説明

化粧料用原料および該原料を含有する化粧料

【課題】コラーゲン特有の原料の異臭を効果的に防止できるうえ、防腐安定性に優れ、化粧料に配合した場合には、皮膚刺激性を低減し、溶解性にも優れる化粧料用原料、並びに該化粧料用原料を含有した化粧料を提供すること。
【解決手段】コラーゲン、コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物およびコラーゲン加水分解物誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種と、1,2−オクタンジオールとを含有する化粧料用原料、並びに該化粧料用原料を含有した化粧料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料用原料および該化粧料用原料を含有した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲン、コラーゲン加水分解物或いはそれらの誘導体は、保湿性や皮膜形成性に優れ、皮膚に塗布したときの肌なじみが良く、使用感が良好になることから化粧料に多用されている。コラーゲンの起源としては、従来から牛や豚などの獣由来のものが用いられているが、近年では狂牛病や動物愛護の問題から、魚類等の海洋性の生物が注目されている。
【0003】
これらコラーゲンやコラーゲン加水分解物などは、保存中の温度等の影響により、原料由来の異臭が発生するという問題があり、特に魚類由来のコラーゲンを用いた場合、この異臭の発生は顕著であった。また、熱安定性に劣るために加熱殺菌ができず、防腐安定性を確保するためには、防腐剤を添加しておく必要があった。しかし、パラベン等の防腐剤と組合わせた原料を化粧料に配合すると、皮膚刺激が生じる場合があるうえ、溶解安定性にも劣るという問題があった。
【0004】
これら問題を解決するために、茶抽出物、紫外線吸収剤、或いは酸化防止剤などと共に化粧料に配合する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これら方法による異臭防止効果は、ある程度は低減できるものの、未だ満足できるものではなく、防腐安定性や溶解安定性については、解決がなされていない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−183129号公報
【特許文献2】特開2003−201210号公報
【特許文献3】特開2003−201211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであって、コラーゲン、コラーゲン加水分解物およびそれらの物誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種と、1,2−オクタンジオールとを共に用いて化粧料用原料とすることで、原料の異臭を効果的に防止できるうえ、防腐安定性に優れ、化粧料に配合した場合には、皮膚刺激性を低減し、溶解性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
〔1〕 コラーゲン、コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物およびコラーゲン加水分解物誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種と、1,2−オクタンジオールとを含有することを特徴とする化粧料用原料、
〔2〕 コラーゲンが、水溶性コラーゲンであることを特徴とする前記〔1〕に記載の化粧料用原料、
〔3〕 コラーゲン誘導体が、アテロ化コラーゲンまたはサクシニル化コラーゲンであることを特徴とする前記〔1〕に記載の化粧料用原料、
〔4〕 コラーゲン加水分解物誘導体が、コラーゲン加水分解物のアシル化物、ポリオキシエチレン付加物および第4級アンモニウム化物からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕に記載の化粧料用原料、
〔5〕 コラーゲンの起源が、海洋性生物であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の化粧料用原料、
〔6〕 海洋性生物が、サケであることを特徴とする前記〔5〕に記載の化粧料用原料、並びに
〔7〕 前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の化粧料用原料を含有してなる化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料用原料は、保存中の温度等の影響を受けず原料由来の異臭を効果的に防止することができるうえ、従来のパラベン等の防腐剤を配合しなくとも、防腐安定性に優れるという効果を奏する。したがって、本発明の化粧料用原料は、長期間の保存にも安定な化粧料用原料を提供することができる。
【0009】
また、本発明に係る化粧料用原料を配合した化粧料は、コラーゲンやコラーゲン加水分解物などが含有されているにもかかわらず、上記効果に加え、水性溶媒等を用いた化粧料であっても、溶解安定性に優れるうえ、皮膚刺激も生じないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化粧料用原料は、第1の必須成分としてコラーゲン、コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物およびコラーゲン加水分解物誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種が含有される。コラーゲンの起源としては、牛、豚などの獣の他、魚類、貝類、クラゲ類、海綿類などの生物が挙げられ、魚類、貝類、クラゲ類、海綿類などの海洋性の生物を起源とするコラーゲンを用いるのが好ましい。具体的には、ヒラメ、カレイ、カツオ、サメ、エイ、サバ、サンマ、アジ、イワシ、サケ、テラピア、マグロ、タラ、オヒョウなどの魚類;ムラサキイガイ、アコヤガイ、ホタテガイ、ウグイスガイ、カキなどの貝類;ミズクラゲ、タコクラゲ、アカクラゲ、ヒゼンクラゲ、ビゼンクラゲ、キタユウレイクラゲ、エチゼンクラゲなどのクラゲ類;尋常海綿綱、石灰海綿綱、硬骨海綿綱、六放海綿綱などの海綿類などを例示することができる。
