説明

医用画像処理装置及びプログラム

【課題】異常陰影候補の検出機能の理解向上を図る。
【解決手段】CAD処理の対象となるサンプル画像を表示し(ステップS22)、サンプル画像上の異常陰影候補の位置にCADマークを表示する(ステップS24)。類似症例を検索する旨の操作が行われた場合には(ステップS27;YES)、類似症例検索処理を行う(ステップS28)。具体的には、サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、CADマークに関するコメントと一致する医用画像をティーチングファイルDBから抽出し、サンプル画像の画像特徴量と、抽出された医用画像の画像特徴量とに基づいて、抽出された医用画像のうち、類似度が高い方から順に予め定められた数の医用画像を抽出する。そして、類似症例として抽出された医用画像上の異常陰影候補の位置にCADマークを付加して表示する(ステップS29)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者を放射線撮影して得られた医用画像の診断において、コンピュータによる診断支援機能(CAD:Computer-Aided Diagnosis)が利用されている。この機能は、医用画像の解析を行い、病変と思われる領域に対してマークを付加してディスプレイ上で表示を行い、医師の読影を助ける機能である。乳房画像に対しては、腫瘤や微小石灰化等の病変の可能性がある異常陰影候補が検出される。
【0003】
一般に、医療機関では、様々な医療機器が用いられており、新たな医療機器が導入される際には、その都度医療機器の取扱方法を習得する必要がある。そこで、教育用ソフトウェアにより医療機器の取扱方法に関する教育を提供し、教育内容の理解度をチェックする理解度テストを行い、テストの合格を条件として、ユーザに医療機器を使用可能とするパスワードを発行する医療機器取扱教育システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−157177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般の医療機器と比較して、CADの各機能の使用方法を習得することは困難であった。例えば、CADの各機能は、実際の症例によって理解することが望ましい。また、CADを効果的に使用するためには、異常陰影の例として真陽性(TP:True Positive)だけでなく、偽陽性(FP:False Positive)や偽陰性(FN:False Negative)等も理解する必要がある。また、CADは検出感度の設定が可能であるため、各感度においてCADの使用に対応できるようにしておく必要がある。
【0006】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、異常陰影候補の検出機能の理解向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、異常陰影候補の検出機能の対象毎に用意されたサンプル画像と当該サンプル画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第1記憶手段と、複数の医用画像のそれぞれと当該各医用画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第2記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶されているサンプル画像のうちいずれか一つを選択するための操作手段と、前記選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報を前記第1記憶手段から読み出し、当該選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補を示すマークを表示手段に表示させ、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出し、当該抽出された一又は複数の医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補を示すマークを前記表示手段に表示させる制御手段と、を備える医用画像処理装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像処理装置において、前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報及び当該サンプル画像の画像特徴量に基づいて、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用画像処理装置において、前記第1記憶手段には、さらに、前記サンプル画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、前記第2記憶手段には、さらに、前記各医用画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が真陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が真陽性であるもののみを対象とし、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が偽陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が偽陽性であるもののみを対象として、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置において、前記制御手段は、前記第2記憶手段に記憶される複数の医用画像として、当該医用画像処理装置が設置された施設内の情報を追加する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを、異常陰影候補の検出機能の対象毎に用意されたサンプル画像と当該サンプル画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第1記憶手段、複数の医用画像のそれぞれと当該各医用画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第2記