説明

化粧料用紫外線吸収剤組成物及び配合化粧料

【課題】結晶化しやすいA波有機系紫外線吸収剤をより高濃度で配合することが可能で、かつ感触に優れた化粧料を得ること。
【解決手段】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤を20〜40質量%と、有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%と、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%含むことを特徴とする化粧料用紫外線吸収剤組成物及び化粧料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用紫外線吸収剤組成物及びその配合化粧料に関する。
さらに詳しくは、安定性に優れた化粧料用紫外線吸収剤組成物及び、感触と紫外線防御効果に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には下記の点が記載されている。
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジンはいずれも有機系A波紫外線吸収剤である。これらの有機系A波紫外線吸収剤は各種の油剤、溶媒に対する溶解性が悪く、化粧料中で結晶析出しやすい問題があり、その対策のために、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーと混合することが行われている。
また、該有機系A波紫外線吸収剤と共に、他の極めて多種の紫外線吸収剤を併用でき、そのうちの1種としてパラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステルを使用できる。
さらに、実施例としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル6質量%に対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーを6質量%、16質量%、20質量%含有する化粧料の(表3)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルと4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンの系8質量%に対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーを16質量%含有する化粧料(表4)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル6質量%、又はそれに加えて4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン2質量%に対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーを20質量%又は16質量%含有する化粧料(表5)が開示されている。
そしてこの公知の技術が示す事項は、化粧料中のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、及び/又は4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンに対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーを同量以上添加することであり、そのような化粧料によって、紫外線防御効果及び塗布感に優れ、使用後に肌に異常を感じないという効果を奏することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4299878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンはいずれもヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーと組み合わせて配合することにより経時的に安定に配合することができるが、一方で、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを上記の特許文献に示された配合割合、つまりジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又は4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンに対して少なくとも同量以上で化粧料に配合すると、やや重めの感触になるため、欧州では好まれる感触であっても、東南アジアなど高湿度地域ではあまり好まれず、塗布時の感触が軽く、ワックス感がない化粧料が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための第1の本発明は、
成分Aとしてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤を20〜40質量%と、
成分Bとして有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%と、
成分Cとしてヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%を含むことを特徴とする化粧料用紫外線吸収剤組成物にある。
【0006】
第2の本発明は、
(A)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤
(B)有機系B波紫外線吸収剤
(C)ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマー
の成分A〜Cを、質量比でA:B:C=20〜40:70〜50:8〜18となるように含有する化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
そこで、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーの配合量を最小にしながら、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを安定に配合する方法について、本発明者は鋭意検討した結果、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤を20〜40質量%と、有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%と、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%含むことにより、やや重い感触を有するヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーの配合量を最小にしながら、これらの有機系A波紫外線吸収剤の結晶析出を抑制し、安定的に化粧料に配合できる化粧料用紫外線吸収剤組成物が得られることを見いだした。また、この化粧料用紫外線吸収剤組成物を配合した化粧料はA波紫外線とB波紫外線に対する防御効果が高いにも関わらず、感触及び塗布感が優れると共に塗布後に肌に異常を感じない化粧料を得ることができた。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、成分Aとしてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤を20〜40質量%と、成分Bとして有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%と、成分Cとしてヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%含むことを特徴とする。
本発明で言うA波紫外線とは、波長320〜400nmの範囲の紫外線を言い、B波紫外線とは、波長290〜320nmの範囲の紫外線を言う。有機系とは、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機酸化物を含まない、有機化合物からなる紫外線吸収剤を指す。すなわち、有機系A波紫外線吸収剤とは、A波紫外線に吸収帯を有する有機化合物からなる紫外線吸収剤を指す。同様に有機系B波紫外線吸収剤とは、B波紫外線に吸収帯を有する有機化合物からなる紫外線吸収剤を指す。
【0009】
(成分Aについて)
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物で用いる有機系A波紫外線吸収剤は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの中から1種以上が選択される。化粧料用紫外線吸収剤組成物の有機系A波紫外線吸収剤の含有量は20〜40質量%である。この範囲を下回ると、化粧料に本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物を少量配合した場合には、A波紫外線の防御効果が不十分になる場合があり、この範囲を超えると、結晶析出が生じる場合がある。ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルはBASF社よりUvinul A plus(登録商標)の名称にて発売されている。4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、DSM社よりParsol 1789(登録商標)の名称にて発売されている。ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンはBASF社よりTinosorb S(登録商標)の名称にて発売されている。
【0010】
(成分Bについて)
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%含有する。ここで言う有機系B波紫外線吸収剤とは、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が例示される。
この内、パラメトキシケイ皮酸オクチル、オクトクリレンは、安全性、及び本発明にて使用される有機系A波紫外線吸収剤の溶解性に優れていることから特に好ましい。また、上記の内、油溶性の紫外線吸収剤と水溶性の紫外線吸収剤とを組み合わせて使用することも好ましい。
【0011】
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%含有するが、70質量%を超えるとA波紫外線の防御効果が不十分になる問題があり、また、50質量%未満では、有機系A波紫外線吸収剤が安定に保持できず、結晶析出が生じる可能性が高くなる問題がある。
【0012】
(成分Cについて)
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%、好ましくは10〜18質量%、さらに好ましくは10〜15質量%含む。ヒドロキシステアリン酸オクチルのオリゴマーとしては、下記式(1)で示される化合物であり、中でも2〜7量体が使用可能であるが、特に5量体が結晶析出の抑制効果に優れていることから好ましい。ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーの含有量が10質量%未満の場合、結晶が析出してくる可能性があり、18質量%を超えると、高い紫外線防御効果を有するような製剤では、感触が重く感じられる場合がでてくる。
【0013】
式(1)