【0011】
これらのうち、経済性の観点から、魚類を用いるのが好ましく、より好ましくは、サケ、テラピア、マグロ、タラ、オヒョウであり、なかでも、サケを用いるのが特に好ましい。また、使用する部位としては、魚皮、魚骨、魚鱗のコラーゲンを用いればよく、エタノール、水、塩化ナトリウム溶液などにより抽出して得られる水溶性コラーゲンを用いるのが好ましい。コラーゲン誘導体としては、アテロ化コラーゲン、アシル化コラーゲン、サクシニル化コラーゲン、デスアミドコラーゲンなどを例示することができ、アテロ化コラーゲン、サクシニル化コラーゲン等を用いるのが好ましい。特に、皮膚アレルギーを防止する観点から、アテロ化コラーゲンを用いるのがより好ましい。尚、アテロ化コラーゲンとは、コラーゲン分子の末端に存在するテロペプタイドを酵素処理して除去したコラーゲンを言う。
【0012】
コラーゲン加水分解物は、上記したコラーゲンを酸又はアルカリ、或いは酵素の存在下で常法に従って加水分解すればよい。コラーゲン加水分解物誘導体としては、コラーゲン加水分解物のアシル化物、ポリオキシエチレン付加物、第4級アンモニウム化物、アテロ化物などを挙げることができ、加水分解したコラーゲンを常法に従って反応させて調製すればよい。
【0013】
また、コラーゲン加水分解物或いはその誘導体は、水溶性が良好な観点および製造の容易性の観点から、その平均分子量は300〜2500程度になるようにコラーゲンを加水分解するのが好ましく、ゲル濾過や限外濾過などを用いて得てもよい。尚、本発明における平均分子量とは、重量平均分子量を意味する。
【0014】
コラーゲン加水分解物或いはその誘導体は、上記のように調製して得てもよいが、市販品をそのまま利用することもできる。市販品としては、例えば、商品名 プロモイスW−32、W−32LS、W−32NO、W−32R、W−52、W−52P、W−52Q(いずれも成和化成社製)などが挙げられる。
【0015】
本発明に係る化粧料用原料には、第2の必須成分として1,2−オクタンジオールが含有される。前記第1の必須成分と第2の必須成分の含有量は特に限定されないが、異臭防止の効果性の観点及び防腐安定性の観点から、第1の必須成分1000重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上である。また、経済性の観点から、第1の必須成分1000重量部に対して、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。これらから、第1の必須成分と第2の必須成分の含有量は、重量比で1000:1〜1000:1000となるように配合するのが好ましく、1000:5〜1000:100となるように配合するのがより好ましい。
【0016】
また、本発明の化粧料用原料は、上記した第1の必須成分と第2の必須成分のみから構成されていてもよく、或いは、取扱いを容易にするために、溶剤を添加してもよい。用い得る溶剤としては、例えば、水の他、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;1,3−ブタンジオール,グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類などを例示することができる。また、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、上記した成分の他、賦形剤、増量剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤、安定剤、pH調整剤、増粘剤などを目的に合わせて適宜配合することができる。
【0017】
本発明の化粧料用原料は、化粧品や医薬部外品などの化粧料に配合して使用することができる。具体的には、洗顔剤、化粧水、乳液、スキンクリーム、ファンデーション、マスカラ、ネールエナメル、口紅、プレシェーブローション、アフターシェーブローション等の皮膚用化粧料、シャンプー、ヘアトリートメント、育毛・養毛剤、ヘアクリーム、ヘアフォーム、染毛剤、毛髪脱色剤、パーマネントウェーブ剤などの頭髪用化粧料、しみやそばかすなどの特定の使用目的を有した薬用化粧料などに好適に用いることができる。
【0018】
本発明の化粧料用原料を用いて化粧品や医薬部外品を調製する場合、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。例えば、油脂、ロウ類、炭化水素、シリコーン類、脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸等の油性成分;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤の各種界面活性剤;低級アルコール、多価アルコール、糖類、ステロール類等のアルコール類;保湿剤、高分子化合物、無機顔料、粉体、色素、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、アミノ酸類、収斂剤、美白剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤、酸、アルカリ等の添加成分;水等を例示することができる。
【0019】
具体的には、油性成分としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等の脂肪酸エステル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸が挙げられる。
【0020】
界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類等の非イオン界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N−アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩等のアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼエトニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤を例示することができる。
