説明

医薬組成物

【課題】抗炎症作用、抗リウマチ作用等の疾患に有効な物質、およびそれを有効成分とする医薬品、機能性飲食品等の提供。
【解決手段】式I:


で表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物ならびに該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物を有効成分として含有する糖尿病、リウマチ、炎症抑制を要する疾患、α−グリコシダーゼ阻害を要する疾患、プロスタグランジン合成抑制を要する疾患、エンドトキシンショック抑制を要する疾患、インターロイキン産生抑制を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導を要する疾患、腫瘍壊死因子産生抑制または発がん抑制を要する疾患の治療用または予防用の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、さらに詳しくは、藻類由来の生理活性物質を有効成分とする医薬に関する。また、本発明は、該生理活性組成物を含有する機能性飲食品にも関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は生体が外からの侵襲に対して防御的に働いて、内因性の活性物質を産生し、体の状態を適応させている結果と考えられている。しかし、それらによって引き起こされる反応が害になり、病的な状態を引き起こすことが多い。また、自己免疫疾患における炎症は免疫細胞が自己を異物と見なし、正常細胞に対しても障害的に働くことにより生じる。
【0003】
自己免疫疾患の一つである慢性関節リウマチは関節部位での特異的な炎症であり、その慢性関節リウマチの薬物治療法としては、ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤と、金、D−ペニシラミン等の寛解導入薬による内科的治療が行われている。
【0004】
寒天等の藻類由来のオリゴ糖は食品素材としての開発が期待されているが(フードケミカル,1988−2,40−44(非特許文献1);別冊フードケミカル−4,1990年12月,127−131(非特許文献2);特開平6−38691号(特許文献1))、それらの抗炎症作用、抗リウマチ作用等については不明である。
【0005】
【特許文献1】特開平6−38691号
【非特許文献1】フードケミカル,1988−2,40−44
【非特許文献2】別冊フードケミカル−4,1990年12月,127−131
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、抗炎症作用、抗リウマチ作用等の生理機能を有する安全性の高い物質を開発し、該物質を有効成分とする抗炎症剤、抗リウマチ剤等の、該化合物に感受性を示す疾患用の医薬品、該物質を構成成分とする機能性飲食品等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を概説すれば本発明の第1の発明は、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
で表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物ならびに該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する糖尿病、リウマチ、炎症抑制を要する疾患、α−グリコシダーゼ阻害を要する疾患、プロスタグランジン合成抑制を要する疾患、エンドトキシンショック抑制を要する疾患、インターロイキン産生抑制を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導を要する疾患、腫瘍壊死因子産生抑制または発がん抑制を要する疾患の治療または予防用の医薬組成物に関する。
【0010】
本発明の第2の発明は、式Iで表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物ならびに該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有、添加および/または希釈してなる、糖尿病、リウマチ、炎症抑制を要する疾患、α−グリコシダーゼ阻害を要する疾患、プロスタグランジン合成抑制を要する疾患、エンドトキシンショック抑制を要する疾患、インターロイキン産生抑制を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導を要する疾患、腫瘍壊死因子産生抑制または発がん抑制を要する疾患の症状改善用飲食品または該疾患の予防用飲食品に関する。
【0011】
本発明の第3の発明は、式Iで表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物ならびに該化合物を含有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の抗糖尿病剤、抗リウマチ剤、抗炎症剤、α−グリコシダーゼ阻害剤、プロスタグランジン合成抑制剤、エンドトキシンショック抑制剤、インターロイキン産生抑制剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤または発がん抑制剤の製造における使用に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、生体の恒常性維持と糖尿病、リウマチ、生活習慣病等の疾病の治療または予防に有用な医薬組成物、機能性食品および機能性飲料が提供される。また、本発明に使用される化合物は顕著な発がん抑制作用を示し、発がん抑制用食品添加剤としても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明における式Iで表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース(以下、単に3,6−アンヒドロガラクトピラノースと称する)のアルデヒド体は、下記式IIで表される化合物である。その抱水体は、下記式IIIで表される化合物である。また、3,6−アンヒドロガラクトピラノースの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体は下記式IVおよびVで表される化合物である。また、それらのアルデヒド体は、下記式VIおよびVIIで表される化合物である。それらの抱水体は、下記式VIIIおよびIXで表される化合物である。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

【0022】
本明細書における式I〜IXの構造は、他の表現形で表わすことも可能であるが、それらも含め、また、可能なそれらの互変異性体も含めて、式I〜IXで表すものとする。また、式I〜IXにおける立体配置は、所望の活性が得られる限り、特に限定するものではなく、D−型、L−型またはそれらの混合物であってよい。
【0023】
本発明の可溶性糖化合物は、特に限定するものではないが、3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物(以下、これらを「式I〜IXの化合物」として総称する)の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物で、式I〜IXの化合物の少なくとも1種を含有する物質(以下、単に原料物質という)を、pH7未満の酸性下で、酸分解および/または酵素分解して得ることができ、また、化学合成法によっても得ることができる。本発明の可溶性の糖化合物は、用時、固化または半固化(ゲル化)することが無い化合物であれば特に限定するものではない。したがって、用時においてゾル化する式I〜IXの化合物より選択される少なくとも1種の化合物を含有する糖化合物は、本発明の可溶性の糖化合物に包含される。なお、本発明において好適に使用される該可溶性の糖化合物には、例えば、その非還元末端がL−ガラクトース−6−硫酸以外の糖である糖化合物であり、例えば、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物が包含される。
【0024】
該可溶性糖化合物を得るのに用いる原料物質は、特に限定するものではなく、例えば、アガロース、アガロペクチン、フノラン、ポルフィラン、カラゲナン、フルセララン、ヒプネアン等の紅藻の粘質多糖[共立出版(株)発行、多糖生化学1−化学編−、第314頁(1969)]が例示される。また、これらの多糖の含有物も、原料物質に包含される。例えば、アガロース、アガロペクチンの原料としてはテングサ科のマクサ、オニグサ、オオブサ、ヒラクサ、オバクサ、ユイキリ等、オゴノリ科のオゴノリ、オオオゴノリ等、イギス科のイギス、エゴノリ等、その他の紅藻類が用いられ、通常、数種類の藻類を配合して原料とする。原料藻類は、通常、天日に干して乾燥させたものを用いるが、本発明においては生の藻類および乾燥した藻類が使用できる。また、乾燥時に散水しながら漂白した、いわゆるさらし原藻も使用できる。
【0025】
原料藻類を熱水抽出の後、冷却することによって「ところてん」が得られる。この「ところてん」から凍結脱水または圧搾脱水によって水分を除き、乾燥させることによって寒天が得られる。寒天はその起源となる藻類を問わず、また、棒状、帯状、板状、糸状、粉末状等の種々の形態のものを使用できる。通常、寒天は約70%のアガロースと約30%のアガロペクチンを含んでいるが、精製を進めてさらに高純度のアガロースを調製することが可能である。精製アガロースは精製度の低いものから高いものまで、様々なアガロース含量のものを使用できる。
【0026】
原料物質には、上記の寒天の原料藻類、ところてん、寒天、精製アガロース、精製アガロペクチン、これらの製造工程で得られる中間産物あるいは副産物が包含される。
【0027】
アガロースは、交互に結合したD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースを主構造とする多糖であり、D−ガラクトースの1位と3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの4位がβ−グリコシド結合で、また、3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの1位とD−ガラクトースの3位がα−グリコシド結合で結合している。α−1,3結合は希酸による温和な加水分解や、α−アガラーゼ[カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydr. Res.)、第66巻、第207頁(1978)]によって加水分解され、また、β−1,4結合はβ−アガラーゼによって選択的に加水分解される。
【0028】
また、カラゲナンはスギノリ科、ミリン科、イバラノリ科等の紅藻類に含まれる多糖であり、κ−カラゲナン、λ−カラゲナン、η−カラゲナンが知られている。
【0029】
κ−カラゲナンは、D−ガラクトース−4−硫酸の1位と3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースの4位がβ−グリコシド結合で、また、3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースの1位とD−ガラクトース−4−硫酸の3位がα−グリコシド結合で交互に繰り返された基本構造を持つ。λ−カラゲナンはD−ガラクトースの1位とD−ガラクトース−2,6−二硫酸の4位がβ−グリコシド結合で、また、D−ガラクトース−2,6−二硫酸の1位とD−ガラクトースの3位がα−グリコシド結合で交互に繰り返された基本構造を持つ。カラゲナンは食品のゲル化剤として利用されている。
【0030】
上記の原料物質を化学的、物理的および/または酵素的方法で部分分解したものも、本発明における原料物質に包含される。
【0031】
化学的分解方法の例としては、酸性から中性での加水分解、物理的分解方法の例としては、電磁波や超音波の照射、酵素的分解方法の例としては、加水分解酵素、例えば、アガラーゼ、カラギナーゼ等による加水分解が挙げられる。
【0032】
原料物質の酸性から中性での分解条件は、抗糖尿病作用、抗リウマチ作用、抗炎症作用、α−グリコシダーゼ阻害作用、プロスタグランジン合成抑制作用、エンドトキシンショック抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用および/または発がん抑制作用等を有する式I〜IXの化合物、これらの化合物の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物、例えば、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオース(以下、単にカラビオースと称す)およびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物、また、その非還元末端がL−ガラクトース−6−硫酸以外の糖である、式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物が生成する条件であれば、特に限定はない。
【0033】
例えば、原料物質を酸に溶解または懸濁し、反応させることにより、本発明で使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物、これらの化合物の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物が生成する。また、反応時に加熱することにより、式I〜IXの化合物より選択される化合物およびこれらの化合物の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物の生成に必要な反応時間は短縮される。
【0034】
原料物質、例えば、アガロースやアガロースを含有する物質を、溶解または懸濁する酸の種類に特に限定するものではないが、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機酸、また陽イオン交換樹脂、陽イオン交換繊維、陽イオン交換膜等の固体酸が使用可能である。
【0035】
酸の濃度も特に限定はないが、0.0001〜5規定、好ましくは0.001〜1規定の濃度で使用可能である。また、反応温度も特に限定はないが、0〜200℃、好ましくは20〜130℃に設定すればよい。また、反応時間も特に限定するものではないが、数秒〜数日に設定すればよい。酸の種類と濃度、反応温度および反応時間は原料となる式I〜IXの化合物より選択される少なくとも1種の化合物を含有する物質、例えば、アガロース、カラゲーナン等の種類および目的とする式I〜IXの化合物より選択される化合物、それらの化合物を含有する糖化合物の生成量、目的とする式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物の重合度により適宜選択すればよい。一般に、弱酸よりも強酸、低濃度の酸よりも高濃度の酸、低温よりも高温を選択することにより酸分解反応は速やかに進行する。
