説明

包装装置

【課題】袋状部材を用いて使用済みの医療用器具等を個別に効率良く包装することが可能であって、広い設置スペースを必要とせず、しかも安価に製造することが可能な包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置は、上面にワーク2の投入口3を有し、操作盤1aとキャスタ1bが上部と下部に取り付けられた本体1の内部に、滅菌バッグの袋口を拡げる拡口部6と、滅菌バッグの袋口を溶着するヒートシーラー7と、滅菌バッグを搬送する搬送トレイ8と、吸着パッド9と、ワーク2が封入された滅菌バッグを本体1の外部へ排出するシュート10が傾斜テーブル17上に設置された構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院で使用された医療用器具を個別に包装する包装装置に係り、特に、熟練者でなくとも操作が容易であって、広い設置スペースを必要とせず、かつ、安価に製造することが可能な包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの医療用器具を再利用する際には、洗浄や滅菌処理が施される。滅菌処理としては、例えば、一方の面が細菌を透過させずに通気性のみを有する特殊なシートからなり,他方の面が通気性を有さない透明フィルムからなる滅菌バッグに医療用器具を封入した状態でガスや蒸気を吹き付ける方法が知られている。この滅菌処理を行うためには、使用済みの医療器具を滅菌バッグに詰める必要があるが、この作業は、従来、人手によって行われていた。例えば、ピンセットやハサミ等の小物は5〜20本ごとにまとめて1つのバッグに包装されており、少量を使用するときでもバッグを開封しなければならないため、未使用の器具について再度滅菌処理をする必要があった。そして、開封された状態のバッグに未使用の器具を入れたままにしておくと、細菌の感染等の問題が生じるため、最近では、単品包装が義務化されている。また、大規模な病院では、ピンセット等が1日に500本以上必要となることから、上述のような人手による袋詰め作業が困難となっている。そこで、このような課題を解決するべく、近年、医療用器具の自動包装装置について研究や開発が行われており、既にそれに関して幾つかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「滅菌バッグ及びこれを製造するためのヒートシーラー」という名称で、ピンセット、メス、ハサミ等のように先端が鋭利な金属製の医療器具を投入した場合でも損傷し難い滅菌バッグと、これを製造するためのヒートシーラーに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明である滅菌バッグは、重ね合わされた2枚の樹脂フィルムの両側縁部と底部をヒートシールすることによって形成されるものであり、2枚の樹脂フィルムが複数の箇所において所定の面形状でヒートシールされたストッパー部を有することを特徴とする。また、この滅菌バッグを製造する装置として、滅菌バッグを形成する第一シート部材と第二シート部材を加熱する加熱体と、加熱された滅菌バッグの側縁部と底部を圧着する第一圧着体と、第一シート部材又は第二シート部材との対向表面に少なくとも1以上の凸部が設けられ,第一圧着体と同様に滅菌バッグを圧着する第二圧着体を備えたヒートシーラーが開示されている。
このような構造の滅菌バッグにおいては、滅菌バッグに投入された医療器具がストッパー部近傍で第一シート部材と第二シート部材に挟まれるように減速しながら底部に落下していき、底部に接触する前に停止するため、医療器具の先端が底部に突き刺さり滅菌バッグを破損させるおそれがない。そして、上述のヒートシーラーによれば、上記構造の滅菌バッグを安価に製造することができる。
【0004】
また、医療器具を包装するためのものではないが、特許文献2には、「自動包装機」という名称で、滅菌した充填材料をクリーンな状態で密封シールすることが可能な装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、機体の上面部に設けられたクリーンボックス内に、包装フィルムを巻いたリールと,送られてきた包装フィルムを断面略U字状にフォーミングするフォーミング部材が設置され、クリーンボックスに通じるシール通路内に、縦ヒートシーラーと横ヒートシーラーが設けられ、滅菌済みの充填材料が、供給パイプを介して供給口からクリーンボックス内へと供給される構造となっている。
このような構造によれば、包装中に充填材料と包装フィルムが外気に触れないため、自動包装機を設置するための大きなクリーン室を造らなくとも、包装体のクリーン度を高い状態に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−34269号公報
【特許文献2】特開平8−133226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、先端が鋭利な金属製の医療器具を投入した場合でも損傷し難い滅菌バッグを製造することができるものの、滅菌バッグの開閉作業の容易化や、医療用器具等を滅菌バッグに封入する際の作業効率の改善等の目的には利用することができない。
【0007】
