説明

化粧料

【課題】紫外線吸収効果、相溶性、皮膚や毛髪への密着性に優れ、べたつき感のないシリコーン重合体を含む化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)(a)下記一般式(1)で表されるシリコーン化合物と(b)分子中にポリオキシアルキレン鎖又はポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサン、又は長鎖アルキル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンから選択される少なくとも一つの分岐状オルガノポリシロキサンを含む化粧料。
SiO(4―a―b)/2 (1)(但し、Rは炭素数1〜30の有機基、Rは−CH−CH(R)(R)(Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基、Rは炭素数8〜14の直鎖アルキル基、1.2≦a≦2.4、0.005≦b≦1.0である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長鎖分岐状アルキル基を有するオルガノポリシロキサンと分岐状オルガノポリシロキサン乳化剤を含む化粧料組成物に関する。特に、油剤として極性の低いシリコーンオイルと、極性の高い紫外線吸収剤、エステル油、天然動植物油などを含みながら、保存安定性の良い化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンオイルは、その安全性等のために化粧品を初め、諸分野において基油として用いられている。特にスキンケア、メイキャップ化粧品等の用途においては100mm/s以下の低粘度シリコーンオイルは、その優れた伸展性、さっぱり感及び安全性により広く使用されている。
【0003】
一方、油剤としてシリコーンオイルのみを用いると、皮膚への密着感、モイスチャー性などが不足する。そのため、炭化水素油、エステル油、植物油などの有機油剤が併用される。しかしながら、シリコーンオイル、特にジメチルポリシロキサンは無極性の油剤であり、エステル油、紫外線吸収剤、天然動植物油などは極性の高い油剤である。そのため、両者のオイルを併用すると安定性が損なわれやすい。
【0004】
安定性を改良するため、シリコーンオイルと有機油剤との相溶化剤として、分子中にフェニル基、あるいは長鎖アルキル基を有するシリコーン化合物を用いる方法もあるが、さらなる安定性の向上が求められている。
相溶化剤として長鎖アルキル変性シリコーンを用いる場合、アルキル鎖長が短いと十分な相溶性が得られず、アルキル鎖長が長くなると固体状となるため、伸展性、さっぱり感が減少してしまう。
アルキル鎖長が長く、かつ常温で液状を維持するアルキル変性シリコーンを得るためには、アルキル鎖を分岐状とすることが有効である。
【0005】
特開2007−153751(特許文献1)には、炭素数7〜40の長鎖アルキル基を有するシリコーン化合物が開示されており、アルキル鎖は分岐状でも良いことが示されている。しかし、同特許の実施例はアルキル鎖が直鎖状のみが使用されている。また、実施例および本文の何れからも、シリコーンオイルと極性油が併用されたときの安定性向上方法に関する有効な手段は示唆されていない。
【0006】
【特許文献1】特開2007−153751号公報
【特許文献2】特開2001−39819号公報
【特許文献3】特開2002−179798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、極性の低い油剤であるシリコーンオイルと、極性の高いエステル油、紫外線吸収剤、天然動植物油などが併用された組成物において、保存安定性の良い化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、(A)(a)下記一般式(1)で表されるシリコーン化合物と、(b)分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサン、或いはさらに炭素数6〜20の長鎖アルキル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンの中から選択される少なくとも一つ分岐状オルガノポリシロキサンを含む化粧料。
SiO(4―a―b)/2 (1)
(但し、式中のRは炭素数1〜30の直鎖アルキル基、アリール基、アラルキル基及びフッ素置換アルキル基から選択される同種あるいは異種の有機基であって、Rは下記一般式(2)で示される分岐アルキル基であり、Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基、Rは炭素数8〜14の直鎖アルキル基であり、
−CH−CH(R)(R) (2)
a、bはそれぞれ1.2≦a≦2.4、0.005≦b≦1.0である。)
及び、さらに(c)シリコーンオイルと極性油とが共存することを特徴とする上記記載の化粧料により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、分岐状のアルキル鎖を有するシリコーン化合物と、主鎖が分岐状の親水性オルガノポリシロキサンを用いることからなり、無極性のシリコーンオイルと、極性の高い有機油剤が併用されても保存安定性に優れた化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の(A)成分としては、上記した(a)と(b)成分及び、さらには(c)成分によりなるものである。
ここで(a)成分は下記一般式(1)により示されるものである。
SiO(4―a―b)/2 (1)
(但し、式中のRは炭素数1〜30の直鎖アルキル基、アリール基、アラルキル基及びフッ素置換アルキル基から選択される同種あるいは異種の有機基であって、Rは下記一般式(2)で示される分岐アルキル基であり、Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基、Rは炭素数8〜14の直鎖アルキル基であり、
−CH−CH(R)(R) (2)
a、bはそれぞれ1.2≦a≦2.4、0.005≦b≦1.0である。)
