説明

医療用品表面の生体適合性コーティング、方法、および使用

本発明は、少なくとも部分的にポリマー層によって覆われる表面を有する医療用製品に関する。このポリマー層は、好ましくは、自己重合によって形成される。少なくとも1つの多重結合を含む物質、特に、好ましくは7から50個の間の炭素原子からなるアルキル鎖を含む不飽和脂肪酸が重合される。重合に関与しない他の物質が、重合反応に関与する物質に添加され得る。この物質は、好ましくは飽和脂肪酸および脂肪酸誘導体である。本発明はまた、このような医療用製品の製造のための方法、およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、閉塞した血管のバルーン拡張を用いたステントの植え込みが、ますます確立されている。ステントは、血管閉塞の再発の危険性を減少させるが、ステントは、現在まではこのような再狭窄を完全に防止することができない。
【背景技術】
【0002】
再狭窄の正確な概念の説明は、技術文献では見つけることができない。最も一般的に用いられる再狭窄の形態学的な定義は、PTCA(経皮経管冠動脈形成術)成功後、血管の直径が通常の50%未満に減少することを再狭窄とする定義である。したがって、これは、経験的に決められた値であり、その値の血行力学の関連およびその臨床病理学との関係は、しっかりした科学的根拠に欠ける。実際の経験では、患者の臨床的な増悪が、以前に治療した血管部分の再狭窄の徴候としてしばしば見られる。
【0003】
ステントによって引き起こされる再狭窄についての3つの異なる理由がある:
(a)植え込み後の最初の期間中に、ステント表面が血液と接触し、そして現存する異物の表面によって、急性の血栓症が生じ得、これが血管を再び閉塞する。
(b)ステントの植え込みが血管損傷を発生させ、血管損傷はまた、上記の血栓症に加えて、最初の7日間に回復プロセスに対して重要な役割を果たす炎症反応を引き起こす。ここで同時に生じるプロセスが、増殖因子の放出に特に関係し、それにより平滑筋細胞の増殖の増大が始まり、制御されない増殖のため、血管閉塞の再発が急速に生じる。
(c)2、3週後、ステントは、血管の組織中に増殖し始める。これは、ステントが平滑筋細胞によって完全に包み込まれ、そしてもはや血液に接触しないことを意味する。この瘢痕形成は、非常に独特であり得(新生内膜肥厚)、そしてステントの表面の被覆だけでなく、ステントのすべての内部空間の閉塞に至り得る。
【0004】
ステントをヘパリンでコーティングすることによって再狭窄の問題を解決する試みは無駄に終わった(J.Whorleら、European Heart Journal 2001, 22, 1808-1816)。ヘパリンは最初に述べた原因のみで抗凝固剤であると位置づけられ、さらに溶液中においてのみ、その総合的な効果を表し得る。一方、この第1の問題は、抗凝固剤の投与によって薬物的にほとんど完全に回避され得る。現在、第2および第3の問題が、ステント上の平滑筋細胞の増殖を局所的に阻害することによって解決しようとされている。これは、例えば、放射性のステントまたは生体適合性の物質で覆われたステント表面によって、ならびに薬学的に活性な薬剤を放出するステントによって行われる。
【0005】
例えば、US-A-5 891 108は、中空が形成されたステントを開示しており、その内部に薬学的に活性な薬剤を含み、この薬剤はステントの多くの出口を通じて放出され得る。一方、EP-A-1 127 582は、表面に深さ0.1〜1mmおよび長さ7〜15mmの溝を示すステントを記載し、この溝は、活性な薬剤の収容に適している。これらの活性な薬剤の貯蔵部は、含まれている薬学的に活性な薬剤を、時間通りに高濃度でそして比較的長期間にわたり、同様に中空ステントの出口に放出する。しかし、それは、平滑筋細胞が、もはやステントを取り囲み得ないか、あるいは非常に遅れてのみステントを取り囲み得るという事実につながる。ステントが、より長く血液に曝される結果として、血栓症による血管閉塞が多くなるということにもつながる(Liistro F., Colombo A., Late acute thrombosis after Paclitaxel eluting stent implantation. Heart 2001, 86, 262-4)。
【0006】
この問題への1つのアプローチは、生体適合性表面のホスホリルコリンコーティングによって代表され(WO0101957)、ここで赤血球細胞膜の成分であるホスホリルコリンは、ステントにコーティングされた非生分解性ポリマー層の成分として、非血栓形成性の表面を作り出す。それによって、活性な薬剤は、分子量に依存して、ホスホリルコリン層を含むポリマーによって吸収されるかまたは表面に吸着する。
【0007】
ホスホリルコリンは、膜を構成しているホスホグリセリドの群とみなされ、これはグリセリン分子からなり、その第1および第2の水酸基が、特に、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、およびオレイン酸(C18:1)のような長鎖飽和および不飽和脂肪酸でエステル化され、一方、第3の水酸基は、リン酸と結合する。リン酸は、2級アルコール(例えば、コリン)とともにエステルを形成し、これは極性頭部といわれる。
【0008】
脂肪酸は、水不溶性、油性または脂肪性の物質であり、水、酵素および炭水化物のほかに重要な生体分子であり、化学的エネルギーの獲得のために燃えやすく、そして貯蔵され得るトリアシルグリセリンの形態で供するか、またはすでに述べたホスホグリセリドおよびスフィンゴ脂質のような膜構成化合物の形態で細胞の形成および持続を確保する。
【0009】
例えば、EP 0 790 823は、これらの脂質を、活性な薬剤を閉じ込めるリポソームの調製のために用い、ポリマー薬物送達材料において、これがコーティングされた医療用品表面への活性な薬剤の保持を提供する。
【0010】
トリアシルグリセリンおよびリン脂質の生成は、非常に活性な代謝であり、どの細胞においても起こる。合成される脂肪酸のパルミチン酸(C16)およびステアリン酸(C18)は両方ともまた、パルミトレイン酸(C16:1)およびオレイン酸(C18:1)のような動物組織での幅広いモノ不飽和脂肪酸のための前駆体である。
【0011】
さらに重要なすべての不飽和脂肪酸は、必須脂肪酸として食物を介して取り込まれなければならない。その他の中で、ω−6脂肪酸であるリノール酸はここで説明するように、最終的には生物によって、アラキドン酸(C20)に変換される。アラキドン酸は、トロンボキサンおよびプロスタグランジンの合成のための前駆体として本質的に重要であり、そして種々雑多の重要な細胞の機能を順に調節する。
【0012】
EP 0 404 683 B1は、医療用品表面での脂肪酸の利用を記載し、その表面は、血液と接触する。脂肪酸、および特にリノール酸は、血液適合性の改善のために用いられた親水性ポリマーと共有結合される。上述の使用例としては、人工臓器、透析装置、血液フィルター、およびカテーテルがある。しかし、このコーティングシステムの製造努力は高く、そして要求される結合物質が無害ではなく、そのため、本発明者らの知見によると、このようなコーティングは、まだ市場に出ていない。さらに、脂肪酸は、スペーサーを介してポリマーに結合されており、一方、脂肪酸はアミド結合を介してスペーサーに結合される。
【0013】
WO-03039612はまた、心臓血管系における不飽和脂肪酸の公知の抗血栓および抗増殖効果を述べ、そして購入可能な油(例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、パーム油、および魚油、特にタラ肝油)でのステントのコーティングを初めて記載する。用いられる液状油は、抗血栓コーティングとして利用され、一方、活性な薬剤が追加されたエマルジョンも適用される。しかし、液状油をステントに均一に分散することは確かに非常に難しく、そしてステントが相当の範囲で非コーティングのままであるということに関係がある。さらに、ステントは、その目的点の途中でさらなるコーティング物質を失い、それによって、非コーティング面積がより大きくなり、そして現実にターゲットに利用可能である活性な薬剤の含量は、最終的に決定することが非常に難しい。
【0014】
さらに、コーティングの保存期間およびそれとともに添加された活性な薬剤の利用可能期間は、マトリックスがしばらくの後それ自体を溶解するので、コーティング自身を介して強く制限される。それにより、用いられる非コーティングステントの再狭窄の割合が、再び、決定的な役割を果たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、医療用製品の血液適合性表面を提供することである。好ましくは、このような表面は、さらに、1またはそれ以上の抗増殖剤、抗炎症剤、抗血管新生剤および/または抗血栓剤を、制御された方法で放出し得る。本発明の目的は、特にステントを提供することであり、このステントは、マトリックスとして生体適合性表面を提供することによって、血管壁中へのステントの連続的に制御された内部成長を保証し、そして存在する異物の表面上でもはや分解による反応を引き起こさず、そうでなければ、長期間、血管の再梗塞を導き得る。
【0016】
この目的は、本発明の独立請求項の技術的な教示により解決される。さらに、本発明の好都合な実施態様は、従属請求項、明細書、および実施例から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くことに、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つの直鎖または分岐したおよび1置換または非置換のアルキル部分を含む物質が、医療用製品の表面に塗布後、空気で樹脂に重合し得、例えば、薬学的に活性な薬剤がさらに含まれ得、それによって、医療用品表面の生体適合性コーティングが、重合によって達成されることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
これらの物質は、積極的に重合反応に関与し、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つの直鎖または分岐および1置換または非置換のアルキル部分を有し、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸部分を有する物質である。
【0019】
少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分(すなわち、好ましくは1つの不飽和脂肪酸部分)を含む物質は、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸誘導体、エーテル、ジエーテル、テトラエーテル、脂質、油、脂肪、グリセリド、トリグリセリド、グリコールエステル、グリセリンエステル、および上記の物質の混合物である。
【0020】
不飽和アルキル部分は、7と50との間、好ましくは10と35との間、さらに好ましくは14と26との間、および特に好ましくは17と23との間の炭素原子を有する。
【0021】
それによって、アルキル部分は、分岐または非分岐であり得、そしてさらなる置換基、例えば、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、チオール基、エーテル基、チオエーテル基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、および他の薬理学的に適切な官能基を有し得る。