憶手段、前記第1記憶手段に記憶されているサンプル画像のうちいずれか一つを選択するための操作手段、前記選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報を前記第1記憶手段から読み出し、当該選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補を示すマークを表示手段に表示させ、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出し、当該抽出された一又は複数の医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補を示すマークを前記表示手段に表示させる制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報及び当該サンプル画像の画像特徴量に基づいて、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出するものである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のプログラムにおいて、前記第1記憶手段には、さらに、前記サンプル画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、前記第2記憶手段には、さらに、前記各医用画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が真陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が真陽性であるもののみを対象とし、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が偽陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が偽陽性であるもののみを対象として、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、5に記載の発明によれば、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出するので、異常陰影候補の検出機能の理解向上を図ることができる。
【0015】
請求項2、6に記載の発明によれば、異常陰影候補の位置情報及びサンプル画像の画像特徴量に基づいて、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出することができる。
【0016】
請求項3、7に記載の発明によれば、真陽性であるか偽陽性であるかを区別して、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、各施設に適した情報を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】医用情報システムのシステム構成図である。
【図2】医用画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】医用画像処理装置において実行されるティーチングファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図4】所見情報及びシェーマ画像の入力画面の例である。
【図5】TP/FP選択欄の例である。
【図6】FNの位置にマークが付加された例である。
【図7】CADマーク(FP)に関するコメントの例である。
【図8】医用画像処理装置において実行されるCAD訓練処理を示すフローチャートである。
【図9】(a)は、感度設定画面の例である。(b)は、高感度が選択された場合の異常陰影候補の検出結果の例である。(c)は、低感度が選択された場合の異常陰影候補の検出結果の例である。
【図10】サンプル画像上にCADマークが表示された例である。
【図11】類似症例検索処理を示すフローチャートである。
【図12】類似症例として抽出された医用画像の例である。
【図13】医用画像処理装置において実行される理解度確認テスト実行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る医用画像処理装置の一実施の形態について説明する。
図1に、医用情報システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用情報システム100は、医用画像処理装置10、CAD処理装置20、医用画像サーバ30及び電子カルテシステム40が、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介してデータ通信可能に接続されて構成されている。ネットワークNは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格が適用されている。
【0020】
医用画像処理装置10は、WS(WorkStation)により構成され、医用画像の読影、医用画像に対するCAD機能の訓練等に用いられる。
【0021】
図2に、医用画像処理装置10の機能的構成を示す。図2に示すように、医用画像処理装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、記憶部15を備えて構成され、各部はバス16により接続されている。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、医用画像処理装置10の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部12から入力される操作信号又は通信部14により受信される指示信号に応じて、記憶部15に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0023】
操作部12は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0024】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部11から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0025】