【0021】
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;1,3−ブタンジオール,グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類;ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、キシリトール、ラクトース、トレハロース等の糖類;コレステロール、フィトステロール等のステロール類を挙げることができる。
【0022】
化粧品や医薬部外品などの化粧料に本発明の化粧料用原料を配合する場合、配合量は特に限定されないが、保湿性等のコラーゲン類の効果を発揮させる観点から、化粧料中0.001重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、使用感の観点から、化粧料中20重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。これらから、化粧料中の化粧料用原料の配合量は、0.001〜20重量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5重量%である。
【実施例】
【0023】
(製造例1;アテロ化コラーゲンの製造)
蒸留水で洗浄して鮭皮300gを細断し、クロロホルム、メタノ−ル900及び蒸留水を加えて振とうし、不溶物を濾過し、クロロホルム、メタノールの順で洗浄しコラ−ゲンを得た。これを流水中でよく洗浄後、4℃の0.2M酢酸2Lを加え、4℃で72時間放置した。不溶物を遠心分離器(3,000G,10分間)により遠心分離し、得られた残渣を0.2M酢酸に分散し、コラ−ゲン重量に対して1%のペプシンを加えて放置した。不溶物を遠心分離器(3,000G,10分間)により遠心分離し、0.005MAcOHに溶解し、0.5mol/dmHCl及び0.5mol/dmNaOHにより平衡化したDEAE−セルロ−ス(Whatman社製 DE52)を充填剤としたカラムクロマトにより精製し、透析後、凍結乾燥してアテロ化コラ−ゲンを得た。
【0024】
(試料の調製)
表1に示した組成に従い、実施例1及び比較例1〜8の各化粧料用原料を調製し、下記評価に供した。尚、アテロ化コラーゲンは、製造例1で得られたものを用いた。
【0025】
(試験例1;異臭防止効果の評価)
各化粧料用原料を25℃及び40℃の雰囲気下で1ヶ月間保存した後、魚類由来の異臭の発生の有無及ぶ強度を、下記評価基準に従い、専門パネル10名により評価し、その平均値を採用した。結果を表1に示す。
【0026】
<評価基準>
異臭を全く感じない・・・・・・・・・・・・1点
僅かに異臭を感じる・・・・・・・・・・・・2点
やや異臭を感じるが弱い・・・・・・・・・・3点
はっきりとした異臭を感じる・・・・・・・・4点
かなり強い異臭を感じる・・・・・・・・・・5点
【0027】
(試験例2;溶解安定性の評価)
各化粧料用原料を25℃の雰囲気下で1ヶ月間保存した後、不溶物(凝集物)の析出の有無を、下記評価基準に従い、専門パネル10名により目視にて評価し、その平均値を採用した。結果を表1に示す。
【0028】
<評価基準>
凝集物は認められず透明のままである・・・・1点
わずかに濁りが認められる・・・・・・・・・2点
少量の凝集物の析出又は沈殿が認められる・・3点
多量の凝集物の析出又は沈殿が認められる・・4点
明らかな二層への分離が認められる・・・・・5点
【0029】
(試験例3;皮膚刺激性の評価)
専門パネル10名により評価を実施した。すなわち、被験者の顔面を洗顔料で洗顔したのち、20〜23℃の温度条件の部屋で30分間待機させた。その後、4×5cm四方の不織布に、各化粧料用原料1mLを含浸させた。この不織布を被験者の頬に10分間貼付し、皮膚刺激の強度について、下記評価基準に従い評価し、その平均値を採用した。結果を表1に示す。
【0030】
<評価基準>
刺激を全く感じない・・・・・・・・・・・・1点
刺激を僅かに感じる・・・・・・・・・・・・2点
刺激を感じるが弱い・・・・・・・・・・・・3点
刺激をはっきりと感じる・・・・・・・・・・4点
我慢できないほどの刺激を感じる・・・・・・5点
【0031】
【表1】

【0032】
表1の結果から、本発明の化粧料用原料(実施例1)は、保存中の温度に影響を受けずに、原料由来の異臭を効果的に防止していることが分かる。また、溶剤に水溶性の溶剤を用いたとしても、長期保存においても析出が認められず、溶解安定性に優れていることが分かる。そして、化粧料に汎用されている防腐剤であるメチルパラベンを用いた比較例6では、皮膚刺激性が認められるものの、本発明の化粧料用原料では、皮膚刺激が生じないことが分かる。
【0033】
(試験例4;防腐安定性の評価)
供試菌は、Saccharomyces cerevisiae IFO 0234(酵母)及びAspergillus niger IFO 9455(カビ)を用いた。
実施例1及び比較例1〜8の各試料20gを乾熱滅菌済みのガラス容器に入れ、酵母については、菌体濃度が10CFU/gになるように、各試料20gに対して菌体懸濁液を0.2mLの比率で接種した。カビについては、菌体濃度が10CFU/gになるように、生理食塩水に胞子を2白金耳懸濁した胞子懸濁液を0.2mL接種した。これらを、25℃の温度条件下で培養し、酵母は1日目及び7日目についての、カビは7日目、14日目及び21日目についての生菌数を測定した。結果を表2に示す。尚、CFU(Colony Forming Unit)とは、形成される集落数を表す。
【0034】
【表2】

【0035】
表2の結果から、実施例1の本発明の化粧料用原料は、オクタンジオールの含有量が0.5%であっても、酵母及びカビに対してメチルパラベン(比較例8)と同様に十分な抗菌活性(防腐力)を示すことが分かる。これに対して、ペンタンジオール(比較例1)は5%、ヘキサンジオール(比較例2)は3%含有させても、酵母、カビ共に十分な抗菌活性を示さないことが分かる。
【0036】
