医療装置端部の治療器具を操作する配置システム
遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部(32)まで延出する内腔を画定する細長い可撓管(12’)と、開口部に近接する可撓管の遠位端に配置される配置機構(35)であって、内腔の中を通る治療器具(20)に力を伝達するため、および治療器具が開口部から延出する方向を制御するために、少なくとも2つの自由度において移動するように構成される配置機構とを備える医療装置が開示される。いくつかの実施形態において、配置機構は、開口部に対して回転可能なローラを備え、ローラは、自身の中を通る内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本国際出願は、先願の米国仮特許出願第60/832,594号(2006年7月24日出願)の優先権を主張するものである。その仮出願の全内容は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、患者の身体部分にアクセスするため、かつ病状の診断および治療のために使用される内視鏡システムに関する。例えば、本発明の実施形態は、解剖学的な病気および疾患の診断および治療を支援するために、内視鏡および付加的な治療装置を所望の身体部分に配置するための特定の内視鏡の配置機構を含んでもよい。
【背景技術】
【0003】
医療用の内視鏡は、種々の診断処置および医療処置に取り入れられている。内視鏡は、患者の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域に医師が頻繁にアクセスする必要のある多種多様の病気および疾患の診断および治療のために使用されている。患者の膵胆道系(胆嚢、膵臓、および胆道系の解剖学的領域を含む)は、例えば、消化器系の特定部分の疾患の診断および/または治療のためにアクセスされる。
【0004】
消化器系の治療中に、内視鏡を使用して、患者の膵胆道系にアクセスして可視化することが多くある。内視鏡が、所望の身体部分に配置されると、治療器具は、内視鏡の作業チャネルを通って所望の身体部分に進められることが可能である。次に、内視鏡および治療器具は、可視化および治療のそれぞれのために必要に応じて操作され得る。
【0005】
内視鏡の逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を使用する医療処置の一例である。ERCPによって、医師は、肝臓、胆嚢、胆管、および膵臓における問題を診断することが可能になる。肝臓は、特に、消化を助ける胆汁を生成する大型器官である。胆嚢は、消化に必要とされるまで胆汁を保管する小型で梨型の器官である。胆管は、肝臓から胆嚢および小腸へ胆汁を運ぶ管である。これらの管は、胆道系と呼ばれることがある。膵臓は、消化を助ける化学物質や、インスリン等のホルモンを生成する大型の腺である。
【0006】
胆道系は、肝臓によって生成される胆汁を十二指腸に供給し、十二指腸において、胆汁は、食物の消化の際に他の胃液を支援する。胆道系には、肝臓ならびに複数の身体的チャネルと、肝臓および十二指腸間に配置される器官が含まれる。肝小葉内において、肝細胞からの分泌物を受ける多数の微細な「毛細胆管」がある。隣接する小葉の管が一体化して、より大きな管を形成し、これらが一つにまとまって「肝管」になる。次に、これらは結合して「総肝管」を形成する。「総胆管」は、総肝管および総胆嚢管によって形成される。これは、十二指腸に通じ、十二指腸において、その出口は、括約筋によって保護される。この括約筋は、胆汁が総胆管に集まって胆嚢管に戻るように、通常、胆汁が必要とされるまで収縮したままである。これが起こると、胆汁は、胆嚢に流れ込み、そこで保管される。
【0007】
ERCPは、胆石、炎症性狭窄(瘢痕)、漏出(外傷および手術からの)、および癌を含む、胆管の状態を診断および治療するために主に使用される。ERCPは、X線および内視鏡の使用を併用する。内視鏡によって、医師は、胃および十二指腸の内部を見ることが可能であり、また、胆道系および膵臓の管に染料を注入して、X線で見ることが可能である。
【0008】
ERCPは、主に、胆管または膵臓の問題を同定するために実行される。その他の用途は、診断だけでなく治療を対象とする。例えば、その他の処置は、胆石除去および括約筋切開刀のために内視鏡を使用することを含む。さらに、診断処置および治療処置の組み合わせを実行してもよい。例えば、検査中に胆石を発見した場合、大手術を行なうことを必要とせずに治療器具によって除去することができる。胆管が閉塞されて、黄疸または痛みを伴う場合、内視鏡に挿入される治療器具を使用してそれを緩和することができる。
【0009】
内視鏡は、多くの場合、患者の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域にアクセスすることに使用されるため、医療処置中の内視鏡の操作および配置の繰り返しによって、問題のある副作用がもたらされる可能性がある。例えば、内視鏡の操作および配置の繰り返しによって、患者の内部組織に不必要な外傷がもたらされる可能性がある。不適切な配置および所望の治療領域へのアクセスする試行の繰り返しにより、組織外傷が悪化し、また、医療処置が不必要に長引く可能性がある。したがって、より精密な内視鏡操作の必要性ならびに内視鏡のアクセスチャネルを通る基本の治療器具を操作する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特定の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域に、より精密にアクセスすることが可能であり、かつ、内視鏡のアクセスチャネル内に設けられる治療装置をより精密に操作することが可能である内視鏡組立体を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、従来の医療装置の限界および不利点のうちの1つ以上を克服する、治療装置を操作するために改善された内視鏡システムおよび配置装置を対象とする。
【0012】
一実施形態において、医療装置は遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。配置機構は、開口部に近接する可撓管の遠位端に配置される。配置機構は、内腔を貫通する治療器具に力を伝達するため、および治療器具が開口部から延出する方向を制御するために、少なくとも2つの自由度において移動するように構成される。
【0013】
種々の実施形態において、本装置は、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい:配置機構は、可撓管の遠位端における凹部内に収容され、配置機構は、凹部内のピンの周りで回転するように構成されること;配置機構は、凹部内においておよびピンに沿って横方向変位するように構成されること;配置機構は、凹部内において長手方向変位するように構成されること;配置機構が、ピンに対して長手方向移動するように構成されるように、配置機構は、自身の中を貫通するピン含み、ピンは細長いスロットを収容すること;長手方向に向けられる作動力がもはや配置機構に加えられなくなると、配置機構が長手方向の静止位置に戻るように、弾力的なスポンジ材料が細長いスロットの一部の中に含まれること;配置機構は、配置機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成されること;配置機構が、配置機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように、ピンは弾力的かつ可撓性の材料を含むこと;配置機構の第1の側面に対向する配置機構の第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、他方の端部において可撓管に連結されるバネをさらに備え、プルワイヤの作動後に配置機構が静止位置に戻るように構成されること;配置機構は、その遠位端に配置されるローラを有する可動の配置スリーブを備え、ローラは、スリーブに対して回転可能であり、かつ自身の中を貫通する内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するために構成されること;配置機構は、配置機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向変位するように構成されること;配置機構は、配置機構の第1の側面に対向する配置機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向とは反対の第2の方向に横方向変位するように構成されること;配置機構の第1および第2の側面に連結されるプルワイヤは、配置機構から横方向に延出し、凹部内に位置する力伝達柱に巻き付き、そこから近位に延出すること;配置機構は、内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含むこと;開口部は、可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部であること;配置機構は、少なくとも3つの自由度において移動するように構成されること;配置機構は、3つの直交軸の周りで回転可能であること;配置機構は、開口部に対して回転可能なローラを備え、ローラは、自身の中を貫通する内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成されること;ローラを通る内腔の近位端は、細長い可撓管の内腔との整合を維持するように構成されること;ローラを通る内腔は、近位の開口よりも遠位の開口が狭い円錐形を呈すること;ローラの内腔内に延在し、かつローラの内腔内においておよびそれを越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備えること;スリーブは、治療器具を収容し、かつスリーブの回転時に治療器具に回転を与えるように構成されることと、ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成されること;開口部に対するローラの回転は、ローラに沿った所定位置に各々が固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成されること;ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下のベース部の近位への移動によって達成されること;各プルワイヤのローラに対する取り付けは、ローラの内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じること;少なくとも3つのプルワイヤは、ローラに固定して取り付けられること;医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡であることなどの特徴である。
【0014】
別の実施形態において、医療装置は、遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。偏向機構は、開口部に対向する可撓管の遠位端内に収容され、そして偏向機構は、凹部内に延在するピンの周りで回転し、かつピンに沿って横方向に変位するように構成される。
【0015】
種々の実施形態において、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を本装置は含んでもよい:偏向機構は、凹部内において長手方向変位するように構成されること;偏向機構が、ピンに対して長手方向に移動するように構成されるように、偏向機構は、自身を貫通するピンを含み、ピンは細長いスロットを収容すること;長手方向に向けられる作動力がもはや偏向機構に加えられなくなると、偏向機構が長手方向の静止位置に戻るように、弾力的なスポンジ材料が細長いスロットの一部の中に含まれること;偏向機構は、偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成されること;偏向機構が、偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように、ピンは弾力的なかつ可撓性の材料を含むこと;偏向機構は、内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含むこと;開口部は、可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部であること;偏向機構は、偏向機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向変位するように構成されること;偏向機構は、偏向機構の第1の側面に対向する偏向機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向とは反対の第2の方向に横方向変位するように構成されること;偏向機構の第1および第2の側面に連結されるプルワイヤは、偏向機構から横方向に延出し、凹部内に位置する力伝達柱に巻き付き、そこから近位に延出することなどの特徴である。
【0016】
別の実施形態において、医療装置は、遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。ローラは、可撓管の遠位端に配置され、かつ開口部に対して回転可能であり、そして、ローラは、自身の中を通る内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される。
【0017】
種々の実施形態において、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を本装置は含んでもよい:可動スリーブをさらに備え、ローラは、その遠位端に配置され、ローラは、スリーブに対して回転可能であること;スリーブは、ローラの内腔内に延在し、かつローラの内腔内においておよびそれを越えて遠位に可動であり、そして、スリーブは、治療器具を収容し、かつスリーブの回転時に治療器具に回転を与えるように構成されること;ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成されること;開口部に対するローラの回転は、各々がローラに沿った所定位置に固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成されること;ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下の傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成されること;ローラの遠位に配置される可動ベース部をさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下のベース部の長手方向および横方向移動によって達成されること;各プルワイヤのローラに対する取り付けは、ローラの内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じること;少なくとも3つのプルワイヤは、ローラに固定して取り付けられること;医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は照明部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡であることなどの特徴である。
