説明

医療用X線撮像システム

【課題】再構成画像におけるアーティファクトを低減することができるX線撮像システムを提供する。
【解決手段】固体撮像装置1は、被検者の周囲を移動しつつX線像を撮像する装置である。固体撮像装置1は、M×N個(M及びNは2以上の整数)の画素がM行N列に2次元配列されて成り、矩形状の受光面を有する受光部10を有する。受光部10は、その行方向および列方向の双方が、固体撮像装置1の移動方向Bに対し傾斜するように配置される。受光部10における行数Mが列数Nより小さく、受光面の形状が行方向を長手方向とする長方形状であり、該長方形の対角線に沿った方向は固体撮像装置1の移動方向と交差する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用X線撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用のX線撮影において、近年、X線感光フィルムに代えて、X線撮像装置を使用したX線イメージングシステムが広く用いられるようになってきた。こうしたX線イメージングシステムは、X線感光フィルムのように現像の必要がなく、リアルタイムにX線画像を確認することができるなど利便性が高く、データの保存性や取扱いの容易性の面でも優位な点を有する。歯科の診断におけるX線撮影においても、パノラマ、セファロ、CTといった各種の撮像モードにおいてこのようなX線イメージングシステムが使用されつつある。
【0003】
例えば特許文献1には、X線発生部とX線検出部とを備えた歯科診断用のX線撮影装置が開示されている。このX線撮影装置では、X線細隙ビームとX線広域ビームとを選択的に切り替えて発生できるように、細溝状スリット又は矩形状スリットを介してX線が照射される。X線細隙ビームはパノラマ撮影やセファロ撮影等に使用され、X線広域ビームはCT撮影等に使用される。そして、この特許文献1には、細溝状スリットを通過したX線細隙ビーム、及び矩形状スリットを通過したX線広域ビームの双方を一つの固体撮像素子によって撮影することが記載されている。
【0004】
また、このような医療用のX線撮像システムに用いられる固体撮像装置としては、CMOS技術を用いたものが知られており、その中でもパッシブピクセルセンサ(PPS: Passive Pixel Sensor)方式のものが知られている。PPS方式の固体撮像装置は、入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードを含むPPS型の画素がM行N列に2次元配列された受光部を備え、各画素において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷を積分回路において容量素子に蓄積し、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力するものである。
【0005】
一般に、各列のM個の画素それぞれの出力端は、その列に対応して設けられている読出用配線を介して、その列に対応して設けられている積分回路の入力端と接続されている。そして、各画素のフォトダイオードで発生した電荷は、第1行から第M行まで順次に行毎に、当該列に対応する読出用配線を通って積分回路に入力され、その積分回路から電荷量に応じた電圧値が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/109808号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療用のX線撮影に用いられる固体撮像装置において、例えば、走査シフトレジスタから受光部の各行毎に配設された行選択用配線や、電荷を各列毎に読み出すための読出用配線に断線が発生するなどして、正常ではない画素が受光部に生じることがある。このような画素が行または列において連続して発生すると、次のような不都合が生じる。すなわち、受光部の列方向または行方向と固体撮像装置の移動方向とが直交する場合には、正常ではない画素の連続方向と、固体撮像装置の移動方向とが互いに平行となる。したがって、固体撮像装置が被検者の周囲を旋回しながら撮影した後に得られる再構成画像において、正常ではない画素に相当する部分がいわゆるアーティファクトとして現れることとなる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、再構成画像におけるアーティファクトを低減することができるX線撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る医療用X線撮像システムは、被検者の周囲を移動しつつX線像を撮像する固体撮像装置を備える医療用X線撮像システムであって、固体撮像装置が、フォトダイオードを各々含むM×N個(M及びNは2以上の整数)の画素がM行N列に2次元配列されて成る矩形状の受光面を有する受光部と、各列毎に配設され、対応する列の画素に含まれるフォトダイオードと読出用スイッチを介して接続されたN本の読出用配線と、読出用配線を経て入力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、その保持した電圧値を順次に出力する信号読出部と、各画素の読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、信号読出部における電圧値の出力動作を制御して、各画素のフォトダイオードで発生した電荷の量に応じた電圧値を信号読出部から出力させる制御部と、入射したX線に応じてシンチレーション光を発生してX線像を光像へと変換し、該光像を受光部へ出力するシンチレータとを有し、固体撮像装置の移動方向に対し受光部の行方向および列方向の双方が傾斜しており、受光部における行数Mが列数Nより小さく、受光面の形状が行方向を長手方向とする長方形状であり、該長方形の対角線に沿った方向が前記固体撮像装置の移動方向と交差することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る医療用X線撮像システムにおいては、受光部の行方向および列方向の双方が固体撮像装置の移動方向に対して傾斜している。この場合、行または列において連続して発生した正常ではない画素の連続方向と、固体撮像装置の移動方向とが互いに傾斜することとなり、平行にはならない。したがって、固体撮像装置が被検者の周囲を旋回しながら撮影することで、正常ではない画素に相当する画像部分を次以降のフレームデータにより補うことができ、再構成画像におけるアーティファクトを低減することが可能となる。
【0011】
また、この医療用X線撮像システムは、受光部における行数Mが列数Nより小さく、受光面の形状が行方向を長手方向とする長方形状であることを特徴とする。この医療用X線撮像システムでは読出用配線が各列毎に配設されているので、受光部をこのように構成することにより、読出用配線の配設方向と受光面の短手方向とが一致することとなる。したがって、各フレームにおいて読出用配線から電荷を読み出す対象となる画素(フォトダイオード)の数を少なくできるので、フレームレートをより速くすることができる。
【0012】
また、医療用X線撮像システムは、制御部が、M×N個の画素のうち所定の撮像領域を構成する画素から選択的に電圧値が読み出されるように信号読出部の出力動作を制御することを特徴としてもよい。
【0013】
また、医療用X線撮像システムは、制御部が、M×N個の画素のうち所定の方向を長手方向とする撮像領域を構成する画素から選択的に電圧値が読み出されるように信号読出部の出力動作を制御し、所定の方向が、受光部の行方向および列方向の双方に対して傾斜し、且つ固体撮像装置の移動方向と交差することを特徴としてもよい。また、信号読出部の出力動作がこのように制御される場合、所定の方向が固体撮像装置の移動方向に対して直交することが好ましく、撮像領域が受光部の対角線上の領域であることが好ましい。
【0014】
また、医療用X線撮像システムは、制御部が、信号読出部の出力動作を制御する際に、受光部のN列それぞれに対応して保持された電圧値のうち、連続するN列(N<N)に対応して保持された電圧値を信号読出部から出力させ、且つ、受光部における該N列の位置を、一又は複数の行に対応する電圧値を読み出す度に一定列数ずつシフトさせることを特徴としてもよい。制御部が、信号読出部の出力動作を例えばこのように制御することにより、上記した所定の方向を長手方向とする撮像領域を構成する画素から電圧値を選択的に読み出すことができる。
【0015】
また、医療用X線撮像システムは、所定の方向における撮像領域の長さが15cm以上であることを特徴としてもよい。これにより、一回の撮影で顎から上下歯列までを撮影することができる。
【0016】
また、医療用X線撮像システムは、固体撮像装置が、受光部の周囲に形成された画素と、該画素を覆うX線遮蔽部とを更に有し、受光部となる領域がX線遮蔽部の矩形状の開口によって規定されており、開口の各辺が移動方向に対して傾斜していることを特徴としてもよい。
【0017】
また、医療用X線撮像システムは、信号読出部が、N本の読出用配線を経て入力された電荷を蓄積して、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力するN個の積分回路を有しており、各読出用配線を経て入力される電荷の量に応じて各積分回路のゲインを変更可能であることを特徴としてもよい。これにより、電荷量に応じた好適なゲインの選択が可能となり、フレームレート(単位時間当たりに出力されるフレームデータの個数)を速くすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るX線撮像システムによれば、再構成画像におけるアーティファクトを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係るX線撮像システム100の構成図である。
【図2】被写体A(被検者の顎部)の上方から見て、固体撮像装置1が被写体Aの周囲を旋回移動する様子を示す図である。
【図3】固体撮像装置1の一部を切り欠いて示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った固体撮像装置1の側断面図である。
【図5】撮像モードに応じた固体撮像装置1の角度位置、および受光部10における撮像領域を示す図である。(a)CT撮影といった撮像モード(第1撮像モード)における、固体撮像装置1の角度位置と受光部10の撮像領域10aとを示す図である。(b)パノラマ撮影やセファロ撮影といった撮像モード(第2撮像モード)における、固体撮像装置1の角度位置と受光部10の撮像領域10bとを示す図である。