【0036】
また、固体酸を使用する場合は、一般に強陽イオン交換樹脂が、弱陽イオン交換樹脂より、分解反応の効率が良い。また、原料物質当たりの使用量が多い程、また作用温度が高いほど、酸分解反応が速やかに進行する。
【0037】
例えば、寒天を0.1N塩酸に10重量%に懸濁し、100℃で13分間加熱溶解し、不溶物を除去して得られる本発明に使用される糖化合物溶液は、冷却しても、その氷結点において、もはやゲル化しなくなる。この液に含まれる糖類をゲルろ過HPLC、順相HPLC等の方法で分析すると高分子の糖類はほとんど見られず、大部分が可溶性の10糖以下の糖化合物に分解されている。同様に、固定酸の場合、市販の強陽イオン交換樹脂のNa型の1重量部を1N塩酸でH型とした後、79重量部の脱塩水中に入れ、さらに寒天を10重量部入れ懸濁し、95℃で180分間加熱し得られる本発明の糖化合物溶液は、冷却しても、その氷結点において、もはやゲル化しなくなる。この液に含まれる糖類をゲルろ過HPLC、順相HPLC等の方法で分析すると高分子の糖類はほとんど見られず、大部分が可溶性の10糖以下の糖化合物に分解されている。
【0038】
また、本発明に使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物の製造に際しては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸を使用し、酸の濃度は数10mM〜数M、加熱温度は70〜95℃、加熱時間は数10分〜24時間の範囲から適宜選択することにより、生理活性を有するオリゴ糖、例えば、抗酸化用オリゴ糖が多量に生成する。また、加水分解後において、酸性を維持し、アルカリ条件下としないことにより、生成した該生理活性オリゴ糖は長期間の保存安定性を示す。
【0039】
本発明において使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物、これらの化合物の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物、例えば、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物としては、原料物質の分解物をそのまま、もしくは中和して使用しても良いが、さらに精製して用いても良い。式I〜IXの化合物より選択される化合物、該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物、例えば、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等のオリゴ糖は、例えば、アポトーシス誘発活性または制がん活性を指標として精製することができる。精製手段としては化学的方法、物理的方法等の公知の精製手段を用いればよく、ゲルろ過法、分子量分画膜による分画法、溶媒抽出法、イオン交換樹脂等を用いた各種クロマトグラフィー法等の従来公知の精製方法を組合せ、酸分解物中に生成した目的のアポトーシス誘発性物質である式I〜IXの化合物より選択される化合物、該化合物の少なくとも1種を含有する可溶性の糖化合物を精製することができる。
【0040】
こうして得られた化合物の構造は質量分析法、核磁気共鳴法、紫外吸収スペクトルの測定、赤外吸収スペクトルの測定等の公知の方法で解析できる。
【0041】
本発明の有効成分の1例であるアガロビオースは、D−ガラクトースの1位と3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの4位がβ−グリコシド結合で結合した2糖である。3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの1位はアノマー炭素であるのでα型とβ型とが存在するが、どちらも本発明で使用するアガロビオースに包含される。
【0042】
本発明で有効成分として使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物とは、該式I〜IXの化合物より選択される化合物の1位以外の水酸基に糖が結合したもので、抗糖尿病作用、抗リウマチ作用、抗炎症作用、α−グリコシダーゼ阻害作用、プロスタグランジン合成抑制作用、エンドトキシンショック抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用および/または発がん抑制作用等を有する化合物であれば特に限定はない。例えば、原料物質の分解物、例えば、アガロースの酸分解物やα−アガラーゼ分解物であるアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、アガロデカオース、β−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等が挙げられる。また、カラゲナンの酸分解物やカラギナーゼ分解物、例えば、カラビオースが挙げられる。さらに、グルコース、マンノース、ガラクトース等のヘキソース、キシロース、アラビノース、リボース等のペントース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸等のウロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン等のアミノ糖、N−アセチルノイラミン酸等のシアル酸、フコース等のデオキシ糖、これらのエステル、アミドおよびラクトンより選択される糖が1個または複数個、式I〜IXの化合物より選択される化合物の1位以外の水酸基に結合したものも本発明の、式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物に含まれる。さらに、これらの式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物、例えば、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物にピルビン酸および/または硫酸基を結合したもの、また該糖化合物の水酸基がメチル化されたものも、本発明の式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物に包含される。なお、上記のごとく、本発明において式I〜IXの化合物より選択される化合物を還元末端に有する糖化合物とは、好適にはその非還元末端がL−ガラクトース−6−硫酸以外の糖である。
【0043】
3,6−アンヒドロガラクトピラノースまたはその2−O−メチル化体を還元末端に有する糖化合物の還元末端の化合物の1位はアノマー炭素であるので、該化合物を還元末端に有する糖化合物にはα型とβ型が存在するが、どちらも3,6−アンヒドロガラクトピラノースまたはその2−O−メチル化体を還元末端に有する糖化合物として本発明で使用できる。
【0044】
また、抗糖尿病作用、抗リウマチ作用、抗炎症作用、α−グリコシダーゼ阻害作用、プロスタグランジン合成抑制作用、エンドトキシンショック抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用および/または発がん抑制作用等の生理活性を持っていれば、分子量には特に限定はない。
【0045】
本発明で使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物、該化合物を還元末端に有する糖化合物の還元末端の化合物としては、当然、α型、β型、アルデヒド型、抱水型の混合物およびD−型、L−型の混合物等も使用できる。
【0046】
かくして、本発明で使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物、該化合物を還元末端に有する糖化合物は抗糖尿病作用、抗リウマチ作用、抗炎症作用、α−グリコシダーゼ阻害作用、プロスタグランジン合成抑制作用、エンドトキシンショック抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用および/または発がん抑制作用を有し、本発明によれば、まず、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とし含有する、糖尿病、リウマチ、炎症抑制を要する疾患、α−グリコシダーゼ阻害を要する疾患、プロスタグランジン合成抑制を要する疾患、エンドトキシンショック抑制を要する疾患、インターロイキン産生抑制を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導を要する疾患、腫瘍壊死因子産生抑制または発がん抑制を要する疾患の治療剤または予防剤が提供される。
【0047】
本発明の治療用または予防用医薬組成物としては、抗糖尿病剤、抗リウマチ剤、抗炎症剤、α−グリコシダーゼ阻害剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤、抗肥満剤、プロスタグランジン合成抑制剤、エンドトキシンショック抑制剤、インターロイキン産生抑制剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤、活性酸素産生抑制剤、一酸化窒素(NO)産生抑制剤、過酸化物質産生抑制剤、発がん抑制剤等とすることができる。
【0048】
リウマチは骨膜細胞や軟骨細胞に障害が起こる疾患であり、本発明に使用する化合物は滑膜細胞増殖抑制作用等により抗リウマチ剤として有用である。
【0049】
また、本発明に使用する化合物は慢性関節リウマチなどの臓器特異自己免疫疾患や炎症性疾患において、炎症を直接惹起していると考えられる腫瘍壊死因子の産生を抑制する。したがって、炎症、リウマチ、特に慢性関節リウマチの症状が改善され、炎症マーカーであるC反応タンパク(CRP)値、リウマトイド因子(rheumatoid factor:RF)値、赤血球沈降速度(血沈)値が激減し、歩行困難等の合併症状も顕著に改善される。
【0050】
腫瘍壊死因子は、腫瘍部位に出血性壊死を誘導する因子として発見されたが、現在では炎症を基本とした生体防御・免疫機構に広くかかわるサイトカインとして認識されている。この腫瘍壊死因子の産生調節機構の破綻は様々な不都合を宿主にもたらし、腫瘍壊死因子の過度または未調節の産生は、慢性関節性リウマチ、リウマチ性脊髄炎、変形性関節症、痛風性関節炎、敗血症、敗血性ショック、内毒素ショック、グラム陰性菌敗血症、毒性ショック症候群、脳性マラリア、慢性肺炎、移植片対宿主反応、同種移植片拒絶反応、インフルエンザのような感染症による発熱および筋肉痛、感染または悪性腫瘍の二次的な悪液質、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の二次的な悪液質、AIDS、AIDS関連症候群、ケロイド形成、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、自己免疫糖尿病および全身エリテマトーデス等の自己免疫疾患を含む、これらの多くの疾患に関連している[モレキュラー・メディシン(Molecular Medicine)、第33巻、第1010〜1020頁、第1182〜1189頁(1996)]。
【0051】
本発明の腫瘍壊死因子産生抑制剤は、腫瘍壊死因子により媒介されるかまたは悪化する病状の治療に有用である。
【0052】
本発明に使用する化合物は酸化物質、例えば、活性酸素の産生抑制に有用であり、該化合物を有効成分とする活性酸素産生抑制剤等の抗酸化剤は活性酸素の産生および/または過剰が起因となる疾病の治療または予防に有用である。
【0053】
本発明において、NO産生の抑制を必要とする疾病とは、特に限定するものではないが、例えば、毒性ショックやある種のサイトカインによる治療等による全身性血圧低下、血圧応答低下、自己免疫疾患、炎症、関節炎、リウマチ性関節炎、糖尿病、炎症性腸疾患、血管機能不全、病因性血管拡張、組織損傷、心臓血管系虚血、痛感過敏症、脳虚血、血管新生を伴う疾病、がん等の疾病を含むものである。
【0054】
脳虚血中および再潅流後にはNO産生が増大し、それに伴って脳組織が損傷を受ける。脳虚血時に患者に本発明のNO産生抑制剤を投与することにより脳組織の損傷が軽減され、予後が改善される。
【0055】
組織の炎症および疼痛の惹起にはアラキドン酸代謝が大きく関与している。細胞膜リン脂質由来のアラキドン酸は、体内でシクロオキシゲナーゼの作用によりプロスタグランジン、プロスタサイクリン、トロンボキサンチンの三者に代謝される。このうちプロスタグランジンは血管拡張作用とそれに伴う臓器への血流増加作用を有するが、特に炎症部位においてはプロスタグランジンE2とI2がその血流増加作用により、浮腫と白血球浸潤を増加させる。すなわち、本発明のプロスタグランジンE2合成抑制剤を投与することにより、プロスタグランジンの生合成を抑制すると、鎮痛、抗炎症作用を発現させることができる。さらに、炎症部分に浸潤した白血球は活性酸素を生産し、酸化ストレス状態を引き起こすため、プロスタグランジンの生合成を抑制する本発明のプロスタグランジンE2合成抑制剤は、酸化ストレスによる先に述べたような様々な疾患、疾病の予防、治療あるいは悪化防止にも有用である。
【0056】
また、上記したように、NOは、炎症性病変に特徴的に認められる浮腫、すなわち血管透過性亢進作用を誘発し、炎症性メディエーターであるプロスタグランジン類の生合成を亢進させることより、本発明のNO産生抑制効果とプロスタグランジンE2合成抑制効果は相乗的に作用し、鎮痛、抗炎症作用と酸化ストレスによる様々な疾患、疾病の予防、治療あるいは悪化防止に相乗効果を発現する。
【0057】
強力な発がんプロモーターである12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(12-o-tetradecanoylphorbol-13-acetate:TPA)を皮膚に塗布することにより、塗布部位の細胞のアラキドン酸代謝が促進されプロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン等の化学物質が産生される。これらの炎症性物質により血管透過性が亢進され、皮膚の浮腫が惹起される。アラキドン酸代謝産物が関与する皮膚疾患として紅斑、膨疹等の急性蕁麻疹が知られており、TPAによる浮腫を抑制する物質は、これらの疾患に有効と考えられる。また、TPAによる皮膚疾患モデルは組織学的な類似点から乾せんのモデルとして用いられており、TPAによる浮腫を抑制する物質は乾せん治療薬として有用である。