また、特許文献2に開示された発明においては、充填材料を密封シールする際の環境をクリーンな状態とすることはできるものの、予め袋状に成形され、収納された多数の部材の中から、一枚ずつ部材を取り出して、これに製品を投入してシールする構成となっていないため、使用済みの医療用器具等を個別に密封するという用途には利用できないという課題があった。また、本発明をこのような用途に利用しようとすると、装置が大型化するとともに、製造コストが高くなるおそれがある。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、袋状部材を用いて使用済みの医療用器具等を個別に効率良く包装することが可能であって、広い設置スペースを必要とせず、しかも安価に製造することが可能な包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である包装装置は、ワークが投入されたバッグの袋口を溶着する包装装置において、バッグの袋口に挿入可能に先端部がテーパー状に形成され,基端部がワークの幅よりも広い間隔をあけて配置される一対の拡口爪を有する拡口部と、この拡口部に袋口を向けてバッグが上面に載置される搬送トレイと、一対の拡口爪の先端部をバッグへ挿抜自在に,この搬送トレイを拡口部に対して接近又は離間させる搬送トレイ駆動手段と、バッグを吸着自在に,搬送トレイに設置される吸着手段と、搬送トレイ上に載置されるバッグの袋口を挟持して溶着するヒートシーラーとを備え、搬送トレイは、その上面に載置されるバッグの袋口が斜め上方を向くように、水平に対して傾斜した状態で設置されることを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、搬送トレイを拡口部に接近させることにより、上面に吸着保持されているバッグへ拡口爪を挿入させると、テーパー状に形成された拡口爪の先端部によってバッグが厚さ方向に拡口されるという作用を有する。そして、拡口部と搬送トレイの距離を変更すると、バッグに対する拡口爪の挿入深さが変わり、バッグの厚さ方向の開口度が変わるという作用を有する。さらに、搬送トレイが水平に対して傾斜した状態で設置されているため、吸着手段によるバッグの吸着を解除すると、バッグが自重落下し、搬送トレイ上から排除されるという作用を有する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装装置において、拡口部は、搬送トレイと同一平面上に配置される滑走面を有し、一対の拡口爪は先端部が接離可能に揺動し,基端部が滑走面に枢着されるとともに、先端部を接離自在に,一対の拡口爪を駆動する揺動手段を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、一対の拡口爪の先端部によってバッグが幅方向に対して略均一に内側から押し広げられるという作用を有する。そして、バッグは袋口が拡げられた状態のまま、一対の拡口爪によって保持されるという作用を有する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の包装装置において、バッグの袋口に風を吹き付け可能に設置されるファンを備えたことを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、バッグを拡口するという作用に加えて、袋口に吹き付けられた風がバッグ内に流れ込み、バッグを内側から拡げるという作用を有する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の包装装置において、吸着手段は、搬送トレイに設けられた開口部から出没可能に,搬送トレイの下方に設置されるとともに、吸着手段を開口部から出没自在に駆動する昇降手段を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、吸着手段による吸引を停止するとともに、吸着手段を搬送トレイの下方に退避させると、吸着手段がバッグから完全に分離するため、吸着手段によるバッグの吸着状態が確実に解除されるという作用を有する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の包装装置において、搬送トレイの移動方向に対して垂直にヒートシーラーを移動させるヒートシーラー駆動手段を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、ヒートシーラーによってバッグが搬送されつつ溶着されるという作用を有する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の包装装置において、拡口爪と搬送トレイの間に設置され,バッグを検出するセンサと、このセンサの検出結果に従って搬送トレイ駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
このような構造の包装装置においては、バッグの位置を基準として、拡口部やヒートシーラーに対する搬送トレイの位置が定められるという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の包装装置によれば、簡単な構造によってバッグを拡口するとともに、その開口度を容易に調節することができる。また、搬送トレイ上からバッグを排出するための動力を必要としないため、装置の小型化及び低価格化を図ることが可能である。
