説明

医薬組成物のためのピロロピリミジン

本発明は一般式(1)の新規なピロロピリミジン化合物及び前記ピロロピリミジン化合物を含む医薬組成物に関する。さらにまた、本発明は、Mnk1及び/又はMnk2(Mnk2a又はMnk2b)及び/又は前記の変種のキナーゼ活性を阻害することによって影響を与えることができる疾患の予防及び/又は治療用医薬組成物の製造を目的とする、本発明のピロロピリミジン化合物の使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピロロピリミジン化合物及びピロロピリミジン化合物を含む新規な医薬組成物に関する。
さらにまた、本発明は、Mnk1(Mnk1a又はMnK1b)及び/又はMnk2(Mnk2a又はMnk2b)又はその更なる変種のキナーゼ活性を阻害することによって影響を与えることができる疾患を予防及び/又は治療する医薬組成物の製造を目的とする、本発明のピロロピリミジン化合物の使用に関する。特に、本発明は、代謝性疾患(例えば糖尿病、高脂血症及び肥満)、造血性疾患及び癌、並びに前記の続発性合併症及び前記に付随する疾患とともに炎症を予防及び/又は治療する医薬組成物の製造を目的とする、本発明のピロロピリミジン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝性疾患は、異常な代謝過程によって引き起こされる疾患であり、さらに遺伝する酵素の異常性のために先天性であるか、又は内分泌器官の疾患若しくは代謝に重要な器官(例えば肝臓又は膵臓)の機能不全のために後天性でありえる。
本発明はより具体的には、特に脂質及び炭水化物代謝に関する代謝性疾患並びにその続発性合併症及び前記に付随する疾患の治療及び/又は予防を目的とする。
脂質異常は、血中脂質及びリポタンパク質のレベル及び代謝に異常を引き起こす症状群を含む。したがって、高脂血症はアテローム性硬化症及びそれに続く血管性疾患(例えば冠動脈心疾患)の発症の重要な危険因子を構成するので、特に臨床的重要性を有する。
真性糖尿病は、結果として生じる器官への損傷及び代謝過程の機能不全と密接に結びつく慢性の高血糖症と定義される。その病因論に応じて、いくつかの糖尿病の形態が区別され、それらは、インスリンの絶対的欠乏(インスリン分泌の欠乏又は低下)又は相対的不足のどちらかに起因する。真性糖尿病I型(IDDM、インスリン依存真性糖尿病)は、一般的には、20歳以下の青年に発生する。前記は、病因論的には、インスリン症に続いてインスリンの合成に必要なランゲルハンス島のベータ細胞が破壊される自己免疫疾患と推定される。さらにまた、成人の潜伏性自己免疫糖尿病(LADA;Diabetes Care. 8:1460-1467, 2001)では、自己免疫性攻撃のためにベータ細胞は破壊され続ける。残る膵臓小島細胞によって産生されるインスリン量は極めて少なく、その結果、血中グルコースレベルは上昇する(高血糖症)。真性糖尿病II型は、一般的にはより高齢で生じる。前記はとりわけ肝臓及び骨格筋のインスリン耐性と密接に結びついているが、ランゲルハンス島の不足とも密接に関係する。高い血中グルコースレベル(さらにまた高い血中脂質レベル)は順繰りにベータ細胞の機能障害およびベータ細胞アポトーシスの増加をもたらす。
【0003】
今日一般的な抗糖尿病薬は、高血糖及び低血糖レベルの出現を完全に予防するために十分に血糖レベルを制御しえないので、糖尿病は著しい能力低下をもたらす疾患である。限度を超えた血糖レベルは有害であり、長期にわたる合併症、例えば網膜障害、腎障害、神経障害及び抹消血管性疾患を引き起こす。さらにまた多数の関連する症状、例えば肥満、高血圧、心臓病及び高脂血症が存在し、糖尿病罹患者はそれら疾患に対して相当にリスクが高い。
肥満は、続発性疾患、例えば心脈管系疾患、高血圧、糖尿病、高脂血症及び死亡率増加のリスクの増加と密接に結びついている。糖尿病(インスリン耐性)と肥満は、いくつかの疾患の連鎖と定義される“代謝性症候群”(X症候群、インスリン耐性症候群、又は死亡4疾患とも称される)の部分である。これらはしばしば同一患者で発生し、II型糖尿病及び心脈管系疾患の発症の主要な危険因子である。脂質レベル及びグルコースレベルの制御がII型糖尿病、心疾患及び他の代謝性症候群の発症の治療に必要であると提唱されている(例えば以下を参照されたい:Diabetes 1999, 48:1836-1841;JAMA 2002, 288:2209-2716)。
【発明の概要】
【0004】
本発明のある実施態様では、本発明の化合物及び組成物は、炭水化物代謝の代謝性疾患並びにそれらの続発性合併症及び疾患、例えばグルコース耐性の低下、糖尿病(好ましくはII型糖尿病)、糖尿病性合併症(例えば糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性骨減少症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性腎障害、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障及び糖尿病性網膜障害、糖尿病性黄斑障害、糖尿病性下肢症候群、ケトアシドーシスを伴う又は伴わない糖尿病性昏睡、糖尿病性高浸透圧性昏睡、低血糖性昏睡、高血糖性昏睡、糖尿病性アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、イントラキャピラリーグロメルロネフローシス(intracapillary glomerulonephrosis)、キンメルスティール-ウィルソン症候群、糖尿病性筋萎縮症、糖尿病性自律神経性神経障害、糖尿病性単神経障害、糖尿病性多神経障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性抹消血管障害、糖尿病性潰瘍、糖尿病性関節症、又は糖尿病の肥満の治療及び/又は予防に有用である。
さらに別の実施態様では、本発明の化合物及び組成物は、脂質代謝に関する代謝性疾患(すなわち脂質異常)並びにそれらの続発性合併症及び疾患、例えば高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、フレドリクソン高リポタンパク血症、高ベータリポタンパク血症、高脂血症、低密度リポタンパク型(LDL)高リポタンパク血症、純粋高グリセリド血症、内因性高グリセリド血症、孤立性高コレステロール血症、孤立性高トリグリセリド血症(hypertroglyceridemia)、心脈管系疾患(例えば高血圧、虚血、拡張蛇行静脈、網膜静脈閉塞、アテローム性硬化症、狭心症、心筋梗塞、狭心症、肺性高血圧、うっ血性心不全、糸球体症、尿細管間質障害、腎不全、血管狭窄症、又は脳血管系異常(例えば脳卒中)の治療及び/又は予防に有用である。
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の化合物及び組成物は、造血性疾患並びにそれらの続発性合併症及び疾患、例えば急性骨髄性白血病(AML)、ホジキン症、非ホジキン性リンパ腫;造血性疾患、急性非リンパ球性白血病(ANLL)、骨髄増殖性疾患、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性骨髄単球性白血病(AMMol)、真性赤血球増加症、リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CCL)、ウィルムス腫瘍又はユーイング肉腫の治療及び/又は予防に有用である。
【0005】
本発明にしたがえば、本発明の化合物及び組成物は造血幹細胞治療で有用である。
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の化合物及び組成物は、癌並びに続発性合併症及び疾患、例えば上部胃腸管の癌、膵臓の癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、子宮頸部癌、子宮体癌、脳腫瘍、精巣癌、喉頭癌、骨癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、肝癌、肺癌、神経芽細胞腫、腎臓の癌、甲状腺癌、食道癌、軟組織肉腫、悪液質又は痛みの治療及び/又は予防に有用である。
さらにまた、本発明は、サイトカイン関連疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造を目的とするピロロピリミジンの使用に関する。
そのような疾患は、すなわち炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨疾患、増殖性疾患、感染性疾患、神経変性疾患、アレルギー、又は前炎症性サイトカインに関連する他の症状である。
アレルギー及び炎症性疾患、例えば急性又は慢性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、喘息、及び敗血症ショック、並びにそれらの続発性合併症及びそれらに付随する疾患である。
慢性関節リウマチ、COPDのような炎症性肺疾患、炎症性腸疾患、及び乾癬のような炎症性疾患は、一生のうちで3人に1人が罹患する。このような疾患は多大な健康管理コストを要するというだけでなく、それらはまた患者の身体を損ない衰弱させる。
炎症は、下記に述べるこれら炎症性疾患の一体化された病理発生過程ではあるが、従来の治療方針は複雑であり、一般的にはいずれかの疾患について固有である。今日利用可能な多くの治療方法は疾患の症状を治療するだけであり、下に横たわる炎症の原因を治療しない。
【0006】
本発明の組成物は、炎症性疾患並びに続発性合併症及び疾患、例えば慢性又は急性炎症、関節の炎症、例えば慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、若年性関節リウマチ、ライター症候群、外傷性関節リウマチ、風疹関節炎、急性滑膜炎及び痛風性関節炎;炎症性皮膚疾患、例えば日焼け、乾癬、乾癬性紅皮症、嚢疱性乾癬、湿疹、皮膚炎、急性又は慢性移植片構成体、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、じんま疹及び強皮症;胃腸管の炎症、例えば炎症性腸疾患、クローン病及び関連症状、潰瘍性大腸炎、大腸炎、憩室炎;腎炎、尿道炎、卵管炎、卵巣炎、子宮内膜炎、脊椎炎、全身性紅斑性狼瘡及び関連疾患、多発性硬化症、喘息、髄膜炎、脊髄炎、脳脊髄炎、脳炎、静脈炎、血栓性静脈炎;呼吸器疾患、例えば喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患及び成人呼吸窮迫症候群、並びにアレルギー性鼻炎;心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、リウマチ性心膜炎、リウマチ性心内膜炎、リウマチ性心筋炎、リウマチ性僧帽弁疾患、リウマチ性大動脈弁疾患、前立腺炎、前立腺膀胱炎、脊髄関節症、強直性脊髄炎、滑膜炎、腱滑膜炎、筋炎、咽頭炎、リウマチ性多発性筋肉痛、肩甲腱炎又は滑液嚢炎、痛風、仮性痛風、血管炎(vasculitides)、以下から選択される甲状腺の炎症性疾患(肉芽腫様甲状腺炎、リンパ球性甲状腺炎、侵襲性線維性甲状腺炎、急性甲状腺炎);橋本甲状腺炎、川崎病、レイノー病、シェーグレーン症候群、神経炎症性疾患、敗血症、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、視神経炎、耳炎、リンパ節炎、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、喉頭蓋炎、気管支炎、肺炎、胃炎、歯肉炎、食道炎、胃炎、腹膜炎、肝炎、胆石症、胆嚢炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、半月体性糸球体腎炎、膵臓炎、子宮内膜炎、子宮筋層炎、子宮炎、子宮頸部炎、子宮頸内膜炎、子宮頸外膜炎、子宮傍結合組織炎、結核、膣炎、外陰炎、珪肺症、サルコイドーシス、じん肺症、パイレーシス(pyresis)、炎症性多発性関節症、乾癬性関節症、腸線維症、気管支拡張症、腸障害性関節症の治療及び/又は予防に有用である。
【0007】
さらにまた、サイトカインは、種々の心脈管系及び脳血管系異常(例えばうっ血性心疾患、心筋梗塞、アテローム性硬化症プラークの形成、高血圧、血小板凝集、狭心症、卒中、アルツハイマー病、再還流損傷、血管損傷(再狭窄及び抹消血管の疾患を含む))、並びに、例えば種々の骨代謝異常(例えば骨粗しょう症(老人性及び閉経後骨粗しょう症を含む)、パジェット病、骨転移、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進、骨硬化症、骨粗しょう症及び歯周炎)、及び骨代謝の異常な変化(慢性関節リウマチ及び変形性関節症を伴いえる)の発生及び進行に関与しているとも考えられている。
過剰なサイトカイン産生はまた、細菌、真菌及び/又はウイルス感染のある種の合併症(例えば内毒素ショック、敗血症ショック及び毒素ショック症候群)の仲介、及びCNS外科手術又は損傷(例えば神経外傷及び虚血性ショック)の仲介に関係している。
それだけではなく過剰なサイトカイン産生はまた、軟骨又は筋肉吸収、肺線維症、肝硬変、腎線維症、ある種の慢性疾患(例えば悪性疾患及び後天性免疫不全症候群(AIDS))で見出される悪液質、腫瘍侵襲及び腫瘍転移、並びに多発性硬化症の仲介又は悪化に関係している。
さらにまた、本発明の組成物は、自己免疫疾患と密接に結びついている炎症の治療に用いることができる。前記自己免疫疾患には、全身性紅斑性狼瘡、アジソン病、自己免疫性多発性腺症(自己免疫性多発性腺症候群としても知られている)、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎(chronic active hepatitis)、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬及び対宿主移植片病が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0008】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物は、感染性疾患、例えば敗血症、敗血症ショック、細菌性赤痢、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)疾患及びウイルス疾患(単純ヘルペス1型(HSV-1)単純ヘルペス2型(HSV-2)、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バール、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む)、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎及びC型肝炎を含む)、HIV感染及びCMV網膜炎、エイズ又は悪性疾患、マラリア、マイコバクテリア感染及び髄膜炎の治療及び予防に用いることができる。前記にはまた、ウイルス感染(インフルエンザウイルス、帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン-バールウイルス、ヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)、ヒトヘルペスウイルス-7(HHV-7)、ヒトヘルペスウイルス-8(HHV-8)による)、仮性狂犬病及び鼻気管炎が含まれる。
本発明の組成物はまた、過剰なサイトカイン産生によって仲介されるか又は悪化する局所的症状の治療又は予防に局所的に用いることができる。前記症状は、例えば、関節の炎症、湿疹、乾癬及び他の炎症性皮膚症状、例えば日焼け;目の炎症症状(結膜炎を含む);パイレーシス、痛み及び炎症に伴う他の症状である。
歯周病はまた、サイトカイン産生が(局所的及び全身的の両方において)関係する。したがって、そのような口内疾患(例えば歯肉炎及び歯周炎)でサイトカイン産生と密接に結びついている炎症の制御に本発明の組成物を使用することは、本発明のまた別の特徴である。