【図6】図5(b)に示した撮像領域10bを更に詳しく示す図である。
【図7】(a)シリコンウェハWにおいて受光部10の為に正方形の面付けを行った様子を示す図である。(b)シリコンウェハWにおいて受光部10の為に長方形の面付けを行った様子を示す図である。
【図8】走査シフトレジスタ40から受光部10の各行毎に配設された行選択用配線に断線Qが発生し、信号読出部20から各列毎に配設された読出用配線に断線Qが発生した様子を示す図である。
【図9】(a)受光部10の行方向と固体撮像装置1の移動方向Bとが直交するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合に、受光部10の或る行において欠陥画素Pdが発生し、或る列において欠陥画素Pdが発生した状態を示す図である。(b)受光部10の行方向および列方向の双方が固体撮像装置1の移動方向Bに対して傾斜するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合に、図9(a)と同様の欠陥画素Pd,Pdが発生した状態を示す図である。
【図10】受光部を回転させずに使用する従来の固体撮像装置における電荷読み出し方式を示す図である。(a)信号読出部120を撮像領域110aの長手方向に沿って配置した場合を示している。(b)信号読出部120を撮像領域110bの長手方向に沿って配置した場合を示している。
【図11】(a)受光部130の短手方向に沿って信号読出部140を配置した場合における電荷読み出し方式を示す図である。(b)第1実施形態に係る固体撮像装置1の電荷読み出し方式を示す図である。
【図12】固体撮像装置1の回転中心(図1に示した軸線C)の位置に応じた、受光部10の回転の様子を示す図である。(a)受光部10の中心Eを固体撮像装置1の回転中心とした場合を示している。(b)矩形状の受光部10における四つの角部のうち一つの角部Fを固体撮像装置1の回転中心とし、第1撮像モード及び第2撮像モードを通じて角部Fが他の角部に対して下方に位置するように固体撮像装置1を回転させた場合を示している。
【図13】正方形状の受光部10と、線状の撮像領域10bとを示す平面図である。
【図14】正方形状の受光部10と、面状の撮像領域10bとを示す平面図である。
【図15】図14に示した受光部10による撮像の様子を被写体Aの上方から見た図である。
【図16】第1実施形態に係る固体撮像装置1の内部構成を示す図である。
【図17】第1実施形態に係る固体撮像装置1の画素Pm,n,積分回路Sおよび保持回路Hそれぞれの回路図である。
【図18】第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。
【図19】第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。
【図20】第1実施形態に係る固体撮像装置1の構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態として、医療用X線撮像システム100の構成を示す図である。本実施形態のX線撮像システム100は、主に歯科医療におけるパノラマ撮影、セファロ撮影、CT撮影といった撮像モードを備えており、被検者の顎部のX線像を撮像する。X線撮像システム100は、固体撮像装置とX線発生装置とを備えており、X線発生装置から出力されて被写体A(すなわち被検者の顎部)を透過したX線を固体撮像装置により撮像する。
【0022】
この図に示されるX線撮像システム100は、固体撮像装置1と、X線発生装置106と、固体撮像装置1を回転可能に支持する回転制御部108とを備えている。
【0023】
X線発生装置106は、被写体Aに向けてX線を発生する。X線発生装置106から発生したX線の照射野は、一次スリット板106bによって制御される。X線発生装置106にはX線管が内蔵されており、そのX線管の管電圧、管電流および通電時間などの条件が調整されることによって、被写体AへのX線照射量が制御される。また、X線発生装置106は、一次スリット板106bの開口範囲が制御されることで、或る撮像モードのときに所定の拡がり角でX線を出力し、別の撮像モードではこの所定の拡がり角より狭い拡がり角でX線を出力することができる。
【0024】
固体撮像装置1は、2次元配列された複数の画素を有するCMOS型の固体撮像装置であり、被写体Aを通過したX線像を電気的な画像データDに変換する。固体撮像装置1の前方には、X線入射領域を制限する二次スリット板107が設けられる。回転制御部108は、固体撮像装置1を、固体撮像装置1の受光面11に垂直な軸線C周りに回転可能に支持し、CT撮影やパノラマ撮影、セファロ撮影といった撮像モードに応じた所定の角度位置に固体撮像装置1を回転させる。
【0025】
X線撮像システム100は、旋回アーム104を更に備えている。旋回アーム104は、X線発生装置106と固体撮像装置1とを互いに対向させるように保持して、CT撮影やパノラマ撮影、或いはセファロ撮影の際にこれらを被写体Aの周りに旋回させる。また、リニア断層撮影の際には、固体撮像装置1を被写体Aに対して直線変位させるためのスライド機構113が設けられる。旋回アーム104は、回転テーブルを構成するアームモータ109によって駆動され、その回転角度が角度センサ112によって検出される。また、アームモータ109は、XYテーブル114の可動部に搭載され、回転中心が水平面内で任意に調整される。
【0026】
固体撮像装置1から出力される画像データDは、CPU(中央処理装置)121にいったん取り込まれた後、フレームメモリ122に格納される。フレームメモリ122に格納された画像データから、所定の演算処理によって任意の断層面に沿った断層画像やパノラマ画像が再生される。再生された断層画像やパノラマ画像は、ビデオメモリ124に出力され、DA変換器125によってアナログ信号に変換された後、CRT(陰極線管)などの画像表示部126によって表示され、各種診断に供される。
【0027】
CPU121には、信号処理に必要なワークメモリ123が接続され、さらにパネルスイッチやX線照射スイッチ等を備えた操作パネル119が接続されている。また、CPU121は、アームモータ109を駆動するモータ駆動回路111、一次スリット板106b及び二次スリット板107の開口範囲を制御するスリット制御回路115及び116、並びにX線発生装置106を制御するX線制御回路118にそれぞれ接続され、さらに、固体撮像装置1を駆動するためのクロック信号を出力する。X線制御回路118は、固体撮像装置1により撮像された信号に基づいて、被写体へのX線照射量を帰還制御する。
【0028】
図2は、被写体A(被検者の顎部)の上方から見て、固体撮像装置1が被写体Aの周囲を旋回移動する様子を示す図である。なお、この図では、固体撮像装置1の軌跡を一点鎖線で示している。固体撮像装置1は、旋回アーム104によって、被写体Aを中心とし水平面に沿った周方向(図中の矢印B)に移動しながら、被写体Aを通過したX線像の撮像を行う。この際、固体撮像装置1の受光面11が常に被写体Aと対向するように、固体撮像装置1の向きが設定される。
【0029】
図3及び図4は、本実施形態における固体撮像装置1の構成を示す図である。図3は固体撮像装置1の一部を切り欠いて示す平面図であり、図4は図3のIV−IV線に沿った固体撮像装置1の側断面図である。なお、図3及び図4には、理解を容易にするためXYZ直交座標系を併せて示している。
【0030】
図3に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板3の主面に作り込まれた受光部10、信号読出部20、A/D変換部30および走査シフトレジスタ40を備えている。なお、受光部10、信号読出部20、A/D変換部30および走査シフトレジスタ40は、それぞれ別個の半導体基板上に形成されていても良い。また、図4に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板3の他、平板状の基材2、シンチレータ4およびX線遮蔽部5を備えている。半導体基板3は基材2に貼り付けられ、シンチレータ4は半導体基板3上に配置されている。シンチレータ4は、入射したX線に応じてシンチレーション光を発生してX線像を光像へと変換し、この光像を受光部10へ出力する。シンチレータ4は受光部10を覆うように設置されるか、或いは受光部10上に蒸着により設けられる。X線遮蔽部5は、X線の透過率が極めて低い鉛等の材料からなる。X線遮蔽部5は半導体基板3の周縁部を覆っており、信号読出部20等へのX線の入射を防止する。
【0031】
受光部10は、M×N個の画素PがM行N列に2次元配列されることにより構成されている。なお、図3において、列方向はX軸方向と一致し、行方向はY軸方向と一致する。M,Nそれぞれは2以上の整数であり、M<Nを満たすことが好ましい。すなわち、受光部10における行方向の画素Pの数は、列方向の画素Pの数より多いことが好ましい。その場合、受光部10の受光面は、行方向(Y軸方向)を長手方向とし、列方向(X軸方向)を短手方向とする長方形状を呈する。各画素Pは、例えば100μmピッチで配列されており、PPS方式のものであって共通の構成を有している。
【0032】
なお、半導体基板3において、受光部10の周囲にも画素が形成されているが、このような画素はX線遮蔽部5によって覆われていて、光が入射せず電荷が発生しないので、撮像には寄与しない。本実施形態の受光部10は、撮像の為の有効な画素として、M行N列に2次元配列されたM×N個の画素Pを含むものである。換言すれば、本実施形態の半導体基板3において受光部10となる領域は、X線遮蔽部5の開口5aによって規定される。
【0033】
信号読出部20は、受光部10の各画素Pから出力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、その保持した電圧値を順次に出力する。AD変換部30は、信号読出部20から出力された電圧値を入力し、その入力した電圧値(アナログ値)に対してA/D変換処理して、その入力電圧値に応じたデジタル値を出力する。走査シフトレジスタ40は、各画素Pに蓄積された電荷が行毎に信号読出部20へ順次出力されるように各画素Pを制御する。
【0034】
