説明

化学発熱装置付き携帯食品用容器

【目的】水パックと発熱剤パックを、外容器の底部に単に置いただけの簡単な構造で、水パックだけを、開裂して発熱させる。
【解決手段】
上面開口する外容器1と、上面開口し、食品を充填して外容器に収容される内容器2の底面が形成する空間に、化学発熱剤を透湿性袋に充填した発熱剤パック4、および非透質性袋に水を充填しヒートシールした水パック5発熱剤パック4に重合し、水パックの一方のヒートシール部13に両面粘着テープ15を貼り、両面粘着テープ15を2カ所で裁断して左右部分6および中央部分7に3分割し、左右部分6を下に折り曲げ、外容器1の内壁面に接着し、中央部分7を上に折り曲げ、ティアーテープ8を接着し、ティアーテープ8の伸張部分を外容器1に形成したティアーテープ引き出し口9から引き出すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学発熱装置付き携帯食品用容器に関し、特に、宅配、駅弁等調理済み食品を、場所、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる化学発熱装置付き携帯食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非常食若しくは日本酒等、液状食品或いは調理済み食品を、加熱機能付き容器に封入し、場所や、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる簡便な携帯食品の需要が増えてきている。
【0003】
携帯食品用容器には、各種の形状、容量のものがあるが、小さいものでは、日本酒の燗、大きなものでは駅弁がある。前者は、約200cm3、後者は、約2000cm3である。加温食品の内容にもよるが、たとえば、駅弁の場合、御飯とおかずの両方を適度に加熱するには、90℃近傍、好ましくは、90℃以上、100℃以下に加熱しなければならない。
【0004】
さらに、加熱調理容器自体の材料の熱容量は小さいので、加熱調理容器に保温効果を期待することはできない。従って、化学発熱装置に使用する発熱剤自体に、発熱反応を起こして最高温度に到達し、少なくとも室温にまで降下するまでの時間、即ち温度保持時間を最大限にする機能を持たせることが必要である。
【0005】
化学物質の発熱反応を利用したものが、各種提案されている。代表的なものでは、酸化カルシウム(生石灰)と水との水和反応を利用するタイプの発熱剤が使用されている。
【0006】
特許文献1は、酸化カルシウムと水との水和反応を利用する発熱剤を利用した加熱容器を開示している。この加熱容器は、厚紙で製造した台紙の上に、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に生石灰を充填した発熱袋と、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に水を充填した水袋を、この順序で重ね合わせて配設し、発熱袋と水袋の両方を開裂する開裂用紐を台紙の一端に係止し、さらに開裂用紐を、発熱袋と水袋の両端部に固着して、加熱容器に収容し、開裂用紐を、加熱容器の側面に設けた引き出し孔から貫通させ、外部から開裂用紐を引き抜くことにより、発熱袋と水袋を開裂するようになっている。
【0007】
酸化カルシウムと水との反応による発熱量は、15.2kcalと小さいので、反応後、速やかに90℃以上100℃以下に昇温し、60℃に降下するまでに少なくとも20分間維持させるためには、多量の酸化カルシウムを必要とする。特許文献1に記載された加熱容器で、標準型の携帯食品を加熱するには、83gの酸化カルシウムと、70mLの水を必要とする。
【0008】
ところで、発熱剤を包装するポリエチレンフィルムは、(イ)プラスチックフィルムの中でも最も安価である。(ロ)容易にヒートシールが可能で、完全密閉ができる。(ハ)耐水性、耐湿性がよい。(ニ)軽い。(ホ)引裂強さが大きい、という特徴がある。
【0009】
ポリエチレンフィルムにおける、引裂強さが大きく、引き裂き難いという特徴は、開裂用紐引き抜き型の加熱容器の場合には、欠点になる。その理由は、酸化カルシウムは、極めて吸湿性が高く、放置しておくと、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収して、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムに変化し、その後、水と接触しても、発熱反応を起こさなくなるからである。
【0010】
特に、特許文献1に記載されている加熱容器に使用する発熱剤が、83gという多量の酸化カルシウムの単品から成る場合、その一部が、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収すると、その反応は連鎖的に移行し、全体が失活することになる。従って、ポリエチレンフィルムの厚さをできるだけ厚くして、空気中の湿気と二酸化炭素の吸収を完全に防止しなければならない。
【0011】