【0018】
本発明の追加の目的および利点は、以下の説明において部分的に記載され、また、その説明により部分的に明らかであり、あるいは本発明の実施によって習得されてもよい。本発明の目的および利点は、添付の請求項において具体的に指摘される要素および組み合わせによって実現および達成される。
【0019】
前述の概略説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的であるだけであり、請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0020】
本明細書の一部に組み込まれ、また、本明細書の一部を構成する添付の図面は、発明のいくつかの実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来技術の内視鏡システムの斜視図である。
【図2】図2は、既知の昇降装置の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、連結された本体のシステムにおける要素の平行移動変位および回転変位を指定するための例示的な座標系を示す。
【図4】図4は、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部分の断面図である。
【図5】図5は、本発明のある実施形態に従う器具配置装置の部品の上面図である。
【図6A】図6Aは、本発明のある実施形態に従う器具配置装置の部品の斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図7A】図7Aは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の正面図である。
【図7C】図7Cは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の側面図である。
【図8A】図8Aは、発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の側面図である。
【図8B】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図8C】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図8D】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡および治療器具の遠位部の斜視図である。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の側面図である。
【図12】図12は、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置機構の部品の側面図である。
【図13】図13は、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置機構の部品の上面図である。
【図14】図14は、患者の身体部分内における内視鏡および治療装置の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の例示的な実施形態を詳細に参照していく。その例示的実施形態の例は、添付の図面において示される。可能な限り同一の参照番号を図面において使用して、同一または類似の部分を指すようにする。本出願の図面は、基本となるシステムの機能要素に関する一般的な理解を提供するように意図される。したがって、別途明示的に記述のない限り、図面は、図示される相互関係のある部品に対する比例した寸法または精密な位置について正確な描写を表さない。
【0023】
例示的実施形態によると、本発明は、治療装置の配置および/または患者の体内部分の観察のための医療装置に関する。内視鏡的な医療処置に治療装置を使用する実施形態において、治療装置は、内視鏡の作業チャネルを通って組織の管に進められることが可能であり、治療装置と共に使用するために具体的に設計および/寸法付けられる内視鏡を含む。本開示において、「治療装置」または「治療器具」は、例えば、内視鏡の作業チャネルを通って進められ、かつ内視鏡的な処置中に使用される任意の機能医療装置を含む。例示的な治療器具には、ガイドワイヤ、切断または把握鉗子、生検装置、スネアループ、注射針、切断刃、ハサミ、格納式バスケット、検索装置、焼灼および/または電気生理学カテーテル、ステント配置装置、外科用ステープル装置、ならびにバルーン付きカテーテルが含まれるがそれだけに限定されない。
【0024】
図1は、既知の内視鏡システムを示す。本開示において、「遠位」は、使用中に装置のオペレータから離れている端部を指し、「近位」は、使用中に装置のオペレータに近い端部を指す。図1は、装置の遠位端14と近位端16との間に延在する可撓外管12を含む内視鏡10を示す。内視鏡10は、内視鏡10の作業チャネルに治療装置20を収容するための治療装置の挿入口11を含む。内視鏡システム10の遠位端14は、側面対向型操作窓18を含み、この操作窓は、治療処置中に観察するための可視化部品および照明部品を含むことが可能である。さらに、作業チャネル(図示せず)は、内視鏡10内に延在し、操作窓18を終点とするため、治療器具20は、内視鏡10の遠位端から延出されることが可能になる。次に、所望の治療部位における治療器具20の延出は、可視化部品によって観察されることが可能であり、この可視化部品は、本技術分野において既知であるように、画像を内視鏡10の近位端に伝送する。図1は、側面対向型操作窓18を示すが、前部/前方対向型および斜角/中間角型の両方の窓が既知である。
【0025】
図2は、既知の内視鏡システムの遠位部分の断面図を示し、器具が内視鏡の作業チャネルを越えて延出する際に、治療器具を偏向するための偏向レバー/昇降装置を含む。図2に示すように、偏向レバー22は、偏向レバー22の上部に連結されるプルワイヤ26によって、ピン24の周りを時計回りに回転する。プルワイヤ26がその近位への移動により作動すると、偏向レバー22は、治療装置20が内視鏡の作業チャネルから出る角度を変更するように治療装置20を偏向し、その結果、図2の点線で示される装置20の位置になる。プルワイヤ26によって、内視鏡のオペレータは、医療処置中の配置の際に、治療器具20の位置を制御することが可能である。
【0026】
図1に示されるように、装置の近位端16におけるハンドル28は、医療処置中に装置の配置をするために、可撓外管12の屈曲および回転をもたらすための種々の配置制御30を含むことが可能である。さらに、ハンドルは、偏向レバーのプルワイヤ26の作動のための個別の配置制御を含むことが可能である。例えば、ERCP処置等の医療処置中に、治療器具20は、胆道系における特定の管に精密に挿入されなければならない。偏向レバー26の使用により、治療装置が内視鏡から出る角度を変更することは可能であるが、精密な配置は、治療装置20の適切な配置を達成するために、多くの場合、操作窓を含む内視鏡の遠位端を繰り返し操作する必要がある。前述のように、基本の内視鏡10のこのような操作の繰り返しにより、組織の外傷がもたらされ、また、医療処置全体が不必要に長引く可能性がある。
【0027】
図2の実施形態に示されるように、偏向レバー26は、単軸(つまり、ピン24に一致する軸)の周りで変位可能である。したがって、レバー26は可動であり、1つの自由度における治療装置20の移動のみをもたらす。追加の特定の座標軸に沿ってまたはその周りで操作が可能になる場合に、治療器具の操作はより精密になる。自由度とは、特定の座標軸に沿うまたはその周りでの変位により付加される運動の柔軟性をいう。
【0028】
図3は、3つの直交軸X、Y、およびZを示す既知のデカルト座標系を示す。運動の完全な自由(限定された範囲であっても)を有する連結体の結合または任意のシステムは、6つの自由度を有する。3つのモードは、平行移動である(つまり、3つ直交軸の各々に平行な方向に、3つの次元の各々に移動する能力)。追加の3つのモードは回転、つまり、3つの直交軸の周りの角位置を変更する能力である。空間における任意の場所に構造を移動するのに必要な自由度は3つだけであるが、追加の自由度により、より多様性が提供される。例えば、Y軸に沿って上下に移動すること(上下移動)、X軸に沿って左右に移動すること(左右移動)、Z軸に沿って前後に移動すること(前後移動)、上下に傾くこと(X軸の周りを回転Rx)、左右に回転すること(Y軸の周りを回転Ry)、および左右に傾くこと(Z軸の周りを回転Rz)のうちの各々は、1つの自由度である。したがって、複数の自由度において移動をもたらす配置機構は、基本の治療装置のより精密な配置を可能にする。
【0029】
図4は、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部分の断面図を示す。図4は、改善された内視鏡10’の遠位端14の断面図を示す。内視鏡10’の遠位部分は、外部可撓外管12’と、側面対向型の操作窓開口部32と、内視鏡10’内の内腔を形成し、かつ内視鏡10’の近位端から延出して操作窓開口部32で終点となる作業チャネル34とを含む。配置ブロック35の形の偏向昇降部は、内視鏡10’の遠位端の操作窓開口部32に対向する位置における凹部36内に収容される。
【0030】
図5〜6Bは、配置ブロック35の移動を制御する例示的な変位機構の上面図および斜視図をそれぞれ示す。図6Aに示すように、配置ブロック35は、内視鏡の作業チャネル(図4参照)を越えて延出する治療器具との接触を維持するように構成される湾曲した凹面38を含む。配置ブロック35の湾曲面38は、治療器具20の延出中に、治療器具20に対して偏向力を伝達するための表面としての役割を果たす。あるいは、配置ブロック35は、閉鎖された上面を含むことによって、その中に治療器具を収容するための内腔を形成してもよい。別の代替として、配置ブロックには、凹面38に形成される切り欠きまたはチャネルが設けられることが可能である。切り欠きには、V字形の溝が設けられることが可能であり、そのV字形の溝は、受動的な摩擦ばめ係合で、その中に治療器具を解放可能に係合するようなサイズを有する。
【0031】
配置ブロック35は、内視鏡の遠位端内においてピン40を介して動作可能に連結するように配置され、ピン40は、内視鏡の遠位端14内において横方向に、かつ外管12’の長手方向軸に垂直に延在する。ピン40は、配置ブロック35の本体に形成されるピン開口部42内において横方向に延在する。ピン40は、可撓管12’に固定され、配置ブロック35はピン40の周りで回転し、また、ピン40に対して横方向に平行移動するように構成されるようにする。ピン40は、開口部42を貫通するが、配置ブロック35に固定的には取り付けられない。したがって、配置ブロック35は、例えば、作業チャネル34内に延在する装置20等の治療器具を偏向するように構成される。配置ブロック35は、プルワイヤ44の作動により、図4の点線で示されるように、回転ピン40の周りに時計回りに回転するように構成される。プルワイヤ44は、配置ブロック35に沿った遠位上方のオフセット位置に連結され、プルワイヤ44の近位移動により、回転ピン40の周りで配置ブロック35が回転するようにする。図4の点線で示されるように、プルワイヤ44は、内視鏡のプルワイヤチャネル(図示せず)内において近位に延出し、このチャネルにおいて、内視鏡の近位端のハンドルにおける配置制御装置と連結するように延出する。プルワイヤ44が近位方向に変位させられると、配置ブロック35および治療器具20は、治療器具20が内視鏡10’から延出する角度が増加するように回転する(図4の点線で示されるように)。
【0032】
例えば、プルワイヤ44は、曲げレバーまたは回転輪制御装置に連結するように延出して、近位への作動がオペレータによってもたらされ得る。プルワイヤ要素は、配置ブロック35の偏向のための機構として示されているが、代替の偏向機構を使用することが可能であり、その偏向には、前方作動プッシュワイヤ、またはスタイレット、電子圧電曲げ変換器、および配置ブロック35の下にある空気注入式カフ要素が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0033】
図4〜6Bを組み合わせて参照すると、偏向制御プルワイヤ44に加え、内視鏡10’は、横方向の変位機構を備える。図4に示されるように、ピン40は、内視鏡10’の遠位端を横切って、凹部36内の横方向距離Lに延在する。前述のように、ピン40は、配置ブロック35内のピン開口部42を貫通する。ピン40の周りの回転による偏向能力に加え、配置ブロック35は、内視鏡10’の遠位端内の凹部36の左側と右側との間の距離Lに沿ってピン40に対して横方向に変位するようにも構成される。
【0034】
配置ブロック35は、ブロック35の対向する側面に沿って表面46aおよび46bを含む。横方向変位プルワイヤ48aおよび48bの各々は、配置ブロック35の側面46aおよび46bに沿った点において連結される。プルワイヤ48aおよび48bは、配置ブロック35から離れるように横方向に延出し、配置ブロック35において、力伝達柱50に巻き付き、その力伝達柱50から離れるように近位に延出し、力伝達柱50は内視鏡の凹部36内で上方に延出する。図5〜6Bに示されるように、プルワイヤ48aの近位への作動により、ピン40のガイドに沿って、配置ブロック35の右側への横方向変位がもたらされる。反対に、プルワイヤ48bの近位への作動により、ピン40のガイドに沿って、配置ブロック35の左側への横方向変位がもたらされる。左側および右側の力伝達柱50の配置により、プルワイヤ48aおよび48bのどちらかに沿う近位に向けられた力を、横方向距離Lに沿った配置ブロックの変位のための横方向伝達力に転換することが可能になる。したがって、プルワイヤ48aおよび48bは、柱50の周りで屈曲し、配置ブロック35の回転中に緩むことを許容するようにある程度の可撓性を呈する。
【0035】
横方向プルワイヤ48aおよび48bに対する連結点は、偏向制御ワイヤ44の作動による回転ピン40の周りの配置ブロック35の回転偏向に対する干渉量が最も少なくなるように選択されるべきである。例えば、図4〜6Aに示すように、横方向プルワイヤ48a、48bおよび配置ブロック35は、開口部42の直近位の点で連結してもよい。図示される連結点は、非限定的であることが意図され、偏向ワイヤ44の自由な作動へのいかなる干渉をも減少させることに焦点を当てた代替の連結位置が可能である。さらに、横方向変位のために示されるプルワイヤ配置も非限定的であると意図され、配置ブロック35の横方向変位を達成するための機構も可能である。例えば、ラックアンドピニオン式ギア機構等の、前後の力を横方向の力に転換する任意の代替の機械力転換機構を利用することが可能である。
【0036】
例えば、図6Bは、代替の配置ブロック35’の上面図を示す。図6Bに示すように、配置ブロック35’の配置は、図6Aの配置が必要とする2つの横方向プルワイヤ48aおよび48bの代わりに、単一のプルワイヤ49のみを必要とする。単一のプルワイヤ49は、配置ブロック35’の片方の側面に連結され、バネ51が、プルワイヤ49の連結面と対向する配置ブロック35’の他方の面に連結される。配置ブロック35’に取り付けられないバネ51の端部は、凹部36内の基本の内視鏡の内面に固定されることが可能である。さらに、図6Bの配置は、プルワイヤ49と相互作用する力伝達柱50を1つしか含まないという点において、図6Aの配置と異なる。処置中に、プルワイヤ49が近位へ作動すると、配置ブロック35’は、横方向に操作および変位可能になる。プルワイヤ49による配置ブロック35’の作動力が除去されると、バネ51が、配置ブロック35’に作用し、それを初期の静止位置に戻す。
