説明

医薬調製物および医療製品を最終的に滅菌するための高圧滅菌

本開示は、容器内に超高圧滅菌グルコース溶液を含む、滅菌医療系を提供する。滅菌グルコース溶液は、約40ppm未満の総グルコース分解産物を含有してもよい。グルコース溶液は、単一チャンバ容器内に配される即時使用可能な輸液であってもよい。本発明の方法は、そのような系の有効性を大幅に低減することなく、効果的滅菌を容易にする。本開示は、をさらに提供する滅菌医療溶液。好適な容器は、医療溶液を含有する医療送達デバイスを含め、本方法に基づいて安定した任意の容器を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年9月22日に出願された米国特許第10/946,885号の継続出願であり、この米国特許は、2003年9月22日に出願された米国仮特許第60/505,235号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本開示は、高圧滅菌技術を使用して、好適な溶液中の医療溶液等、医療系を滅菌するためのプロセスを提供する。
【0003】
医療系、特に、医療溶液は、使用に先立って、滅菌を必要とする場合が多い。本明細書で使用されるように、「医療溶液」とは、薬剤成分を含有する溶液、懸濁液、および乳剤、腎用途のための溶液(透析液等)、ならびに非経口栄養のための炭水化物溶液、アミノ酸溶液、および脂肪乳剤(およびその混合物)等の他の形態の医薬製剤を含むが、それらに限定されない。医療系構成要素の他の実施例は、薬剤含有バッグ(可塑化PVCまたは他のプラスチックから成る場合が多い)、血液バッグ、透析器、自動デバイス上での使用のための系(例えば、血液分離デバイス、注入ポンプ等)等の医療デバイスの消耗品を含む。そのような系は、ガンマ滅菌、エチレンオキシド滅菌、または高圧蒸気殺菌等の従来の滅菌技術に対して敏感である場合がある。例えば、いくつかのグルコース含有医療溶液は、従来の湿熱滅菌技術を使用する滅菌の際、グルコース分解または凝集を受ける。同様に、いくつかの医療溶液は、従来の湿熱滅菌の際の場合のように、長時間高温に曝露される場合、分解を受けやすいペプチドまたはタンパク質を含有する。また、医療溶液容器等のある医療デバイスは、滅菌の際、高温への長時間の曝露に耐えることが不可能な成分または構造を含有し得る場合がある。例えば、ある複数のチャンバ容器内の剥離可能シールは、高温に曝露されると、増強する、または恒久的状態にさえなる場合がある。同様に、あるバリア膜は、高温滅菌の際および後、バリア特性の大幅な低減を呈し、水分および/または酸素を容器に浸透させる。したがって、意図される治療上の使用のために、その完全性または好適性を損なわずに、医療系を滅菌するための改良技術の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
本開示は、医療系を滅菌するための方法を提供する。そのような系は、組成、医療溶液、医療溶液のための容器、医療デバイス、および上述の組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。本方法は、そのような系の有効性を大幅に低減することなく、効果的滅菌を容易にする。本開示は、をさらに提供する滅菌医療溶液。好適な容器は、医療溶液を含有する医療送達デバイスを含め、本方法に基づいて安定した任意の容器を含む。
【0005】
本方法は、系を滅菌するために十分な時間、系を加熱し、系を0.25MPa超に加圧するステップを伴う。ある実施形態では、系は、70℃超の温度に達成するであろう。熱および圧力を供給するステップは、好ましくは、少なくとも系を滅菌するために十分な時間、同時に実行される。その後、系は、保存、出荷、または使用のための周囲温度および圧力に戻すことが可能である。
【0006】
本方法は、多種多様な医療溶液のうちのいずれかを含有する空の容器または複数の容器上で使用可能である。医療溶液は、治療効果(すなわち、病気または疾患の緩和または治療)を達成するために患者に投与される任意の溶液と考えられ、薬剤溶液、栄養溶液、および透析溶液を含み得るが、それらに限定されない。透析溶液は、急性または慢性血液透析のための溶液、急性または慢性腹膜透析のための血液濾過または血液透析濾過溶液、ならびに外来腹膜透析、自動腹膜透析、および持続的腎代償療法のための溶液を含むが、それらに限定されない。そのような溶液は、任意の周知の技術によって、患者に投与されてもよい。好適な技術の非限定的実施例として、静脈内、筋肉内、または皮下注射あるいは注入、腹膜内注入、および特定の医療溶液のために適切な他の方法等、非経口的投与経路を含んでもよい。
【0007】