このような固体撮像装置1を備えるX線撮像システム100は、前述したように、CT撮影、パノラマ撮影、及びセファロ撮影といった撮像モードを備えている。そして、固体撮像装置1は、受光面に垂直な軸線周りに回転可能なように回転制御部108によって支持されており、撮像モードに応じた所定の角度位置に制御される。また、固体撮像装置1は、受光部10における撮像領域(受光部10のうち撮像データに寄与する領域)を撮像モードに応じて変更する機能を有する。
【0035】
ここで、図5は、撮像モードに応じた固体撮像装置1の角度位置、および受光部10における撮像領域を示す図である。図5(a)は、CT撮影といった撮像モード(第1撮像モード)における、固体撮像装置1の角度位置と受光部10の撮像領域10aとを示す図である。また、図5(b)は、パノラマ撮影やセファロ撮影といった撮像モード(第2撮像モード)における、固体撮像装置1の角度位置と受光部10の撮像領域10bとを示す図である。なお、図5(a),(b)において、矢印Bは旋回アーム104(図1参照)による固体撮像装置1の移動方向を示している。
【0036】
図5(a)に示すように、CT撮影といった第1撮像モードの際には、受光部10の行方向(図中の矢印G1)および列方向(図中の矢印G2)のうち一方が移動方向Bに沿うように、更に好ましくは受光部10の長手方向(本実施形態では行方向G1)が移動方向Bと平行になるように、固体撮像装置1の回転角が制御される。また、このときの撮像領域10aは、受光部10におけるM行N列の全ての画素Pによって構成される。すなわち、撮像領域10aの行方向及び列方向の幅は、それぞれ受光部10と同じである。
【0037】
また、図5(b)に示すように、パノラマ撮影やセファロ撮影といった第2撮像モードの際には、固体撮像装置1の移動方向Bに対して受光部10の行方向G1および列方向G2の双方が傾斜するように固体撮像装置1の回転角が制御される。すなわち、この第2撮像モードにおいては、受光部10の行方向G1または列方向G2と、固体撮像装置1の旋回平面Hとの成す角θが0°<θ<90°を満たす値となる。したがって、例えばCT撮像モードからパノラマ撮像モードに移行する際には、固体撮像装置1は角度θだけ回転することとなる。
【0038】
より好ましくは、受光部10における一つの対角線が旋回平面Hに対して垂直となるように、固体撮像装置1の回転角が制御されるとよい。この場合の固体撮像装置1の角度位置は、受光部10の行方向G1の幅と、列方向G2の幅との比によって決定される。例えば、行方向G1の幅と列方向G2の幅とが互いに等しい場合には、固体撮像装置1の旋回平面Hとの成す角θは45°であることが好ましい。また、行方向G1の幅と列方向G2の幅との比が2:1である場合には、固体撮像装置1の旋回平面Hとの成す角θは60°であることが好ましい。
【0039】
また、このときの撮像領域10bは、受光部10において所定の方向を長手方向とする細長い領域として設定されている。この所定の方向とは、受光部10の行方向G1および列方向G2の双方に対して傾斜しており、且つ固体撮像装置1の移動方向Bと交差する方向である。本実施形態では、撮像領域10bの上記所定の方向(長手方向)は固体撮像装置1の移動方向Bと直交しており、且つ受光部10の対角線に沿っている。そして、撮像領域10bは受光部10の対角線上に設定されている。これにより、X線撮像システム100の上下方向、すなわち旋回平面Hと垂直な方向における撮像領域10bの一端は受光部10における最上部(図5(b)に示す頂部J1)と一致し、同方向における撮像領域10bの他端は受光部10における最下部(図5(b)に示す頂部J2)と一致することとなる。第2撮像モードの際には、受光部10が有するM×N個の画素のうち、このような撮像領域10bを構成する画素から選択的に電圧値が読み出されるように、信号読出部20の出力動作が制御される。
【0040】
ここで、図6は、図5(b)に示した撮像領域10bを更に詳しく示す図である。図6に示すように、撮像領域10bは、受光部10の各行において、N列の画素Pのうち連続するN列(2≦N<N、図6ではN=4として図示)の画素Pからなり、且つ、その連続するN列の位置(例えば先頭列番号)が、各行毎に一定列数ずつ(図6では2列ずつ)シフトしている。固体撮像装置1においては、このような撮像領域10bに含まれる画素Pから出力される電荷に応じた電圧値を、信号読出部20が選択的に出力する。
【0041】
なお、撮像領域10bは図6に示された形態に限られるものではなく、例えば連続するN列の位置(先頭列番号)が複数行毎に一定列数ずつシフトしていてもよい。また、図6に示した形態では、列方向の両端に位置する行(第1行および第M行)においても、連続するN列によって撮像領域10bが構成されている。例えば、列方向の両端に位置する行においては撮像領域10bを構成する列数がNより少ない等、撮像領域10bの両端の形状が多少変更されていてもよい。
【0042】
本実施形態に係るX線撮像システム100によって得られる効果について、以下に説明する。歯科用のX線撮像システムの場合、X線撮像装置に要求される撮像領域の形状が、上述した各種の撮像モードによって異なる場合がある。すなわち、CT撮影に使用される撮像領域(以下、第1の撮像領域)には横方向に十分な幅が要求され、上下方向にも或る程度の幅が要求される。また、パノラマ撮影やセファロ撮影に使用される撮像領域(以下、第2の撮像領域)には上下方向に十分な幅が要求される。しかし、これらの要求を満たす複数のX線撮像装置を用意すると、X線撮像システムが大型化したり、或いは撮像モードを変更する際にX線撮像装置の交換が必要となり手間がかかるといった問題が生じる。したがって、第1及び第2の撮像領域に関するこれらの要求を一つのX線撮像装置により解決できることが好ましい。
【0043】
本実施形態に係るX線撮像システム100においては、上記のように固体撮像装置1の回転角が制御されることにより、以下の効果が得られる。上述したように、X線撮像システム100においては、固体撮像装置1の受光部10が矩形状の受光面を有している。そして、第1撮像モードの際には、固体撮像装置1の移動方向Bに受光部10の行方向または列方向が沿うように固体撮像装置1の回転角が制御される。この第1撮像モードを例えばCT撮影モードとした場合、行方向および列方向のうち一方(本実施形態では行方向)に十分な幅を有し、且つ他方(本実施形態では列方向)にも或る程度の幅を有する受光面を備える固体撮像装置1を使用し、行方向および列方向のうち十分な幅を有する方向が固体撮像装置1の移動方向Bに沿うように固体撮像装置1の回転角を制御することで、第1撮像モードにおける撮像領域10aを好適に実現できる。
【0044】
また、第2撮像モードを例えばパノラマ撮影モードやセファロ撮影モードとした場合、上下方向に十分な幅を有する撮像領域が要求される。受光部10の面積を拡げることなくこのような要求を満足するためには、例えば、上述した固体撮像装置1を90°回転させて、受光部10の長手方向(本実施形態では行方向)を上下方向と一致させることも考えられる。しかしながら、当該撮像領域に要求される上下方向の幅が、第1撮像領域10aの要求を満足する受光部10の長手方向の幅をもってしても足りない場合がある。
【0045】
CT撮影を行う第1撮像モードでは、一回の撮影で歯列の幅全体を撮影する必要があるので、撮像領域の寸法として例えば高さ(すなわち移動方向Bと直交する方向の幅)8cm以上、横幅(移動方向Bと平行な方向の幅)12cm以上が要求される。そこで、図7(a)に示すように、略円形のシリコンウェハWにおいて受光部10の為に正方形の面付けを行うことにより、受光部10の寸法を例えば横幅12cm、高さ12cmとすれば第1撮像モードの要求寸法を満足する。しかし、パノラマ撮影を行う第2撮像モードでは、一回の撮影で顎から上下歯列までを撮影する必要があるので、撮像領域の寸法として例えば高さ15cm以上が要求される(なお、横幅は7mm以上あればよい)。したがって、一つの固体撮像装置を用いて双方の撮像モードを実現しようとする場合、特許文献1に記載された構成のように固体撮像装置を回転させずにこれらの撮像領域を割り付けると、高さ15cm以上、横幅12cm以上の受光部が必要となり、より大きなシリコンウェハが必要となる。
【0046】
そこで、X線撮像システム100においては、第2撮像モードの際、固体撮像装置1の移動方向Bに対し受光部10の行方向および列方向の双方が傾斜するように固体撮像装置1の回転角を制御する。受光部10の形状が矩形状なので、このように固体撮像装置1の移動方向Bに対して受光部10を斜めにすることによって、受光部10の上下方向の幅を広く(例えば対角線の長さに)することができる。例えば、受光部10の寸法が12cm×12cmである場合、撮像領域10bの上下方向の幅を最大で17cm(すなわち受光部10の対角線の長さ)まで拡大することができる。このように、撮像領域10bに要求される上下方向の幅と比べて受光部10の長手方向の幅が短くても、撮像領域10bの上下方向の要求幅を満足することが可能となる。したがって、本実施形態のX線撮像システム100によれば、第1撮像モード及び第2撮像モードを一つの固体撮像装置1によって実現できるとともに、固体撮像装置1の受光部10の受光面に要求される面積の増加を抑えることができる。
【0047】
なお、図7(b)に示すように、例えばシリコンウェハWにおける受光部10の寸法を15cm×8cmの長方形とすれば、固体撮像装置1の移動方向Bに対し受光部10の長手方向が直交するように(すなわち、受光部10を傾斜させずに)固体撮像装置1の回転角を制御することで、第2撮像モードにおける撮像領域の要求寸法を満足することができる。しかしながら、このように受光部10の長手方向の寸法が第2撮像モードにおける撮像領域の上下寸法を満足する場合であっても、本実施形態のように受光部10を移動方向Bに対して傾斜させることによって、撮像領域10bの上下方向の幅をより長くすることができる。例えば、受光部10の寸法が15cm×8cmである場合、撮像領域10bの上下方向の幅を最大で17cm(すなわち受光部10の対角線の長さ)まで拡大することができる。
【0048】
また、受光部10の行方向および列方向を移動方向Bに対して傾斜させることにより、以下に述べる効果を更に得ることができる。図8は、走査シフトレジスタ40から受光部10の各行毎に配設された行選択用配線(各画素Pのフォトダイオードで発生した電荷の読み出しを行毎に制御する配線)に断線Qが発生し、信号読出部20から各列毎に配設された読出用配線(各画素Pのフォトダイオードで発生した電荷を信号読出部20へ伝送する配線)に断線Qが発生した様子を示す図である。これらの断線Q,Qが発生した場合、当該列または当該行において信号読出部20または走査シフトレジスタ40から見て断線箇所より遠い画素P(図8において、斜線のハッチングを施された画素)は、電荷の読み出しができない欠陥画素(いわゆるディフェクト)となる。これらの欠陥画素は、断線Q,Qの発生箇所を起点とし、受光部10の当該行または当該列において連続して発生する。