【0011】
上記一般式(1)におけるRは、互いに異なっていてよく、その水素原子がフッ素原子で置換されていてよい、炭素数1〜30の、脂肪族不飽和結合を有しない直鎖アルキル基、アリール基、アラルキルから選ばれる基である。
【0012】
の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基、及びベヘニル基等のアルキル基;フェニル基、及びトリル基等のアリール基;フェネチル基等のアラルキル基;トリフロロプロピル基、ノナフロロヘキシル基、ヘプタデシルフロロデシル基等のフッ素置換アルキル基が包含される。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である。
【0013】
は上記一般式(2)で示される分岐アルキル基である。分岐鎖がイソブチル基のように炭素数が少ないもの、2−エチルヘキシル基のように分岐した炭素鎖が短いアルキル基では十分な安定性向上効果は得られない。そのため、Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基、好ましくは炭素数6〜10の直鎖アルキル基、Rは炭素数8〜14の直鎖アルキル基、好ましくは炭素数8〜12の直鎖アルキル基である。
【0014】
の例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基があげられる。
【0015】
の例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基があげられる。
【0016】
aは1.2≦a≦2.4であるが、1.2より小さいとシリコーンオイルの相溶性が不十分となり、2.4より大きいと極性油の相溶性が不十分となる。好ましくは、1.5≦a≦2.1である。
【0017】
bは0.005≦b≦1.0であるが、0.005より小さいと極性油の相溶性が不十分となり、1.0より大きいとシリコーンオイルの相溶性が不十分となる。好ましくは0.01≦b≦0.5である。
【0018】
上記一般式(1)で示されるシリコーン化合物は、下記一般式(3)のアルキルハイドロジェンポリシロキサンと、下記一般式(4)の不飽和化合物を付加反応することによって得られる。
SiO(4―a―b)/2 (3)
CH=C(R)(R) (4)
【0019】
付加反応は、白金化合物(例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体等)、又はロジウム化合物の存在下、室温又は加温下(約50〜120℃)で行なう。反応は、無溶剤で行なっても良いし、必要に応じて有機溶剤を使用しても良い。斯かる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2―プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。特に化粧品用途として用いる観点からは、無溶剤が好ましい。
【0020】
本発明では、(b)成分として分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサンが用いられる。ここで言う分岐状オルガノポリシロキサンとは、主鎖のシロキサン骨格に対し、シルエチレン結合を介してシロキサン鎖がグラフトした構造であることを示す。或いはさらに炭素数6〜20の長鎖アルキル基を有しているものが特に好ましい。
【0021】
これらの(b)分岐状オルガノポリシロキサンは、特開2001−39819号、または、特開2002−179798号に開示されているものを用いることが好ましい。特に、分子中のポリオキシアルキレン鎖、またはポリグリセリン鎖の含有量が、3〜40質量%であるものが好ましい。
【0022】
(b)成分の分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサンとしては特に限定はされないが、下記一般式(8)で示されるものであることが好ましい。
1011SiO(4―a―p−q)/2 (8)
(但し、式中のRは上記したと同様の基であり、R10は一般式(9)で表されるポリオキンアルキレン鎖、または、一般式(10)で表されるポリグリセリン鎖から選択される有機基であり、R11は一般式(11)で表されるオルガノシロキサン基であり、R12は水素原子、R、アセチル基から選択される有機基であり、
−C2m−O−(CO)(CO)−R12 (9)
−C2m−O−{CHCH(OH)CHO}H (10)
−C−(SiRO)−SiR (11)
p、q、r、s、t、m、nはそれぞれ0.005≦p≦1.0、0.005≦q≦1.0、0≦r≦50の整数、0≦s≦50の整数、2≦r+s≦100の整数、2≦t≦5の整数、2≦m≦12の整数、1≦n≦500の整数である。)
【0023】
(b)成分の分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサンとしては具体的に、下記のものをあげることができる。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
本発明の(A)成分において、(a)成分のシリコーン化合物と(b)成分の分岐状オルガノポリシロキサンとの比率は、(b)成分中のポリオキシアルキレン鎖、またはポリグリセリン鎖の含有量にもよるが、質量比で(a)/(b)=10/1〜1/10、好ましくは8/1〜1/5、さらに好ましくは5/1〜1/3であることが好ましい。(a)/(b)=10/1を超えて(a)成分の量が多くなると、極性油が分離しやすくなり、1/2を超えて(b)成分の量が多くなると、シリコーン油が分離しやすくなるので好ましくない。
【0032】
さらに、本発明の前記式(1)で示されるシリコーン化合物(a)と、ポリオキシアルキレン鎖、またはポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサン(b)を用いることにより、(c)シリコーンオイルと極性油が共存する系で安定性の良い化粧料を得ることができる。
【0033】
(c)成分のシリコーンオイルとしては、下記一般式で示されるものが挙げられる。

