説明

包装充填装置及び包装充填方法

【課題】縦シールの制御パラメータである予熱手段による縦シール部分の表面温度を、連続的にモニタリングすることにより、検査員のサンプリングの手間を省き、運転中に即座にシール最適条件に設定変更できる包装充填装置及び方法を提供する。
【解決手段】包装充填装置の予熱手段8は、帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、縦シールのために予熱し、装置は、予熱された縁部の表面を臨み、表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信する熱画像撮影装置50と、測定値信号を受信し、予熱された縁部の表面温度を判定して制御信号を送信する制御手段51とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などを充填する包装充填装置及び包装充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、該包装積層材料がヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、帯状包装積層材料の縁部にシーリングテープを前もって接合し、包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの内側から、包装積層材料の両縁部同士を、シーリングテープと共に押し当てて縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させる。
【0003】
前記包装充填装置において、この装置内を帯状包装積層材料が搬送され、帯状包装積層材料の縁部である縦シール部面に帯状包装材料の他端の縁部が合せられ、これらの材料が接合される。すなわち、チューブ状に成形された包装積層材料の両縁部同士を、縦シール装置によってシーリングテープと共に押し当てて縦シールする。
帯状包装積層材料の縁部面に他端の縁部を合せ接合する際、例えば、帯状包装積層材料の縁部に他端の縁部とを予熱し、これらを挟んで、一方側に、プレッシャローラを、他方に、カウンタローラを回転自在に配設する。
【0004】
予熱された包装積層材料が搬送されるに伴って、前記プレッシャローラ及びカウンタローラが包装積層材料の両縁部同士を挟んだ状態で押圧されて回転させ、合せて接合する面がヒートシールされ接合される。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平04−051138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装充填装置において、縦シールの良否は、包装充填された容器のサンプルをラインから取り出し、容器をナイフ等で切断し、目視、種々の計測によって判定され、縦シールの制御パラメータの予熱手段の予熱温度、プレッシャローラの押圧力などを適宜変更している。サンプルのラインから取り出しというバッチ方式で行われている。
【0006】
この発明は、縦シールの制御パラメータである予熱手段による縦シール部分の表面温度を、連続的にモニタリングすることにより、検査員のサンプリングの手間を省き、運転中に即座にシール最適条件に設定変更できる包装充填装置及び包装充填方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装充填装置は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する装置であって、
少なくとも筒状成形及びの合せ接合における包装積層材料を無菌的に収容する無菌室と、
帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、縦シールのために予熱する予熱手段と、
予熱された縁部の表面を臨み、表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信する熱画像撮影装置と、
測定値信号を受信し、予熱された縁部の表面温度を判定して予熱手段及び/包装充填装置に制御信号を送信する制御手段とを有する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様において、予熱手段が、縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズルを備え、予熱手段が、制御手段からの制御信号により、ホットエアーの流量、温度及び/又は風向きを調整する。
この発明の好ましい態様において、制御手段からの制御信号により、包装充填され、不良と判定された容器を排出する。
【0009】
本発明の包装充填方法は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する方法であって、
少なくとも筒状成形のステップ及びの合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室に収容し、
帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、ホットエアヒータ若しくは誘導加熱装置である予熱手段によって縦シールのために予熱し、
熱画像撮影装置を予熱された縁部の表面に臨ませ、表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信し、
測定値信号を受信した制御手段が、予熱された縁部の表面温度を判定して予熱手段及び/包装充填装置に制御信号を送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明による包装充填装置及び方法は、連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、帯状包装積層材料が筒状に成形され帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、少なくとも筒状成形のステップ及びの合せ接合のステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室に収容し、内容物を充填して横シールし、帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する。
この装置・方法において、帯状包装積層材料が連続的に装置に供給され、連続的に、無菌的に、内容物が充填され成形された容器が製造される。