【0022】
さらに、アルキル部分は、少なくとも1つの多重結合(すなわち、二重結合または三重結合)に特徴があるが、1つの二重結合を有する物質が好ましい。しかし、アルキル部分はまた、ポリ不飽和であり得、共役または孤立した二重および/または三重結合を含み得るか、あるいは二重または三重結合の混合に特徴があり得、一方、不飽和結合は、アルキル部分の分岐鎖または側鎖にも含まれ得る。
【0023】
本発明によれば、重合反応に関与しているこれらの物質は、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分または脂肪酸部分を含み、熱、光、および/または空気中の酸素への曝露によって、この少なくとも1つの多重結合を通じて互いに重合される。この重合では、触媒は、生物学的および薬理学的にそれぞれ適した濃度で用いられ得る。少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質が自己重合し得る場合が、特に好都合である。
【0024】
重合中に生成するこのマトリックス中に、別の種々雑多な物質が導入され得、それは、積極的に重合に関与しないが、生成したポリマーマトリックス中に閉じ込められる。これを、以下で説明する。
【0025】
重合に関与する好ましい物質は、以下の一般式で表され得る。
【0026】
【化1】

【0027】
ここで、R、R’、R”、R、およびR**は、それぞれ独立して、1〜20の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル部分、3〜20の炭素原子を有するアリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール部分を表すか、または官能基を表し、そして好ましくは以下の部分を意味する:−H、−OH、−OCH、−OC、−OC、−O−シクロ−C、−OCH(CH、−OC(CH、−OC、−OPh、−OCH−Ph、−OCPh、−SH、−SCH、−SC、−NO、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−OCN、−NCO、−SCN、−NCS、−CHO、−COCH、−COC、−COC、−CO−シクロ−C、−COCH(CH、−COC(CH、−COOH、−COOCH、−COOC、−COOC、−COO−シクロ−C、−COOCH(CH、−COOC(CH、−OOC−CH、−OOC−C、−OOC−C、−OOC−シクロ−C、−OOC−CH(CH、−OOC−C(CH、−CONH、−CONHCH、−CONHC、−CONHC、−CON(CH、−CON(C、−CON(C、−NH、−NHCH、−NHC、−NHC、−NH−シクロ−C、−NHCH(CH、−NHC(CH、−N(CH、−N(C、−N(C、−N(シクロ−C、−N[CH(CH、−N[C(CH、−SOCH、−SOC、−SOC、−SOCH、−SO、−SO、−SOH、−SOCH、−SO、−SO、−OCF、−OC、−O−COOCH、−O−COOC、−O−COOC、−O−COO−シクロ−C、−O−COOCH(CH、−O−COOC(CH、−NH−CO−NH、−NH−CO−NHCH、−NH−CO−NHC、−NH−CO−N(CH、−NH−CO−N(C、−O−CO−NH、−O−CO−NHCH、−O−CO−NHC、−O−CO−NHC、−O−CO−N(CH、−O−CO−N(C、−O−CO−OCH、−O−CO−OC、−O−CO−OC、−O−CO−O−シクロ−C、−O−CO−OCH(CH、−O−CO−OC(CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CH−CHF、−CH−CHF、−CH−CF、−CH−CHCl、−CH−CHBr、−CH−CHI、−CH、−C、−C、−シクロ−C、−CH(CH、−C(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−Ph、−CH−Ph、−CPh、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH=C(CH、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH−C≡CH。
【0028】
Xは、エステル基またはアミド基を表し、そして特に−O−アルキル、−O−CO−アルキル、−O−CO−O−アルキル、−O−CO−NH−アルキル、−O−CO−N−ジアルキル、−CO−NH−アルキル、−CO−N−ジアルキル、−CO−O−アルキル、−CO−OH、−OHを意味し;m、n、p、q、r、s、およびtは、それぞれ独立して、0〜20、好ましくは0〜10の整数を意味する。
【0029】
例えば−CO−O−アルキルの場合における用語「アルキル」は、好ましくは上記のR、R’などについて述べられたアルキル部分の1つを意味する(例えば、−CH−Ph)。上記一般式の化合物はまた、それらの塩の形態で、ラセミ体またはジアステレオマー混合物として、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーとして、および混合物またはオリゴマー、またはコポリマーまたはブロックコポリマーとしても存在し得る。さらに、上記化合物は、重合に関与しない物質との混合物で用いられ得、特に、本明細書で述べられる油および/または脂肪酸との混合物で用いられ得る。好ましくは、このような混合物であり、個々の物質は、重合、特に自己重合に適している。
【0030】
重合に関与する物質は、特に、油、脂肪、脂肪酸、および脂肪酸エステルを含み、これらは、以下でより詳細に説明する。
【0031】
脂質の場合は、好ましくは、トリグリセリドの形態および/またはグリセリンと結合していない遊離の形態で、モノまたはポリ不飽和脂肪酸および/またはこれらの不飽和脂肪酸の混合物に関する。
【0032】
好ましくは、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、エイコサペンタエン酸、チムノドン酸(timnodonic acid)、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、および上記の脂肪酸の混合物を含む群から選択される。これらの混合物は、特に純粋な不飽和化合物の混合物を含む。
【0033】
油としては、好ましくは、アマニ油、麻実油、コーン油、クルミ油、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、ケシ油、ベニバナ油、小麦胚芽油、ベニバナ油、ブドウ種子油、マツヨイグサ油、ルリヂサ油、クロクミン油、藻類油、魚油、タラ肝油、および/または上記の油の混合物が用いられる。特に、純粋な不飽和化合物の混合物が適している。
【0034】
魚油およびタラ肝油は、少量のα−リノレン酸(ALA C18:3)の他に、エイコサペンタエン酸(EPA C20:5)およびドコサヘキサエン酸(DHA C22:6)を主に含む。3つのすべての脂肪酸の場合、ω−3脂肪酸が関係しており、これは、生物において多くの細胞構造に重要な生化学的な構成成分として必要とされ(DHAおよびEPA)、例えば、既に述べたように、それらは、細胞膜の形成および持続の基礎となる(スフィンゴ脂質、セラミド、ガングリオシド)。
【0035】
ω−3脂肪酸は、魚油だけではなく植物油にも見出され得る。さらに、ω−6脂肪酸のような不飽和脂肪酸は、植物起源の油に存在し、本発明では、部分的には動物性脂肪よりも高い割合を構成する。したがって、それに応じた高含量の必須脂肪酸を含む、アマニ油、クルミ油、アマ油、マツヨイグサ油のような種々の植物油が、特に高品質かつ有益な食用油として推奨される。特に、アマニ油は、ω−3およびω−6脂肪酸の貴重な供給源であり、高品質食用油として、数十年公知である。
【0036】
重合反応に関与する物質としては、ω−3およびω−6脂肪酸、ならびに少なくとも1つのω−3および/またはω−6脂肪酸部分を有するすべての物質が好ましい。このような物質はまた、自己重合に良好な能力を示す。
【0037】
硬化能力(すなわち、自己重合の能力)は油の組成に基づき、またタウェリングオイル(toweling oil)ともいわれ、そして高含量の必須脂肪酸に、より正確には、不飽和脂肪酸の二重結合までさかのぼる。空気に曝され、酸素によってラジカルが脂肪酸分子の二重結合部位で発生し、これによってラジカル重合を開始し、拡大して脂肪酸がそれら自身の中で二重結合を失いつつ架橋する。脂肪分子中の二重結合の除去で、融点が高くなり、そして脂肪酸分子の架橋が、さらなる硬化を引き起こす。高分子樹脂が生じ、可撓性のポリマーフィルムとして、医療用品表面を均一に覆う。
【0038】
自己重合(auto-polymerization)はまた、自己重合(self-polymerization)ともいい、例えば、酸素によって、特に空気中の酸素によって開始され得る。この自己重合はまた、光の排除下で行われ得る。別の可能性としては、電磁放射線、特に光による自己重合の開始がある。さらに別の(しかし好ましくない)変形は、化学的分解反応、特に重合すべき物質の分解反応によって開始される自己重合によって示される。
【0039】
多重結合が脂肪酸部分により多く存在するほど、架橋の程度が高くなる。したがって、多重結合の密度がアルキル部分(脂肪酸部分)および1分子中で高いほど、重合反応に積極的に関与する物質の量は少なくなる。
【0040】
医療用製品の表面に付着されるすべての物質の総量に対する重合反応に積極的に関与する物質の含有量は、少なくとも25質量%、好ましくは少なくとも35質量%、より好ましくは少なくとも45質量%、および特に好ましくは少なくとも55質量%である。
【0041】
以下の表1は、種々の油中の脂肪酸構成の一覧を示し、これらは本発明において好ましく用いられる。
【0042】
【表1】

【0043】
本発明のコーティングに用いられる油および油の混合物は、それぞれ、少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらに好ましくは少なくとも70質量%、そして特に好ましくは75質量%以上の量の不飽和脂肪酸を含む。市販されている油、脂肪、またはロウが用いられるべきであり、これらは、40質量%より少ない量の少なくとも1つの多重結合を有する化合物を含む。不飽和化合物が多量に添加され得るので、不飽和化合物の量は、40質量%を超えて増加する。40質量%より少ない量の場合、重合速度が非常に強く減少するので、均一なコーティングは、もはや保証され得ない。
【0044】
重合特性は、特に、脂質に本発明のための優れた物質として多量のポリ不飽和脂肪酸を与える。
【0045】
リノール酸(オクタデカジエン酸)は2つの二重結合を有し、そしてリノレン酸(オクタデカトリエン酸)は3つの二重結合を有する。エイコサペンタエン酸(EPA C20:5)は5つの二重結合を有し、そしてドコサヘキサエン酸(DHA C22:6)は1分子中に、6つの二重結合を有する。二重結合の数とともに、重合の迅速さも増す。不飽和脂肪酸およびそれらの混合物のこれらの特性、ならびに自己重合の傾向は、医療用品表面(特に、ステント)の生体適合性および可撓性コーティングのために用いられる(例えば、魚油、タラ肝油、またはアマニ油)。
【0046】