【0058】
発がんの過程には、細胞のDNAに損傷を与える突然変異原性(イニシエーション)の段階と、さらに細胞の増殖のコントロールの逸脱(プロモーション)という段階があり、細胞のがん化にはこれらの過程を経ることが必要と考えられている。
【0059】
DMBAはイニシエーターとして作用し、TPAはプロモーターとして発がんを促進する。TPAのプロモーション作用としては、直接的な変異作用の他、生体の炎症誘導による発がん作用が知られている。すなわち、TPAはマクロファージ等の炎症細胞からNO、プロスタグランジンE2等、炎症性メディエーターの遊離を惹起する。プロスタグランジンE2はTh2細胞を選択的に活性化し、Th2の活性化はTh1の抑制に関与する。一方、NOは選択的にTh1を抑制する。NO、プロスタグランジンE2によるTh1の抑制はがんに対する生体の防御機構を抑制し、発がんが誘導される。これまで、プロスタグランジンE2を抑制するNSAID、ステロイド等による発がん抑制作用が報告されている。
【0060】
これまでに、緑茶やその成分であるカテキン類には発がん抑制作用があることは幾つかの論文に報告されている(Okabe, S.ら Jpn. J. Cancer Res. 90: 733-739, 1999; Yamane, T.らMolecular Medicine 33: 394-399, 1996; Wang, Z.らCancer Res. 52: 1162-1170, 1992)。
【0061】
その他に報告されている発がん抑制物質としては、ビタミン類、非ステロイド系抗炎症薬、カルシウムやセレニウムのようなミネラル類、N-アセチルシステインのような抗酸化物質などがある。オリゴ糖に関する報告としては、ラクチュロースの発がん抑制作用(Ponz de Leonら Scand. J. Gastroenterol. Suppl. 222: 72-75, 1997; Challa, A.ら Carcinogenesis 18: 517-521, 1997)やガラクトオリゴ糖の大腸がんに対する発がん抑制作用(Wijnands, M.V.ら Carcinogenesis 20: 651-656, 1999)またはフルクトオリゴ糖(またはオリゴフルクトース)の大腸がんの発がん抑制作用や胸部がんの制がん作用などが報告されている(Pierre, F.ら Cancer Res. 57: 225-228, 1997; Taper, H.S.ら J. Nutr. 129: 1488-1491, 1999)。しかしながら、寒天由来のオリゴ糖にこのような発がん抑制作用があるという報告はない。
【0062】
式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物より選択される化合物はTPAによる炎症を抑制し、炎症因子による発がんを抑制する。これらの化合物から選択される化合物を有効成分として発がん抑制剤、発がん抑制用飲食品を製造、提供することができる。
【0063】
インターロイキンは、リンパ球、単球などが生産するタンパク質性生物活性物質の総称である。現在ではインターロイキン1〜18の存在が知られている。本発明におけるインターロイキンとしては、例えばIL−6、IL−10が挙げられる。
【0064】
IL−6は、B細胞の最終分化を誘導する分化因子としてそのcDNAがクローニングされた。IL−6は、免疫応答だけでなく、造血系、神経系の細胞分化や急性反応に関与しており、さらに、種々の免疫異常や炎症性疾患、リンパ系腫瘍の発症とも密接に関係している。また、IL−6は、B細胞に対し抗体産生を誘導し、IgM、IgG、IgAの各クラスの免疫グロブリンを産生するが、IL−4とは異なりクラススイッチには関与しない。また、IL−6は、B細胞やプラズマサイトの増殖因子としても働いている。一方、T細胞系にも関与しており、T細胞を増殖させたり、分化させたりする。IL−6は、造血系にも関与しており、IL−3と協調して、G0期を短縮させることにより造血幹細胞を増殖させる。また、巨核球の成熟を促し血小板の増加を誘導する。IL−6は、細菌やウイルス感染、悪性腫瘍など生体が即座に反応する急性期反応にも関与している。IL−6は、神経系にも関与しており、グリオブラストーマやアストロサイトーマなどの神経系細胞から分泌され、神経系の分化誘導にも働く。慢性関節リウマチや全身性エリトマトーデスでは、B細胞の活性化がみられ、患者の関節液中に高濃度のIL−6が存在する。全身性リンパ節腫脹を特徴とするCastleman症候群では、血中IL−6濃度が非常に高い。自己免疫疾患様症状をしめす心房粘液腫の患者では、腫瘍細胞から大量のIL−6が産生されている。また、多発性骨髄腫患者由来のミエローマ細胞の増殖が抗IL−6抗体で抑制されることより、IL−6は、ミエローマ細胞の自己増殖因子である可能性が高い。さらに、原発性糸球体腎炎患者の尿中にもIL−6が含まれており、IL−6が腎メサンギウム細胞の増殖因子として働いている(宮園浩平および菅村和夫編、「BioScience用語ライブラリー:サイトカイン・増殖因子」、28−29頁、羊土社(1995))。このようなIL−6の異常産生が病体の原因と考えられる疾患には、本発明に使用する化合物を投与することで、IL−6の産生を抑制し、症状を治療または予防することができる。
【0065】
また、IL−10産生抑制を要する疾患としては、例えば免疫の低下を伴う疾患が挙げられる。
【0066】
ヘムオキシゲナーゼ(HO)には、33kDaのHO−1と36kDaのHO−2の2つのアイソザイムが存在する。HO−2は、HO−1のN末端側に20アミノ酸残基からなるアミノ酸配列が余分についた構造を持っている。残りの部分の相同性は40〜50%であるが、高次構造は良く類似している。両者ともにC末端部に疎水性領域があり、この部分でミクロソーム膜に結合している。ミクロソームをトリプシン処理するとヘム分解活性を有する可溶性画分が得られることから、活性中心を含む大きなドメインは細胞質側に突き出ていると思われる。
【0067】
HO−1は、誘導酵素であり、基質であるヘム、重金属イオン、ある種の有機化合物、過酸化水素、あるいは、熱ショックUV照射、虚血というような化学的、物理的要因によって種々の細胞で顕著に誘導される。HO−2は構成酵素で、各組織で発現しているが、特に脳や精巣で活性が高い。HOは、ヘムをビリベルジン、CO、鉄に分解し、ビリベルジンは、さらに還元酵素により、ビリルビンとなる。このビリルビンには、脂肪酸の抗酸化作用、脂質ラジカルのスカベンジ作用、好中球の貪食などに伴い大量に発生する酸素ラジカルによるリン脂質、中性脂肪、コレステロールのヒドロペリオキシドの産生抑制作用、動脈硬化発症と深く関与するLDL(Low density lipoprotein)の産生抑制作用、一重項酸素のスカベンジ作用等の抗酸化物質としての活性があり、内因性抗酸化物質として生体内で重要な役割を担っている。各種ラジカルは、脂質だけでなく、タンパク質、核酸など様々な生体物質に作用して、慢性疾患、癌を引き起こす要因となっているが、ビリルビンは、このような各種ラジカルを減少させる(ポルフィリン研究会編「ポルフィリン・ヘムの生命科学:遺伝病・がん・工学応用などへの展開」、東京化学同人(1995))。つまり、HOを誘導することにより、抗酸化活性を有するビリルビンの産生が誘導され、各種ラジカルによる疾患を治療または予防することができる。本発明に使用する化合物はHOの産生を誘導し、上記のようなHO産生誘導を要する疾患の治療または予防に対して有用である。
【0068】
上記した本発明の治療用または予防用医薬組成物、例えば、抗糖尿病剤は、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ製剤化することにより製造できる。
【0069】
一般的には、これらの化合物を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合し、かつ必要に応じて溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、これを使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品とすることができる。
【0070】
本発明の医薬組成物は、経口剤や、注射剤、点滴用剤等の非経口剤のいずれによっても投与することができる。
【0071】
医薬用担体は、上記投与形態および剤型に応じて選択することができ、経口剤の場合は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等が利用される。また、経口剤の調製に当っては、さらに、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を配合することもできる。
【0072】
一方、非経口剤の場合は、常法に従い、本発明の有効成分であるアポトーシス誘発性を有する糖化合物を、希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等に溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えることにより調製される。
【0073】
本発明の医薬組成物は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
【0074】
本発明の医薬組成物、例えば抗糖尿病剤の投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが、一般には製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
【0075】
同様に、本発明の抗リウマチ剤、抗炎症剤、α−グリコシダーゼ阻害剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤、抗肥満剤、プロスタグランジン合成抑制剤、エンドトキシンショック抑制剤、インターロイキン産生抑制剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘発剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤、または発がん抑制剤は、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ、製剤化すれば製造することができる。これらの製剤の製造は上記医薬組成物の製造方法に準じ行うことができる。
【0076】
これらの抗リウマチ剤、抗炎症剤、α−グリコシダーゼ阻害剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤、抗肥満剤、プロスタグランジン合成抑制剤、エンドトキシンショック抑制剤、インターロイキン産生抑制剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘発剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤、または発がん抑制剤としては、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
【0077】
また、これらの抗リウマチ剤、抗炎症剤、α−グリコシダーゼ阻害剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤、抗肥満剤、プロスタグランジン合成抑制剤、エンドトキシンショック抑制剤、インターロイキン産生抑制剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘発剤、腫瘍壊死因子産生抑制剤、発がん抑制剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが一般には、製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
【0078】
つぎに、本発明の飲食品は、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を含有する可溶性の糖化合物より選択される少なくとも1種の化合物、例えば、原料物質のpH7未満の酸性下での酸分解物および/または酵素分解物より生成する、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有、添加および/または希釈してなる食品または飲料であり、その抗糖尿病作用、抗リウマチ作用、抗炎症作用、α−グリコシダーゼ阻害作用、血糖上昇抑制作用、抗高脂血症作用、抗肥満作用、プロスタグランジン合成抑制作用、エンドトキシンショック抑制作用、インターロイキン産生抑制作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘発作用、腫瘍壊死因子産生抑制作用および/または発がん抑制作用により、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を含有する可溶性の糖化合物の少なくとも1種に感受性を示す糖尿病、リウマチ、炎症抑制を要する疾患、α−グリコシダーゼ阻害を要する疾患、プロスタグランジン合成抑制を要する疾患、エンドトキシンショック抑制を要する疾患、インターロイキン産生抑制を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘発を要する疾患、または腫瘍壊死因子産生抑制を要する疾患の症状改善、予防に極めて有用であり、また発がん抑制に有用である。
【0079】
本発明の食品または飲料の製造方法は、特に限定はないが、調理、加工および一般に用いられている食品または飲料の製造方法を採用でき、製造された食品または飲料に、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に含有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、例えば、原料物質のpH7未満の酸性下での酸分解および/または酵素分解により生成する、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等から選ばれる少なくとも1種の化合物が有効成分として含有されていればよい。
【0080】