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】


4―ySi[OSi(CH (7)
【0036】
式(5)及び(6)において、Rは、互いに異なっていてよい、水酸基又は炭素数2〜20の1価の非置換又はフッ素置換アルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、炭素数6〜22のアルコキシ基及び一般式(CHSiO[(CHSiO]Si(CHCHCH−で示される基あるいはC(CHSiO[(CHSiO]Si(CHCHCH−で示される基(xは0〜1000の整数)から選択される基である。hは0〜1000の整数、iは0〜1000の整数、但し、h+iが1〜2000の整数、j、kは0、1、2又は3である。式(6)において、l、mは0〜8の整数であり、但し3≦l+m≦8である。式(3)において、Rは炭素数1〜20の1価アルキル基であり、yは1〜4の整数である。
【0037】
の例としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフロロプロピル基、ノナフロロヘキシル基、ヘプタデシルフロロデシル基、フェニル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、ステアロキシ基、ブトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、セチロキシ基、ミリスチロキシ基、スチリル基、α−メチルスチリル基等があげられ、なかでも、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフロロプロピル基、フェニル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基が好ましい。
【0038】
上記したシリコーン油の例として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の粘度0.65〜10000mm/秒、好ましくは0.65〜1000mm/秒、の常温で液状であるオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6),テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン(H4)、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン(M3T)、テトラキストリメチルシロキシシラン(M4Q)、トリストリメチルシロキシフェニルシラン、トリストリメチルシロキシプロピルシラン、トリストリメチルシロキシヘキシルシラン、トリストリメチルシロキシデシルシラン等の分岐状シロキサン、ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0039】
また、(c)成分の極性油としては、紫外線吸収剤、エステル油、天然動植物油が挙げられる。
紫外線吸収剤の例としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0040】
エステル油の例としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0041】
天然動植物油の例としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、肝油、牛脚脂、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、胚芽油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、メドウホーム油、綿実油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、酢酸ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、卵黄油、シアバター、パーム油、ヤシ油等が挙げられる。
【0042】
(c)成分のシリコーンオイルと極性油の混合比率は、どちらか一方が過剰に使用されるときは安定性を維持しやすいが、等量の比率で使用されたときに最も安定性が損なわれやすい。本発明の方法によると、そのような使用比率で用いられても安定性を維持できることが特徴である。具体的には、シリコーンオイルと極性油の比率が、3:7〜7:3(質量比)、特に4:6〜6:4(質量比)の領域で優れた効果を発揮する。
【0043】
本発明の(A)成分において、(c)成分のシリコーンオイルと極性油の共存系と(a)成分及び(b)成分との比率は、(a)と(b)の合計量に対して(c)成分の比率が、(c)/{(a)+(b))=10/1〜1/5、好ましくは8/1〜1/3、さらに好ましくは5/1〜1/1である。この比率が10/1を超えて(c)成分の量が多くなると、オイル分離が起きやすくなり、1/5を超えて(a)+(b)合計量が多くなると、油性感の強い化粧料となってしまうので好ましくない。
【0044】
本発明における(A)成分は、各種の化粧品に使用することができるが、特に顔、手、頭髪に使用されるすべての化粧料に好適である。このような化粧料とは、たとえば、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイライナー、ハンドクリーム、シャンプー、リンスなどの化粧料等である。該(A)成分の配合量は化粧料の剤形によって異なるが、化粧料全体の1〜50質量%の範囲で使用可能であり、好ましくは化粧料全体の2〜30質量%で配合される。
【0045】
本発明の化粧料は、上記(A)成分に加えて、化粧料に使用される種々の成分、例えば(B)油剤、(C)水、(D)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物、(E)水溶性あるいは水膨潤性高分子、(F)粉体、(G)上記記載の分岐状オルガノポリシロキサンを除く直鎖状の界面活性剤、(H)慣用のシリコーン樹脂、及び(I)公知の架橋型オルガノポリシロキサンと液状油からなる組成物から成る群から選択される少なくとも1種を含有してよい。以下、各々の成分につき説明する。
【0046】
(B)油剤は、通常の化粧料に使用される、固体、半固体、液状の何れの油剤も使用することができ、具体例は前述した通りである。ただし、(c)成分の極性油は含まない。
【0047】
その他の油剤として、炭化水素油としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、セレシン、ワセリン、オゾケライト、ポリエチレンワックス等;高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、乳酸等;高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)を用いることができる。
さらに、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液、等が挙げられる。
【0048】
またフッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。(B)成分の配合量は、化粧料全体の1〜95重量%、更に好ましくは2〜50重量%である。
【0049】
本発明の化粧料は、水を含まない油性化粧料でも安定性の良い組成物が得られるが、水を含むエマルション組成物でより顕著な効果を得ることができる。
(C)水の配合量は、化粧料全体の1〜95重量%、更に好ましくは7〜70重量%である。
【0050】
