医用画像表示装置
【課題】 医用画像表示装置にタッチパネル式ディスプレィを用い、画像表示の切り替えを単一の操作で行なって操作性の向上を図る医用画像表示装置を提供する。
【解決手段】 医用画像と、この医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段から入力されたタッチ入力信号の種別を入力信号判別手段(S26、S27、S33)で判別し、この入力信号判別手段で判別された入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を表示形態選択手段(S28、S34)で選択する。この表示形態選択手段で選択された表示形態(S29、S31、S35、S37、S39)に対応して前記医用画像を処理し(S30、S32、S36、S38、S40)、この処理された画像を表示制御手段で表示制御して前記画像表示手段に表示する。
【解決手段】 医用画像と、この医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段から入力されたタッチ入力信号の種別を入力信号判別手段(S26、S27、S33)で判別し、この入力信号判別手段で判別された入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を表示形態選択手段(S28、S34)で選択する。この表示形態選択手段で選択された表示形態(S29、S31、S35、S37、S39)に対応して前記医用画像を処理し(S30、S32、S36、S38、S40)、この処理された画像を表示制御手段で表示制御して前記画像表示手段に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置で撮影した医用画像を表示する医用画像表示装置に係り、特にタッチパネル式ディスプレィに表示される画像の表示操作の操作性向上に好適な医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線等の放射線を利用したX線撮影装置、X線CT装置、超音波を利用した超音波診断装置、磁気を利用したMRI診断装置等の医用画像診断装置で得られた医用画像は、それぞれの装置に付設された画像表示装置に表示して疾病の診断を行なっている。
【0003】
この場合、診断を容易にするために、同一の表示画面に複数の画像を分割して表示(以下、分割表示と呼ぶ)したり、あるいは画像を拡大表示したり、表示されている画像の前後の画像を切り替えて表示したり、さらに表示画像の輝度を変更したりして、画像表示形態を頻繁に変える必要がある。
このような画像表示の切り替えは、前記画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUI(Graphical User Interface)オブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作している。
【0004】
このような医用画像表示装置において、該表示装置にタッチパネル式ディスプレィを用いた一般X線撮影装置が特許文献1に開示されている。
これは、被検者の撮影部位や撮影方向に応じてX線撮影条件を設定し、この設定したX線撮影条件や撮影した画像を前記タッチパネル式ディスプレィに表示して、前記撮影条件や撮影画像を確認するものである。
【0005】
また、上記各種医用画像診断装置で得られた医用画像を統括して管理し、画像表示装置に表示して観察、診断する医用画像観察装置がある。
このシステムは、特許文献2に開示されているように、医用画像観察装置と上記各種の医用画像診断装置とを通信ケーブル等で接続し、各種の医用画像診断装置で得られたディジタル化された医用画像を医用画像観察装置内に取り込み、磁気ディスク等に記憶する。
そして、診断の際には、オペレータである医師が、指示装置(例えば、キーボード)から診断対象の被検者を指示して、当該被検者を撮影して得られた医用画像を前記磁気ディスクから読み出し、前記医用画像観察装置の画像表示装置に表示する。
医師は、観察したい画像をメニュー画面から選択して画像表示装置に表示された画像を観察し、必要に応じてメニュー画面から他の画像を選択して表示画像を切り替えて診断を行う。
この場合も、上記の分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の画像表示操作を画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作している。
【特許文献1】特開2003-47608号公報
【特許文献2】特開平6-339467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の画像表示操作を画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作すると、その操作に手間がかかり操作性が悪化する。
すなわち、現在、表示している画像を別の形態の画像(分割画像、拡大画像、前後画像、輝度変更等)に切り替えて表示する場合は、上記入力装置を用いて、次に表示する画像の表示形態を選択するための表示条件情報、画像付帯情報、あるいは画像識別情報を前記画像表示装置に表示し、この表示した前記各種情報の中から前記入力装置により表示したい画像情報を選択し、この選択した情報に基づいて画像を表示しなければならない。
したがって、上記入力装置を操作する回数が多くなって、表示する画像の操作に多くの時間を費やしていたので、操作数が少なくて済む画像表示操作が望まれていた。
【0007】
なお、上記特許文献1に開示されているタッチパネル式ディスプレイによる画像表示装置は、撮影した画像を確認するのみで、上記のような画像表示操作に関しては何等開示されていない。
【0008】
本発明の目的は、医用画像表示装置にタッチパネル式ディスプレィを用い、画像表示の切り替えを単一の操作で行なって操作性の向上を図る医用画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像表示装置の表示部を覆うように設けられたタッチパネルを備えたCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のタッチパネル式ディスプレィによる医用画像表示装置を用い、この表示装置に表示されている画像に直接タッチし、このタッチの種別を判別して表示画像を切り替えるもので、具体的には以下の手段によって達成される。
【0010】
(1)医用画像と、この医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段からのタッチ入力信号の種別を判別する入力信号判別手段と、この入力信号判別手段で判別された前記入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を選択する表示形態選択手段と、この表示形態選択手段で選択された表示形態に対応して前記医用画像を処理し、この処理された画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段とを備えて成る。
【0011】
前記入力信号判別手段は、前記画像表示手段に表示された画像に直接タッチして入力される信号を検出する入力信号検出手段と、この検出手段で検出した信号の種別を判別する入力信号種別判別手段とから成り、前記入力信号検出手段は、所定時間を有して断続する1点または複数点のタッチを検出する断続タッチ検出手段と、所定の画像表示領域を連続してスライドする連続タッチ検出手段とを備えて成る。
【0012】
さらに前記断続タッチ検出手段で検出する断続タッチは、前記画像表示手段に表示されている画像内の2点を対角とする2点タッチを含み、前記連続タッチ検出手段で検出する連続タッチは、前記画像表示手段に表示された複数の画像間をまたぐドラッグタッチと、前記画像表示手段に表示された画像内で任意の軌跡を描くドラッグタッチとを含む。
【0013】
前記入力信号種別判別手段は、前記入力信号検出手段で検出した前記断続タッチと前記連続タッチのそれぞれのタッチ種別を判別して成り、前記表示形態選択手段で選択する医用画像の表示形態は、前記画像表示手段の表示画面に表示された一つまたは複数の画像を切り替えて表示する画像切り替え表示形態と、画像の一部の矩形領域を拡大する矩形領域拡大表示形態と、表示画像の次の画像または前の画像を切り替える次画像・前画像切り替え表示形態と、表示画像の輝度を変更する輝度変更表示形態とを少なくとも含む。
【0014】
このように構成された医用画像表示装置は、前記画像表示手段に表示された画像にタッチするだけで前記各種の医用画像表示形態に対応した表示画像の切り替え操作を行なうことができるので、従来のように画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作する必要がないので、前記画像操作の手間を大幅に低減することができる。
【0015】
(2)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が画像切り替え表示形態の場合は、画像の拡大または縮小する画像拡大・縮小手段をさらに備えて、前記断続タッチ検出手段で検出したタッチ数に対応して前記画像表示手段に表示された画像に関連する画像を前記画像拡大・縮小手段で拡大または縮小して表示する。
【0016】
この表示形態において、前記断続タッチ検出手段で検出したタッチ数が複数時には、前記画像表示手段に表示された画像に関連する前記タッチ数と同じ数の複数の画像を前記画像拡大・縮小手段で縮小し、この縮小した複数の画像を前記画像表示手段に分割表示する。
また、前記タッチ数と同じ数の複数の画像を前記画像拡大・縮小手段で縦方向または横方向に縮小し、この縮小した複数の画像を前記画像表示手段に分割表示する。
さらに、前記画像表示手段に表示された複数の画像の中でタッチされた画像を前記画像拡大・縮小手段で拡大し、この拡大した画像を前記画像表示手段に表示する。
【0017】
このように、同一の表示画面を分割し、この分割した画面に複数の画像を縮小して表示することにより、複数の画像の比較読影が容易となり、逆に複数の分割表示されている画像の中から少なくとも1つの画像を選択し、これを拡大表示することにより、細かい部分の読影が可能となる。
このように、分割表示と非分割表示は読影目的が異なるために、読影の際には前記双方を必要に応じて頻繁に切り替えるのものであるが、上記本発明のように、複数点同時タッチと1点タッチによる単一の操作で上記分割表示と非分割表示とを簡単な操作により切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が格段に向上するものとなる。
【0018】
(3)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が矩形領域拡大表示形態の場合は、前記画像表示手段に表示された画像内の2点を対角とするタッチ位置を前記断続タッチ検出手段で検出し、この検出した前記2点を対角とする矩形領域部分の画像を前記拡大・縮小手段で拡大し、この拡大した画像を前記画像表示手段に表示する。
【0019】
このように、画像の拡大したい部分の2点に同時タッチして2点を指定し、この指定された2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して、この抽出した矩形領域を拡大して表示することにより、2点をタッチするだけの単一の操作で、例えば病巣などの関心領域を詳細に読影することができる。
したがって、オペレータは2点をタッチするだけの単一の操作で済むので、従来よりも操作回数は大幅に低減され、これによって読影効率の向上を図ることができる。
【0020】
(4)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が次画像・前画像切り替え表示形態の場合は、前記連続タッチ検出手段で検出したドラッグタッチが前記画像表示手段の表示画面の左右方向または上下方向に表示されている少なくとも2つの画像間をまたぐドラッグタッチであって、前記ドラッグタッチのドラッグ開始点に対応する位置に表示されている画像をドラッグ終了点に対応する位置に表示し、前記ドラッグ開始点に対応する位置に該ドラッグ開始点に対応する位置に表示されていた画像よりも前の画像または次の画像を表示する。
【0021】
このように、同一の表示画面に複数に分割されている画像の次の画像あるいは前画像を切り替えて表示することにより、表示されていない次の画像または前の画像との比較読影が容易となる。
このような画像切り替え表示操作においても、本発明は、2つの画像間をまたぐドラッグタッチによる単一の操作で簡単に次の画像あるいは前の画像に切り替えて表示することができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が向上するものとなる。
【0022】
(5)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が輝度変更表示形態の場合は、前記連続タッチ検出手段で検出したドラッグタッチが前記画像表示手段に表示された画像内で任意の軌跡を描くドラッグタッチであって、前記ドラッグ軌跡に対応する画素値と輝度値の関係の表示ルックアップテーブルを作成する手段と、前記画像表示手段に表示された画像の輝度値を前記作成した表示ルックアップテーブルに対応した輝度値に変更する輝度値変更手段とを備えることにより、前記輝度値変更手段で前記表示画像の輝度値を変更して表示する。