本発明の飲食品は、特に限定するものではないが、例えば、穀物加工品(例、小麦粉加工品、デンプン類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅等)、油脂加工品(例、可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシング等)、大豆加工品(例、豆腐類、味噌、納豆等)、食肉加工品(例、ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージ等)、水産製品(例、冷凍すりみ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮等)、乳製品(例、原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリーム等)、野菜・果実加工品(例、ペースト類、ジャム類、漬物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料等)、菓子類(例、チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類等)、アルコール類(例、日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュール等)、嗜好飲料(例、緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料等)、調味料(例、しょうゆ、ソース、酢、みりん等)、缶詰・瓶詰・袋詰食品(例、牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済食品等)、半乾燥または濃縮食品(例、レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類等)、乾燥食品(例、即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済食品、調理済飲料、調理済スープ等)、冷凍食品(例、すき焼き、茶碗蒸し、うなぎかば焼き、ハンバーグステーキ、シュウマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテル等)、固形食品、液体食品(例、スープ等)、香辛料類等の農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品等が挙げられる。
【0081】
本発明の飲食品には、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端に含有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物、例えば、原料物質のpH7未満の酸性下での酸分解および/または酵素分解により生成する、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトース等の糖化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物が含有、添加および/または希釈されており、その生理機能を発現するための必要量が含有されていれば、特に、その形状に限定は無く、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取可能な形状物も包含する。
【0082】
3,6−アンヒドロガラクトピラノースまたはその2−O−メチル化体またはその2−O−硫酸化体および該化合物を還元末端にもつ糖化合物は、ヘミアセタール環が開環しやすく、末端にアルデヒドができやすい。このアルデヒドおよび3,6−アンヒドロガラクトピラノースのアルデヒド体のアルデヒドは、アルデヒドに反応性を有する化合物、例えば、アミノ酸等のごとき求核性物質と反応しやすく、反応した式I〜IXの化合物または糖化合物、例えば、オリゴ糖は、還元末端の式I〜IXの化合物より選択される化合物を無くした状態になる。そのため、式I〜IXの化合物より選択される化合物およびそれらの化合物を還元末端にもつオリゴ糖が有する様々な生理活性が失なわれてしまう。すなわち、飲料あるいは食品中で式I〜IXの化合物より選択される化合物およびそれらの化合物を還元末端に有する糖化合物からなる群より選択される化合物を安定よく保持するには、これらのアルデヒドのモル濃度より、これらのアルデヒドに対して反応性を示す化合物のモル濃度を、低い状態に保つ必要がある。
【0083】
そこで、本発明の食品または飲料の製造においては、従来制御されていなかった、これらのアルデヒドに反応性を示す化合物量の制御を行うことにより、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端にもつオリゴ糖からなる群より選択される化合物を実質的に減少させることなく、これらの化合物の高含有食品または飲料を提供することが可能となる。
【0084】
また、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端にもつ糖化合物の還元末端における当該式I〜IXの化合物より選択される化合物は酸性下において安定であることが見出され、本発明の食品または飲料の製造方法においてその全行程を酸性下で行い、得られる食品または飲料を酸性食品または酸性飲料とすることにより、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端にもつ可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を高含有する酸性食品または酸性飲料の提供が可能となる。
【0085】
また、式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を還元末端にもつ可溶性の糖化合物、例えば寒天由来アガロオリゴ糖は、リポポリサッカライド(LPS)やTPAなどで誘導される炎症メディエータ、例えばNO、プロスタグランジンE2(PGE2)等の産生を抑制し、発がん予防用食品添加剤としても有用である。
【0086】
本発明に使用する式I〜IXの化合物より選択される化合物および該化合物を含有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される化合物は、いずれも、1g/kgの投与量でマウスに経口または腹腔内投与しても急性毒性は認められない。
【実施例】
【0087】
以下、参考例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0088】
参考例1
寒天(アガー・ノーブル)を10%濃度となるように0.1N HClに懸濁し、100℃で19分間加熱した。水で平衡化したトヨパール(TOYOPEARL)HW40C(東ソー社製)カラム(4.4cm×85cm)に上記試料10mlをアプライし、毎分1.4mlの流速で水を移動相としてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。溶出する物質は示差屈折計で検出し、7mlずつ分取した。
【0089】
溶出時間406分、435分、471分および524分にピークが認められ、各ピークに対応する画分をシリカゲル60シートF254(メルク社製)にスポットして1−ブタノール:エタノール:水=5:5:1で展開し、オルシノール−硫酸法で分析したところ、これらは順にアガロオクタオース、アガロヘキサオース、アガロテトラオースおよびアガロビオースであることが明らかになった。これらの画分を凍結乾燥して30mgのアガロオクタオース、100mgのアガロヘキサオース、150mgのアガロテトラオースおよび140mgのアガロビオースを得た。
【0090】
参考例2
(1)市販の寒天(伊那寒天タイプS−7、伊那食品工業社製)150g、食添用クエン酸(無水)(三栄源エフ・エフ・アイ社製)15gを脱イオン水で1.5リットルに合せ、品温92℃に上昇させた後、92〜95℃に、撹拌下に130分保持した。ついで、室温まで冷却し、セライト545(セライト社製)の0.5%ボディフィードでろ過し、ろ液(寒天分解オリゴ糖溶液)を調製し、以下の順相HPLCで分析した。
【0091】
カラム:PALPAK type S(4.6×250mm、宝酒造社製、CA8300)
溶媒A:90%アセトニトリル水溶液
溶媒B:50%アセトニトリル水溶液
流速:1ml/分
溶出:溶媒A(10分間)→溶媒Aから溶媒Bの直線濃度勾配(40分間)→溶媒B(10分間)
検出:195nmにおける吸光度
カラム温度:40℃
この結果、糖化合物としてアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオースが主成分として生成していることを確認した。
【0092】
また、以下の条件で順相HPLC、ゲルろ過HPLCを行い、同様の結果を得た。
(a)
カラム:TOSOH TSK−gel Amide−80(4.6×250mm:東ソー社製)
溶媒:60%CH3CN
流速:0.7mL/分
検出:RI detector
カラム温度:80℃
(b)
カラム:TOSOH TSK−gel ALPHA−2500×2(7.8×300mm:東ソー社製)
溶媒:H2
流速:0.3mL/分
検出:RI detector
カラム温度:60℃
【0093】
該ろ液のpHは約2.6、酸度は0.92、ブリックスは9.2%、下記参考例2−(2)記載の方法で測定したアガロビオース生成量は43.1mMであった。
【0094】
(2)F −キット乳糖/ガラクトース(ベーリンガーマンハイム株式会社製コード176303)を用い、アガロビオースにβ−ガラクトシダーゼを作用させ、生成されるガラクトースの濃度を測定する方法でアガロビオースの定量を行った。
【0095】
キットの使用方法に従い定量を行ったが、β−ガラクトシダーゼの反応は、37℃、1時間に変更した。検量線はラクトースを用いて作製し、ラクトース換算のモル濃度(mM)を算出した後、アガロビオース濃度(mg/ml)に変換した。
【0096】
上記参考例1で調製したアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオースを用い、上記方法で定量を試みた。その結果、アガロビオースは、計算値と実測値が一致した。その一方で、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオースは、上記方法では実質的に検出されなかった。つまり、アガロビオース以外のアガロオリゴ糖は、上記検出方法では実質的に検出されないことが明らかとなり、上記方法を用いることにより、アガロオリゴ糖中のアガロビオースの濃度測定を行うことができる。
【0097】
参考例3
市販寒天(伊那寒天タイプS−7、伊那食品工業(株)製)を脱塩水に10%w/vになるように溶解し、さらに強陽イオン交換樹脂活性型(H)(ダイヤイオン、三菱化学、SK−104)を1%w/vになるように添加し、95℃で3時間加水分解させ、反応後常温まで低下させて固液分離(溶液から樹脂の除去)した。得られた液は活性炭処理(活性炭濃度4%w/v)で着色物質等を除去し、濾過(ポアーサイズ;0.1μmのフィルター)した後、減圧濃縮し、再度濾過(ポアーサイズ;0.2μmのフィルター)し、常法に従って凍結乾燥し、アガロビオース含有組成物としてアガビオースを調製した。
【0098】
このアガビオースの組成は水分1.3%、ガラクトース3.4%、アガロビオース30.7%、アガロテトラオース、アガロヘキサオース等のアガロオリゴ糖62.4%、pH4.1であった。
【0099】
実施例1
10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン(ライフテックオリエンタル社製、Code.25030-149)含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12-917F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で6時間培養した。参考例1で調製したアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを5mMとなるように水に溶解しろ過滅菌した各オリゴ糖水溶液を、各ウェルに10μlずつそれぞれ添加し、さらに、0.5時間あるいは5時間培養した。その後、各ウェルに10μlの5μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、Code.L-2012)、2000U/mlインターフェロンγ(IFNγ、コスモバイオ社販売、Code.GZM-MG-IFN)水溶液を添加して、12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO2-濃度の測定を行った。
【0100】
なお、対照としてLPS、IFNγを加えない区分およびアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを加えない区分を設定した。
【0101】
上記培養後、100μlの培養上清に100μlの4%グリース試薬(シグマ社製、Code.G4410)を加え、室温で15分間放置した後、490nmにおける吸光度を測定した。上記培地に溶解した既知の濃度のNaNO2で作製した検量線から培地中のNO2-濃度を計算した。測定はすべて3連で行った。
【0102】
この結果、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースはいずれもLPS、IFNγによるNO産生誘導を抑制した。また、LPS、IFNγ添加前、アガロオリゴ糖存在下0.5時間培養した区分より、5時間培養した区分で、より強いNO産生抑制が認められた。さらに、糖鎖が伸びるほど、すなわち、アガロビオースよりアガロテトラオース、アガロヘキサオースを添加した区分で、より強いNO産生抑制が認められた。その結果を、図1に示す。すなわち、図1は各培養条件下で培養した時の培地中のNO濃度を示す図である。図1において横軸は培養条件を、縦軸はNO2-濃度(μM)を示す。
【0103】
実施例2
10%ウシ胎児血清含有、1.3%ジメチルスルホオキサイド(同仁化学社製、Code.346-03615)含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、Code.12-702F)にHL−60細胞を添加し、5%炭酸ガス存在下、37℃で1週間培養し、好中球様に分化させた細胞(以下、HL−60Nuという)を調製した。
【0104】
参考例1で得たアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを5mMとなるように水に溶解しろ過滅菌した。HL−60Nu細胞を2.5×105個/2.4mlになるように10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に懸濁し、上記各オリゴ糖水溶液50μlを添加して5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養した。その後、各ウエルに5mg/mlホルボール12-ミリステート13-アセテート(TPA、ギブコ社製、Code.13139-019)水溶液50μlを添加して、さらに5時間培養した後、細胞内過酸化物の測定を行った。なお、対照としてTPAを加えない区分およびアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを加えない区分を設定した。