(D)分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物としては、前記高級アルコールを除いたエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ソルビトール、マルトース等の糖アルコール等があり、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール等の多価アルコール等があるが、通常は水溶性一価のアルコール、水溶性多価アルコールが多く用いられる。配合量は、化粧料全体の0.1〜98重量%、更に好ましくは0.1〜50重量%である。
【0051】
(E)水溶性或いは水膨潤性高分子としては、例えば、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン塩コポリマー等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマーなど他の合成水溶性高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子などがある。また、これらの水溶性高分子には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。(E)成分の配合量は、化粧料全体の0.1〜25重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0052】
(F)粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、天然色素等があげられる。
【0053】
無機粉体の具体例としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
【0054】
有機粉体としては合成品と天然品に大別され、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂に代表される合成品と微結晶繊維粉体、セルロース、シルクパウダー、デンプン末、ラウロイルリジン等の天然品が挙げられる。合成品の具体例としてはポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、特開平3−93834記載のジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、特開平3−47848記載の架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、特開平7−196815および9−20631記載の架橋型球状ポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末、疎水化シリカが挙げられる。
【0055】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0056】
有色顔料の具体例としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0057】
パール顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0058】
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体が挙げられる。
【0059】
これらの粉体のうち、本発明においては、少なくとも一部がジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状ポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末が好ましく、また、フッ素基を有する粉体及び/又は着色剤である物も多く用いられる。
【0060】
さらに、これらの粉体は、本発明の効果を妨げない範囲で、粉体を複合化したものや、一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したもの、反応性を持つオルガノハイドロジェンポリシロキサン、加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノポリシロキサン、加水分解性シリル基を有するアクリル−シリコーン系共重合体等も使用することができ、必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。また、これらの粉体の配合量は、化粧料全体の0.1〜99重量%の範囲が好適である。特に、粉末固形化粧料の場合の配合量は、化粧料全体の80〜99重量%、更に好ましくは粉末固形化粧料以外で0.1〜50質量%、粉末固形化粧料で70〜90質量%である。
【0061】
(G)界面活性剤としては、前記の分岐状オルガノポリシロキサンを除くものであれば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性のいずれのものも使用することができる。アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等;カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0062】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、シロキサン主鎖が直鎖状のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、同ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、同ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、同ポリグリセリン・長鎖アルキル基共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アミドアミン型等が挙げられる。
【0063】
また、配合量は、化粧料全体の0.1〜20重量%であることが好ましく、特に0.2〜10重量%の範囲が好適である。
【0064】
(H)シリコーン樹脂は、常温でガム状ないし固体状で、かつデカメチルシクロペンタシロキサンに溶解しうるシリコーン樹脂である。ガム状シリコーン樹脂は、一般式(CHSiO{(CHSiO}{(CH)RSiO}Si(CHで示される直鎖状シリコーンにおいて、Rがメチル基、または、炭素数が6〜20のアルキル基、炭素数が3〜15のアミノ基含有アルキル基、フッ素置換アルキル基、4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択され、uは1001〜20000、vは1〜5000、u+vが2500〜25000であるものが好ましい。
【0065】
固体状のシリコーン樹脂は、トリアルキルシロキシ単位(M単位)、ジアルキルシロキシ単位(D単位)、モノアルキルシロキシ単位(T単位)、4官能性のシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂であるシリコーン網状化合物であることが好ましい。特に好ましくは、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分からなる群から選択される少なくとも1種を分子中に含有するシリコーン網状化合物である。
【0066】
また(H)シリコーン樹脂としては、特許2704730号に記載のアクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂であることが好ましく、また特開2000−344829に記載の無臭化されたアクリル/シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂であることが好ましい。また、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸などのアニオン部分の中から選択される少なくとも1種を分子中に含有するアクリルシリコーン樹脂を使用することもできる。かかるアクリルシリコーン樹脂は常温で半固体〜固体状であることが好ましい。