【0011】
本発明の包装充填装置の特徴において、帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、予熱手段によって縦シールのために予熱する。
ホットエアヒータ若しくは誘導加熱装置等である予熱手段が、帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を加熱し、加熱部分面が、例えば、熱シール性熱可塑性樹脂であれば、軟化若しくは溶融し、別の縦シール面と接合したとき、ヒートシールすることができるようになる。
【0012】
本発明の包装充填装置の特徴において、予熱された縁部の表面を臨み、表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信する熱画像撮影装置を備える。
熱画像撮影装置は、熱をとらえるカメラであり、赤外線サーモグラフィとも呼ばれる。赤外線は、温度をもつ物体すべてからその温度に応じた波長分布をもっていて自然に放射されるという特徴をもつ。赤外線サーモグラフィは、対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出し、見かけの温度に変換して、温度分布を画像表示する装置あるいはその方法である。
表面温度に応じた波長分布を色画像として表し分析する赤外線サーモグラフィの特長は、(1)面の温度分布として捉え、可視化情報として表示でき、(2)対象物から離れたところから、非接触で温度測定ができ、かつ(3)リアルタイムで温度計測ができることである。
物体の表面温度の分布を色分けして表示は、通常、温度の低い部分は青っぽく、温度が高くなるに従い、緑→黄→赤→白の色で表示される。
【0013】
本発明の包装充填装置の特徴において、測定値信号を受信し、予熱された縁部の表面温度を判定して予熱手段及び/包装充填装置に制御信号を送信する制御手段を有する。
そのため、好ましい態様において、予熱手段が、縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズルを備え場合、予熱手段が、制御手段からの制御信号により、ホットエアーの流量、温度及び/又は風向きを調整することができる。
また、予熱手段が、誘導加熱装置であれば、その装置の出力を調整することができる。
【0014】
更に、制御手段からの制御信号により、包装充填され、不良と判定された容器を排出することもできる。
上述のように、縦シールの制御パラメータである予熱手段による縦シール部分の表面温度を、連続的にモニタリングすることにより、検査員のサンプリングの手間を省き、運転中に即座にシール最適条件に設定変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による一実施例の包装充填装置の予熱手段の概略図である。図2は、この発明に使用できる包装充填装置の一例のを示す概略斜視図である。図3は、包装充填装置の縦シール用のプレッシャローラの概略側面図である。図4は、熱画像撮影装置で予熱手段直下の縦シール部分表面を撮影した熱画像を二値化画像処理した画像図である。
【0016】
図2に示されるように、帯状包装積層材料1は、リールの状態で包装充填装置に収容される。包装積層材料1は、紙基材及び紙基材の両面にポリエチレン樹脂が積層された可撓性の積層体から成り、アルミニウム箔から成るバリヤ層が形成され、文字模様等の印刷が施される。
【0017】
繰り出された包装積層材料1は、搬送手段によって連続的に搬送され、ベンディングローラ、ダンパローラ等を経て、シーリングテープ貼着装置3に送られ、包装積層材料1の一方の縁部に沿ってシーリングテープ2が貼着される。
帯状包装積層材料1の縁部にシーリングテープ2を前もって接着する際、帯状包装積層材料とシーリングテープ2とを挟んで、プレッシャローラとカウンタローラとで接合する。
【0018】
包装積層材料1は、殺菌槽4に送られ、殺菌槽4において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。包装積層材料1は、エアナイフ5によって乾燥させられた後、無菌室40に送られる。そして、包装積層材料1は、成形リング6、その他の成形リングによって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされる。包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱されて、縦方向にシールされ、充填パイプ7を介して供給された流動性食品がチューブ状包装積層材料1内に充填される。
【0019】
ホットエアーは帯状包装積層材料の縁部を加熱する。筒状成形のステップ及び予熱・シールステップにおいて、包装積層材料を無菌的に無菌室40で被い一時的に収容する。
【0020】
包装積層材料1は、縦シール装置の予熱手段8からのホットエアーによって予熱される。縦シール装置の一例を示す図1を参照して説明すると、予熱手段8は、ガイドロール26で包装積層材料の縁部一端1aを案内しながら、縁部一端1aをホットエアーノズル24で加熱し、ホットエアーノズル24の裏面で縁部一端1bも案内する。
一実施例の包装充填装置のプレッシャローラとカウンタローラの部分側面図である図3に示すように、次いで、プレッシャローラ20とカウンタローラ21とガイドローラ26によって、縦方向にシールする。
【0021】
プレッシャローラとカウンタローラの図3に示すように、チューブ状に成形された包装積層材料1の両縁部1a、1b同士を、縦シール装置のローラによってシーリングテープと共に押し当てる。
この例のプレッシャローラ20は、バネ23を介して充填パイプ7、固定具30、31に支持される。バネの弾性力によって、プレッシャローラ20は、予熱手段8により加熱された縦シール部1a及び1bを筒内側から圧する。他方、カウンタローラ21が、縦シール部1a及び1bを挟んでプレッシャローラ20と対向し、筒外側から押さえる。その結果、熱と圧力で縦シールを得ることができる。
【0022】
この態様の包装充填装置は、予熱された縁部の表面1を臨み、縁部表面及びその近傍表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信する熱画像撮影装置50を備える。
熱画像撮影装置50が、予熱手段8直下の予熱された縁部の表面及びその近傍表面の表面温度分布を測定する。