【0016】
本発明の請求項2に記載の包装装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、バッグが開口された状態で保持されることから、ワークを確実にバッグへ投入できるという効果を奏する。また、幅が異なる場合であっても拡口爪の先端部の開き具合を変えるだけで、上述の効果が同様に発揮される。
【0017】
本発明の請求項3に記載の包装装置によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、ワークがバッグの途中に引っ掛かり難いため、ワークをバッグの底まで確実に投入することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項4に記載の包装装置によれば、請求項1乃至請求項3に記載の発明の効果に加え、バッグの自重落下を容易にして、搬送トレイ上からバッグを確実に排除することができるという効果を奏する。
【0019】
本発明の請求項5に記載の包装装置によれば、袋口の溶着の完了を待たずに、バッグを搬送トレイ上から移動させることができる。この場合、バッグを溶着する作業と、搬送トレイに次のバッグを供給する作業を同時に実施できるため、ワークの量が多い場合でも、その包装を短時間で行うことが可能である。
【0020】
本発明の請求項6に記載の包装装置によれば、搬送トレイに供給されるバッグの位置にばらつきがある場合でも、拡口部やヒートシーラーに対して常にバッグを適切な箇所に配置することができる。従って、拡口爪の挿入不足によるバッグの拡口エラーやバッグの溶着箇所の不揃い等の不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装装置の実施例の構成を模式的に示した側面図である。
【図2】図1のA方向矢視図である。
【図3】(a)乃至(c)は本実施例の包装装置において拡口爪とその周辺部を部分的に拡大して示した拡口部の平面図である。
【図4】(a)は本実施例の包装装置における拡口部の構成を模式的に示した側面図であり、(b)乃至(d)は図4(a)のガイド部付近の拡大図である。
【図5】(a)は本実施例の包装装置における収納トレイと吸着パッドと静電気除去器の側面図であり、(b)は収納トレイと静電気除去器の平面図である。
【図6】(a)及び(b)はそれぞれ本実施例の包装装置における搬送トレイの側面図及び平面図であり、(c)は上面に載置された滅菌バッグとその近傍を部分的に拡大して示した搬送トレイの正面図である。
【図7】(a)は本実施例の包装装置のヒートシーラーの部分側面図であり、(b)は図7(a)のG方向矢視図である。
【図8】本実施例の包装装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
使用済みの医療器具は、滅菌バッグに封入された状態で高圧蒸気やエチレンオキサイドガスを用いて滅菌される。そのため、滅菌バッグは、例えば、滅菌紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等の不織布のように菌を透過させない性質に加え、通気性を有するシート部材によって形成されている。以下、このような滅菌バッグにピンセットを封入する場合を例にとって、本発明の包装装置の具体的な構造とそれに基づく作用・効果について図1乃至図8を参照しながら詳しく説明する。
【実施例】
【0023】
図1は本発明の実施の形態に係る包装装置の実施例の構成を模式的に示した側面図であり、図2は図1のA方向矢視図である。なお、図1では収納トレイや静電気除去器の図示を省略し、図2では操作盤の図示を省略している。
包装装置は、ピンセット等のワーク2が投入される投入口3が本体1の上面に設けられ、操作盤1aとキャスタ1bが本体1の上部と下部にそれぞれ取り付けられた構造となっている。投入口3には、アクチュエータ4aによって駆動されるシャッター4が開閉自在に設けられており、シャッター4の手前にはワーク2の存在を検出するセンサ4bが設けられている。
【0024】
本体1の内部には、投入口3に近い側から順番に、滅菌バッグ5の袋口を拡げる拡口部6と、滅菌バッグ5の袋口を溶着するヒートシーラー7と、滅菌バッグ5を搬送する搬送トレイ8と、吸着パッド9と、ワーク2が封入された滅菌バッグ5を本体1の外部へ排出するシュート11が傾斜テーブル17上に設置されている。そして、拡口部6の滑走面6a,搬送トレイ8の上面及びシュート11の上面は、略同一平面をなしている。また、投入口3の滑走面3aは、拡口部6の滑走面6aと略同一平面をなすように形成されている。さらに、拡口部6は、滑走面3a上を滑走するようにして投入口3から投入されたワーク2が、滑走面6a上へと無理なく移動できるように、投入口3に近接して配置されている。そして、傾斜テーブル17は、水平に対して30〜35°の傾斜角をなすように本体1に取り付けられている。なお、後述するように、シャッター4、拡口部6、ヒートシーラー7、搬送トレイ8及び吸着パッド9,10の動作はタイマを有する制御部によって制御されている。
【0025】