【0067】
ガム状シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン網状化合物等のシリコーン樹脂は、低粘度シリコーン油や揮発性シリコーン油、及びその他の溶剤に溶解させたものもあるが、何れも、このシリコーン樹脂を用いる場合の配合量は、化粧料の総量に対して樹脂量が0.1〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0068】
(I)架橋型オルガノポリシロキサン重合物と液状油からなる組成物としては、例えば、特開平2−43263号、特開平2−214775号、特許2631772号、特開平9−136813号、特開2001−342255号、国際公開WO03/20828号、国際公開WO03/24413号、特開2004−824798号に記載されているもの;シリコーンオイルで膨潤された架橋型オルガノポリシロキサン、例えば、KSG−6、15、16、17、18、21、24、210、710、1610(信越化学工業);炭化水素油で膨潤されている架橋型オルガノポリシロキサン、例えば、KSG−31、32、34、310、320、340、41、42、44、810、820、840(信越化学工業);エステル油で膨潤された架橋型オルガノポリシロキサン、例えば、KSG−33、330、43、830(信越化学工業)が挙げられる。この架橋型オルガノポリシロキサン組成物を用いることにより、てかり防止、マット感付与効果、密着性向上効果、色移り性防止効果等の特性付与を期待できる。
【0069】
この架橋型オルガノポリシロキサンと液状油からなる組成物を用いる場合の配合量は、化粧料の総量に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30重量%である。
【0070】
更に本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に使用される成分、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、制汗剤、前記紫外線吸収剤、紫外線吸収散乱剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物、毛髪用固形化剤等を添加することができる。
【0071】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等から選ばれるゲル化剤が挙げられる。油溶性ゲル化剤の配合量は、化粧料の総量に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜30重量%である。
【0072】
制汗剤としては、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等から選ばれる制汗剤が挙げられる。
【0073】
紫外線吸収散乱剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粉体が挙げられる。
【0074】
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等がある。
【0075】
防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等がある。
【0076】
塩類としては無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、たとえば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等がある。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、更には、化粧品処方の中で使用される酸−アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0077】
酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0078】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0079】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等がある。
【0080】
アミノ酸類としては、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等、核酸としては、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0081】
毛髪固定用高分子化合物としては、両性、アニオン性、カチオン性、非イオン性の各高分子化合物が挙げられ、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体等の、ポリビニルピロリドン系高分子化合物、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物、N−メタクリロイルエチル−N、N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカルボキシベタイン/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート/アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性アクリル系高分子化合物が挙げられる。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0082】
また、本発明における化粧料としては、上記化粧料成分を配合してなる、乳液、クリーム、クレンジング、パック、オイルリキッド、マッサージ料、美容液、洗浄剤、脱臭剤、ハンドクリーム、リップクリーム等のスキンケア化粧料、メークアップ下地、白粉、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメークアップ化粧料、シャンプ−、リンス、トリートメント、セット剤等の毛髪化粧料、制汗剤、日焼け止め乳液や日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料等が挙げられる。
【0083】
またこれらの化粧料の形状としては、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレス状、多層状、ムース状、スプレー状、スティック状等、種々の形態を選択することができる。
【実施例】
【0084】
以下に、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、特に断らない限り、以下に記載する「%」は「質量%」を意味し、粘度は25℃での数値である。なお、下記式において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を夫々表す。
【0085】
合成例1
反応容器に、下記式(12)のメチルハイドロジェンポリシロキサン150.2質量部、及び2−オクチルドデセン308.0質量部を仕込み、塩化白金酸2質量%のジビニルテトラメチルジシロキサン溶液0.1質量部を加え、内温を90〜100℃に維持して8時間攪拌した。減圧下で未反応オレフィンを除去し、下記式(13)で示される液状の重合物を得た。
【0086】
【化10】