【0023】
このように、表示されている画像内の横断ドラッグタッチにより該ドラッグ軌跡に対応して作成したルックアップテーブルで表示階調を変更することができる。したがって、従来は、予め複数のルックアップテーブルを作成し用意しておき、この用意されたルックアップテーブルの中から任意のものを選択して表示画像の階調変換の変更を行っていたために、ルックアップテーブルの作成およびその選択に手間を要するものであったが、上記の本発明では、横断ドラッグタッチによる簡単な操作で診断に適した輝度に変更することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によれば、タッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示されている画像に直接タッチするだけの簡単な操作で、分割画像の切り替え表示、矩形領域の拡大表示、次画像・前画像の切り替え表示、輝度変更表示などの各種の表示形態の画像に切り替えて表示することができる。
この結果、操作数が大幅に少なくて済む画像表示操作が可能となり、画像に直接タッチするという単一の操作で読影に必要な画像に切り替えて表示することにより、オペレータや読影する医師の負担が軽減するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る医用画像表示装置の好ましい実施の形態について、添付図面に従って詳細に説明する。
≪装置構成≫
本発明の医用画像表示装置1は、図1に示すように、X線撮影装置やX線CT装置等の医用画像診断装置2で撮影して得られた画像あるいは外部記憶装置としての磁気ディスク3に格納してある撮影済みの画像を入力して画像表示処理を行なう画像処理部4と、この画像処理部4で処理された画像を表示するタッチパネルを備えたCRTやLCD等のタッチパネル式ディスプレィ5と、前記画像処理部4で処理される表示画像の操作情報を入力する前記タッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネル画面上のソフトスイッチを操作するマウス6と、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード(K/B)7と、上記各構成要素を接続する共通バス8とから構成され、前記タッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルは前記マウス6及びキーボード(K/B)7と共に画像表示操作情報入力部を構成している。
【0026】
前記画像処理部4は、各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)9と、前記医用画像診断装置2で撮影した画像あるいは磁気ディスク3から読み出した画像を2次元的に配列して記憶する画像メモリ10と、この画像メモリ10に記憶された各画像に分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の表示処理を施す画像プロセッサ11と、この画像プロセッサで表示処理された画像を記憶する表示メモリ12とにより構成され、この表示メモリ12に記憶されている画像を前記画像表示操作情報入力部からの画像表示操作信号に対応して前記タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0027】
前記タッチパネル式ディスプレィ5は、上記したようにディスプレィの表示部を覆うように設けられたタッチパネルを備えたCRTやLCD等のタッチパネル式ディスプレイで、前記タッチパネル部に直接タッチして、そのタッチによる位置情報及びタッチの種別により前記ディスプレィの表示画面に複数の画像を分割して表示したり、あるいは画像を拡大表示したり、表示されている画像の前後の画像を切り替えて表示したり、さらに表示画像の輝度を変更したりして画像を表示するものである。
【0028】
上記構成の医用画像表示装置1には、外部記憶装置としての上記の磁気ディスク3が接続され、この磁気ディスク3に格納されている画像表示処理を行なうための元となる画像データ及び付帯情報データを前記画像メモリ10に読み出し、この読み出した画像データ及び付帯情報データを画像プロセッサ11で画像表示処理を行ない、該処理された画像及び付帯情報データは前記表示メモリ12に格納されると共に必要に応じて前記磁気ディク3にも格納される。
そして、前記表示メモリ12からの画像データや付帯情報データに対応した画像や付帯情報をタッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
なお、本発明の医用画像表示装置の画像表示処理を実行するプログラムは、前記磁気ディスク3に格納しておき、医用画像表示装置1の起動時に上記CPU9で上記画像メモリ10に読み出して、前記プログラムにより画像表示処理を行なう。
【0029】
≪画像表示操作≫
本発明は、上記の医用画像表示装置と以下に述べる画像表示ソフトウェアとを用いて、種々の画像表示処理を行ない、この処理された画像をタッチパネル式ディスプレィ5に表示して読影医の読影を支援するもので、本実施形態では代表的なものとして下記の例を取り上げた。
(1)分割表示
同一の表示画面に複数の画像を分割して表示する。
(2)拡大表示
表示されている画像の一部を拡大して表示する。
(3)分割表示時の次画像・前画像の切り替え表示
分割表示されている画像の次の画像あるいは前の画像を表示する。
(4)表示画像の輝度変更
タッチパネル式ディスプレィ上の画像表示領域を指でなぞり、このなぞられた軌跡に対応して画像データの画素値とディスプレィ上の輝度値を変換するテーブルを作成し(以下、これを手書きルックアップテーブルLUTと呼ぶ)、この作成した手書きルックアップテーブルテーブルLUTに基づいて表示画像の輝度を変更する。
【0030】
図2に本発明の医用画像表示装置の画像表示操作を実行するメインフローチャートを示す。
この図2のフローチャートによる画像表示操作は、医用画像診断装置2あるいは磁気ディスク装置3から操作する画像を読み出し、これをタッチパネル式ディスプレィ5に表示するステップ(S21〜S24)と、この表示された画像に直接タッチし、そのタッチ情報を判別するステップ(S25、S26)と、前記判別した結果に基づいて画像表示処理を行ない、タッチパネル式ディスプレィ5に表示するステップ(S27〜S40)とから成る。
【0031】
以下、上記処理について詳細に説明する。
(1)医用画像表示装置1を起動し、医用画像診断装置2あるいは磁気ディスク3から画像メモリ10にタッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルを操作して患者リストを読み出し、これをタッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS21)。
(2)前記患者リストの中から表示する画像の対象患者をタッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルにタッチして選択する(ステップS22)。
(3)選択された患者の全ての画像を医用画像診断装置2または磁気ディスク3から読み出して表示メモリ12に記憶する(ステップS23)。
(4)画像表示操作を行なう対象画像(切り替え操作画像)を表示メモリ12から読み出してタッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS24)。
(5)オペレータが操作対象画像にタッチする(ステップS25)。
(6)前記タッチが断続タッチ(1点及び複数点の同時タッチ)か連続タッチ(スライドタッチによるドラッグタッチ)かのタッチ種別を判別する(ステップS26)。
【0032】
(7)断続タッチ検出の場合は(ステップS27)、断続タッチ種別に対応した表示形態を選択する(ステップS28)。
(8)前記断続タッチの種別が1点タッチまたは複数点タッチの場合は分割画像切り替え表示形態を選択し(ステップS29)、分割画像切り替え表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS30)。
(9)前記断続タッチの種別が画像内の2点を対角とする2点タッチの場合は矩形領域の拡大表示形態を選択し(ステップS31)、矩形領域の拡大表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS32)。
【0033】
(10)連続タッチの場合は(S33)、連続タッチ種別に対応した表示形態を選択する(ステップS34)。
(11)前記連続タッチの種別が画像間をまたぐドラッグタッチの場合は次画像・前画像の切り替え表示形態を選択し(ステップS35)、次画像・前画像の切り替え表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS36)。
(12)前記連続タッチの種別が画像内での任意の軌跡を描くドラッグタッチの場合は輝度変更表示形態を選択し(ステップS37)、輝度変更表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS38)。
(13)前記連続タッチの種別が通常のドラッグタッチの場合は通常の表示形態を選択し(ステップS39)、通常の表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS40)。
【0034】
《1》断続タッチによる分割表示画像の切り替えと矩形領域の拡大表示
断続タッチ種別に対応して「分割画像切り替え表示」と「矩形領域の拡大表示」の画像操作を行なう。
このためには、断続タッチ数とそのタッチ位置を検出する「複数点同時タッチ検出」手段が必要である。
また、同時タッチ位置が2つの場合は、設定ファイル、トグルボタンの状態などを取得して、この情報により複数点同時タッチ検出時に「分割数表示切り替え」と「矩形領域の拡大表示」のどちらの画像操作を行なうかを予め決めておく。
なお、上記タッチパネル式ディスプレィ5には、2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出が可能なものもあるが、以下では複数点同時タッチに非対応のタッチパネルディスプレイに適用することを前提として説明する。
【0035】
[1]複数点同時タッチ検出方法
複数点の同時タッチ検出は、以下のことを前提としている。
(1)複数の点が全く同時にタッチされることはなく、1点1点のタッチには必ず順番がある。
(2)ある点のタッチと、その次の点のタッチの間がごく短い場合、その2つの点が同時にタッチされた2点同時タッチとみなす。
(3)「複数点の同時タッチ」は「2点同時タッチの集合」で構成される。
例えば、図3示すように、4本の指を使って4点(A、B、C、D)の同時タッチは、AとB、BとC、CとD、という3つの「2点同時タッチ」により構成されることになる。
【0036】
上記(1)〜(3)を前提にして、「どこからどこまでの2点同時タッチを複数点同時タッチとみなすか」を以下の2つの異なる図4、図5に示すフローチャートのいずれかにより検出することができる。
(1)タッチ間隔が一定時間内である2点タッチが続く場合、それらを複数点同時タッチとみなす。
これによる複数点同時タッチ検出処理フローチャートを図4に示す。
このフローチャートによる処理において、
1)処理フローは1回目のタッチの検出により開始される。
2)終了時のタッチ数を同時タッチ数とみなす。
3)一定時間待機の処理中にタッチが検出された場合、その処理を即座に終了する。
例えば、A〜Eまでの5点タッチにおいて、タッチ間隔が12サンプリング間隔以内の場合を同時タッチとみなした場合、A点タッチ─10サンプリング→B点タッチ─10サンプリング→C点タッチ─10サンプリング→D点タッチ─15サンプリング→E点タッチ、というタッチ間隔を検出した時はA点からD点までの4点が同時にタッチされたものとみなす。
【0037】
(2)一定時間内にタッチされた全ての点を同時タッチとみなす。
これによる複数点同時タッチ検出処理フローチャートを図5に示す。
このフローチャートによる処理において、
1)処理フローは1回のタッチ毎に開始される。
2)残待機時間分の待機の処理中にタッチを検出した場合、その処理を即座に終了し、図5の破線矢印に示す開始位置に戻る。
例えば、A〜Fまでの6点タッチにおいて、50サンプリング以内にタッチされた全ての点を複数点同時タッチとみなした場合、A点タッチ─10サンプリング→B点タッチ─15サンプリング→C点タッチ─10サンプリング→D点タッチ─12サンプリング→E点タッチ─10サンプリング→F点タッチ、というタッチ間隔を検出した時は50サンプリング以内にタッチされたAからEまでの5点が同時にタッチされたものとみなす。
【0038】
[2]複数点同時タッチ検出による分割画像表示
(1)分割表示形態
上記複数点同時タッチ検出方法によって検出したタッチ数に対応して以下の表示する分割画像の切り替えを行なう。
1)4点同時タッチを検出して4つの画像を1つの画面に分割して表示する(4分割表示の切り替え)。
2)2点同時タッチを検出して2つの画像を1つの画面に縦方向に分割して表示する(縦2分割表示の切り替え)。
3)2点同時タッチを検出して2つの画像を1つの画面に横方向に分割して表示する(横2分割表示の切り替え)。
なお、上記複数点同時タッチ検出を含まない1点検出の場合は、タッチされた画像を非分割表示(全面表示)するか、n分割表示されている画像の中のタッチされた画像を全面表示する.