最後に、本発明の組成物はまた、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳虚血、又は外傷性損傷、グルタメート神経毒もしくは低酸素症によって生じる神経変性疾患から選択される神経変性疾患の治療又は予防に用いることができる。
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、慢性若しくは急性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、敗血症ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症及び喘息から選択される疾患の治療又は予防に用いることができる。
【0009】
タンパク質キナーゼは多くの細胞機能の調節に必要な重要な酵素である。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のLK-6セリン/スレオニン-キナーゼ遺伝子は、微小管と結合することができる短命のキナーゼとして記載された(J Cell Sci, 1997, 110(2):209-219)。キイロショウジョウバエの複眼の発生における遺伝子分析によって、RASシグナル経路の調節における役割が提唱された(Genetics, 2000, 156(3):1219-1230)。ショウジョウバエのLK-6キナーゼのもっとも近縁なヒトホモローグは、MAP-キナーゼ相互作用性キナーゼ2(Mnk2、例えば変種Mnk2a及びMnk2b)及びMAP-キナーゼ相互作用性キナーゼ1(Mnk1)並びにそれらの変種である。これらのキナーゼは大半が細胞質に局在する。Mnkは、p42 MAPキナーゼErk1及びErk2並びにp38-MAPキナーゼによってリン酸化される。このリン酸化は、増殖因子、フォルボルエステル及びオンコジーン(例えばRas及びMos)との応答において、さらにストレスシグナリング分子及びサイトカインによって始動される。Mnkタンパク質のリン酸化は、真核細胞イニシエーション因子4E(elF4E)に対するそれらのキナーゼ活性を刺激する(EMBO J, 1997, 16:1909-1920;Mol Cell Biol, 1990, 19:1871-1880;Mol Cell Biol, 2001, 21:743-754)。マウスにおけるMnk1及びMnk2遺伝子の両方の同時破壊は、基準及び刺激elF4Eリン酸化を低下させる(Mol Cell Biol, 2004, 24:6539-6549)。elF4Eのリン酸化は前記タンパク質の翻訳の調節をもたらす(Mol Cell Biol, 2001, 22:5500-5511)。
Mnkタンパク質によるタンパク質翻訳の刺激の態様を説明する種々の仮説が存在する。ほとんどの刊行物が、MAPキナーゼ相互作用性キナーゼの活性に関し、キャップ依存性タンパク質翻訳に対する正の刺激作用を記載している。したがって、Mnkタンパク質の活性化は、例えばサイトゾルのホスホリパーゼ2アルファに対する作用によって、タンパク質翻訳の間接的刺激又は調節をもたらすことができる(BBA, 2000, 1488:124-138)。
【0010】
WO03/037362は、ヒトMnk遺伝子(特にヒトMnk2遺伝子変種)と体重又は熱発生に関連する疾患との間の連関を開示している。ヒトMnk遺伝子(特にMnk変種)は、代謝性疾患(肥満、摂食障害、悪液質、真性糖尿病、高血圧、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、脂質異常血症(dyslipidemia)、変形性関節症、胆石、生殖器癌及び睡眠時無呼吸)、並びにROS防御と連鎖した疾患、例えば真性糖尿病及び癌において中心的に関与すると説明されている。さらにまた、WO03/03762は、体重又は熱発生の調節に関連する疾患の診断、予防又は治療における、MAPキナーゼ相互作用性キナーゼ(Mnk)遺伝子ファミリーの核酸配列及び前記をコードするアミノ酸配列の使用、並びにMnk核酸又はポリペプチドのエフェクター、特にMnkインヒビター及びアクチベーターの使用を開示している。
WO02/103361は、薬理学的に活性な成分、特に真性糖尿病2型の治療に有用な薬理学的成分を同定するためのアッセイで、ヒトMAPキナーゼと相互作用するキナーゼ2a及び2b(Mnk2a及びMnk2b)の使用を記載している。さらにまた、WO02/103361は、インスリン耐性に密接に結びつく疾患のMnk2a又はMnk2bの発現又は活性の調節による予防及び/又は治療を開示する。ペプチド以外に、ペプチド模倣体、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体、4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルが、ヒトMnk2タンパク質と結合する基質として記載されている。
【0011】
Mnkの阻害剤(CGP57380及びCGP052088)が記載された(以下を参照されたい:Mol Cell Biol, 2001, 21:5500;Mol Cell Biol Res Comm, 2000, 3:205;Genomics, 2000, 69:63)。CGP052088は、Mnk1のin vitroキナーゼ活性の阻害に70nMのIC50を有するスタウロスポリン誘導体である。CGP57380は、Mnk2(Mnk2a又はMnk2b)又はMnk1の低分子量で選択的な非細胞毒性阻害剤である。細胞培養細胞(Mnk2(Mnk2a又はMnk2b)又はMnk1をトランスフェクトされている)へのCGP57380の添加は、リン酸化elF4Eの大きな低下を示した。
炎症におけるMnkの役割についての最初の証拠は、前炎症性刺激によるMnk1の活性化を示す実験によって提供された。サイトカインTNFα及びIL-1βは、Mnk1のin vitro活性化(Fukunaga and Hunter, EMBO J, 1997, 16(8):1921-1933)の活性化を始動させ、さらにMnk特異的基質elF4Eのリン酸化をin vivoで誘発する(Ueda et al, Mol Cell Biol, 2004, 24(15):6539-6549)。さらにまた、リポ多糖類(LPS)(炎症応答の強力な刺激物質)の投与は、Mnk1及びMnk2の基質elF4Eのリン酸化と同時にそれらの活性化をマウスで誘発する(Ueda et al, Mol Cell Biol, 2004, 24(15):6539-6549)。
さらにまた、Mnk1は、前炎症性サイトカインの産生の調節に中心的に関与することが示された。Mnk1はケモカインRANTESの発現を強化する(Nikolcheva et al. J Clin Invest, 2002, 110:119-126)。RANTESは、単球、好酸球、好塩基球及びナチュラルキラー細胞の強力なケモアトラクタント(chemotractant)である。前記は、Tリンパ球の増殖を活性化及び誘発し、好塩基球の脱顆粒を仲介し、さらに好酸球のレスピラトリーバーストを誘発する(Conti and DiGioacchino, Allergy Asthma Proc, 2001, 22(3):133-7)。
【0012】
WO2005/00385及びBuxadeら(Immunity, 2005(Augast), 23:177-1891)の両文献は、MnkとTNFα生合成の制御との間の連鎖を開示している。提唱されたメカニズムは、TNFαのmRNA中の調節性AU豊富エレメント(ARE)によって仲介される。Buxadeらは、Mnk1及びMnk2によってリン酸化される、AREと結合し前記機能を制御するタンパク質を示した。特に、ARE結合タンパク質hnRNP A1のMnk-仲介リン酸化は、TNFαのmRNAの翻訳を強化すると提唱されている。
TNFαはAREによって調節される唯一のサイトカインというわけではない。機能的なAREはまたいくつかのインターロイキン、インターフェロン及びケモカインの転写で見出されている(Khabar, J Interf Cytokine Res, 2005, 25:1-10)。ARE結合タンパク質のMnk-仲介リン酸化は、したがってTNFαの生合成に加えてサイトカインの生合成を制御する潜在的能力を有する。
これまでの証拠は、炎症応答の仲介物質であると同様に炎症シグナリングの下流の標的としてMnkを提示している。TNFα、RANTES及び潜在的に追加されえるサイトカインの産生におけるMnkの中心的な関与は、抗炎症治療のための方法としてMnkを阻害することを提唱している。
本発明の根幹的な問題は、代謝性疾患、炎症性疾患並びにそれらの続発性合併症及び疾患の治療に効果的にかつ安全に用いることができる、強力で選択的なMnk1及び/又はMnk2阻害剤である。
今や、驚くべきことに、ある種のピロロピリミジンはキナーゼ酵素Mnk1及び/又はMnk2及び/又はそれらの変種の強力な阻害剤であり、したがってMnk1及び/又はMnk2(Mnk2a又はMnk2b)及び/又はそれらの変種のキナーゼ活性の阻害によって影響を与えることができる疾患の予防及び/又は治療に有効でありえることが見出された。
【0013】
本発明のピリミジン化合物は、下記の一般式(1)の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ若しくは医薬的に許容できる塩である:
【0014】
【化1】

【0015】
式中Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bは、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1a及びR1bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1a、CHR1a、C(O)NR1a又はCR1aR1bであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN又はC原子と一緒に炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される1つ以上の追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒にC3-7シクロアルキル又は3-10員ヘテロシクロアルキル基を形成し、ここでR2及びR3は、場合によって1つ以上のR9で置換され、R2はまたR9でもよく、R3はまたR9でもよく;
R4は水素、C1-4アルキル、尿素、チオウレア、又は場合によって1つ以上のR9で置換されたアセチルであるか;
又はR4は、R1と一緒に5-6員複素環式環を形成してもよく;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個にH又はR9から選択され;
R9は、それぞれ別個にハロゲン;CN;COOR11;OR11;C(O)N(R11R11a);S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)S(O)2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;OC(O)N(R11R11a);オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和されてあり;COR11;C1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;又はヘテロシクリルであり、ここでC1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;及びヘテロシクリルは場合によって1つ以上のR10で置換され;
R10は、それぞれ別個にハロゲン;CN;OR11;S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)S(O)2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;OC(O)N(R11R11a);オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和されてあり;COR11;C1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;又はヘテロシクリルであり、ここでC1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;及びヘテロシクリルは場合によって1つ以上のR9で置換され;
R11、R11a、R11bは、それぞれ別個に水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、5-10員ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から成る群から選択され、ここでR11、R11a、R11bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R12は、水素、ハロゲン、OH、NH2、C(O)NH2又はC1-6アルキルであり;
R13、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、C6-10アリールオキシカルボニル、C6-10アラルコキシカルボニル、カルバモイル又はアシルである。
【0016】
請求項3に規定される化合物が特に好ましい。
さらに好ましい実施態様は以下のとおりである:
−式中、Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bは、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1a及びR1bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1a、CHR1a、C(O)NR1a又はCR1aR1bであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN又はC原子と一緒に炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される1つ以上の追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、メチル、フェニル、エチル、プロピル、ペルフルオロメチルから選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒に5員炭素環式環を形成し;
R4は、水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個にH、CONH2、CO2H、CO2CH3、Cl及びFから選択される、
化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【0017】
−式中、Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bはC1-6アルキルであり;
R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ジフルオロメチル、ブロモエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、ペルフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボナニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、フェニル又は窒素においてR9により置換されたピロリジン-3-イルであるか;