【0087】
【化11】

【0088】
合成例2
反応容器に、下記式(14)のメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン254.0質量部、及び2−オクチルドデセン123.2質量部を仕込み、塩化白金酸2質量%のジビニルテトラメチルジシロキサン溶液0.1質量部を加え、合成例1と同様にして、下記式(15)で示される液状の重合物を得た。
【0089】
【化12】

【0090】
【化13】

【0091】
合成例3
反応容器に、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン222.0質量部、及び2−オクチルドデセン308.0質量部を仕込み、塩化白金酸2質量%のジビニルテトラメチルジシロキサン溶液0.1質量部を加え、合成例1と同様にして、下記式(16)で示される液状の重合物を得た。
【0092】
【化14】

【0093】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
下記表1に示す組成の油性化粧料を調整し、室温で1週間静置後の安定性を評価した。
(評価基準) ◎:透明均一分散
○:微濁均一分散
△:白濁わずかに分離
×:白濁分離
【0094】
【表1】


配合量は質量%を示す
【0095】
注*1)合成例1で得た重合物
注*2)合成例2で得た重合物
注*3)合成例3で得た重合物
注*4)下記式で示される直鎖オクタデシル基含有ポリシロキサン
【0096】
【化15】


注*5)25℃における粘度が6mm/s
注*6)下記式で示される分岐状ポリシロキサン
【0097】
【化16】


注*7)下記式で示されるポリエーテル変性ポリシロキサン
【0098】
【化17】

注*8)下記式で示される分岐状ポリシロキサン
【0099】
【化18】

【0100】
(実施例4〜6、比較例4〜6)
下記表2に示す組成の乳化化粧料を調整し、室温で1週間静置後の安定性を評価した。
(評価基準) ○:分離なし
△:わずかに分離
×:二層分離
【0101】
【表2】


配合量は質量%を示す
注*1)〜*8)は前記に同じ
【0102】
(実施例7)W/O型乳液
(成分) 重量(%)
1.合成例1で得た重合物 15.0
2.パラメトキシケイ皮酸オクチル 12.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
4.トリオクタン酸グリセリル 5.0
5.ポリエーテル変性シリコーン(前記注*6に同じ) 3.0
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.防腐剤 適 量
8.香料 適 量
9.精製水 50.0
A:成分1〜5を均一に混合した。
B:成分6〜9を混合した後、Aを加えて乳化した。
以上のようにして得られた乳液は、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られ、安定性の良いW/O型乳液であった。
【0103】
(実施例8)W/O型クリーム
(成分) 重量(%)
1.合成例2で得た重合物 6.0
2.流動パラフィン 3.5
3.マカデミアナッツ油 4.0
4.ジメチルポリシロキサン(粘度6mm/s:25℃)5.0
5.パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0
6.ポリグリセリン変性シリコーン(前記注*8に同じ) 1.5
7.プロピレングリコール 8.0
8.グリセリン 3.0
9.防腐剤 適 量
10.香料 適 量
11.精製水 64.0
A:成分1〜6を均一に混合した。
B:成分7〜11を混合した後、Aに加えて乳化した。
以上のようにして得られたクリームは、油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽くさっぱりとした、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られ、安定性の良いW/O型クリームであった。
【0104】
(実施例9)W/O型メークアップ下地
(成分) 重量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン組成物(注9) 4.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン組成物(注10) 1.0
3.合成例3で得た重合物 1.0
4.ポリエーテル変性シリコーン(前記注*6に同じ) 0.5
5.メトキシケイ皮酸オクチル 6.0
6.ジメチルポリシロキサン(20mm/秒(25℃))2.0
7.トリオクタン酸グリセリル 3.0
8.酸化チタン/シクロペンタシロキサン分散物(注11)10.0
9.ジプロピレングリコール5.0
10.クエン酸ナトリウム 0.2
11.メチルセルロ−ス(2%水溶液)(注12) 2.5
12.エタノール 3.0
13.防腐剤 適 量
14.香料 適 量
15.精製水 61.8
(注9)信越化学工業(株)製:KSG−210(商品名)
(注10)信越化学工業(株)製:KSG−16(商品名)
(注11)信越化学工業(株)製:SPD−T5(商品名)
(注12)信越化学工業(株)製:メトローズ65−SH4000(商品名)
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に混合した。
B:成分9〜15を混合した後、Aに加えて乳化した。
以上のようにして得られたメークアップ下地は、油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、みずみずしいさっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られ、さらに紫外線カット効果のある化粧持ちの良いW/O型メークアップ下地であった。
【0105】
(実施例10)O/Wクリーム
(成分) 重量(%)
1.合成例1で得た重合物 5.0
2.パラメトキシケイ皮酸オクチル 10.0
3.マカデミアナッツ油 10.0
4.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒(25℃)) 10.0
5.ポリグリセリン変性シリコーン(注13) 1.0
6.プロピレングリコール 3.0
7.ポリアクリルアミド系混合物(注14) 0.8
8.キサンタンガム(2%水溶液) 8.0
9.防腐剤 適 量
10.香料 適 量
11.精製水 52.2
(注13)下記式で示されるポリグリセリン変性シリコーン
【0106】
【化19】