【0039】
(2)分割表示切り替え処理
図6に分割表示切り替えのフローチャートを示す。
このフローチャートは、上記[1]の(1)又は(2)の同時タッチ検出方法により、1点タッチ、2点同時タッチ、4点同時タッチを検出して、予め設定された前記タッチ数に対応した画像表示処理を行なう例を示したものである。
1)同時タッチ数を検出して1点タッチ、2点同時タッチ、4点同時タッチを判断する(ステップS61)。
2)1点タッチの場合は、図7(a)に示すように4分割表示されている画像(画像リストのNo.5、No.6、No.7、No.8の画像)の中のタッチされたNo.7の画像を同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスブレィ5の表示領域の全面に表示されるように後述のステップ68で拡大処理を行なって表示する(ステップS62)。
3)2点同時タッチの場合は、タッチされたパネルの2点の位置座標における2点間のx座標の差分とy座標の差分をそれぞれ計算し(ステップS63)、x座標の差分とy座標の差分を比較する(ステップS64)。
〔1〕(x座標の差分)>(y座標の差分)の場合は、図8(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして表示メモリ12からNo.5とNo.6の画像を読み出し、後述のステップ68で横方向への縮小処理を行なって同図(b)に示すように縦方向に2分割して、前記No.5とNo.6の画像を表示する(ステップS65)。
〔2〕(x座標の差分)<(y座標の差分)の場合は、図9(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして表示メモリ12からNo.5とNo.6の画像を読み出し、後述のステップ68で縦方向への縮小処理を行なって同図(b)に示すように横方向に2分割して、前記No.5とNo.6の画像を表示する(ステップS66)。
上記〔1〕、〔2〕のように、縦長あるいは横長の画像は、縦2分割あるいは横2分割表示を行なっても画像の拡大・縮小率があまり変らないため、1枚表示よりも画像表示領域を有効に活用することができる。
【0040】
4)4点同時タッチの場合は、図10(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして、表示メモリ12からNo.5、No.6、No.7、No.8の画像を読み出し、これらの4つの画像がタッチパネル式ディスプレィ5の表示画面に表示できるように後述のステップ68で縮小処理を行なって、同図(b)に示すようにNo.5、No.6、No.7、No.8の画像を分割して表示する(ステップS67)。
5)上記ステップによって処理される全ての画像を表示領域に合わせて拡大・縮小処理を行ない(ステップ68)、拡大または縮小処理された画像を上記同時タッチ数に対応して図7〜図10に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0041】
(3)拡大・縮小表示処理
上記ステップ68の拡大・縮小の表示画像処理は、本発明に用いる全ての拡大・縮小表示処理に共通するもので、図11に拡大・縮小表示処理のフローチャートを示す。
このフローチャートは、設定ファイル、トグルボタンの状態などを取得し、複数点タッチ時に「部分表示拡大・縮小」と「全体表示拡大・縮小」のどちらの処理を行うかを判別する(ステップS110)。
そして、ステップS111で「部分表示拡大・縮小処理」を、ステップS112で「全体表示拡大・縮小処理」を行なう。
【0042】
ここで、上記「部分表示拡大・縮小処理」と「全体表示拡大・縮小処理」について説明する。
1)部分表示拡大・縮小処理
図12に上記ステップS111における「部分表示拡大・縮小処理」のフローチャートを示す。
〔1〕タッチパネルの画像表示領域の縦サイズ(Y1)と横サイズ(X1)及び表示する画像の縦サイズ(y1)と横サイズ(x1)を取得する(ステップS121)。
〔2〕Y1/y1及びX1/x1を求め、Y1/y1とX1/x1を比較する(ステップS122)。
a)Y1/y1>X1/x1の場合は、表示画像をY1/y1倍に拡大し(ステップS123)、
b)Y1/y1<X1/x1の場合は、表示画像をX1/x1倍に拡大する(ステップS124)。
〔3〕上記a)、b)により拡大した表示画像の縦サイズ(Y2)と横サイズ(X2)
をそれぞれ取得し(ステップS125)、前記拡大した表示画像のうち表示領域座標の左上座標を((X2-X1)/2、(Y2-Y1)/2)とした縦Y1・横X1の矩形領域を表示領域とし、この領域に部分的に拡大・縮小処理された画像を表示する(ステップS126)。
【0043】
2)全体表示拡大・縮小処理
図13に上記ステップS112における「全体表示拡大・縮小処理」のフローチャートを示す。
〔1〕タッチパネルの画像表示領域の縦サイズ(Y1)と横サイズ(X1)及び表示する画像の縦サイズ(y1)と横サイズ(x1)を取得する(ステップS131)
〔2〕Y1/y1及びX1/x1を求め、Y1/y1とX1/x1を比較する(ステップS132)。
a)Y1/y1<X1/x1の場合は、表示画像をY1/y1倍に拡大し(ステップS133)、
b)Y1/y1>X1/x1の場合は、表示画像をX1/x1倍に拡大する(ステップS134)。
〔3〕上記a)、b)により拡大した画像を表示領域の中央に表示する(ステップS135)。
【0044】
上記のように、同一の表示画面を分割し、この分割した画面に複数の画像を縮小して表示することにより、複数の画像の比較読影が容易となり、逆に複数の分割表示されている画像の中から少なくとも1つの画像を選択し、これを拡大表示することにより、細かい部分の読影が可能となる。
このように、分割表示と非分割表示は読影目的が異なるために、読影の際には前記双方を必要に応じて頻繁に切り替えることがある。
したがって、本発明は、複数点同時タッチと1点タッチによる単一の操作で上記分割表示と非分割表示とを簡単に切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が格段に向上するものとなる。
【0045】
[3]2点同時タッチ検出による矩形領域の拡大表示
図14は、2点同時タッチによる矩形領域の拡大表示例で、画像の拡大したい部分のA点とB点の2点に同時タッチして2点を指定し(同図(a))、この指定されたA点とB点の2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して(同図(b))、前記抽出した矩形領域を拡大してタッチパネル式ディスプレィ5の表示領域全体に表示する(同図(c))。
【0046】
この場合、抽出した矩形領域の縦横比が表示領域と異なるときは、下記のいずれかの方法で拡大して表示する。
〔1〕縦方向の拡大率に合わせて拡大表示
〔2〕横方向の拡大率に合わせて拡大表示
〔3〕拡大率の小さい方に合わせて拡大表示
〔4〕拡大率の大きい方に合わせて拡大表示
【0047】
図15は上記〔1〕〜〔4〕による拡大表示方法を示す図で、同図(a)の横長の矩形領域の場合は、同図(b)に示すように〔1〕、〔4〕による拡大表示と、同図(c)に示すように〔2〕、〔3〕による拡大表示があり、同図(d)の縦長の矩形領域の場合は、同図(e)に示すように〔1〕、〔3〕による拡大表示と、同図(f)に示すように〔2〕、〔4〕による拡大表示とがある。
【0048】
また、「指定した矩形領域の縦横比」と「表示領域の縦横比」が一致しない場合は、画像の縦横比を変えないことを前提とすると、
〔5〕表示領域内に矩形領域が全て収まるように拡大・縮小する(余白あり)。
〔6〕表示領域内を全て使うように拡大・縮小する(余白なし、矩形領域の一部のみ表示)。
のどちらかの処理を行う必要があるので、これは利用状況(画像の種類、ユーザーの好み)に依存するため、設定などで任意に切り替えられるようにする必要がある。
【0049】
図16に上記「矩形領域の拡大処理」のフローチャートを示す。
(1)複数同時タッチ数検出により2点タッチを検出する。
この場合、図2のフローチャートの操作モード判別(ステップS28)で述べたように、この場合の2点タッチは「矩形領域の拡大処理」を行なう2点タッチであることを予め設定してあるので、上記[2]の複数点同時タッチの2点タッチと区別することができる(ステップS161)。
(2)検出した2点の表示座標(x1,y1)と(x2,y2)を取得する(ステップS162)。
(3)検出した2点(x1,y1)と(x2,y2)とを結ぶ直線を対角線とする矩形領域を取得する(ステップS163)。
(4)表示画像の矩形領域内の部分を表示領域に合わせて拡大表示する(ステップS164)。
【0050】
上記のように、画像の拡大したい部分の2点に同時タッチして2点を指定し、この指定された2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して、この抽出した矩形領域を拡大して表示することにより、2点をタッチするだけの単一の操作で、例えば病巣などの関心領域を詳細に読影することができる。
したがって、オペレータは2点をタッチするだけの単一の操作で済むので、従来よりも操作回数は大幅に低減され、これによって読影効率の向上を図ることができる。
【0051】
《2》スライドタッチによる次画像・全画像の切り替えと表示画像の輝度変更
タッチパネルへのタッチが連続するスライドタッチによるドラッグタッチが画像をまたいぐドラッグタッチか、画像内での横断ドラッグタッチかを判別して「次画像・前画像の切り替え表示」と前記画像内のドラッグ軌跡に対応した表示ルックアップテーブルを作成して「表示画像の輝度変更」の操作を行なう。
上記画像をまたぐドラッグタッチと画像内での横断ドラッグタッチによるスライドタッチは、いずれもタッチ開始点とタッチ終了点の2点のタッチが連続していることが必要で、これらの「スライドタッチ」と前記「2点同時タッチ」との判別及び前記「スライドタッチ」における「画像をまたぐドラッグタッチ」と「画像内での横断ドラッグタッチ」とを判別する方法が必要である。
【0052】
[1]スライドタッチの検出方法
(1)2点同時タッチとスライドタッチとの判別
2点同時タッチは、タッチ→離す→タッチの2点タッチであり、これに対してスライドタッチは、タッチ→動かす→離すの2点間で連続するタッチである。
すなわち、2点同時タッチは、タッチした後にそのまま離せばタッチ入力とし、スライドタッチは、タッチパネルを触ったままで所定の距離を動かしてから離せばスライド入力とするもので、前記2点同時タッチとスライドタッチとを区別するフローチャートを図17に示す。
1)タッチされた位置の座標(x1,y1)を取得する(ステップS171)。
2)タッチパネルからタッチした指が離れるのを待つ(ステップS172)。
3)指が離された位置の座標(x2,y2)を取得する(ステップS173)。
4)前記タッチされた位置座標(x1,y1)と前記指が離された位置座標(x2,y2)とが同じかどうかを判断する(ステップS174)。
5)位置座標(x1,y1)と位置座標(x2,y2)とが同じでない場合をスライドタッチによるドラッグタッチとする(ステップS175)。
6)位置座標(x1,y1)と位置座標(x2,y2)とが同じある場合を2点同時タッチとする(ステップS176)。
【0053】
(2)スライドタッチにおける「画像をまたぐドラッグタッチ」と「画像内での横断ドラッグタッチ」とを判別する方法
図18にフローチャートを示す。
1)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)を取得し、これらの座標を比較する(ステップS181)。
2)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)の両方が同一の画像表示領域内の場合は「通常のドラッグタッチ」とする(ステップS182)。
3)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)が互いに異なる画像表示領域内の場合は「画像をまたいだドラッグタッチ」とする(ステップS183)。
4)スライド開始点の座標(x1, y1)がタッチパネル表示領域の左辺付近、スライド終了点の座標(x2, y2)がタッチパネル表示領域の右辺付近の場合は「画像内での横断ドラッグタッチ」とする(ステップS184)。
【0054】
[2]スライドタッチによる次画像・前画像の切り替え表示
タッチパネル式ディスプレィ上で、複数の画像をまたいでスライドし、このスライドする方向を判別して次画像、前画像の表示切り替えを行う。
図19にフローチャートを示す。
(1)ドラッグ終了点が画像表示領域内にあることを確認する(ステップS191)。
(2)ドラッグ終了点の位置を判定し(ステップS192)、以下の処理を行なって次画像・前画像の切り替え表示を行なう。
【0055】
1)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の右側の画像表示領域にある場合は(ステップS193)、ドラッグ開始点に表示されていた画像の前の画像が、ドラッグ開始点の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS194)。
この操作による前画像の切り替え表示の例を図20に示す。