【0049】
図9(a)は、受光部10の行方向と固体撮像装置1の移動方向Bとが直交するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合に、受光部10の或る行において欠陥画素Pdが発生し、或る列において欠陥画素Pdが発生した状態を示す図である。また、図9(b)は、受光部10の行方向および列方向の双方が固体撮像装置1の移動方向Bに対して傾斜するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合に、図9(a)と同様の欠陥画素Pd,Pdが発生した状態を示す図である。なお、図9(a)に示す受光部10における領域10cは、第2撮像モードにおいて受光部10の行方向と移動方向Bとを直交させた場合の好適な撮像領域である。
【0050】
図9(a)に示すように、受光部10の行方向が移動方向Bと直交するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合、欠陥画素Pdの連続方向と固体撮像装置1の移動方向Bとが互いに平行となる。したがって、この欠陥画素Pdが撮像領域10c内にも存在する場合には、固体撮像装置1が被検者の周囲を旋回しながら撮影した後に得られる再構成画像において、この欠陥画素Pdに相当する部分がいわゆるアーティファクトとして現れることとなる。
【0051】
これに対し、図9(b)に示すように、受光部10の行方向および列方向の双方が固体撮像装置1の移動方向Bに対して傾斜するように固体撮像装置1の回転角を制御した場合、欠陥画素Pd,Pdの連続方向と固体撮像装置1の移動方向Bとは互いに傾斜することとなり、決して平行にはならない。したがって、固体撮像装置1が被検者の周囲を旋回しながら撮影することで、欠陥画素Pd,Pdに相当する画像部分を次以降のフレームデータにより補うことができ、再構成画像におけるアーティファクトを避けることが可能となる。
【0052】
また、例えば特許文献1に記載された構成のように固体撮像装置を回転させずに使用すると、図10(a),(b)に示すように、受光部110において第1撮像モードの撮像領域110aの長手方向と第2撮像モードの撮像領域110bの長手方向とが互いに直交することとなる。このような構成では、例えば図10(a)に示すように信号読出部120を撮像領域110aの長手方向に沿って配置すると、撮像領域110aにおける一列あたりの画素数は少なくなるが(図10(a)の矢印E)、撮像領域110bにおける一列あたりの画素数が多くなってしまい(図10(a)の矢印E)、第2撮像モードにおける電荷の読み出しに時間が掛かる。逆に、例えば図10(b)に示すように信号読出部120を撮像領域110bの長手方向に沿って配置すると、撮像領域110bにおける一列あたりの画素数は少なくなるが(図10(b)の矢印E)、撮像領域110aにおける一列あたりの画素数が多くなってしまい(図10(b)の矢印E)、第1撮像モードにおける電荷の読み出しに時間が掛かる。このように、固体撮像装置を回転させずに各撮像領域を割り付けると、第1撮像モード及び第2撮像モードの何れかにおいて電荷の読み出しに時間が掛かり、フレームレート(単位時間当たりに出力されるフレームデータの個数)が遅くなってしまう。
【0053】
また、図11(a)に示すように、受光部130の形状を長方形とし、固体撮像装置を回転して使用した場合であっても、列数Nが行数Mより少ない場合(換言すれば、受光部130の短手方向に沿って信号読出部140を配置した場合)、第1撮像モード及び第2撮像モードの撮像領域において、一列あたりの画素数が多くなってしまう(図11(a)の矢印E)。この場合、第1撮像モードと第2撮像モードの両方において電荷の読み出しに時間が掛かり、フレームレートが遅くなってしまう。
【0054】
したがって、本実施形態に係る固体撮像装置1において、図11(b)に示すように受光部10の受光面の形状が長方形である場合には、この受光部10は行方向を長手方向とし、M<N、すなわち画素Pの列数Nが行数Mより多くなっていることが好ましい。固体撮像装置1では、各画素Pから電荷を読み出すためのN本の読出用配線(後述)が各列毎に配設されるが、このような構成により、第1撮像モード及び第2撮像モードの双方において、読出用配線から電荷を読み出す対象となる画素Pの数を少なくできるので(図11(b)の矢印E)、電荷の読み出し時間を短縮でき、フレームレートをより速くすることができる。
【0055】
また、前述したように、固体撮像装置1は回転制御部108によって支持されており、撮像モードに応じた角度位置に制御される。ここで、図12は、固体撮像装置1の回転中心(図1に示した軸線C)の位置に応じた、受光部10の回転の様子を示す図である。図12(a)は、受光部10の中心Eを固体撮像装置1の回転中心とした場合を示している。また、図12(b)は、矩形状の受光部10における四つの角部のうち一つの角部Fを固体撮像装置1の回転中心とし、第1撮像モード及び第2撮像モードを通じて角部Fが他の角部に対して下方に位置するように(すなわち、被検者に対し角部Fが常に下顎側に位置するように)固体撮像装置1を回転させた場合を示している。なお、図12(a),(b)において、実線で示した図はCT撮影といった第1撮像モードにおける受光部10の角度位置を示しており、破線で示した図はパノラマ撮影やセファロ撮影といった第2撮像モードにおける受光部10の角度位置を示している。
【0056】
本実施形態の固体撮像装置1の回転中心は、例えば図12(a)の中心Eや図12(b)の角部Fなど様々な位置に設定可能であるが、図12(b)の角部Fに固体撮像装置1の回転中心が設定されることが最も好ましい。固体撮像装置1が被検者の顎部の周囲を移動しつつX線像を撮像する際、被検者の下顎部を支持台の上に載せることにより被検者の頭部の位置を固定することが多く、このような場合には被検者の顎部の高さ位置の基準は顎の下端となる。そこで、図12(b)の角部Fに固体撮像装置1の回転中心を設定すれば、第1撮像モード及び第2撮像モードにおける受光部10の下端の高さを、角部Fの高さで互いに一致させることができる。したがって、第1撮像モード及び第2撮像モードの双方において、受光部10の高さと被検者の顎部の高さとを精度良く合わせることができる。
【0057】
また、前述したように、本実施形態の固体撮像装置1によれば、受光部10の寸法が12cm×12cmである場合、固体撮像装置1の旋回平面Hとの成す角θを45°とすることにより、撮像領域10bの上下方向の幅を最大で17cm(すなわち受光部10の対角線の長さ)まで拡大することができる。ここで、図13は、このような寸法を有する受光部10を示す平面図であり、パノラマ撮影やセファロ撮影といった第2撮像モードにおける受光部10の状態と、撮像領域10bとを示している。この第2撮像モードでは、受光部10の対角線上に撮像領域10bを設定することにより、上下方向の幅を17cmとすることができる。また、この場合、撮像領域10bの横幅は7mm程度あればよい。
【0058】
しかし、例えばパノラマ撮影において、撮像領域の上下方向の幅は15cm程度でよい場合がある。また、X線撮像システムの構成次第では14cm程度でも良い場合もある。これらの場合には、図14に示すように、撮像領域10bの上下方向の幅が15cm(または14cm)以上となる範囲で、撮像領域10bの横幅WTを可能な限り広く設定することが好ましい。
【0059】
図14は、このように撮像領域10bの横幅WTをより広く設定した場合の受光部10を示す平面図である。図14に示される撮像領域10bは、以下に説明する複数の画素Pによって構成される。まず、受光部10の第1行〜第M行のうち、第1行を含む一方の端部の数行においては、第1列から数列離れた或る列を中心として、行番が増すほど列数が次第に増加するように撮像領域10bの画素Pが設定される。また、第M行を含む他方の端部の数行においては、第N列(但し、この例ではN=M)から数列離れた或る列を中心として、行番が減るほど列数が次第に増加するように撮像領域10bの画素Pが設定される。そして、受光部10の第1行〜第M行のうち残りの各行において、撮像領域10bは、上述した端部の各行にて撮像領域10bを構成する列数のうち最大の列数Nと同数のN列の画素Pから成り、且つ、そのN列の位置(例えば先頭列番号)が、各行毎に1列ずつシフトしている。
【0060】
固体撮像装置1においては、このような撮像領域10bに含まれる画素Pから出力される電荷に応じた電圧値を、信号読出部20が選択的に出力する。又は、全ての画素Pを含む画像データを固体撮像装置1が出力したのち、図1に示したCPU121において、上記撮像領域10bに含まれる画素Pに対応するデータを抽出してもよい。或いは、全ての画素Pを含む画像データをCPU121がフレームメモリ122に格納したのち、パノラマ画像を構成する際に、上記撮像領域10bに含まれる画素Pに対応するデータを選択的に用いて画像を構成してもよい。
【0061】
図14に示したように、第2撮像モードにおいて必要な撮像領域10bの上下方向の幅を確保しつつ、撮像領域10bの横幅WTを可能な限り広く設定することで、次の利点が得られる。すなわち、第2撮像モードの際には、縦長の撮像領域10bに被写体Aの周りを回転させて撮像を行う。図13に示した線状(一次元状)の撮像領域10bの場合、固体撮像装置1は被写体Aの周りを回転しながら連続的に撮像動作を行う必要がある。そして、この場合には被写体Aに対してX線を連続的に照射することとなる。これに対し、図14に示したように、撮像領域10bの横幅を可能な限り広く設定して撮像領域10bを面状(二次元状)とすることにより、撮像領域10bの横幅WTに対応するステップ毎に固体撮像装置1を停止させ、その間だけX線をごく短い時間(パルス状に)照射して撮像することが可能となる。
【0062】