ある実施形態では、滅菌透析溶液を生成する方法が提供される。本方法は、浸透剤および緩衝剤を含む含水透析溶液を可撓性容器中に提供するステップと、溶液および容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに加圧するステップと、静水圧を解放し、それによって、滅菌溶液を容器内に生成するステップと、を含む。本実施形態では、実質的に全ての透析溶液が、加圧ステップの際、容器の1つの区画内に配されてもよい。代替として、容器は、浸透剤および緩衝剤を含有する別個の区画を含んでもよく、容器は、区画間の選択的流体連通を可能にするように適合される。例えば、容器は、区画間に脆性シールを伴う内部導管を含んでもよく、または区画を分離する1つ以上の剥離可能シールを含んでもよい。ある実施形態では、透析溶液は、酸化阻害剤を実質的に含んでいない。
【0008】
ある実施形態では、透析溶液を調製する別の方法が提供される。本方法は、(1)チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合される複数のチャンバ容器の個別チャンバ内に第1および第2の成分溶液を提供するステップと、(2)1〜約300秒間、複数のチャンバ容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、を含んでもよい。第1の成分溶液は、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含有してもよく、ある実施形態では、第1の成分溶液は、pH約1.5〜約5.5を有してもよい。第2の成分溶液は、緩衝剤濃縮物を含んでもよく、ある実施形態では、緩衝剤濃縮物は、pH約6.0〜約10.0を有してもよい。混合時、第1および第2の成分溶液は、pH約4.5〜約8.0を有する即時使用可能な透析溶液を形成する。また、本方法は、容器を静水圧に曝露する前に、容器を約70℃〜約99℃の温度に前もって加熱するステップを含んでもよい。
【0009】
ある実施形態では、透析溶液を調製する別の方法が提供される。本方法は、チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合される複数のチャンバ容器の個別チャンバ内に第1、第2、および第3の成分溶液を提供するステップと、1〜約300秒間、複数のチャンバ容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、を含んでもよい。本実施形態では、第1の成分溶液は、pH約3.0〜約6.0を有し、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含有してもよく、第2の成分溶液は、pH約6.5〜約10.0を有する緩衝剤濃縮物を含んでもよく、第3の成分溶液は、pH約1.5〜約4.5を有してもよい。混合時、第1、第2、および第3の成分溶液は、pH約4.5〜約8.0を有する即時使用可能な透析溶液を形成する。また、本方法は、容器を静水圧に曝露する前に、容器を約70℃〜約99℃の温度に前もって加熱するステップを含んでもよい。
【0010】
本明細書で開示される方法は、特に、グルコースを含有する溶液の滅菌において有用である。グルコース等の炭水化物は、高圧蒸気殺菌法等の従来の熱滅菌手順の際、分解し、滅菌溶液内に毒性または別様に望ましくないグルコース分解産物を形成し得ることが知られている。大幅に短縮された時間で熱を印加することによって、超高圧滅菌は、グルコース含有医療溶液が、滅菌を達成するために通常必要とされる長時間(例えば、30-60分)、高温に曝露されると生じるグルコース分解を最小限にする。したがって、本方法を使用して、グルコースが実質的に未分解のままであるように、グルコースを含有する溶液を滅菌することが可能である。グルコースは、滅菌後、約75%超未分解であって、例えば、約80%超未分解、約85%超未分解、約90%超未分解、または約95%超未分解でさえあってもよい。
【0011】
また、開示される方法は、糖類およびアミノ酸の両方を含有する溶液の滅菌において有用である。これらの溶液中の成分は、従来の湿熱滅菌方法に付随する高温への長時間の曝露の際、互いに反応することが知られている。
【0012】
ある実施形態では、本方法を使用して、グルコース成分が実質的に未分解である滅菌溶液を調製してもよい。例えば、医療溶液は、UHP滅菌透析溶液であってもよい。透析溶液は、浸透剤として、グルコースを含んでもよい。浸透剤は、溶液の約1%〜約50重量%の量で存在してもよい。溶液は、pH約6.0〜約8.0、例えば、約6.7〜約7.5を有してもよい。滅菌溶液は、約45ppm未満の総グルコース分解産物を含有してもよい。
【0013】
ある実施形態では、透析溶液は、投与のために即時使用可能であってもよい。すなわち、患者への投与に先立って、成分の混合、他の成分の添加、およびさらなる滅菌を必要としない。