搬送トレイ8はアクチュエータ8aによって駆動され、傾斜テーブル17に沿って矢印Yの方向(傾斜テーブル17の傾斜方向)に移動する。また、吸着パッド9,9はアクチュエータ9a,9bによって駆動され、傾斜テーブル17に沿って矢印Xの方向(矢印Yと直交する方向)に移動し、矢印Zの方向(傾斜テーブル17に垂直な方向)に昇降する。すなわち、アクチュエータ8aは、拡口爪6b,6bの先端部を滅菌バッグ5へ挿抜自在に,搬送トレイ8を拡口部6に対して接近又は離間させる搬送トレイ駆動手段となっている。そして、吸着パッド9,9の間には、吸着された滅菌バッグ5よりも上方となる位置にセンサ9cが設置されている。さらに、ヒートシーラー7はアクチュエータ7bによって駆動され、矢印Xで示すように傾斜テーブル17と平行に移動する。すなわち、アクチュエータ7bはヒートシーラー7を搬送トレイ8の移動方向に対して垂直に移動させる駆動手段となっている。また、後述するようにヒートシーラー7はアクチュエータ7aによって駆動されるアーム7c,7cで滅菌バッグ5を挟持して、袋口を溶着する構造となっている。さらに、搬送トレイ8を挟んでヒートシーラー7の反対側には、複数枚の滅菌バッグ5が収納された収納トレイ12と、静電気除去器16が設置されている。また、本体1の内部には、真空ポンプ13とコンプレッサ(図示せず)がファン14aを備えた防音ボックス15に内蔵された状態で設置されている。なお、本実施例では、駆動手段として圧縮空気を駆動源とするアクチュエータを複数使用しており、上記コンプレッサと真空ポンプ13はそれらのアクチュエータを駆動するために用いられる。また、アクチュエータは本実施例に示す場合に限定されるものではなく、例えば、油圧式や電動式のアクチュエータであっても良い。
【0026】
拡口部6は、先端部が接離自在となるように,基端部が滑走面6aにそれぞれ枢着される一対の拡口爪6b,6bと、アクチュエータ6cに駆動されて拡口爪6b,6bをそれぞれ押動するローラ6d,6dと、拡口爪6b,6bにそれぞれ取り付けられ,それらの動作を制限するバネ6e,6eを備えている。すなわち、アクチュエータ6cに駆動されるローラ6d,6dと、バネ6e,6eは拡口爪6b,6bを駆動して、その先端部を近接又は離間させる揺動手段を構成している。また、拡口爪6b,6bの先端部近傍にはセンサ6f,6fが設置され、滑走面6aの下方にはガイド部6gの開口部6hから風を吹き出し可能にファン14bが設置されている。さらに、ガイド部6gと搬送トレイ8の間には、滑走面6aと搬送トレイ8の上面によって形成される平面よりも下方にセンサ6iが設置されており、搬送トレイ8には、長手方向(図2に矢印Yで示した方向)に対して平行に貫通孔8b,8bが設けられている。そして、搬送トレイ8の下方には、アクチュエータ10aに駆動されて昇降する吸着パッド10,10が貫通孔8b,8bを通って搬送トレイ8の上方へ出没可能に設置されている。すなわち、アクチュエータ10aは吸着パッド10,10を駆動して搬送トレイ8の開口部8b,8bから出没させる昇降手段となっている。また、搬送トレイ8の上面には、貫通孔8bの近傍にセンサ8cが設置されている。さらに、シュート11の上面には、ワーク2が封入された滅菌バッグ5の存在を検出するためのセンサ11aがヒートシーラー7の近傍に設置されている。なお、センサ6iが設置される位置は、本実施例に示した場合に限定されない。すなわち、センサ6iはガイド部6gと搬送トレイ8の間であれば、例えば、滑走面6aと搬送トレイ8の上面によって形成される平面よりも上方に設置されていても良い。
【0027】
拡口部6の構造について図3及び図4を用いて詳しく説明する。
図3(a)乃至(c)は本実施例の包装装置において拡口爪6bとその周辺部を部分的に拡大して示した拡口部6の平面図である。また、図4(a)は本実施例の包装装置における拡口部6の構成を模式的に示した側面図であり、図4(b)乃至図4(d)は図4(a)のガイド部6g付近の拡大図である。なお、図1又は図2に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
拡口爪6b,6bは、幅方向に見て基端部が略直角に曲折された略長板状の部材であり、各基端部はワーク2の幅よりも広い間隔をあけて、それぞれ滑走面6aに枢着されている。そして、アクチュエータ6cに駆動されるローラ6d,6dは、互いに連動しながら矢印B,Bで示すように矢印Xの方向(図2参照)に対して平行に前進又は後退する構造となっている。従って、ローラ6d,6dを矢印Bの方向に前進させて拡口爪6b,6bを押動すると、図3(a)に示すように、拡口爪6b,6bの先端部同士の間隔が狭くなる。その結果、滅菌バッグ5の袋口への拡口爪6b,6bの挿入が可能となる。なお、アクチュエータ6cは上面が滑走面6aと略同一平面をなすように、滑走面6aに埋め込まれているため、ワーク2が滑走面6a上を滑走する際に、アクチュエータ6cが支障となるおそれはない。
【0028】