又は、XがNR1aであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN原子と一緒にモルホリノ基、ピロリジノ基、又はピペリジノ基を形成し、前記は-CH3又は-C(O)OC4H9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、メチル、フェニル、エチル、プロピル、ペルフルオロメチルから選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒に5員炭素環式環を形成し;
R4は水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、CONH2、CO2HCO2CH3、Cl及びFから選択される、
化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【0018】
−式中、R2及びR3は同じか又は異なっていて、メチル、水素、及びペルフルオロメチルから選択される化合物。
【0019】
−式中Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bはC1-6アルキルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、5-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1aであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN原子と一緒に複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、C1-4アルキル(場合によって1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい)、アセチル基、尿素、ヒドロキシル、フェニル基、及びアミノ基から選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒にC3-6シクロアルキルを形成し;
R4は水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、CO2HCO2R1c、CONH2、CONHR1d、及びハロゲンから選択され、ここでR1c及びR1dはC1-6アルキルである、
化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【0020】
−R4が水素である化合物。
−XがO又は単結合である化合物。
−シクロアルキル基が、アダマンチル又はノルボナニル、シクロヘキシル若しくはシクロペンチルである化合物。
−ハロゲン原子がCl、Br及びFから選択される化合物。
−R5、R6、R7及びR8が水素である化合物。
−R5、R6、R7及びR8の少なくとも1つが、F 、CONH2、又はCO2CH3である化合物。
−R1が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ジフルオロメチル、ブロモエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、ペルフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボナニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、フェニル又は窒素においてR9により置換されたピロリジン-3-イルであり、ここでR9が請求項1に規定されたとおりである化合物。
−R4、R7及びR8が水素である化合物。
−R6がC(O)NH2である化合物。
−R4、R7及びR8が水素であり、R6がC(O)NH2である化合物。
−R6がC(O)NH2であり、R1が、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキル、及び3-10員ヘテロシクロアルキル基(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から選択され、さらにR12が水素である化合物。
−R6がC(O)NH2であり、R1が、C3-7シクロアルキル、C1-6アルキル、及び3-10員ヘテロシクロアルキル基(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から選択され、さらにR4、R7、R8及びR12が水素である化合物。
【0021】
好ましい化合物は以下から選択される:
【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
以下の化合物が特に好ましい:
【0025】
【化4】

【0026】
本発明の化合物を製造するための典型的な方法は下記の実験に関する節で述べる。
本発明の化合物の強力な阻害作用は、より詳細に実施例で記載するin vitro酵素アッセイによって決定することができる。
式(1)の本発明の化合物の医薬的に許容できる塩は、多数の有機及び無機酸並びに塩基により形成することができる。例示的な酸付加塩には以下が含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンフルスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルスルホン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピルビン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、例えばトシレート、ウンデカノエートなど。
塩基性窒素含有部分は例えば以下のような物質で四級化することができる:低級アルキルハライド、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルクロリド、ブロミド並びにアイオダイド;ジアルキルスルフェート、例えばジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルスルフェート、長鎖アルキルハライド、例えばデシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルクロリド、ブロミド並びにアイオダイド、又はアルアルキルハライド、例えばベンジル及びフェネチルブロミド、又は他のもの。水溶性又は水に懸濁性の生成物がそれによって得られる。
【0027】
医薬的に許容できる塩基付加塩には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):アルカリ金属及びアルカリ土類金属系陽イオン、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩などとともに無毒なアンモニウム、第四アンモニウム及びアミン陽イオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなど)。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的なアミンには、ベンゾアゼチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラビン、N-メチル-D-グルカミン、N-メチル-D-グルカミド、t-ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなど、及びアミノ酸(例えばアルギニン、リジンなど)との塩が含まれる。
式(1)の化合物は互変異性体として存在しえる。本発明は全ての互変異性体型を含む。さらに、本発明はまた、本発明の化合物の全ての立体異性体を含み、前記にはそのエナンチオマー及びジアステレオマーが含まれる。本発明の化合物の個々の立体異性体は、他の異性体を含まない状態で、他の異性体との混合物として若しくはラセミ体として、又は選択された立体異性体として実質的に存在しえる。
本明細書で用いられる、用語“代謝物”は、(i)代謝の生成物(中間体及び生成物を含む)、(ii)代謝に関与する任意の物質(代謝の生成物として又は代謝に必要な物質として)、又は(iii)代謝中に生成されるか又は使用される任意の物質を指す。特に、前記用語は、代謝後に残存する最終生成物を指す。
【0028】
本明細書で用いられる、用語“プロドラッグ”は、(i)体内の代謝過程によって有用または活性な形態に変換された後でその作用を発揮する薬剤の不活性型、又は(ii)それ自体は活性を示さないが薬理学的に活性な代謝物を生じる物質(すなわち不活性前駆体)を指す。
本明細書で用いられる、用語“C3-10シクロアルキル”は、3から10の環原子を有する単環式又は多環式炭素環式アルキル置換物又は基、例えばシクロプロプル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、過水化ナフタレン若しくはインデン、アダマンチル又はノルボナニルなどを指す。
単独でまたは他の用語(アルコキシまたはアシル)とともに本明細書で用いられる、用語“C1-6アルキル”は、C1-6、好ましくはC1-4直鎖又は分枝鎖アルキル/アルコキシ基、例えばメチル、エチル、プロピル(iso-、n-)、ブチル(iso-、n-、sec-、tert-)、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(iso-、n-)、ブトキシ(iso-、n-、sec-、tert-)、ペントキシ、ヘキソキシを指し、さらに、用語“C1-6アルキル”はまた、鎖内に酸素を含むことができ、さらにハロゲンで置換されてエーテル又はハロゲン化エーテル基を形成することができるアルキル基を含む。
【0029】
本明細書で用いられる、用語“アシル”は、C1-6、好ましくはC1-4アルキルカルボニル基を指す。
用語“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択されるハロゲン原子、好ましくはフッ素及び塩素、より好ましくはフッ素を指す。
用語“アリール”は、6から10の骨格炭素原子を有する単環式又は二環式芳香族基(場合によって二環式構造の環の1つは芳香族であり、他方は炭素環式基である)、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルを指す。
用語“ヘテロシクリル”は、単環式飽和又は不飽和のヘテロシクリル基であって、N、S及びOから選択される1つから4つのヘテロ原子を有し、環原子の残りは炭素原子であって好ましくは3から10の環原子総数を有するもの、例えばモルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、トリアゾリル、チオフェニル、又はフラニルを指す。
用語“ヘテロアリール”は、N、S及びOから選択される1つから4つのヘテロ原子を有し、環原子の残りは炭素原子であり、さらに好ましくは5から10の環原子総数を有する単環式又は二環式芳香族基を指す。ヘテロアリール基の非限定的な例は、例えばベンゾフラニル、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズアミドアゾリル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ジアジニル、ピラジン、トリアジニルトリアジン、テトラジニル、テトラゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾピリジル及びベンゾイミダゾリルである。
【0030】
さらに別の特徴では、本発明は、本発明のピロロピリミジン化合物及び場合によって医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物はさらに追加の治療薬を含むことができる。特に好ましいものは、追加の治療薬が、抗糖尿病薬、例えばインスリン、長期及び短期作用性インスリン類似体、スルホニルウレア、及びチアゾリジンジオンから誘導される他の抗糖尿病薬、脂質低下薬、例えばスタチン、フィブレート、イオン交換樹脂、ニコチン酸誘導体、又はHMG-CoAレダクターゼ阻害剤、心脈管系治療薬、例えば硝酸塩、降圧剤、例えばβ-ブロッカー、ACE阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、利尿剤、血小板凝集阻害剤、又は抗悪性腫瘍薬、例えばアルカロイド、アルキル化剤、抗生物質、又は抗代謝薬、又は抗肥満薬から選択される組成物である。さらに好ましい組成物は、追加の治療薬が、ヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、ロイコトリエン、抗喘息薬、NSAID、解熱剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、尿酸排泄剤、化学療法剤、抗痛風薬、気管支拡張剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、ステロイド、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、細胞分裂抑制剤、サイトカイン及びサイトカインレセプターの可溶性部分(フラグメント)に対する抗体並びにそのフラグメントから選択される組成物である。
【0031】
より具体的に好ましい化合物は、例えばヒトNPHインスリン、ヒトレンテ及びウルトラレンテインスリン、インスリンリスプロ(Lispro)、インスリンアスプタルト(Asptart)、又はインスリングラルギン(Glargine)、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、エスモロール、セリプロロール、タリノロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプロパノロール、ペンブトロール、メピンドロール、ソタロール、セルテオロール、ナドロール、カルベジロール、ニフェジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ジィルチアゼム、エナラプリル、ヴェラパミル、ガロパミル、キナプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、ラミプリル、ペリドプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、イルベサタン、ロサルタン、ヴァルサルタン、テルミサルテン、エプロサルタン、オルメサルタン、ヒドロクロロチアジド、ピレタニド、クロロタリドン、メフルシド、フロセミド、ベンドロフルメチアジド、トリアムテレン、デヒドララジン、アセチルサリチル酸、チロフィバン-HCl、ジピラミドール、トリクロピジン、イロプロスト-トロメタノール、エプチフィバチド、クロピドグレル、ピラテカム、アブシクシマブ、トラピジル、シムヴァスタチン、ベンザフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、エトフィリン、クロフィブレート、エトフィブレート、フルヴァスタチン、ロヴァスタチン、プラヴァスタチン、コレスチラミド、コレスチポール-HCl、キサンチノールニコチナート、イノシトールニコチナート、アシピモクス、ネビヴォロール、グリセロールナイトレート、イソソルビドモノナイトレート、イソソルビドジナイトレート、ペンタエリトリチルテトラナイトレート、インダパミド、シラゼプリル、ウラピジル、エプロサルタン、ニルヴァジピン、メトプロロール、ドキサゾシン、モルシドルミン、モキサヴェリン、アセブトロール、プラゾシン、トラピジル、クロニジン、ヴィンカアルカロイド及び類似体、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、テニポシド、アルキル化剤、ニトロソウレア、N-消失類似体、シクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イフォスファミド、ミトキサントロン、イダルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、ダプトマイシン、抗代謝薬、例えばシタラビン、フルオロウラシル、フルオロアラビン、ゲムシタビン、チオグアニン、カペシタビン、組合せ薬剤、例えばアドリアマイシン/ダウノルビシン、シトシンアラビノシド/シタラビン、4-HC、又は他のホスファミドである。