図15は、このような撮像の様子を被写体Aの上方から見た図である。図15に示すように、被写体Aを撮像する際には、被写体Aを挟むようにX線源150及び固体撮像装置1を配置する。X線源150は、僅かな時間のパルス状X線を放射するパルス波X線源である。そして、撮像領域10bの横幅WTに対応する回転角α毎に固体撮像装置1を停止させ、その間だけX線パルスをX線源150から照射し、固体撮像装置1において撮像する。この動作を繰り返すことによって、パノラマ画像やセファロ画像を取得できる。このような撮像方式によれば、固体撮像装置1が移動する間は被写体Aを撮像しないので高速で移動させることが可能となり、1枚のパノラマ画像(またはセファロ画像)の取得に要する時間を短縮することができる。したがって、被写体Aである被検者が静止していなければならない時間が短縮され、被検者の負担を軽減できる。また、撮像毎に固体撮像装置1を停止させるので、被写体Aの動きに起因する画像のぼけを抑え、より明瞭な画像を取得できる。更に、固体撮像装置1が停止して撮像する僅かな時間だけX線を照射するので、被検者の被曝量をより低減することができる。
【0063】
なお、図15に示した撮像方式において、パルス波X線源であるX線源150に代えて、連続波X線源と、この連続波X線源から出射されるX線を僅かな時間だけ通過させるシャッタとを設けてもよい。このような構成であっても、上述した効果を効果的に得ることができる。
【0064】
続いて、本実施形態に係る固体撮像装置1の詳細な構成について説明する。図16は、固体撮像装置1の内部構成を示す図である。受光部10は、M×N個の画素P1,1〜PM,NがM行N列に2次元配列されて成る。画素Pm,nは第m行第n列に位置する。ここで、mは1以上M以下の各整数であり、nは1以上N以下の各整数である。第m行のN個の画素Pm,1〜Pm,Nそれぞれは、第m行選択用配線LV,mにより走査シフトレジスタ40と接続されている。なお、図16において、走査シフトレジスタ40は制御部6に含まれている。第n列のM個の画素P1,n〜PM,nそれぞれの出力端は、第n列読出用配線LO,nにより、信号読出部20の積分回路Sと接続されている。
【0065】
信号読出部20は、N個の積分回路S〜SおよびN個の保持回路H〜Hを含む。各積分回路Sは共通の構成を有している。また、各保持回路Hは共通の構成を有している。各積分回路Sは、読出用配線LO,nと接続された入力端を有し、この入力端に入力された電荷を蓄積して、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力端から保持回路Hへ出力する。N個の積分回路S〜Sそれぞれは、リセット用配線Lにより制御部6と接続され、また、ゲイン設定用配線Lにより制御部6と接続されている。各保持回路Hは、積分回路Sの出力端と接続された入力端を有し、この入力端に入力される電圧値を保持し、その保持した電圧値を出力端から電圧出力用配線Loutへ出力する。N個の保持回路H〜Hそれぞれは、保持用配線Lにより制御部6と接続されている。また、各保持回路Hは、第n列選択用配線LH,nにより制御部6の読出シフトレジスタ41と接続されている。
【0066】
A/D変換部30は、N個の保持回路H〜Hそれぞれから電圧出力用配線Loutへ出力される電圧値を入力し、その入力した電圧値(アナログ値)に対してA/D変換処理を行い、その入力電圧値に応じたデジタル値を画像データDとして出力する。
【0067】
制御部6の走査シフトレジスタ40は、第m行選択制御信号Vsel(m)を第m行選択用配線LV,mへ出力して、この第m行選択制御信号Vsel(m)を第m行のN個の画素Pm,1〜Pm,Nそれぞれに与える。M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)は順次に有意値とされる。また、制御部6の読出シフトレジスタ41は、第n列選択制御信号Hsel(n)を第n列選択用配線LH,nへ出力して、この第n列選択制御信号Hsel(n)を保持回路Hに与える。N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)も順次に有意値とされる。
【0068】
また、制御部6は、リセット制御信号Resetをリセット用配線Lへ出力して、このリセット制御信号ResetをN個の積分回路S〜Sそれぞれに与える。制御部6は、ゲイン設定信号Gainをゲイン設定用配線Lへ出力して、このゲイン設定信号GainをN個の積分回路S〜Sそれぞれに与える。制御部6は、保持制御信号Holdを保持用配線Lへ出力して、この保持制御信号HoldをN個の保持回路H〜Hそれぞれに与える。さらに、制御部6は、図示してはいないが、A/D変換部30におけるA/D変換処理をも制御する。
【0069】
図17は、固体撮像装置1の画素Pm,n、積分回路Sおよび保持回路Hそれぞれの回路図である。ここでは、M×N個の画素P1,1〜PM,Nを代表して画素Pm,nの回路図を示し、N個の積分回路S〜Sを代表して積分回路Sの回路図を示し、また、N個の保持回路H〜Hを代表して保持回路Hの回路図を示す。すなわち、第m行第n列の画素Pm,nおよび第n列読出用配線LO,nに関連する回路部分を示す。
【0070】
画素Pm,nは、フォトダイオードPDおよび読出用スイッチSWを含む。フォトダイオードPDのアノード端子は接地され、フォトダイオードPDのカソード端子は読出用スイッチSWを介して第n列読出用配線LO,nと接続されている。フォトダイオードPDは、入射光強度に応じた量の電荷を発生し、その発生した電荷を接合容量部に蓄積する。読出用スイッチSWは、制御部6から第m行選択用配線LV,mを通った第m行選択制御信号Vsel(m)が与えられる。第m行選択制御信号Vsel(m)は、受光部10における第m行のN個の画素Pm,1〜Pm,Nそれぞれの読出用スイッチSWの開閉動作を指示するものである。
【0071】
この画素Pm,nでは、第m行選択制御信号Vsel(m)がローレベルであるときに、読出用スイッチSWが開いて、フォトダイオードPDで発生した電荷は、第n列読出用配線LO,nへ出力されることなく、接合容量部に蓄積される。一方、第m行選択制御信号Vsel(m)がハイレベルであるときに、読出用スイッチSWが閉じて、それまでフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、読出用スイッチSWを経て、第n列読出用配線LO,nへ出力される。
【0072】
第n列読出用配線LO,nは、受光部10における第n列のM個の画素P1,n〜PM,nそれぞれの読出用スイッチSWと接続されている。第n列読出用配線LO,nは、M個の画素P1,n〜PM,nのうちの何れかの画素のフォトダイオードPDで発生した電荷を、該画素の読出用スイッチSWを介して読み出して、積分回路Sへ転送する。
【0073】
積分回路Sは、アンプA,積分用容量素子C21,積分用容量素子C22,放電用スイッチSW21およびゲイン設定用スイッチSW22を含む。積分用容量素子C21および放電用スイッチSW21は、互いに並列的に接続されて、アンプAの入力端子と出力端子との間に設けられている。また、積分用容量素子C22およびゲイン設定用スイッチSW22は、互いに直列的に接続されて、ゲイン設定用スイッチSW22がアンプAの入力端子側に接続されるようにアンプAの入力端子と出力端子との間に設けられている。アンプAの入力端子は、第n列読出用配線LO,nと接続されている。
【0074】
放電用スイッチSW21には、制御部6からリセット用配線Lを経たリセット制御信号Resetが与えられる。リセット制御信号Resetは、N個の積分回路S〜Sそれぞれの放電用スイッチSW21の開閉動作を指示するものである。ゲイン設定用スイッチSW22は、制御部6からゲイン設定用配線Lを経たゲイン設定信号Gainが与えられる。ゲイン設定信号Gainは、N個の積分回路S〜Sそれぞれのゲイン設定用スイッチSW22の開閉動作を指示するものである。
【0075】
この積分回路Sでは、積分用容量素子C21,C22およびゲイン設定用スイッチSW22は、容量値が可変である帰還容量部を構成している。すなわち、ゲイン設定信号Gainがローレベルであってゲイン設定用スイッチSW22が開いているときには、帰還容量部の容量値は積分用容量素子C21の容量値と等しい。一方、ゲイン設定信号Gainがハイレベルであってゲイン設定用スイッチSW22が閉じているときには、帰還容量部の容量値は、積分用容量素子C21,C22それぞれの容量値の和と等しい。リセット制御信号Resetがハイレベルであるときに、放電用スイッチSW21が閉じて、帰還容量部が放電され、積分回路Sから出力される電圧値が初期化される。一方、リセット制御信号Resetがローレベルであるときに、放電用スイッチSW21が開いて、入力端に入力された電荷が帰還容量部に蓄積され、その蓄積電荷量に応じた電圧値が積分回路Sから出力される。
【0076】
保持回路Hは、入力用スイッチSW31,出力用スイッチSW32および保持用容量素子Cを含む。保持用容量素子Cの一端は接地されている。保持用容量素子Cの他端は、入力用スイッチSW31を介して積分回路Sの出力端と接続され、出力用スイッチSW32を介して電圧出力用配線Loutと接続されている。入力用スイッチSW31には、制御部6から保持用配線Lを通った保持制御信号Holdが与えられる。保持制御信号Holdは、N個の保持回路H〜Hそれぞれの入力用スイッチSW31の開閉動作を指示するものである。出力用スイッチSW32には、制御部6から第n列選択用配線LH,nを通った第n列選択制御信号Hsel(n)が与えられる。第n列選択制御信号Hsel(n)は、保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示するものである。
【0077】
この保持回路Hでは、保持制御信号Holdがハイレベルからローレベルに転じると、入力用スイッチSW31が閉状態から開状態に転じて、そのときに入力端に入力されている電圧値が保持用容量素子Cに保持される。また、第n列選択制御信号Hsel(n)がハイレベルであるときに、出力用スイッチSW32が閉じて、保持用容量素子Cに保持されている電圧値が電圧出力用配線Loutへ出力される。
【0078】
制御部6は、受光部10における第m行のN個の画素Pm,1〜Pm,Nそれぞれの受光強度に応じた電圧値を出力するに際して、リセット制御信号Resetにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれの放電用スイッチSW21を一旦閉じた後に開くよう指示した後、第m行選択制御信号Vsel(m)により、受光部10における第m行のN個の画素Pm,1〜Pm,Nそれぞれの読出用スイッチSWを所定期間に亘り閉じるよう指示する。制御部6は、その所定期間に、保持制御信号Holdにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれの入力用スイッチSW31を閉状態から開状態に転じるよう指示する。そして、制御部6は、その所定期間の後に、列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)により、N個の保持回路H〜Hそれぞれの出力用スイッチSW32を順次に一定期間だけ閉じるよう指示する。制御部6は、以上のような制御を各行について順次に行う。