以上より、本発明の化粧料用原料は、コラーゲン特有の異臭がなく、溶解安定性並びに防腐安定性に優れ、しかも、皮膚刺激性はなく、安全な化粧料用原料を提供できるこが分かる。したがって、本発明の化粧料用原料を配合した化粧料も、水性溶剤中であっても、溶解安定性に優れ、本発明の化粧料用原料に拠る皮膚刺激の心配もない。
【0037】
以下、本発明の化粧料用原料を配合した化粧品及び医薬部外品の配合例を示す。尚、配合量は重量%である。
【0038】
(配合例1;エモリエントローション)
ワセリン 2.0
スクワラン 5.0
セスキオレイン酸ソルビタン 0.8
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.5
1,2−オクタンジオール 0.1
アテロ化コラーゲン 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.16
水酸化カリウム 0.1
メチルパラベン 0.3
香料 適 量
紫外線吸収剤 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0039】
(配合例2;エモリエントローション)
流動パラフィン 15.0
ミツロウ 2.0
ラノリン 1.5
セスキオレイン酸ソルビタン 2.5
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
1,2−ヘキサンジオール 1.0
1,2−オクタンジオール 0.05
水溶性コラーゲン 1.0
プロピレングリコール 3.0
香料 適 量
紫外線吸収剤 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0040】
(配合例3;エモリエントクリーム)
ステアリルアルコール 5.0
ステアリン酸 2.0
ワセリン 5.0
スクワラン 5.0
ジプロピレングリコール 4.0
1,2−ペンタンジオール 3.0
1,2−オクタンジオール 0.05
加水分解コラーゲン 1.0
プロピレングリコールモノステアリン酸エステル 2.5
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
トリエタノールアミン 1.0
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.1
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0041】
(配合例4;マッサージクリーム)
固形パラフィン 5.0
ミツロウ 8.0
ワセリン 8.0
流動パラフィン 30.0
1,2−オクタンジオール 0.15
アテロ化コラーゲン 2.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
モノステアリン酸グリセリル 1.6
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.15
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0042】
(配合例5;日焼け止め乳液)
ステアリン酸 2.0
流動パラフィン 10.0
セタノール 1.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
メチルポリシロキサン 2.0
1,2−オクタンジオール 0.05
アテロ化コラーゲン 1.0
酸化チタン 5.0
トリエタノールアミン 0.8
メチルパラベン 0.3
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0043】
(配合例6;リキッドファンデーション)
タルク 3.0
二酸化チタン 5.0
ベントナイト 0.5
流動パラフィン 8.0
液状ラノリン 2.0
ステアリン酸 2.0
イソヘキサデシルアルコール 7.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル 0.9
トリエタノールアミン 1.0
1,2−オクタンジオール 1.0
アテロ化コラーゲン 2.0
プロピレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.05
着色顔料 適 量
香料 適 量
酸化防止剤 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0044】
(配合例7;マスカラ)
酢酸ビニルエマルジョン 20.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
1,2−オクタンジオール 0.1
アテロ化コラーゲン 1.0
黒酸化鉄 10.0
カオリン 2.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残 分
合 計 100.0
【0045】
(配合例8;乳化型クリームブラッシャー)
サラシミツロウ 3.0
ステアリン酸 2.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル 4.0
モノステアリン酸グリセリン 3.0
セタノール 1.0
流動パラフィン 20.0
パルミチン酸イソプロピル 3.0
1,2−オクタンジオール 0.3
アテロ化コラーゲン 1.0
トリエタノールアミン 0.6
酸化チタン 1.0
タルク 6.0
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.15
着色顔料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0046】
(配合例9;洗顔フォーム)
ステアリン酸 10.0
パルミチン酸 10.0
ミリスチン酸 12.0
ラウリン酸 4.0
オレイルアルコール 1.5
ヤシ油 2.0
グリセリン 10.0
ポリエチレングリコール1500 4.0
1,2−ペンタンジオール 4.0
水溶性コラーゲン 0.8
水酸化カリウム 6.0
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0047】