通信部14は、CAD処理装置20、医用画像サーバ30、電子カルテシステム40等の外部機器との間でデータの送受信を行うインターフェースである。
【0026】
記憶部15は、ハードディスクや不揮発メモリ等により構成され、各種データを記憶する。具体的には、記憶部15には、ティーチングファイル作成処理プログラム151、CAD訓練処理プログラム152、理解度確認テスト実行処理プログラム153、サンプル画像DB(DataBase)154、ティーチングファイルDB155、テスト用画像DB156等が記憶されている。
【0027】
サンプル画像DB154は、異常陰影候補の検出機能の対象(撮影部位・検出目的)毎に予め用意されているサンプル画像を格納するデータベースである。サンプル画像DB154には、各サンプル画像に対して、当該サンプル画像から検出された異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報(TP/FP)、CADマークに関するコメント等が対応付けられて記憶されている。CADマークの真偽情報とは、異常陰影候補のそれぞれが真陽性(TP)であるか偽陽性(FP)であるかを示す情報である。なお、異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、CADマークに関するコメントについては、CADの感度(高感度・中感度・低感度)毎に、それぞれの情報が記憶されている。
【0028】
ティーチングファイルDB155は、後述するCAD訓練処理(図8参照)において検索される医用画像を格納するデータベースである。ティーチングファイルDB155には、各医用画像に対して、患者基本情報(患者ID、年齢、撮影情報等)、画像特徴量情報、当該医用画像から検出された異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報(TP/FP)、CADマークに関するコメント、シェーマ画像、所見情報、FN(偽陰性)の位置情報等が対応付けられて記憶されている。なお、異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、CADマークに関するコメント、FNの位置情報については、CADの感度毎に、それぞれの情報が記憶されている。
【0029】
画像特徴量情報は、画像の濃度、濃淡勾配、線構造の集中度等の画像特徴量を含む情報である。画像の濃度は、濃度ヒストグラムから求められる画素値の平均や分散である。濃淡勾配は、各画素の濃度変化の勾配を示すものである。例えば、アイリスフィルタに代表されるフィルタにより勾配ベクトルが算出され、勾配ベクトルが一点に向かっているか、全体的に濃淡値が均一であるか等に基づいて、濃淡値の形状が把握される。線構造の集中度は、ある線構造が一点に集中しているか、同じ方向を向いているか等を数値化したものである。
【0030】
FNの位置情報は、医用画像に対するCADにより検出されなかった異常陰影(偽陰性)の位置を示す情報である。
【0031】
ティーチングファイルDB155には、予め用意されている医用画像の他、医用画像処理装置10が設置された病院等の施設内の情報を追加することも可能である。
【0032】
テスト用画像DB156は、後述する理解度確認テスト実行処理(図13参照)において使用されるテスト用画像を格納するデータベースである。テスト用画像DB156には、各テスト用画像に対して、当該テスト用画像から検出された異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報(TP/FP)、シェーマ画像、所見情報等が対応付けられて記憶されている。
【0033】
制御部11は、ユーザの操作部12からの操作により選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報をサンプル画像DB154から読み出し、当該選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補を示すマーク(CADマーク)を表示部13に表示させる。
【0034】
なお、異常陰影候補の位置にマークを付加する際には、異常陰影候補領域を囲む円形のマークを付加してもよいし、異常陰影候補領域の輪郭(境界線)を図示するようにマークを付加してもよいし(CADアウトライン)、異常陰影候補領域の代表点(例えば重心等)にマークを付加してもよい。
【0035】
制御部11は、ティーチングファイルDB155に記憶されている複数の医用画像の中から、選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する。具体的に、制御部11は、選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報及び当該サンプル画像の画像特徴量に基づいて、ティーチングファイルDB155に記憶されている複数の医用画像の中から、選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する。
【0036】
この際、制御部11は、選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が真陽性である場合には、ティーチングファイルDB155に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が真陽性であるもののみを対象とし、選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が偽陽性である場合には、ティーチングファイルDB155に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が偽陽性であるもののみを対象として、選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する。
【0037】
制御部11は、抽出された一又は複数の医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補を示すマーク(CADマーク)を表示部13に表示させる。
【0038】
制御部11は、ティーチングファイルDB155に記憶される複数の医用画像として、当該医用画像処理装置10が設置された施設内の情報を追加する。
