から液体食品を容器内に充填ノズル34cを挿入して高速に充填する。
製造運転時には、タンク34d、充填ノズル34c、定量ポンプ34e及びそれらを連結するパイプの流路34fに液体食品が流れる。
【0012】
充填装置の運転を終了する場合や、他の製品への変更する場合等で、製造を終了するに際して、下記関係式に従って、該タンクのカウントダウン開始レベルで、製造終了へのカウントダウンを開始し、カウントダウン数に到達した時点で、充填を終了して、該タンク内、該定量ポンプ内及び流路内の変更前の液体食品の残量にし、液体食品の充填容器の製品の製造を停止する。
製造終了時の製品残量≧最大カートンロード量×最大充填容量−設定値‥(1)
通常の下位レベル警報発令点<カウントダウン開始レベル<上位レベル警報発令点‥(2)
カウントダウン数=(カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量−製造終了時の残量)/最大充填容量‥(3)
カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量=(最大カートンロード量×最大充填容量×リカバリー工程数)+製造終了時の製品残量‥(4)
最大充填容量=定量ポンプによって送り出す液体食品の容量‥(5)
この発明の包装充填方法による関係式よって、過不足無く、正確にタンク内の製品残量を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明による包装充填方法の工程を概略的に説明する包装充填装置の充填手段の概略的側面図を示す。
【図2】包装充填方法におけるタンクのレベルの変動を示す線図である。
【図3】屋根型紙容器の外観図である。
【図4】屋根型紙容器用包装充填装置の全体斜視図である。
【図5】屋根型紙容器用包装充填装置の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の実施形態の包装充填装置では、図4に示すように、折目線が付けられた印刷積層包装材料が裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクス31を得る。ブランクスの底が底部シール手段32でシールされ、搬送手段によって、レール上を空容器33を搬送する。
充填ステーション34aで充填手段34によって容器33の上部開口から液体食品を充填し、トップシールステーション35bで上部シール手段35によって上部開口を順次閉鎖してシールし、液体食品を容器36に充填包装する。
【0015】
図5に示すように、充填ステーション34aで容器33がリフター34bによってノズル34cまで持ち上げらて容器33の開口36dからから液体食品が充填手段34のノズル34cでヘッドスペースを残して充填され、充填完了後に搬送手段のレールに戻る。
次いで、上部開口36dが折目線に沿って内側に折り込んで、順次閉鎖され、予熱ステーション35a及びトップシールステーション35bで容器33の上端がトップシール手段35でヒートシールされて、製品の液体食品充填された、図3(b)に示す充填容器36を得る。
【0016】
この実施形態による包装充填方法の工程の充填手段において、図5に示すように、充填手段34では、供給槽(図示せず)から液体食品を製品製造時にタンク34dに供給して一時的に貯留し、タンク34dから充填ノズル34cへの途中にある定量ポンプ34eによって一定量の液体食品を送り出し、容器33の開口から液体食品を容器内に充填ノズル34cを挿入して高速に充填する。
製造運転時にタンク34d、定量ポンプ34e、充填ノズル34c及びそれらを連結するパイプの流路34fを液体食品が流れる。
【0017】
次いで、充填装置の運転を終了する場合や、他の製品への変更する場合等で、製造を終了するに際しての工程を説明する。
全般的には、タンクのカウントダウン開始レベルで、製造終了へのカウントダウンを開始し、カウントダウン数に到達した時点で、充填を終了して、該タンク内、該定量ポンプ内及び流路内の変更前の液体食品の残量にし、液体食品の充填容器の製品の製造を停止する。
【0018】
まず最初にマンドレル(カートンを最初に成形する場所)から充填ノズル直下まで連続してカートンを流せる最大量(最大カートンロード量と呼んでおく)を計測しておく。
最大カートンロード量(単位はパック)×1リットル − 製造終了時に残っている製品残量≧4リットル となるように、製造終了時に残す製品残量を決定する。この範囲を超えた場合は、後工程のリカバリー(製品回収時)に複数回のリカバリー工程を繰り返す必要がある。
【0019】
次に、製造を終了する際に製造を終了するまでのカウントダウンを開始するレベルを決定する。このレベルは通常製品レベル低下の警報を出すレベルよりも下位に設定する。
製造終了ボタンを押すと、製品の補給は止まり、次第にタンク内の製品レベルが低下する。通常は製品レベル低下の警報を出すレベルで警報を出して充填機は停止するが、製造を終了するこの場合は無視するようにする。
【0020】