【0037】
図7A〜7Cは、本発明のある実施形態に従う、横方向変位および偏向制御の組み合わせ型配置ブロックを利用する内視鏡10’’の遠位部に関する斜視図、正面図、および側面図をそれぞれ示す。例えば、図7Aは、治療器具の操作のための配置ブロック35ならびに体内部分を観察するための可視化装置52および照明装置54を含む操作窓32を備える内視鏡10’’の遠位部分に関する斜視図を示す。図7Bの正面図を参照すると、長さLの左端と右端との間の配置ブロック35の横方向変位が示される。上述のように、横方向プルワイヤ48aおよび48bの作動により、外傷を起こす基本の内視鏡10’’の移動を行なうことなく、延出した治療器具20のより精密な操作が可能になる。具体的には、配置ブロック35の横方向の動きと回転との組み合わせにより、従来の昇降回転システムによって可能な単一の配置自由度とは対照的に、2つの自由度による治療器具の精密な操作が可能になる。
【0038】
図7Cは、内視鏡10’’の遠位部分の側面図を示し、具体的には、治療器具20が内視鏡10’’の作業チャネルから延出する際における治療器具20の偏向を示す。偏向プルワイヤ44の作動によって、基本の内視鏡10’’の作業チャネルから延出する治療器具の偏向角β(図7Cに示される)を増減するように、配置ブロップ35の回転がもたらされる。例えば、ピン40の周りの配置ブロック35の回転によって、内視鏡10’’の長手方向軸に対して、約30度から約135度の間で治療器具20の偏向をもたらすことが可能である。
【0039】
図8Aは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の側面図である。図8Aは、前述の配置ブロック35と類似している代替の配置ブロック35’’を示し、細長いピンスロット(またはチャネル)45の特徴が、前述のピン開口部42と置き換わっている。細長いピンスロット45を含むことによって、基本の内視鏡に対する配置ブロック35’’の所定の制御された長手方向(遠位および近位の両方向)変位が可能になる。
【0040】
細長いピンスロット45の長さは、配置ブロック35’’の長手方向変位の程度を決定する。配置ブロック35’’の最遠位の変位位置および最近位の変位位置において、ピンスロット45の内面と、その中に収容される回転ピン40との間の係合により、配置ブロック35’’のさらなる移動が防止される。基本の内視鏡の凹部36内での配置ブロック35’’の前後の移動は、配置ブロック35’’を変位させることが可能な任意の力作動機構によってもたらされることができる。例として、プルワイヤ、プッシュ式スタイレット、流体圧駆動の力伝達機構、および拡張式バルーンが挙げられるが、それだけに限定されない。スロット45は、例えば、スポンジ材料等の弾力的かつ自己回復の材料によって充填されてもよい。スポンジ材料をスロット45内に含むことによって、その中のピン40の安定化が可能になり、変位の力がもはや配置ブロック35’’に伝達されなくなると、ピンが中央の静止位置に戻るようにする。
【0041】
ピン40に対する配置ブロック35’’の回転(例えば、図4に示される治療器具の偏向を達成するための)は、凹部36内の配置ブロック35’’の長手方向の位置を維持し、次に、上述のように、配置ブロック35’’に制御された回転をさせることによって達成可能である。配置ブロック35’’の長手方向位置を維持することは、受動位置固定機構の任意の種類の既知の作動によって達成可能である。
【0042】
図8Bおよび8Cは、配置ブロック35’’の部分断面図を示し、スロット45内のピン40の位置を示す。図8Bおよび8Cに示されるように、スロット45の領域によって、収容凹部内での配置ブロック35’’の局部的な角変位能力が可能になる。したがって、配置ブロック35’’の純粋な横方向変位および長手方向変位の能力に加えて、スロット45の領域によって、配置ブロック35’’のより広い領域の移動を可能にする局部的な角変位(図8Cに示される)が可能になる。
【0043】
図8Dは、配置ブロック35’’の部分断面図を示し、スロット45内に配置される代替の可撓回転ピン40’を示す。可撓回転ピン40’の使用により、配置ブロック35’’の角変位のさらなる制御が可能になる。図8Dに示されるように、ピン40’の可撓性により、回転ピンが剛性である構成において可能である変位よりも、配置ブロック35’’のさらなる角変位が可能になる。配置ブロック35’’の角変位の制御は、既知の力伝達機構の使用によりもたらされることが可能である。
【0044】
図9は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。図9は、ローラ60を収容する開口部62を部分的に形成する操作窓56を含む内視鏡10’’’の遠位部分を示す。例えば、ローラ60のサイズは、操作窓の開口部62内に保持されるように選択可能である。ローラ60は、その中を通る内腔64を含み、この内腔64は、内視鏡10’’’の作業チャネル(図示せず)の延長を形成し、医療処置中に、内腔64の遠位開口部から治療器具が延出することを可能にする。ローラ60は、開口部62内に回転可能に収容される限り、任意の形状で提供されることが可能である。ローラ60は、ボールソケット型継ぎ手が形成されるように、開口部62内に収容されてもよい。例えば、ローラ60は、図9および10に示すように球形に形成されることが可能である。あるいは、ローラ60は、円筒形、楕円形、湾曲したフットボール形、または、任意の3次元構造を呈するように形成されることが可能であり、その3次元形状は、例えば、内腔64の開口を開口部62内に収容しつつ、内視鏡10’’’に対して移動させるように構成される部分的に湾曲した外面を呈する。したがって、ローラ60と開口部62との相対的形状は、ハウジングとその中におけるローラ60との移動を促進するように調整するべきである。
【0045】
前述のように、ローラ60は、開口部62内で回転するように構成され、内腔64の開口が、その中を貫通する治療器具のより精密な操作のために方向付けられるようにすることが可能である。治療器具が、内視鏡10’’’の内部作業チャネルを遠位に延出される際に、ローラ60を貫通する内腔64は、治療器具を収容するように構成される。内腔64は、治療器具が内視鏡10’’’から外へ延出する方向を移動可能に方向付けて調整するように構成されるため、内腔64の近位端は、治療器具を収容する内視鏡10’’’の内部作業チャネルの遠位開口との連通を維持するはずである。例えば、内腔64は、図9に示すように円錐形65を呈する。したがって、内腔64は、近位端における大口径の開口から、内腔64の出口の遠位点の比較的狭い直径まで、遠位方向に延在する。内腔64の近位端は、より大きい直径の開口を呈するため、ローラ60が開口部62に対して移動する際に、内視鏡10’’’の内部作業チャネルと内腔64との間の整合および連通は維持される。
【0046】
ローラ60は、プルワイヤのシステムによって、ハウジングの開口部62に対して操作可能である。例えば、図9は、ローラ60を操作するための4つのプルワイヤ66〜69のシステムを示す。プルワイヤ66〜69は、ローラ60に固定して取り付けられることが可能であり、その各々は、内腔64の遠位の出口点から所定の距離にある。プルワイヤ66〜69の各々は、内腔64の遠位の出口点に対して間隔があけられることが可能であり、プルワイヤ66〜69の各々の選択的な操作により、少なくとも2つの直交軸の周りでローラ60の所定の回転度が可能になるようにする。例えば、ワイヤ66における張力の緩和と対になるワイヤ68の近位への作動により、図9における上方に延出する、軸に対するローラ60の制御された回転が可能になる。ワイヤ66〜69の一部における張力は、ローラ60の制御された回転を可能にするために、ユニットにおけるその他のワイヤの選択的な緊張と協同して選択的に緩和される必要があり得る。一実施形態において、各プルワイヤのローラ60に対する連結点は、ローラ60を通る内腔64の遠位の出口点からの一定の所定距離に存在する。
【0047】
プルワイヤ66〜69は、システムの近位端の内視鏡のハンドルにおける、任意の種類の既知のワイヤ作動装置によってオペレータが操作するために連結可能である。図9において明らかであるように、プルワイヤ66〜69の各々を選択的に操作することによって、眼球のように、3つの軸の周りの球体60の所定の回転度が可能になる。例えば、図3および9を参照すると、プルワイヤ66〜69の制御操作によって、3つの自由度が可能になる。4つのプルワイヤのシステムが、ローラ60の操作機構として開示されるが、ローラの制御された変位のための任意の代替機構が使用可能である。例えば、ローラ60の回転のための代替機構(そのうちのいくつかは、図11〜13を参照してより具体的に後述する)は、具体的に配置され、かつ制御可能なトラックローラ、3つのプルワイヤの配置、または選択的に配置される圧電変換器を備える。
【0048】
図10は、図9の配置と類似する内視鏡の遠位部分の配置を示し、治療器具20の操作のための追加の配置機構をさらに含む。図10において、治療器具20は、ローラ60を貫通する内腔64の開口を貫通する。図10の内腔64内を摺動可能なスリーブ70が延出し、このスリーブ70は、それを収容する内腔64に対して移動するように構成される。スリーブ70は、所定のレベルの剛性を呈するように構成可能であり、その中を通る治療器具20が、スリーブ70が内腔64から延出する方向と一致して確実に方向付けられるようにする。例えば、治療処置中に、スリーブ70を使用して、治療器具20の遠位端を、患者の身体内に位置する空間中の地点に配置することが可能になる。このさらなる配置調整機構は、基本の内視鏡本体全体の操作の繰り返しおよび外傷を引き起こす移動を必要とせずに、治療器具の遠位端を精密に配置可能であるという点において有利である。体内組織と接触中に、延出されたスリーブ70が容易に偏向され、および折り畳まれるならば、スリーブ70(および、その中を通る治療器具20)の適切な制御および再現可能な配置は不可能であり得る。したがって、所定のレベルの剛性を有するスリーブ70の構造が有利である。
【0049】
ローラ60の制御された回転と組み合わせた、内腔64および内視鏡10’’’の内部作業チャネル内におけるスリーブ70の前後方向への移動によって、医療処置中に治療器具20をより精密に配置することが可能になる。スリーブ70は、内視鏡10’’’を近位を貫通するプッシュ式作動ワイヤ(図示せず)を介して、内腔64内で前後方向に移動するように構成されてもよい。例えば、作動ワイヤは、スリーブ70の近位端に連結するように構成可能であり、内視鏡10’’’を通る作動ワイヤの前後方向の移動が、スリーブ70の前後方向の移動に変換されるようにしてもよい。
【0050】
また、内腔64内に慴動可能なスリーブ70を追加することによって、内視鏡システムに対する2つの自由度の追加が可能になる。前述のように、スリーブ70は、内腔64内を前後方向に移動するようにオペレータにより操作可能である。さらに、スリーブ70は、摩擦ばめを介して治療器具20の外面を受容および係合するようなサイズを有し、内腔64内でのスリーブ70の制御された回転が、その中に延在する治療器具20の回転をもたらすことを可能にする。さらに、スリーブ70は、摩擦ばめで治療器具20を係合するように構成され、スリーブ70の前後の運動が、器具20の前後の変位をもたらすことを可能にする。あるいは、スリーブ70の回転による治療器具20の制御された回転は、スリーブ70の内面と、治療器具20の外面との間の補完的な溝および凹所の配置によってもたらされることが可能である。したがって、治療器具20は、ローラ60の制御された回転によって、スリーブ70の前後方向の運動によって、およびスリーブ70の回転によって、精密に操作されて、治療器具20の回転をもたらすことが可能である。
【0051】
図11は、本発明の別の実施形態に従う、内視鏡の遠位部の側面図を示す。図11において、自身の中に配置スリーブ71を収容する一般的な内視鏡10を示す。配置スリーブ71は、その遠位端に位置するローラ60を含む。配置スリーブ71は、それ自体、基本の内視鏡10に対して操作および配置可能である。さらに、配置スリーブ71の遠位端におけるローラ60は、スリーブ71に対して精密に回転および配置可能である。図9〜10の実施形態のように、ローラ60は、その中に治療器具を収容するための内腔64を含む。治療器具の角配置は、スリーブ71に対するローラ60の制御された回転および配置によって精密に制御可能である。このような制御された回転は、上述のプルワイヤのシステムによって、またはローラ60を移動可能なその他の任意の力伝達機構によってもたらされることが可能である。
【0052】
図12は、図9〜11に記載されるローラ60の代替の器具配置機構の部品の側面図を示す。図12に示されるように、ローラ60の回転は、プルワイヤ92に連結されるウェッジ90の近位への移動によってもたらされることが可能である。ウェッジ90は、傾斜面91を含む。ウェッジ90の傾斜面91とローラ60の外面との間の相互作用により、プルワイヤ92の近位への作動時に、ローラ60の制御された回転がもたらされる。例えば、傾斜面91とローラ60との作用により、ウェッジ90およびプルワイヤ92の矢印93方向への近位移動は、矢印94の方向のローラ60の回転をもたらす。ローラ60の外面および傾斜面91のための特定材料は、その間の摺動量を減少するように選択可能である。
【0053】
図13は、図9〜11に記載されるローラ60のための代替の器具の配置機構の部品に関する上面図を示す。図12に記載される可動のウェッジ90の代わりに、図13は、可動のベース部品94を示し、その上にローラ60が存在する。ローラ60とベース部品94との表面間の相互作用により、内視鏡の凹部36内におけるベース部品94の横方向および長手方向の制御された変位は、ローラ60の制御された回転をもたらす。ベース部品94の移動は、矢印95で示される長手方向と、矢印96で示される横方向との両方においてもたらされることが可能である。
【0054】
上述の実施形態の全てにおいて、治療器具のための特定の配置機構は、内視鏡に対する治療器具の特定の位置を解放可能に維持するために、任意の種類の既知の固定機構を備えることが可能である。
【0055】
図14は、患者の身体部分内の内視鏡10’、10’’、または10’’’および治療装置20の配置を示す。図14は、ERCP処置中の、特定の胆管80内における治療器具20の伸展を示す。図14に示されるように、例えば、内視鏡10’’’を患者の胃82に挿入および貫通して、内視鏡10’’’の遠位端および開口部62(図示せず)を、例えば、胆嚢84に通じる特定の胆管80に密接して配置するようにする。図14に示されるように、治療器具20は、内視鏡10’’’の内部作業チャネルを越えて延出される。次に、治療器具は、上述のような、例えば、ローラ60の制御された回転および/または内視鏡10’’’を越えるスリーブ70の追加の延出によって精密に操作されることが可能である。さらに、器具20のさらなる操作は、例えば、スリーブ70の回転によってもたらされることが可能である。
【0056】