【0105】
上記培養後、各ウエルに5mM 2’,7’−ジクロロフルオレセインジアセテート(シグマ社製、Code.D6833)ジメチルスルホオキサイド溶液10μlを添加して、さらに30分培養した。その後、細胞を遠心分離により回収してリン酸緩衝食塩水により2回洗浄後、細胞工学別冊実験プロトコールシリーズ活性酸素実験プロトコール(1994年秀潤社)、第51〜54頁記載の方法でFACScanを用いて、細胞内過酸化物の量に比例して生成する2’,7’−ジクロロフルオレセインを測定した。
【0106】
この結果、アガロビオース、アガロテトラオースに若干の、アガロヘキサオースにTPA誘導細胞内過酸化物生成の抑制が認められた。その結果を図2に示す。すなわち、図2は各培養条件で培養した時の細胞内過酸化物の量が正常領域にある細胞の割合を示した図であり、横軸は培養条件を、縦軸は細胞内過酸化物の量が正常領域にある細胞の割合(%)を示す。
【0107】
実施例3
10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12-604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で6時間培養した。参考例1で調製したアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを5mMとなるように水に溶解しろ過滅菌した各オリゴ糖水溶液を、各ウェルに10μlずつそれぞれ添加し、さらに、0.5時間あるいは5時間培養した。その後、各ウェルに50μg/ml LPS水溶液10μlを添加して、12時間培養した後プロスタグランジンE2の量を測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分およびアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースを加えない区分を設定した。
【0108】
上記培養後、培養上清中のプロスタグランジンE2量をプロスタグランジンE2 ELISA KIT(ネオジェン社製、Code.404110)を用い測定した。測定は全て3連で行った。
【0109】
この結果、アガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオースはいずれもLPSによるプロスタグランジンE2産生誘導を抑制した。また、LPS添加前、アガロオリゴ糖存在下0.5時間培養した区分より、5時間培養した区分で、より強いプロスタグランジンE2産生抑制が認められた。その結果を、図3に示す。すなわち、図3は各培養条件下で培養した時の培地中のプロスタグランジンE2濃度を示す図である。図3において横軸は培養条件を、縦軸はプロスタグランジンE2濃度(ng/ml)を示す。
【0110】
実施例4
(1)参考例2で調製した寒天分解オリゴ糖溶液1リットルに対して炭酸カルシウム(和光純薬社製 Code.034-00425)8.5gを加え、5℃で一晩撹拌した。これを、ろ過してろ液を得た。この結果、処理前のクエン酸濃度が11.40mg/mlであったものが、この処理により1.37mg/mlとなった。また、カルシウム濃度は処理前0.25mg/mlだったものが、処理後0.62mg/mlとなった。
【0111】
(2)実施例4−(1)記載の脱クエン酸寒天分解オリゴ糖溶液を凍結乾燥して粉末として、10%の濃度となるように水道水に溶解して10%寒天オリゴ糖溶液とした。
【0112】
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)に上記調製の10%寒天オリゴ糖溶液を21日間自由飲水させた。なお、対照として水道水を自由飲水させた。また、各群2匹ずつで行った。この後、腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、Code.12-702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり2匹分をまとめて腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を106個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12-917F)を500μlずつ加え、10μlの5μg/ml LPS、2000U/ml IFNγ水溶液を添加してさらに12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO2-濃度の測定を実施例1記載の方法で行った。なお、対照としてLPS、IFNγ水溶液を加えない区分を設定した。また、測定は全て3連で行った。
【0113】
この結果、10%寒天オリゴ糖溶液を自由飲水させたマウスより調製した腹腔マクロファージにおいて顕著なNO産生抑制が認められ、寒天オリゴ糖は自由飲水において、強いNO産生抑制作用を示した。
【0114】
その結果を図4に示す。すなわち、図4は各培養条件で培養したときの培地中のNO濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はNO2-濃度(μM)を示す。
【0115】
実施例5
実施例4−(1)記載の脱クエン酸寒天分解オリゴ糖溶液を凍結乾燥して粉末として、10%の濃度となるように水道水に溶解して10%寒天オリゴ糖溶液とした。
【0116】
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)に上記調製の10%寒天オリゴ糖溶液を21日間自由飲水させた。なお、対照として水道水を自由飲水させた。また、各群2匹ずつで行った。この後、腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、Code. 12-702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり、2匹分をまとめて腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を106個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12-604F)を500μlずつ加え、10μlの50μg/ml LPS水溶液を添加してさらに12時間培養した後、プロスタグランジンE2の量を測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分を設定した。
【0117】
上記培養後、培養上清中のプロスタグランジンE2量をプロスタグランジンE2 ELISA KITを用い測定した。また、測定は全て3連で行った。
【0118】
この結果、10%寒天オリゴ糖溶液を自由飲水させたマウスより調製した腹腔マクロファージにおいて顕著なプロスタグランジンE2産生抑制が認められ、寒天オリゴ糖は自由飲水において、強いプロスタグランジンE2産生抑制作用を示した。
【0119】
その結果を図5に示す。すなわち、図5は各培養条件で培養したときの培地中のプロスタグランジンE2濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はプロスタグランジンE2濃度(ng/ml)を示す。
【0120】
実施例6
(1)発色基質であるp−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシドを用いてα−グルコシダーゼを作用させ、加水分解して遊離する4−ニトロフェノールを比色法で定量することによりα−グルコシダーゼ活性を測定した。
【0121】
10μlのα−グルコシダーゼ溶液[40mU/ml、S. cerevisiae由来、シグマ社製、10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]に10μlの検体を含む溶液[10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]を混合した後、1.5mg/mlの基質溶液[シグマ社製、10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]を80μl添加して反応を開始した。37℃で40分間反応後、410nm(島津uv2200)における吸光度を測定した。その結果を表1に示す。なおこの場合の残存活性は検体を添加していないものを100%として算出した。
【0122】
【表1】

【0123】
上記の結果より、4糖以上のアガロオリゴ糖、および、4糖以上のネオアガロオリゴ糖には、α−グルコシダーゼ阻害活性があることが明らかになった。さらに、α−グルコシダーゼ阻害活性は、ネオアガロオリゴ糖よりアガロオリゴ糖の方が強いことが明らかになった。
【0124】
なお、検体として用いたアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオースは参考例1で調製したものを、またアンヒドロガラクトース(フナコシ社製)、ネオアガロビオース(シグマ社製)、ネオアガロテトラオース(フナコシ社製)、ネオアガロヘキサオース(フナコシ社製)は市販品を用いた。
【0125】
(2)ラット小腸粘膜より得た粗酵素標品[Arne Dahlqvist, Anal. Biochem., 7, 18-25 (1964)の方法により調製]を用いた参考例1で調製したアガロテトラオースまたはアガロヘキサオースの試験管内でのα−グルコシダーゼ阻害活性測定は以下の方法で行なった。
【0126】
酵素反応は10mMリン酸緩衝液pH7.0で適宜希釈した被験物質溶液10μlに、80μlの基質としてのシュークロース、マルトース、トレハロースおよび可溶性デンプンの同緩衝液溶液を最終濃度100mM(可溶性デンプンについては0.5%)になるように加え、10μlのラット小腸より調製した粗酵素液を添加し、37℃で20分間反応させた。酵素活性は上記反応液中に生成したグルコース量として、グルコース測定用試薬(和光純薬社製)を3ml加え、37℃で5分間反応させた後505nmの吸光度を測定することにより求めた。各基質の分解に対する阻害活性は、4種の異なった濃度について上記方法により測定した活性の対照に対する残存活性(%)として表わし、算出した。アガロテトラオース存在下での各基質に対する残存活性(%)を表2に、またアガロヘキサオース存在下での各基質に対する残存活性(%)を表3に示す。
【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
これらの物質のシュークロースに対する阻害物質定数(Ki)をDixon plotより求めたところ、アガロテトラオース7.4mM、およびアガロヘキサオース7.9mMであった。さらに、アガロオリゴ糖はシュークロースを基質とした際にマルトース等を基質とした時より強いα−グルコシダーゼ阻害作用を示した。
【0130】
実施例7
6週齢の雄性DBA/1J系マウスを用い、ウシ関節由来II型コラーゲン(K41:コラーゲン技術研修会)3mg/mlと等量のフロイント完全アジュバント(FCA)を混和し、エマルジョンとし、マウス尾根部皮下に投与(150μg/0.1ml/マウス)した。3週後に再び、同様に追加投与し、II型コラーゲン関節炎を誘発した。
【0131】
参考例2−(1)記載の寒天分解オリゴ糖溶液は、水道水にて3.3倍または33.3倍に希釈し、コラーゲン初回感作時から(予防効果の検討時)、あるいは追加免疫時以降(治療効果の検討時)、自由に飲水摂取させた。コントロール群には水道水を自由に飲水させた。各群10匹とし関節炎発症の評価は、以下のようにスコアを算定し、[発症マウス全スコアの合計点/1群マウスの匹数]で表示した(最高16点)。すなわち、0点:無変化 1点:1指あるいは複数指の腫脹 2点:全体に見られる発赤と腫脹 3点:全体に見られる強度の腫脹4点:関節の強直性変化を伴うもの。
【0132】
結果を図6、7に示す。縦軸は関節炎スコアを、横軸は経過日数(日)を示す。各値は、平均値±標準誤差を表す。白丸はコントロール群を、白四角は3.3倍希釈溶液摂取群を、白三角は33.3倍希釈溶液摂取群をそれぞれ示す。図中の*、**はMann−Whitney U検定におけるコントロール群に対し、それぞれp<0.05、0.01で有意であることを示す。
【0133】
予防効果:実験期間中の平均飲水量は、3.3倍希釈溶液摂取群で約130ml/kg、33.3倍希釈溶液摂取群で約200ml/kgであった。コントロ−ル群において62日目以降関節炎スコアの顕著な上昇が見られたのに対し、3.3倍希釈溶液摂取群では有意な抑制を示した。
【0134】
治療効果:実験期間中の平均飲水量は、3.3倍希釈溶液摂取群で約150ml/kg、33.3倍希釈溶液摂取群で約230ml/kgであった。3.3倍希釈溶液摂取群では62日目以降有意な抑制を示した。
【0135】
以上の結果より、寒天オリゴ糖によるマウスII型コラーゲン関節炎に対する予防および治療効果が認められた。よって、慢性関節リウマチに対する効果が期待される。
【0136】
実施例8
6週齢の雌性CDF1系マウスに、予め実施例4−(1)記載の脱クエン酸寒天分解オリゴ糖溶液を凍結乾燥した粉末として、10%、5%、1%の濃度となるように水道水に溶解して、10%、5%、1%寒天オリゴ糖溶液とした。この10%、5%、1%寒天オリゴ糖溶液を自由に飲水摂取させた。希釈には水道水を用い、コントロール群には同様に水道水を与えた。飲水摂取開始19日目に高用量のLPSを腹腔内投与(300μg/マウス)し、エンドトキシンショック死モデルを作製し72時間後までの致死抑制作用を検討した[実験(1)]。同様に19日間飲水摂取させたマウスに、低用量のLPS(20μg/マウス)を腹腔内投与し1時間後の血清中TNF−α濃度を市販のELISAキット(R&D社)にて測定した[実験(2)]。一方、エンドトキシン肝障害モデルの作製に当っては、マウスにガラクトサミン(SIGMA社)(20mg/マウス)とLPS (0.01μg/マウス)を同時に腹腔内投与し劇症肝炎による致死モデルを作製し、延命効果を検討した[実験(3)]。
【0137】
結果を表4に示した。実験期間中の寒天オリゴ糖摂取量は、10,5,1%投与群でそれぞれ約20,9,2g/kg/日であった。実験(1)、(3)において10%寒天オリゴ溶液投与群で有意な致死抑制作用が認められた。実験(2)において10%寒天オリゴ溶液投与群で、血清中TNF−α濃度の抑制が認められた。
【0138】
【表4】

【0139】
表中の数値は平均値±標準誤差を示し、*はMann−Whitney U検定においてコントロール群に対しp<0.05で有意であることを示す。