【0032】
他の特に好ましい化合物は例えば以下の化合物である:クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、プロメタジン、セチリジン、アステミゾール、レヴォカバスチン、ロラチジン、テルフェナジン、アセチルサリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サルサレート、ジフルニサール、サリチルサリチル酸、メサラジン、スルファサラジン、オサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ケトロラク、ベタメタゾン、ブデソニド、クロモグリシン酸、ジメチコン、シメチコン、ドムペリドン、メトクロプラミド、アセメタシン、オキサセプロール、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルブリプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アザプロパゾン、ニメスリド、メタミゾール、レフルナミド、エフォリコキシブ、ロナゾラク、ミソプロストール、パラセタモール、アセクロフェナク、ヴァルデコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、プロピフェナゾン、コデイン、オキサポジン、ダプソン、プレドニゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン、デキシブプロフェン、デキサメタゾン、フルニソリド、アルブテロール、サルメテロール、テルブタリン、テオフィリン、カフェイン、ナプロキセン、硫酸グルコサミン、エタネルセプト、ケトプロフェン、アダリムマブ、ヒアルロン酸、インドメタシン、プログルメタシン二マレイン酸塩、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、インフリキシマブ、エトフェナメート、アウラノフィン、金、塩化[224Ra]ラジウム、チアプロフェン酸、デキスケトプロフェン(トロメタモール)、クロプレドノール、金チオリンゴ酸ナトリウム(sodium aurothiomalate)、金チオグルコース、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンゾブロマロン、カルバマゼピン、ロルノキシカム、フルオロコルトロン、ジクロフェナク、エファリズマブ、イダルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、ダプトマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、フルオロアラビン、ゲムシタビン、チオグアニン、カペシタビン、アドリアマイシン/ダウノルビシン、シトシンアラビノシド/シタラビン、4-HC、又は他のホスファミド、ペニシラミン、ヒアルロン酸調製物、アルテパロン、グルコサミン、MTX、TNF-レセプターの可溶性フラグメント(例えばエタネルセプト(エンブレル、Enbrel))及びTNFに対する抗体(例えばインフリキシマブ(レミケード、Remicade)、ナタリズマブ(チサブリ、Tysabri)及びアダリムマブ(フミラ、Humira))。
【0033】
本発明の化合物及び追加の治療薬は1つの単一投薬形で処方しても、又は別々の投薬形として存在し、付随して(すなわち同時に)若しくは連続して投与してもよいことは当業者には理解されよう。
本発明の医薬組成物は、意図する投与方法に適した任意の形態で存在しえる。
本発明の化合物は、経口的、非経口的、例えば気管支肺、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、脊髄内、経皮、経粘膜、硬膜下、抹消、又は局所的にイオン泳動を介して、舌下に吸入スプレー、エーロゾルによって、又は直腸などに、場合によって医薬的に許容される一般的賦形剤を含むユニット処方物として投与することができる。
本発明の医薬組成物の処方で用いることができる賦形剤は、担体、ベヒクル、希釈剤、溶媒、例えば一価アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール)及び多価アルコール(例えばグリコール)及び食用油、例えばダイズ油、ココナッツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、綿実油、油状エステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル;結合剤、アジュバント、可溶化剤、膨張剤、安定化剤、崩壊剤、研磨剤、滑沢剤、緩衝剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤、甘味料、着色料、香料、コーティング剤、保存料、抗酸化剤、プロセッシング剤、ドラッグデリバリー改変剤及び強化剤、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム(magnesium state)、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロプル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低温溶融ロウ、イオン交換樹脂を含む。
【0034】
他の適切な医薬的に許容可能な賦形剤は以下の成書に記載されている:Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publishing Co., New Jersey (1991)。
経口投与のための投薬形には錠剤、カプセル、ロゼンジ、ピル、ウェファース、顆粒、経口用液体、例えばシロップ、懸濁液、溶液、乳濁液、再構成用粉末が含まれる。
非経口投与のための投薬形には、輸液のための水性若しくは油性溶液又は乳濁液、注射筒に予め充填された注射用水性若しくは油性溶液、懸濁液又は乳濁液、及び/又は再構成用粉末が含まれる。
抹消/局所投与のための投薬形は、吸入剤、エーロゾル、計量エーロゾル、経皮治療系、薬剤絆創膏、直腸座薬、及び/又はオヴュールを含む。
単一投薬形を処方するために賦形剤と混合することができる本発明の化合物の量は、治療される宿主及び具体的な投与態様に応じて変動するであろう。
本発明の医薬組成物は、例えば以下の成書(Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publishing Co., New Jersey, 1991)に記載されている、それ自体当業者に公知の態様で製造することができる。
本発明のさらに別の特徴では、Mnk1又はMnk2(Mnk2a、Mnk2b)又は前記のさらに別の変種のキナーゼ活性の活性を阻害するため、特に代謝疾患、造血性異常、癌及びそれらの続発性合併症及び疾患を予防又は治療する医薬組成物の製造を目的とする本発明のピロロピリミジンの使用が提供される。それによって、炭水化物及び/又は脂質代謝の代謝異常の予防及び治療が好ましい。
Mnk1又はMnk2(Mnk2a、Mnk2b)及び/又は前記のさらに別の変種のキナーゼ活性を阻害することによって影響を与えることができる本発明の疾患には、代謝疾患の調節に関連する疾患、例えば肥満、摂食障害、悪液質、真性糖尿病、代謝症候群、高血圧、冠動脈心疾患、高コレステロール血症、脂質異常血症、変形性関節症、胆石及び/又は睡眠時無呼吸並びに反応性酸素化合物(ROS防衛)に関連する疾患、例えば真性糖尿病、神経変性疾患及び癌が含まれる。
【0035】
本発明の医薬組成物は、上記に記載したように、肥満、真性糖尿病、並びに炭水化物及び脂質代謝に関する他の代謝性疾患、特に真性糖尿病及び肥満の予防並びに治療のために特に有用である。
したがって、本発明のより好ましい実施態様では、代謝性疾患の予防又は治療用医薬組成物の製造を目的とするピロロピリミジン化合物の使用が提供される。
上記で考察したように、本発明の化合物及び組成物は、造血性異常並びにその続発性合併症及び疾患、例えば急性骨髄性白血病(AML)、ホジキン症、非ホジキンリンパ腫;造血性疾患、急性非リンパ球性白血病(ANLL)、骨髄増殖性疾患、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性骨髄単球性白血病(AMMol)、真性赤血球増加症、リンパ腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CCL)、ウィルムス腫瘍、又はユーイング肉腫の治療及び/又は予防に有用である。
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の化合物及び組成物は、癌並びに続発性合併症及び疾患、例えば上部胃腸管の癌、膵臓の癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、子宮頸部癌、子宮体癌、脳腫瘍、精巣癌、喉頭癌、骨癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、肝癌、肺癌、神経芽細胞腫、腎臓の癌、甲状腺癌、食道癌、軟組織肉腫、悪液質又は痛みの治療及び/又は予防に有用である。
本発明のさらに別の特徴では、サイトカイン仲介異常、例えば炎症性疾患を治療又は予防する医薬組成物の製造を目的とする本発明のピロロピリミジンの使用が提供される。
【0036】
したがって、本発明の医薬組成物は、炎症性疾患、特に慢性又は急性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、若年性関節リウマチ、痛風性関節炎;乾癬、乾癬性紅皮症、嚢疱性乾癬、炎症性腸疾患、クローン病及び関連症状、潰瘍性大腸炎、大腸炎、憩室炎、腎炎、尿道炎、卵管炎、卵巣炎、子宮内膜炎、脊椎炎、全身性紅斑性狼瘡及び関連疾患、多発性硬化症、喘息、髄膜炎、脊髄炎、脳脊髄炎、脳炎、静脈炎、血栓性静脈炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、アレルギー性鼻炎、心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、リウマチ性心膜炎、リウマチ性心内膜炎、リウマチ性心筋炎、リウマチ性僧帽弁疾患、リウマチ性大動脈弁疾患、前立腺炎、前立腺膀胱炎、脊髄関節症、強直性脊髄炎、滑膜炎、腱滑膜炎、筋炎、咽頭炎、リウマチ性多発性筋肉痛、肩甲腱炎若しくは滑液嚢炎、痛風、仮性痛風、血管炎(vasculitides)、以下から選択される甲状腺の炎症性疾患(肉芽腫様甲状腺炎、リンパ球性甲状腺炎、侵襲性線維性甲状腺炎、急性甲状腺炎);橋本甲状腺炎、川崎病、レイノー病、シェーグレーン症候群、神経炎症性疾患、敗血症、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、視神経炎、耳炎、リンパ節炎、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、喉頭蓋炎、気管支炎、肺炎、胃炎、歯肉炎、食道炎、胃炎、腹膜炎、肝炎、胆石症、胆嚢炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、半月体性糸球体腎炎、膵臓炎、皮膚炎、子宮内膜炎、子宮筋層炎、子宮炎、子宮頸部炎、子宮頸内膜炎、子宮頸外膜炎、子宮傍結合組織炎、結核、膣炎、外陰炎、珪肺症、サルコイドーシス、じん肺症、炎症性多発性関節症、乾癬性関節症、腸線維症、気管支拡張症、及び腸障害性関節症の予防又は治療に有用である。
【0037】
既に上記で述べたように、本発明の組成物は、慢性又は急性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、敗血症ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症及び喘息から選択される疾患の治療又は予防に特に有用である。
したがって、本発明のより好ましい実施態様では、慢性又は急性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、敗血症ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症及び喘息から選択される炎症性疾患を予防又は治療する医薬組成物の製造を目的とするピラゾロピリミジン化合物の使用が提供される。
本発明の目的のために、治療的に有効な用量は、一般的には約1から500mg/日、好ましくは約10から約200mg/日、もっとも好ましくは約10から約100mg/日で、前記は1ドース又はマルチドースとして投与することができる。
しかしながら、任意の個々の患者についての本発明の化合物の具体的なドースレベルは、多様な因子、例えば年齢、性別、体重、一般的な健康状態、食事、治療されるべき患者の個々の応答、投与期間、治療されるべき疾患の重篤度、適用される個々の化合物の活性、投薬形、適用態様、及び付随する医薬に左右されることは理解されよう。与えられた状況に対して治療的に有効な量は、日常的検査によって容易に決定され、通常の臨床医又は医師の技量及び判断の範疇にある。
【実施例1】
【0038】
本発明の化合物の製造例
本発明の化合物、それらの誘導体及び前駆体のための一般的合成方法
以下では一般的な合成方法を述べる。
ルートAE
【0039】
【化5】

【0040】
参考文献:J Med Chem, 1996, 12:2287
ピロールの生成
3-ヒドロキシ-2-ブタノン(1.0 eq)及びベンジルアミン(1.0 eq)をトルエン(50 vol)及び濃塩酸(5 vol)に溶解した。前記混合物をDean-Stark条件下で105℃で3時間加熱した。続いて前記反応物を室温に16時間静置した。続いてマロニトリルを添加し、反応物を16時間還流させ加熱した。前記反応物を室温に冷却し、溶媒をin vacuoで除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得た。
ピロロピリミドンの生成
ピラゾール(1.0 eq)をギ酸(10 vol)に溶解し、前記反応物を110℃で16時間加熱した。この反応物を室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機物を一緒にし、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、in vacuoで溶媒を除去した。得られた残留物を1Mの熱KOHに溶解し、続いて熱いうちに酢酸で中和した。続いて溶媒をin vacuoで除去し、採取した生成固体を精製することなく次の工程に進んだ。
塩素化
ピラゾロピリミドン(1.0 eq)をオキシ塩化リン(18 vol)に溶解し、N,N-ジメチルアニリン(3 vol)を添加し、さらに前記反応物を還流させて5時間加熱した。反応物を冷却し、溶媒をin vacuoで除去し、得られた残留物に粉砕した氷を注いだ。水性溶液をジエチルエーテルで3回抽出し、有機物を一緒にし、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、さらにin vacuoで溶媒を除去して所望の生成物を得た。
SNAr反応
アミン(1.0 eq)及び4-Cl-ピリミジン誘導体(1.0 eq)を封入管中のIPAで4−18時間、60℃で加熱した。続いてこの反応物を室温に冷却し、28%の水酸化アンモニウム溶液でpH9−10に塩基化させた。得られた沈殿物をろ過により単離し、水で洗浄し焼結物質上で乾燥させ、ジエチルエーテルで洗浄し、さらにin vacuoで乾燥させて所望の生成物を得た。
一般的留意点
−アミン基が酸を含む場合、反応物を塩基化しない。
−反応は典型的には50mgの規模で2−3mLのIPA中で実施され、10mgを超える生成物が得られる。