治療器具20の精密な操作によって、例えば、対象の特定の胆管80内に器具20を配置する間等において、器具20のより精密な配置および設置が可能になる。治療装置20のより精密な操作は、治療装置20の適切な配置の達成に必要な時間を短縮することによって治療処置の短縮をもたらすことが可能である。さらに、治療装置20が基本の内視鏡10’’’を出る角偏向の制御により、内視鏡の配置中に内視鏡全体の再配置および操作の繰り返しを必要とする内視鏡処置中に引き起こされる内部組織外傷を減少させることが可能である。例えば、上述の配置機構により、特定の胆管80内における治療器具20の配置が容易になり、治療処置時間および治療処置中の組織外傷発生を減少させることが可能になる。
【0057】
上述の配置システムは、プルワイヤ操作機構を利用するように示されているが、本発明は、この特定の構造に限定するようには意図されない。従って、内視鏡の長手方向軸に沿った内視鏡を操作する力を転換するための既知の同様の構造全てを含む代替の作動装置が、本発明の範囲内にあるように意図される。さらに、別途明示的に述べられる場合を除き、開示された種々の実施形態のうちの1つに関する全ての部品および要素を、その他の実施形態のうちのいずれかに関する部品および要素に代替的、付加的に使用することが可能である。
【0058】
本発明のその他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の仕様および実践を考慮することによって当業者に明らかである。仕様および実施例は、例示的なものとしてのみ考えられ、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本国際出願は、先願の米国仮特許出願第60/832,594号(2006年7月24日出願)の優先権を主張するものである。その仮出願の全内容は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、患者の身体部分にアクセスするため、かつ病状の診断および治療のために使用される内視鏡システムに関する。例えば、本発明の実施形態は、解剖学的な病気および疾患の診断および治療を支援するために、内視鏡および付加的な治療装置を所望の身体部分に配置するための特定の内視鏡の配置機構を含んでもよい。
【背景技術】
【0003】
医療用の内視鏡は、種々の診断処置および医療処置に取り入れられている。内視鏡は、患者の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域に医師が頻繁にアクセスする必要のある多種多様の病気および疾患の診断および治療のために使用されている。患者の膵胆道系(胆嚢、膵臓、および胆道系の解剖学的領域を含む)は、例えば、消化器系の特定部分の疾患の診断および/または治療のためにアクセスされる。
【0004】
消化器系の治療中に、内視鏡を使用して、患者の膵胆道系にアクセスして可視化することが多くある。内視鏡が、所望の身体部分に配置されると、治療器具は、内視鏡の作業チャネルを通って所望の身体部分に進められることが可能である。次に、内視鏡および治療器具は、可視化および治療のそれぞれのために必要に応じて操作され得る。
【0005】
内視鏡の逆行性胆道膵管造影(ERCP)は、内視鏡を使用する医療処置の一例である。ERCPによって、医師は、肝臓、胆嚢、胆管、および膵臓における問題を診断することが可能になる。肝臓は、特に、消化を助ける胆汁を生成する大型器官である。胆嚢は、消化に必要とされるまで胆汁を保管する小型で梨型の器官である。胆管は、肝臓から胆嚢および小腸へ胆汁を運ぶ管である。これらの管は、胆道系と呼ばれることがある。膵臓は、消化を助ける化学物質や、インスリン等のホルモンを生成する大型の腺である。
【0006】
胆道系は、肝臓によって生成される胆汁を十二指腸に供給し、十二指腸において、胆汁は、食物の消化の際に他の胃液を支援する。胆道系には、肝臓ならびに複数の身体的チャネルと、肝臓および十二指腸間に配置される器官が含まれる。肝小葉内において、肝細胞からの分泌物を受ける多数の微細な「毛細胆管」がある。隣接する小葉の管が一体化して、より大きな管を形成し、これらが一つにまとまって「肝管」になる。次に、これらは結合して「総肝管」を形成する。「総胆管」は、総肝管および総胆嚢管によって形成される。これは、十二指腸に通じ、十二指腸において、その出口は、括約筋によって保護される。この括約筋は、胆汁が総胆管に集まって胆嚢管に戻るように、通常、胆汁が必要とされるまで収縮したままである。これが起こると、胆汁は、胆嚢に流れ込み、そこで保管される。
【0007】
ERCPは、胆石、炎症性狭窄(瘢痕)、漏出(外傷および手術からの)、および癌を含む、胆管の状態を診断および治療するために主に使用される。ERCPは、X線および内視鏡の使用を併用する。内視鏡によって、医師は、胃および十二指腸の内部を見ることが可能であり、また、胆道系および膵臓の管に染料を注入して、X線で見ることが可能である。
【0008】
ERCPは、主に、胆管または膵臓の問題を同定するために実行される。その他の用途は、診断だけでなく治療を対象とする。例えば、その他の処置は、胆石除去および括約筋切開刀のために内視鏡を使用することを含む。さらに、診断処置および治療処置の組み合わせを実行してもよい。例えば、検査中に胆石を発見した場合、大手術を行なうことを必要とせずに治療器具によって除去することができる。胆管が閉塞されて、黄疸または痛みを伴う場合、内視鏡に挿入される治療器具を使用してそれを緩和することができる。
【0009】
内視鏡は、多くの場合、患者の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域にアクセスすることに使用されるため、医療処置中の内視鏡の操作および配置の繰り返しによって、問題のある副作用がもたらされる可能性がある。例えば、内視鏡の操作および配置の繰り返しによって、患者の内部組織に不必要な外傷がもたらされる可能性がある。不適切な配置および所望の治療領域へのアクセスする試行の繰り返しにより、組織外傷が悪化し、また、医療処置が不必要に長引く可能性がある。したがって、より精密な内視鏡操作の必要性ならびに内視鏡のアクセスチャネルを通る基本の治療器具を操作する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特定の解剖学的な体内内腔の蛇行している比較的小さい断面の領域に、より精密にアクセスすることが可能であり、かつ、内視鏡のアクセスチャネル内に設けられる治療装置をより精密に操作することが可能である内視鏡組立体を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、従来の医療装置の限界および不利点のうちの1つ以上を克服する、治療装置を操作するために改善された内視鏡システムおよび配置装置を対象とする。
【0012】
一実施形態において、医療装置は遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。配置機構は、開口部に近接する可撓管の遠位端に配置される。配置機構は、内腔を貫通する治療器具に力を伝達するため、および治療器具が開口部から延出する方向を制御するために、少なくとも2つの自由度において移動するように構成される。
【0013】
種々の実施形態において、本装置は、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい:配置機構は、可撓管の遠位端における凹部内に収容され、配置機構は、凹部内のピンの周りで回転するように構成されること;配置機構は、凹部内においておよびピンに沿って横方向変位するように構成されること;配置機構は、凹部内において長手方向変位するように構成されること;配置機構が、ピンに対して長手方向移動するように構成されるように、配置機構は、自身の中を貫通するピン含み、ピンは細長いスロットを収容すること;長手方向に向けられる作動力がもはや配置機構に加えられなくなると、配置機構が長手方向の静止位置に戻るように、弾力的なスポンジ材料が細長いスロットの一部の中に含まれること;配置機構は、配置機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成されること;配置機構が、配置機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように、ピンは弾力的かつ可撓性の材料を含むこと;配置機構の第1の側面に対向する配置機構の第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、他方の端部において可撓管に連結されるバネをさらに備え、プルワイヤの作動後に配置機構が静止位置に戻るように構成されること;配置機構は、その遠位端に配置されるローラを有する可動の配置スリーブを備え、ローラは、スリーブに対して回転可能であり、かつ自身の中を貫通する内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するために構成されること;配置機構は、配置機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向変位するように構成されること;配置機構は、配置機構の第1の側面に対向する配置機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向とは反対の第2の方向に横方向変位するように構成されること;配置機構の第1および第2の側面に連結されるプルワイヤは、配置機構から横方向に延出し、凹部内に位置する力伝達柱に巻き付き、そこから近位に延出すること;配置機構は、内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含むこと;開口部は、可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部であること;配置機構は、少なくとも3つの自由度において移動するように構成されること;配置機構は、3つの直交軸の周りで回転可能であること;配置機構は、開口部に対して回転可能なローラを備え、ローラは、自身の中を貫通する内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成されること;ローラを通る内腔の近位端は、細長い可撓管の内腔との整合を維持するように構成されること;ローラを通る内腔は、近位の開口よりも遠位の開口が狭い円錐形を呈すること;ローラの内腔内に延在し、かつローラの内腔内においておよびそれを越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備えること;スリーブは、治療器具を収容し、かつスリーブの回転時に治療器具に回転を与えるように構成されることと、ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成されること;開口部に対するローラの回転は、ローラに沿った所定位置に各々が固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成されること;ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下のベース部の近位への移動によって達成されること;各プルワイヤのローラに対する取り付けは、ローラの内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じること;少なくとも3つのプルワイヤは、ローラに固定して取り付けられること;医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡であることなどの特徴である。
【0014】
別の実施形態において、医療装置は、遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。偏向機構は、開口部に対向する可撓管の遠位端内に収容され、そして偏向機構は、凹部内に延在するピンの周りで回転し、かつピンに沿って横方向に変位するように構成される。
【0015】
種々の実施形態において、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を本装置は含んでもよい:偏向機構は、凹部内において長手方向変位するように構成されること;偏向機構が、ピンに対して長手方向に移動するように構成されるように、偏向機構は、自身を貫通するピンを含み、ピンは細長いスロットを収容すること;長手方向に向けられる作動力がもはや偏向機構に加えられなくなると、偏向機構が長手方向の静止位置に戻るように、弾力的なスポンジ材料が細長いスロットの一部の中に含まれること;偏向機構は、偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成されること;偏向機構が、偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように、ピンは弾力的なかつ可撓性の材料を含むこと;偏向機構は、内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含むこと;開口部は、可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部であること;偏向機構は、偏向機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向変位するように構成されること;偏向機構は、偏向機構の第1の側面に対向する偏向機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向とは反対の第2の方向に横方向変位するように構成されること;偏向機構の第1および第2の側面に連結されるプルワイヤは、偏向機構から横方向に延出し、凹部内に位置する力伝達柱に巻き付き、そこから近位に延出することなどの特徴である。
【0016】
別の実施形態において、医療装置は、遠位端および近位端を含み、かつ近位端から遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管を備える。ローラは、可撓管の遠位端に配置され、かつ開口部に対して回転可能であり、そして、ローラは、自身の中を通る内腔を含み、内腔は内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される。
【0017】
種々の実施形態において、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を本装置は含んでもよい:可動スリーブをさらに備え、ローラは、その遠位端に配置され、ローラは、スリーブに対して回転可能であること;スリーブは、ローラの内腔内に延在し、かつローラの内腔内においておよびそれを越えて遠位に可動であり、そして、スリーブは、治療器具を収容し、かつスリーブの回転時に治療器具に回転を与えるように構成されること;ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成されること;開口部に対するローラの回転は、各々がローラに沿った所定位置に固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成されること;ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下の傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成されること;ローラの遠位に配置される可動ベース部をさらに備え、開口部に対するローラの回転は、ローラの下のベース部の長手方向および横方向移動によって達成されること;各プルワイヤのローラに対する取り付けは、ローラの内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じること;少なくとも3つのプルワイヤは、ローラに固定して取り付けられること;医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は照明部品を自身の中に含む内視鏡であること;医療装置は、細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡であることなどの特徴である。