【0140】
がんに対する化学療法は有効な治療法である反面、患者の生体防御系を損い感染に陥りやすくなる。そのような状況で細菌感染からの敗血症は致死性疾患となる。寒天オリゴ糖はこのような副作用を持たずに抗がん作用を有するだけでなく、敗血症による致死を抑制することがわかった。一方、実験的にはラット、マウスはヒトに比べエンドトキシンに対してはるかに耐性で、病態モデルの作製に当り、予め感受性を高めておくという手段がしばしば用いられる。その1つとしてガラクトサミンとの併用モデルがあるが、このモデルは同時に劇症肝炎モデルとしても位置付けられている。臨床においても肝炎劇症化だけでなく慢性肝炎の増悪因子の1つとしてエンドトキシンの関与の重要性が示されている。本結果より慢性肝炎患者が服用することにより病態の増悪化を予防できることが期待される。
【0141】
実施例9
(1)13週齢の雄性ルイス(Lewis)ラットを用い、シュークロース負荷による糖負荷試験を行った。
【0142】
18時間絶食したラットに、シュークロースを2g/kg経口投与した。投与直前、投与15、30、60、120分後に尾静脈より採血を行い、血漿中のグルコース濃度を測定キット(GLUネオ シノテスト; シノテスト社)を用いて測定した。参考例2−(1)にて調製した寒天分解オリゴ糖溶液の3.3倍希釈法液、10倍希釈溶液を糖負荷試験4週間前から飲水摂取させた(N=5)。
【0143】
対照群には、水道水を与えた(N=2)。4週間の平均飲水量は3.3倍希釈溶液投与群で80ml/kg/日、同様に10倍希釈溶液投与群では100ml/kg/日であった。
【0144】
結果を図8に示す。図の横軸はシュークロース投与後の時間経過を表し、縦軸は血糖値(mg/dl)を表す。対照群の血糖値の推移を丸印で示し、3.3倍希釈溶液投与群は四角印、10倍希釈溶液投与群は菱印で示した。
【0145】
対照群の血糖値は糖負荷60分後までに上昇した後、減少した。寒天オリゴ糖の飲水投与により、糖負荷前すなわち絶食時の血糖値が低下し、糖負荷後の血糖値の上昇も抑制される傾向が見られた。
【0146】
通常、空腹時の血糖値は減少しており、食事によって一過性に上昇するが、時間経過とともに元のレベルに戻る。この生体機能は、糖の刺激によって膵臓から分泌されるホルモンによってコントロールされている。臨床では、この機能が正常かどうかを診断する方法として空腹時に糖を負荷して経時的に血糖を測定する試験が行なわれている。
【0147】
本実施例のラットを用いたシュークロース負荷による糖負荷試験の結果より、寒天オリゴ糖の飲水投与による有効性を認めた。このことにより、寒天オリゴ糖が、血糖のコントロールに関する機能に効果を有していることが示された。
【0148】
(2)59週齢の雄性WBN/Kobラットを用い、参考例2−(1)にて調製した寒天分解オリゴ糖溶液の3.3倍希釈溶液を飲水にて摂取させた。対照群には水道水を与えた(N=3)。
【0149】
寒天オリゴ糖の投与開始から、経日的に尾静脈より採血を行い、血漿中のグルコース濃度を測定キット(GLUネオ シノテスト; シノテスト社)を用いて測定した。
【0150】
実験期間中の寒天オリゴ糖投与群の平均飲水量は、300ml/kg/日であった。
【0151】
結果を図9に示す。図の横軸は投与開始からの日数を表し、縦軸は血糖値(mg/dl)を表す。対照群の血糖値の推移を白丸印で示し、寒天オリゴ糖投与群は黒丸印で示した。実験期間中、対照群では一定の高い血糖値を維持したのに対し、寒天オリゴ糖投与群では血糖値が徐々に低下する傾向が認められた。
【0152】
自然発症糖尿病ラットであるWBN/Kobラットは生後3ヶ月齢ごろから膵臓に炎症性の変性が起こり、その後血糖値が徐々に上昇する糖尿病モデルとして実験に用いられている。
【0153】
今回用いた動物は、非常に高い血糖値を示しており、発症後かなりの月数を経て重症化した状態にあると思われる。寒天オリゴ糖の飲水投与により徐々に血糖が低下する効果は、糖尿病の治療において有意義であり、重症例であっても改善効果が期待されるものである。
【0154】
(3)63週齢の雄性WBN/Kobラットを用い、グルコース負荷による糖負荷試験を行った。18時間絶食したラットに、 グルコースを2g/kg経口投与した。投与直前、投与15、30、60、120、240分後に尾静脈より採血を行い、血漿中のグルコース濃度を測定キット(GLUネオ シノテスト; シノテスト社)を用いて測定した。参考例2−(1)にて調製した寒天分解オリゴ糖溶液の3.3倍希釈溶液を糖負荷試験4週間前から飲水摂取させた(N=3)。対照群には、水道水を与えた(N=3)。寒天オリゴ糖投与群の平均飲水量は300ml/kg/日であった。
【0155】
結果を図10に示す。図の横軸はグルコース投与後の時間経過を表し、縦軸は血糖値(mg/dl)を表す。対照群の血糖値の推移を白丸印で示し、寒天オリゴ糖投与群は黒丸印で示した。
【0156】
対照群の血糖値は糖負荷60分後までに上昇した後、ゆるやかに減少した。寒天オリゴ糖の飲水投与により、糖負荷前すなわち絶食時の血糖値を低下させ、糖負荷後の血糖値上昇も抑制する傾向が見られた。負荷60分後には、対照群に比し5%以下の危険率で有意な血糖降下作用を示した。この傾向は糖負荷120分後まで持続した。
【0157】
通常、空腹時の血糖値は減少しており、食事によって一過性に上昇するが、時間経過とともに元のレベルに戻る。ところが、糖尿病の病態では空腹時にも血糖が下がらず、食事により血糖がさらに上昇する。また、糖の刺激によって膵臓から分泌されるホルモンによって血糖はコントロールされているが、病態ではこの機能にも異常がみられる。臨床では、これらの機能を診断する方法として空腹時に糖を負荷して経時的に血糖を測定する試験が行なわれている。今回、自然発症糖尿病ラットであるWBN/Kobラットを用いてグルコース負荷による糖負荷試験を行い、寒天オリゴ糖の飲水投与による有効性を認めた。このことにより、血糖のコントロール機能に異常を有する病態であっても、寒天オリゴ糖の効果による機能改善が期待される。
【0158】
(4)5週齢の雄性ddYマウスを用い、ストレプトゾトシン(ナカライテスク社)を120mg/kgの割合で腹腔内に投与することにより、糖尿病モデルを作製した。ストレプトゾトシン投与の1週間後から、参考例2―(1)にて調製した寒天分解オリゴ糖溶液の3.3倍、33.3倍、333倍希釈溶液の飲水を開始した。対照群には水道水を与えた(N=5〜6)。寒天オリゴ糖の投与開始から、2、4、9、14日後に眼底静脈より採血を行い、血漿中のグルコース濃度を測定キット(GLUネオ シノテスト;シノテスト社)を用いて測定した。
【0159】
結果を表5に示す。表中の数字は、平均値±標準誤差を表す。また表中の*、**は対照群と比較して5%および1%以下の危険率で有意な差を有する群を意味する。
【0160】
【表5】

【0161】
対照群では経日的に血糖値が徐々に上昇し、実験終了時には重症の高血糖状態となった。3.3倍希釈溶液投与群および、33.3倍希釈溶液投与群では投与9日目から、333倍希釈溶液投与群では投与14日目から対照群と比較して有意な血糖値の低下が認められ、対照群で見られた高血糖症状が改善された。
【0162】
ストレプトゾトシン糖尿病モデルは、膵臓ランゲルハンス島の不可逆的な細胞障害により実験的に高血糖病態を作成し得るモデルとして、繁用されている。血糖のコントロールには、膵臓ランゲルハンス島から分泌されるホルモンが不可欠であるため、その障害によるインスリン分泌不全は、高血糖を惹起する要因となる。
【0163】
ストレプトゾトシン糖尿病モデルにおいて寒天オリゴ糖投与により高血糖症状を改善したことから、抗糖尿病作用を有するものとして期待される。
【0164】
実施例10
ICR系マウス(オス、7週齢、体重約30g;日本エスエルシー)の右側耳介外側表面部の全体にTPA(ギブコ社)アセトン溶液5nmol/20μlを塗布し、1群3匹として、TPA塗布2時間後のPGE2量およびTPA塗布6時間後の耳介浮腫を測定した。
【0165】
PGE2の測定は、放血死させたマウスより耳介全体を切り取り、500μlの抽出液(100mmol/リットル トリス塩酸緩衝液、1mmol/リットルEDTA、2mmol/リットル還元グルタチオン、2μmol/リットル ヘモグロビン)を加えてホモジナイズし、10,000Gで10分間遠心して上清を回収した。上清に500μlの80%エタノールおよび10μlの氷酢酸を加え、5分間放置した後、2,500Gで5分間遠心して上清を回収した。回収した上清は、さらにC18カラムにアプライし、2mlの水および2mlのヘキサンで溶出させ、溶出液に4mlの1%ノールを含んだエチルアセトンを加えた後、エチルアセトン層を回収し、窒素ガスで蒸発乾固させた。抽出物中のPGE2量はELISAキット(ネオジェン社)を用いて測定した。
【0166】
耳介浮腫の測定は、放血致死させたマウスよりTPA塗布部の片側耳介全体を切り取り、重量を測定した。
【0167】
実施例4−(1)で調製した脱クエン酸寒天分解オリゴ糖を凍結乾燥した粉末の投与は局所塗布、または飲水中に添加して行った。すなわち、局所塗布においては、TPA塗布の30分前に該粉末の3%、または10%溶液を右側耳介の両側表面部の全体に塗布し風乾させた。飲水摂取においては、TPA塗布14日前より屠殺時まで該粉末の3%、または10%溶液を給水瓶に入れて自由摂取させた。
【0168】
耳介部PGE2量測定結果を表6に示す。
【0169】
【表6】

【0170】
表6に示すごとく、TPAの塗布により、対照群では正常マウス群に比べ、約3倍のPGE2量の増加が認められた。一方、凍結乾燥粉末の10%溶液投与群においては、塗布または飲水摂取群共に、対照群と比べて炎症局所でのPGE産生量の有意な減少が認められた(有意差検定はステュウーデントt−テストにより行い、p<0.05を統計学的に有意とする)。
【0171】
耳介部重量測定結果は、TPA非塗布の耳介重量に対する増加率を算定して表示した。その結果を図11に示す。図の縦軸はTPA塗布マウスのTPA不塗布の耳介重量に対する増加率を示し、各カラム、および誤差線は1群3匹のマウスの平均値、および標準誤差を表す。対照群と脱クエン酸寒天分解オリゴ糖溶液投与群との有意差検定はステュデントt−テストにより行い、p<0.05を統計学的に有意とした。
【0172】
TPAの塗布により対照群では2倍以上の重量増加が認められた。一方、凍結乾燥粉末の10%溶液投与群においては、塗布または飲水摂取群共に、対照群と比べて耳介重量増加の有意な減少が認められ、寒天オリゴ糖による浮腫抑制作用が示された。
【0173】
実施例11
ICRマウス(雌、9週齢、体重約30g;日本SLC)を用い、各実験群あたり10匹で行った。マウスの背部体毛を剃毛して100μlのアセトンに溶解した100μgの7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA;シグマ社)を塗布してイニシエーションを行った。1週間後より、同部位に100μlのアセトンに溶解した1μgのTPA(ナカライテスク社)を週2回、20週間塗布し続け、プロモーションを行った。
【0174】
寒天分解オリゴ糖溶液の投与は局所塗布、または飲水中に添加して行った。なお、寒天分解オリゴ糖溶液としては、参考例2−(1)に記載の寒天分解オリゴ糖溶液(以下、10%寒天オリゴ糖溶液と称す)、10%寒天オリゴ糖溶液の3.3倍水希釈物(以下、3%寒天オリゴ糖溶液と称す)、10%寒天オリゴ糖溶液の10倍水希釈物(以下、1%寒天オリゴ糖溶液と称す)を用いた。
【0175】
寒天オリゴ糖溶液の局所塗布においては、DMBA塗布の30分前、及び各TPA塗布の30分前に10%寒天オリゴ糖溶液を背部に塗布し風乾させた。飲水摂取においてはDMBA塗布7日前より1%、または3%寒天オリゴ糖溶液を給水瓶に入れて自由摂取させた。一方、対照群には水道水を摂取させた。
【0176】
各群において、TPA塗布開始から20週間にわたり、1週間毎に、マウス1匹あたりの背部に発生する腫瘍の数、並びに腫瘍の発生したマウスの匹数を計測した。
【0177】
実験結果を図12に示す。図12中A及びBの縦軸は腫瘍の発生率、及びマウス1匹当たりの発生腫瘍の数を示し、横軸はTPA塗布開始からの日数(週)を示す。
【0178】
対照群においてはTPA塗布開始7週目で1部腫瘍発生が認められ、11週目で全例のマウスが発生し、20週目の腫瘍の平均数は19.3個であった。一方、寒天オリゴ糖の飲水摂取群では20週目の腫瘍の数が、1%で8.8個、3%で2.8個と著明な抑制作用が認められた。さらに10%寒天オリゴ糖溶液の塗布による投与では腫瘍の発生は全く認められなかった。
【0179】
以上、アガロオリゴ糖は極めて高い発がん抑制作用を示した。
【0180】
実施例12
ヒト慢性リウマチ患者の滑膜から樹立された繊維芽細胞株であるDSEK細胞(インビトロ(in vitro)でのリウマチモデルとして、埼玉医科大学総合医療センター第二内科保有)を10%FBS(バイオウイタッカー社製)を含むIscov−MEM培地(IMDM:ギブコBRL社製)にて、5%CO2存在下、37℃で細胞が培養器に飽和になるまで培養し、トリプシン−EDTA溶液(バイオウイタッカー社製)で細胞を3×104個/mlとなるように上記培地に懸濁し、96穴マイクロタイタ−プレ−ト(FALCON社製)の各ウエルに200μlずつ分注した。培養5〜7日後、ほぼ細胞が80%飽和になった時で培地を交換し、25、50、75、100、200、もしくは400μMのアガロビオースを含有する200μlの上記培地を加えた。
【0181】
72時間のタイム・コ−スを取って、24時間ずつ経時的に10μlのプレミックスWST−1(宝酒造社製、MK400)を加えて37℃で3.5時間反応させ、450nmにおける吸光度(A450)から650nmにおける吸光度(A650)を差し引いた値を細胞増殖度をとした。
【0182】
その結果を表7に示す。
【0183】
【表7】

【0184】
またA450−650のデータによって求められた半数細胞増殖抑制濃度−IC50は24時間で225.3μM、72時間で169.1μMであった。
【0185】
以上、インビトロでのリウマチモデル−DSEK細胞において、アガロビオースを添加した場合、PBS添加の対照区と比べて各化合物添加区はリウマチ細胞の増殖が抑制された。また、経時的な観察において、これらの化合物は増殖抑制活性を継続するのみならず、経時的に活性を増強する傾向が認められた。
【0186】
以上の結果によって、アガロビオースは抗リウマチ活性があり、慢性リウマチに対する有用な治療薬と健康食品として開発されることが期待される。
【0187】
また、DSEK細胞培養において、24時間ずつ経時的に150μl/ウエルの培養上清を回収し、この細胞由来のサイトカイン(ヒトTGF−β、ヒトFGF−β 、およびヒトIL−10)産生(発現の影響)に対する、アガロビオースの影響を、それぞれのサイトカインに特異的なELISA KIT(ヒトFGF−βとヒトIL−10、INTERGEN社製;ヒトTGF−β、Promega社製)を用いて測定した。