【0014】
ある実施形態では、滅菌透析溶液は、実質的に沈殿物非含有であってもよい。滅菌透析溶液は、透明であって、不透明性および/または混濁を有していなくてもよい。
【0015】
別の実施形態では、医療系は、最終的に滅菌された医療溶液、例えば、透析溶液を単一チャンバ容器内に含んでもよい。
【0016】
さらなる実施形態では、本開示は、腎疾患を治療するための方法を記載する。本方法は、滅菌透析溶液を可撓性容器中に提供するステップを含み、溶液および容器は、圧力約100MPa〜約1500MPaでともに加圧されている。溶液は、少なくとも1つの浸透剤と、少なくとも1つの緩衝剤と、少なくとも1つの電解質と、を含んでもよい。本方法は、そのような治療を必要とする患者内に滅菌溶液を注入するステップをさらに含んでもよい。ある実施形態では、可撓性容器は、加圧の際、緩衝剤および浸透剤の混合物を含有する。例えば、容器は、混合物を含有する1つのみの溶液区画を有してもよい。代替として、容器は、容器は、浸透剤および緩衝剤のための別個の区画を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶液は、酸化阻害剤を実質的に含んでいない。
【0017】
故に、本開示によって想定される方法および産物は、以下の利点の1つ以上を提供する。
・従来の滅菌プロセス、特に、高圧蒸気殺菌に付随する、成分分解問題および容器変形問題を回避する滅菌方法
・医療溶液、特に、グルコース含有溶液中の化学分解が最小限にされた形態の高品質生成物
・医療系(大量の溶液の場合であっても)の滅菌時間の縮小
・無グルコース分解産物または非常に低レベルのグルコース分解産物を伴う、滅菌グルコース含有溶液
・単一チャンバ容器内で最終的に滅菌された即時使用可能なグルコース含有透析溶液
・分離溶液成分の混合または予混合を必要としない輸液
・使用に先立って、グルコース成分を他の透析溶液成分から分離させることを必要としない透析溶液
本開示のこれらおよび他の側面ならびに特性は、以下の図面および添付の明細書を参照して論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】圧力/時間/温度プロファイルを示す。
【図2】流動性物質容器の平面図を示す。
【図3】複数チャンバ剥離シール容器および流体投与セットの平面図を示す。
【図4】シリンジを示す。
【図5】医療送達デバイスのためのカートリッジを示す。
【図6】流体アクセスデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本開示は、多くの異なる形態において、本発明の実施形態を記載するが、本開示は、本明細書に記載の原則の例示としてみなされるものであって、例証される特定の実施形態に限定されることを意図するものではないという理解とともに、その実施形態が図面中に示され、本明細書中に詳述される。
【0020】
本開示は、系/溶液の有用性、安定性、および/または有効性を大幅に低減することなく、医療系または医療溶液を滅菌するための方法を提供する。本開示は、動的系(すなわち、安定状態から不安定状態に移行可能な系)を滅菌する方法を提供し、系を安定状態から不安定状態に移行させることなく、系を滅菌するために十分な時間、系が高圧に曝露される。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「滅菌」およびその変形は、系が、哺乳類、例えば、ヒトとの使用による感染の危険性を低減するように、系内のバクテリア、ウイルス、原生動物、または他の生物学的微生物の殺傷あるいは制御を意味するものとする。本開示の方法は、全部またはほぼ全ての生物学的微生物が殺傷あるいは複製不可能な状態になるまで、系を滅菌するものとする。
【0022】
ある実施形態では、本方法を使用して、医療系を滅菌してもよい。医療製剤は、当該分野において周知またはその後開発される多数の技術のいずれかによって調製されてもよい。概して、本方法は、滅菌を達成するために十分な時間、医療系を超高圧に曝露するステップを提供する。本方法は、感熱成分および/または小粒子分散体を有する医療溶液に適用されてもよい。本開示は、滅菌医療溶液をさらに提供する。
【0023】
本開示の高圧滅菌技術は、その中の成分の大幅な分解を生じさせずに、医療溶液の滅菌を可能にする。さらに、熱は、加圧ステップの際、製剤の高速断熱加熱によって、医療溶液全体に瞬間的に伝達されてもよい。高圧滅菌技術は、いくつかの容器構成において、医薬化合物等の種々の成分を含有する多くの医療溶液と併用するために好適であると予測される。
【0024】