nは1〜6である。
なお、このヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーの含有量である8〜18質量%という範囲は、上記のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルへキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの中から1種以上の含有量である20〜40質量%よりも明らかに少ない含有量である。
【0014】
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、上記の各成分以外に、トコフェロール、ビタミン類などの酸化防止剤、キレート剤などの成分を含有させることができる。
【0015】
本発明の化粧料用紫外線吸収剤組成物は、上記の各成分を均一に加熱溶解した後、攪拌下に冷却することにより得られる。加熱の温度は80〜100℃の範囲で実施することが好ましい。また、窒素を吹き込み、酸素を除去することも可能である。得られた化粧料用紫外線吸収剤組成物は、紫外線をカットする遮光容器に充填する。
【0016】
このようにして得られた紫外線吸収剤組成物を化粧料に配合する場合、各国の法律に基づき、許可範囲内の濃度になるようにする必要があるが、化粧料の質量に対して、通常1〜30質量%の範囲で配合するが、好ましくは3〜28質量%、更に好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。紫外線吸収剤組成物は油相と共に配合することが可能であるが、化粧料中の共存成分の影響で、結晶析出抑制効果が低下する場合があるので、可能ならば60℃以下の温度にて投入することが好ましい。
【0017】
本発明の化粧料では、通常化粧料に用いられる油剤、樹脂、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、防腐剤、香料、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、増粘剤等の成分を使用することができる。例えば、シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、揮発性シリコーン(環状シリコーン、メチルトリメチコン)等のシリコーン化合物が挙げられる。
【0018】
本発明の化粧料で用いる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラフィノース、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体なども使用可能である。
【0019】
本発明の化粧料で用いる油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性および不揮発性の油剤および溶剤および樹脂が挙げられる。油剤の例としては、例えばアボカド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、キョウニン油、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ホホバロウ、セラックロウ、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物などが挙げられる。
【0020】
本発明の化粧料で用いる粉体の例としては、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素などがあげられ、具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムなどがある。有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロンなどのナイロンパウダー、ポリアクリルパウダー、ポリアクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末又はラウロイルリジンなどがある。界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウムなどがある。有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄などの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルトなどの無機緑色顔料、紺青、群青などの無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などある。パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン・酸化鉄被覆マイカなど;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダーなど;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号など;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン又はクロシンなどから選ばれる粉体が挙げられる。表面処理は撥水性処理がされていても親水性処理がされていても構わない。粉体表面処理の例としては、シリカ処理、アルミナ処理、珪酸亜鉛処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、アクリルシリコーン処理、アシル化アミノ酸処理、寒天処理、アルギン酸処理、アクリル酸処理、金属石鹸処理、油剤処理、ワックス処理、シラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、シリコーン樹脂処理、シリコーンエラストマー処理、ホスホリルコリン誘導体処理など従来知られている表面処理の1種または2種以上を用いることができる。
【0021】
本発明の化粧料としては、サンスクリーン剤、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、口紅、アイシャドウ、頬紅、クリーム、ミルク、美容液、コンディショナー、ヘアカラーなど紫外線防御効果を付与可能な化粧品が該当し、その剤型としては、多層分離型、ローション、クリーム、乳液状、固型状、粉末状、泡状、スプレー、ジェル状、スティック状の剤型などが挙げられる。
【0022】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
化粧料用紫外線吸収剤組成物の実施例及び比較例と、その評価結果を表1〜表3に示す。
表中の各成分の配合量の単位は質量%である。経時安定性の評価方法は、実施例及び比較例で作製した試料をガラス瓶に入れ、5℃、室温、45℃の恒温槽に3ケ月保管したものの外観を目視観察する条件で実施した。安定と記載してあるものは、外観上の変化が認められないもの、析出と記載してあるものは析出物が認められることを示している。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
表1〜3の結果から、本発明の実施例は有機系A波紫外線吸収剤の結晶析出を抑制しながら、安定性にも優れていることが判る。これに対して、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーを配合しない、または配合量が少ない比較例1、2では、低温の安定性が悪く、結晶が析出していることが判る。また、比較例3及び4はヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの配合量が多い場合の例であるが、この場合の安定性は実施例同様に確保されていた。尚、化粧時の感触に関する結果に関しては、実施例及び比較例を比較しつつ以下に説明する。
【0028】
化粧料の実施例、比較例に対する有用性評価方法
化粧料の官能特性評価は、パネラー5名を用い、実際に製品を顔、手につけてもらい、各パネラーごとに使用感が悪い場合を0点、優れている場合を5点として評価してもらい、その平均点数を以って評価結果とした。従って、点数が高い方が使用感が優れていることを示す。
【0029】
実施例13〜24、比較例5〜8 サンスクリーン剤
表4〜6の処方と製造方法によりW/O型サンスクリーン剤を得た。尚、表中の単位は質量%である。
表4中、サンスクリーンベース1は、精製水からオリーブ油までを合わせて100質量%、サンスクリーン剤は、サンスクリーンベース1から化粧料用紫外線吸収剤組成物を合わせて100質量%である。
【0030】
【表4】