リノール酸はまた、それぞれシス−9、シス−12−オクタデカジエン酸(化学的命名法)またはΔ9,12−オクタデカジエン酸またはオクタデカジエン酸(18:2)およびオクタデカジエン酸18:2(n−6)(それぞれ、生化学的および生理学的命名法)といわれる。オクタデカジエン酸18:2(n−6)の場合、nは、炭素原子の数を表し、そして数字「6」は、最後の二重結合の位置を示す。したがって、18:2(n−6)は、18個の炭素原子、2つの二重結合を有し、最後の二重結合から外側のメチル基まで6個の炭素原子の距離を有する脂肪酸である。
【0047】
本発明において、以下の不飽和脂肪酸が、重合反応に関与する物質として、それぞれこれらの脂肪酸を含む物質またはこれらの脂肪酸のアルキル部分(すなわち、カルボキシル基(−COOH)以外)を含む物質として好ましく用いられる。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
少なくとも1つの多重結合を有する直鎖または分岐および1置換または非置換のアルキル部分を含む物質の上記の重合の完了後、医療用製品の表面が得られ、その表面は、少なくとも部分的にポリマー層が与えられる。理想的な場合、均一で連続的な厚みのポリマー層が、血液または血液製剤と接触する医療用製品の外表面全体および医療用製品の表面全体にそれぞれ形成される。医療用製品の表面のこのポリマー層は、重合反応に関与する物質からなり、そしてポリマーマトリックス中に、重合反応に積極的に関与しない物質を含む。好ましくは、この封入物は、重合に関与しない物質(特に、活性な薬剤)をポリマーマトリックスから拡散させるように調製させる。
【0052】
重合した物質の生体適合性コーティングは、医療用製品(特に、ステント)に必要な血液適合性を与え、そして同時に活性な薬剤として適切な基材を提供する。添加される活性な薬剤(または活性な薬剤の組み合わせ)は、医療用製品(特に、ステント)の表面全体にわたり均一に分散され、細胞(特に、平滑筋細胞および内皮細胞)による表面の集団が制御された方法で生じるようにする。したがって、ステント表面上の細胞による、再狭窄を導き得る迅速な集団および過剰増殖は起こらない。しかし、ステント表面上の細胞の集団は、高濃度の医薬によって完全に防止されず、血栓症の危険性を含む。
【0053】
したがって、活性な薬剤または活性な薬剤の組み合わせは、下層に共有結合および/または粘着結合し、および/または層中に共有結合および/または粘着されており、連続的に少用量で放出され、そのため、細胞によって、ステント表面の細胞集団は阻害されないが、過剰な集団は防止されることがマトリックスの活性な支持体の下では保証される。この両方の効果の組み合わせは、本発明の医療用製品の表面(特に、ステントの表面)に、血管壁中に迅速に増殖し、そして再狭窄の危険性および血栓症の危険性の両方を減らす能力を与える。1または複数の活性な薬剤の放出は、移植後1〜12ヶ月、好ましくは1〜2ヶ月の期間にわたる。
【0054】
活性な薬剤としては、抗増殖物質、消炎剤および抗血栓剤、抗転移剤、および/または抗血管新生剤が用いられる。活性な薬剤は、重合反応に関与しない物質と同じまたは異なる濃度で、個々にまたは組み合わせて用いられる。これらの活性な薬剤は、医療用製品の表面上に第1の下層の形態で付着され得る。少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む重合に関与するさらなる物質および重合に関与しないその他の物質は、この活性な薬剤の層上に付着され得、次いで重合、好ましくは自己重合され得る。さらに、活性な薬剤と重合反応に関与する物質とが混ざる可能性が存在し、そのため、活性な薬剤が、ポリマーマトリックスに閉じ込められる。このような活性な薬剤の封入によって、これらが、上記の期間にわたりポリマーマトリックスから連続的に放出されることが達成される。活性な薬剤の放出期間は、重合の程度によって制御され得る。重合の程度が高いほど、1または複数の活性な薬剤が放出される期間が長くなる。さらに、重合反応の完了後、医療用製品表面のポリマーマトリックス上に活性な薬剤または活性な薬剤の組み合わせを付着し得るか、またはポリマーマトリックスの増大後、1または複数の活性な薬剤をマトリックス中に組み込み得る可能性もある。もう1つの実施態様は、ポリマーマトリックスおよび/または重合反応に積極的に関与しない物質と1またはそれ以上の活性な薬剤との共有結合を含む。ポリマーマトリックスの下および/または中および/または上の1またはそれ以上の活性な薬剤はまた、それぞれ重合反応前、重合反応中、または重合反応後のいずれかに、付着あるいは組み込み得る可能性もある。
【0055】
抗増殖効果に加えて免疫抑制特性も特徴とする活性な薬剤が、特に好ましく、そして活性な薬剤は、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ピメクロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、デュナイマイシン(dunaimycin)、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、フォリマイシン(folimycin)、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4−ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、smc増殖抑制剤−2w、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、PI−88(硫酸化オリゴ糖)、メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、活性化プロテインC、IL−1βインヒビター、チモシンα−1、フマル酸およびそのエステル、カルシポトリオール、タカルシトール、ラパコール、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETPインヒビター、カドヘリン、サイトカイニンインヒビター、COX−2インヒビター、NFκB、アンギオペプチン(angiopeptin)、シプロフロキサシン、カンプトテシン、フルロブラスチン(fluroblastin)、筋肉細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、コルチシン、テトラ硝酸ペンタエリスリトールおよびシンドノエイミン(syndnoeimine)のようなNO供与体、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン(staurosporine)、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエート、トラニラスト、カメバカウリンおよびガンの治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼインヒビター(チロホスチン)、シクロスポリンA、6−α−ヒドロキシ−パクリタキセルのようなパクリタキセルおよびその誘導体、バッカチン、タキソテール、合成的に生産される並びに天然原料である亜酸化炭素から得られる大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o−カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、クロロキンリン酸塩、ペニシラミン、ツムスタチン、アバスチン、D−24851、SC−58125、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β−シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、アエシン、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA〜E、インダノシン、ノコダゾール、S100プロテイン、バシトラシン、ビトロネクチンレセプターアンタゴニスト、アゼラスチン、グアニジルシクラーゼ刺激剤、金属プロテイナーゼ−1および2の組織インヒビター、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノゲンアクチベータインヒビター−1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター−2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFインヒビター、IGF−1;抗生物質(例えば、セファドキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォタキシム、トブラマイシン、ゲンタマイシン)、ペニシリン(例えば、ジクロキサシリン、オキサシリン)、スルホンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤(例えば、アルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成の抗トロンビン)、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第X因子インヒビター抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ)、血管拡張剤(例えば、ジピラミドール(dipyramidole)、トラピジル、ニトロプルシッド)、PDGF拮抗剤(例えば、トリアゾロピリミジンおよびセラミン)、ACEインヒビター(カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、
ロサルタン)、チオプロテアーゼインヒビター、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシスインヒビター、アポトーシス調節剤(例えば、p65、NF−κBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチド)、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB12、葉酸、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ボスウェリン酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、D24851、SC−58125、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミドロン(amidorone)、天然および合成ステロイド(例えば、ブリオフィリンA(bryophyllin A)、イノトジオール(inotodiol)、マキロサイドA(maquiroside