【0039】
CAD処理装置20は、医用画像の画像解析を行い、画像特徴量を算出し、異常陰影候補の検出を行う。そして、CAD処理装置20は、異常陰影候補の位置情報、画像特徴量情報等を生成する。異常陰影候補の位置情報は、画像内の領域を示す情報(乳房画像の例では、MLOのU/M/L領域、CCのO/I領域等の名称)であってもよいし、画像内の座標位置であってもよい。CAD処理装置20は、異常陰影候補の位置情報、画像特徴量情報等を医用画像処理装置10等の外部機器に送信する。
【0040】
なお、CAD処理装置20におけるCADの検出感度は、変更可能となっている。具体的には、異常陰影候補として検出するか否かの判断基準となる各パラメータの閾値を変更する等して、検出感度を変更する。同一の医用画像に対してCAD処理を行う場合には、通常、CADの感度が高いほど、より多くの異常陰影候補が検出されることになる。
【0041】
CAD処理装置20は、処理対象が乳房画像の場合、乳房画像から腫瘤、微小石灰化等の異常陰影候補を検出する。異常陰影候補の検出アルゴリズムとしては、公知のものを適用可能である。乳房画像における腫瘤の検出アルゴリズムとしては、例えば、アイリスフィルタ、ラプラシアンフィルタ等を用いた方法が適用可能である。また、微小石灰化の検出アルゴリズムとしては、例えば、モルフォロジーフィルタ、ラプラシアンフィルタ、3重リングフィルタ等を用いた方法が適用可能である。
【0042】
医用画像サーバ30は、PACS(Picture Archiving and Communication System)により構成され、各種モダリティにより生成された医用画像の画像ファイルを保存し、外部機器からの要求に応じて画像ファイルを提供する。
【0043】
電子カルテシステム40は、患者毎に、患者基本情報、病状や診断結果を示す情報、処方に関する情報等を記憶し、管理する。
【0044】
次に、動作について説明する。
図3は、医用画像処理装置10において実行されるティーチングファイル作成処理を示すフローチャートである。この処理は、ティーチングファイルDB155に対して、医用画像サーバ30に保存されている医用画像を追加する処理であり、制御部11のCPUと、記憶部15に記憶されているティーチングファイル作成処理プログラム151との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0045】
まず、ユーザの操作部12からの操作により、医用画像サーバ30に保存されている医用画像の中から、ティーチングファイルの対象となる医用画像が選択される。次に、制御部11により、通信部14を介して、選択された医用画像が医用画像サーバ30から取得され、医用画像に対応する患者の患者基本情報が電子カルテシステム40から取得される。そして、制御部11により、取得された医用画像と患者基本情報とが対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される(ステップS1)。
【0046】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、CADの感度が設定される(ステップS2)。具体的には、CADの感度として、高感度・中感度・低感度の中からいずれかの感度が選択される。
【0047】
次に、CAD処理装置20では、ティーチングファイルの対象となる医用画像に対し、ステップS2で設定された感度におけるCAD処理が行われる。そして、制御部11により、通信部14を介して、CAD処理装置20から、ティーチングファイルの対象となる医用画像についての異常陰影候補の位置情報及び画像特徴量情報が取得され、当該医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される(ステップS3)。
【0048】
次に、制御部11により、ティーチングファイルの対象となる医用画像が表示部13に表示されるとともに、異常陰影候補の位置情報に基づいて、医用画像上の異常陰影候補の位置にCADマークが付加されて表示される(ステップS4)。
【0049】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、所見情報が入力される(ステップS5)。入力された所見情報は、制御部11により、医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される。
【0050】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、病変の位置がシェーマ画像として記録される(ステップS6)。具体的には、撮影部位を示す模式図において病変と判断される位置が記録される。記録されたシェーマ画像は、制御部11により、医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される。
【0051】
図4(a)及び(b)に、表示部13に表示される所見情報及びシェーマ画像の入力画面の例を示す。
図4(a)に示す入力画面50は、所見入力欄51、形状入力欄52、辺縁入力欄53、濃度入力欄54、カテゴリ入力欄55、シェーマ画像入力欄56を含む。
所見入力欄51には、医用画像に対する医師の所見が入力される。
形状入力欄52には、異常陰影(腫瘤)の形状が入力される。形状として、円形あるいは楕円形(round of oval)、多角形(polygonal)、分葉状(lobular)、不整形(irregular)等がある。
辺縁入力欄53には、異常陰影(腫瘤)の辺縁情報が入力される。辺縁情報として、境界明瞭平滑(circumscribed)、微細分葉状(microlobulated)、スピキュラを伴う(spiculated)、境界不明瞭(indistinct)、評価困難(obscured)等がある。
濃度入力欄54には、異常陰影(腫瘤)の濃度情報が入力される。濃度情報として、脂肪濃度を含む(fat-containing)、等濃度(equal density)、低濃度(low density)、高濃度(high density)等がある。
カテゴリ入力欄55には、5段階に分類された病変の悪性度が入力される。カテゴリ1は「異常なし」、カテゴリ2は「良性所見あり」、カテゴリ3は「良性であるが、悪性を否定できない」、カテゴリ4は「悪性の疑い」、カテゴリ5は「悪性」である。