一方、拡口爪6b,6bの基端部には、バネ6e,6eがそれぞれ取り付けられており、矢印Cの向き(拡口爪6b,6bの先端部が開く方向)の回転モーメントが加えられている。従って、図3(b)に示すようにローラ6d,6dが矢印Bの方向に後退すると、バネ6e,6eの作用によって拡口爪6b,6bは矢印Cの向きに揺動し、拡口爪6b,6bの先端部同士の間隔が拡がる。これにより、滅菌バッグ5の袋口が幅方向に拡げられ、滅菌バッグ5の袋口が拡げられた状態は拡口爪6b,6bによって維持される。なお、バネ6e,6eを用いる代わりに、ローラ6d,6dを矢印Bの方向に後退させて拡口爪6b,6bの先端部同士の間隔を拡げるような構造とすることもできる。ただし、ローラ6d,6dの矢印Bの方向への移動量が適切でない場合には、ローラ6d,6dに対するアクチュエータ6cの駆動力が滅菌バッグ5の袋口を幅方向に拡げる力として直接作用し、滅菌バッグ5を破損してしまう可能性がある。これに対し、上述のとおり、拡口部6においては、滅菌バッグ5の袋口を幅方向に拡げる力がバネ6e,6eの復元力によって規定されているため、予め適正な復元力を有するバネ6e,6eを選定して設置することによれば、滅菌バッグ5の袋口に過度な力が作用して破損してしまうおそれがない。
また、図3(c)に示すように、拡口爪6b,6bの先端部同士の間隔が滅菌バッグ5の幅よりも広くなった場合、拡口爪6b,6bの存在がセンサ6f,6fによって検出される。すなわち、センサ6f,6fにより、滅菌バッグ5の袋口に対する拡口爪6b,6bの挿入エラーが検出される。
【0029】
図4(a)に示すように、拡口爪6bの先端部は側面視して滑走面6aに平行な下辺に対して上辺が傾斜したテーパー状をなしている。また、ガイド部6gは先端部が側面視略直角に曲折された板材であり、先端部が低くなるように傾斜した状態で滑走面6aの端部から延設されている。さらに、ファン14bによって発生した風は、矢印Dで示すように上昇した後、ガイド部6gの開口部6hから矢印Eの向きに送出される。
この拡口部6に対して、矢印Fで示すように矢印Xの方向(図2参照)に対して平行に袋口側を先頭にして滅菌バッグ5を近づけた場合、滅菌バッグ5は、袋口側がガイド部6gに案内されて上方にやや持ち上げられる(図4(b))。その結果、ファン14bによって発生し、ガイド部6gの開口部6hから送出された風は、矢印Eで示すように、滅菌バッグ5の袋口にやや下方から吹き付けられる(図4(c))。これにより、滅菌バッグ5の袋口が拡げられ(図4(c))、さらに拡口爪6b,6bが滅菌バッグ5に挿入される(図4(d))。なお、滅菌バッグ5の袋口に正面から風を吹き付けるようにしても滅菌バッグ5の袋口を拡げることは可能であるが、袋口に対して上方又は下方から風を吹き付けた場合の方が効率的に滅菌バッグ5の袋口を拡げることができる。さらに、本実施例では、滅菌バッグ5の下面5cに切り欠き5a(図6(b)参照)が設けられており、滅菌バッグ5の袋口に下方から吹き付けられる風が、切り欠き部5aにおいては上面5bにのみ吹き付けられるため、滅菌バッグ5を拡げるという上述の作用がより一層発揮される。
【0030】
搬送トレイ8、収納トレイ12及び吸着パッド9,10について図5及び図6を用いて説明する。なお、吸着パッド9,10は、柔軟性を有する発泡部材で形成されており、吸着パッド9,10がそれぞれ接続される吸引管9d,10bは、滅菌バッグ5の吸着不良が発生した場合でも吸引圧が低下し難いように流動抵抗の大きな細管(内径約2.5mm)によって構成されている。また、本実施例では、滅菌バッグ5の吸着手段として吸着パッド9,10を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸着パッド9,10の代わりに吸着プレート等を用いても良い。
図5(a)は本実施例の包装装置における収納トレイ12と吸着パッド9と静電気除去器16の側面図であり、図5(b)は収納トレイ12と静電気除去器16の平面図である。また、図6(a)及び図6(b)はそれぞれ本実施例の包装装置における搬送トレイ8の側面図及び平面図であり、図6(c)は上面に載置された滅菌バッグ5とその近傍を部分的に拡大して示した搬送トレイ8の正面図である。なお、図1乃至図4に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図5(a)及び図5(b)に示すように、収納トレイ12は上面が開放された箱状部材であり、前後左右に設けられた切り欠き12aの近傍には静電気除去器16が設置されている。この場合、滅菌バッグ5の通風性が確保され、静電気除去器16から送られるイオン化された空気によって滅菌バッグ5が効率良く除電される。従って、吸着パッド9,9によって滅菌バッグ5を吸着して収納トレイ12から取り出す際に、最上部の滅菌バッグ5を他の滅菌バッグ5から確実に分離して取り出すことができる。なお、静電気除去器16は収納トレイ12に対し、前後左右のいずれに設置しても良いが、上面5bと下面5cの帯電による吸着を防いで、滅菌バッグ5を開き易くするためには、本実施例のように、静電気除去器16を滅菌バッグ5が開口している側、すなわち、収納トレイ12の前方に設置することが望ましい。
【0032】
図6(a)に示すように、吸着パッド10,10は、アクチュエータ10aに駆動されて搬送トレイ8の上面へ出没可能に、搬送トレイ8の下方に設置されている。なお、本実施例では、滅菌バッグ5の下面5cを通気性シートとしているため、吸着パッド10,10の吸引管10bにオリフィス10cを設けて吸引圧の低下を防いでいる。