(配合例10;ハンドクリーム)
流動パラフィン 10.0
ワセリン 5.0
セタノール 1.5
ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 1.0
1,2−オクタンジオール 0.3
アテロ化コラーゲン 2.0
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.1
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0048】
(配合例11;クレンジングクリーム)
パラフィン 5.0
セタノール 1.5
ワセリン 20.0
流動パラフィン 25.0
モノステアリン酸グリセリン 3.0
ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル 3.0
1,2−オクタンジオール 0.1
アテロ化コラーゲン 2.0
メチルパラベン 0.2
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0049】
(配合例12;クレンジングローション)
ステアリン酸 2.0
セタノール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 12.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1.8
ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル 0.7
1,2−オクタンジオール 1.0
水溶性コラーゲン 3.0
エタノール 2.0
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.15
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0050】
(配合例13;トリートメントヘアローション)
流動パラフィン 3.0
メチルポリシロキサン 2.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
塩化ジアルキル(12〜18)ジメチルアンモニウム 0.5
1,2−オクタンジオール 0.8
アテロ化コラーゲン 3.0
紫外線吸収剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0051】
(配合例14;ヘアクリーム)
流動パラフィン 12.0
メチルポリシロキサン 5.0
ワセリン 3.0
セタノール 0.5
塩化ジココイルジメチルアンモニウム 0.5
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム 2.0
1,2−オクタンジオール 1.5
アテロ化コラーゲン 3.0
紫外線吸収剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0052】
(配合例15;ヘアワックス)
流動パラフィン 20.0
メチルポリシロキサン 5.0
セタノール 3.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル 3.0
1,2−オクタンジオール 1.0
アテロ化コラーゲン 3.0
グリセリン 3.0
ポリビニルピロリドン 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.35
紫外線吸収剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0
【0053】
(配合例16;ヘアリンス)
メチルポリシロキサン 4.0
流動パラフィン 1.0
セタノール 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
1,2−オクタンジオール 1.0
加水分解コラーゲン 2.0
グリセリン 3.0
紫外線吸収剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 分
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲン、コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物およびコラーゲン加水分解物誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種と、1,2−オクタンジオールとを含有することを特徴とする化粧料用原料。
【請求項2】
コラーゲンが、水溶性コラーゲンであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用原料。
【請求項3】
コラーゲン誘導体が、アテロ化コラーゲンまたはサクシニル化コラーゲンであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用原料。
【請求項4】
コラーゲン加水分解物誘導体が、コラーゲン加水分解物のアシル化物、ポリオキシエチレン付加物および第4級アンモニウム化物からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用原料。
【請求項5】
コラーゲンの起源が、海洋性生物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料用原料。
【請求項6】
海洋性生物が、サケであることを特徴とする請求項5に記載の化粧料用原料。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料用原料を含有してなる化粧料。

【公開番号】特開2008−7437(P2008−7437A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177414(P2006−177414)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【出願人】(594038025)井原水産株式会社 (10)
【Fターム(参考)】