A)、ガラキノサイド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(例えば、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン)、および他の抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジン)、抗真菌剤(例えば、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン)、抗原虫剤(クロロキン、メフロキン、キニーネ)、さらに天然テルペノイド(例えば、ヒポカエスクリン(hippocaesculin)、バリングトジェノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒドロアグロスチスタチン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケリン(agroskerin)、アグロスチスタチン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロスチスタチン(17-hydroxyagrostistachin)、オバトジオリド(ovatodiolids)、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoids)B1、B2、B3、およびB7、ツベイモサイド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、B、およびC、ブルセアンチノサイド(bruceantinoside)C、ヤダンジオサイド(yadanzioside)NおよびP、イソデオキシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、C、およびD、ウルソール酸、ハイプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン、イソイリドジャーマナル(iso-iridogermanal)、マイテンフォリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エクシサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スクルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、レウカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18−デヒドロ−6−α−セネシオイロキシカパリン(13,18-dehydro-6-α-senecioyloxychaparrin)、タクサマイリン(taxamairin)AおよびB、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド(triptolide))、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アノプテリン(anopterin)、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、塩化ケリブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン(cictoxin)、シノコクリン(sinococuline)、ボムブレスタチン(bombrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)A、クルクミン、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、塩化ニチジン(nitidine chloride)、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボール、ギンコール、ギンコール酸、ヘレナリン、インディシン、インディシン−N−オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール(inotodiol)、グリコシド1a、ポドフィロトキシン、ジャスティシジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロサイド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin)A、マイタンシン、ライコリディシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−AII、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコサイド(periplocoside)A、ガラキノサイド(ghalakinoside)、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、プシコルビン(psychorubin)、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸(manwu wheat acid)、メチルソルビフォリン(methylsorbifolin)、スファセリアクロメン(sphatheliachromen)、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、アカゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバレンシン(dihydrousambarensine)、ヒドロキシウサムバリン(hydroxyusambarine)、ストリキノペンタミン(strychnopentamine)、ストリキノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambarensine)、ベルベリン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ビスミオン(vismione)AおよびB、および硫黄含有アミノ酸(例えば、シスチン)の群の活性な薬剤、ならびに上記の活性な薬剤の塩および/または混合物を含む群から選択される。
【0056】
いくつかの抗増殖作用物質または抗増殖剤と免疫抑制剤との組み合わせが、さらに好ましい。本発明において好ましくは、タクロリムス、ピメクロリムス、PI−88、パクリタキセルおよびその誘導体、トラピジル、α−エストラジオールおよびβ−エストラジオール、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、大環状亜酸化炭素(MCS)およびその誘導体、シロリムス、フマル酸およびそのエステル、活性化プロテインC、インターロイキン−1βインヒビターおよびメラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、シスチン、エリプチシン、ボヘミン、インダノシン、コルセミドおよびその誘導体、メチオニン、ならびに上記物質の塩および/または混合物である。
【0057】
活性な薬剤は、好ましくは、医療用製品の表面(特に、ステント表面)あたり0.0001〜10mg/cmの薬学的に活性な濃度で含まれる。さらに、活性な薬剤は、同一のまたはさらなる層に、類似の濃度で含まれ得る。好ましくは、医療用製品の表面上の活性な薬剤の濃度は、医療用製品の表面あたり0.001〜5mg/cm、より好ましくは0.005〜3mg/cm、そして特に好ましくは0.01〜2mg/cmである。
【0058】
本発明のコーティングされた表面を有する医療用製品は、以下の方法によって製造され得る。
【0059】
(a)医療用製品の表面を提供する工程、および
(b)ポリマー層用の物質の塗布工程、および
(c)熱、光および/または空気中の酸素への曝露による、および/または生体に適合する濃度で含まれる触媒による、少なくとも1つの多重結合を含む物質が有する少なくとも1つのアルキル部分の重合工程。
【0060】
これによって、ポリマー層用の物質は最初に混合され、次いで医療用製品の表面に塗布される。ポリマー層用の物質は、重合反応に関与する物質、すなわち重合反応に積極的に関与する物質とみなされ、それは、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含むが、これらの物質は、この少なくとも1つの多重結合の重合によって、互いに共有結合される。さらに、ポリマー層用の物質は、重合反応に積極的に関与しない物質をさらに含み得る。これらの重合に関与しない物質は、例えば、上記の活性な薬剤、炭素原子の数が匹敵するアルキル部分および積極的に重合に関与する物質のアルキル部分を有する置換基を特徴とする化合物を含む。しかし、重合に関与しない物質のアルキル部分は、多重結合がないという特徴を有することで異なる。これらのアルキル部分の場合、好ましくは飽和脂肪酸部分が関係している。さらに、飽和脂肪酸、飽和脂肪酸エステル、飽和脂肪酸誘導体、飽和エーテル、飽和脂質、リポイド、飽和油脂、飽和グリセリド、飽和トリグリセリド、飽和グリコールエステル、飽和グリセリンエステル、ロウ、生物学的に安定なポリマーまたは生分解性ポリマー、または上記の物質の混合物は、重合反応に関与しない物質には該当しない。
【0061】
例えば、ロウとしては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、およびこれらのロウの混合物が適している。
【0062】
好ましくは、飽和脂肪酸はまた、少なくとも12個の炭素原子の鎖長を好ましい特徴とする飽和カルボン酸が用いられる。
【0063】
【表5】

【0064】
さらに好ましくはまた、飽和脂肪酸の混合物および/またはパーム核脂肪およびヤシ脂肪のような天然リポイドである。
【0065】
特に、以下の生物学的に安定なポリマーが適している:ポリアクリル酸およびポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートのようなポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、エラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸エステル、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテート、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテートコポリマー、ポリスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、EPDMゴム、ポリシロキサンのようなシリコーン、ポリビニルハロゲンおよびコポリマー、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサンおよびコポリマー、および/またはこれらの物質の混合物。
【0066】