また、図6(b)に示すように、吸着パッド10,10は滅菌バッグ5を幅方向中心部の2箇所で吸着可能に配置されている。従って、ワーク2の種類に対応して滅菌バッグ5の幅を変更した場合でも吸引力はほとんど影響を受けない。また、吸着箇所が滅菌バッグ5の開閉動作の支障になり難い。なお、吸着パッド10,10において、吸引圧力が弱すぎると滅菌バッグ5の吸着が不完全となる。一方、吸引圧力が強すぎると上面5bの無通気性シートも吸着してしまい、拡口が困難となる。そこで、本実施例では、吸着パッド10,10の吸引圧力を−40〜−50KPaに設定している。
さらに、吸着パッド10,10は、図6(c)に示すように搬送トレイ8の上面から1〜2mm程度突出した状態で滅菌バッグ5を吸着する一方、滅菌バッグ5の吸着を解除する場合には、吸引を停止した後、搬送トレイ8の上面から隠れる位置まで下降する構造となっている。
【0033】
ヒートシーラー7の構造について図7を用いて説明する。
図7(a)は本実施例の包装装置のヒートシーラー7の部分側面図であり、図7(b)は図7(a)のG方向矢視図である。なお、図1乃至図6に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、ヒートシーラー7は、アクチュエータ7aに駆動されて互いに連動しながら矢印H,Hで示すように傾斜テーブル17(図1参照)に垂直な方向(図1に示したZ方向)に移動するアーム7c,7cを備えており、アーム7c,7cの先端には、ヒーター7dを内蔵する圧着ブロック7eがそれぞれ取り付けられている。すなわち、ヒートシーラー7は、ヒーター7dで加熱された圧着ブロック7e,7eが矢印Hの方向に移動して滅菌バッグ5の上面5bと下面5cを上下からそれぞれ挟持することで袋口を溶着し、圧着ブロック7e,7eが矢印Hの方向に移動することで滅菌バッグ5の保持状態が解除される構造となっている。また、圧着ブロック7e,7eには温度センサ(図示せず)が組み込まれており、ヒーター7d,7dの温度を個別に設定可能となっている。従って、滅菌バッグ5の上面5bと下面5cが異なる材質で構成されている場合でも、圧着ブロック7e,7eを各材質に適した温度にそれぞれ設定することにより、滅菌バッグ5を短時間で確実に溶着することができる。
【0034】
次に、包装装置の動作手順について図8を用いて説明する。
図8は本実施例の包装装置の動作手順を示すフローチャートである。なお、図1乃至図7に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
スイッチを入れて包装装置を起動すると、図8のステップS1に示すように、収納トレイ12から一枚の滅菌バッグ5が取り出されて搬送トレイ8に供給される。具体的には、まず、吸着パッド9,9がアクチュエータ9aに駆動されて収納トレイ12の上方まで横方向(図2に示したX方向)に移動する。さらに、吸着パッド9,9はアクチュエータ9bに駆動され、センサ9cが滅菌バッグ5を検出するまで下降した後、滅菌バッグ5の上面5bを吸着する。その状態で、吸着パッド9,9は、アクチュエータ9bに駆動されて上昇した後、アクチュエータ9aに駆動されて搬送トレイ8の上方まで横方向(図2に示したX方向)に移動する。そして、センサ8cによって搬送トレイ8上に滅菌バッグ5が存在しないことが検出されると、吸着パッド9,9は、アクチュエータ9bに駆動され、センサ8cによって滅菌バッグ5が検出されるまで下降する。
【0035】
センサ8cによって搬送トレイ8上に滅菌バッグ5が存在することが検出されると、吸着パッド10,10はアクチュエータ10aに駆動されて搬送トレイ8の上面へ突出し、滅菌バッグ5の下面5cを吸着する。これにより、滅菌バッグ5が保持される(ステップS2)。その後、吸着パッド9,9による滅菌バッグ5の上面5bに対する吸着状態が解除される。そして、滅菌バッグ5の上面5bの吸着を解除した吸着パッド9,9は、搬送トレイ8の移動を阻害しないように退避するべく、アクチュエータ9bに駆動されて上昇する(ステップS3)。一方、拡口爪6b,6bは、アクチュエータ6cに駆動されるローラ6d,6dに押動され、先端部同士の間隔が狭められる。その後、搬送トレイ8は、アクチュエータ8aに駆動されて、センサ6i(図1又は図2参照)によって滅菌バッグ5が検出される位置まで縦方向(図2に示したY方向)に移動する。その結果、滅菌バッグ5の袋口に拡口爪6b,6bが挿入される。そして、テーパー状に形成された拡口爪6b,6bの先端部によって滅菌バッグ5が厚さ方向に拡口される。このとき、拡口部6に対する搬送トレイ8の前進限を変更すると、滅菌バッグ5は厚さ方向の開口度が変わることになる。
【0036】
さらに、ローラ6d,6dが後退することにより、拡口爪6b,6bがバネ6e,6eの作用によって揺動し、先端部同士の間隔が拡げられる。その結果、滅菌バッグ5が拡口爪6b,6bの先端部によって内側から幅方向に押し拡げられる。これにより、滅菌バッグ5の袋口は略矩形状に開口した状態となる。すなわち、拡口爪6b,6bは滅菌バッグ5の袋口を幅方向に対して略均一に拡口させるという作用を有する。
なお、滅菌バッグ5は袋口が拡げられた状態のまま、拡口爪6b,6bによって保持される。そして、ファン14bによって発生し、滅菌バッグ5の袋口に吹き付けられる風は、滅菌バッグ5の拡口を容易にするだけでなく、滅菌バッグ5内に流れ込むことで、滅菌バッグ5を内側から拡げるという作用を有する(ステップS4)。