図20において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.5、No.6、No.7、No.8の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.5の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.5の画像からNo.6の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.6の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(c)に示すように、No.6の画像が配置されていた領域にNo.5の画像を配置し、このNo.5の画像が配置されていた領域に該No.5の前の画像であるNo.4の画像を配置し、この画像を先頭にして、No.4、No.5、No.6、No.7の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0056】
2)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の左側の画像表示領域にある場合は(ステップS195)、ドラッグ開始点に表示されていた画像の次の画像が、ドラッグ開始点の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS196)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図20に示す。
図20において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.4、No.5、No.6、No.7の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(c)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.7の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.7の画像からNo.6の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.6の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(b)に示すように、No.6の画像が配置されていた領域にNo.7の画像を配置し、このNo.7の画像が配置されていた領域に該No.7の次の画像であるNo.8の画像を配置し、No.5の画像を先頭にして、No.5、No.6、No.7、No.8の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0057】
3)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の上方の画像表示領域にある場合は(ステップS197)、ドラッグ開始点に表示されていた下方の画像が、ドラッグ終了点である上方の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS198)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図21に示す。
図21において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.5、No.6、No.7、No.8の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.7の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.7の画像からNo.5の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.5の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(c)に示すように、No.5の画像が配置されていた領域にNo.7の画像を配置し、このNo.7の画像が配置されていた領域に該No.7の2つ後の画像であるNo.9の画像を配置し、前記No.7の画像を先頭にして、No.7、No.8、No.9、No.10の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0058】
4)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の下方の画像表示領域にある場合は(ステップS199)、ドラッグ開始点に表示されていた上方の画像が、ドラッグ終了点である下方の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS200)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図21に示す。
図21において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.7、No.8、No.9、No.10の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(c)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.8の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.8の画像からNo.10の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.10の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(b)に示すように、No.10の画像が配置されていた領域にNo.8の画像を配置し、このNo.8の画像が配置されていた領域に該No.8より2つ前の画像であるNo.6の画像を配置し、このNo.6の画像の前の画像No.5を先頭にして、No.5、No.6、No.7、No.8の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0059】
上記のように、同一の表示画面に複数に分割されている画像の次画像、前画像の表示切り替えを行うことにより、表示されていない次の画像または前の画像との比較読影が容易となる。
このような画像切り替え表示操作においても、本発明は、2つの画像間をまたぐドラッグタッチによる単一の操作で簡単に画像を切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が向上するものとなる。
【0060】
[3]スライドタッチによる表示画像の輝度変更
図22に処理の概要と概念図を示す。
図22(a)に示すように、タッチパネル式ディスプレィ5の画像表示領域の横方向のサイズWと縦方向のサイズHを有する表示画面上に指をなぞらせてカーブを描き、同図(b)に示すように前記カーブに対応した画素値Pと輝度値Bの関係、すなわち表示用ルックアップテーブルLUTを作成し、このLUTを用いて同図(a)に示す画像を同図(c)に示す輝度値を有する画像に変更して表示する。
【0061】
前記ルックアップテーブルLUTは図23に示すフローチャートにより作成される。
(1)図22(a)において、画像表示領域の左下端座標を(0, 0)、右上端座標を(W, H)として、ドラッグ中に通過を検出した全ての点の座標値を取得する(通過座標群)(ステップS231)。
ただし、Wは画像表示領域の横方向のサイズ、Hは画像表示領域の縦方向のサイズ、nは検出した通過点の数である。
(2)i=0〜Pのループにより前記通過したn点における0から最大画素値Pまでの画素値iを取得する(ステップS232)。
(3)通過座標群から、通過座標の横方向座標x=(W/P)*i(ただし小数点以下は切り捨て)となる座標を検索する(ステップS233)。
(4)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標検索結果を判定する(ステップS234)。
(5)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標が見つかった場合は、画素値iに対する輝度を(B/H)*yにセットし(ステップS235)、ステップ238に進む。ただし、Bは輝度の最大値、yは見つかった通過座標の縦方向座標で、(B/H)*yの小数点以下は切り捨てる。
(6)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標が見つからなかった場合はステップS236により、
1)前記通過座標群からW/P*iに最も近いxを持つ座標を以下の2つの座標〔1〕、〔2〕を検索する。
(W/P)*i未満=(xMin, yMin)・・・・〔1〕
(W/P)*i以上=(xMax, yMax)・・・・〔2〕
2)上記〔1〕、〔2〕の座標が見つからなければ、(xMin, yMin)=(0, 0)、(xMax, yMax)=(X, Y)とする。
(7)画素値iに対する輝度を(B/H)*(yMax−yMin)/2にセットする(ステップS237)。ただし、小数点以下は切り捨て、絶対値をとる。
(8)ステップ235及びステップ237でセットした画素値iに対する輝度値でi=0〜Pのループにより前記通過したn点における0から最大画素値Pまでの画素値iを取得する(ステップS238)。
【0062】
上記《2》の[1]の(2)により「画像内での横断ドラッグタッチ」操作であることを検出して、表示されている画像の画素値に対する輝度値を作成したルックアップテーブルLUTを用いて輝度を変更し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS239)。
【0063】
このように、表示されている画像内の横断ドラッグタッチにより該ドラッグ軌跡に対応して作成したルックアップテーブルで表示階調を変更することができる。
したがって、従来は、予め複数のルックアップテーブルを作成し用意しておき、この用意されたルックアップテーブルの中から任意のものを選択して表示画像の階調変換の変更を行っていたために、ルックアップテーブルの作成およびその選択に手間を要するものであったが、上記の本発明では、横断ドラッグによる簡単な操作で診断に適した階調に変換することができる。
【0064】
以上の実施例に共通するものとして、従来のボタンやメニューを表示していた領域も画像表示領域として使用できるので、画像表示領域が広くなり、画像がより一層見易くなるという効果が得られる。
このように、本発明は、画像表示領域を最大限に利用することができるので、従来のように撮影されているかどうかの確認だけでなく、その場で詳細な画像診断ができる。
【0065】
なお、上記実施例では、複数点同時タッチに非対応のタッチパネルディスプレイに適用することを前提として説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出が可能なタッチパネル式ディスプレィ5にも適用できる。
この場合は、複数点同時タッチ検出の替わりに2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出情報に対応して上記実施例で説明したと同様の画像表示切り替えを行えば良い。
【0066】
また、上記実施例は、タッチパネル式ディスプレィを医用画像診断装置に用いた例について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、各種医用画像診断装置で得られた医用画像を統括して管理し、前記医用画像を表示して観察、診断する医用画像観察装置の画像表示装置にタッチパネル式ディスプレイを用いて上記画像切り替え表示を行うことによって、該画像表示切り替えの操作性向上を図ることができる。
【0067】
以上のように、本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、分割表示された画像のうちの1つを選択して、この選択された画像の矩形領域を拡大し、手書きルックアップテーブルにより前記拡大した画像に表示階調処理を施して見易い輝度にするなどのように、分割表示、矩形領域の拡大、次画像・前画像及び輝度変更の各処理を任意に組み合わせて、診断に最適な画像を表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の医用画像表示装置の全体構成図。
【図2】本発明の医用画像表示装置の画像表示操作を実行するメインフローチャート図。
【図3】タッチパネル式ディスプレィのタッチパネルに4本の指を使って4点の同時タッチの例を示す図。
【図4】複数点同時タッチ検出のフローチャートの一例を示す図。
【図5】複数点同時タッチ検出のフローチャートの他の例を示す図。
【図6】分割表示切り替えのフローチャート図。
【図7】1点タッチにより4分割画像の中から1つの画像を選択して表示領域の全面に表示する例を示す図。
【図8】2点同時タッチにより2つの画像を縦方向に2分割して表示する例を示す図。
【図9】2点同時タッチにより2つの画像を横方向に2分割して表示する例を示す図。