【0079】
このように、制御部6は、受光部10におけるM×N個の画素P1,1〜PM,Nそれぞれの読出用スイッチSWの開閉動作を制御するとともに、信号読出部20における電圧値の保持動作および出力動作を制御する。これにより、制御部6は、受光部10におけるM×N個の画素P1,1〜PM,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生した電荷の量に応じた電圧値をフレームデータとして信号読出部20から繰り返し出力させる。
【0080】
前述したように、本実施形態に係る固体撮像装置1は、CT撮影といった第1撮像モードと、パノラマ撮影やセファロ撮影といった第2撮像モードとを有する。そして、図5に示したように、第1撮像モードと第2撮像モードでは、受光部10における撮像領域が互いに異なる(第1撮像モードでは図5(a)の領域10a、第2撮像モードでは図5(b)の領域10b)。そこで、制御部6は、第1撮像モードの際には、受光部10におけるM×N個の画素P1,1〜PM,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生した電荷の量に応じた電圧値を信号読出部20から出力させる。また、制御部6は、第2撮像モードの際には、受光部10におけるM×N個の画素P1,1〜PM,Nのうち、撮像領域10bを構成する特定範囲の画素Pm,nそれぞれのフォトダイオードPDで発生した電荷の量に応じた電圧値を信号読出部20から選択的に出力させる。
【0081】
また、制御部6は、第2撮像モードの際に、信号読出部20から出力される電圧値に基づくフレームデータにおける読出し画素ピッチを第1撮像モードと比べて小さくし、単位時間当たりに出力されるフレームデータの個数であるフレームレートを速くし、信号読出部20における入力電荷量に対する出力電圧値の比であるゲインを大きくする。例えば、CT撮影といった第1撮像モードのとき、画素ピッチは200μmであり、フレームレートは30F/sである。また、パノラマ撮影やセファロ撮影といった第2撮像モードのとき、画素ピッチは100μmであり、フレームレートは300F/sである。
【0082】
このように、第1撮像モードのときと比べて第2撮像モードのときには、画素ピッチが小さく、フレームレートが速い。したがって、第1撮像モードのときには、第2撮像モードのときより画素ピッチを大きくするために、ビニング読出しをする必要がある。また、第1撮像モードのときと比べて第2撮像モードのときには、フレームレートが速いので各フレームデータの各画素が受ける光の量は少ない。
【0083】
そこで、制御部6は、信号読出部20における入力電荷量に対する出力電圧値の比であるゲインを、第1撮像モードと第2撮像モードとで異ならせる。すなわち、図17に示されるように各積分回路Sが構成される場合に、制御部6は、ゲイン設定信号Gainによりゲイン設定用スイッチSW22を開閉制御することにより、各積分回路Sの帰還容量部の容量値を適宜設定して、第1撮像モードと第2撮像モードとでゲインを異ならせる。
【0084】
より具体的には、第1撮像モードのときに、ゲイン設定用スイッチSW22を閉じることにより、帰還容量部の容量値を積分用容量素子C21および積分用容量素子C22の各容量値の和に等しくする。その一方で、第2撮像モードのときに、ゲイン設定用スイッチSW22を開くことにより、帰還容量部の容量値を積分用容量素子C21の容量値に等しくする。このようにすることで、第1撮像モードのときと比べて第2撮像モードのときに、各積分回路Sの帰還容量部の容量値を小さくして、ゲインを大きくする。これにより、或る光量に対する画素データを第1撮像モードと第2撮像モードとで互いに近い値とすることができ、各撮像モードにおいて好適な動作をすることができる。
【0085】
次に、第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作について詳細に説明する。本実施形態に係る固体撮像装置1では、制御部6による制御の下で、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)、N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)、リセット制御信号Resetおよび保持制御信号Holdそれぞれが所定のタイミングでレベル変化することにより、受光部10に入射された光の像を撮像してフレームデータを得ることができる。
【0086】
第1撮像モードのときの固体撮像装置1の動作は以下のとおりである。図18は、第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。ここでは2行2列のビニング読出しをする第1撮像モードのときの動作について説明する。すなわち、フレームデータにおける読出し画素ピッチを画素のピッチの2倍とする。各積分回路Sにおいて、ゲイン設定用スイッチSW22が閉じていて、帰還容量部の容量値が大きい値に設定され、ゲインが小さい値に設定される。
【0087】
この図には、上から順に、(a)N個の積分回路S〜Sそれぞれの放電用スイッチSW21の開閉動作を指示するリセット制御信号Reset、(b)受光部10における第1行および第2行の画素P1,1〜P1,N,P2,1〜P2,Nそれぞれの読出用スイッチSWの開閉動作を指示する第1行選択制御信号Vsel(1)および第2行選択制御信号Vsel(2)、(c)受光部10における第3行および第4行の画素P3,1〜P3,N,P4,1〜P4,Nそれぞれの読出用スイッチSWの開閉動作を指示する第3行選択制御信号Vsel(3)および第4行選択制御信号Vsel(4)、ならびに、(d)N個の保持回路H〜Hそれぞれの入力用スイッチSW31の開閉動作を指示する保持制御信号Holdが示されている。
【0088】
また、この図には、更に続いて順に、(e)保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第1列選択制御信号Hsel(1)、(f)保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第2列選択制御信号Hsel(2)、(g)保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第3列選択制御信号Hsel(3)、(h)保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第n列選択制御信号Hsel(n)、および、(i)保持回路Hの出力用スイッチSW32の開閉動作を指示する第N列選択制御信号Hsel(N)が示されている。
【0089】
第1行および第2行の2N個の画素P1,1〜P1,N,P2,1〜P2,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しは、以下のようにして行われる。時刻t10前には、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)、N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)、リセット制御信号Resetおよび保持制御信号Holdそれぞれは、ローレベルとされている。
【0090】
時刻t10から時刻t11までの期間、制御部6からリセット用配線Lに出力されるリセット制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSW21が閉じて、積分用容量素子C21,C22が放電される。また、時刻t11より後の時刻t12から時刻t15までの期間、制御部6から第1行選択用配線LV,1に出力される第1行選択制御信号Vsel(1)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第1行のN個の画素P1,1〜P1,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。また、この同じ期間(t12〜t15)に、制御部6から第2行選択用配線LV,2に出力される第2行選択制御信号Vsel(2)がハイレベルとなって、これにより、受光部10における第2行のN個の画素P2,1〜P2,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。
【0091】
この期間(t12〜t15)内において、時刻t13から時刻t14までの期間、制御部6から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
【0092】
期間(t12〜t15)内では、第1行および第2行の各画素P1,n,P2,nの読出用スイッチSWが閉じており、各積分回路Sの放電用スイッチSW21が開いている。したがって、それまでに画素P1,nのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、その画素P1,nの読出用スイッチSWおよび第n列読出用配線LO,nを通って、積分回路Sの積分用容量素子C21,C22に転送されて蓄積される。また、同時に、それまでに画素P2,nのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷も、その画素P2,nの読出用スイッチSWおよび第n列読出用配線LO,nを通って、積分回路Sの積分用容量素子C21,C22に転送されて蓄積される。そして、各積分回路Sの積分用容量素子C21,C22に蓄積されている電荷の量に応じた電圧値が積分回路Sの出力端から出力される。
【0093】
その期間(t12〜t15)内の時刻t14に、保持制御信号Holdがハイレベルからローレベルに転じることにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて、入力用スイッチSW31が閉状態から開状態に転じ、そのときに積分回路Sの出力端から出力されて保持回路Hの入力端に入力されている電圧値が保持用容量素子Cに保持される。
【0094】