【0188】
その結果、アガロビオースはヒトIL−10、ヒトFGF−βおよびヒトTGF−βの産生抑制作用を示した。
【0189】
実施例13
100μMヒドロキシウレアを含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、12−702F)にHL−60細胞(ATCC CCL−240)を5×105個/mlとなるように懸濁し、10cmシャーレに20ml加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養し、細胞をG1期に停止させた。この細胞を遠心分離により回収し、再度100μMヒドロキシウレアを含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に5×105個/mlとなるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートの各ウェルに5mlずつ加えた。一方、ヒドロキシウレア未処理細胞として、HL−60細胞を10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に1×105個/mlとなるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートの各ウェルに5mlずつ加えた。ヒドロキシウレア処理細胞区分のそれぞれのウェルに50μlのアガロビオース(80mM、60mM、40mM、20mM)、アガロヘキサオース(80mM、60mM、40mM、20mM)水溶液を添加し、また、ヒドロキシウレア未処理細胞区分のそれぞれのウェルに50μlのアガロビオース(40mM、30mM、20mM、10mM)、アガロヘキサオース(40mM、30mM、20mM、10mM)水溶液を添加して、さらに48時間培養した。その後、培養液を回収し遠心分離により細胞を集め、5mlの新しい10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に懸濁し、そのうち100μlを用いてプレミックスWST−1セルプロリファレーションアッセイシステム(宝酒造社製、MK400)により生細胞数を測定した。
【0190】
この結果、ヒドロキシウレア処理した細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)はどのサンプルにおいても未処理の細胞と比較して高くなっていた。その結果を表8に示す。すなわち、表8は各サンプルとそのIC50(μM)をまとめた表である。このことより、アガロオリゴ糖は、G1期にアレストしている細胞に対しては毒性が低いことが明らかになった。つまり、生体においては、ほとんどの細胞がG1期にアレストした状態であると考えられることから、アガロオリゴ糖は、生体に対して毒性の少ない薬剤であると考えられる。
【0191】
【表8】

【0192】
実施例14
(1)10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートのウェルに5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに50μlの10mM アガロビオースまたはアガロヘキサオースを水溶液を添加して、さらに0、6時間培養したのち、各ウェルに50μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L−2012)水溶液を添加して12時間培養した。細胞をスクレイパーによりプレートより剥がして回収し、1μg/mlペプスタチンA(シグマ社製、P5318)、1μg/mlロイペプチン(シグマ社製、L2884)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(ナカライテスク社製、273−27)、10mMエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、0.1%Triton X−100含有りん酸緩衝食塩水に懸濁して1回凍結融解したのち遠心分離により上清をタンパク画分とした。タンパク画分中のタンパク含量はMicro BCA Protein Assay Reagent(宝酒造社販売ピアス社製、P7411)により測定した。この調製した各タンパク画分サンプルと等量の4%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、2%2−メルカプトエタノール、0.001%ブロムフェノールブルー、20%グリセロール含有0.125M トリス−塩酸緩衝液(pH6.8)を混合し100℃で5分間処理した後、7.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルに負荷し、20mAの定電流で電気泳動した。泳動後のゲルは、48mMトリス、39mMグリシン、20%メタノール、0.0375%SDS含有ブロッティング緩衝液により、トランスブロットSDセルセミドライブロッティング装置(バイオラッド社製)を用いて付属のプロトコールによりPVDF膜(ミリポア社製、IPVH000 10)に15Vの定電圧で25分間転写した。転写後のPVDF膜はブロックエース(大日本製薬社製、UK−B25)溶液中で一晩4℃でブロックした。ブロック後の膜は0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に50ng/ml 抗シクロオキシゲナーゼ2抗体(トランスダクションラボラトリーズ社製、C22420)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に0.1%パーオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG(H+L)抗体(ザイメッド社製、61−6520)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間5回緩やかな振とう下で洗浄した。続いて、PVDF膜をウェスタンブロットケミルミネッセンスリージェントプラス(第一化学社販売NENライフサイエンスプロダクツ社製、NEL103)を用いて付属のプロトコールにより染色し、X線フィルム(コダック社製、CAT165 1454)に感光した。感光後のフィルムはFPM800(富士フィルム社製)により現像した。
【0193】
その結果、LPS添加区分でシクロオキシゲナーゼ2タンパクが検出されたが、アガロビオース、アガロヘキサオースは0、6時間前添加区分のいずれにおいてもLPS誘導シクロオキシゲナーゼ2タンパク発現の亢進を抑制しなかった。
【0194】
(2)10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートのウェルに5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに50μlの10mM アガロビオースまたはアガロヘキサオースを水溶液を添加して、さらに0、6時間培養したのち、各ウェルに50μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L−2012)水溶液を添加して5時間培養した。培養上清を除いて各ウェルに1ml Catrimox−14(宝酒造社販売アイオワバイオテクノロジー社製、WA002)溶液を加え、ピペッティングののち溶液を回収し、以下付属のプロトコールによりRNAを調製した。調製したRNAはRNA−PCRキット(AMV)Ver.2.1(宝酒造社製、R019A)によりRT−PCRを行った。逆転写反応はランダムプライマー(N6)(宝酒造社製、3801)を用い30℃10分、42℃30分、99℃5分で行い、合成されたcDNAを鋳型にしてPCRをシクロオキシゲナーゼ2のプライマー(GGCACTTGCATTGATGGTGGCT:配列番号1およびCAAGCAGTGGCAAGGCCTCCA:配列番号2)により94℃2分、(94℃30秒、55℃1分、72℃1分)30サイクル、72℃5分で行った。反応後、2%アガロースゲルにサンプルを負荷し、100Vで電気泳動を行った。泳動後のゲルはエチジウムブロマイドにより染色し、UV照射下でゲルを観察した。
【0195】
その結果、LPS添加区分でシクロオキシゲナーゼ2mRNA由来バンドが検出されたが、アガロビオース、アガロヘキサオースは0、6時間前添加区分のいずれにおいてもLPS誘導シクロオキシゲナーゼ2 mRNA合成の亢進を抑制しなかった。
【0196】
実施例14または下記実施例15の結果より、アガロオリゴ糖によるプロスタグランジンE2の産生抑制は、シクロオキシゲナーゼ2の発現抑制ではないと考えられる。
【0197】
実施例15
(1)10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を1×106個/mlになるように懸濁し、10cmシャーレに20mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各シャーレに200μlの10mM アガロヘキサオースまたは下記実施例15−(2)で得たDGEの水溶液を添加して、さらに5時間培養したのち、各ウェルに200μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L−2012)水溶液を添加して12時間培養した。なお、対照としてサンプルの代わりに200μLの水を加えた。細胞をスクレイパーによりプレートより剥がして回収し、1μg/mlペプスタチンA(シグマ社製、P5318)、1μg/mlロイペプチン(シグマ社製、L2884)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(ナカライテスク社製、273−27)含有0.1M トリス緩衝液(pH8.0)に懸濁して超音波破砕機により細胞膜を破砕したのち、遠心分離により上清を回収して粗酵素画分とした。粗酵素画分中のタンパク含量はMicro BCA Protein Assay Reagent(宝酒造社販売ピアス社製、P7411)により測定した。この調製した各粗酵素画分サンプル100μLに対して2.5μLの200mMグルタチオン(ナカライテスク社製、170−50)水溶液、2.5μLの200mM L−アドレナリン水懸濁液(ナカライテスク社製、010−04)を加えて、1μLの3mM アラキドン酸(ケイマン社製、90010.1)溶液あるいは1μLの100μg/mLプロスタグランジンH2溶液(ケイマン社製、17020)を添加して、37℃で30分間反応させた。反応は100℃で2分間加熱することにより停止した。反応液中のプロスタグランジンE2含量はプロスタグランジンE2 ELISAキット(NEOGEN社製、404110)により測定した。
【0198】
その結果、対照と比較してアガロヘキサオースあるいはDGE添加区分で、アラキドン酸を添加したときおよびプロスタグランジンH2を添加したときのいずれにおいてもプロスタグランジンE2の生成は抑制されていた。これはアガロヘキサオースあるいはDGEがプロスタグランジンH2生成過程より下流においてプロスタグランジンE2を抑制する作用機構があるものと考えられた。すなわち、図13は各サンプルにアラキドン酸を添加したときのプロスタグランジンE2生成を示す図であり、横軸に各サンプルを、縦軸に1mgタンパクあたりのプロスタグランジンE2生成量(ng/ml)を示す。また、図14は各サンプルにプロスタグランジンH2を添加したときのプロスタグランジンE2生成を示す図であり、横軸に各サンプルを、縦軸に1mgタンパクあたりのプロスタグランジンE2生成量(ng/ml)を示す。
【0199】
(2)DGE、即ち式X:
【0200】
【化10】

【0201】
で表されるL−グリセロ−1,5−エポキシ−1αβ,6−ジヒドロキシ−シス−ヘキサ−3−エン−2−オンの調製を行った。
【0202】
市販の寒天(アガー・ノーブル)2.5gを50mlの0.1N HClに懸濁し、100℃で13分間加熱して溶解した。室温まで冷却してNaOHでpH12に調整し、次いで中和処理を行った。
【0203】
中和処理物を以下の順相HPLCで分離し、保持時間4.05分〜4.16分の画分を大量に分取し、DGEを得た。
【0204】
カラム:PALPAK Type S(4.6×250mm、宝酒造社製)
移動相A:90%アセトニトリル水溶液
移動相B:50%アセトニトリル水溶液
流速:1ml/分
溶出:移動相A(10分間)→移動相Aから移動相Bへの直線濃度勾配(40分間)→移動相B(10分間)
検出:195nmにおける吸光度
カラム温度:40℃
【0205】
実施例16
実施例15で調製した粗酵素画分の対照サンプル100μLに対して、2.5μLの200mMグルタチオン水溶液、2.5μLの200mM L−アドレナリン水懸濁液を加えた後、サンプルとして1μLの100mMアガロビオース水溶液あるいは100mMアガロヘキサオース水溶液あるいは10mM DGE水溶液を添加した。また、陰性対照として1μLの水を、陽性対照として1μLの13mM ニメスリド(ケイマン社製、70640)溶液を添加した。次に、1μLの3mM アラキドン酸溶液を加えて、37℃で5分間反応させた。反応は100℃で2分間加熱することにより停止した。反応液中のプロスタグランジンE2含量はプロスタグランジンE2 ELISAキットにより測定した。
【0206】
その結果、ニメスリドを加えた区分についてプロスタグランジンE2生成の抑制が認められたが、アガロビオース、アガロヘキサオース、DGEを加えたいずれの区分についてもプロスタグランジンE2生成の抑制は認められなかった。すなわち、アガロビオース、アガロヘキサオース、DGEはアラキドン酸からプロスタグランジンE2を合成する酵素群のいずれも阻害しないものと考えられた。この結果を図15に示す。すなわち、図15は各サンプルを加えたときのプロスタグランジンE2生成量を示す図であり、横軸に各サンプルを、縦軸に1mgタンパクあたりのプロスタグランジンE2生成量(ng/ml)を示す。
【0207】
実施例17