【図10】4点同時タッチにより4分割画像を表示する例を示す図。
【図11】拡大・縮小表示のフローチャート図。
【図12】部分表示拡大・縮小処理のフローチャート図。
【図13】全体表示拡大・縮小処理のフローチャート図。
【図14】2点同時タッチによる矩形領域の拡大表示例。
【図15】2点同時タッチによる拡大表示方法を示す図。
【図16】矩形領域の拡大処理のフローチャート図。
【図17】2点同時タッチとスライドタッチとを判別するフローチャート。
【図18】スライドタッチにおける画像をまたぐドラッグと画像内での横断ドラッグとを判別するフローチャート。
【図19】次画像、前画像の表示切り替え表示フローチャート。
【図20】左右スライドによる次画像・前画像の切り替え表示の例。
【図21】上下スライドによる次画像・前画像の切り替え表示の例。
【図22】画像内での横断ドラッグによる表示画像の輝度変更処理の概要と概念を示す図。
【図23】手書きルックアップテーブル作成フローチャート。
【符号の説明】
【0069】
1 医用画像表示装置、2 医用画像診断装置、3 磁気ディスク、4 画像処理部、5 タッチパネル式ディスプレィ、6 マウス、7 キーボード(K/B)、8 共通バス、9 中央処理装置(CPU)、10 画像メモリ、11 画像プロセッサ、12 表示メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置で撮影した医用画像を表示する医用画像表示装置に係り、特にタッチパネル式ディスプレィに表示される画像の表示操作の操作性向上に好適な医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線等の放射線を利用したX線撮影装置、X線CT装置、超音波を利用した超音波診断装置、磁気を利用したMRI診断装置等の医用画像診断装置で得られた医用画像は、それぞれの装置に付設された画像表示装置に表示して疾病の診断を行なっている。
【0003】
この場合、診断を容易にするために、同一の表示画面に複数の画像を分割して表示(以下、分割表示と呼ぶ)したり、あるいは画像を拡大表示したり、表示されている画像の前後の画像を切り替えて表示したり、さらに表示画像の輝度を変更したりして、画像表示形態を頻繁に変える必要がある。
このような画像表示の切り替えは、前記画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUI(Graphical User Interface)オブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作している。
【0004】
このような医用画像表示装置において、該表示装置にタッチパネル式ディスプレィを用いた一般X線撮影装置が特許文献1に開示されている。
これは、被検者の撮影部位や撮影方向に応じてX線撮影条件を設定し、この設定したX線撮影条件や撮影した画像を前記タッチパネル式ディスプレィに表示して、前記撮影条件や撮影画像を確認するものである。
【0005】
また、上記各種医用画像診断装置で得られた医用画像を統括して管理し、画像表示装置に表示して観察、診断する医用画像観察装置がある。
このシステムは、特許文献2に開示されているように、医用画像観察装置と上記各種の医用画像診断装置とを通信ケーブル等で接続し、各種の医用画像診断装置で得られたディジタル化された医用画像を医用画像観察装置内に取り込み、磁気ディスク等に記憶する。
そして、診断の際には、オペレータである医師が、指示装置(例えば、キーボード)から診断対象の被検者を指示して、当該被検者を撮影して得られた医用画像を前記磁気ディスクから読み出し、前記医用画像観察装置の画像表示装置に表示する。
医師は、観察したい画像をメニュー画面から選択して画像表示装置に表示された画像を観察し、必要に応じてメニュー画面から他の画像を選択して表示画像を切り替えて診断を行う。
この場合も、上記の分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の画像表示操作を画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作している。
【特許文献1】特開2003-47608号公報
【特許文献2】特開平6-339467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の画像表示操作を画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作すると、その操作に手間がかかり操作性が悪化する。
すなわち、現在、表示している画像を別の形態の画像(分割画像、拡大画像、前後画像、輝度変更等)に切り替えて表示する場合は、上記入力装置を用いて、次に表示する画像の表示形態を選択するための表示条件情報、画像付帯情報、あるいは画像識別情報を前記画像表示装置に表示し、この表示した前記各種情報の中から前記入力装置により表示したい画像情報を選択し、この選択した情報に基づいて画像を表示しなければならない。
したがって、上記入力装置を操作する回数が多くなって、表示する画像の操作に多くの時間を費やしていたので、操作数が少なくて済む画像表示操作が望まれていた。
【0007】
なお、上記特許文献1に開示されているタッチパネル式ディスプレイによる画像表示装置は、撮影した画像を確認するのみで、上記のような画像表示操作に関しては何等開示されていない。
【0008】
本発明の目的は、医用画像表示装置にタッチパネル式ディスプレィを用い、画像表示の切り替えを単一の操作で行なって操作性の向上を図る医用画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像表示装置の表示部を覆うように設けられたタッチパネルを備えたCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のタッチパネル式ディスプレィによる医用画像表示装置を用い、この表示装置に表示されている画像に直接タッチし、このタッチの種別を判別して表示画像を切り替えるもので、具体的には以下の手段によって達成される。
【0010】
(1)医用画像と、この医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段からのタッチ入力信号の種別を判別する入力信号判別手段と、この入力信号判別手段で判別された前記入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を選択する表示形態選択手段と、この表示形態選択手段で選択された表示形態に対応して前記医用画像を処理し、この処理された画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段とを備えて成る。
【0011】
前記入力信号判別手段は、前記画像表示手段に表示された画像に直接タッチして入力される信号を検出する入力信号検出手段と、この検出手段で検出した信号の種別を判別する入力信号種別判別手段とから成り、前記入力信号検出手段は、所定時間を有して断続する1点または複数点のタッチを検出する断続タッチ検出手段と、所定の画像表示領域を連続してスライドする連続タッチ検出手段とを備えて成る。
【0012】
さらに前記断続タッチ検出手段で検出する断続タッチは、前記画像表示手段に表示されている画像内の2点を対角とする2点タッチを含み、前記連続タッチ検出手段で検出する連続タッチは、前記画像表示手段に表示された複数の画像間をまたぐドラッグタッチと、前記画像表示手段に表示された画像内で任意の軌跡を描くドラッグタッチとを含む。
【0013】
前記入力信号種別判別手段は、前記入力信号検出手段で検出した前記断続タッチと前記連続タッチのそれぞれのタッチ種別を判別して成り、前記表示形態選択手段で選択する医用画像の表示形態は、前記画像表示手段の表示画面に表示された一つまたは複数の画像を切り替えて表示する画像切り替え表示形態と、画像の一部の矩形領域を拡大する矩形領域拡大表示形態と、表示画像の次の画像または前の画像を切り替える次画像・前画像切り替え表示形態と、表示画像の輝度を変更する輝度変更表示形態とを少なくとも含む。
【0014】
このように構成された医用画像表示装置は、前記画像表示手段に表示された画像にタッチするだけで前記各種の医用画像表示形態に対応した表示画像の切り替え操作を行なうことができるので、従来のように画像表示装置の釦やメニュー等の表示画面上のGUIオブジェクト、もしくはマウスやキーボート・コントローラ等の外部入力装置を用いて操作する必要がないので、前記画像操作の手間を大幅に低減することができる。
【0015】
(2)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が画像切り替え表示形態の場合は、画像の拡大または縮小する画像拡大・縮小手段をさらに備えて、前記断続タッチ検出手段で検出したタッチ数に対応して前記画像表示手段に表示された画像に関連する画像を前記画像拡大・縮小手段で拡大または縮小して表示する。
【0016】
この表示形態において、前記断続タッチ検出手段で検出したタッチ数が複数時には、前記画像表示手段に表示された画像に関連する前記タッチ数と同じ数の複数の画像を前記画像拡大・縮小手段で縮小し、この縮小した複数の画像を前記画像表示手段に分割表示する。
また、前記タッチ数と同じ数の複数の画像を前記画像拡大・縮小手段で縦方向または横方向に縮小し、この縮小した複数の画像を前記画像表示手段に分割表示する。
さらに、前記画像表示手段に表示された複数の画像の中でタッチされた画像を前記画像拡大・縮小手段で拡大し、この拡大した画像を前記画像表示手段に表示する。
【0017】
このように、同一の表示画面を分割し、この分割した画面に複数の画像を縮小して表示することにより、複数の画像の比較読影が容易となり、逆に複数の分割表示されている画像の中から少なくとも1つの画像を選択し、これを拡大表示することにより、細かい部分の読影が可能となる。
このように、分割表示と非分割表示は読影目的が異なるために、読影の際には前記双方を必要に応じて頻繁に切り替えるのものであるが、上記本発明のように、複数点同時タッチと1点タッチによる単一の操作で上記分割表示と非分割表示とを簡単な操作により切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が格段に向上するものとなる。
【0018】
(3)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が矩形領域拡大表示形態の場合は、前記画像表示手段に表示された画像内の2点を対角とするタッチ位置を前記断続タッチ検出手段で検出し、この検出した前記2点を対角とする矩形領域部分の画像を前記拡大・縮小手段で拡大し、この拡大した画像を前記画像表示手段に表示する。
【0019】
このように、画像の拡大したい部分の2点に同時タッチして2点を指定し、この指定された2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して、この抽出した矩形領域を拡大して表示することにより、2点をタッチするだけの単一の操作で、例えば病巣などの関心領域を詳細に読影することができる。
したがって、オペレータは2点をタッチするだけの単一の操作で済むので、従来よりも操作回数は大幅に低減され、これによって読影効率の向上を図ることができる。
【0020】
(4)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が次画像・前画像切り替え表示形態の場合は、前記連続タッチ検出手段で検出したドラッグタッチが前記画像表示手段の表示画面の左右方向または上下方向に表示されている少なくとも2つの画像間をまたぐドラッグタッチであって、前記ドラッグタッチのドラッグ開始点に対応する位置に表示されている画像をドラッグ終了点に対応する位置に表示し、前記ドラッグ開始点に対応する位置に該ドラッグ開始点に対応する位置に表示されていた画像よりも前の画像または次の画像を表示する。
【0021】
このように、同一の表示画面に複数に分割されている画像の次の画像あるいは前画像を切り替えて表示することにより、表示されていない次の画像または前の画像との比較読影が容易となる。
このような画像切り替え表示操作においても、本発明は、2つの画像間をまたぐドラッグタッチによる単一の操作で簡単に次の画像あるいは前の画像に切り替えて表示することができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が向上するものとなる。
【0022】
(5)上記表示形態選択手段で選択した医用画像の表示形態が輝度変更表示形態の場合は、前記連続タッチ検出手段で検出したドラッグタッチが前記画像表示手段に表示された画像内で任意の軌跡を描くドラッグタッチであって、前記ドラッグ軌跡に対応する画素値と輝度値の関係の表示ルックアップテーブルを作成する手段と、前記画像表示手段に表示された画像の輝度値を前記作成した表示ルックアップテーブルに対応した輝度値に変更する輝度値変更手段とを備えることにより、前記輝度値変更手段で前記表示画像の輝度値を変更して表示する。
【0023】