例えば、生分解性ポリマーとしては、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドとポリグリコリドとのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブタン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸エステル、ポリヒドロキシブチレート−コ−吉草酸エステル、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水マレイン酸のようなポリ無水物、ポリヒドロキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、例えば、オリゴカプロラクトンジオールとオリゴジオキサノンジオールとからのようなマルチブロック重合体、例えば、PEGとポリ(ブチレンテレフタレート)とからのようなポリエーテルエステルマルチブロック重合体、ポリピボトラクトン(polypivotolactone)、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトン−グリコリド、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド、ソフトポリウレタン、骨格中にアミノ酸部分を有するポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステル、およびそれらのコポリマーのようなポリエーテルエステル、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質をベースとするポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、改変されたゼイン、ポリヒドロキシアルカノエート、ペクチン酸、アクチン酸、改変および未改変のフィブリンおよびカゼイン、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、さらにヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、およびPEGとポリプロピレングリコールとのコポリマー、アラビアゴム、グアーゴム、ゼラチン、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、上記の物質の改変体およびコポリマーおよび/または混合物が適している。
【0067】
これらの物質は、重合反応に積極的に関与しない。すなわち、これらは、ポリマーマトリックス中でまたはポリマーマトリックスに共有結合されない。しかし、これらは、共有結合の切断を伴わずにマトリックスから溶け出され得る方法で、ポリマーマトリックス中に結合される。特に、これは、上記の活性な薬剤に対して適用し、それは、ポリマーマトリックス中に付着されそして制御された方法で拡散する。
【0068】
重合反応に関与するおよび関与しない物質の混合物のようなポリマー層用の物質の付着後、ポリマーマトリックスは、熱、光および/または空気中の酸素への曝露によって、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質のこの多重結合による重合によって生じる。この重合では、触媒が、生体適合性の、すなわち薬理学的に適切な濃度で用いられ得る。例えば、触媒としては、過酸化物またはジアゾ化合物のようなラジカルに解離する有機ラジカルまたは有機化合物が考えられる。さらに、過マンガン酸カリウム、ヨウ素または臭素のような無機触媒もまた用いられ得る。
【0069】
本発明の別の方法では、抗増殖剤、抗炎症剤および/または抗血栓剤、または上記の活性な薬剤の組み合わせの1つの層が、ポリマー層用の物質の付着に最初に塗布される。この層上に、この物質がポリマー層として付着され、これはまた、1またはそれ以上の上記の活性な薬剤を含み得、次いで重合される。
【0070】
好ましくは、このような自己重合する物質が重合反応に用いられる。
【0071】
ポリマー層の形成後、別の活性な薬剤の層が、この層の上にまたは中に付着または組み込まれ得る。付着は、粘着または共有結合により行われ得る。すでに下層またはポリマー層に含まれている活性な薬剤または活性な薬剤の組み合わせを用いる必要はない。ポリマー層への1またはそれ以上の活性な薬剤の次の組み込みは、ポリマー層の増大および活性な薬剤の拡散によって行われ得る。
【0072】
ポリマー層に直接または好ましくはこの外側の活性な薬剤の層上に、さらに生物学的に安定なポリマーおよび/または生分解性ポリマーの第2、第3、または第4の層が付着され得る。この生物学的に安定なポリマーまたは生分解性ポリマーの1つの外側の層が、保護層として働き、下層からの活性な薬剤の制御された放出が可能である。
【0073】
この外側のポリマー層の代わりに、下層用の物質の別の層もまた、工程(b)および(c)に従って付着され得る。
【0074】
ポリマー層用の物質および工程(b)および(c)による任意のさらなるポリマー層は、ディッピング法および/またはスプレー法によって付着される。それによって、活性な薬剤または活性な薬剤の混合物は、ポリマー層用の物質からなる完全には重合されていないスプレー溶液またはディッピング溶液と混合される。
【0075】
上記の活性な薬剤は、層に、層中に、層上におよび/または層の下に、粘着によりおよび/または共有結合で結合され得る。
【0076】
したがって、本発明はまた、医療用製品、本発明の1つの方法によってコーティングされた医療用製品の表面に関する。これらの医療用製品は、好ましくは血液または血液製剤との直接の接触に適している。特に、関係する医療用製品はステントである。好ましくは、これらのステントは、本発明の血液適合性表面を特徴とするだけではなく、上記抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤の少なくとも1つを、ステント表面あたり0.0001〜10mg/cm、好ましくは0.001〜5mg/cm、より好ましくは0.005〜3mg/cm、特に好ましくは0.01〜2mg/cmの薬学的に活性な濃度で含む。
【0077】
ステントを直接覆う血液適合性の層は、好ましくはポリ不飽和脂肪酸のポリマー網目構造でなる。これらのステントは、従来の通常の非コーティングステントを提供する工程および生体適合性の層を、好ましくは粘着により付着させる工程によって製造され、その層は空気、必要であれば、触媒をヒトに無毒な濃度でステントに添加することによって、ステント全体を均一に覆う可撓性の薄膜に重合する。活性な薬剤または活性な薬剤の組み合わせが添加されると、これは、脂肪酸溶液に混合することにより、または増大プロセスによりすでに重合されたマトリックス中に分散することにより、または個々の作業工程において、脂肪酸でのコーティングに最初に付着することによって行われ得る。
【0078】
従来のステントは、本発明の方法によってコーティングされ得、ステンレススチール、ニチノールまたはその他の金属および合金、または合成ポリマーでなる。
【0079】
本発明のステントのもう1つの好ましい実施態様は、少なくとも2つの層でなるコーティングを特徴とする。多層システムも用いられる。このような多層システムの場合、直接ステント上に付着される層を第1の層という。第1の層上に付着される層を第2の層という。
【0080】
二重の層の実施態様によれば、第1の層は、重合した脂肪酸を含む層でなり、実質的に共有結合および/または粘着により結合した層(少なくとも1つの抗増殖剤、消炎剤、および/または抗血栓剤を含む)によって完全に覆われる。同様にまた、活性な薬剤の組み合わせも用いられ、それらは互いに支持し、そして互いに効果を補足する。重合し得る油としては、高含量の不飽和脂肪酸を有する植物性および動物性脂肪が用いられる。アマニ油、麻実油、コーン油、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、ベニバナ油、ブドウ種子油、マツヨイグサ油、クロクミン油、藻類油、魚油、タラ肝油、および/または上記の物質の混合物だけでなく、特にこれらの混合物の基となる重合可能な脂肪であるリノレン酸(ALA)、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)が純物質としてまたは任意の混合比で用いられる。活性な薬剤を含む層は、血液の成分によってゆっくりと付着され、そのため活性な薬剤が、層の分解速度に従って放出されるか、または溶出作用によってマトリックスから活性な薬剤自身が溶け出す。この生物学的分解およびそれぞれの活性な薬剤の放出によって、細胞の増殖が一定期間のみ強く減少し、目的とされる制御された増殖が可能となり、そこでは外側の層が、すでに広範囲にわたって分解されている。ポリマー層の生物学的分解は、好都合には1〜36ヶ月、好ましくは1〜6ヶ月に及ぶ。この期間内に、治療の重要な過程が行われる。
【0081】
このようなステントは、以下に基本原理のステントの生体適合性コーティング方法によって製造され得る。
【0082】
(a)非コーティングステントを提供する工程、
(b)非重合性油を用いてディッピング法またはスプレー法で、表面を実質的に完全に覆う工程、または
(b’)非重合性油を用いてディッピング法またはスプレー法で、表面を実質的に完全におよび/または不完全に覆う工程であって、該非重合性油が少なくとも1つの活性な薬剤を含む、工程、
(c)空気でそして室温または高められた温度での付着した層の重合工程。
【0083】
油が表面に付着し、そして重合および硬化完了後にコーティング中に増大することによって活性な薬剤または活性な薬剤の組み合わせを拡散させると、生体適合性ステントのもう1つの実施態様が与えられる。さらに、第2の純粋な活性な薬剤の層が、第1の活性な薬剤を含まないまたは含む脂質の層上に付着され得る。
【0084】
成功した均一なコーティングのために、揮発性の有機溶媒に溶解する油を容易に揮発する有機溶媒に溶解させる。触媒および合成ポリマーは、重合する前に油が表面から滴り落ちることを防止し、この方法で容易に添加され得る。
【0085】
本発明のステントは、急性の血栓症(図4を参照のこと)の問題およびステント植え込み後の新生内膜肥大の問題の両方を解決する。さらに、本発明のステントは、それらのコーティングのため、一層または多層システムのいずれかとして、1またはそれ以上の抗増殖剤、免疫抑制剤、および/または抗血栓剤の連続的な放出に特に非常に適している。必要な量で目的の連続的な活性な薬剤を放出するこの能力により、本発明のコーティングされたステントは、再狭窄の危険性を防止する。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
80℃での100%アマニ油の重合
アマニ油を、スライドガラス上に薄膜として付着させ、次いで、乾燥器中で80℃で保管する。2日後、重合が完了する。表面に十分に付着する均一な淡黄色の乾燥ポリマー層を得る。
【0087】
(実施例2)
室温での100%アマニ油の重合
アマニ油を、スライドガラス上に薄膜として付着させ、大気下およびUV照射(光)への曝露下で保管する。14日後、重合が完了し、油が硬化される。
【0088】
(実施例3)
アマニ油とオリーブ油との混合物(4:1)の重合
80%のアマニ油と20%のオリーブ油との混合物を調製し、スライドガラス上に薄膜として付着させ、乾燥器中で80℃で保管する。油は2日後に固体になるが、未だ粘着性の表面を特徴とする。より高含量のオリーブ油の場合、液体の粘稠度はそのままである。
【0089】
(実施例4)
触媒および合成ポリマー(特に、ポリビニルピロリドン)を添加したアマニ油でのステントの生体適合性コーティング
医療用ステンレススチールLVM316の非拡張性ステントを、アセトンおよびエタノールを用いて超音波浴中で15分間脂肪を除去し、そして乾燥器中で100℃で乾燥させる。続いて、ステントを脱イオン水で一晩洗浄する。約10mgのKMnOを、500μlの水に溶解し、できるだけ多くのPVPを添加する。混合物をポリプロピレン基材上に薄く広げ、室温で一晩乾燥させる。この脆性混合物の2.5mgを、1mlのクロロホルムに溶解し、得られた溶液に、10.5μlのアマニ油を添加後、エアブラシスプレーガン(EVOLUTION、Harder & Steenbeck製)を用いて、6cmの距離から回転させている18mmLVMステンレススチールステント上にスプレーする。その後、コーティングされたステントを、80℃で24時間保管する。
【0090】
(実施例5)
ディッピング法でのコーティングされたステントへの活性な薬剤の添加
実施例4のコーティングされたステントを、1mlのエタノール中に600μgのパクリタキセルを含む溶液に浸漬し、そして膨張させた。膨張工程完了後、ステントを引き出し、乾燥させた。