【0037】
なお、ステップS4において、センサ6f,6fが拡口爪6b,6bの少なくともいずれか一方を検出した場合、ステップS5において、滅菌バッグ5内への拡口爪6b,6bの挿入が不十分であり、滅菌バッグ5の拡口エラーが発生したと判断される。この場合、吸着パッド10,10が滅菌バッグ5の吸引を停止して、搬送トレイ8の下方へ退避する。その結果、搬送トレイ8上の滅菌バッグ5は自重によって落下し、シュート11上を滑走して本体1の外部へと排除される(ステップS6)。すなわち、上記構造の吸着パッド10,10によれば、滅菌バッグ5を搬送トレイ8から完全に分離し、滅菌バッグ5の自重落下を容易にして、搬送トレイ8上から滅菌バッグ5を確実に排除することができる。なお、搬送トレイ8上から滅菌バッグ5が排除されると、ステップS1〜ステップS4の処理が再び行われる。一方、滅菌バッグ5の拡口エラーが発生しなかった場合には、ステップS7の処理が行われる。
【0038】
ステップS7において、投入口3に投入されたワーク2がセンサ4bによって検出されると、シャッター4が開状態となり、ワーク2は拡口部6の滑走面6aを通過して、滅菌バッグ5内に投入される。すなわち、拡口部6の滑走面6aは、水平に対して傾斜状態で配置される搬送トレイ8の上面と略同一平面をなすため、投入口3から投入されたワーク2が自重落下により、その表面を滑走する。なお、シャッター4はワーク2の通過に伴い、閉状態となる。
【0039】
滅菌バッグ5にワーク2が投入されると、アクチュエータ6cに駆動されるローラ6d,6dによって拡口爪6b,6bが押動され、先端部同士の間隔が再び狭められた後、センサ6i(図1又は図2参照)が滅菌バッグ5を検出しなくなる位置まで、搬送トレイ8がアクチュエータ8aに駆動されて後退する。さらに、ヒートシーラー7がアクチュエータ7bによって駆動され、搬送トレイ8上の滅菌バッグ5を挟持可能な位置まで横方向(図2に示す矢印X)に移動する。なお、センサ11aが滅菌バッグ5を検出した場合は、ステップS9で後述するように滅菌バッグ5が排出されて、シュート11上に存在しなくなるまで、ヒートシーラー7は搬送トレイ8から離れた場所で待機する。
一方、センサ11aによって滅菌バッグ5が検出されない場合には、上述のとおり、ヒートシーラー7が移動し、アクチュエータ7aによって駆動されるアーム7c,7cが搬送トレイ8上の滅菌バッグ5の袋口を上下から挟持する。また、これに伴って、吸着パッド10,10による滅菌バッグ5の吸着状態が解除される。そして、ヒートシーラー7は、アーム7c,7cによって滅菌バッグ5の袋口を溶着しながら、アクチュエータ7bに駆動されて搬送トレイ8から離れる方向へ移動する(ステップS8)。
【0040】
ヒートシーラー7が搬送トレイ8の近傍から退避した後、所定の時間が経過したことがタイマによって検出されると、ヒートシーラー7のアーム7c,7cは開状態となる。その結果、滅菌バッグ5は自重落下によりシュート11上を滑走するようにして本体1の外部へと排出される(ステップS9)。一方、ステップS8において、上面から滅菌バッグ5が取り除かれた搬送トレイ8には、吸着パッド9,9によって収納トレイ12から新たな滅菌バッグ5が供給され、ステップS2以下の処理が再び行われる。
【0041】
以上説明したように、本発明の包装装置においては、簡単な構造によって滅菌バッグ5を容易に拡口するとともに、その開口度を容易に調節することが可能である。また、仕様変更により滅菌バッグ5の幅が変更になった場合でも、拡口爪6b,6bの先端部の開き具合を調節することにより容易に対応することができる。さらに、滅菌バッグ5が拡口爪6b,6bによって袋口が開口された状態で保持されるとともに、ワーク2が途中で引っ掛かり難いようにファン14bから送り込まれる風によって滅菌バッグ5が内側から拡げられるため、ワーク2を滅菌バッグ5に確実に投入することができる。加えて、滅菌バッグ5の袋口の溶着と、搬送トレイ8への新たな滅菌バッグ5の供給を同時に行うことができるため、ワーク2を短時間で効率良く包装することが可能である。また、搬送トレイ8に供給された滅菌バッグ5の先端部の位置が揃っていない場合でも、拡口部6やヒートシーラー7に対して常に滅菌バッグ5を適切な箇所に配置することが可能である。従って、拡口爪6b,6bの挿入不足による滅菌バッグ5の拡口エラーや滅菌バッグ5の溶着箇所の不揃いといった不具合の発生を防止することができる。さらに、拡口部6から搬送トレイ8への滅菌バッグ5の搬送や、搬送トレイ8からシュート11への移動、及びシュート11上の滅菌バッグ5の排出に動力を必要としないため、装置の小型化と低価格化を図ることが可能である。
【0042】