このように、表示されている画像内の横断ドラッグタッチにより該ドラッグ軌跡に対応して作成したルックアップテーブルで表示階調を変更することができる。したがって、従来は、予め複数のルックアップテーブルを作成し用意しておき、この用意されたルックアップテーブルの中から任意のものを選択して表示画像の階調変換の変更を行っていたために、ルックアップテーブルの作成およびその選択に手間を要するものであったが、上記の本発明では、横断ドラッグタッチによる簡単な操作で診断に適した輝度に変更することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上、本発明によれば、タッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示されている画像に直接タッチするだけの簡単な操作で、分割画像の切り替え表示、矩形領域の拡大表示、次画像・前画像の切り替え表示、輝度変更表示などの各種の表示形態の画像に切り替えて表示することができる。
この結果、操作数が大幅に少なくて済む画像表示操作が可能となり、画像に直接タッチするという単一の操作で読影に必要な画像に切り替えて表示することにより、オペレータや読影する医師の負担が軽減するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る医用画像表示装置の好ましい実施の形態について、添付図面に従って詳細に説明する。
≪装置構成≫
本発明の医用画像表示装置1は、図1に示すように、X線撮影装置やX線CT装置等の医用画像診断装置2で撮影して得られた画像あるいは外部記憶装置としての磁気ディスク3に格納してある撮影済みの画像を入力して画像表示処理を行なう画像処理部4と、この画像処理部4で処理された画像を表示するタッチパネルを備えたCRTやLCD等のタッチパネル式ディスプレィ5と、前記画像処理部4で処理される表示画像の操作情報を入力する前記タッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネル画面上のソフトスイッチを操作するマウス6と、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード(K/B)7と、上記各構成要素を接続する共通バス8とから構成され、前記タッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルは前記マウス6及びキーボード(K/B)7と共に画像表示操作情報入力部を構成している。
【0026】
前記画像処理部4は、各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)9と、前記医用画像診断装置2で撮影した画像あるいは磁気ディスク3から読み出した画像を2次元的に配列して記憶する画像メモリ10と、この画像メモリ10に記憶された各画像に分割表示、拡大表示、前後画像表示、画像の輝度変更等の表示処理を施す画像プロセッサ11と、この画像プロセッサで表示処理された画像を記憶する表示メモリ12とにより構成され、この表示メモリ12に記憶されている画像を前記画像表示操作情報入力部からの画像表示操作信号に対応して前記タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0027】
前記タッチパネル式ディスプレィ5は、上記したようにディスプレィの表示部を覆うように設けられたタッチパネルを備えたCRTやLCD等のタッチパネル式ディスプレイで、前記タッチパネル部に直接タッチして、そのタッチによる位置情報及びタッチの種別により前記ディスプレィの表示画面に複数の画像を分割して表示したり、あるいは画像を拡大表示したり、表示されている画像の前後の画像を切り替えて表示したり、さらに表示画像の輝度を変更したりして画像を表示するものである。
【0028】
上記構成の医用画像表示装置1には、外部記憶装置としての上記の磁気ディスク3が接続され、この磁気ディスク3に格納されている画像表示処理を行なうための元となる画像データ及び付帯情報データを前記画像メモリ10に読み出し、この読み出した画像データ及び付帯情報データを画像プロセッサ11で画像表示処理を行ない、該処理された画像及び付帯情報データは前記表示メモリ12に格納されると共に必要に応じて前記磁気ディク3にも格納される。
そして、前記表示メモリ12からの画像データや付帯情報データに対応した画像や付帯情報をタッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
なお、本発明の医用画像表示装置の画像表示処理を実行するプログラムは、前記磁気ディスク3に格納しておき、医用画像表示装置1の起動時に上記CPU9で上記画像メモリ10に読み出して、前記プログラムにより画像表示処理を行なう。
【0029】
≪画像表示操作≫
本発明は、上記の医用画像表示装置と以下に述べる画像表示ソフトウェアとを用いて、種々の画像表示処理を行ない、この処理された画像をタッチパネル式ディスプレィ5に表示して読影医の読影を支援するもので、本実施形態では代表的なものとして下記の例を取り上げた。
(1)分割表示
同一の表示画面に複数の画像を分割して表示する。
(2)拡大表示
表示されている画像の一部を拡大して表示する。
(3)分割表示時の次画像・前画像の切り替え表示
分割表示されている画像の次の画像あるいは前の画像を表示する。
(4)表示画像の輝度変更
タッチパネル式ディスプレィ上の画像表示領域を指でなぞり、このなぞられた軌跡に対応して画像データの画素値とディスプレィ上の輝度値を変換するテーブルを作成し(以下、これを手書きルックアップテーブルLUTと呼ぶ)、この作成した手書きルックアップテーブルテーブルLUTに基づいて表示画像の輝度を変更する。
【0030】
図2に本発明の医用画像表示装置の画像表示操作を実行するメインフローチャートを示す。
この図2のフローチャートによる画像表示操作は、医用画像診断装置2あるいは磁気ディスク装置3から操作する画像を読み出し、これをタッチパネル式ディスプレィ5に表示するステップ(S21〜S24)と、この表示された画像に直接タッチし、そのタッチ情報を判別するステップ(S25、S26)と、前記判別した結果に基づいて画像表示処理を行ない、タッチパネル式ディスプレィ5に表示するステップ(S27〜S40)とから成る。
【0031】
以下、上記処理について詳細に説明する。
(1)医用画像表示装置1を起動し、医用画像診断装置2あるいは磁気ディスク3から画像メモリ10にタッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルを操作して患者リストを読み出し、これをタッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS21)。
(2)前記患者リストの中から表示する画像の対象患者をタッチパネル式ディスプレィ5のタッチパネルにタッチして選択する(ステップS22)。
(3)選択された患者の全ての画像を医用画像診断装置2または磁気ディスク3から読み出して表示メモリ12に記憶する(ステップS23)。
(4)画像表示操作を行なう対象画像(切り替え操作画像)を表示メモリ12から読み出してタッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS24)。
(5)オペレータが操作対象画像にタッチする(ステップS25)。
(6)前記タッチが断続タッチ(1点及び複数点の同時タッチ)か連続タッチ(スライドタッチによるドラッグタッチ)かのタッチ種別を判別する(ステップS26)。
【0032】
(7)断続タッチ検出の場合は(ステップS27)、断続タッチ種別に対応した表示形態を選択する(ステップS28)。
(8)前記断続タッチの種別が1点タッチまたは複数点タッチの場合は分割画像切り替え表示形態を選択し(ステップS29)、分割画像切り替え表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS30)。
(9)前記断続タッチの種別が画像内の2点を対角とする2点タッチの場合は矩形領域の拡大表示形態を選択し(ステップS31)、矩形領域の拡大表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS32)。
【0033】
(10)連続タッチの場合は(S33)、連続タッチ種別に対応した表示形態を選択する(ステップS34)。
(11)前記連続タッチの種別が画像間をまたぐドラッグタッチの場合は次画像・前画像の切り替え表示形態を選択し(ステップS35)、次画像・前画像の切り替え表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS36)。
(12)前記連続タッチの種別が画像内での任意の軌跡を描くドラッグタッチの場合は輝度変更表示形態を選択し(ステップS37)、輝度変更表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS38)。
(13)前記連続タッチの種別が通常のドラッグタッチの場合は通常の表示形態を選択し(ステップS39)、通常の表示処理を行なってタッチパネル式ディスプレィに表示する(ステップS40)。
【0034】
《1》断続タッチによる分割表示画像の切り替えと矩形領域の拡大表示
断続タッチ種別に対応して「分割画像切り替え表示」と「矩形領域の拡大表示」の画像操作を行なう。
このためには、断続タッチ数とそのタッチ位置を検出する「複数点同時タッチ検出」手段が必要である。
また、同時タッチ位置が2つの場合は、設定ファイル、トグルボタンの状態などを取得して、この情報により複数点同時タッチ検出時に「分割数表示切り替え」と「矩形領域の拡大表示」のどちらの画像操作を行なうかを予め決めておく。
なお、上記タッチパネル式ディスプレィ5には、2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出が可能なものもあるが、以下では複数点同時タッチに非対応のタッチパネルディスプレイに適用することを前提として説明する。
【0035】
[1]複数点同時タッチ検出方法
複数点の同時タッチ検出は、以下のことを前提としている。
(1)複数の点が全く同時にタッチされることはなく、1点1点のタッチには必ず順番がある。
(2)ある点のタッチと、その次の点のタッチの間がごく短い場合、その2つの点が同時にタッチされた2点同時タッチとみなす。
(3)「複数点の同時タッチ」は「2点同時タッチの集合」で構成される。
例えば、図3示すように、4本の指を使って4点(A、B、C、D)の同時タッチは、AとB、BとC、CとD、という3つの「2点同時タッチ」により構成されることになる。
【0036】
上記(1)〜(3)を前提にして、「どこからどこまでの2点同時タッチを複数点同時タッチとみなすか」を以下の2つの異なる図4、図5に示すフローチャートのいずれかにより検出することができる。
(1)タッチ間隔が一定時間内である2点タッチが続く場合、それらを複数点同時タッチとみなす。
これによる複数点同時タッチ検出処理フローチャートを図4に示す。
このフローチャートによる処理において、
1)処理フローは1回目のタッチの検出により開始される。
2)終了時のタッチ数を同時タッチ数とみなす。
3)一定時間待機の処理中にタッチが検出された場合、その処理を即座に終了する。
例えば、A〜Eまでの5点タッチにおいて、タッチ間隔が12サンプリング間隔以内の場合を同時タッチとみなした場合、A点タッチ─10サンプリング→B点タッチ─10サンプリング→C点タッチ─10サンプリング→D点タッチ─15サンプリング→E点タッチ、というタッチ間隔を検出した時はA点からD点までの4点が同時にタッチされたものとみなす。
【0037】
(2)一定時間内にタッチされた全ての点を同時タッチとみなす。
これによる複数点同時タッチ検出処理フローチャートを図5に示す。
このフローチャートによる処理において、
1)処理フローは1回のタッチ毎に開始される。
2)残待機時間分の待機の処理中にタッチを検出した場合、その処理を即座に終了し、図5の破線矢印に示す開始位置に戻る。
例えば、A〜Fまでの6点タッチにおいて、50サンプリング以内にタッチされた全ての点を複数点同時タッチとみなした場合、A点タッチ─10サンプリング→B点タッチ─15サンプリング→C点タッチ─10サンプリング→D点タッチ─12サンプリング→E点タッチ─10サンプリング→F点タッチ、というタッチ間隔を検出した時は50サンプリング以内にタッチされたAからEまでの5点が同時にタッチされたものとみなす。
【0038】
[2]複数点同時タッチ検出による分割画像表示
(1)分割表示形態
上記複数点同時タッチ検出方法によって検出したタッチ数に対応して以下の表示する分割画像の切り替えを行なう。
1)4点同時タッチを検出して4つの画像を1つの画面に分割して表示する(4分割表示の切り替え)。
2)2点同時タッチを検出して2つの画像を1つの画面に縦方向に分割して表示する(縦2分割表示の切り替え)。
3)2点同時タッチを検出して2つの画像を1つの画面に横方向に分割して表示する(横2分割表示の切り替え)。
なお、上記複数点同時タッチ検出を含まない1点検出の場合は、タッチされた画像を非分割表示(全面表示)するか、n分割表示されている画像の中のタッチされた画像を全面表示する.