ポリエチレンフィルムの厚さを50μにした場合、その引裂強さは、エレメンドルフASTMD1922で測定して、低密度ポリエチレンフィルムでは200〜800g/50μ、中密度ポリエチレンフィルムでは100〜600g/50μ,高密度ポリエチレンフィルムでは30〜600g/50μである。この引裂強さは、開裂用紐引き抜き型の加熱容器の場合、小児では、引き裂き難い強さであり、かつ開裂用紐引き抜きが、途中で切れることがある。
【0012】
さらに、特許文献1に記載された加熱容器の場合、水袋と発熱袋の両方を、ほぼ同時に開裂しなければならない構造になっているので、どちらか一方の袋が開裂しない場合、発熱しない。従って、不良品が発生するリスクが、水袋だけを開裂すればよいような構造にした加熱容器の2倍になるという欠点がある。
【0013】
特許文献2は、特許文献1に記載された発明の改良発明である。特許文献1に記載された発明では、約80gという多量の生石灰(酸化カルシウム)を、引き裂き強度が大きなポリエチレンフィルム製の袋に包装しているため、容易に引き裂くことができないという欠点があった。特許文献2に記載された発明では、生石灰を包装せずに、露出したままバラバラにケースの底部に入れ、その上に、開裂用紐支持材、水袋、防湿シートと重合した構成になっている。
【0014】
先ず、水袋に関して説明する。吸湿性が高い生石灰を、包装せずに露出したままで、バラバラにケースの底部に入れてあるので、生石灰が空気中の湿度を吸湿するのを防止するために、水袋の材料として、通常なら、ONY(延伸ナイロン)/PE(ポリエチレン)で十分であるところ、複数の樹脂層の間に、アルミニウム等からなる水蒸気(水分)を透過しない防湿層を挟持した積層体で製造している。
【0015】
さらに、生石灰の吸湿を完全に防止するために、複数の樹脂層に間に、アルミニウム等からなる防湿層を挟持した積層体を防湿シートとして使用している。即ち、露出している生石灰が空気中の湿度を吸湿しないように、アルミニウムラミナートフィルムで2重に保護するという複雑で、コストがかかる構造となっている。
【0016】
さらに、特許文献2に記載された発明では、生石灰を、包装せずに露出したままバラバラにケースの底部に入れ、その上に、開裂用紐支持材を重合しているので、開裂用紐支持材が、その下部に置かれた生石灰の一部を完全に覆う状態になっている。従って、生石灰の一部が水と反応する時間にずれが生じることがあり、或いは反応しても、開裂用紐支持材が障害となって、水蒸気が上昇しない場合がある。
【0017】
特許出願人の一人は、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成り、水と反応させると、短時間で約90℃〜約100℃の水蒸気を発生させ、60℃に降下するまでの持続時間が、少なくとも20分間となる発熱剤を発明し、既に特許を得ている(特許第3467729号)。この発熱剤の構成、性能等は、特許公報に記載されているので、その詳細な説明は割愛する。
【0018】
出願人の一人は、特許第3467729号に係わる発熱剤をさらに発展させ、塩化ナトリム(NaCl)を添加して、発生熱量を増加させ、さらに塩化マグネシウム(MgCl2)を添加して発熱時間の延長と水素の発生量の低減化に成功し、それぞれ特許出願している。
【0019】
従って、本発明の発熱剤とは、特許第3467729号に係わる発熱剤、即ち、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が、15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が、40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が、15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が、15%>、+200メッシュ(+75μm)が、10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る組成物、さらに、その発熱剤にNaClを添加した発熱剤、及びさらにMgCl2を添加した発熱剤を包含している。
【0020】
さらに、本出願人の一人は、特許第3467729号に係わる発熱剤を利用した加熱ユニットを開発して、特許出願している(特開2004−16395号)( 〔特許文献3〕)。
【0021】
特許文献3は、特許第3467729号に係わる発熱剤を包装した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックとともに収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアテープと一緒に、ヒートシールした加熱ユニットを開示している。
【0022】
特許文献1に記載されている加熱容器で使用している発熱剤の包装材と、特許文献3の加熱ユニットで使用している発熱剤の包装材の大きな相違点は、前者が完全非透湿性のポリエチレンフィルムであるのに対し、後者は、透水性の不織布製袋であることである。