カウントダウン数の値は、設定したカウントダウンを開始するレベルの時のタンクに入っている製品の量と、先に調べておいた製造終了時の残量との差の量だけ、最大容量のパッケージに充填する。例えば、カウントダウンを開始するレベルの時の製品量は60リットルとする。先に調べて置いた製造終了時の残量を20リットルとすると、その差は40リットルなので、充填機の最大容量のパッケージが1リットルとすると、カウントダウンの値は40/1=40となる。
【0021】
このカウントダウンを開始するレベルは通常の下位レベル警報発令点から上位レベル警報発令点の間に設定する。
製品レベルの変化率が小さい、あるいは安定している時からカウントダウンが始まるので、最終的な残量も安定する。この課程におけるレベル計の表示値は激しく変動するが、無視できる。
単に、レベル計により製造終了の時期を決定しようとしても、製品残量が少なくなっている段階では液面レベルが非常に大きく変動するため、狙った最終残量にしようとしても制御できるものではない、あるいは大きな変動幅を持った残量となる。また同様にタイマーを利用しても、必ずしも同じ残量にはならない。
本発明によって、回数で規定すれば間違いなく設定した残量近くになるので、後工程のリカバリー工程でも必要最小工程数(1回)で全てのタンク内製品残量をカートンで回収することができる。
【0022】
例えば、最大カートンロード量×1リットル − 製造終了時に残っている製品残量≧4リットル となるように、製造終了時に残す製品残量を決定する。この範囲を超えた場合は、後工程のリカバリー(製品回収時)に複数回のリカバリー工程を繰り返す必要がある。
以上の様に、カウントダウン開始レベル、カウントダウン数、製造終了時の製品残量は最大カートンロード量、最大充填容量の関数となる。
【0023】
製造終了時の製品残量 ≧ 最大カートンロード量×最大充填容量(1リットル)− 設定値(4リットル)
カウントダウン開始レベル=(通常の下位レベル警報発令点から上位レベル警報発令点の間)
カウントダウン数 = (設定したカウントダウンを開始するレベルの時のタンクに入っている製品の量 − 製造終了時の残量)/最大充填容量(1リットル)
カウントダウン開始レベル = 最大カートンロード量×最大充填容量×リカバリー工程数 + 製造終了時の製品残量
【0024】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、流動性食品を包装充填する包装容器の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
37 ・・・搬送手段
33 ・・・容器
34a ・・・充填ステーション
34b ・・・リフター
34c ・・・ノズル
34d ・・・充填タンク
34e ・・・定量ポンプ
34f ・・・パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクスから紙容器に成形し、搬送手段によって縦列的に搬送される紙容器に、充填ステーションで該容器の上部開口から液体食品を該容器内に充填手段によって迅速に充填し、該上部開口を閉じてヒートシールし、液体食品充填容器の製品を製造する包装充填方法であって、
(a)該充填手段において、液体食品を製品製造時にタンクに供給して一時的に貯留し、該容器開口から該液体食品を該容器内に充填ノズルによって高速に充填し、該タンクから該充填ノズルへの途中にある定量ポンプによって一定量の該液体食品を送り出し、他方、該タンクに、液体食品の貯留量を示すレベル計によって、液体食品を補充し、
(b)製造を終了するに際して、下記関係式に従って、該タンクのカウントダウン開始レベルで、製造終了への充填回数のカウントダウンを開始し、カウントダウン数に到達した時点で、充填を終了して、該タンク内、該定量ポンプ内及び流路内の変更前の液体食品の残量にし、液体食品の充填容器の製品の製造を停止する;
製造終了時の製品残量≧最大カートンロード量×最大充填容量−設定値‥(1)
通常の下位レベル警報発令点<カウントダウン開始レベル<上位レベル警報発令点‥(2)
カウントダウン数=(カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量−製造終了時の残量)/最大充填容量‥(3)
カウントダウン開始レベル時のタンク内の液体食品貯留量=(最大カートンロード量×最大充填容量×リカバリー工程数)+製造終了時の製品残量‥(4)
最大充填容量=定量ポンプによって送り出す液体食品の容量‥(5)
ことを特徴とする包装充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−143968(P2011−143968A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152559(P2010−152559)
【出願日】平成22年7月4日(2010.7.4)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】