【0039】
(2)分割表示切り替え処理
図6に分割表示切り替えのフローチャートを示す。
このフローチャートは、上記[1]の(1)又は(2)の同時タッチ検出方法により、1点タッチ、2点同時タッチ、4点同時タッチを検出して、予め設定された前記タッチ数に対応した画像表示処理を行なう例を示したものである。
1)同時タッチ数を検出して1点タッチ、2点同時タッチ、4点同時タッチを判断する(ステップS61)。
2)1点タッチの場合は、図7(a)に示すように4分割表示されている画像(画像リストのNo.5、No.6、No.7、No.8の画像)の中のタッチされたNo.7の画像を同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスブレィ5の表示領域の全面に表示されるように後述のステップ68で拡大処理を行なって表示する(ステップS62)。
3)2点同時タッチの場合は、タッチされたパネルの2点の位置座標における2点間のx座標の差分とy座標の差分をそれぞれ計算し(ステップS63)、x座標の差分とy座標の差分を比較する(ステップS64)。
〔1〕(x座標の差分)>(y座標の差分)の場合は、図8(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして表示メモリ12からNo.5とNo.6の画像を読み出し、後述のステップ68で横方向への縮小処理を行なって同図(b)に示すように縦方向に2分割して、前記No.5とNo.6の画像を表示する(ステップS65)。
〔2〕(x座標の差分)<(y座標の差分)の場合は、図9(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして表示メモリ12からNo.5とNo.6の画像を読み出し、後述のステップ68で縦方向への縮小処理を行なって同図(b)に示すように横方向に2分割して、前記No.5とNo.6の画像を表示する(ステップS66)。
上記〔1〕、〔2〕のように、縦長あるいは横長の画像は、縦2分割あるいは横2分割表示を行なっても画像の拡大・縮小率があまり変らないため、1枚表示よりも画像表示領域を有効に活用することができる。
【0040】
4)4点同時タッチの場合は、図10(a)に示すように、現在表示中のNo.5の画像(複数表示中の場合は先頭の画像)を先頭にして、表示メモリ12からNo.5、No.6、No.7、No.8の画像を読み出し、これらの4つの画像がタッチパネル式ディスプレィ5の表示画面に表示できるように後述のステップ68で縮小処理を行なって、同図(b)に示すようにNo.5、No.6、No.7、No.8の画像を分割して表示する(ステップS67)。
5)上記ステップによって処理される全ての画像を表示領域に合わせて拡大・縮小処理を行ない(ステップ68)、拡大または縮小処理された画像を上記同時タッチ数に対応して図7〜図10に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0041】
(3)拡大・縮小表示処理
上記ステップ68の拡大・縮小の表示画像処理は、本発明に用いる全ての拡大・縮小表示処理に共通するもので、図11に拡大・縮小表示処理のフローチャートを示す。
このフローチャートは、設定ファイル、トグルボタンの状態などを取得し、複数点タッチ時に「部分表示拡大・縮小」と「全体表示拡大・縮小」のどちらの処理を行うかを判別する(ステップS110)。
そして、ステップS111で「部分表示拡大・縮小処理」を、ステップS112で「全体表示拡大・縮小処理」を行なう。
【0042】
ここで、上記「部分表示拡大・縮小処理」と「全体表示拡大・縮小処理」について説明する。
1)部分表示拡大・縮小処理
図12に上記ステップS111における「部分表示拡大・縮小処理」のフローチャートを示す。
〔1〕タッチパネルの画像表示領域の縦サイズ(Y1)と横サイズ(X1)及び表示する画像の縦サイズ(y1)と横サイズ(x1)を取得する(ステップS121)。
〔2〕Y1/y1及びX1/x1を求め、Y1/y1とX1/x1を比較する(ステップS122)。
a)Y1/y1>X1/x1の場合は、表示画像をY1/y1倍に拡大し(ステップS123)、
b)Y1/y1<X1/x1の場合は、表示画像をX1/x1倍に拡大する(ステップS124)。
〔3〕上記a)、b)により拡大した表示画像の縦サイズ(Y2)と横サイズ(X2)
をそれぞれ取得し(ステップS125)、前記拡大した表示画像のうち表示領域座標の左上座標を((X2-X1)/2、(Y2-Y1)/2)とした縦Y1・横X1の矩形領域を表示領域とし、この領域に部分的に拡大・縮小処理された画像を表示する(ステップS126)。
【0043】
2)全体表示拡大・縮小処理
図13に上記ステップS112における「全体表示拡大・縮小処理」のフローチャートを示す。
〔1〕タッチパネルの画像表示領域の縦サイズ(Y1)と横サイズ(X1)及び表示する画像の縦サイズ(y1)と横サイズ(x1)を取得する(ステップS131)
〔2〕Y1/y1及びX1/x1を求め、Y1/y1とX1/x1を比較する(ステップS132)。
a)Y1/y1<X1/x1の場合は、表示画像をY1/y1倍に拡大し(ステップS133)、
b)Y1/y1>X1/x1の場合は、表示画像をX1/x1倍に拡大する(ステップS134)。
〔3〕上記a)、b)により拡大した画像を表示領域の中央に表示する(ステップS135)。
【0044】
上記のように、同一の表示画面を分割し、この分割した画面に複数の画像を縮小して表示することにより、複数の画像の比較読影が容易となり、逆に複数の分割表示されている画像の中から少なくとも1つの画像を選択し、これを拡大表示することにより、細かい部分の読影が可能となる。
このように、分割表示と非分割表示は読影目的が異なるために、読影の際には前記双方を必要に応じて頻繁に切り替えることがある。
したがって、本発明は、複数点同時タッチと1点タッチによる単一の操作で上記分割表示と非分割表示とを簡単に切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が格段に向上するものとなる。
【0045】
[3]2点同時タッチ検出による矩形領域の拡大表示
図14は、2点同時タッチによる矩形領域の拡大表示例で、画像の拡大したい部分のA点とB点の2点に同時タッチして2点を指定し(同図(a))、この指定されたA点とB点の2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して(同図(b))、前記抽出した矩形領域を拡大してタッチパネル式ディスプレィ5の表示領域全体に表示する(同図(c))。
【0046】
この場合、抽出した矩形領域の縦横比が表示領域と異なるときは、下記のいずれかの方法で拡大して表示する。
〔1〕縦方向の拡大率に合わせて拡大表示
〔2〕横方向の拡大率に合わせて拡大表示
〔3〕拡大率の小さい方に合わせて拡大表示
〔4〕拡大率の大きい方に合わせて拡大表示
【0047】
図15は上記〔1〕〜〔4〕による拡大表示方法を示す図で、同図(a)の横長の矩形領域の場合は、同図(b)に示すように〔1〕、〔4〕による拡大表示と、同図(c)に示すように〔2〕、〔3〕による拡大表示があり、同図(d)の縦長の矩形領域の場合は、同図(e)に示すように〔1〕、〔3〕による拡大表示と、同図(f)に示すように〔2〕、〔4〕による拡大表示とがある。
【0048】
また、「指定した矩形領域の縦横比」と「表示領域の縦横比」が一致しない場合は、画像の縦横比を変えないことを前提とすると、
〔5〕表示領域内に矩形領域が全て収まるように拡大・縮小する(余白あり)。
〔6〕表示領域内を全て使うように拡大・縮小する(余白なし、矩形領域の一部のみ表示)。
のどちらかの処理を行う必要があるので、これは利用状況(画像の種類、ユーザーの好み)に依存するため、設定などで任意に切り替えられるようにする必要がある。
【0049】
図16に上記「矩形領域の拡大処理」のフローチャートを示す。
(1)複数同時タッチ数検出により2点タッチを検出する。
この場合、図2のフローチャートの操作モード判別(ステップS28)で述べたように、この場合の2点タッチは「矩形領域の拡大処理」を行なう2点タッチであることを予め設定してあるので、上記[2]の複数点同時タッチの2点タッチと区別することができる(ステップS161)。
(2)検出した2点の表示座標(x1,y1)と(x2,y2)を取得する(ステップS162)。
(3)検出した2点(x1,y1)と(x2,y2)とを結ぶ直線を対角線とする矩形領域を取得する(ステップS163)。
(4)表示画像の矩形領域内の部分を表示領域に合わせて拡大表示する(ステップS164)。
【0050】
上記のように、画像の拡大したい部分の2点に同時タッチして2点を指定し、この指定された2点を対角線の頂点とする矩形領域を抽出して、この抽出した矩形領域を拡大して表示することにより、2点をタッチするだけの単一の操作で、例えば病巣などの関心領域を詳細に読影することができる。
したがって、オペレータは2点をタッチするだけの単一の操作で済むので、従来よりも操作回数は大幅に低減され、これによって読影効率の向上を図ることができる。
【0051】
《2》スライドタッチによる次画像・全画像の切り替えと表示画像の輝度変更
タッチパネルへのタッチが連続するスライドタッチによるドラッグタッチが画像をまたいぐドラッグタッチか、画像内での横断ドラッグタッチかを判別して「次画像・前画像の切り替え表示」と前記画像内のドラッグ軌跡に対応した表示ルックアップテーブルを作成して「表示画像の輝度変更」の操作を行なう。
上記画像をまたぐドラッグタッチと画像内での横断ドラッグタッチによるスライドタッチは、いずれもタッチ開始点とタッチ終了点の2点のタッチが連続していることが必要で、これらの「スライドタッチ」と前記「2点同時タッチ」との判別及び前記「スライドタッチ」における「画像をまたぐドラッグタッチ」と「画像内での横断ドラッグタッチ」とを判別する方法が必要である。
【0052】
[1]スライドタッチの検出方法
(1)2点同時タッチとスライドタッチとの判別
2点同時タッチは、タッチ→離す→タッチの2点タッチであり、これに対してスライドタッチは、タッチ→動かす→離すの2点間で連続するタッチである。
すなわち、2点同時タッチは、タッチした後にそのまま離せばタッチ入力とし、スライドタッチは、タッチパネルを触ったままで所定の距離を動かしてから離せばスライド入力とするもので、前記2点同時タッチとスライドタッチとを区別するフローチャートを図17に示す。
1)タッチされた位置の座標(x1,y1)を取得する(ステップS171)。
2)タッチパネルからタッチした指が離れるのを待つ(ステップS172)。
3)指が離された位置の座標(x2,y2)を取得する(ステップS173)。
4)前記タッチされた位置座標(x1,y1)と前記指が離された位置座標(x2,y2)とが同じかどうかを判断する(ステップS174)。
5)位置座標(x1,y1)と位置座標(x2,y2)とが同じでない場合をスライドタッチによるドラッグタッチとする(ステップS175)。
6)位置座標(x1,y1)と位置座標(x2,y2)とが同じある場合を2点同時タッチとする(ステップS176)。
【0053】
(2)スライドタッチにおける「画像をまたぐドラッグタッチ」と「画像内での横断ドラッグタッチ」とを判別する方法
図18にフローチャートを示す。
1)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)を取得し、これらの座標を比較する(ステップS181)。
2)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)の両方が同一の画像表示領域内の場合は「通常のドラッグタッチ」とする(ステップS182)。
3)スライド開始点の座標(x1, y1)とスライド終了点の座標(x2, y2)が互いに異なる画像表示領域内の場合は「画像をまたいだドラッグタッチ」とする(ステップS183)。
4)スライド開始点の座標(x1, y1)がタッチパネル表示領域の左辺付近、スライド終了点の座標(x2, y2)がタッチパネル表示領域の右辺付近の場合は「画像内での横断ドラッグタッチ」とする(ステップS184)。
【0054】
[2]スライドタッチによる次画像・前画像の切り替え表示
タッチパネル式ディスプレィ上で、複数の画像をまたいでスライドし、このスライドする方向を判別して次画像、前画像の表示切り替えを行う。
図19にフローチャートを示す。
(1)ドラッグ終了点が画像表示領域内にあることを確認する(ステップS191)。
(2)ドラッグ終了点の位置を判定し(ステップS192)、以下の処理を行なって次画像・前画像の切り替え表示を行なう。
【0055】
1)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の右側の画像表示領域にある場合は(ステップS193)、ドラッグ開始点に表示されていた画像の前の画像が、ドラッグ開始点の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS194)。
この操作による前画像の切り替え表示の例を図20に示す。
図20において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.5、No.6、No.7、No.8の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.5の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.5の画像からNo.6の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.6の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(c)に示すように、No.6の画像が配置されていた領域にNo.5の画像を配置し、このNo.5の画像が配置されていた領域に該No.5の前の画像であるNo.4の画像を配置し、この画像を先頭にして、No.4、No.5、No.6、No.7の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0056】
2)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の左側の画像表示領域にある場合は(ステップS195)、ドラッグ開始点に表示されていた画像の次の画像が、ドラッグ開始点の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS196)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図20に示す。
図20において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.4、No.5、No.6、No.7の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(c)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.7の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.7の画像からNo.6の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.6の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(b)に示すように、No.6の画像が配置されていた領域にNo.7の画像を配置し、このNo.7の画像が配置されていた領域に該No.7の次の画像であるNo.8の画像を配置し、No.5の画像を先頭にして、No.5、No.6、No.7、No.8の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0057】