【0018】
本発明の追加の目的および利点は、以下の説明において部分的に記載され、また、その説明により部分的に明らかであり、あるいは本発明の実施によって習得されてもよい。本発明の目的および利点は、添付の請求項において具体的に指摘される要素および組み合わせによって実現および達成される。
【0019】
前述の概略説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的であるだけであり、請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0020】
本明細書の一部に組み込まれ、また、本明細書の一部を構成する添付の図面は、発明のいくつかの実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来技術の内視鏡システムの斜視図である。
【図2】図2は、既知の昇降装置の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、連結された本体のシステムにおける要素の平行移動変位および回転変位を指定するための例示的な座標系を示す。
【図4】図4は、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部分の断面図である。
【図5】図5は、本発明のある実施形態に従う器具配置装置の部品の上面図である。
【図6A】図6Aは、本発明のある実施形態に従う器具配置装置の部品の斜視図である。
【図6B】図6Bは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図7A】図7Aは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。
【図7B】図7Bは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の正面図である。
【図7C】図7Cは、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部の側面図である。
【図8A】図8Aは、発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の側面図である。
【図8B】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図8C】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図8D】図8B〜8Dは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の上面図である。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡および治療器具の遠位部の斜視図である。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の側面図である。
【図12】図12は、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置機構の部品の側面図である。
【図13】図13は、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置機構の部品の上面図である。
【図14】図14は、患者の身体部分内における内視鏡および治療装置の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の例示的な実施形態を詳細に参照していく。その例示的実施形態の例は、添付の図面において示される。可能な限り同一の参照番号を図面において使用して、同一または類似の部分を指すようにする。本出願の図面は、基本となるシステムの機能要素に関する一般的な理解を提供するように意図される。したがって、別途明示的に記述のない限り、図面は、図示される相互関係のある部品に対する比例した寸法または精密な位置について正確な描写を表さない。
【0023】
例示的実施形態によると、本発明は、治療装置の配置および/または患者の体内部分の観察のための医療装置に関する。内視鏡的な医療処置に治療装置を使用する実施形態において、治療装置は、内視鏡の作業チャネルを通って組織の管に進められることが可能であり、治療装置と共に使用するために具体的に設計および/寸法付けられる内視鏡を含む。本開示において、「治療装置」または「治療器具」は、例えば、内視鏡の作業チャネルを通って進められ、かつ内視鏡的な処置中に使用される任意の機能医療装置を含む。例示的な治療器具には、ガイドワイヤ、切断または把握鉗子、生検装置、スネアループ、注射針、切断刃、ハサミ、格納式バスケット、検索装置、焼灼および/または電気生理学カテーテル、ステント配置装置、外科用ステープル装置、ならびにバルーン付きカテーテルが含まれるがそれだけに限定されない。
【0024】
図1は、既知の内視鏡システムを示す。本開示において、「遠位」は、使用中に装置のオペレータから離れている端部を指し、「近位」は、使用中に装置のオペレータに近い端部を指す。図1は、装置の遠位端14と近位端16との間に延在する可撓外管12を含む内視鏡10を示す。内視鏡10は、内視鏡10の作業チャネルに治療装置20を収容するための治療装置の挿入口11を含む。内視鏡システム10の遠位端14は、側面対向型操作窓18を含み、この操作窓は、治療処置中に観察するための可視化部品および照明部品を含むことが可能である。さらに、作業チャネル(図示せず)は、内視鏡10内に延在し、操作窓18を終点とするため、治療器具20は、内視鏡10の遠位端から延出されることが可能になる。次に、所望の治療部位における治療器具20の延出は、可視化部品によって観察されることが可能であり、この可視化部品は、本技術分野において既知であるように、画像を内視鏡10の近位端に伝送する。図1は、側面対向型操作窓18を示すが、前部/前方対向型および斜角/中間角型の両方の窓が既知である。
【0025】
図2は、既知の内視鏡システムの遠位部分の断面図を示し、器具が内視鏡の作業チャネルを越えて延出する際に、治療器具を偏向するための偏向レバー/昇降装置を含む。図2に示すように、偏向レバー22は、偏向レバー22の上部に連結されるプルワイヤ26によって、ピン24の周りを時計回りに回転する。プルワイヤ26がその近位への移動により作動すると、偏向レバー22は、治療装置20が内視鏡の作業チャネルから出る角度を変更するように治療装置20を偏向し、その結果、図2の点線で示される装置20の位置になる。プルワイヤ26によって、内視鏡のオペレータは、医療処置中の配置の際に、治療器具20の位置を制御することが可能である。
【0026】
図1に示されるように、装置の近位端16におけるハンドル28は、医療処置中に装置の配置をするために、可撓外管12の屈曲および回転をもたらすための種々の配置制御30を含むことが可能である。さらに、ハンドルは、偏向レバーのプルワイヤ26の作動のための個別の配置制御を含むことが可能である。例えば、ERCP処置等の医療処置中に、治療器具20は、胆道系における特定の管に精密に挿入されなければならない。偏向レバー26の使用により、治療装置が内視鏡から出る角度を変更することは可能であるが、精密な配置は、治療装置20の適切な配置を達成するために、多くの場合、操作窓を含む内視鏡の遠位端を繰り返し操作する必要がある。前述のように、基本の内視鏡10のこのような操作の繰り返しにより、組織の外傷がもたらされ、また、医療処置全体が不必要に長引く可能性がある。
【0027】
図2の実施形態に示されるように、偏向レバー26は、単軸(つまり、ピン24に一致する軸)の周りで変位可能である。したがって、レバー26は可動であり、1つの自由度における治療装置20の移動のみをもたらす。追加の特定の座標軸に沿ってまたはその周りで操作が可能になる場合に、治療器具の操作はより精密になる。自由度とは、特定の座標軸に沿うまたはその周りでの変位により付加される運動の柔軟性をいう。
【0028】
図3は、3つの直交軸X、Y、およびZを示す既知のデカルト座標系を示す。運動の完全な自由(限定された範囲であっても)を有する連結体の結合または任意のシステムは、6つの自由度を有する。3つのモードは、平行移動である(つまり、3つ直交軸の各々に平行な方向に、3つの次元の各々に移動する能力)。追加の3つのモードは回転、つまり、3つの直交軸の周りの角位置を変更する能力である。空間における任意の場所に構造を移動するのに必要な自由度は3つだけであるが、追加の自由度により、より多様性が提供される。例えば、Y軸に沿って上下に移動すること(上下移動)、X軸に沿って左右に移動すること(左右移動)、Z軸に沿って前後に移動すること(前後移動)、上下に傾くこと(X軸の周りを回転Rx)、左右に回転すること(Y軸の周りを回転Ry)、および左右に傾くこと(Z軸の周りを回転Rz)のうちの各々は、1つの自由度である。したがって、複数の自由度において移動をもたらす配置機構は、基本の治療装置のより精密な配置を可能にする。
【0029】
図4は、本発明のある実施形態に従う内視鏡の遠位部分の断面図を示す。図4は、改善された内視鏡10’の遠位端14の断面図を示す。内視鏡10’の遠位部分は、外部可撓外管12’と、側面対向型の操作窓開口部32と、内視鏡10’内の内腔を形成し、かつ内視鏡10’の近位端から延出して操作窓開口部32で終点となる作業チャネル34とを含む。配置ブロック35の形の偏向昇降部は、内視鏡10’の遠位端の操作窓開口部32に対向する位置における凹部36内に収容される。
【0030】
図5〜6Bは、配置ブロック35の移動を制御する例示的な変位機構の上面図および斜視図をそれぞれ示す。図6Aに示すように、配置ブロック35は、内視鏡の作業チャネル(図4参照)を越えて延出する治療器具との接触を維持するように構成される湾曲した凹面38を含む。配置ブロック35の湾曲面38は、治療器具20の延出中に、治療器具20に対して偏向力を伝達するための表面としての役割を果たす。あるいは、配置ブロック35は、閉鎖された上面を含むことによって、その中に治療器具を収容するための内腔を形成してもよい。別の代替として、配置ブロックには、凹面38に形成される切り欠きまたはチャネルが設けられることが可能である。切り欠きには、V字形の溝が設けられることが可能であり、そのV字形の溝は、受動的な摩擦ばめ係合で、その中に治療器具を解放可能に係合するようなサイズを有する。
【0031】
配置ブロック35は、内視鏡の遠位端内においてピン40を介して動作可能に連結するように配置され、ピン40は、内視鏡の遠位端14内において横方向に、かつ外管12’の長手方向軸に垂直に延在する。ピン40は、配置ブロック35の本体に形成されるピン開口部42内において横方向に延在する。ピン40は、可撓管12’に固定され、配置ブロック35はピン40の周りで回転し、また、ピン40に対して横方向に平行移動するように構成されるようにする。ピン40は、開口部42を貫通するが、配置ブロック35に固定的には取り付けられない。したがって、配置ブロック35は、例えば、作業チャネル34内に延在する装置20等の治療器具を偏向するように構成される。配置ブロック35は、プルワイヤ44の作動により、図4の点線で示されるように、回転ピン40の周りに時計回りに回転するように構成される。プルワイヤ44は、配置ブロック35に沿った遠位上方のオフセット位置に連結され、プルワイヤ44の近位移動により、回転ピン40の周りで配置ブロック35が回転するようにする。図4の点線で示されるように、プルワイヤ44は、内視鏡のプルワイヤチャネル(図示せず)内において近位に延出し、このチャネルにおいて、内視鏡の近位端のハンドルにおける配置制御装置と連結するように延出する。プルワイヤ44が近位方向に変位させられると、配置ブロック35および治療器具20は、治療器具20が内視鏡10’から延出する角度が増加するように回転する(図4の点線で示されるように)。
【0032】
例えば、プルワイヤ44は、曲げレバーまたは回転輪制御装置に連結するように延出して、近位への作動がオペレータによってもたらされ得る。プルワイヤ要素は、配置ブロック35の偏向のための機構として示されているが、代替の偏向機構を使用することが可能であり、その偏向には、前方作動プッシュワイヤ、またはスタイレット、電子圧電曲げ変換器、および配置ブロック35の下にある空気注入式カフ要素が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0033】
図4〜6Bを組み合わせて参照すると、偏向制御プルワイヤ44に加え、内視鏡10’は、横方向の変位機構を備える。図4に示されるように、ピン40は、内視鏡10’の遠位端を横切って、凹部36内の横方向距離Lに延在する。前述のように、ピン40は、配置ブロック35内のピン開口部42を貫通する。ピン40の周りの回転による偏向能力に加え、配置ブロック35は、内視鏡10’の遠位端内の凹部36の左側と右側との間の距離Lに沿ってピン40に対して横方向に変位するようにも構成される。
【0034】
配置ブロック35は、ブロック35の対向する側面に沿って表面46aおよび46bを含む。横方向変位プルワイヤ48aおよび48bの各々は、配置ブロック35の側面46aおよび46bに沿った点において連結される。プルワイヤ48aおよび48bは、配置ブロック35から離れるように横方向に延出し、配置ブロック35において、力伝達柱50に巻き付き、その力伝達柱50から離れるように近位に延出し、力伝達柱50は内視鏡の凹部36内で上方に延出する。図5〜6Bに示されるように、プルワイヤ48aの近位への作動により、ピン40のガイドに沿って、配置ブロック35の右側への横方向変位がもたらされる。反対に、プルワイヤ48bの近位への作動により、ピン40のガイドに沿って、配置ブロック35の左側への横方向変位がもたらされる。左側および右側の力伝達柱50の配置により、プルワイヤ48aおよび48bのどちらかに沿う近位に向けられた力を、横方向距離Lに沿った配置ブロックの変位のための横方向伝達力に転換することが可能になる。したがって、プルワイヤ48aおよび48bは、柱50の周りで屈曲し、配置ブロック35の回転中に緩むことを許容するようにある程度の可撓性を呈する。
【0035】
横方向プルワイヤ48aおよび48bに対する連結点は、偏向制御ワイヤ44の作動による回転ピン40の周りの配置ブロック35の回転偏向に対する干渉量が最も少なくなるように選択されるべきである。例えば、図4〜6Aに示すように、横方向プルワイヤ48a、48bおよび配置ブロック35は、開口部42の直近位の点で連結してもよい。図示される連結点は、非限定的であることが意図され、偏向ワイヤ44の自由な作動へのいかなる干渉をも減少させることに焦点を当てた代替の連結位置が可能である。さらに、横方向変位のために示されるプルワイヤ配置も非限定的であると意図され、配置ブロック35の横方向変位を達成するための機構も可能である。例えば、ラックアンドピニオン式ギア機構等の、前後の力を横方向の力に転換する任意の代替の機械力転換機構を利用することが可能である。