【0023】
その理由は、特許文献3の加熱ユニットでは、発熱剤パックと水パックを重合して収容した発熱用トレーを、保護シートで密封しているので、発熱用トレー自体が、非透湿性になっているからである。また、特許文献3の加熱ユニットで使用する発熱剤の総発熱量の60%以上は、粉体アルミニウムが寄与していて、粉体アルミニウムが発熱主剤であり、粉体酸化カルシウムが発熱助剤である。従って、発熱剤の全量が、酸化カルシウムの単品から成る特許文献1に記載された加熱容器に使用する発熱剤とは異なり、粉体酸化カルシウムの一部が吸湿しても、吸湿した水と粉体アルミニウムが反応し、十分な量の熱を発生するからである。
【0024】
しかし、特許文献3に記載されている加熱ユニットは、発熱用トレーの底部に発熱剤パックを置き、その上に、水パックを単に重合しているので、発熱剤パックが、発熱用トレーの底部で自由に移動できる構造になっている。従って、加熱ユニットを組み込んだ駅弁等を傾けると、水との発熱反応の進行中に、発熱剤パックが移動し、蒸気の発生状態が不安定になるという欠陥がある。
【0025】
いずれにしても,上述したように、従来の化学発熱装置付き携帯食品用容器は、発熱剤パックと水パックの両方を同時に開裂するという複雑な機構か、あるいは水パックだけを開裂する機構とした場合でも、水パックが移動しないように固定しておく固定板を必要としている。
【0026】
従って、発熱剤パック、水パックおよび水パックを開裂する手段の3つの部材のみから構成され、水パックだけを簡単に開裂する発熱装置が望まれていたのである。
【特許文献1】特開平11−2922155号公報
【特許文献2】特開2002−360439号公報
【特許文献3】特開2004−16395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
発明が解決しようとする課題は、上面開口する外容器と、食品充填用容器で外容器に収容される上面開口する内容器と、外容器と内容器の開口を同時に閉鎖する蓋体を含む携帯食品加熱容器において、外容器の底部に、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを特定の比率で含む化学発熱剤を、透水性不織布製袋に充填した発熱剤パックと、発熱剤パックの上に重合した水パックを含む化学発熱装置を、外容器の外側から簡便な機構により、完全に発熱させるようにした発熱装置を提供することである。
【0028】
発明が解決しようとする別の課題は、喫食後、最も大きな廃棄物となる外容器と内容器を、できるだけ減容率が大きな材料で製造することにより、廃棄物処理に要するコストの低減に資することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
まず、本発明の携帯食品用容器の構造と材料について説明する。本発明の携帯食品用容器は、上面開口する外容器と、食品充填用容器で外容器に収容される上面開口する内容器と、外容器と内容器の開口を同時に閉鎖する蓋体とから構成されている。
【0030】
本発明の携帯食品用容器の外容器と内容器の材料と構造は、特段に限定されない。
材料は、金属、プラスチックス、木、陶磁器、紙、ラミネートフィルム、各種材料の複合材から、食材、マーチャンダイジング、コスト等を勘案して、適宜選択される。
【0031】
マーチャンダイジングによっては、内容器を透明にして、内容物が観察できるようにした方がよい場合がある。その場合、透明単層の材料としては、スチレン系樹脂、ポリプロピレン、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンで製造することが好ましい。
【0032】
近年、使用済みプラスチックス容器の処理が問題になっている。使用済みプラスチックス容器の処理を速やかに、かつ、経済的に行うために必要な初期処理は、減容化である。したがって、外容器および内容器を、容易に減容化できる材料で製造すれば、環境問題に資することができる。
【0033】
このような観点から、内面に酸素バリア性フィルム(たとえば、EVOH)、ついでポリエチレンをラミネートした紙で製造することが好ましい。EVOHをラミネートすることにより、ポリスチレンと異なり、環境ホルモン(スチレンモノマー、ダイマー、トリマー)を発生する心配がない。また、ポリビニリデンクロライドをラミネートした容器とも異なり、焼却時、ダイオキシンを発生しない。
【0034】
環境問題に大いに資するという点からは、たとえば、外容器を、表面にエンボス加工したパルプ紙で製造し、内容器を、バージンパルプ100%で製造され耐水処理した紙から成る表層、プルプまたは脱墨処理した故紙で製造され、耐水処理した芯層、パルプ紙で製造され耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙で製造することが好ましい。このことにより、一般紙と同じリサイクル性、ポリラミネートと同じ程度のバリア性、通常の紙と同じ焼却性等が奏功される。