シェーマ画像入力欄56には、シェーマ画像が表示され、シェーマ画像上において病変の位置が記録される。
【0052】
図4(b)に示す入力画面60は、所見入力欄61、形態入力欄62、分布入力欄63、カテゴリ入力欄64、シェーマ画像入力欄65を含む。
所見入力欄61には、医用画像に対する医師の所見が入力される。
形態入力欄62には、異常陰影(石灰化)の形態情報が入力される。形態情報として、微小円形(small round)、微細円形(punctate)、淡く不明瞭(amorphous or indistinct)、多形性あるいは不均一(pleomorphic or heterogeneous)、微細線状・微細分枝状(linear or fine linear)等がある。
分布入力欄63には、異常陰影(石灰化)の分布情報が入力される。分布情報として、びまん性/散在性(diffuse/scattered)、領域性(regional)、集簇性(grouped or clustered)、線状(linear)、区域性(segmental)等がある。
カテゴリ入力欄64には、5段階に分類された病変の悪性度が入力される。
シェーマ画像入力欄65には、シェーマ画像が表示され、シェーマ画像上において病変の位置が記録される。
【0053】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、表示部13に表示されている各CADマークに対して、TPであるかFPであるかが選択される(ステップS7)。TPであるかFPであるかを示す情報(CADマークの真偽情報)は、制御部11により、医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される。
【0054】
例えば、図5に示すように、医用画像70上にCADマーク71,72が表示された状態で、CADマーク71と対応付けられた位置にTP/FP選択欄73が表示され、CADマーク72と対応付けられた位置にTP/FP選択欄74が表示される。TP/FP選択欄73では「TP」が選択されており、TP/FP選択欄74では「FP」が選択されている。
【0055】
次に、ユーザは、CAD結果にFN(見落とし)があるか否かを判断する(ステップS8)。CAD結果にFNがある場合には(ステップS8;YES)、ユーザの操作部12からの操作により、表示部13に表示されている医用画像上のFNの位置にマークが付加される(ステップS9)。FNの位置情報は、制御部11により、医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される。
例えば、図6に示すように、医用画像80上にFNマーク81が付加される。
【0056】
ステップS8において、CAD結果にFNがない場合(ステップS8;NO)、又は、ステップS9の後、ユーザの操作部12からの操作により、各CADマークに関するコメントが入力される(ステップS10)。入力されたCADマークに関するコメントは、制御部11により、医用画像と対応付けられて、ティーチングファイルDB155に登録される。
【0057】
図7(a)及び(b)に、CADマーク(FP)に関するコメントの例を示す。
図7(a)に示す例では、医用画像90上のCADマーク91に対して、コメント欄92に、「MLOのU領域の乳腺が散在してみられる部分を“構築の乱れ”と誤認識して検出している」と入力されている。
【0058】
図7(b)に示す例では、医用画像93上のCADマーク94に対して、コメント欄95に、「局所的に濃度上昇がみられ、さらに左右差も認められるため“腫瘤”として誤検出されている」と入力されている。
【0059】
次に、制御部11により、操作部12において、感度を変更する旨の操作が行われたか否かが判断される(ステップS11)。感度を変更する旨の操作が行われた場合には(ステップS11;YES)、ステップS2に戻り、異なる感度について、同様の処理が繰り返される。
【0060】
ステップS11において、感度を変更する旨の操作が行われなかった場合には(ステップS11;NO)、ユーザの操作部12からの操作により、登録完了ボタンが押下され(ステップS12)、ティーチングファイル作成処理が終了する。
【0061】
図8は、医用画像処理装置10において実行されるCAD訓練処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザがCAD機能を習得する際に行われる処理であり、制御部11のCPUと、記憶部15に記憶されているCAD訓練処理プログラム152との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0062】
まず、ユーザの操作部12からの操作により、サンプル画像DB154に保存されているサンプル画像の中から、CAD処理の対象となるサンプル画像が選択される(ステップS21)。
【0063】
次に、制御部11により、サンプル画像DB154から、選択されたサンプル画像が読み出され、当該読み出されたサンプル画像が表示部13に表示される(ステップS22)。
【0064】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、CADの感度が設定される(ステップS23)。具体的には、CADの感度として、高感度・中感度・低感度の中からいずれかの感度が選択される。
【0065】
図9(a)に、感度設定画面110の例を示す。感度設定画面110では、高感度・中感度・低感度の中からいずれかの感度が選択される。図9(b)に、高感度が選択された場合の異常陰影候補の検出結果の例を示す。サンプル画像111上には、CADマーク112,113,114が付加されている。図9(c)に、低感度が選択された場合の異常陰影候補の検出結果の例を示す。サンプル画像115上には、CADマーク116が付加されている。
【0066】
次に、制御部11により、設定された感度について、選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、CADマークに関するコメントがサンプル画像DB154から読み出される。そして、制御部11により、読み出された異常陰影候補の位置情報に基づいて、サンプル画像上の異常陰影候補の位置にCADマークが付加されて表示される(ステップS24)。