【0036】
例えば、図6Bは、代替の配置ブロック35’の上面図を示す。図6Bに示すように、配置ブロック35’の配置は、図6Aの配置が必要とする2つの横方向プルワイヤ48aおよび48bの代わりに、単一のプルワイヤ49のみを必要とする。単一のプルワイヤ49は、配置ブロック35’の片方の側面に連結され、バネ51が、プルワイヤ49の連結面と対向する配置ブロック35’の他方の面に連結される。配置ブロック35’に取り付けられないバネ51の端部は、凹部36内の基本の内視鏡の内面に固定されることが可能である。さらに、図6Bの配置は、プルワイヤ49と相互作用する力伝達柱50を1つしか含まないという点において、図6Aの配置と異なる。処置中に、プルワイヤ49が近位へ作動すると、配置ブロック35’は、横方向に操作および変位可能になる。プルワイヤ49による配置ブロック35’の作動力が除去されると、バネ51が、配置ブロック35’に作用し、それを初期の静止位置に戻す。
【0037】
図7A〜7Cは、本発明のある実施形態に従う、横方向変位および偏向制御の組み合わせ型配置ブロックを利用する内視鏡10’’の遠位部に関する斜視図、正面図、および側面図をそれぞれ示す。例えば、図7Aは、治療器具の操作のための配置ブロック35ならびに体内部分を観察するための可視化装置52および照明装置54を含む操作窓32を備える内視鏡10’’の遠位部分に関する斜視図を示す。図7Bの正面図を参照すると、長さLの左端と右端との間の配置ブロック35の横方向変位が示される。上述のように、横方向プルワイヤ48aおよび48bの作動により、外傷を起こす基本の内視鏡10’’の移動を行なうことなく、延出した治療器具20のより精密な操作が可能になる。具体的には、配置ブロック35の横方向の動きと回転との組み合わせにより、従来の昇降回転システムによって可能な単一の配置自由度とは対照的に、2つの自由度による治療器具の精密な操作が可能になる。
【0038】
図7Cは、内視鏡10’’の遠位部分の側面図を示し、具体的には、治療器具20が内視鏡10’’の作業チャネルから延出する際における治療器具20の偏向を示す。偏向プルワイヤ44の作動によって、基本の内視鏡10’’の作業チャネルから延出する治療器具の偏向角β(図7Cに示される)を増減するように、配置ブロップ35の回転がもたらされる。例えば、ピン40の周りの配置ブロック35の回転によって、内視鏡10’’の長手方向軸に対して、約30度から約135度の間で治療器具20の偏向をもたらすことが可能である。
【0039】
図8Aは、本発明のある実施形態に従う代替の器具配置装置の部品の側面図である。図8Aは、前述の配置ブロック35と類似している代替の配置ブロック35’’を示し、細長いピンスロット(またはチャネル)45の特徴が、前述のピン開口部42と置き換わっている。細長いピンスロット45を含むことによって、基本の内視鏡に対する配置ブロック35’’の所定の制御された長手方向(遠位および近位の両方向)変位が可能になる。
【0040】
細長いピンスロット45の長さは、配置ブロック35’’の長手方向変位の程度を決定する。配置ブロック35’’の最遠位の変位位置および最近位の変位位置において、ピンスロット45の内面と、その中に収容される回転ピン40との間の係合により、配置ブロック35’’のさらなる移動が防止される。基本の内視鏡の凹部36内での配置ブロック35’’の前後の移動は、配置ブロック35’’を変位させることが可能な任意の力作動機構によってもたらされることができる。例として、プルワイヤ、プッシュ式スタイレット、流体圧駆動の力伝達機構、および拡張式バルーンが挙げられるが、それだけに限定されない。スロット45は、例えば、スポンジ材料等の弾力的かつ自己回復の材料によって充填されてもよい。スポンジ材料をスロット45内に含むことによって、その中のピン40の安定化が可能になり、変位の力がもはや配置ブロック35’’に伝達されなくなると、ピンが中央の静止位置に戻るようにする。
【0041】
ピン40に対する配置ブロック35’’の回転(例えば、図4に示される治療器具の偏向を達成するための)は、凹部36内の配置ブロック35’’の長手方向の位置を維持し、次に、上述のように、配置ブロック35’’に制御された回転をさせることによって達成可能である。配置ブロック35’’の長手方向位置を維持することは、受動位置固定機構の任意の種類の既知の作動によって達成可能である。
【0042】
図8Bおよび8Cは、配置ブロック35’’の部分断面図を示し、スロット45内のピン40の位置を示す。図8Bおよび8Cに示されるように、スロット45の領域によって、収容凹部内での配置ブロック35’’の局部的な角変位能力が可能になる。したがって、配置ブロック35’’の純粋な横方向変位および長手方向変位の能力に加えて、スロット45の領域によって、配置ブロック35’’のより広い領域の移動を可能にする局部的な角変位(図8Cに示される)が可能になる。
【0043】
図8Dは、配置ブロック35’’の部分断面図を示し、スロット45内に配置される代替の可撓回転ピン40’を示す。可撓回転ピン40’の使用により、配置ブロック35’’の角変位のさらなる制御が可能になる。図8Dに示されるように、ピン40’の可撓性により、回転ピンが剛性である構成において可能である変位よりも、配置ブロック35’’のさらなる角変位が可能になる。配置ブロック35’’の角変位の制御は、既知の力伝達機構の使用によりもたらされることが可能である。
【0044】
図9は、本発明の別の実施形態に従う内視鏡の遠位部の斜視図である。図9は、ローラ60を収容する開口部62を部分的に形成する操作窓56を含む内視鏡10’’’の遠位部分を示す。例えば、ローラ60のサイズは、操作窓の開口部62内に保持されるように選択可能である。ローラ60は、その中を通る内腔64を含み、この内腔64は、内視鏡10’’’の作業チャネル(図示せず)の延長を形成し、医療処置中に、内腔64の遠位開口部から治療器具が延出することを可能にする。ローラ60は、開口部62内に回転可能に収容される限り、任意の形状で提供されることが可能である。ローラ60は、ボールソケット型継ぎ手が形成されるように、開口部62内に収容されてもよい。例えば、ローラ60は、図9および10に示すように球形に形成されることが可能である。あるいは、ローラ60は、円筒形、楕円形、湾曲したフットボール形、または、任意の3次元構造を呈するように形成されることが可能であり、その3次元形状は、例えば、内腔64の開口を開口部62内に収容しつつ、内視鏡10’’’に対して移動させるように構成される部分的に湾曲した外面を呈する。したがって、ローラ60と開口部62との相対的形状は、ハウジングとその中におけるローラ60との移動を促進するように調整するべきである。
【0045】
前述のように、ローラ60は、開口部62内で回転するように構成され、内腔64の開口が、その中を貫通する治療器具のより精密な操作のために方向付けられるようにすることが可能である。治療器具が、内視鏡10’’’の内部作業チャネルを遠位に延出される際に、ローラ60を貫通する内腔64は、治療器具を収容するように構成される。内腔64は、治療器具が内視鏡10’’’から外へ延出する方向を移動可能に方向付けて調整するように構成されるため、内腔64の近位端は、治療器具を収容する内視鏡10’’’の内部作業チャネルの遠位開口との連通を維持するはずである。例えば、内腔64は、図9に示すように円錐形65を呈する。したがって、内腔64は、近位端における大口径の開口から、内腔64の出口の遠位点の比較的狭い直径まで、遠位方向に延在する。内腔64の近位端は、より大きい直径の開口を呈するため、ローラ60が開口部62に対して移動する際に、内視鏡10’’’の内部作業チャネルと内腔64との間の整合および連通は維持される。
【0046】
ローラ60は、プルワイヤのシステムによって、ハウジングの開口部62に対して操作可能である。例えば、図9は、ローラ60を操作するための4つのプルワイヤ66〜69のシステムを示す。プルワイヤ66〜69は、ローラ60に固定して取り付けられることが可能であり、その各々は、内腔64の遠位の出口点から所定の距離にある。プルワイヤ66〜69の各々は、内腔64の遠位の出口点に対して間隔があけられることが可能であり、プルワイヤ66〜69の各々の選択的な操作により、少なくとも2つの直交軸の周りでローラ60の所定の回転度が可能になるようにする。例えば、ワイヤ66における張力の緩和と対になるワイヤ68の近位への作動により、図9における上方に延出する、軸に対するローラ60の制御された回転が可能になる。ワイヤ66〜69の一部における張力は、ローラ60の制御された回転を可能にするために、ユニットにおけるその他のワイヤの選択的な緊張と協同して選択的に緩和される必要があり得る。一実施形態において、各プルワイヤのローラ60に対する連結点は、ローラ60を通る内腔64の遠位の出口点からの一定の所定距離に存在する。
【0047】
プルワイヤ66〜69は、システムの近位端の内視鏡のハンドルにおける、任意の種類の既知のワイヤ作動装置によってオペレータが操作するために連結可能である。図9において明らかであるように、プルワイヤ66〜69の各々を選択的に操作することによって、眼球のように、3つの軸の周りの球体60の所定の回転度が可能になる。例えば、図3および9を参照すると、プルワイヤ66〜69の制御操作によって、3つの自由度が可能になる。4つのプルワイヤのシステムが、ローラ60の操作機構として開示されるが、ローラの制御された変位のための任意の代替機構が使用可能である。例えば、ローラ60の回転のための代替機構(そのうちのいくつかは、図11〜13を参照してより具体的に後述する)は、具体的に配置され、かつ制御可能なトラックローラ、3つのプルワイヤの配置、または選択的に配置される圧電変換器を備える。
【0048】
図10は、図9の配置と類似する内視鏡の遠位部分の配置を示し、治療器具20の操作のための追加の配置機構をさらに含む。図10において、治療器具20は、ローラ60を貫通する内腔64の開口を貫通する。図10の内腔64内を摺動可能なスリーブ70が延出し、このスリーブ70は、それを収容する内腔64に対して移動するように構成される。スリーブ70は、所定のレベルの剛性を呈するように構成可能であり、その中を通る治療器具20が、スリーブ70が内腔64から延出する方向と一致して確実に方向付けられるようにする。例えば、治療処置中に、スリーブ70を使用して、治療器具20の遠位端を、患者の身体内に位置する空間中の地点に配置することが可能になる。このさらなる配置調整機構は、基本の内視鏡本体全体の操作の繰り返しおよび外傷を引き起こす移動を必要とせずに、治療器具の遠位端を精密に配置可能であるという点において有利である。体内組織と接触中に、延出されたスリーブ70が容易に偏向され、および折り畳まれるならば、スリーブ70(および、その中を通る治療器具20)の適切な制御および再現可能な配置は不可能であり得る。したがって、所定のレベルの剛性を有するスリーブ70の構造が有利である。
【0049】
ローラ60の制御された回転と組み合わせた、内腔64および内視鏡10’’’の内部作業チャネル内におけるスリーブ70の前後方向への移動によって、医療処置中に治療器具20をより精密に配置することが可能になる。スリーブ70は、内視鏡10’’’を近位を貫通するプッシュ式作動ワイヤ(図示せず)を介して、内腔64内で前後方向に移動するように構成されてもよい。例えば、作動ワイヤは、スリーブ70の近位端に連結するように構成可能であり、内視鏡10’’’を通る作動ワイヤの前後方向の移動が、スリーブ70の前後方向の移動に変換されるようにしてもよい。
【0050】
また、内腔64内に慴動可能なスリーブ70を追加することによって、内視鏡システムに対する2つの自由度の追加が可能になる。前述のように、スリーブ70は、内腔64内を前後方向に移動するようにオペレータにより操作可能である。さらに、スリーブ70は、摩擦ばめを介して治療器具20の外面を受容および係合するようなサイズを有し、内腔64内でのスリーブ70の制御された回転が、その中に延在する治療器具20の回転をもたらすことを可能にする。さらに、スリーブ70は、摩擦ばめで治療器具20を係合するように構成され、スリーブ70の前後の運動が、器具20の前後の変位をもたらすことを可能にする。あるいは、スリーブ70の回転による治療器具20の制御された回転は、スリーブ70の内面と、治療器具20の外面との間の補完的な溝および凹所の配置によってもたらされることが可能である。したがって、治療器具20は、ローラ60の制御された回転によって、スリーブ70の前後方向の運動によって、およびスリーブ70の回転によって、精密に操作されて、治療器具20の回転をもたらすことが可能である。
【0051】
図11は、本発明の別の実施形態に従う、内視鏡の遠位部の側面図を示す。図11において、自身の中に配置スリーブ71を収容する一般的な内視鏡10を示す。配置スリーブ71は、その遠位端に位置するローラ60を含む。配置スリーブ71は、それ自体、基本の内視鏡10に対して操作および配置可能である。さらに、配置スリーブ71の遠位端におけるローラ60は、スリーブ71に対して精密に回転および配置可能である。図9〜10の実施形態のように、ローラ60は、その中に治療器具を収容するための内腔64を含む。治療器具の角配置は、スリーブ71に対するローラ60の制御された回転および配置によって精密に制御可能である。このような制御された回転は、上述のプルワイヤのシステムによって、またはローラ60を移動可能なその他の任意の力伝達機構によってもたらされることが可能である。
【0052】
図12は、図9〜11に記載されるローラ60の代替の器具配置機構の部品の側面図を示す。図12に示されるように、ローラ60の回転は、プルワイヤ92に連結されるウェッジ90の近位への移動によってもたらされることが可能である。ウェッジ90は、傾斜面91を含む。ウェッジ90の傾斜面91とローラ60の外面との間の相互作用により、プルワイヤ92の近位への作動時に、ローラ60の制御された回転がもたらされる。例えば、傾斜面91とローラ60との作用により、ウェッジ90およびプルワイヤ92の矢印93方向への近位移動は、矢印94の方向のローラ60の回転をもたらす。ローラ60の外面および傾斜面91のための特定材料は、その間の摺動量を減少するように選択可能である。
【0053】
図13は、図9〜11に記載されるローラ60のための代替の器具の配置機構の部品に関する上面図を示す。図12に記載される可動のウェッジ90の代わりに、図13は、可動のベース部品94を示し、その上にローラ60が存在する。ローラ60とベース部品94との表面間の相互作用により、内視鏡の凹部36内におけるベース部品94の横方向および長手方向の制御された変位は、ローラ60の制御された回転をもたらす。ベース部品94の移動は、矢印95で示される長手方向と、矢印96で示される横方向との両方においてもたらされることが可能である。
【0054】
上述の実施形態の全てにおいて、治療器具のための特定の配置機構は、内視鏡に対する治療器具の特定の位置を解放可能に維持するために、任意の種類の既知の固定機構を備えることが可能である。
【0055】