−反応が沈殿を生じない場合、溶媒を除去し、固体を水とともにすり潰して所望の生成物を得る。
【0041】
ルートAF
【0042】
【化6】

【0043】
7-ベンジル-4-クロロ-5,6-ジメチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンが、ルートAEの場合のように製造された。
脱ベンジル化
ベンジル化されたピロロピリミジン(1.0 eq)を加圧管内でトルエン(15 vol)に懸濁し、塩化アルミニウム(7 eq)を添加し、さらに120℃で4時間加熱した。この反応物を冷却し、溶媒をin vacuoで除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。
SNAr反応
ルートAEの場合と同じ。
【実施例2】
【0044】
キナーゼ蛍光偏光解析
アッセイ原理:Mnk1、Mnk2a及び他のキナーゼに対する化合物の阻害能力は、間接(競合)蛍光偏光として当業者に公知の様式に基づくアッセイにより判定された。このアッセイ検出系は、リン特異的抗体と結合した、小さな蛍光発光団標識リンペプチド(リガンドと称される)を含む。キナーゼ反応によって生じた生成物は、抗体結合について前記リガンドと競合する。結合したリガンドのより大きな分子体積(前記は溶液中ではより小さな回転率を生じる)により、その放出される光は、遊離リガンドから放出される光より強い偏光度を示す。
特異的な均質キナーゼアッセイの詳細
実施例2a. Mnk1及びMnk2aのin vitroキナーゼアッセイ
酵素の供給源として、大腸菌(E. coli)でヒトMnk1及びヒトMnk2aをGST融合タンパク質として発現させ、グルタチオンアフィニティークロマトグラフィーによって80%を超える均質性まで精製し、さらに予備活性化ERK2によりin vitroで活性化させた。略記すれば、ヒトMnk1及びMnk2aのオープンリーディングフレームを、それぞれ以下のフォワード/リバースプライマー対を用いてcDNAから増幅させ、ベクターpGEX-4T1(Amersham, Sweden, cat. No. 27-4580-01)のBamHI及びSalI部位にてクローニングした(利用制限部位には下線が付されている)。
配列番号:1 5'TTTAGGATCCGTATCTTCTCAAAAGTTGG/
配列番号:2 5'CTGGGTCGACTCAGAGTGCTGTGGGCGG 及び
配列番号:3 5'ACAGGGATCCGTGCAGAAGAAACCAGCC/
配列番号:4 5'GATGGTCGACTCAGGCGTGGTCTCCCACC
これらの構築物は、N-末端グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タグを有する融合タンパク質(GST-Mnk1又はGST-Mnk2aと称される)としてMnk1又はMnk2aの原核細胞発現を可能にする。その後の発現及び精製方法は、2つのアイソフォーム間で区別しないときは、GST-Mnk1及びGST-Mnk2a(一般的にGST-Mnkと称される)について同一であった。GST-Mnkの発現は大腸菌BL21(Merck Biosciences, Germany, cat no. 69449)で実施した。細胞は、100μg/mLのアンピシリンを補充したLB-Bouillon(Sigma, Germany, cat. no. A9518)で37℃にて増殖させた。A260が0.8に一致する濃度に培養が達したとき、同体積の氷冷LB/アンピシリンを添加し、この培養を25℃に移し、さらに1mMのイソプロピルチオガラクトシド(IPTG, Roth, Germany, ca. no. 2316.4)で4時間誘発した。遠心により採集した細胞を、湿潤細胞ペレット1グラム当り10mLの溶解緩衝液(50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロリド(トリス/HCl, Sigma, Germany, cat. no. T5941)、pH7.5、300mM塩化ナトリウム(NaCl、Sigma, Germany, cat. no. S7653)、5%(w/v)グリセロール(Sigma, Germany, cat. no. G5516)、3mM DTTジチオスレイトール(DTT、Sigma, Germany, cat. no. D9779))に懸濁した。溶解物は、ソニファイアーによる細胞の破壊、続いて38000gで45分間4℃の遠心による清澄化によって調製した。
溶解物は、溶解緩衝液で平衡化させたGSTPrep FF16/10カラム(Amersham, Sweden, cat. no. 17-5234-01)に適用した。未結合物質の除去は3カラム体積(CV)の溶解緩衝液により実施した。溶出には、2CVの溶出緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、300mMのNaCl、5%(w/v)グリセロール、20mMグルタチオン(Sigma, Germany, cat. no. G4251))を用いた。ピーク分画をプールし、PD10脱塩カラム(Amersham, Sweden, cat. no. 17-0851-01)でのゲルろ過により、タンパク質を貯蔵緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、200mMのNaCl、0.1mMエチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-テトラ酢酸(EGTA, Aldrich, Germany, cat. no. 23,453-2)、1mM DTT、10%(w/v)グリセロール、0.5Mシュクロース(Sigma, Germany, cat. no. S0389))に移した。アリコットを液体窒素で瞬間凍結し、-80℃で保存した。
Mnk1及びMnk2aの活性化は、2.5μMの濃度の精製GST-Mnk1又はGST-Mnk2aのいずれかで、150nMの予備活性化NHis-ERK2(調製のためのERK2アッセイを参照されたい)及び50μMのアデノシン三リン酸(ATP, Sigma, cat. no. A2699)とともに、20mMのN-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES, Fluka, Germany, cat. no. 54459)/水酸化カリウム(KOH, Roth, Germany, cat. no. 6751.1)(pH7.4)、10mM塩化マグネシウム(MgCl2, Sigma, Germany, cat. no. M2670)、0.25mM DTT、0.05%(w/v)ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル(Brij 78, Sigma, Germany, cat. no. P4019)(HMDB緩衝液)中で、45分間30℃でインキュベートすることによって実施された。インキュベーション後に、この調製物を使い切りサンプルに分注し、液体窒素で瞬間凍結し-80℃で保存し、下記に詳述するMnk1又はMnk2aキナーゼアッセイのために利用した。活性化キナーゼの存在は、Mnk活性アッセイを妨げないように試験された。
基質:配列番号:5、TATKSGSTTKNRの配列を有するカルボキシ末端アミド化12mer-ペプチド(前記は、真核細胞翻訳開始因子4E(elF4E)のセリン209の周辺のアミノ酸配列から誘導される)が合成され、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%を超える純度に精製された(Thermo, Germany)。Mnkキナーゼによってリン酸化されるセリン残基には下線が付されている。
リガンド:ペプチドTATKSG-pS-TTKNR(アミド化カルボキシ末端を含み、アミノ末端に下記記載のオキサジン誘導蛍光発光団が結合されている)を合成し、リガンドとして使用した。
【0045】
【化7】

【0046】
抗体:ペプチドNH2-CTATKSG-pS-TTKNR-CONH2(キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合)を用い標準的プロトコルにしたがって、SPFニュージーランド白色ウサギを免疫した。免疫グロブリンG(IgG)分画は、追加免疫動物の血清から当分野で公知の技術によって精製された。略記すれば、血清をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーに付した。溶出物質を冷50%飽和硫安で沈殿させ、ペレットを溶解し脱塩した。得られた物質は、更なる抗原特異的精製を実施することなく下記記載のアッセイでの使用に適切であった。
アッセイセットアップ:Mnk1及びMnk2aのキナーゼ活性の阻害は、それぞれ予備活性化GST-Mnk1又はGST-Mnk2aを用いる同じアッセイ系により判定した。キナーゼ反応物は、30μMの基質ペプチド、20μMのATP、60nMのリガンド、及び25nMの予備活性化Mnk1又は2.5nMの予備活性化Mnk2aのどちらか1つを含む。反応緩衝液条件は、16mMのHEPES/KOH(pH7.4)、8mMのMgCl2、0.4mMのDTT、0.08%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma, Germany, cat. no. A3059)、0.008%(w/v)プルロニックF127(Sigma, Germany, cat. no. P2443)、3%(v/v)DMSO(Applichem, Germany, cat. no. A3006)である。キナーゼ反応は30℃で40分実施した。キナーゼ反応は、20mMのHEPES/KOH(pH7.4)、50mMのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA, Sigma, Germany, cat. no. E5134)、0.5mMのDTT、0.05%(w/v)ポリオキシエチレン-ソルビタンモノラウレート(Tween 20, Sigma, Germany, cat. no. P7949)中の1μM抗体(0.67反応体積)を添加することにより終了させる。室温で1持間平衡させた後、サンプルを蛍光偏光測定に付す。蛍光偏光リードアウトは、アナリストADマルチモードリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA)で実施した。前記装置にはDLRP650二色鏡(Omega Opticals, Brattleboro, VT, USA, cat. no. XF2035)、励起側に630AF50バンドパスフィルター(Omega Opticals, Brattleboro, VT, USA, cat. no. XF1069)、及び発光側に695AF55バンドパスフィルター(Omega Opticals, Brattleboro, VT, USA, cat. no. XF3076)が搭載されていた。
実施例2b ERK2 in vitroキナーゼアッセイ
キナーゼ:酵素の供給源として、大腸菌でヒトERK2をN末端ヘキサヒスチジン融合タンパク質として発現させ、固定金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって80%を超える均質性にまで精製し、さらに構成的に活性なMEK1変異体によりin vitroで活性化させた。略記すれば、ヒトERK2のオープンリーディングフレームを、フォワード/リバースプライマー対を用いてcDNAから増幅させ、ベクターpQE81L(Qiagen, Germany, cat. no. 32923)のSalI及びHindIII部位にてクローニングした(利用制限部位には下線が付されている)。
配列番号:6 5'AGCCGTCGACGCGGCGGCGGCGGCGGCGGGC/
配列番号:7 5'TGACAAGCTTAAGATCTGTATCCTGGCTGG
この構築物は、N-末端ヘキサヒスチジンタグを有する融合タンパク質(NHis-ERK2と称される)としてERK2の原核細胞発現を可能にする。NHis-ERK2の発現は大腸菌BL21で実施した。細胞は、100μg/mLのアンピシリンを補充したLB-Bouillonで37℃にて増殖させた。A260が0.8に一致する濃度に培養が達したとき、同体積の氷冷LB/アンピシリンを添加し、この培養を25℃に移し、さらに1mMのIPTGで4時間誘発した。遠心により採集した細胞を、湿潤細胞ペレット1グラム当り10mLの溶解緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、300mM NaCl、5%(w/v)グリセロール、10mMβ-メルカプトエタノール(Sigma, Germany, cat. no. M3148))に懸濁させた。溶解物は、ソニファイアーによる細胞の破壊、続いて38000gで45分間4℃の遠心による清澄化によって調製した。
溶解物は、溶解緩衝液で平衡化させた25mLのNi-NTA Superflowマトリックス(Qiagen, Germany, cat. no. 1018611)を含むカラムに適用した。未結合物質の除去は3カラム体積(CV)の洗浄緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、300mM NaCl、5%(w/v)グリセロール、10mMβ-メルカプトエタノール、20mMイミダゾール(Sigma, Germany, cat. no. 12399)/HCl pH7.5)により実施した。溶出には、2CVの溶出緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、300mMのNaCl、5%(w/v)グリセロール、300mMイミダゾール)を用いた。ピーク分画をプールし、PD10脱塩カラムでのゲルろ過により、前記タンパク質を貯蔵緩衝液(50mMトリス/HCl(pH7.5)、200mMのNaCl、0.1mM EGTA、1mM DTT、10%(w/v)グリセロール、0.5Mシュクロース)に移した。アリコットを液体窒素で瞬間凍結し、-80℃で保存した。
ヒトMEK1のオープンリーディングフレームを、フォワード/リバースプライマー対を用いてcDNAから増幅させ、ベクターpQE80L(Qiagen, Germany, cat. no. 32923)のBamHI及びSalI部位にてクローニングした(利用制限部位には下線が付されている)。
配列番号:8 5'GTCCGGATCCCCCAAGAAGAAGCCGACGCCC/
配列番号:9 5'TCCCGTCGACTTAGACGCCAGCAGCATGGG
当分野で公知の技術によって、セリンコドン212及び214を変異させて、アスパルテート及びグルタメートをコードさせた。得られた発現構築物はNHis-MEK1 SSDEと称される。この構築物は、構成的に活性な変異体としてMEK1の原核細胞発現を可能にする。NHis-ERK2について記載して条件下で、NHis-MEK1 SSDEを発現させ精製した。
NHis-ERK2の活性化は、11.3μMの精製酵素濃度で、1μMのNHis-MEK1 SSDE及び100μMのATPとともに、20mMのHEPE/KOH(pH7.4)、10mM MgCl2、0.25mM DTT、0.05%(w/v)Brij 78(HMDB緩衝液)中で、20分間30℃でインキュベートすることによって実施された。インキュベーション後に、この調製物を使い切りサンプルに分注し、液体窒素で瞬間凍結し-80℃で保存し、下記に詳述するERK2キナーゼアッセイのために、及び上記記載のMnk1及びMnk2aの活性化のために利用した。MEK1 SSDEの存在は、ERK2活性アッセイを妨げないように試験された。