【0067】
図10に、サンプル画像120上にCADマーク121が表示された例を示す。図10は、乳房MLO画像のU領域(乳房の上部)の乳腺を、線構造の集中、つまり乳癌を疑う所見である「構築の乱れ」と誤検出した例(FP)である。
【0068】
次に、制御部11により、操作部12において、CADマークの真偽を表示する旨の操作が行われたか否かが判断される(ステップS25)。CADマークの真偽を表示する旨の操作が行われた場合には(ステップS25;YES)、制御部11により、サンプル画像DB154から読み出されたCADマークの真偽情報に基づいて、表示部13に表示されている各CADマークに対してTPであるかFPであるかが表示される(ステップS26)。さらに、各CADマークに対応させて、CADマークに関するコメントが表示されることとしてもよい。
【0069】
ステップS25において、CADマークの真偽を表示する旨の操作が行われなかった場合(ステップS25;NO)、又は、ステップS26の後、制御部11により、操作部12において、類似症例を検索する旨の操作が行われたか否かが判断される(ステップS27)。類似症例を検索する旨の操作が行われた場合には(ステップS27;YES)、制御部11により、類似症例検索処理が行われる(ステップS28)。
【0070】
ここで、図11を参照して、類似症例検索処理について説明する。
まず、制御部11により、選択されたサンプル画像から各画像特徴量が算出される(ステップS41)。具体的には、制御部11により、サンプル画像が解析され、濃度ヒストグラムから求められる画素値の平均や分散、濃淡勾配、線構造の集中度等が算出される。
【0071】
次に、制御部11により、選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、CADマークに関するコメントと一致する医用画像がティーチングファイルDB155から抽出される(ステップS42)。例えば、異常陰影候補の位置情報については、サンプル画像とティーチングファイルDB155内の医用画像との間で、両画像の異常陰影候補が存在する領域(乳房画像の場合、MLOのU/M/L領域、CCのO/I領域等)同士が一致するか否かが判断される。また、CADマークの真偽情報については、サンプル画像とティーチングファイルDB155内の医用画像とから検出された異常陰影候補に対して、TPであるかFPであるかが一致するか否かが判断される。また、CADマークに関するコメントについては、コメントに含まれるキーワードが一致するか否かが判断される。
【0072】
次に、制御部11により、ステップS42で抽出された医用画像のみが対象とされ、ステップS41で算出されたサンプル画像の画像特徴量と、抽出された医用画像の画像特徴量とに基づいて、類似度が高い方から順に予め定められた数(一又は複数)の医用画像が抽出される(ステップS43)。すなわち、ステップS42で抽出された医用画像の中から、サンプル画像と類似度が高い医用画像が絞り込まれる。
【0073】
ここで、cos尺度を利用した二つの画像間の類似度の算出方法について説明する。
サンプル画像の画像特徴量a1〜anを、a1=濃度ヒストグラムの平均、a2=濃度ヒストグラムの分散、a3=濃淡勾配、a4=線構造の集中度、・・・、an=・・・と割り当て、特徴ベクトルAとする。
A=(a1,a2,a3,a4,・・・,an)
【0074】
また、医用画像の画像特徴量b1〜bnを、b1=濃度ヒストグラムの平均、b2=濃度ヒストグラムの分散、b3=濃淡勾配、b4=線構造の集中度、・・・、bn=・・・と割り当て、特徴ベクトルBとする。
B=(b1,b2,b3,b4,・・・,bn)
【0075】
式(1)に従って、特徴ベクトルA及びBに基づいて、cosθ(最大値1)を算出し、算出されたcosθの値が大きい順に両画像間の類似度が高いものとする。
【0076】
【数1】

【0077】
図8に戻り、制御部11により、類似症例として抽出された医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補の位置情報がティーチングファイルDB155から読み出され、類似症例として抽出された医用画像が表示部13に表示されるとともに、医用画像上の異常陰影候補の位置にCADマークが付加されて表示される(ステップS29)。さらに、類似症例に関するその他の情報(CADマークに関するコメント、シェーマ画像、所見情報、FNの位置情報)が表示されることとしてもよい。
【0078】
図12(a)及び(b)に、類似症例として抽出された医用画像の例を示す。具体的には、乳房MLO画像のU領域に検出された異常陰影候補がFPであるものの例である。図12(a)に示す医用画像130上にCADマーク131,132が表示され、図12(b)に示す医用画像133上にCADマーク134,135が表示されている。
【0079】
ステップS27において、類似症例を検索する旨の操作が行われなかった場合(ステップS27;NO)、又は、ステップS29の後、制御部11により、操作部12において、感度を変更する旨の操作が行われたか否かが判断される(ステップS30)。感度を変更する旨の操作が行われた場合には(ステップS30;YES)、ステップS23に戻り、異なる感度について、同様の処理が繰り返される。
【0080】
ステップS30において、感度を変更する旨の操作が行われなかった場合には(ステップS30;NO)、制御部11により、操作部12において、CAD訓練処理を終了する旨の操作が行われたか否かが判断される(ステップS31)。CAD訓練処理を終了する旨の操作が行われなかった場合には(ステップS31;NO)、ステップS21に戻り、他のCAD処理対象のサンプル画像について、同様の処理が繰り返される。
【0081】
ステップS31において、CAD訓練処理を終了する旨の操作が行われた場合には(ステップS31;YES)、CAD訓練処理が終了する。
【0082】
図13は、医用画像処理装置10において実行される理解度確認テスト実行処理を示すフローチャートである。この処理は、CAD訓練処理の成果を確認する際に行われる処理であり、制御部11のCPUと、記憶部15に記憶されている理解度確認テスト実行処理プログラム153との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0083】