(注14)SEPIC製:セピゲル305(商品名)
(製造方法)
A:成分1〜4を均一に混合した。
B:成分5〜11を混合した。
C:AをBに加えて乳化した。
以上のようにして得られたクリームは、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがない上しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に化粧持ちも非常に良く、温度変化や経時による変化がなく安定性に優れているO/W型クリームであった。
【0107】
(実施例11)口紅
(成分) 重量(%)
1.キャンデリラワックス 4.0
2.ポリエチレン 2.0
3.マイクロクリスタリンワックス 3.0
4.セレシン 7.0
5.アクリレート/ジメチルシリコーン共重合体(注15)15.0
6.合成例2で得た重合物 8.0
7.トリストリメチルシロキシメチルシラン 8.0
8.リンゴ酸ジイソステアリル 30.0
9.水添ポリイソブテン 15.0
10.パラメトキシケイ皮酸オクチル 4.0
11.着色料 適 量
12.マイカ 適 量
13.ポリグリセリン変性シリコーン(前記注*8に同じ)4.0

(注15)信越化学工業(株)製:KP−561P
A:成分6〜10を均一に混合した。
B:成分1〜5を加熱(90℃)混合、溶解し、Aを加えて均一にした。
C:80℃で成分11〜13をBに加えて均一にした。
以上のようにして得られた口紅は、のびが軽くて油っぽさや粉っぽさがない上、しっとりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性が良好で持ちも良く、安定性にも優れていた。
【0108】
(実施例12)W/Oクリームファンデーション
(成分) 重量(%)
1.合成例3で得た重合物 5.0
2.パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0
3.ポリエーテル変性シリコーン(前記注*6に同じ) 1.0
4.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒(25℃)) 3.0
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
6.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
7.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 2.0
8.ハイブリッドシリコーン複合粉体(注16) 1.5
9.架橋型グリセリン変性シリコーン組成物(注17) 2.0
10.アルキル・シリコーン処理顔料(注18) 5.0
11.ペンチレングリコール5.0
12.塩化ナトリウム 0.5
13.クエン酸ナトリウム 0.2
14.防腐剤 適 量
15.香料 適 量
16.精製水 54.8
(注16)信越化学工業(株)製:KSP−100(商品名)
(注17)信越化学工業(株)製:KSG−710(商品名)
(注18)信越化学工業(株)製:KF−9909(商品名)処理粉体
(製造方法)
A:成分1〜4、5の一部、6〜8を均一に混合した。
B:成分9、10、5の残部を混合した。
C:成分11〜14、および16を混合溶解した。
D:CをAに加えて乳化した。
E:成分15、およびBをDに加えて均一にした。
以上のようにして得られたクリームファンデーションは、べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、顔料の分散性が良く、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られるW/Oクリームファンデーションであった。
【0109】
(実施例13)非水エマルション
(成分) 重量(%)
1.合成例3で得た重合物 10.0
2.メトキシケイ皮酸オクチル 10.0
3.ジメチルポリシロキサン(6mm/s:25℃) 10.0
4.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 10.0
5.ポリグリセリン変性シリコーン(前記注*8に同じ) 3.0
6.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 2.0
7.1,3−ブチレングリコール 55.0
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に混合した。
B:成分7をAに加え均一に分散した。
以上のようにして得られた非水エマルションは、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、後肌のしっとりした、安定性の良い非水エマルションであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)下記一般式(1)で表されるシリコーン化合物と、(b)分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサン、或いはさらに炭素数6〜20の長鎖アルキル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンの中から選択される少なくとも一つ分岐状オルガノポリシロキサンを含む化粧料。
SiO(4―a―b)/2 (1)
(但し、式中のRは炭素数1〜30の直鎖アルキル基、アリール基、アラルキル基及びフッ素置換アルキル基から選択される同種あるいは異種の有機基であって、Rは下記一般式(2)で示される分岐アルキル基であり、Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基、Rは炭素数8〜14の直鎖アルキル基であり、
−CH−CH(R)(R) (2)
a、bはそれぞれ1.2≦a≦2.4、0.005≦b≦1.0である。)