概して、本方法は、超高圧で医療溶液を滅菌するステップを提供する。医療溶液は、当該分野において周知またはその後開発される多数の技術のいずれかによって調製されてもよい。高圧滅菌技術は、乾燥または粉末形態、液体形態、気体形態、もしくは含水または有機媒体中の小粒子あるいは液滴として分散される治療効果のある化合物を含む、多くの異なる形態の医療製剤を滅菌するために非常に好適である。ある実施形態では、滅菌される系は、一定量の水を含有するであろう。水の存在は、能動的微生物負荷の低減を得る際、特定の効果を提供するものとして示される。本開示の高圧滅菌技術は、医療溶液中の成分の分解を生じさせずに、滅菌を可能とする。
【0025】
高圧滅菌技術は、いくつかの有機化合物との併用に好適であることが想定される。
【0026】
本開示の方法は、概して、医療系および医療溶液の滅菌のために好適である。ある実施形態では、薬学的活性成分は、水溶液中の分散疎水性領域(例えば、界面活性剤凝集疎水性相、シクロデキストリン空洞、油滴)に付随するようなものであるだろう。医療溶液中に存在し得る成分の非限定的実施例として、薬学的活性化合物、治療薬、腎治療薬、診断用薬、化粧品、および栄養補助食品を含む。
【0027】
医薬活性剤は、鎮痛剤、麻酔剤、中枢神経興奮剤、アドレナリン作動薬、アドレナリン遮断薬、抗アドレナリン剤、副腎皮質コルチコイド、アドレナリン模倣薬、抗コリン剤、抗コリンエステラーゼ薬、抗痙攣剤、アルキル化剤、アルカロイド、アロステリック阻害剤、タンパク同化ステロイド、食欲抑制剤、制酸薬、止瀉薬、解毒剤、抗葉酸薬、解熱剤、抗リウマチ薬、精神治療薬、神経遮断薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗癲癇薬、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、降圧薬、抗ムスカリン剤、抗抗酸菌薬、抗マラリア薬、防腐剤、抗癌剤、抗原虫薬、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、収斂剤、ベータアドレナリン受容体遮断薬、造影剤、副腎皮質ステロイド、鎮咳薬、診断用薬、画像診断用薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、止血薬、血液作用薬、ヘモグロビン調整剤、ホルモン剤、睡眠薬、免疫薬、抗脂質異常症および他の脂肪調節剤、ムスカリン様作用薬、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン、プロスタグランジン、放射性薬剤、鎮静剤、性ホルモン剤、抗アレルギー薬、興奮剤、交感神経様作用薬、甲状腺薬、血管拡張剤、ワクチン、ビタミン、ならびにキサンチンを含むが、それらに限定されない、種々の周知の種類から選択可能である。抗新生物薬、すなわち、抗癌剤は、パクリタキセルおよび誘導体化合物、ならびにアルカロイド、代謝拮抗物質、酵素阻害薬、アルキル化剤、および抗生物質から成る群から選択される他の抗新生物薬を含むが、それらに限定されない。また、治療薬は、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、および核酸を含むが、それらに限定されない、生物剤であることが可能である。タンパク質は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る、抗体であることが可能である。
【0028】
診断用薬は、X線像形成剤および造影剤を含む。X線像形成剤の実施例は、ジアトラゾン酸のエチルエステル(EEDA)としても知られるWIN 8883(エチル3,5-ジアセトアミド-2,4,6-トリヨードベンゾアート)、WIN67722、すなわち、(6-エトキシ-6-オキシヘキシル-3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾアート、エチル-2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨード-ベンゾイルオキシ)ブチレート(WIN16318)、エチルジアトリゾキシアセテート(WIN 