テストが開始されると(ステップS51)、制御部11により、テスト用画像DB156からいずれか一のテスト用画像及び当該テスト用画像に対応する異常陰影候補の位置情報、CADマークの真偽情報、シェーマ画像、所見情報が読み出される。そして、テスト対象として設定された、読み出されたテスト用画像が表示部13に表示される(ステップS52)。ここで、ユーザ(テストの受験者)は、テスト用画像の通常読影を行う。
【0084】
次に、制御部11により、テスト用画像に対応する異常陰影候補の位置情報に基づいて、テスト用画像上の異常陰影候補の位置にCADマークが付加されて表示される(ステップS53)。次に、ユーザの操作部12からの操作により、表示部13に表示されている各CADマークに対して、TPであるかFPであるかが選択される(ステップS54)。具体的には、制御部11により、各CADマークに対応付けられた位置にTP又はFPを選択するためのTP/FP選択欄が表示され、操作部12からの操作により、TP又はFPが選択される。
【0085】
次に、ユーザの操作部12からの操作により、所見レポートが入力される(ステップS55)。具体的には、所見レポートとして、病変の位置(シェーマ画像等)や所見情報が入力される。
【0086】
次に、制御部11により、テスト用画像に対応するCADマークの真偽情報に基づいて、ステップS54におけるTPであるかFPであるかの選択が正解であるか否かが判断される(ステップS56)。具体的には、制御部11により、ステップS54で選択された、各CADマークについてのTPであるかFPであるかを示す情報と、テスト用画像に対応する各CADマークの真偽情報とが比較され、両者が一致するか否かが判断される。
【0087】
TPであるかFPであるかの選択が正解である場合には(ステップS56;YES)、制御部11により、テスト用画像に対応するシェーマ画像及び所見情報に基づいて、所見レポートが正解であるか否かが判断される(ステップS57)。具体的には、制御部11により、ステップS55で所見レポートとして入力された病変の位置と、テスト用画像に対応するシェーマ画像とが比較され、病変の位置が一致するか否かが判断される。また、制御部11により、所見レポートとして入力された所見情報と、テスト用画像に対応する所見情報とが比較され、キーワードが一致するか否かが判断される。
【0088】
所見レポートが正解である場合には(ステップS57;YES)、制御部11により、正解数がカウントアップされる(ステップS58)。
【0089】
ここで、制御部11により、規定の数の問題が終了したか否かが判断される(ステップS59)。規定の数の問題が終了していない場合(ステップS59;NO)、ステップS56において、TPであるかFPであるかの選択が正解でなかった場合(ステップS56;NO)、又は、ステップS57において、所見レポートが正解でなかった場合には(ステップS57;NO)、ステップS52に戻り、ステップS52〜ステップS59の処理が繰り返される。
【0090】
ステップS59において、規定の数の問題が終了した場合には(ステップS59;YES)、制御部11により、正解率が合格基準に達しているか否かが判断される(ステップS60)。正解率が合格基準に達していない場合には(ステップS60;NO)、ステップS51に戻り、ステップS51〜ステップS60の処理が繰り返される。
【0091】
ステップS60において、正解率が合格基準に達している場合には(ステップS60;YES)、読影システムへのログインが可能となり(ステップS61)、理解度確認テスト実行処理が終了する。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態における医用画像処理装置10によれば、CAD訓練処理(図8参照)において、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像(類似症例)を抽出するので、異常陰影候補の検出機能の理解向上を図ることができる。ユーザは、サンプル画像や類似症例を読影することにより、CADの機能を容易に習得することができる。
【0093】
また、異常陰影候補の位置情報及びサンプル画像の画像特徴量に基づいて、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出することができる。
【0094】
また、真陽性であるか偽陽性であるかを区別して、サンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出することができる。これにより、ユーザは、CADにより検出される真陽性・偽陽性の傾向を把握することができる。
【0095】
また、ティーチングファイル作成処理(図3参照)により、医用画像サーバ30に保存されている医用画像をティーチングファイルDB155に追加することができるので、各施設に適した情報を追加することができる。
【0096】
また、各感度におけるCAD機能の訓練を行うことにより、ユーザは、CADの感度設定の違いを体感することができ、あらゆる感度におけるCAD機能に対応できるようにしておくことができる。
【0097】
また、CAD訓練処理(図8参照)及び理解度確認テスト実行処理(図13参照)を、CAD処理装置20の初回導入時やCAD処理ソフトウェアのバージョンアップ時以外にも、定期的に行うことにより、ユーザの読影精度を維持することができる。
【0098】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る医用画像処理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0099】
例えば、サンプル画像に対して複数の異常陰影候補が検出され、サンプル画像上に複数のCADマークが付加されている場合には、存在する全てのCADマークのそれぞれに類似する症例が検索されることとしてもよいが、ユーザがCADマークの一部をマウスでクリックする等していずれか一のCADマークを指定することにより、CADマーク毎に類似症例を検索可能としてもよい。
【0100】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや不揮発メモリを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 医用画像処理装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