基質:配列番号:10、FFKNIVTPRTPPPSQGKの配列を有する、カルボキシ末端がアミド化された17mer-ペプチド(前記は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)のスレオニン98の周辺のアミノ酸配列から誘導される)が合成され(Thermo(Germany)により合成)、HPLCによって95%を超える純度に精製された。ERK2によってリン酸化される対応する残基には下線が付されている。
リガンド:ペプチドKNIVTPR-pT-PPPS(アミド化カルボキシ末端を含み、アミノ末端に蛍光発光団5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)が結合されている)をThermo(Germany)から購入し、リガンドとして使用した。
抗体:抗ホスホ-MBP抗体(クローンP12)はUpstate(Waltham, MA, USA(cat. no. 05-429))から購入した。
アッセイセットアップ:キナーゼ反応物は、60μMの基質ペプチド、10μMのATP及び30nMの予備活性化NHis-ERK2を含む。反応緩衝液条件は、16mMのHEPES/KOH(pH7.4)、8mMのMgCl2、0.4mMのDTT、0.08%(w/v)BSA、0.008%(w/v)プルロニックF127、3%(v/v)DMSOである。キナーゼ反応は30℃で40分実施される。キナーゼ反応は、20mMのHEPES/KOH(pH7.4)、50mMのエEDTA、0.5mMのDTT、0.05%(w/v)のTween 20中の5nMのリガンド及び50nMの抗体(0.67反応体積)を添加することにより終了させる。室温で30分平衡させた後、サンプルを蛍光偏光測定に付す。蛍光偏光リードアウトは、アナリストADマルチモードリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA)で実施した。前記装置には561nmの二色鏡(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA, cat. no. 42-000-0048)、励起側に550/10nmバンドパスフィルター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA, cat. no. 42-000-0130)、及び発光側に580/10nmバンドパスフィルター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA, cat. no. 42-000-0034)が搭載されていた。
本発明の特に好ましい化合物は、Mnk1及び/又はMnk2キナーゼ活性の阻害についてin vitro生物学的スクリーニングアッセイで、10μMよりも小さいIC50を提示することが示された。
消耗的実験を行うことなく、以下の原理及び方法を用いて、上記及び特許請求の範囲で規定された、本発明の意図する炎症性疾患及び症状の治療に使用することを目的とする治療用化合物を同定及び選別することができる。
一般的な原理として、炎症刺激に未だ暴露されていない系がそのような刺激及び治療用候補化合物に暴露される。そのような系は、培養細胞若しくは細胞成分、又は動物から単離された器官若しくは組織を含む。また別には、動物を炎症性刺激及び化合物に暴露することができる。
具体的には、コントロール群は既知量の炎症性刺激が与えられる。処置群は同じ量の炎症性刺激とともにアリコット量の治療用候補化合物に暴露される。各群の炎症応答を当業者に公知の通常の手段によって検出し比較する。
特に以下のアッセイを用いることができる。
【0047】
抹消血単核球を利用するアッセイ(例えば、Newton, J Leukoc Biol 1986, 39:299-311)
フィコール-ハイパーク濃度分離を用いて、抹消血からヒト抹消血単核球を調製する(Hansell et al. J Imm Methods 1991, 145:105)。細胞を適切な培養液および適切な濃度で培養する。そのような濃度は、96ウェルプレートの各ウェル当たり105から106細胞でありえる。適切な培養液には、10%ウシ胎児血清補充RPMI1640が含まれよう。段階希釈した試験化合物とともに、細胞をある時間インキュベートする。このインキュベーションに続いて、炎症刺激が細胞に適用される。この刺激は、LPS若しくは別の薬剤、又は薬剤の組合せでありえよう。更なるインキュベーションの後で、上清を化合物処理細胞及びコントロール細胞から引き出し、炎症応答をモニターするために有用な分子について分析する。この分析は、サイトカイン(例えばインターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、ケモカイン)、又はロイコトリエン、又はプロスタグランジン、又はそれらの誘導体の検出及び定量を含むことができる。検出は、例えば市場で入手できる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いることができる。
多糖類刺激マウス又はラットにおけるサイトカイン産生阻害についてのアッセイ
多糖類(LPS)のマウス又はラットへの注射は、抹消への可溶性サイトカインの迅速な放出を誘発する(例えば、Wichterman et al. J Surg Res 1980, 29:189-201;Beutler 1992. Tumor necrosis factors: the molecules and their emerging role in medicine. Raven Press, New York, N.Y.)。
LPS注射の前に、本発明の化合物を経口的又は皮下又は静脈内に投与する。化合物は急性又は亜急性に投与することができる。LPS注射後のある時間後に又は数回の時点で、血液を動物から抜き取り、サイトカインレベルについて分析する。化合物処置動物及び擬似処置動物における効果を比較する。
アジュバント関節炎抑制アッセイ(Pearson, Proc Soc Exp Biol Med 1956, 91:95-101)
アジュバント関節炎は、不完全フロイントアジュバントに分散させた加熱殺菌マイコバクテリアの投与によりある種のラット株で誘発される急性炎症性疾患である。この疾患では、主としてくるぶし及び脚の重篤な関節腫脹が出現する。
ラット(例えばルイス(Lewis)ラット)の処置群及びコントロール群をフロイント不完全アジュバント乳化加熱殺菌ヒト型結核菌(mycobacteria tuberculosis)で免疫する。その後で、コントロール群に擬似処置を行い、一方、処置群には本発明の化合物を投与する。投与は、経口的又は皮下又は静脈内のいずれかでありえる。処置は急性でも又は亜急性でもよい。処置の間、関節炎の進行は脚の腫脹を採点することによって決定される。
以下の動物モデルを前記一般的試験原理によって上記記載のように利用し、指定の炎症性疾患及び症状のための化合物を同定及び選別することができる。
【0048】
炎症性関節炎及び慢性関節リウマチの動物モデル
炎症性関節炎及び慢性関節リウマチの疾患の進行を反映する動物モデルがBrandによって概説されている(Comp Med 2005, 55(2):114-122)。特に、抗原誘発関節炎モデル(Dumonde and Glynn, Br J Exp Pathol 1962, 43:373-383 )、アジュバント関節炎モデル(Peason, Proc Soc Exp Biol Med, 1956, 91:95-101)、抗体関節炎モデル(Terato et al. J Immunol, 1992, 148:2103-2108)、又はコラーゲン誘発関節炎モデル(Trenthan et al. J Exp Med 1977, 146:857-868;Courtenay et al. Nature 1980, 283:666-668)を用いて、本発明に固有の化合物を選別することができる。
炎症性腸疾患及び関連症状の動物モデル
炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎の動物モデルがWirtz and Neurath(Int J Colorectal Dis 2000, 15(3):144-60)により概説されている。慢性腸炎症の病理発生を反映する症状は、免疫複合体と一緒にホルムアルデヒド(Hodgson et al. Gut 1978, 19:225-232;Mee et al. Gut 1979, 20:1-5)、酢酸(MacPherson and Pfeiffer, Digestion 1978, 17:135-150)、インドメタシン(Banerjee and Peters, Gut 1990, 31:1358-1364;Yamada et al. Inflammation 1993, 17:641-662)、デキストラン硫酸ナトリウム(Okayasu et al. Gastroenterology 1990, 98:694-702)又はハプテン、例えばトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)/ジニトロベンゼンスルホン酸(DNBS)(Morris et al. Gastroenterology 1989, 96:795-803;Elson et al. J Immuol 1996, 157:2174-2185;Neurath et al. J Exp Med 1995, 182:1281-1290;Yamada et al. Gastroenterology 1992, 102:1524-1534;Dohi et al. J Exp Med 1999, 189:1169-1180)又はオキサゾロン(Ekstrom, Scand J Gastroenterology 1998, 33:174-179;Boinvant et al. J Exp Med 1998, 188:1929-1939)を投与することによって誘発することができる。
敗血症ショックの動物モデル
敗血症の動物モデルでは、多糖類(LPS)、グラム陰性又はグラム陽性細菌又はそれらの組合せに被検物が暴露される(Wichterman et al. J Surg Res 1980, 29:189-201;Fink and Heard, J Surg Res 1990, 49(2):186-96)。盲腸結紮及び穿刺(CLP)のげっ歯類モデルは、腸管穿孔及び腸管起源の混合細菌感染の状況に類似する(Baker et al. Surgery 1983, 94:331-335)。
乾癬の動物モデル
乾癬治療のための化合物の適切性を調べるために、ヒト乾癬皮膚の異種移植モデル(Nickloff, Arch Dermatol 1999, 135:1104-1110;Nickoloff, J Invest Dermatol Symp Proc 2000, 5:67-73)を利用することができる。
アレルギー性喘息の動物モデル
一般的に用いられるアレルギー性喘息のげっ歯類モデルでは、動物は抗原(例えば卵白アルブミン)に感作され、続いてエーロゾルの吸入によって同じ抗原でチャレンジされる(例えば、Fujitani et al. Am J Respir Crit Care Med 1997, 155:1890-1894;Kanehiro et al. Am J Respir Crit Care Med 2002, 165:108-116;Oh et al., J Immunol 2002, 168:1992-2000)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ若しくは医薬的に許容できる塩:
【化1】

(式中Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bは、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1a及びR1bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1a、CHR1a、C(O)NR1a又はCR1aR1bであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN又はC原子と一緒に炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される1つ以上の追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒にC3-7シクロアルキル又は3-10員ヘテロシクロアルキル基を形成し、ここでR2及びR3は、場合によって1つ以上のR9で置換され、R2はまたR9でもよく、R3はまたR9でもよく;
R4は水素、C1-4アルキル、尿素、チオウレア、又は場合によって1つ以上のR9で置換されたアセチルであるか;
又はR4は、R1と一緒に5-6員複素環式環を形成してもよく;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個にH又はR9から選択され;
R9は、それぞれ別個にハロゲン;CN;COOR11;OR11;C(O)N(R11R11a);S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)S(O)2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;OC(O)N(R11R11a);オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和されてあり;C(O)R11;C1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;又はヘテロシクリルであり、ここでC1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;及びヘテロシクリルは場合によって1つ以上のR10で置換され;
R10は、それぞれ別個にハロゲン;CN;OR11;S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)S(O)2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;OC(O)N(R11R11a);オキソ(=O)、ここで環は少なくとも部分的に飽和されてあり;COR11;C1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアルキル;又はヘテロシクリルであり、ここでC1-6アルキル;フェニル;C3-7シクロルアキル;及びヘテロシクリルは場合によって1つ以上のR9で置換され;
R11、R11a、R11bは、それぞれ別個に水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、5-10員ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から成る群から選択され、ここでR11、R11a、R11bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R12は、水素、ハロゲン、OH、NH2、C(O)NH2又はC1-6アルキルであり;
R13、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシカルボニル、C6-10アリールオキシカルボニル、C6-10アラルコキシカルボニル、カルバモイル又はアシルである。
【請求項2】
R4が水素、C1-4アルキル、尿素、チオウレア、又は場合によって1つ以上のR9で置換されたアセチルである、請求項1に記載の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ若しくは医薬的に許容できる塩。
【請求項3】
一般式(1)の下記化合物を除く、請求項1に記載の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ若しくは医薬的に許容できる塩:
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5からR8の各々がHであり、Xが単結合であり、かつR1がHであるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5、R7及びR8がHであり、R6がCH3であり、Xが単結合であり、かつR1がHであるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R6及びR8がHであり、R5及びR7がCH3であり、Xが単結合であり、かつR1がHであるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R8がCH3であり、Xが単結合であり、R1がCH3であり、かつR5、R6及びR7がHであるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5、R6、R7がHであり;かつR8がC2H5でXが単結合でR1がHであるか、又はR8がHでXが単結合でR1がC2H5であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R6がC2H5であり、R5、R7、R8及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R6がn-C4H9であり、R5、R7、R8及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R8がClであり、R5、R6、R7及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R6がClであり、R5、R7、R8及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5がClであり、R8及びR1がHであり、Xが単結合であり、かつR5及びR7の一方がClで他方がHであるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R8がFであり、R5、R6、R7及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R6がFであり、R5、R7、R8及びR1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3がCH3であり、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5及びR7の一方がCH3で他方がHであり、R6及びR8がHであり、R1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3が、それらが結合しているC原子と一緒にC6-シクロアルキルを形成し、R12及びR13がHであり、R4がHであり、R5からR8の各々がHであり、R1がHであり、かつXが単結合であるもの;
−R2及びR3が、それらが結合しているC原子と一緒にC6-シクロアルキルを形成し、R12及びR13がHであり、R4がHであり;R5からR8及びR1の1つが-CH3で残りがHであり、かつXが単結合であるもの。
【請求項4】
Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bは、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1a及びR1bは、場合によって1つ以上のR9で置換され;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、C1-6アルキル3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、3-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1a、CHR1a、C(O)NR1a又はCR1aR1bであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN又はC原子と一緒に炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される1つ以上の追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、メチル、フェニル、エチル、プロピル、ペルフルオロメチルから選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒に5員炭素環式環を形成し;
R4は、水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、CONH2、CO2H、CO2CH3、Cl及びFから選択され;
R9は請求項1に規定されたとおりである、
請求項1から3のいずれかに記載の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【請求項5】
Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bはC1-6アルキルであり;
R1は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ジフルオロメチル、ブロモエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、ペルフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボナニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、フェニル又は窒素においてR9により置換されたピロリジン-3-イルであるか;
又は、XがNR1aであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN原子と一緒にモルホリノ基、ピロリジノ基、又はピペリジノ基を形成し、前記は-CH3又は-C(O)OC4H9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、メチル、フェニル、エチル、プロピル、ペルフルオロメチルから選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒に5員炭素環式環を形成し;
R4は水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、CONH2、CO2HCO2CH3、Cl及びFから選択され;
R9は請求項1に規定されたとおりである、
請求項1から4のいずれかに記載の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【請求項6】
R2及びR3は同じか又は異なっていて、メチル、水素、及びペルフルオロメチルから選択される、請求項1から5のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項7】
Xは、単結合、O、S、SO2、CH2、CHR1a、CR1aR1b、CH(ハロゲン)、C(ハロゲン)2、C=O、C(O)NR1a、NH又はNR1aであり、ここでR1a及びR1bはC1-6アルキルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルキルC3-10シクロアルキル、C3-10シクロアルキル、5-10員ヘテロシクロアルキル(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C6-10アリール、C1-6アルキルC6-10アリール、C5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、C1-6アルキルC5-10ヘテロアリール(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)、ここでR1は、場合によって1つ以上のR9で置換されるか;
又は、XがNR1aであるならば、R1は、R1a及びそれらが結合しているN原子と一緒に複素環式環を形成してもよく、前記はN、S及びOから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよく、前記は1つ以上のR9で置換されてもよく;
R2及びR3は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、C1-4アルキル(場合によって1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい)、アセチル基、尿素、ヒドロキシル、フェニル基、及びアミノ基から選択されるか、又はそれらが結合しているC原子と一緒にC3-6シクロアルキルを形成し;
R4は水素又はC1-4アルキルであり;
R5、R6、R7及びR8は同じか又は異なっていて、それぞれ別個に水素、CO2HCO2R1c、CONH2、CONHR1d、及びハロゲンから選択され、ここでR1c及びR1dはC1-6アルキルであり;
R9は請求項1に規定されたとおりである、
請求項1から3のいずれかに記載の化合物、又はその代謝物、プロドラッグ、若しくは医薬的に許容できる塩。
【請求項8】
R4が水素である、請求項1から7のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項9】
XがO又は単結合である、請求項1から8のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項10】
シクロアルキル基が、アダマンチル又はノルボナニル、シクロヘキシル若しくはシクロペンチルである、請求項1から9のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項11】
ハロゲン原子がCl、Br及びFから選択される、請求項1から10のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項12】
R5、R6、R7及びR8が水素である、請求項1から11のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項13】
R5、R6、R7及びR8の少なくとも1つが、F 、CONH2、又はCO2CH3である、請求項1から11のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項14】
R1が、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ジフルオロメチル、ブロモエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、ペルフルオロメチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボナニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、フェニル又は窒素においてR9により置換されたピロリジン-3-イルであり、ここでR9が請求項1に規定されたとおりである、請求項7から13のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項15】
R4、R7及びR8が水素である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
R6がC(O)NH2である、請求項1から3又は15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
R6がC(O)NH2であり、R1がC3-7シクロアルキル、C1-6アルキル、及び3-10員ヘテロシクロアルキル基(N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む)から選択され、さらにR12が水素である、請求項1から3、15又は16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化2】

【化3】

【請求項19】
以下から選択される、請求項18に記載の化合物:
【化4】

【請求項20】
請求項1から19のいずれかの項に記載の化合物及び場合によって医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項21】
追加の治療薬をさらに含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
追加の治療薬が、抗糖尿病薬、脂質低下薬、心脈管系薬剤、降圧剤、利尿剤、血小板凝集阻害剤、又は抗悪性腫瘍薬、又は抗肥満薬から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
追加の治療薬が、ヒトNPHインスリン、ヒトレンテ及びウルトラレンテインスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパタルト、又はインスリングラルギン、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、エスモロール、セリプロロール、タリノロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプロパノロール、ペンブトロール、メピンドロール、ソタロール、セルテオロール、ナドロール、カルベジロール、ニフェジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ジィルチアゼム、エナラプリル、ヴェラパミル、ガロパミル、キナプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、ラミプリル、ペリドプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、イルベサタン、ロサルタン、ヴァルサルタン、テルミサルテン、エプロサルタン、オルメサルタン、ヒドロクロロチアジド、ピレタニド、クロロタリドン、メフルシド、フロセミド、ベンドロフルメチアジド、トリアムテレン、デヒドララジン、アセチルサリチル酸、チロフィバン-HCl、ジピラミドール、トリクロピジン、イロプロスト-トロメタノール、エプチフィバチド、クロピドグレル、ピラテカム、アブシクシマブ、トラピジル、シムヴァスタチン、ベンザフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、エトフィリン、クロフィブレート、エトヒブレート、フルヴァスタチン、ロヴァスタチン、プラヴァスタチン、コレスチラミド、コレスチポール-HCl、キサンチノールニコチナート、イノシトールニコチネート、アシピモクス、ネビヴォロール、グリセロールナイトレート、イソソルビドモノナイトレート、イソソルビドジナイトレート、ペンタエリトリチルテトラナイトレート、インダパミド、シラゼプリル、ウラピジル、エプロサルタン、ニルヴァジピン、メトプロロール、ドキサゾシン、モルシドルミン、モキサヴェリン、アセブトロール、プラゾシン、トラピジル、クロニジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、テニポシド、アルキル化剤、ニトロソウレア、N-消失類似体、シクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イフォスファミド、ミトキサントロン、イダルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、ダプトマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、フルオロアラビン、ゲムシタビン、チオグアニン、カペシタビン、アドリマイシン/ダウノルビシン、シトシンアラビノシド/シタラビン、4-HC、又は他のホスファミドから選択される、請求項21又は22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