【0035】
上述したように、外容器をパルプ紙で製造した場合、外面が相当高温になり、素手では把持しにくい場合がある。従って、外容器と内容器が形成する空間に、スリ−ブを嵌挿することが好ましい。スリ−ブの材料としては、内容器と同じ材料が好ましい。このようにすると、喫食後、外容器、内容器、およびスリーブを同時に焼却処分することができる。
【0036】
スリ−ブは、外容器と内容器が形成する空間に嵌挿されて、空間内に滞留する蒸気の熱を断熱して外容器に伝達されるのを防止する機能ばかりではなく、内容器を外容器に挿入するときの位置決めをする機能もある。
【0037】
外容器と内容器の開口を同時に閉鎖する蓋体の材料は、マーチャンダイジングによっては、透明のものとして、内容物が観察できるようにした方がよい場合がある。その場合、透明単層の材料としては、スチレン系樹脂、ポリプロピレン、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンを使用することが好ましい。
【0038】
内容器の断面形状は、食品の種類によって異なる。たとえば、赤飯、白飯、五目飯、ちらし寿司等のご飯類、各種調理済み食品、総菜類、カレー、ビーフシチュー、グラタン、ピラフ等、ご飯及び各種総菜類が詰め合わされた駅弁、仕出し弁当などの場合は、トレー型が好ましい。釜飯、うどん、ラーメン、おでん、スープ類、酒等液状食品には、カップ型が適している。従って、外容器の形状も、内容器の形状と同じ形状となる。
【0039】
次に、本発明の化学発熱装置について説明する。水と反応させて発熱させる化学発熱装置にとって重要なことは、使用前に、発熱剤が吸湿するのを防止することと、水パックを開裂するためには、水パックが移動しないように固定することである。そのために、従来、前述したように、発熱剤を、たとえばアルミラミネートフィルム製非透湿性袋に充填したり、あるいは透湿性袋に充填した場合には、さらに発熱用トレーに密封したりして、吸湿するのを防止していた。また、水パックを開裂するときに、水パックが移動しないように固定板を使用したり、発熱剤パックと水パックを一緒に発熱用トレーに固定状態で密封していた。
【0040】
そのため、従来の化学発熱装置付き携帯食品用容器は、水パック或いは水パックと発熱剤パックの開裂メカニズムが複雑になったり、付帯部材が増え、携帯食品用容器全体の容積、質量を増大させたり、コストを引き上げたりする要因になっていた。
【0041】
本発明者は、先ず、発熱剤の吸湿という点について改良を加えた。すなわち、特定の粒度の粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合した発熱剤を、特殊な透水性の紙または布の袋に充填し、さらに、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋に完全密封した発熱剤パックを製造した。
【0042】
この発熱剤パックは、使用する72時間前に、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性袋を破いて、空気に暴露しても、発熱剤が空気中の湿気を吸湿しないか、あるいは吸湿しても、水との発熱反応に支障が全くない程度である。これにより、
アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性袋を開裂したり、または発熱用トレーに密封する必要がなくなった。
【0043】
従って、本発明の化学発熱装置に使用する発熱剤パックは、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る組成物を、透水性の紙または布の袋に充填し、さらにアルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋に完全密封されている。
【0044】
使用する72時間前に、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋から出して、外容器の底面と内容器の底面が形成する空間にセットするようになっている。
【0045】
発熱剤パックに重合される水パックは、外容器の外部から適当な力を加えることにより、開裂して、中の水が速やかに流出するような構成、いわゆるイージーオープン性或いはイージーピール性である。
【0046】
以下、本発明の水パックに適する材料について説明する。
厚さL、表面積Aのフィルムの両側の水蒸気(湿度)の分圧がそれぞれP1,P2の場合、定常状態で時間tに透過する湿度の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・A・t}/L (1)
Q={P・ΔP・A・t}/L (2)
(2)式を変形して、
Q/{A・t}={P・ΔP}/L=q (3)
ある特定条件下におけるフィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを透湿度(WVTR)といい、その単位は、g・m-2・24h-1である。即ち、表面積1m2のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