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)の腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、12-702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を10個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12-917F)を500μlずつ加えた。各ウェルに参考例1で得た5μlの20mM、10mM、5mM アガロビオース水溶液を添加して、5μlの10μg/ml 12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA;ギブコ社製、13139-019)水溶液を添加して更に14時間培養した後、培養上清を回収した。培養上清中のインターロイキン6(IL−6)の含量はエンザイムイムノサンドイッチアッセイ(ELISA;Matched antibody Pair Sample Pak−mouse IL6、エンドジェン社製)で測定した。なお、対照としてアガロビオース、TPA水溶液を加えない区分を設定した。また、測定は全て2連で行った。
【0208】
この結果、アガロビオース添加区分においてアガロビオースの濃度依存的に、TPA誘導IL−6産生の抑制が認められた。その結果を図16に示す。すなわち、図16は各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−6の濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はIL−6濃度(ng/ml)を示す。
【0209】
実施例18
参考例3記載のアガビオースを1、3%の濃度となるように水道水に溶解してそれぞれ1、3%アガビオース溶液とした。
【0210】
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)に上記調製の1、3%アガビオース溶液を14日間自由飲水させた。なお、対照として水道水を自由飲水させた。また、各群2匹ずつで行った。この後、腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、12-702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり2匹分をまとめて腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を10個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12-917F)を500μlずつ加え、5μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L-2012)水溶液を添加して更に15時間培養した後、培養上清を回収した。培養上清中のインターロイキン6(IL−6)の含量はエンザイムイムノサンドイッチアッセイで測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分を設定した。また、測定は全て2連で行った。
【0211】
この結果、アガビオース溶液を自由飲水させたマウスより調製した腹腔マクロファージにおいてアガビオースの濃度依存的に、LPS誘導IL−6産生の抑制が認められた。その結果を図17に示す。すなわち、図17は各条件での培養上清中のIL−6の濃度を示す図であり、横軸は条件を、縦軸はIL−6濃度(ng/ml)を示す。
【0212】
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12-604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×10個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに0.5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに5μlの参考例1記載の10mM アガロビオース又はアガロヘキサオース水溶液を添加して、さらに5時間培養したのち、各ウェルに5μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L-2012)水溶液を添加して18時間培養し、培養上清を回収した。培養上清中のインターロイキン10(IL−10)の含量はエンザイムイムノサンドイッチアッセイで測定した。なお、対照として試料、LPS水溶液を加えない区分を設定した。また、測定は全て2連で行った。
【0213】
この結果、アガロビオース、アガロヘキサオース添加区分において、LPS誘導IL−10産生の抑制が認められた。その結果を図18に示す。すなわち、図18は各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−10の濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はIL−10濃度(pg/ml)を示す。
【0214】
実施例19
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12-604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×10個/mlになるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートのウェルに5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに50μlの参考例1記載の20mM、10mMあるいは5mMのアガロビオース又はアガロヘキサオース水溶液を添加して15時間培養した。なお、ヘムオキシゲナーゼ1誘導の陽性対照として5μlの3mM 15−デオキシ−Δ12,14プロスタグランジンJ(ケイマンケミカル社製、18570)ジメチルスルホキシド溶液添加の区分を、また陰性対照として水添加の区分を設定した。細胞をスクレイパーによりプレートより剥がして回収し、0.05mMペプスタチンA(シグマ社製、P5318)、0.2mMロイペプチン(シグマ社製、L2884)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(ナカライテスク社製、273-27)、10mMエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、0.1%Triton X−100含有0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に懸濁して1回凍結融解したのち遠心分離により上清をタンパク画分とした。タンパク画分中のタンパク含量はMicro BCA Protein Assay Reagent(宝酒造社販売ピアス社製、P7411)により測定した。この調製した各タンパク画分サンプルと等量の4%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、2%2−メルカプトエタノール、0.001%ブロムフェノールブルー、20%グリセロール含有0.125M トリス−塩酸緩衝液(pH6.8)を混合し100℃で5分間処理した後、タンパク量として10μgを12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルに負荷し、20mAの定電流で電気泳動した。泳動後のゲルは、48mMトリス、39mMグリシン、20%メタノール、0.0375%SDS含有ブロッティング緩衝液により、トランスブロットSDセルセミドライブロッティング装置(バイオラッド社製)を用いて付属のプロトコールによりPVDF膜(ミリポア社製、IPVH000 10)に15Vの定電圧で25分間転写した。転写後のPVDF膜はブロックエース(大日本製薬社製、UK-B25)溶液中で一晩4℃でブロックした。ブロック後の膜は0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に200ng/ml 抗ヘムオキシゲナーゼ1抗体(N−19;サンタクルーズ社製、sc-7696)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に0.1%パーオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgG(H+L)抗体(ザイメッド社製、61-1620)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間5回緩やかな振とう下で洗浄した。続いて、PVDF膜をウェスタンブロットケミルミネッセンスリージェントプラス(第一化学社販売NENライフサイエンスプロダクツ社製、NEL103)を用いて付属のプロトコールにより染色し、X線フィルム(コダック社製、CAT165 1454)に感光した。感光後のフィルムはFPM800(富士フィルム社製)により現像した。
【0215】
その結果アガロビオース、アガロヘキサオースいずれの添加区分においてもヘムオキシゲナーゼ1タンパク由来のバンドが確認できた。また、バンドの強さはアガロビオース、アガロヘキサオースの濃度依存的であった。この結果を表9に示す。表中においてヘムオキシゲナーゼ1タンパクのバンドの強度に応じて、+の記号を記した。すなわち、全くバンドが見られないものは−であり、+−、+、++の順にバンドの強度が強くなるものとした。
【0216】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明により、生体の恒常性維持と糖尿病、リウマチ、生活習慣病等の疾病の治療または予防に有用な医薬組成物、機能性食品および機能性飲料が提供される。また、本発明に使用される化合物は顕著な発がん抑制作用を示し、発がん抑制用食品添加剤としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】アガロビオース、アガロテトラオースまたはアガロヘキサオースを添加して、各培養条件で培養した時の、培地中のNO2-濃度を示す図である。
【図2】アガロビオース、アガロテトラオースまたはアガロヘキサオースを添加して、各培養条件で培養した時の、培地中の細胞内過酸化物の量が正常領域にある細胞の割合(%)を示す図である。
【図3】アガロビオース、アガロテトラオースまたはアガロヘキサオースを添加して、各培養条件で培養した時の、培地中のプロスタグランジンE2濃度を示す図である。
【図4】各培養条件で培養した時の、培地中のNO2-濃度を示す図である。
【図5】各培養条件で培養した時の、培地中のプロスタグランジンE2濃度を示す図である。
【図6】本発明のオリゴ糖の、マウスII型コラーゲン関節炎モデルに対する予防効果を示す図である。
【図7】本発明のオリゴ糖の、マウスII型コラーゲン関節炎モデルに対する治療効果を示す図である。
【図8】本発明のオリゴ糖の、Lewisラットに対する糖負荷後の血糖値上昇抑制作用を示す図である。
【図9】本発明のオリゴ糖の、自然発症糖尿病ラットに対する血糖値低下作用を示す図である。
【図10】本発明のオリゴ糖の、自然発症糖尿病ラットに対する糖負荷後の血糖値上昇抑制作用を示す図である。
【図11】本発明のオリゴ糖のTPA誘発マウス耳介浮腫モデルにおける浮腫抑制作用を示す図である。
【図12】本発明のオリゴ糖のTPA誘発マウス発がんモデルにおける発がん抑制作用を示す図である。Aは腫瘍数に対する作用を示し、Bは腫瘍発生率に対する作用を示す。
【図13】各サンプルにアラキドン酸を添加したときのプロスタグランジンE2生成を示す図である。
【図14】各サンプルにプロスタグランジンH2を添加したときのプロスタグランジンE2生成を示す図である。
【図15】各サンプルを加えたときのプロスタグランジンE2生成を示す図である。
【図16】各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−6の濃度を示す図である。
【図17】各条件での培養上清中のIL−6の濃度を示す図である。
【図18】各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−10の濃度を示す図である。
【配列表フリーテキスト】
【0219】
SEQ ID NO:1
Designed oligonucleotide primer to amplify cyclooxygenase 2 mRNA.
SEQ ID NO:2
Designed oligonucleotide primer to amplify cyclooxygenase 2 mRNA.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

で表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される化合物ならびに該化合物を還元末端に有する可溶性の糖化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有、添加および/または希釈してなる、鎮痛用、あるいは乾せん、細菌やウイルス感染、変形性関節症、敗血症、敗血症ショック、グラム陰性菌敗血症、脳性マラリア、感染症による発熱及び筋肉痛、感染若しくは悪性腫瘍の二次的な悪液質、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の二次的な悪液質、AIDS、AIDS関連症候群、ケロイド形成、又は多発性硬化症の症状改善用飲食品または該疾患の予防用飲食品。
【請求項2】
糖化合物が、式Iで表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される少なくとも1種の化合物を含有する物質のpH7未満の酸性下での酸分解物および/または酵素分解物である請求項1記載の飲食品。
【請求項3】
式Iで表される3,6−アンヒドロガラクトピラノース、そのアルデヒド体、その抱水体、およびそれらの2−O−メチル化体および2−O−硫酸化体より選択される少なくとも1種の化合物を含有する物質が、寒天、アガロースおよびカラゲナンからなる群より選択される少なくとも1種の物質である請求項2記載の飲食品。
【請求項4】
糖化合物がアガロビオース、アガロテトラオース、アガロヘキサオース、アガロオクタオース、κ−カラビオースおよびβ−D−ガラクトピラノシル−3,6−アンヒドロ−2−O−メチル−L−ガラクトースからなる群より選択される少なくとも1種の糖化合物である請求項1〜3いずれか1項に記載の飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−326864(P2007−326864A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176993(P2007−176993)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【分割の表示】特願2000−594472(P2000−594472)の分割
【原出願日】平成12年1月18日(2000.1.18)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】