【請求項2】
(A)成分において、さらに(c)シリコーンオイルと極性油とが共存することを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
(b)成分の分子中にポリオキシアルキレン鎖、または、ポリグリセリン鎖を有する分岐状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(8)で示されるものであることを特徴とする請求項1乃至2記載の化粧料。
1011SiO(4―a―p−q)/2 (8)
(但し、式中のRは上記したと同様の基であり、R10は一般式(9)で表されるポリオキンアルキレン鎖、または、一般式(10)で表されるポリグリセリン鎖から選択される有機基であり、R11は一般式(11)で表されるオルガノシロキサン基であり、R12は水素原子、R、アセチル基から選択される有機基であり、
−C2m−O−(CO)(CO)−R12 (9)
−C2m−O−{CHCH(OH)CHO}H (10)
−C−(SiRO)−SiR (11)
p、q、r、s、t、m、nはそれぞれ0.005≦p≦1.0、0.005≦q≦1.0、0≦r≦50の整数、0≦s≦50の整数、2≦r+s≦100の整数、2≦t≦5の整数、2≦m≦12の整数、1≦n≦500の整数である。)
【請求項4】
(c)成分のシリコーンオイルが0.65mm/秒(25℃)〜1000mm/秒(25℃)の粘度であるものであることを特徴とする請求項1乃至3記載の化粧料。
【請求項5】
(c)成分の極性油が、紫外線吸収剤、エステル油、天然動植物油から選択されるものであることを特徴とする請求項1乃至4記載の化粧料。
【請求項6】
更に、B)成分として油剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項7】
更に、C)成分として水を含有する請求項1乃至6のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項8】
更に、D)成分として分子構造中にアルコール性水酸基を有する化合物を含有する、請求項1乃至7のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項9】
更に、E)成分として水溶性あるいは水膨潤性高分子を含有する請求項1乃至8のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項10】
更に、F)成分として粉体を含有する請求項1乃至9のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項11】
前記F)成分である粉体の少なくとも一部が、ジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つ架橋型球状ジメチルポリシロキサン微粉末、架橋型球状ポリメチルシルセスキオキサン微粉末、架橋型球状オルガノポリシロキサンゴム表面をポリメチルシルセスキオキサン粒子で被覆してなる微粉末である請求項10記載の化粧料。
【請求項12】
更に、G)成分として請求項1記載の分岐状オルガノポリシロキサンを除く直鎖、あるいはブロック状界面活性剤をさらに含有する請求項1乃至11のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項13】
更に、H)成分として常温でガム状ないし固体状で、かつデカメチルシクロペンタシロキサンに溶解しうるシリコーン樹脂を含有する請求項1乃至12のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項14】
前記H)成分のシリコーン樹脂が、アクリルシリコーン樹脂である請求項13記載の化粧料。
【請求項15】
前記H)成分のシリコーン樹脂が、RSiO0.5単位とSiO単位から構成される樹脂、RSiO0.5単位とRSiO単位及びSiO単位から構成される樹脂、RSiO0.5単位とRSiO1.5単位から構成される樹脂、RSiO0.5単位とRSiO単位及びRSiO1.5単位から構成される樹脂、RSiO0.5単位、RSiO単位、RSiO1.5単位及びSiO単位から構成される樹脂から成る群から選択される少なくとも1種のシリコーン樹脂である、請求項13記載の化粧料。
【請求項16】
前記H)成分のシリコーン樹脂が、ピロリドン基、長鎖アルキル基、ポリオキシアルキレン基、フルオロアルキル基、アミノ基の中から少なくとも一つ選択された有機基を分子中に含有するシリコーン樹脂である請求項13記載の化粧料。
【請求項17】
I)架橋型オルガノポリシロキサン重合物と、室温で液状の油剤からなる組成物を含有する請求項1乃至16の何れか1項に記載の化粧料。
【請求項18】
前記化粧料がスキンケア化粧料、メークアップ化粧料、頭髪化粧料、制汗剤化粧料、又は紫外線防御化粧料である、請求項1乃至17のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項19】
液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、プレスされた粉末状、ムース状、スプレー状、又はスティック状である、請求項1乃至18のいずれか1項記載の化粧料。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項記載の化粧料を配合してなり、その形態が、粉体、油性、油中水型エマルション、水中油型エマルション、非水エマルション、W/O/WやO/W/Oなどのマルチエマルションである化粧料。

【公開番号】特開2009−84187(P2009−84187A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254634(P2007−254634)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】