12901)、エチル2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾイルオキシ)プロピオネート(WIN16923)、N-エチル2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾイルオキシアセトアミド(WIN65312)、イソプロピル2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾイルオキシ)アセトアミド(WIN12855)、ジエチル2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾイルオキシマロネート(WIN67721)、エチル2-(3,5-ビス(アセトアミド)-2,4,6-トリヨードベンゾイルオキシ)フェニルアセテート(WIN67585)、プロパン二酸、[[3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,5-トリヨードベンゾイル]オキシ]ビス(1-メチル)エステル(WIN68165)、および安息香酸、3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨード-4-(エチル-3-エトキシ-2-ブテノエート)エステル(WIN68209)を含む。ある実施形態では、造影剤は、生理学的条件下で比較的迅速に分解し、したがって、任意の粒子関連炎症反応を最小限に抑えると予測されるものを含んでもよい。分解は、酵素的加水分解、生理学的pHでのカルボン酸の可溶化、または他の機構から生じてもよい。したがって、WIN67721、WIN12901、WIN68165、およびWIN68209、またはその他等の加水分解に不安定なヨウ化された種に加えて、ヨージパミド、ジアトリゾン酸、およびメトリゾン酸等の可溶性の乏しいヨウ化カルボン酸が利用されてもよい。
【0029】
他の造影剤は、ガドリニウムキレート等の磁気共鳴映像補助剤の粒子製剤、または他の常磁性造影剤を含むが、それらに限定されない。そのような化合物の実施例は、ガドペンテト酸ジメグルミン(Magnevist(登録商標))およびガドテリドール(Prohance(登録商標))である。
【0030】
これらの種類の治療薬および診断用薬の説明と、各種類内の種の一覧は、Martindale、The Extra Pharmacopoeia、第29版、The Pharmaceutical Press、London、1989に見出され得、参照することによって、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す。治療薬および診断用薬は、市販されており、および/または当該分野において周知の技術によって調製可能である。
【0031】
腎治療薬は、腹膜透析(自動あるいは外来腹膜透析を含む)、血液透析、および/または持続的腎代償療法のための溶液を含む。
【0032】
化粧剤は、化粧活性を有することが可能な任意の活性成分である。これらの活性成分の実施例は、とりわけ、皮膚軟化剤、湿潤剤、フリーラジカル阻害剤、抗炎症剤、ビタミン、脱色剤、抗アクネ剤、抗脂漏剤、角質溶解薬、痩身剤、皮膚着色剤および日焼け止め剤、特にリノール酸、レチノール、レチノイン酸、アルコルビン酸アルキルエステル、多価不飽和脂肪酸、ニコチン酸エステル、ニコチン酸トコフェロール、コメ、大豆またはシアバターノキの非鹸化物、セラミド、グリコール酸のようなヒドロキシ酸、セレン誘導体、抗酸化剤、β-カロチン、γ-オリザノールおよびステアリルグリセレートであることが可能である。本化粧品は、市販されており、および/または当該分野において周知の技術によって調製可能である。
【0033】
本開示の実践において使用するために想定される栄養補助食品の実施例は、タンパク質、炭水化物、水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB複合体等)、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、K等)、およびハーブエキスを含むが、それらに限定されない。本栄養補助食品は、市販されており、および/または当該分野において周知の技術によって調製可能である。
【0034】
高圧滅菌機器は、典型的には、温度および圧力制御を伴う、滅菌チャンバを含む。チャンバは、使用の際に密閉される蓋を有する。装置は、最大1000MPaまたは最大1500MPaの圧力に達することが可能である。本明細書で使用されるように、超高圧とは、圧力約100MPa〜約1500MPaおよびその間の任意の値である。また、装置は、滅菌チャンバを120℃以上に加熱可能な熱源を有する。
【0035】
本装置を使用するための方法は、系を所望の形態に提供するステップを含む。医療系の場合、医療系は、粉末形態、溶液、または含水粒子分散体であってもよい。ある実施形態では、医療系は、容器に印加される圧力に応答して、体積または形状を変化させる容易内に含有される医療製剤を含んでもよい。そのような容器は、可撓性ポリマー容器、あるいはシリンジバレル、ジェット式注射器のためのカートリッジ、または定量吸入器等の他の可撓性容器を含んでもよい。これらの容器は、以下に詳述される。また、本開示は、医療製剤を滅菌チャンバに直接添加するステップを想定する。
【0036】