図4に、熱画像撮影装置50で予熱手段8直下の縦シール部分表面を撮影した熱画像を二値化画像処理した画像を示す。
このサンプル画像は、包装積層材料1のアルミ箔を故意に剥離させて通過させた場合の画像である。正常であれば、白い一筋の帯となって見える箇所が、白色丸で囲む箇所に鮮明に黒い(すなわち、温度の低い箇所)部分(欠陥箇所)が現れているわかる。
【0023】
この態様の包装充填装置は、熱画像撮影装置50からの測定値信号を受信し、予熱された縁部の表面温度を判定して制御信号を送信する制御手段51を有する。制御信号は、予熱手段8のコントローラ52に、また、包装充填装置のコントローラ53に送信される。
制御手段は、熱画像撮影装置50からの測定値信号(画像データ)の画像処理も含むことができる。画像処理の流れの一例として、画像入力−画像変換−分類がある。まず対象とする画像を入力し、この画像に対して変換処理を行う。変換の方法としてはさまざまなものが存在するが、基本的なものでは濃淡画像を白黒2値にする「2値化」、濃度変化から物体の境界を見出す「エッジ検出」である。変換処理を重ね必要な情報の抽出を行い、最後に得られた情報の分類を行う。
この態様において、予熱手段8が、縁部に対向するノズル用板及び、ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズル24を備え場合、予熱手段8が、制御手段51からの制御信号により、ホットエアーの流量、温度及び/又は風向きを調整する。
【0024】
更に、この態様の包装充填装置は、制御手段からの制御信号によりコントローラ53によって、包装充填され、不良と判定された容器を排出することもできる。
これら制御によって、シール不良を未然に防ぐ防止、若しくは、深刻な不良から軽微な不良への改善へ導くことができる。
万が一、シール不良が生じても、装置から連続的に製造された包装容器のラインからシール不良の容器を追跡し、欠陥容器をラインから排出することができる。
その他、上述の制御信号には、設定値に基づいてコントローラが判断した信号、又はマニュアルによる信号がある。
上述の実施例から実証されたように、縦シールの制御パラメータである予熱手段による縦シール部分の表面温度を連続的にモニタリングし、検査員のサンプリングの手間を省き、運転中に即座にシール最適条件に設定変更できる。
【0025】
図2に示すように、チューブ状包装積層材料12は、ローラによって案内され、横シール装置10に送られ、横方向にシールされ、横シールされた包装積層材料12は、ナイフなどで切断されて枕状の原型容器13が形成される。そして、原型容器13は、最終成形搬送装置によって搬送されて最終の形状に成形され、流動性食品を収容する包装容器14が完成する。
【0026】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の包装充填装置及び包装充填方法によって、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明による一実施例の包装充填装置の予熱手段の拡大外観図である。
【図2】一実施例の包装充填装置を示す概略斜視図である。
【図3】包装充填装置の縦シール用のプレッシャローラの概略側面図である。。
【図4】縦シール部分表面を撮影した熱画像を二値化画像処理した画像図である。
【符号の説明】
【0029】
8 予熱手段
50 非接触赤外線放射型温度計
51 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、該帯状包装積層材料が筒状に成形され該帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、該帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する装置であって、
少なくとも前記筒状成形及び前記の合せ接合における前記包装積層材料を無菌的に収容する無菌室と、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、縦シールのために予熱する予熱手段と、
予熱された該縁部の表面を臨み、該表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信する熱画像撮影装置と、
該測定値信号を受信し、予熱された該縁部の該表面温度を判定して該予熱手段及び/該包装充填装置に制御信号を送信する制御手段とを有する、
ことを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
前記予熱手段が、該縁部に対向するノズル用板及び、該ノズル用板に多数個形成されホットエアーを噴出するノズルを備え、
該予熱手段が、前記制御手段からの制御信号により、該ホットエアーの流量、温度及び/又は風向きを調整する、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項3】
前記制御手段からの制御信号により、包装充填され、不良と判定された前記容器を排出する、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項4】
連続的に搬送される帯状包装積層材料の縁部の縦シール部面に、該帯状包装積層材料が筒状に成形され該帯状包装積層材料の他方の縁部を合せて接合し、内容物を充填して横シールし、該帯状包装積層材料を切断分離して容器に包装充填する方法であって、
少なくとも前記筒状成形のステップ及び前記の合せ接合のステップにおいて、前記包装積層材料を無菌的に無菌室に収容し、
前記帯状包装積層材料の一方若しくは両方の縁部を、予熱手段によって縦シールのために予熱し、
熱画像撮影装置を予熱された該縁部の表面に臨ませ、該表面の表面温度分布を測定して測定値信号を送信し、
該測定値信号を受信した制御手段が、予熱された該縁部の該表面温度を判定して該予熱手段及び/該包装充填装置に制御信号を送信する、
ことを特徴とする包装充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−120254(P2009−120254A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298741(P2007−298741)
【出願日】平成19年11月18日(2007.11.18)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】