【0091】
(実施例6)
アマニ油およびパクリタキセルでのステントの生体適合性コーティング
医療用ステンレススチールLVM316の非拡張性ステントを、アセトンおよびエタノールを用いて超音波浴中で15分間脂肪を除去し、そして乾燥器中で100℃で乾燥させる。続いて、ステントを脱イオン水で一晩洗浄した。アマニ油およびパクリタキセル(80:20)を、クロロホルムに1:1の混合比で溶解し、次いで、連続的に回転させているステント上にスプレーする。ソフトな空気流中でのクロロホルムの揮発後、ステントを、80℃で乾燥器中に保管する。
【0092】
(実施例7)
0.25%エタノールアマニ油スプレー溶液でのステントの生体適合性コーティング
医療用ステンレススチールLVM316の非拡張性ステントを、アセトンおよびエタノールを用いて超音波浴中で15分間脂肪を除去し、そして乾燥器中で100℃で乾燥する。続いて、ステントを脱イオン水で一晩洗浄する。アマニ油とエタノールとの0.25質量%のスプレー溶液を調製し、そしてスプレーガンで、軸のまわりを回転させているステントに連続的にスプレーする。コーティングされたステントを、乾燥器中で70℃で一晩乾燥させる。平均コーティング量は、0.15mg±0.02mgである。
【0093】
(実施例8)
アマニ油および合成ポリマーポリビニルピロリドン(PVP)のエタノールスプレー溶液でのステントの生体適合性コーティング
ステントの洗浄後、前の実施例ですでに記載されたように、0.25%のアマニ油および0.1%PVPを含むエタノールスプレー溶液を調製し、そしてスプレーガンで、軸のまわりを回転させているステントに連続的にスプレーする。次いで、それを、70℃で一晩乾燥させる。平均コーティング量は、0.2mg±0.02mgである。
【0094】
(実施例9)
再狭窄を阻害する活性な薬剤を添加した2層システムにおけるアマニ油および合成ポリマーポリビニルピロリドン(PVP)でのステントの生体適合性コーティング
ステントの洗浄後、第1層のクロロホルムに溶解した0.25質量%のパクリタキセルを、ステント上にスプレーする。室温でこの層を乾燥させた後、第2層の0.25%のアマニ油および0.1%PVPを含むクロロホルム溶液をスプレーする。70℃で一晩乾燥させた後、コーティング量を、0.3mg±0.02mgであると決定する。
【0095】
(実施例10)
再狭窄を阻害する活性な薬剤を添加した2層システムにおけるアマニ油および合成ポリマーポリビニルピロリドン(PVP)でのステントの生体適合性コーティング
ステントの洗浄後、第1層のエタノールに溶解した0.25質量%のアマニ油およびエストラジオールならびに0.1%のPVPを、乾燥したステント上にスプレーする。この層を、70℃で一晩乾燥させた後、第2層の0.25%のアマニ油および0.1%PVPを含むクロロホルム溶液をスプレーする。70℃で一晩乾燥させた後、コーティング量を、0.37mg±0.05mgであると決定する。
【0096】
(実施例11)
アマニ油およびα−リノレン酸でのステントの生体適合性コーティング
アセトンおよびエタノールでのステントの洗浄後、上述のように、エタノールに溶解した0.20%アマニ油および0.5%α−リノレン酸の混合物を調製し、連続的にステント上にスプレーする。次いで、それを70℃で一晩乾燥させる。平均コーティング量は、0.2mg±0.02mgである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】アマニ油−PVP(0.1%)でコーティングされたステントの光学顕微鏡画像を示す。コーティングはまた、デザインの変化に対しても連続的であり、例えば、アーチに容易に生じる集塊を示さない。
【図2】アマニ油−PVP(0.1%)でコーティングされたステントの光学顕微鏡画像を示す。コーティングはまた、デザインの変化に対しても連続的であり、例えば、アーチに容易に生じる集塊を示さない。
【図3】アマニ油−PVP(0.1%)マトリックスからのβ−エストラジオールの溶出の測定を示す。
【図4】インビトロでのガラス、内皮細胞ヘパラン硫酸(ESHS)、アマニ油−PVP(0.1%)、およびアマニ油(100%)への血小板の付着の測定を示す。測定を、ヒト全血を用いてバウムガルトナーチャンバーの(サカラシエン(Sakarassien)に従って改変された)動的システムで行った。PVP添加および無添加のアマニ油マトリックスを、周知の強力な血栓を生じさせるガラス表面、および抗血栓剤として分類される内皮細胞ヘパラン硫酸と比較する。図は、PVP添加および無添加のアマニ油マトリックスが、最も低い血小板の付着を生じる表面としてのこの比較でそれ自身を明らかに区別することを示す。さらに、アマニ油は、血液に接触する移植物のコーティングのための血液適合性マトリックスとして、それ自身を区別する。さらに、PVPの添加が省略されると、さらなる改良が生じる。なぜなら、血液適合性として証明されるPVPは、平均で血小板の付着のわずかな増加を示すからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が少なくとも部分的にポリマー層を含む医療用製品であって、
該ポリマー層が、少なくとも25質量%の重合反応に関与する物質からなり、そして該ポリマー層が物質を含み、該重合反応に関与する物質が、少なくとも1つの多重結合を有する直鎖または分岐および置換または非置換のアルキル部分を含み、そして該重合反応に関与する物質が自己重合し得る、医療用製品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの多重結合を含むアルキル部分が、7〜50の炭素原子を有する、請求項1に記載の医療用製品。
【請求項3】
前記少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質が、互いに少なくとも1つの多重結合の重合によって共有結合される、請求項1または2に記載の医療用製品。
【請求項4】
前記少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質が、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸誘導体、エーテル、ジエーテル、テトラエーテル、脂質、油、脂肪、グリセリド、トリグリセリド、グリコールエステル、グリセリンエステル、および上記の物質の混合物を含む群から選択される、請求項1から3のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項5】
前記脂質の場合に、トリグリセリドの形態および/または非グリセリン結合の遊離の形態での、モノまたはポリ不飽和脂肪酸および/またはこれらの不飽和脂肪酸の混合物が関係している、請求項4に記載の医療用製品。
【請求項6】
前記不飽和脂肪酸が、オレイン酸、エイコサペンタエン酸、チムノドン酸(timnodonic acid)、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、および上記の脂肪酸の混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の医療用製品。
【請求項7】
前記油の場合に、アマニ油、麻実油、コーン油、クルミ油、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、ケシ油、ベニバナ油、小麦胚芽油、ブドウ種子油、マツヨイグサ油、ルリヂサ油、クロクミン油、藻類油、魚油、タラ肝油、および/または上記の物質の混合物が関係していることを特徴とする、請求項4に記載の医療用製品。
【請求項8】
前記油および油の混合物が、それぞれ少なくとも40質量%の量の不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする、請求項7に記載の医療用製品。
【請求項9】
前記重合反応に関与しない物質が、飽和脂肪酸、飽和脂肪酸エステル、飽和脂肪酸誘導体、飽和エーテル、飽和脂質、リポイド、飽和油脂、飽和グリセリド、飽和トリグリセリド、飽和グリコールエステル、飽和グリセリンエステル、ロウ、生物学的に安定なポリマーまたは生分解性ポリマー、または上記の物質の混合物を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項10】
前記飽和脂肪酸の場合に、炭素原子数が12の鎖長を超える長鎖脂肪酸およびその混合物、および/またはパーム核脂肪、ヤシ脂肪のような天然リポイドおよびその混合物が関係していることを特徴とする、請求項9に記載の医療用製品。
【請求項11】
前記ロウの場合に、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、および/またはその混合物が関係していることを特徴とする、請求項9に記載の医療用製品。
【請求項12】
前記生物学的に安定なポリマーが、ポリアクリル酸およびポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートのようなポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエチレンアミン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカルボウレタン、ポリビニルケトン、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニリデンハロゲン化物、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族化合物、ポリビニルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、エラストマー、ポリイソブチレン、EPDMゴム、フルオロシリコーン、カルボキシメチルキトサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ吉草酸エステル、カルボキシメチルセルロース、セルロース、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテート、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、エチルビニルアセテートコポリマー、ポリスルホン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、EPDMゴム、ポリシロキサンのようなシリコーン、ポリビニルハロゲンおよびコポリマー、セルロースエーテル、セルローストリアセテート、キトサンおよびコポリマー、および/またはこれらの物質の混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の医療用製品。
【請求項13】