16 バス
20 CAD処理装置
30 医用画像サーバ
40 電子カルテシステム
100 医用情報システム
151 ティーチングファイル作成処理プログラム
152 CAD訓練処理プログラム
153 理解度確認テスト実行処理プログラム
154 サンプル画像DB
155 ティーチングファイルDB
156 テスト用画像DB
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常陰影候補の検出機能の対象毎に用意されたサンプル画像と当該サンプル画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第1記憶手段と、
複数の医用画像のそれぞれと当該各医用画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第2記憶手段と、
前記第1記憶手段に記憶されているサンプル画像のうちいずれか一つを選択するための操作手段と、
前記選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報を前記第1記憶手段から読み出し、当該選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補を示すマークを表示手段に表示させ、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出し、当該抽出された一又は複数の医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補を示すマークを前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報及び当該サンプル画像の画像特徴量に基づいて、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記第1記憶手段には、さらに、前記サンプル画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、
前記第2記憶手段には、さらに、前記各医用画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、
前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が真陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が真陽性であるもののみを対象とし、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が偽陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が偽陽性であるもののみを対象として、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2記憶手段に記憶される複数の医用画像として、当該医用画像処理装置が設置された施設内の情報を追加する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
異常陰影候補の検出機能の対象毎に用意されたサンプル画像と当該サンプル画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第1記憶手段、
複数の医用画像のそれぞれと当該各医用画像から検出された異常陰影候補の位置情報とが対応付けられて記憶されている第2記憶手段、
前記第1記憶手段に記憶されているサンプル画像のうちいずれか一つを選択するための操作手段、
前記選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報を前記第1記憶手段から読み出し、当該選択されたサンプル画像及び当該サンプル画像に対応する異常陰影候補を示すマークを表示手段に表示させ、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出し、当該抽出された一又は複数の医用画像及び当該医用画像に対応する異常陰影候補を示すマークを前記表示手段に表示させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像に対応する異常陰影候補の位置情報及び当該サンプル画像の画像特徴量に基づいて、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像の中から、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出するものである、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1記憶手段には、さらに、前記サンプル画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、
前記第2記憶手段には、さらに、前記各医用画像から検出された異常陰影候補のそれぞれが真陽性であるか偽陽性であるかを示す情報が記憶されており、
前記制御手段は、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が真陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が真陽性であるもののみを対象とし、前記選択されたサンプル画像から検出された異常陰影候補が偽陽性である場合には、前記第2記憶手段に記憶されている複数の医用画像のうち異常陰影候補が偽陽性であるもののみを対象として、前記選択されたサンプル画像と異常陰影候補の検出結果が類似する一又は複数の医用画像を抽出するものである、
請求項5又は6に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−11109(P2012−11109A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152569(P2010−152569)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】