3)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の上方の画像表示領域にある場合は(ステップS197)、ドラッグ開始点に表示されていた下方の画像が、ドラッグ終了点である上方の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS198)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図21に示す。
図21において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.5、No.6、No.7、No.8の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(b)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.7の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.7の画像からNo.5の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.5の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(c)に示すように、No.5の画像が配置されていた領域にNo.7の画像を配置し、このNo.7の画像が配置されていた領域に該No.7の2つ後の画像であるNo.9の画像を配置し、前記No.7の画像を先頭にして、No.7、No.8、No.9、No.10の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0058】
4)前記ドラッグ終了点の位置がドラッグ開始点の画像表示領域の下方の画像表示領域にある場合は(ステップS199)、ドラッグ開始点に表示されていた上方の画像が、ドラッグ終了点である下方の画像表示領域に表示されるように、表示メモリ12から表示する画像の全てを読み込み配置する(ステップS200)。
この操作による次画像の切り替え表示の例を図21に示す。
図21において、同図(a)に示す磁気ディスク3に格納されているNo.7、No.8、No.9、No.10の4つの画像を表示メモリ12に読み出し、画像プロセッサ11で分割表示処理を行なって表示メモリ12に記憶し、同図(c)に示すようにタッチパネル式ディスプレィ5に分割表示する。
そして、No.8の画像にタッチし(ドラッグ開始点)、このNo.8の画像からNo.10の画像にまたいでスライドしてドラッグ操作し、このNo.10の画像内でタッチしていた指を離す(ドラッグ終了点)。
上記[1]の(2)により、この操作は「画像をまたぐドラッグタッチ」と判別して、同図(b)に示すように、No.10の画像が配置されていた領域にNo.8の画像を配置し、このNo.8の画像が配置されていた領域に該No.8より2つ前の画像であるNo.6の画像を配置し、このNo.6の画像の前の画像No.5を先頭にして、No.5、No.6、No.7、No.8の画像の順に画像を配置し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する。
【0059】
上記のように、同一の表示画面に複数に分割されている画像の次画像、前画像の表示切り替えを行うことにより、表示されていない次の画像または前の画像との比較読影が容易となる。
このような画像切り替え表示操作においても、本発明は、2つの画像間をまたぐドラッグタッチによる単一の操作で簡単に画像を切り替えることができるので、オペレータの操作回数は従来よりも大幅に低減され、これによって読影の効率が向上するものとなる。
【0060】
[3]スライドタッチによる表示画像の輝度変更
図22に処理の概要と概念図を示す。
図22(a)に示すように、タッチパネル式ディスプレィ5の画像表示領域の横方向のサイズWと縦方向のサイズHを有する表示画面上に指をなぞらせてカーブを描き、同図(b)に示すように前記カーブに対応した画素値Pと輝度値Bの関係、すなわち表示用ルックアップテーブルLUTを作成し、このLUTを用いて同図(a)に示す画像を同図(c)に示す輝度値を有する画像に変更して表示する。
【0061】
前記ルックアップテーブルLUTは図23に示すフローチャートにより作成される。
(1)図22(a)において、画像表示領域の左下端座標を(0, 0)、右上端座標を(W, H)として、ドラッグ中に通過を検出した全ての点の座標値を取得する(通過座標群)(ステップS231)。
ただし、Wは画像表示領域の横方向のサイズ、Hは画像表示領域の縦方向のサイズ、nは検出した通過点の数である。
(2)i=0〜Pのループにより前記通過したn点における0から最大画素値Pまでの画素値iを取得する(ステップS232)。
(3)通過座標群から、通過座標の横方向座標x=(W/P)*i(ただし小数点以下は切り捨て)となる座標を検索する(ステップS233)。
(4)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標検索結果を判定する(ステップS234)。
(5)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標が見つかった場合は、画素値iに対する輝度を(B/H)*yにセットし(ステップS235)、ステップ238に進む。ただし、Bは輝度の最大値、yは見つかった通過座標の縦方向座標で、(B/H)*yの小数点以下は切り捨てる。
(6)通過座標の横方向座標x=(W/P)*iとなる座標が見つからなかった場合はステップS236により、
1)前記通過座標群からW/P*iに最も近いxを持つ座標を以下の2つの座標〔1〕、〔2〕を検索する。
(W/P)*i未満=(xMin, yMin)・・・・〔1〕
(W/P)*i以上=(xMax, yMax)・・・・〔2〕
2)上記〔1〕、〔2〕の座標が見つからなければ、(xMin, yMin)=(0, 0)、(xMax, yMax)=(X, Y)とする。
(7)画素値iに対する輝度を(B/H)*(yMax−yMin)/2にセットする(ステップS237)。ただし、小数点以下は切り捨て、絶対値をとる。
(8)ステップ235及びステップ237でセットした画素値iに対する輝度値でi=0〜Pのループにより前記通過したn点における0から最大画素値Pまでの画素値iを取得する(ステップS238)。
【0062】
上記《2》の[1]の(2)により「画像内での横断ドラッグタッチ」操作であることを検出して、表示されている画像の画素値に対する輝度値を作成したルックアップテーブルLUTを用いて輝度を変更し、タッチパネル式ディスプレィ5に表示する(ステップS239)。
【0063】
このように、表示されている画像内の横断ドラッグタッチにより該ドラッグ軌跡に対応して作成したルックアップテーブルで表示階調を変更することができる。
したがって、従来は、予め複数のルックアップテーブルを作成し用意しておき、この用意されたルックアップテーブルの中から任意のものを選択して表示画像の階調変換の変更を行っていたために、ルックアップテーブルの作成およびその選択に手間を要するものであったが、上記の本発明では、横断ドラッグによる簡単な操作で診断に適した階調に変換することができる。
【0064】
以上の実施例に共通するものとして、従来のボタンやメニューを表示していた領域も画像表示領域として使用できるので、画像表示領域が広くなり、画像がより一層見易くなるという効果が得られる。
このように、本発明は、画像表示領域を最大限に利用することができるので、従来のように撮影されているかどうかの確認だけでなく、その場で詳細な画像診断ができる。
【0065】
なお、上記実施例では、複数点同時タッチに非対応のタッチパネルディスプレイに適用することを前提として説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出が可能なタッチパネル式ディスプレィ5にも適用できる。
この場合は、複数点同時タッチ検出の替わりに2点や4点またはそれ以上の同時タッチ検出情報に対応して上記実施例で説明したと同様の画像表示切り替えを行えば良い。
【0066】
また、上記実施例は、タッチパネル式ディスプレィを医用画像診断装置に用いた例について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、各種医用画像診断装置で得られた医用画像を統括して管理し、前記医用画像を表示して観察、診断する医用画像観察装置の画像表示装置にタッチパネル式ディスプレイを用いて上記画像切り替え表示を行うことによって、該画像表示切り替えの操作性向上を図ることができる。
【0067】
以上のように、本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、分割表示された画像のうちの1つを選択して、この選択された画像の矩形領域を拡大し、手書きルックアップテーブルにより前記拡大した画像に表示階調処理を施して見易い輝度にするなどのように、分割表示、矩形領域の拡大、次画像・前画像及び輝度変更の各処理を任意に組み合わせて、診断に最適な画像を表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の医用画像表示装置の全体構成図。
【図2】本発明の医用画像表示装置の画像表示操作を実行するメインフローチャート図。
【図3】タッチパネル式ディスプレィのタッチパネルに4本の指を使って4点の同時タッチの例を示す図。
【図4】複数点同時タッチ検出のフローチャートの一例を示す図。
【図5】複数点同時タッチ検出のフローチャートの他の例を示す図。
【図6】分割表示切り替えのフローチャート図。
【図7】1点タッチにより4分割画像の中から1つの画像を選択して表示領域の全面に表示する例を示す図。
【図8】2点同時タッチにより2つの画像を縦方向に2分割して表示する例を示す図。
【図9】2点同時タッチにより2つの画像を横方向に2分割して表示する例を示す図。
【図10】4点同時タッチにより4分割画像を表示する例を示す図。
【図11】拡大・縮小表示のフローチャート図。
【図12】部分表示拡大・縮小処理のフローチャート図。
【図13】全体表示拡大・縮小処理のフローチャート図。
【図14】2点同時タッチによる矩形領域の拡大表示例。
【図15】2点同時タッチによる拡大表示方法を示す図。
【図16】矩形領域の拡大処理のフローチャート図。
【図17】2点同時タッチとスライドタッチとを判別するフローチャート。
【図18】スライドタッチにおける画像をまたぐドラッグと画像内での横断ドラッグとを判別するフローチャート。
【図19】次画像、前画像の表示切り替え表示フローチャート。
【図20】左右スライドによる次画像・前画像の切り替え表示の例。
【図21】上下スライドによる次画像・前画像の切り替え表示の例。
【図22】画像内での横断ドラッグによる表示画像の輝度変更処理の概要と概念を示す図。
【図23】手書きルックアップテーブル作成フローチャート。
【符号の説明】
【0069】
1 医用画像表示装置、2 医用画像診断装置、3 磁気ディスク、4 画像処理部、5 タッチパネル式ディスプレィ、6 マウス、7 キーボード(K/B)、8 共通バス、9 中央処理装置(CPU)、10 画像メモリ、11 画像プロセッサ、12 表示メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段からのタッチ入力信号の種別を判別する入力信号判別手段と、この入力信号判別手段で判別された前記入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を選択する表示形態選択手段と、この表示形態選択手段で選択された表示形態に対応して前記医用画像を処理し、この処理された画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段とを備えて成る医用画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記入力信号判別手段は、前記画像表示手段に表示された画像に直接タッチすることによって入力される信号を検出する入力信号検出手段と、この検出手段で検出した信号の種別を判別する入力信号種別判別手段とから成ることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記入力信号検出手段は、所定時間を有して断続する1点または複数点のタッチを検出する断続タッチ検出手段と、所定の画像表示領域を連続してスライドする連続タッチ検出手段とを備えて成る医用画像表示装置。
【請求項4】
請求項2において、前記入力信号種別判別手段は、前記入力信号検出手段で検出した前記断続タッチと前記連続タッチのそれぞれのタッチ種別を判別して成る医用画像表示装置。
【請求項5】
請求項1または2において、前記表示形態選択手段で選択する医用画像の表示形態は、前記画像表示手段の表示画面に表示された一つまたは複数の画像を切り替えて表示する画像切り替え表示形態と、画像の一部の矩形領域を拡大する矩形領域拡大表示形態と、表示画像の次の画像または前の画像を切り替える次画像・前画像切り替え表示形態と、表示画像の輝度を変更する輝度変更表示形態とを少なくとも含むことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項1】
医用画像をタッチパネルによる入力手段を備えた画像表示手段に表示する医用画像表示装置であって、前記入力手段からのタッチ入力信号の種別を判別する入力信号判別手段と、この入力信号判別手段で判別された前記入力信号の種別に対応して前記画像表示手段に表示する医用画像の表示形態を選択する表示形態選択手段と、この表示形態選択手段で選択された表示形態に対応して前記医用画像を処理し、この処理された画像を前記画像表示手段に表示する表示制御手段とを備えて成る医用画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記入力信号判別手段は、前記画像表示手段に表示された画像に直接タッチすることによって入力される信号を検出する入力信号検出手段と、この検出手段で検出した信号の種別を判別する入力信号種別判別手段とから成ることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項3】
請求項2において、前記入力信号検出手段は、所定時間を有して断続する1点または複数点のタッチを検出する断続タッチ検出手段と、所定の画像表示領域を連続してスライドする連続タッチ検出手段とを備えて成る医用画像表示装置。
【請求項4】
請求項2において、前記入力信号種別判別手段は、前記入力信号検出手段で検出した前記断続タッチと前記連続タッチのそれぞれのタッチ種別を判別して成る医用画像表示装置。
【請求項5】
請求項1または2において、前記表示形態選択手段で選択する医用画像の表示形態は、前記画像表示手段の表示画面に表示された一つまたは複数の画像を切り替えて表示する画像切り替え表示形態と、画像の一部の矩形領域を拡大する矩形領域拡大表示形態と、表示画像の次の画像または前の画像を切り替える次画像・前画像切り替え表示形態と、表示画像の輝度を変更する輝度変更表示形態とを少なくとも含むことを特徴とする医用画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−29341(P2007−29341A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215653(P2005−215653)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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