前記生分解性ポリマーが、ポリバレロラクトン、ポリ−ε−デカラクトン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチドとポリグリコリドとのコポリマー、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブタン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸エステル、ポリヒドロキシブチレート−コ−吉草酸エステル、ポリ(1,4−ジオキサン−2,3−ジオン)、ポリ(1,3−ジオキサン−2−オン)、ポリ−パラ−ジオキサノン、ポリ無水マレイン酸のようなポリ無水物、ポリヒドロキシメタクリレート、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリカプロラクトンジメチルアクリレート、ポリ−β−マレイン酸、ポリカプロラクトンブチルアクリレート、オリゴカプロラクトンジオールとオリゴジオキサノンジオールとからのようなマルチブロック重合体、PEGとポリ(ブチレンテレフタレート)とからのようなポリエーテルエステルマルチブロック重合体、ポリピボトラクトン(polypivotolactone)、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリカプロラクトン−グリコリド、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリ(DTH−イミノカーボネート)、ポリ(DTE−コ−DT−カーボネート)、ポリ(ビスフェノール−A−イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸トリメチルカーボネート、ポリトリメチルカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリ(N−ビニル)−ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、グリコール化ポリエステル、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)プロパン]、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリ無水物、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド、ソフトポリウレタン、骨格中にアミノ酸部分を有するポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリアルケンオキサレート、ポリオルトエステル、およびそれらのコポリマーのようなポリエーテルエステル、カラギーナン、フィブリノゲン、デンプン、コラーゲン、タンパク質をベースとするポリマー、ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸、ゼイン、改変されたゼイン、ポリヒドロキシアルカノエート、ペクチン酸、アクチン酸、改変および未改変のフィブリンおよびカゼイン、カルボキシメチル硫酸、アルブミン、さらにヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、β−シクロデキストリン、およびPEGとポリプロピレングリコールとのコポリマー、アラビアゴム、グアーゴム、ゼラチン、コラーゲン、コラーゲン−N−ヒドロキシスクシンイミド、上記の物質の改変体およびコポリマーおよび/または混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の医療用製品。
【請求項14】
前記重合反応に関与しない物質が、シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、ピメクロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、デュナイマイシン(dunaimycin)、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、フォリマイシン(folimycin)、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4−ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロマイド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、smc増殖抑制剤−2w、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c−myc−アンチセンス、b−myc−アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、PI−88(硫酸化オリゴ糖)、メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、活性化プロテインC、IL−1βインヒビター、チモシンα−1、フマル酸およびそのエステル、カルシポトリオール、タカルシトール、ラパコール、β−ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、レノグラスチム(r−HuG−CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETPインヒビター、カドヘリン、サイトカイニンインヒビター、COX−2インヒビター、NFκB、アンギオペプチン(angiopeptin)、シプロフロキサシン、カンプトテシン、フルロブラスチン(fluroblastin)、筋肉細胞の増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、1−ヒドロキシ−11−メトキシカンチン−6−オン、スコポレチン、コルチシン、テトラ硝酸ペンタエリスリトールおよびシンドノエイミン(syndnoeimine)のようなNO供与体、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、エストラジオールシピオナート、エストラジオールベンゾエート、トラニラスト、カメバカウリンおよびガンの治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼインヒビター(チロホスチン)、シクロスポリンA、6−α−ヒドロキシ−パクリタキセルのようなパクリタキセルおよびその誘導体、バッカチン、タキソテール、合成的に生産される並びに天然原料である亜酸化炭素から得られる大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o−カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、クロロキンリン酸塩、ペニシラミン、ツムスタチン、アバスチン、D−24851、SC−58125、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β−シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、アエシン、エリプチシン、D−24851(カルビオケム)、コルセミド、サイトカラシンA〜E、インダノシン、ノコダゾール、S100プロテイン、バシトラシン、ビトロネクチンレセプターアンタゴニスト、アゼラスチン、グアニジルシクラーゼ刺激剤、金属プロテイナーゼ−1および2の組織インヒビター、遊離核酸、ウイルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノゲンアクチベータインヒビター−1、プラスミノゲンアクチベータインヒビター−2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGFインヒビター、IGF−1;抗生物質(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォタキシム、トブラマイシン、ゲンタマイシン)、ペニシリン類(例えば、ジクロキサシリン、オキサシリン)、スルフォンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤(例えば、アルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン薬、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱スルホン化およびN−再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、GpIIb/IIIa血小板膜レセプター、第X因子インヒビター抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワーファリン、ウロキナーゼ)、血管拡張剤(例えば、ジピラミドール(dipyramidole)、トラピジル、ニトロプルシッド)、PDGFアンタゴニスト(例えば、トリアゾロピリミジンおよびセラミン)、ACEインヒビター(例えば、カプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン)、チオプロテアーゼインヒビター、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、β、およびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、
セロトニンブロッカー、アポトーシスインヒビター、アポトーシス調節剤(例えば、p65、NF−κBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチド)、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロール、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB12、葉酸、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、ボスウェリン酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、D24851、SC−58125、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミドロン(amidorone)、天然および合成ステロイド(例えば、ブリオフィリンA(bryophyllin A)、イノトジオール(inotodiol)、マキロサイドA(maquiroside A)、ガラキノサイド(ghalakinoside)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド性物質(NSAIDS)(例えば、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン)、および他の抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、およびジドブジン)、抗真菌剤(例えば、クロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン)、抗原虫剤(例えば、クロロキン、メフロキン、キニーネ)、さらに天然テルペノイド(例えば、ヒポカエスクリン(hippocaesculin)、バリングトジェノール−C21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒドロアグロスチスタチン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケリン(agroskerin)、アグロスチスタチン(agrostistachin)、17−ヒドロキシアグロスチスタチン(17-hydroxyagrostistachin)、オバトジオリド(ovatodiolid)、4,7−オキシシクロアニソメリン酸(4,7-oxycycloanisomelic