【0031】
【表5】

【0032】
【表6】

【0033】
製造方法
表4中の成分Aを攪拌下に80℃に加熱し、均一に溶解した。次いで、80℃で均一に溶解させた成分Bを成分Aに攪拌下にゆっくりと加えた後、室温まで冷却してサンスクリーンベース1を得た。このサンスクリーンベース1に、室温で均一に分散させた成分Cを攪拌下に加えた。次いで、化粧料用紫外線吸収剤組成物をゆっくり攪拌下に添加した後、容器に充填して製品を得た。尚、成分C中のシリコーン処理微粒子酸化チタン及びシリコーン処理微粒子酸化亜鉛については、事前にシクロペンタシロキサン中に機械的に分散させたものを用いた。
【0034】
実施例25〜36、比較例9〜12 サンスクリーン剤
表7〜9の処方と製造方法によりO/W型サンスクリーン剤を得た。尚、表中の単位は質量%である。
【0035】
【表7】

【0036】
【表8】

【0037】
【表9】

【0038】
製造方法
成分Aを50℃で均一に溶解させた。ここに、成分Bを加え、攪拌下に80℃まで加温した。成分Cを80℃にて均一に溶解させた後、成分AとBの混合物に攪拌下にゆっくりと加えた後、攪拌下に冷却し、50℃の時に成分Dを加え、攪拌下に室温まで冷却した。そして、容器に充填して製品を得た。
【0039】
サンスクリーン剤の評価結果
表10〜15に実施例及び比較例で作成したサンスクリーン剤の評価結果を示す。尚、剤型の安定性以外の評価は前記の官能特性評価に基づいて実施し、安定性試験については、目視観察により実施した。
【0040】
【表10】

【0041】
【表11】

【0042】
【表12】

【0043】
【表13】

【0044】
【表14】

【0045】
【表15】

【0046】
表10〜表15の結果より、本発明の実施例、比較例共に紫外線防御効果は大変優れた性能を示していることが判る。そして、本発明に沿った各実施例の化粧料においては、製材の安定性に優れ、かつ感触の軽さとワックス感の少なさにも優れる。
これに対し、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの含有量が少ない化粧料用紫外線吸収剤組成物を用いた比較例5、6、9及び10の化粧料は、感触の軽さとワックス感の少なさに優れるものの、0℃保管時の製剤の安定性に劣り、逆にヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーの含有量が多い化粧料用紫外線吸収剤組成物を用いた比較例7、8、11及び12の化粧料は、0℃保管時の製剤の安定性には優れるが、感触の軽さとワックス感の少なさに劣ることになり、結局比較例5〜12の化粧料は紫外線防御効果以外の項目において、いずれかの評価項目に問題があることがわかる。
別の視点からみて、具体的には、本発明に沿った例である実施例13〜24では、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは、W/Oサンスクリーン剤中に2.5質量%又は4.5質量%と、5質量%含有されている比較例7及び8に示されるW/Oサンスクリーン剤よりも少量が配合されるにもかかわらず、W/Oサンスクリーン剤の安定性にも優れると共に感触が軽く、ワックス感が少ないという効果を奏するものである。
同様に、本発明に沿った例である実施例25〜36では、ヒドロキシステアリン酸オクチルオリゴマーは、O/Wサンスクリーン剤中に1.5質量%又は2.7質量%と、3質量%含有されている比較例11及び12に示されるO/Wサンスクリーン剤よりも少量が配合されるにもかかわらず、O/Wサンスクリーン剤の安定性にも優れると共に感触が軽く、ワックス感が少ないという効果を奏するものである。
これらの結果によれば、化粧料に、
(A)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤
(B)有機系B波紫外線吸収剤
(C)ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマー
の成分A〜Cを、質量比でA:B:C=20〜40:70〜50:8〜18となるように含有することが必要であると理解できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとしてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤を20〜40質量%と、
成分Bとして有機系B波紫外線吸収剤を70〜50質量%と、
成分Cとしてヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマーを8〜18質量%
を含むことを特徴とする化粧料用紫外線吸収剤組成物。
【請求項2】
(A)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種以上の有機系A波紫外線吸収剤
(B)有機系B波紫外線吸収剤
(C)ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそのオリゴマー
の成分A〜Cを、質量比でA:B:C=20〜40:70〜50:8〜18となるように含有する化粧料。

【公開番号】特開2012−197251(P2012−197251A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63312(P2011−63312)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(307025931)株式会社パラエルモサ (2)
【Fターム(参考)】