【0047】
本発明の水パックに適する材料の透湿度は、15以下、好ましくは0.3〜15の範囲より、好ましくは0.3〜7の範囲、最も好ましくは0.3〜3の範囲である。
【0048】
本発明の水パックに適したフィルムは、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(高密度=0.960)、ポリエチレン(中密度=0.93)、ポリプロピレン(密度=0.907)、ポリエチレン(低密度=0.922)、ポリビニルクロライド、ポリ(ビニルクロライドービニルアセテト)、ポリ(スチレンーブタジエン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ブタジエンーアクリロニトリル)等が例示される。
【0049】
本発明の水パックに適したラミネートフィルムは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレンン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレンービニルアセテート、 2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリエチレン、ポリカーボネート/ポリプロピレン、延伸ナイロン/ポリエチレン、スチール箔/ポリプロピレン等が例示される。
【0050】
開裂メカニズムの面からは、界面剥離タイプを利用したもの、層間剥離タイプを利用したもの、凝集剥離タイプを利用したもの等、任意に選択できる。ただし、シールの安定性の点からは、凝集剥離タイプが、線シール性の点からは、界面剥離タイプが、剥離面の状態からは、界面剥離タイプが優れている。また、V−ノッチなどの切り込みを入れて、ある一定方向に開封させるようにしたもの等、任意に選択できる。
【0051】
水パックには、開裂線に沿ってティアーテープが取り付けてあり、外容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、開裂するようになっている。
【0052】
なお、本明細書において使用する用語「ティアーテープ」は、凧糸状のストリング、モノフィラメント等、いわゆる紐、或いは糸状のものも含むが、最も好ましいのは、開裂線の幅と同じ幅で、特定の引き剥がし粘着力をもった不織布製のテープである。これを使用することにより、たとえば、開裂幅が10mmの場合、10mm幅の不織布製のテープを使用することにより、水袋を中央から10mm幅で完全に開裂することができる。
【0053】
水パックの開裂作業で最も重要なことは、ティアーテープを引いたときに、水パックがずれたり、移動しないように固定しておくことである。このために、従来は、固定板を使用したり、あるいは外容器とは別体に製造したトレーに動かないように密閉してから、外容器の底に置いていた。
【0054】
本発明は、この点を改良して、100mm×90mmの水パックの100mm側端部を、外容器の内壁面に接着して固定することとした。そのために、水パックの100mm側端部を約10mmと長めにヒートシール成形し、ヒートシール部に接着手段を施し、接着手段を施したヒートシール部を、中央から左右へ5mmの箇所で深さ6mmで裁断して3分割し、左右の長さ40mm、幅6mmの部分を下方向に折り曲げ、外容器の内壁面に接着し、中央の長さ10mm、幅6mmの部分を上に折り曲げ、開裂テープと接着した。開裂テープは、外容器に設けた開裂テープ引き出し口から外部へ引き出すようになっている。
【0055】
接着手段としては、外容器の材料、形状、大きさ等に応じて、接着剤の塗布、接着テープ、または両面粘着テープから、任意に選択することができる。
【0056】
接着手段として両面粘着テープを選択した場合の本発明の化学発熱装置付き携帯食品用容器は、外容器の底部に、先ず発熱剤パックを置き、その上に、水パックを重合して、一方の端部のヒートシール部に接着した両面粘着テープの中央から左右へ5mmの箇所で、深さ6mmで裁断し、左右の長さ40mm、幅6mmの部分を下方向に折り曲げ、離型紙を剥がして外容器の内壁面に接着し、中央の長さ10mm、幅6mmの部分を上に折り曲げ、離型紙を剥がして、開裂テープと接着し、開裂テープを、外容器に形成した開裂テープ引き出し口から外部へ引き出す。
【0057】
ついで、食品を充填した内容器を外容器に挿入し、外容器と内容器の開口を同時に密閉する蓋で、外容器と内容器の端縁部を押圧させて密閉すると、内容器の底面が水パックを押圧するので、水パックは、外容器の底面と内容器の底面が形成する空間内で完全に固定され、ティアーテープを引くことにより、完全に開裂される。
【0058】
従って、前記課題は、以下の各項に記載する手段により解決することができる。
1.上面開口する外容器と、上面開口し、食品を充填して外容器に収容される内容器と、外容器の底面と内容器の底面が形成する空間内に固定された状態で設置された化学発熱装置と、外容器の開口と内容器の開口を同時に閉鎖する蓋体を含む化学発熱装置付き携帯食品用容器であって、