図14は、患者の身体部分内の内視鏡10’、10’’、または10’’’および治療装置20の配置を示す。図14は、ERCP処置中の、特定の胆管80内における治療器具20の伸展を示す。図14に示されるように、例えば、内視鏡10’’’を患者の胃82に挿入および貫通して、内視鏡10’’’の遠位端および開口部62(図示せず)を、例えば、胆嚢84に通じる特定の胆管80に密接して配置するようにする。図14に示されるように、治療器具20は、内視鏡10’’’の内部作業チャネルを越えて延出される。次に、治療器具は、上述のような、例えば、ローラ60の制御された回転および/または内視鏡10’’’を越えるスリーブ70の追加の延出によって精密に操作されることが可能である。さらに、器具20のさらなる操作は、例えば、スリーブ70の回転によってもたらされることが可能である。
【0056】
治療器具20の精密な操作によって、例えば、対象の特定の胆管80内に器具20を配置する間等において、器具20のより精密な配置および設置が可能になる。治療装置20のより精密な操作は、治療装置20の適切な配置の達成に必要な時間を短縮することによって治療処置の短縮をもたらすことが可能である。さらに、治療装置20が基本の内視鏡10’’’を出る角偏向の制御により、内視鏡の配置中に内視鏡全体の再配置および操作の繰り返しを必要とする内視鏡処置中に引き起こされる内部組織外傷を減少させることが可能である。例えば、上述の配置機構により、特定の胆管80内における治療器具20の配置が容易になり、治療処置時間および治療処置中の組織外傷発生を減少させることが可能になる。
【0057】
上述の配置システムは、プルワイヤ操作機構を利用するように示されているが、本発明は、この特定の構造に限定するようには意図されない。従って、内視鏡の長手方向軸に沿った内視鏡を操作する力を転換するための既知の同様の構造全てを含む代替の作動装置が、本発明の範囲内にあるように意図される。さらに、別途明示的に述べられる場合を除き、開示された種々の実施形態のうちの1つに関する全ての部品および要素を、その他の実施形態のうちのいずれかに関する部品および要素に代替的、付加的に使用することが可能である。
【0058】
本発明のその他の実施形態は、本明細書に開示された本発明の仕様および実践を考慮することによって当業者に明らかである。仕様および実施例は、例示的なものとしてのみ考えられ、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該開口部に近接する該可撓管の該遠位端に配置される配置機構であって、該配置機構は、該内腔を通って延在する治療器具に力を伝達するため、および治療器具が該開口部から延出する方向を制御するために、少なくとも2つの自由度において移動するように構成される、配置機構と
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記配置機構は、前記可撓管の前記遠位端における凹部内に収容され、該配置機構は、該凹部内のピンの周りで回転するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記配置機構は、前記凹部内において、および前記ピンに沿って横方向に変位するように構成される、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記配置機構は、前記凹部内において長手方向に変位するように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記配置機構が、その中を貫通し、かつ前記ピンを収容する細長いスロットを含むことにより、該配置機構は、該ピンに対して長手方向に移動するように構成される、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
弾力的なスポンジ材料が、前記細長いスロットの一部の中に含まれることにより、前記配置機構は、長手方向に向けられる作動力がもはや該配置機構に加えられなくなると、静止する長手方向の位置に戻る、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記配置機構は、該配置機構の横方向変位と長手方向変位との組み合わせによって、角変位するように構成される、請求項4に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ピンが、弾力的かつ可撓性の材料を含むことにより、前記配置機構は、該配置機構の横方向変位と長手方向変位との組み合わせによってさらに角変位するように構成される、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記配置機構は、該配置機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向に変位するように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項10】
前記配置機構の前記第1の側面に対向する、該配置機構の前記第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、前記可撓管に他方の端部において連結されるバネをさらに備えることにより、前記プルワイヤの作動後に、該配置機構が静止位置に戻る、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記配置機構は、該配置機構の前記第1の側面に対向する該配置機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、前記第1の方向に対向する第2の方向に横方向変位するように構成される、請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
前記配置機構の前記第1および第2の側面に連結される前記プルワイヤは、該配置機構から横方向に延出し、前記凹部内に位置する柱に巻き付き、そして該柱から近位に延出する、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記配置機構は、前記内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
前記開口部は、前記可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項15】
前記配置機構は、少なくとも3つの自由度において移動するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項16】
前記配置機構は、3つの直交軸の周りで回転可能である、請求項15に記載の医療装置。
【請求項17】
前記配置機構は、前記開口部に対して回転可能なローラを備え、該ローラは自身の中を貫通する内腔を含み、該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項18】
前記配置機構は、前記遠位端に配置されるローラを有する可動の配置スリーブを備え、該ローラは、偽スリーブに対して回転可能であり、かつ自身の中を貫通する内腔であって、該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、内腔を備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項19】
前記ローラを通る前記内腔の近位端は、該ローラが前記開口部に対して回転する際に、前記細長い可撓管の内腔との連通を維持するように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項20】
前記ローラを通る前記内腔は、近位の開口よりも狭い遠位の開口を有する、請求項17に記載の医療装置。
【請求項21】
前記ローラの前記内腔内に延在し、かつ該ローラの該内腔内においておよび該内腔を越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備える、請求項17に記載の医療装置。
【請求項22】
前記スリーブは、治療器具を収容し、かつ該スリーブの回転時に、前記治療器具に回転を与えるように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項23】
前記ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項24】
前記開口部に対する前記ローラの回転は、該ローラに固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成される、請求項23に記載の医療装置。
【請求項25】
前記ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、前記開口部に対する前記ローラの前記回転は、該ローラの下の該傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成される、請求項24に記載の医療装置。
【請求項26】
前記ローラの遠位に配置される可動のベース部をさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該ベース部の長手方向および横方向の移動によって達成される、請求項25に記載の医療装置。
【請求項27】
各プルワイヤの前記ローラに対する取り付けは、該ローラの前記内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じる、請求項24に記載の医療装置。
【請求項28】
少なくとも3つのプルワイヤは、前記ローラに固定して取り付けられる、請求項24に記載の医療装置。
【請求項29】
前記医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項30】
前記医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項31】
前記医療装置は、前記細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項32】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該開口部に対向する該可撓管の該遠位端内に収容される偏向機構であって、凹部内に延在するピンの周りで回転し、かつ該ピンに沿って横方向に変位するように構成される、偏向機構と
を備える、医療装置。
【請求項33】
前記偏向機構は、前記凹部内において長手方向に変位するように構成される、請求項32に記載の医療装置。
【請求項34】
前記偏向機構が、その中を貫通し、かつ前記ピンを収容する細長いスロットを含むことにより、該偏向機構は、該ピンに対して長手方向に移動するように構成される、請求項33に記載の医療装置。
【請求項35】
弾力的なスポンジ材料が、前記細長いスロットの一部の中に含まれることにより、長手方向に向けられる作動力がもはや前記偏向機構に加えられなくなると、該偏向機構は静止する長手方向位置に戻る、請求項34に記載の医療装置。
【請求項36】
前記偏向機構は、該偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成される、請求項33に記載の医療装置。
【請求項37】
前記ピンが、弾力的かつ可撓性の材料を含むことにより、前記偏向機構は、該偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように構成される、請求項36に記載の医療装置。
【請求項38】
前記偏向機構は、前記内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含む、請求項32に記載の医療装置。
【請求項39】
前記開口部は、前記可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部である、請求項32に記載の医療装置。
【請求項40】
前記偏向機構は、該偏向機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向に変位するように構成される、請求項32に記載の医療装置。
【請求項41】
前記配置機構の前記第1の側面に対向する、該配置機構の前記第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、前記可撓管に他方の端部において連結される、バネをさらに備えることにより、前記プルワイヤの作動後に、該配置機構は静止位置に戻る、請求項40に記載の医療装置。
【請求項42】
前記偏向機構は、該偏向機構の前記第1の側面に対向する、該偏向機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、前記第1の方向とは反対の第2の方向に横方向に変位するように構成される、請求項40に記載の医療装置。
【請求項43】
前記偏向機構の前記第1および第2の側面に連結される前記プルワイヤは、該偏向機構から横方向に延出し、前記凹部内に位置する柱に巻き付き、かつ該柱から近位に延出する、請求項42に記載の医療装置。
【請求項44】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該可撓管の該遠位端に配置され、かつ該開口部に対して回転可能であるローラであって、該ローラは自身の中を通る内腔を含み、かつ該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、ローラと
を備える、医療装置。
【請求項45】
可動スリーブをさらに備えており、前記ローラはその遠位端に配置され、該ローラは該スリーブに対して回転可能である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項46】
前記ローラの前記内腔内に延在し、かつ該ローラの該内腔内においておよび該内腔を越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備える、請求項44に記載の医療装置。
【請求項47】
前記スリーブは、治療器具を収容し、かつ前記スリーブの回転時に、該治療器具に回転を与えるように構成される、請求項46に記載の医療装置。
【請求項48】
前記ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項49】
前記開口部に対する前記ローラの回転は、該ローラに固定して取り付けられるプルワイヤの前記作動により達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項50】
前記ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項51】
前記ローラの遠位に配置される可動ベース部をさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該ベース部の長手方向および横方向への移動によって達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項52】
各プルワイヤの前記ローラに対する取り付けは、該ローラの前記内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じる、請求項49に記載の医療装置。
【請求項53】
少なくとも3つのプルワイヤは、前記ローラに固定して取り付けられる、
請求項49に記載の医療装置。
【請求項54】
前記医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項55】
前記医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項56】