そして、期間(t12〜t15)の後に、制御部6から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)が順次に一定期間だけハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれの出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じて、各保持回路Hの保持用容量素子Cに保持されている電圧値は出力用スイッチSW32を経て電圧出力用配線Loutへ順次に出力される。この電圧出力用配線Loutへ出力される電圧値Voutは、第1行および第2行の2N個の画素P1,1〜P1,N,P2,1〜P2,NそれぞれのフォトダイオードPDにおける受光強度を列方向に加算した値を表すものである。
【0095】
N個の保持回路H〜Hそれぞれから順次に出力された電圧値はA/D変換部30に入力されて、その入力電圧値に応じたデジタル値に変換される。そして、A/D変換部30から出力されたN個のデジタル値のうち、第1列および第2列それぞれに対応するデジタル値が加算され、第3列および第4列それぞれに対応するデジタル値が加算され、その後も2個ずつのデジタル値が加算されていく。
【0096】
続いて、第3行および第4行の2N個の画素P3,1〜P3,N,P4,1〜P4,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しが以下のようにして行われる。
【0097】
前述した動作において列選択制御信号Hsel(1)がハイレベルとなる時刻t20から、列選択制御信号Hsel(N)が一度ハイレベルになってからローレベルとなる時刻より後の時刻t21までの期間、制御部6からリセット用配線Lに出力されるリセット制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSW21が閉じて、積分用容量素子C21,C22が放電される。また、時刻t21より後の時刻t22から時刻t25までの期間、制御部6から第3行選択用配線LV,3に出力される第3行選択制御信号Vsel(3)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第3行のN個の画素P3,1〜P3,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。また、この同じ期間(t22〜t25)に、制御部6から第4行選択用配線LV,4に出力される第4行選択制御信号Vsel(4)がハイレベルとなって、これにより、受光部10における第4行のN個の画素P4,1〜P4,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。
【0098】
この期間(t22〜t25)内において、時刻t23から時刻t24までの期間、制御部6から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
【0099】
そして、期間(t22〜t25)の後に、制御部6から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)が順次に一定期間だけハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれの出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じる。以上のようにして、第3行および第4行の2N個の画素P3,1〜P3,N,P4,1〜P4,NそれぞれのフォトダイオードPDにおける受光強度を列方向に加算した値を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力される。
【0100】
N個の保持回路H〜Hそれぞれから順次に出力された電圧値はA/D変換部30に入力されて、その入力電圧値に応じたデジタル値に変換される。そして、A/D変換部30から出力されたN個のデジタル値のうち、第1列および第2列それぞれに対応するデジタル値が加算され、第3列および第4列それぞれに対応するデジタル値が加算され、その後も2個ずつのデジタル値が加算されていく。
【0101】
第1撮像モードのときには、以上のような第1行および第2行についての動作、これに続く第3行および第4行についての動作に続いて、以降、第5行から第M行まで同様の動作が行われて、1回の撮像で得られる画像を表すフレームデータが得られる。また、第M行について動作が終了すると、再び第1行から第M行までの範囲で同様の動作が行われて、次の画像を表すフレームデータが得られる。このように、一定周期で同様の動作を繰り返すことで、受光部10が受光した光像の2次元強度分布を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力されて、繰り返してフレームデータが得られる。また、このとき得られるフレームデータにおける読出し画素ピッチは画素のピッチの2倍となっている。
【0102】
一方、第2撮像モードのときの固体撮像装置1の動作は以下のとおりである。図19は、第1実施形態に係る固体撮像装置1の動作を説明するタイミングチャートである。この第2撮像モードではビニング読出しをしない。すなわち、フレームデータにおける読出し画素ピッチを画素のピッチと等しくする。各積分回路Sにおいて、ゲイン設定用スイッチSW22が開いていて、帰還容量部の容量値が小さい値に設定され、ゲインが大きい値に設定される。
【0103】
図19は、受光部10における第1行および第2行それぞれについての動作を示す。この図には、上から順に、(a)リセット制御信号Reset、(b)第1行選択制御信号Vsel(1)、(c)第2行選択制御信号Vsel(2)、(d)保持制御信号Hold、(e)第1列選択制御信号Hsel(1)、(f)第2列選択制御信号Hsel(2)、(g)第3列選択制御信号Hsel(3)、(h)第4列選択制御信号Hsel(4)、(i)第5列選択制御信号Hsel(5)、および(j)第6列選択制御信号Hsel(6)が示されている。
【0104】
第1行のN個の画素P1,1〜P1,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しは、以下のようにして行われる。時刻t10前には、M個の行選択制御信号Vsel(1)〜Vsel(M)、N個の列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)、リセット制御信号Resetおよび保持制御信号Holdそれぞれは、ローレベルとされている。
【0105】
時刻t10から時刻t11までの期間、制御部6からリセット用配線Lに出力されるリセット制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSW21が閉じて、積分用容量素子C21が放電される。また、時刻t11より後の時刻t12から時刻t15までの期間、制御部6から第1行選択用配線LV,1に出力される第1行選択制御信号Vsel(1)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第1行のN個の画素P1,1〜P1,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。
【0106】
この期間(t12〜t15)内において、時刻t13から時刻t14までの期間、制御部6から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
【0107】
期間(t12〜t15)内では、第1行の各画素P1,nの読出用スイッチSWが閉じており、各積分回路Sの放電用スイッチSW21が開いているので、それまでに各画素P1,nのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、その画素P1,nの読出用スイッチSWおよび第n列読出用配線LO,nを通って、積分回路Sの積分用容量素子C21に転送されて蓄積される。そして、各積分回路Sの積分用容量素子C21に蓄積されている電荷の量に応じた電圧値が積分回路Sの出力端から出力される。
【0108】
その期間(t12〜t15)内の時刻t14に、保持制御信号Holdがハイレベルからローレベルに転じることにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて、入力用スイッチSW31が閉状態から開状態に転じ、そのときに積分回路Sの出力端から出力されて保持回路Hの入力端に入力されている電圧値が保持用容量素子Cに保持される。
【0109】
そして、期間(t12〜t15)の後、制御部6から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)のうち、最初の連続するN列(本実施形態ではN=4)に相当する列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)が順次に一定期間だけハイレベルとなる。これにより、最初の連続するN列の保持回路H〜HN1それぞれの出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じて、各保持回路Hの保持用容量素子Cに保持されている電圧値は出力用スイッチSW32を経て電圧出力用配線Loutへ順次に出力される。この電圧出力用配線Loutへ出力される電圧値Voutは、第1行のN個の画素P1,1〜P1,N1それぞれのフォトダイオードPDにおける受光強度を表すものである。
【0110】
続いて、第2行のN個の画素P2,1〜P2,NそれぞれのフォトダイオードPDで発生し接合容量部に蓄積された電荷の読出しが以下のようにして行われる。
【0111】
前述した動作において列選択制御信号Hsel(1)がハイレベルとなる時刻t20から、列選択制御信号Hsel(N)が一度ハイレベルになってからローレベルとなる時刻より後の時刻t21までの期間、制御部6からリセット用配線Lに出力されるリセット制御信号Resetがハイレベルとなり、これにより、N個の積分回路S〜Sそれぞれにおいて、放電用スイッチSW21が閉じて、積分用容量素子C21が放電される。また、時刻t21より後の時刻t22から時刻t25までの期間、制御部6から第2行選択用配線LV,2に出力される第2行選択制御信号Vsel(2)がハイレベルとなり、これにより、受光部10における第2行のN個の画素P2,1〜P2,Nそれぞれの読出用スイッチSWが閉じる。
【0112】
この期間(t22〜t25)内において、時刻t23から時刻t24までの期間、制御部6から保持用配線Lへ出力される保持制御信号Holdがハイレベルとなり、これにより、N個の保持回路H〜Hそれぞれにおいて入力用スイッチSW31が閉じる。