前記化学発熱装置は、外容器の底面に載置され、化学発熱剤を透湿性袋に充填した発熱剤パックと、発熱剤パックに重合され非透質性袋に水を充填しヒートシールした水パックを含み、
前記水パックの一方のヒートシール部に接着手段を施し、ヒートシール部を毀損して水が漏れないように、接着手段を施したヒートシール部を、2か所で裁断して、左右部分および中央部分に3分割し、左右部分を下に折り曲げ、外容器の内壁面に接着し、中央部分を上に折り曲げ、ティアーテープを接着し、ティアーテープの伸張部分を、外容器に形成したティアーテープ引き出し口から引き出してあることを特徴とする化学発熱装置付き携帯食品用容器。
【0059】
2.前記1項において、接着手段を、塗布された接着剤、接着テープ、または両面粘着テープとする。
【0060】
3.前記1または2項において、発熱剤は、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る組成物である。
【0061】
4.前記1〜3項のいずれかにおいて、外容器を、表面にエンボス加工したパルプ紙からなるものとし、かつ内容器を、バージンパルプ100%で製造し耐水処理した紙から成る表層、パルプ紙で製造し耐水処理した芯層、パルプ紙で製造し耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙からなるものとする。
【0062】
5.前記1〜4項のいずれかにおいて、外容器と内容器が形成する空間に、スリーブを嵌挿する。
【発明の効果】
【0063】
請求項1の発明によると、下記に例示する効果を奏功することができる。
1.水パックの一方のヒートシール部に接着手段を施し、ヒートシール部を毀損して、水が漏れないように接着手段を施したヒートシール部を2か所で裁断して、左右部分および中央部分に3分割し、左右部分を下に折り曲げ、外容器の内壁面に接着し、中央部分を上に折り曲げ、ティアーテープを接着し、ティアーテープの伸張部分を外容器に形成されたティアーテープ引き出し口から引き出すという極めて簡単な手段により、水パックを外容器に固定することと、ティアーテープを接着することを同時に解決することができる。
【0064】
2.外容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する構造の従来技術に比べて、構造が簡単であり、従来技術に比べて、不良品の発生率が極端に減少する。
【0065】
3.透水性の袋に充填された発熱剤パックも、そのまま外容器に置いてあるので、外容器とは別体に製造された発熱用トレー内に、水パックと一緒に収容し密閉する従来技術に比べて、化学発熱装置付き携帯食品用容器として、全体の容積を減少でき、質量を軽減できる。
【0066】
請求項2の発明によると、外容器の形状、大きさ、材料に応じて、接着手段を、接着剤の塗布、接着テープ、または両面粘着テープから任意に選択することができる。
【0067】
請求項3の発明によると、発熱剤を、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る組成物を含む組成物としたので、NaCl或いはMgCl2を添加してもよく、水と反応させると、短時間で約90℃〜約100℃の水蒸気を発生させ、60℃に降下するまでの持続時間を、少なくとも20分間とすることができる。
【0068】
請求項4の発明によると、外容器を、表面にエンボス加工したパルプ紙で製造し、内容器を、バージンパルプ100%で製造し、耐水処理した紙から成る表層、パルプ紙で製造し、耐水処理した芯層、パルプ紙で製造し、耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙で製造したから、次に例示する効果を奏功する。
1.全容器を速やかに、かつ、経済的に行うために必要な初期処理である減容化を容易にでき、環境問題に資することができる。
【0069】
2.ポリスチレンと異なり、環境ホルモン(スチレンモノマー、ダイマー、トリマー)を発生する心配がない。また、ポリビニリデンクロライドをラミネートした容器とも異なり、焼却時、ダイオキシンを発生しない。
【0070】
3.一般紙と同じリサイクル性、ポリラミネートと同じ程度のバリア性、通常の紙と同じ焼却性等が奏功される。
【0071】
請求項5の発明によると、外容器と内容器が形成する空間にスリ−ブを嵌挿することにより、外容器をパルプ紙で製造しても、外容器と内容器が形成する空間内に滞留する蒸気の熱を断熱して、外容器に伝達されるのを防止する機能ばかりではなく、内容器を外容器に挿入するときの位置決めをする機能も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、図面に基づいて、発明の好ましい実施の形態を実施例で説明する。
[実施例]
図1は、本発明の化学発熱装置付き携帯食品用容器の一実施の形態の構成を示す断面図である。
【0073】