前記医療装置は、前記細長い可撓管の制御された偏向を達成するための、追加の配置機構を備える内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項57】
前記ローラは、球形である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項58】
前記ローラを通る前記内腔の近位端は、該ローラが前記開口部に対して回転する際に、前記細長い可撓管の前記内腔との連通を維持するように構成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項59】
前記ローラを通る前記内腔は、近位の開口よりも狭い遠位の開口を有する、請求項44に記載の医療装置。
【請求項1】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該開口部に近接する該可撓管の該遠位端に配置される配置機構であって、該配置機構は、該内腔を通って延在する治療器具に力を伝達するため、および治療器具が該開口部から延出する方向を制御するために、少なくとも2つの自由度において移動するように構成される、配置機構と
を備える、医療装置。
【請求項2】
前記配置機構は、前記可撓管の前記遠位端における凹部内に収容され、該配置機構は、該凹部内のピンの周りで回転するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記配置機構は、前記凹部内において、および前記ピンに沿って横方向に変位するように構成される、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記配置機構は、前記凹部内において長手方向に変位するように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記配置機構が、その中を貫通し、かつ前記ピンを収容する細長いスロットを含むことにより、該配置機構は、該ピンに対して長手方向に移動するように構成される、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
弾力的なスポンジ材料が、前記細長いスロットの一部の中に含まれることにより、前記配置機構は、長手方向に向けられる作動力がもはや該配置機構に加えられなくなると、静止する長手方向の位置に戻る、請求項5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記配置機構は、該配置機構の横方向変位と長手方向変位との組み合わせによって、角変位するように構成される、請求項4に記載の医療装置。
【請求項8】
前記ピンが、弾力的かつ可撓性の材料を含むことにより、前記配置機構は、該配置機構の横方向変位と長手方向変位との組み合わせによってさらに角変位するように構成される、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記配置機構は、該配置機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向に変位するように構成される、請求項3に記載の医療装置。
【請求項10】
前記配置機構の前記第1の側面に対向する、該配置機構の前記第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、前記可撓管に他方の端部において連結されるバネをさらに備えることにより、前記プルワイヤの作動後に、該配置機構が静止位置に戻る、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記配置機構は、該配置機構の前記第1の側面に対向する該配置機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、前記第1の方向に対向する第2の方向に横方向変位するように構成される、請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
前記配置機構の前記第1および第2の側面に連結される前記プルワイヤは、該配置機構から横方向に延出し、前記凹部内に位置する柱に巻き付き、そして該柱から近位に延出する、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記配置機構は、前記内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項14】
前記開口部は、前記可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項15】
前記配置機構は、少なくとも3つの自由度において移動するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項16】
前記配置機構は、3つの直交軸の周りで回転可能である、請求項15に記載の医療装置。
【請求項17】
前記配置機構は、前記開口部に対して回転可能なローラを備え、該ローラは自身の中を貫通する内腔を含み、該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、請求項1に記載の医療装置。
【請求項18】
前記配置機構は、前記遠位端に配置されるローラを有する可動の配置スリーブを備え、該ローラは、偽スリーブに対して回転可能であり、かつ自身の中を貫通する内腔であって、該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、内腔を備える、請求項1に記載の医療装置。
【請求項19】
前記ローラを通る前記内腔の近位端は、該ローラが前記開口部に対して回転する際に、前記細長い可撓管の内腔との連通を維持するように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項20】
前記ローラを通る前記内腔は、近位の開口よりも狭い遠位の開口を有する、請求項17に記載の医療装置。
【請求項21】
前記ローラの前記内腔内に延在し、かつ該ローラの該内腔内においておよび該内腔を越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備える、請求項17に記載の医療装置。
【請求項22】
前記スリーブは、治療器具を収容し、かつ該スリーブの回転時に、前記治療器具に回転を与えるように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項23】
前記ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成される、請求項17に記載の医療装置。
【請求項24】
前記開口部に対する前記ローラの回転は、該ローラに固定して取り付けられるプルワイヤの作動により達成される、請求項23に記載の医療装置。
【請求項25】
前記ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、前記開口部に対する前記ローラの前記回転は、該ローラの下の該傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成される、請求項24に記載の医療装置。
【請求項26】
前記ローラの遠位に配置される可動のベース部をさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該ベース部の長手方向および横方向の移動によって達成される、請求項25に記載の医療装置。
【請求項27】
各プルワイヤの前記ローラに対する取り付けは、該ローラの前記内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じる、請求項24に記載の医療装置。
【請求項28】
少なくとも3つのプルワイヤは、前記ローラに固定して取り付けられる、請求項24に記載の医療装置。
【請求項29】
前記医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項30】
前記医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項31】
前記医療装置は、前記細長い可撓管の制御された偏向を達成するために、追加の配置機構を備える内視鏡である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項32】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該開口部に対向する該可撓管の該遠位端内に収容される偏向機構であって、凹部内に延在するピンの周りで回転し、かつ該ピンに沿って横方向に変位するように構成される、偏向機構と
を備える、医療装置。
【請求項33】
前記偏向機構は、前記凹部内において長手方向に変位するように構成される、請求項32に記載の医療装置。
【請求項34】
前記偏向機構が、その中を貫通し、かつ前記ピンを収容する細長いスロットを含むことにより、該偏向機構は、該ピンに対して長手方向に移動するように構成される、請求項33に記載の医療装置。
【請求項35】
弾力的なスポンジ材料が、前記細長いスロットの一部の中に含まれることにより、長手方向に向けられる作動力がもはや前記偏向機構に加えられなくなると、該偏向機構は静止する長手方向位置に戻る、請求項34に記載の医療装置。
【請求項36】
前記偏向機構は、該偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによって、角変位するように構成される、請求項33に記載の医療装置。
【請求項37】
前記ピンが、弾力的かつ可撓性の材料を含むことにより、前記偏向機構は、該偏向機構の横方向変位および長手方向変位の組み合わせによってさらに角変位するように構成される、請求項36に記載の医療装置。
【請求項38】
前記偏向機構は、前記内腔を越えて遠位に延出される治療器具との接触を維持するように構成される凹面を含む、請求項32に記載の医療装置。
【請求項39】
前記開口部は、前記可撓管に沿って横方向に開口する側面対向型開口部である、請求項32に記載の医療装置。
【請求項40】
前記偏向機構は、該偏向機構の第1の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、第1の方向に横方向に変位するように構成される、請求項32に記載の医療装置。
【請求項41】
前記配置機構の前記第1の側面に対向する、該配置機構の前記第2の側面に一方の端部において連結され、かつ、前記可撓管に他方の端部において連結される、バネをさらに備えることにより、前記プルワイヤの作動後に、該配置機構は静止位置に戻る、請求項40に記載の医療装置。
【請求項42】
前記偏向機構は、該偏向機構の前記第1の側面に対向する、該偏向機構の第2の側面に連結されるプルワイヤの作動によって、前記第1の方向とは反対の第2の方向に横方向に変位するように構成される、請求項40に記載の医療装置。
【請求項43】
前記偏向機構の前記第1および第2の側面に連結される前記プルワイヤは、該偏向機構から横方向に延出し、前記凹部内に位置する柱に巻き付き、かつ該柱から近位に延出する、請求項42に記載の医療装置。
【請求項44】
遠位端および近位端を含み、かつ該近位端から該遠位端における開口部まで延在する内腔を画定する細長い可撓管と、
該可撓管の該遠位端に配置され、かつ該開口部に対して回転可能であるローラであって、該ローラは自身の中を通る内腔を含み、かつ該内腔は該内腔を越えて遠位に延出される治療器具を収容するように構成される、ローラと
を備える、医療装置。
【請求項45】
可動スリーブをさらに備えており、前記ローラはその遠位端に配置され、該ローラは該スリーブに対して回転可能である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項46】
前記ローラの前記内腔内に延在し、かつ該ローラの該内腔内においておよび該内腔を越えて遠位に可動であるスリーブをさらに備える、請求項44に記載の医療装置。
【請求項47】
前記スリーブは、治療器具を収容し、かつ前記スリーブの回転時に、該治療器具に回転を与えるように構成される、請求項46に記載の医療装置。
【請求項48】
前記ローラは、3つの直交軸の周りで回転するように構成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項49】
前記開口部に対する前記ローラの回転は、該ローラに固定して取り付けられるプルワイヤの前記作動により達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項50】
前記ローラの遠位に配置される傾斜面を有するウェッジをさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該傾斜ウェッジ表面の近位への移動により達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項51】
前記ローラの遠位に配置される可動ベース部をさらに備え、前記開口部に対する該ローラの前記回転は、該ローラの下の該ベース部の長手方向および横方向への移動によって達成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項52】
各プルワイヤの前記ローラに対する取り付けは、該ローラの前記内腔の出口の遠位点から実質的に等しい距離において生じる、請求項49に記載の医療装置。
【請求項53】
少なくとも3つのプルワイヤは、前記ローラに固定して取り付けられる、
請求項49に記載の医療装置。
【請求項54】
前記医療装置は、可視化部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項55】
前記医療装置は、照明部品を自身の中に含む内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項56】
前記医療装置は、前記細長い可撓管の制御された偏向を達成するための、追加の配置機構を備える内視鏡である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項57】
前記ローラは、球形である、請求項44に記載の医療装置。
【請求項58】
前記ローラを通る前記内腔の近位端は、該ローラが前記開口部に対して回転する際に、前記細長い可撓管の前記内腔との連通を維持するように構成される、請求項44に記載の医療装置。
【請求項59】
前記ローラを通る前記内腔は、近位の開口よりも狭い遠位の開口を有する、請求項44に記載の医療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−544421(P2009−544421A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521903(P2009−521903)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/073769
【国際公開番号】WO2008/014162
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/073769
【国際公開番号】WO2008/014162
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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