経口、非経口(例えば気管支肺)、抹消又は局所投与のための、請求項20から23のいずれかの項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
Mnk1若しくはMnk2(Mnk2a、Mnk2b)又は前記の変種のキナーゼ活性の活性を阻害するための、請求項1から19のいずれかの項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項26】
代謝疾患、造血性異常及び癌並びにそれらの続発合併症及び疾患の予防又は治療を目的とする、又は造血幹細胞療法で使用することを目的とする、請求項1から19のいずれかの項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項27】
炭水化物及び/又は脂質代謝の代謝性疾患並びにそれらの続発合併症及び疾患の予防又は治療を目的とする、請求項25又は26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
グルコース耐性障害、真性糖尿病II型、LADA、真性糖尿病I型、肥満、代謝性症候群、摂食障害、悪液質、変形性関節症、胆石、糖尿病性合併症(例えば糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性骨減少症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性腎障害、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障及び糖尿病性網膜障害、糖尿病性黄斑障害、糖尿病性下肢症候群、ケトアシドーシスを伴う又は伴わない糖尿病性昏睡、糖尿病性高浸透圧性昏睡、低血糖性昏睡、高血糖性昏睡、糖尿病性アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、イントラキャピラリーグロメルロネフローシス、キンメルスティール-ウィルソン症候群、糖尿病性筋萎縮症、糖尿病性自律神経性神経障害、糖尿病性単神経障害、糖尿病性多神経障害、糖尿病性自律神経性神経障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性抹消血管障害、糖尿病性潰瘍、糖尿病性関節症、又は糖尿病における肥満から選択される、炭水化物代謝疾患並びにそれらの続発合併症及び疾患の予防又は治療を目的とする、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
高コレステロール血症、脂質異常血症、家族性高コレステロール血症、フレドリクソン高リポタンパク血症、高ベータリポタンパク血症、高脂血症、低密度リポタンパク型(LDL)高リポタンパク血症、純粋高グリセリド血症、内因性高グリセリド血症、孤立性高コレステロール血症、孤立性ハイパートリグリセリデーミア、心脈管系疾患(高血圧、虚血、拡張蛇行静脈、網膜静脈閉塞、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、狭心症、肺性高血圧、うっ血性心不全から選択される)、糸球体症、尿細管間質障害、腎不全、血管狭窄症、脳血管系異常、又は脳卒中から選択される、脂質代謝の代謝性疾患(すなわち脂質異常)並びにそれらの続発合併症及び疾患の治療及び/又は予防を目的とする、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
真性糖尿病I型若しくは真性糖尿病II型又はLADA並びにそれらの続発合併症及び疾患の予防又は治療を目的とする、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
造血性疾患の予防又は治療を目的とする、請求項25又は26に記載の医薬組成物。
【請求項32】
真性糖尿病II型並びにその続発合併症及び疾患の予防又は治療を目的とする、請求項28又は29に記載の医薬組成物。
【請求項33】
肥満の予防又は治療を目的とする、請求項25又は26に記載の医薬組成物。
【請求項34】
医薬組成物が追加の治療薬と併用されて同時に又は連続して患者に投与されるためのものである、請求項24から33のいずれかの項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
追加の治療薬が、抗糖尿病薬、脂質低下薬、心脈管系薬剤、降圧剤、利尿剤、血小板凝集阻害剤、抗悪性腫瘍薬、又は抗肥満薬から選択される、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
追加の治療薬が、ヒトNPHインスリン、ヒトレンテ及びウルトラレンテインスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパタルト、又はインスリングラルギン、アテノロール、ビソプロロール、メトプロロール、エスモロール、セリプロロール、タリノロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプロパノロール、ペンブトロール、メピンドロール、ソタロール、セルテオロール、ナドロール、カルベジロール、ニフェジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ジィルチアゼム、エナラプリル、ヴェラパミル、ガロパミル、キナプリル、カプトプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、ラミプリル、ペリドプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、イルベサタン、ロサルタン、ヴァルサルタン、テルミサルテン、エプロサルタン、オルメサルタン、ヒドロクロロチアジド、ピレタニド、クロロタリドン、メフルシド、フロセミド、ベンドロフルメチアジド、トリアムテレン、デヒドララジン、アセチルサリチル酸、チロフィバン-HCl、ジピラミドール、トリクロピジン、イロプロスト-トロメタノール、エプチフィバチド、クロピドグレル、ピラテカム、アブシクシマブ、トラピジル、シムヴァスタチン、ベンザフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、エトフィリン、クロフィブレート、エトヒブレート、フルヴァスタチン、ロヴァスタチン、プラヴァスタチン、コレスチラミド、コレスチポール-HCl、キサンチノールニコチナート、イノシトールニコチネート、アシピモクス、ネビヴォロール、グリセロールナイトレート、イソソルビドモノナイトレート、イソソルビドジナイトレート、ペンタエリトリチルテトラナイトレート、インダパミド、シラゼプリル、ウラピジル、エプロサルタン、ニルヴァジピン、メトプロロール、ドキサゾシン、モルシドルミン、モキサヴェリン、アセブトロール、プラゾシン、トラピジル、クロニジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、テニポシド、アルキル化剤、ニトロソウレア、N-消失類似体、シクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イフォスファミド、ミトキサントロン、イダルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、ダプトマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、フルオロアラビン、ゲムシタビン、チオグアニン、カペシタビン、アドリアマイシン/ダウノルビシン、シトシンアラビノシド/シタラビン、4-HC、又は他のホスファミドから選択される、請求項34又は35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
医薬組成物が、経口、非経口(例えば気管支肺)、抹消又は局所適用に対して適応させられてある、請求項26から36のいずれかの項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
サイトカイン関連疾患を治療又は予防することを目的とする、請求項1から19のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項39】
医薬組成物が追加の治療薬と併用されて同時に又は連続して患者に投与されるためのものである、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
追加の治療薬が、ヒスタミンアンタゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、ロイコトリエン、抗喘息薬、NSAID、解熱剤、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛剤、尿酸排泄剤、化学療法剤、抗痛風薬、気管支拡張剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、ステロイド、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、細胞分裂抑制剤、サイトカイン及びサイトカインレセプターの可溶性部分(フラグメント)に対する抗体又はそのフラグメントから選択される、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
追加の治療薬が、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、プロメタジン、セチリジン、アステミゾール、レヴォカバスチン、ロラチジン、テルフェナジン、アセチルサリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サルサレート、ジフルニサール、サリチルサリチル酸、メサラジン、スルファサラジン、オサラジン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ケトロラク、ベタメタゾン、ブデソニド、クロモグリシン酸、ジメチコン、シメチコン、ドムペリドン、メトクロプラミド、アセメタシン、オキサセプロール、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルブリプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アザプロパゾン、ニメスリド、メタミゾール、レフルナミド、エフォリコキシブ、ロナゾラク、ミソプロストール、パラセタモール、アセクロフェナク、ヴァルデコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、プロピフェナゾン、コデイン、オキサポジン、ダプソン、プレドニゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン、デキシブプロフェン、デキサメタゾン、フルニソリド、アルブテロール、サルメテロール、テルブタリン、テオフィリン、カフェイン、ナプロキセン、硫酸グルコサミン、エタネルセプト、ケトプロフェン、アダリムマブ、ヒアルロン酸、インドメタシン、プログルメタシン二マレイン酸塩、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、インフリキシマブ、エトフェナメート、アウラノフィン、金、塩化[224Ra]ラジウム、チアプロフェン酸、デキスケトプロフェン(トロメタモール)、クロプレドノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、金チオグルコース、コルヒチン、アロプリノール、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンゾブロマロン、カルバマゼピン、ロルノキシカム、フルオロコルトロン、ジクロフェナク、エファリズマブ、イダルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、ダプトマイシン、シタラビン、フルオロウラシル、フルオロアラビン、ゲムシタビン、チオグアニン、カペシタビン、アドリアマイシン/ダウノルビシン、シトシンアラビノシド/シタラビン、4-HC、又は他のホスファミド、ペニシラミン、ヒアルロン酸調製物、アルテパロン、グルコサミン、MTX、TNF-レセプターの可溶性フラグメント及びTNFに対する抗体から選択される、請求項39又は40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
サイトカイン関連疾患が、慢性又は急性炎症、慢性炎症性関節症、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、若年性関節リウマチ、痛風性関節炎;乾癬、乾癬性紅皮症、嚢疱性乾癬、炎症性腸疾患、クローン病及び関連症状、潰瘍性大腸炎、大腸炎、憩室炎、腎炎、尿道炎、卵管炎、卵巣炎、子宮内膜炎、脊椎炎、全身性紅斑性狼瘡及び関連疾患、多発性硬化症、喘息、髄膜炎、脊髄炎、脳脊髄炎、脳炎、静脈炎、血栓性静脈炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、アレルギー性鼻炎、心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、リウマチ性心膜炎、リウマチ性心内膜炎、リウマチ性心筋炎、リウマチ性僧帽弁疾患、リウマチ性大動脈弁疾患、前立腺炎、前立腺膀胱炎、脊髄関節症、強直性脊髄炎、滑膜炎、腱滑膜炎、筋炎、咽頭炎、リウマチ性多発性筋痛、肩甲腱炎若しくは滑液嚢炎、痛風、仮性痛風、血管炎、甲状腺の炎症性疾患(肉芽腫様甲状腺炎、リンパ球性甲状腺炎、侵襲性線維性甲状腺炎、急性甲状腺炎から選択される);橋本甲状腺炎、川崎病、レイノー病、シェーグレーン症候群、神経炎症性疾患、敗血症、結膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、視神経炎、耳炎、リンパ節炎、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、喉頭蓋炎、気管支炎、肺炎、胃炎、歯肉炎、食道炎、胃炎、腹膜炎、肝炎、胆石症、胆嚢炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー病、半月体性糸球体腎炎、膵臓炎、皮膚炎、子宮内膜炎、子宮筋層炎、子宮炎、子宮頸部炎、子宮頸内膜炎、子宮頸外膜炎、子宮傍結合組織炎、結核、膣炎、外陰炎、珪肺症、サルコイドーシス、じん肺症、炎症性多発性関節症、乾癬性関節症、腸線維症、気管支拡張症、及び腸障害性関節症から選択される、請求項38から41のいずれかの項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
慢性又は急性炎症、慢性炎症性関節症、慢性関節リウマチ、乾癬、COPD、炎症性腸疾患、敗血症ショック、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症及び喘息を予防又は治療することを目的とする、請求項42に記載の医薬組成物
【請求項44】
医薬組成物が、経口、非経口(例えば気管支肺)、抹消又は局所適用に対して適応させられてある、請求項26から43のいずれかの項に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2009−542749(P2009−542749A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518781(P2009−518781)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006109
【国際公開番号】WO2008/006547
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011318)デフェロゲン アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】