そして、期間(t22〜t25)の後、制御部6から列選択用配線LH,1〜LH,Nに出力される列選択制御信号Hsel(1)〜Hsel(N)のうち、連続するN列であってその位置が第1行の当該N列から一定列数(本実施形態では2列)分だけシフトされた列に相当する列選択制御信号Hsel(3)〜Hsel(N+2)が、順次に一定期間だけハイレベルとなる。これにより、N個の保持回路H〜HN1+2それぞれの出力用スイッチSW32が順次に一定期間だけ閉じる。以上のようにして、第2行のN個の画素P2,3〜P2,N1+2それぞれのフォトダイオードPDにおける受光強度を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力される。
【0113】
第2撮像モードのときには、以上のような第1行および第2行についての動作に続いて、以降、第3行から第M行まで、電圧値出力対象である連続するN列の位置が各行毎に一定列数ずつシフトしながら同様の動作が行われて、1回の撮像で得られる画像を表すフレームデータが得られる。また、第M行について動作が終了すると、再び第1行から第M行までの範囲で同様の動作が行われて、次の画像を表すフレームデータが得られる。このように、一定周期で同様の動作を繰り返すことで、受光部10が受光した光像の2次元強度分布を表す電圧値Voutが電圧出力用配線Loutへ出力されて、繰り返してフレームデータが得られる。
【0114】
ところで、本実施形態においては、画素データを高速に読み出す為に、信号読出部20およびA/D変換部30を複数の組に分割し、それぞれの組から画素データを並行して出力させる構成としてもよい。
【0115】
例えば、図20に示されるように、N個の積分回路S〜SおよびN個の保持回路H〜Hを4組に分けて、積分回路S〜Sおよび保持回路H〜Hからなる信号読出部21を第1組とし、積分回路Si+1〜Sおよび保持回路Hi+1〜Hからなる信号読出部22を第2組とし、積分回路Sj+1〜Sおよび保持回路Hj+1〜Hからなる信号読出部23を第3組とし、また、積分回路Sk+1〜Sおよび保持回路Hk+1〜Hからなる信号読出部24を第4組とする。ここで、「1<i<j<k<N」である。そして、信号読出部21の保持回路H〜Hそれぞれから順次に出力される電圧値をA/D変換部31によりデジタル値に変換し、信号読出部22の保持回路Hi+1〜Hそれぞれから順次に出力される電圧値をA/D変換部32によりデジタル値に変換し、信号読出部23の保持回路Hj+1〜Hそれぞれから順次に出力される電圧値をA/D変換部33によりデジタル値に変換し、また、信号読出部24の保持回路Hk+1〜Hそれぞれから順次に出力される電圧値をA/D変換部34によりデジタル値に変換する。また、4つのA/D変換部31〜34それぞれにおけるA/D変換処理を並列的に行う。このようにすることで、画素データを更に高速に読み出すことができる。
【0116】
また、例えば、2行2列のビニング読出しをすることを考慮すると、N個の保持回路H〜Hのうち奇数列に対応する保持回路を第1組とし、偶数列に対応する保持回路を第2組として、これら第1組および第2組それぞれに対して個別にA/D変換部を設けて、これら2つのA/D変換部を並列動作させるのも好ましい。この場合、奇数列に対応する保持回路と、これの隣の偶数列に対応する保持回路とから、同時に電圧値が出力され、これら2つの電圧値が同時にA/D変換処理されてデジタル値とされる。そして、ビニング処理される際には、これら2つのデジタル値が加算される。このようにすることでも、画素データを高速に読み出すことができる。
【0117】
なお、走査シフトレジスタ40による列方向の走査処理に関しては、上記のような分割はできない。列方向の走査処理では、最初の画素から最終の画素まで順次に走査する必要があるからである。したがって、固体撮像装置1において列数Nを行数Mより多くすることにより、信号読出部を上述のように分割することによる読み出しの高速化といった効果をより顕著に得ることができる。
【0118】
本発明による医療用X線撮像システムは、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では第2撮像モードにおける撮像領域として、受光部の行方向および列方向の双方に対して傾斜し、且つ固体撮像装置の移動方向と交差する方向を長手方向とする撮像領域を例示したが、第2撮像モードにおける撮像領域はこれ以外の領域であってもよく、或いは受光部の全面を撮像領域として使用してもよい。また、第1撮像モードに関しても、上記実施形態のように受光部の全面を撮像領域とする形態に限られるものではなく、必要に応じて受光部における任意の領域を撮像領域としてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…固体撮像装置、3…半導体基板、4…シンチレータ、5…X線遮蔽部、6…制御部、10,110,130…受光部、10a,10b…撮像領域、11…受光面、20,120,140…信号読出部、30,31〜34…A/D変換部、40…走査シフトレジスタ、41…読出シフトレジスタ、100…X線撮像システム、104…旋回アーム、106…X線発生装置、108…回転制御部、A…被写体、A…アンプ、C21,C22…積分用容量素子、C…保持用容量素子、H〜H…保持回路、L…ゲイン設定用配線、L…保持用配線、LH,n…第n列選択用配線、LO,n…第n列読出用配線、Lout…電圧出力用配線、L…リセット用配線、LV,m〜第m行選択用配線、P,Pm,n…画素、Reset…リセット制御信号、S〜S…積分回路、SW…読出用スイッチ、SW21…放電用スイッチ、SW22…ゲイン設定用スイッチ、SW31…入力用スイッチ、SW32…出力用スイッチ、W…シリコンウェハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の周囲を移動しつつX線像を撮像する固体撮像装置を備える医療用X線撮像システムであって、
前記固体撮像装置が、
フォトダイオードを各々含むM×N個(M及びNは2以上の整数)の画素がM行N列に2次元配列されて成る矩形状の受光面を有する受光部と、
各列毎に配設され、対応する列の前記画素に含まれる前記フォトダイオードと読出用スイッチを介して接続されたN本の読出用配線と、
前記読出用配線を経て入力された電荷の量に応じた電圧値を保持し、その保持した電圧値を順次に出力する信号読出部と、
各画素の前記読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、前記信号読出部における電圧値の出力動作を制御して、各画素の前記フォトダイオードで発生した電荷の量に応じた電圧値を前記信号読出部から出力させる制御部と、
入射したX線に応じてシンチレーション光を発生して前記X線像を光像へと変換し、該光像を前記受光部へ出力するシンチレータと
を有し、
前記固体撮像装置の移動方向に対し前記受光部の行方向および列方向の双方が傾斜しており、
前記受光部における行数Mが列数Nより小さく、前記受光面の形状が行方向を長手方向とする長方形状であり、該長方形の対角線に沿った方向が前記固体撮像装置の移動方向と交差する、ことを特徴とする医療用X線撮像システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記M×N個の画素のうち所定の撮像領域を構成する前記画素から選択的に電圧値が読み出されるように前記信号読出部の出力動作を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記M×N個の画素のうち所定の方向を長手方向とする撮像領域を構成する前記画素から選択的に電圧値が読み出されるように前記信号読出部の出力動作を制御し、
前記所定の方向が、前記受光部の行方向および列方向の双方に対して傾斜し、且つ前記固体撮像装置の移動方向と交差する、ことを特徴とする請求項1に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項4】
前記所定の方向が前記固体撮像装置の移動方向に対して直交する、ことを特徴とする請求項3に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項5】
前記撮像領域が前記受光部の前記対角線上の領域である、ことを特徴とする請求項3または4に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項6】
前記制御部が、前記信号読出部の出力動作を制御する際に、前記受光部のN列それぞれに対応して保持された電圧値のうち、連続するN列(N<N)に対応して保持された電圧値を前記信号読出部から出力させ、且つ、前記受光部における該N列の位置を、一又は複数の行に対応する電圧値を読み出す度に一定列数ずつシフトさせる、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項7】
前記所定の方向における前記撮像領域の長さが15cm以上である、ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項8】
前記固体撮像装置が、前記受光部の周囲に形成された画素と、該画素を覆うX線遮蔽部とを更に有し、前記受光部となる領域が前記X線遮蔽部の矩形状の開口によって規定されており、
前記開口の各辺が前記移動方向に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療用X線撮像システム。
【請求項9】
前記信号読出部が、前記N本の読出用配線を経て入力された電荷を蓄積して、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力するN個の積分回路を有しており、
各読出用配線を経て入力される前記電荷の量に応じて各積分回路のゲインを変更可能である、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療用X線撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−179373(P2012−179373A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93169(P2012−93169)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【分割の表示】特願2009−26471(P2009−26471)の分割
【原出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】