図1において、1は外容器で、表面にエンボス加工したパルプ紙を、下底径115mm、上面開口径140mmに成形した耐熱性容器である。2は、外容器1に挿入される上面開口している内容器で、バージンパルプ100%で製造され、耐水処理した紙から成る表層、パルプまたは脱墨処理した故紙で製造され、耐水処理した芯層、パルプ紙で製造され耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙で製造してある。
【0074】
3は、外容器1の上面開口と内容器2の上面開口を同時に閉鎖する蓋で、透明多層材料であるポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで製造してある。
【0075】
4は、発熱剤パックで、下記の要領で製造してある。
使用した粉体アルミニウム:山石金属株式会社製、商品名「アトマイズアルミ VA-200」)
使用した粉体生石灰:秩父石灰工業株式会社製(200メッシュ、JIS 特号品)
使用した不織布:目付量 60g/m2, 厚さ 0.14mm、通気量 20cc/cm2,sec、ヒートシール強度 6.0kg
使用した不織布製袋:長さ9cm、幅9cm、厚さ4mm、質量0.9g
の不織布製の袋に充填して、発熱剤パック4を製造した。
【0076】
5は水パックである。水パック5は、そのヒートシールの一方の端部に取り付けられた接着テープ6により、外容器1の内壁面に接着固定されている。さらに、ヒートシールの一方の端部に取り付けた接着テ−プ7には、ティアーテープ8が接着されている。ティアーテープ8の伸張部は、外容器1の所定の箇所に形成されたティアーテープ引き出し口9から、外容器の外側に引き出されている。
【0077】
10は、外容器1と内容器2により形成された空間に嵌挿されたパルプ紙製スリ−ブである。
【0078】
図2は、水パック5の製造工程を示す説明図である。先ず、10mm幅で中央が界面剥離する界面剥離タイプのポリビニリデンクロライドフィルムで長さ100mm、幅90mmで一方の端部12をヒートシールしたチューブ11を製造した。
【0079】
次いで、水100mLを充填し、対向する端部を幅10mmでヒートシール13した。
【0080】
次いで、ヒートシール部に、幅L4(10mm)の両面粘着テープ15を貼った。粘着テープ15の中心線から左右へ5mmの箇所で、深さL7(6mm)で裁断し、長さL5(40mm)の左右部と、長さL6(10mm)の中央部に3分割した。ヒートシ−ル部13は、幅L8(4mm)だけ裁断せずに、維持した。
【0081】
次いで、長さL5(40mm)および幅L7(60mm)の粘着テープの左右両部6(図1)を、下方に折り曲げ、離型紙を剥いで外容器の内壁面に接着した。一方、長さL6(10mm)および幅L7(60mm)の粘着テープの中央部7(図1)を、上方に折り曲げ、離型紙を剥いでティアーテープ8と接着した。
【0082】
図3は、図2に示した方法によって製造した水パックの斜視図である。水パック5の一方の端部のヒートシール部13の上に接着された粘着テープ15は、中心線から左右へ5mmの箇所で3分割され、ヒートシ−ル部13は、幅L8(4mm)だけ裁断せずに、残されている状態を示している。
【0083】
3分割された粘着テープのうち、左右部分は、下方向の曲げられて外容器1の内壁面に接着されるようになっており、中央部分は上方向に曲げられて、ティアーテープ8が接着されている。ティアーテープ8の伸張部は、外容器1に形成されたティアーテープ引き出し口9から、外容器1の外部に引き出されるようになっている。
【0084】
[加熱試験例]
実施例で製造した本発明の化学発熱装置付き携帯食品用容器の食品加熱試験を行った。食品充填用内容器2に調理済み鯛、具、炊飯した飯等全質量286gを入れ、5℃の冷蔵庫に24時間保管した後取り出し、蓋3の温度挿入用の孔を形成し、炊飯した飯の中心に温度計をを差し込み、直ちに、ティアーテープ8を引き抜いて、5分毎の温度を計測した。その計測結果を、表1に示す。なお、測定したときの室温は、24〜25℃であった。
【表1】

【0085】
表1の結果から、冷蔵庫に24時間保管していた状態の調理済み食品を、加熱開始から10分後には、喫食可能な67℃になり、15分後には80℃、20分後には85.7℃になり、熱すぎる状態になった。
【0086】
現在、駅弁、宅配弁当等は、深夜作業が忌避されたり、流通形態により、消費者の手元へ渡る24時間前に、予めセットし、各小売店に配送し、小売店で冷蔵庫に24時間保管したり、冷蔵・冷凍車で卸店に配送しているようになってきている。従って、本発明は、このような流通形態でも、十分対応できることが明らかである。
【0087】
また、この試験例は、24時間冷蔵庫での保管後の実験であるので、冷蔵庫に保管せず、常温下での保管後、行えば、一層短時間で喫食できる状態に加熱することは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の化学発熱装置付き携帯食品用容器は、下記に例示する産業上の利用可能性がある。