acid)、バッカリノイド(baccharinoid)B1、B2、B3、およびB7、ツベイモサイド(tubeimoside)、ブルセアノール(bruceanol)A、B、およびC、ブルセアンチノサイド(bruceantinoside)C、ヤダンジオサイド(yadanzioside)NおよびP、イソデオキシエレファントピン(isodeoxyelephantopin)、トメンファントピン(tomenphantopin)AおよびB、コロナリン(coronarin)A、B、C、およびD、ウルソール酸、ハイプタチン酸(hyptatic acid)A、ゼオリン、イソイリドジャーマナル(iso-iridogermanal)、マイテンフォリオール(maytenfoliol)、エフサンチン(effusantin)A、エクシサニン(excisanin)AおよびB、ロンギカウリン(longikaurin)B、スクルポネアチン(sculponeatin)C、カメバウニン(kamebaunin)、レウカメニン(leukamenin)AおよびB、13,18−デヒドロ−6−α−セネシオイロキシカパリン(13,18-dehydro-6-α-senecioyloxychaparrin)、タクサマイリン(taxamairin)AおよびB、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド(triptolide))、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アノプテリン(anopterin)、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、塩化ケリブリン(cheliburin chloride)、シクトキシン(cictoxin)、シノコクリン(sinococuline)、ボムブレスタチン(bombrestatin)AおよびB、クドライソフラボン(cudraisoflavone)A、クルクミン、ジヒドロニチジン(dihydronitidine)、塩化ニチジン(nitidine chloride)、12−β−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ビロボール、ギンコール、ギンコール酸、ヘレナリン、インディシン、インディシン−N−オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール(inotodiol)、グリコシド1a、ポドフィロトキシン、ジャスティシジン(justicidin)AおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン(malloterin)、マロトクロマノール(mallotochromanol)、イソブチリルマロトクロマノール(isobutyrylmallotochromanol)、マキロサイド(maquiroside)A、マルカンチン(marchantin)A、マイタンシン、ライコリディシン(lycoridicin)、マルゲチン(margetine)、パンクラチスタチン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、アリストラクタム−AII、ビスパルテノリジン(bisparthenolidine)、ペリプロコサイド(periplocoside)A、ガラキノサイド(ghalakinoside)、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン(deoxypsorospermin)、プシコルビン(psychorubin)、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸(manwu wheat acid)、メチルソルビフォリン(methylsorbifolin)、スファセリアクロメン(sphatheliachromen)、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、ストレブロサイド(strebloside)、アカゲリン(akagerine)、ジヒドロウサムバレンシン(dihydrousambarensine)、ヒドロキシウサムバリン(hydroxyusambarine)、ストリキノペンタミン(strychnopentamine)、ストリキノフィリン(strychnophylline)、ウサムバリン(usambarine)、ウサムバレンシン(usambarensine)、ベルベリン、リリオデニン(liriodenine)、オキソウシンサニン(oxoushinsunine)、ダフノレチン(daphnoretin)、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール(syringaresinol)、ウンベリフェロン、アフロモソン(afromoson)、アセチルビスミオン(acetylvismione)B、デスアセチルビスミオン(desacetylvismione)A、ビスミオン(vismione)AおよびB、および硫黄含有アミノ酸(例えば、シスチン)の群の活性な薬剤、ならびに上記活性な薬剤の塩および/または混合物を含む群から選択される抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項15】
前記活性な薬剤が、タクロリムス、ピメクロリムス、PI−88、パクリタキセルおよびその誘導体、トラピジル、α−エストラジオールおよびβ−エストラジオール、2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸のナトリウム塩、大環状亜酸化炭素(MCS)およびその誘導体、シロリムス、フマル酸およびそのエステル、活性化プロテインC、インターロイキン−1βインヒビターおよびメラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、シスチン、エリプチシン、ボヘミン、インダノシン、コルセミドおよびその誘導体、メチオニン、ならびに上記活性な薬剤の塩および/または混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の医療用製品。
【請求項16】
請求項14に記載の少なくとも1つの抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤が、前記ポリマー層の下および/または中および/または上に、共有結合および/または粘着により結合される、請求項1から15のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項17】
請求項14に記載の抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤が、前記医療用製品の表面あたり0.001〜10mg/cmの薬学的に活性な濃度で含まれることを特徴とする、請求項14から16のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項18】
前記ポリマー層用の物質が、重合触媒を生体適合性の濃度で含む、請求項1から17のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項19】
医療用製品の生体適合性コーティングのための方法であって、
(a)医療用製品の表面を提供する工程、および
(b)ポリマー層用の物質の付着工程、および
(c)熱、光、および/または空気中の酸素への曝露による、および/または生体適合性の濃度で含まれる触媒による、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質の重合工程、
を包含する、方法。
【請求項20】
医療用製品の生体適合性コーティングのための方法であって、
(a)医療用製品の表面を提供する工程、および
(a’)請求項14に記載の抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤、または活性な薬剤の混合物の層の付着工程、および
(b)ポリマー層用の物質の付着工程、および
(c)熱、光、および/または空気中の酸素への曝露による、および/または生体適合性の濃度で含まれる触媒による、少なくとも1つの多重結合を有する少なくとも1つのアルキル部分を含む物質の重合工程、
を包含する、方法。
【請求項21】
さらに、(d)請求項14に記載の抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤、または活性な薬剤の混合物の層の前記ポリマー層への付着および/または組み込み工程を含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、(e)下層または前記工程(b)および(c)に記載のもう1つのポリマー層上への請求項12または13に記載のポリマーの少なくとも他の1つの重合された層の付着工程を含む、請求項19から21のいずれかの項に記載の方法。
【請求項23】
請求項14に記載の活性な薬剤および前記ポリマー層用の物質が、ディッピング法および/またはスプレー法によって付着されることを特徴とする、請求項19から22のいずれかの項に記載の方法。
【請求項24】
請求項14に記載の抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤が、それぞれの層におよび/またはそれぞれの層へ共有結合および/または粘着により結合されることを特徴とする、請求項19から23のいずれかの項に記載の方法。
【請求項25】
請求項14に記載の抗増殖剤、抗炎症剤、および/または抗血栓剤または活性な薬剤の組み合わせが、医療用製品の表面あたり0.001〜10mg/cmの薬学的に活性な濃度で存在する、請求項19から24のいずれかの項に記載の方法。
【請求項26】
請求項19から25のいずれかの項に記載の方法によって得られ得る、医療用製品。
【請求項27】
前記医療用製品の場合、ステントが関係していることを特徴とする、請求項1から18または26のいずれかの項に記載の医療用製品。
【請求項28】
前記ステントが、再狭窄を防止するまたは減少させるために適切である、請求項27に記載の医療用製品。
【請求項29】
前記ステントが、請求項14に記載の少なくとも1つの抗増殖剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、および/または抗血栓剤を連続的に放出するために適切である、請求項27または28に記載の医療用製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−523705(P2007−523705A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500043(P2007−500043)
【出願日】平成17年2月27日(2005.2.27)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000327
【国際公開番号】WO2005/082434
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(504150209)ヘモテック アーゲー (12)
【氏名又は名称原語表記】Hemoteq AG
【Fターム(参考)】