なお、本発明の包装装置の構造は、本実施例に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、拡口部6の滑走面6aと搬送トレイ8の上面を水平に対して傾斜させる代わりに、拡口部6の滑走面6aと搬送トレイ8の上面を鉛直方向に対して平行な状態とすることもできる。このような構造によれば、拡口部6から搬送トレイ8への滅菌バッグ5の搬送に動力を要しないという効果が本実施例の場合と同様に発揮される。ただし、この場合、滅菌バッグ5の上端が倒れて拡口爪6b,6bが挿入不能とならないように、滅菌バッグ5の袋口近傍を両側から保持する必要がある。そして、滅菌バッグ5の袋口近傍を保持すると、袋口の変形が制限されるため、拡口爪6b,6bによって滅菌バッグ5を拡口するという上述の作用が発揮され難い。加えて、ヒートシーラー7のアーム7c,7cが滅菌バッグ5の袋口を挟持する際に、滅菌バッグ5の袋口を保持する吸着手段等が障害となるおそれもある。一方、本実施例では、滅菌バッグ5が搬送トレイ8に載置される構造となっているため、上端部が倒れないように滅菌バッグ5の袋口近傍を両側から保持する必要がない。従って、拡口部6やヒートシーラー7の動作が阻害されるおそれはない。すなわち、本発明の包装装置では、拡口部6の滑走面6aと搬送トレイ8の上面が水平に対して傾斜した状態で設置されることにより、拡口部6から搬送トレイ8へ滅菌バッグ5を搬送する際に動力を要しないという上述の効果が、拡口部6やヒートシーラー7の動作を阻害することなく、発揮される構成となっているのである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、滅菌バッグに限らず、各種のバッグに製品を個別に包装する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…本体 1a…操作盤 1b…キャスタ 2…ワーク 3…投入口 3a…滑走面 4…シャッター 4a…アクチュエータ 4b…センサ 5…滅菌バッグ 5a…切り欠き 5b…上面 5c…下面 6…拡口部 6a…滑走面 6b…拡口爪 6c…アクチュエータ 6d…ローラ 6e…バネ 6f…センサ 6g…ガイド部 6h…開口部 6i…センサ 7…ヒートシーラー 7a,7b…アクチュエータ 7c…アーム 7d…ヒーター 7e…圧着ブロック 8…搬送トレイ 8a…アクチュエータ 8b…貫通孔 8c…センサ 9…吸着パッド 9a,9b…アクチュエータ 9c…センサ 9d…吸引管 10…吸着パッド 10a…アクチュエータ 10b…吸引管 10c…オリフィス 11…シュート 11a…センサ 12…収納トレイ 12a…切り欠き 13…真空ポンプ 14a,14b…ファン 15…防音ボックス 16…静電気除去器 17…傾斜テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが投入されたバッグの袋口を溶着する包装装置において、
前記バッグの袋口に挿入可能に先端部がテーパー状に形成され,基端部が前記ワークの幅よりも広い間隔をあけて配置される一対の拡口爪を有する拡口部と、
この拡口部に前記袋口を向けて前記バッグが上面に載置される搬送トレイと、
前記一対の拡口爪の先端部を前記バッグへ挿抜自在に,この搬送トレイを前記拡口部に対して接近又は離間させる搬送トレイ駆動手段と、
前記バッグを吸着自在に,前記搬送トレイに設置される吸着手段と、
前記搬送トレイ上に載置される前記バッグの袋口を挟持して溶着するヒートシーラーとを備え、
前記搬送トレイは、その上面に載置される前記バッグの袋口が斜め上方を向くように、水平に対して傾斜した状態で設置されることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記拡口部は、前記搬送トレイと同一平面上に配置される滑走面を有し、
前記一対の拡口爪は前記先端部が接離可能に揺動し,基端部が前記滑走面に枢着されるとともに、
前記先端部を接離自在に,前記一対の拡口爪を駆動する揺動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記バッグの袋口に風を吹き付け可能に設置されるファンを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記吸着手段は、搬送トレイに設けられた開口部から出没可能に,前記搬送トレイの下方に設置されるとともに、
前記吸着手段を前記開口部から出没自在に駆動する昇降手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項5】
前記搬送トレイの移動方向に対して垂直に前記ヒートシーラーを移動させるヒートシーラー駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の包装装置。
【請求項6】
前記拡口爪と前記搬送トレイの間に設置され,前記バッグを検出するセンサと、
このセンサの検出結果に従って前記搬送トレイ駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の包装装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−71840(P2012−71840A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216135(P2010−216135)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成22年7月14日〜平成22年7月16日に国際モダンホスピタルショウ2010にて発表
【出願人】(592248363)ユキエンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】