1.水パックと発熱剤パックを、外容器の底部に、単に置いただけの簡単な構造で、外容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する複雑な発熱機構や、或いは外容器とは別体に製造された発熱用トレー内に、水パックと発熱剤パックを一緒に収容し密閉する従来技術に比べて、化学発熱装置付き携帯食品用容器として全体の容積を減容でき、質量も軽減できるので、駅弁や宅配弁当産業の流通の改善に資することができる。
【0089】
2.外容器を、表面にエンボス加工したパルプ紙で製造し、内容器を、バージンパルプ100%で製造し耐水処理した紙から成る表層、パルプ紙で製造し耐水処理した芯層、パルプ紙で製造し耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙で製造することにより、全容器を速やかに、かつ、経済的に行うために必要な初期処理である減容化を容易にでき、ポリスチレンと異なり、環境ホルモン(スチレンモノマー、ダイマー、トリマー)を発生する心配がなく、ポリビニリデンクロライドをラミネートした容器とも異なり、焼却時、ダイオキシンを発生しない等環境問題に資することができ、かつ、パルプ紙の新たな用途の開拓につながる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の化学発熱装置付き携帯食品用容器の一実施の形態の構成を示す断面。
【図2】本発明の水パックの製造工程の一例を示す説明図。
【図3】本発明の水パックが外容器に載置されている状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0091】
1:外容器
2:内容器
3:蓋
4:発熱剤パック
5:水パック
6:接着テープ
7:接着テ−プ
8:ティアーテープ
9:ティアーテープ引き出し口
10:スリ−ブ
11:チューブ
12:チューブの端部
13:ヒートシール部
15:両面粘着テープ
L2:水パックの長さ
L4:両面粘着テープの幅(10mm)
L5:両面粘着テープの裁断された左右部の長さ(40mm)
L6:両面粘着テープの裁断された中央部の長さ(10mm)
L7:両面粘着テープの裁断幅(6mm)
L8:両面粘着テープの非裁断幅(4mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口する外容器と、上面開口して、食品を充填して外容器に収容される内容器と、外容器の底面と内容器の底面が形成する空間内に固定された状態で設置された化学発熱装置と、外容器の開口と内容器の開口を同時に閉鎖する蓋体を含む化学発熱装置付き携帯食品用容器であって、
前記化学発熱装置は、外容器の底面に載置され、化学発熱剤を透湿性袋に充填した発熱剤パックと、発熱剤パックに重合され非透質性袋に水を充填しヒートシールした水パックを含み、
前記水パックの一方のヒートシール部に接着手段を施し、ヒートシール部を毀損して水が漏れないように、接着手段を施したヒートシール部を、幅方向に2か所で裁断して、左右部分および中央部分に3分割し、左右部分を下に折り曲げ、外容器の内壁面に接着し、中央部分を上に折り曲げ、ティアーテープを接着し、ティアーテープの伸張部分を、外容器に形成したティアーテープ引き出し口から引き出してあることを特徴とする化学発熱装置付き携帯食品用容器。
【請求項2】
接着手段が、塗布された接着剤、接着テープ、または両面粘着テープである請求項1に記載の化学発熱装置付き携帯食品用容器。
【請求項3】
発熱剤が、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の化学発熱装置付き携帯食品用容器。
【請求項4】
外容器を、表面にエンボス加工したパルプ紙からなるものとし、かつ製造し、内容器を、バージンパルプ100%で製造し耐水処理した紙から成る表層、パルプ紙で製造し耐水処理した芯層、パルプ紙で製造し耐水処理した裏層、および耐水・耐油・撥水処理した樹脂層から構成された4層構造の板紙からなるものとしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学発熱装置付き携帯食品用容器。
【請求項5】
外容器と内容器が形成する空間に、スリーブを嵌挿したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化学発熱装置付き携帯食品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−68788(P2007−68788A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259713(P2005−259713)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(505339184)
【出願人】(500067606)株式会社協同 (12)
【出願人】(598105570)
【Fターム(参考)】