医療系は、医療系が、圧力変化、温度変化、または両方に同時に曝露され得る、滅菌チャンバ内に挿入されてもよい。0.25MPa未満の圧力にのみ達する点滴容器等を滅菌するための現在の高圧蒸気法と異なり、本方法は、0.25MPa超の圧力に製剤を曝露する。ある実施形態では、医療系は、0.25MPa超〜約1500MPa、または100MPa〜約700MPa、および任意の範囲あるいはその中の範囲の組み合わせの圧力に曝露されてもよい。
【0037】
本開示は、医療系が25℃超の温度に曝露される期間を最小限にするように、温度および圧力を印加するステップをさらに含む。ある実施形態では、系の温度は、70℃超、または90℃超、あるいは100℃超、もしくは120℃以上となるであろう。図1に示されるような種々の温度/時間/圧力プロファイルを採用して、医療系の安定状態から不安定状態への変化を生じさせることなく、製剤を滅菌することが可能である。
【0038】
特に、図1は、温度/時間/圧力プロファイルを示し、医療溶液が圧力約700MPaに曝露され、第1のサイクルの一定期間、温度を約70℃に上昇させるためにエネルギーが付与され、一定期間、圧力を気圧まで下降させ、圧力を室温に低下させる第2のサイクルが続く。図1は、医療溶液が圧力パルスの度に急激な温度変化を受けることを示す。これらの温度変化は、それぞれ、加圧および減圧から生じる産物の瞬間的断熱加熱および冷却によって誘発される。加圧の際の断熱加圧の影響によって、予加熱された溶液(以下にさらに詳述)を所望の滅菌温度、例えば、約121℃に到達させてもよい。滅菌を達成するための典型的時間は、約数分であって、2回以上のサイクルが使用される。
【0039】
医療溶液は、非滅菌ユニットの確率が100万の1以下である場合、滅菌されているとみなされてもよい。これは、米国、欧州、および日本薬局方の要件を充足する。
【0040】
超高圧滅菌技術は、感熱成分を含有する医療溶液に適用され、従来の最終的滅菌の際に生じる感熱成分の分解を大幅に低減してもよい。高圧蒸気殺菌法(すなわち、121℃および約0.58MPaの圧力における、典型的には、最大30分間の蒸気滅菌)等の従来の熱滅菌技術は、特に、溶液が中性または塩基性pHである場合、炭水化物等の感熱成分を分解し得ることが知られている。多くの医療溶液中に存在する炭水化物であるグルコースは、長時間熱に曝露されると、不安定となる。医療溶液中のグルコースの分解は、細胞傷害性であり得る、炎症性活性化シグナルを誘発し得る、およびいくつかの研究において腹膜透析患者に対し血管損傷をもたらすと示唆されている糖化最終産物(AGE)の形成を促進し得る、グルコース分解産物(GDP)の形成をもたらす。GDPの非限定的実施例は、3-デオキシグルコソン(3-DG)、5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)、グリオキサール、メチルグリオキサール(MeGly)、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、3,4-ジデオキシグルコソン-3-エン(3,4-DGE)、およびフルフラールを含む。経時的に、GDPおよびAGEによって生じる損傷は、腹膜の濾過機能を著しく損なわせ得、最終的には、PD患者は、血液透析等の便宜的ではない透析療法に切り替えざるを得なくなる場合があることが示唆されている。超高圧(UHP)滅菌は、有利には、グルコースおよび他の感熱成分を分解する長時間の高温の使用を回避し、それによって、滅菌医療溶液中のGDPの形成を大幅に低減し、かつ排除し得る。GDPの低減または排除は、患者の腹膜への血管損傷を遅延させ得、それによって、患者は、腹膜透析を継続することが可能となる。また、GDP量の減少した滅菌医療溶液は、腎機能の低下を遅延させることによって、有益に、残存腎機能を保存し得る。
【0041】
同様に、i医療溶液を含有する多くのタンパク質およびペプチドは、著しい分解を伴うことなく、従来の湿熱滅菌に耐えることは不可能であることが知られている。多くの場合、本分解は、溶液中のタンパク質またはペプチド成分の有効性の低減をもたらす。故に、超高圧を使用して、そのような溶液を滅菌し、活性成分の熱誘発分解を阻止または防止することが有利となるであろう。
【0042】
ある実施形態では、超高圧を使用して、滅菌グルコース含有医療溶液を生成してもよい。グルコース含有溶液は、ヒトまたは哺乳類の静脈あるいは体腔(例えば、腹膜腔)内に導入され得る任意の溶液であってもよい。滅菌医療溶液の患者投与が生じ得る非限定的実施例は、当該分野において一般的に周知であるように、静脈内、動脈内、髄腔内、腹腔内、眼内、関節内、硬膜内、心室内、心膜内、筋肉内、皮内、または皮下注射を含む。グルコース含有医療溶液の非限定的実施例は、静脈内または皮下投与溶液等の輸液、および透析溶液を含む。透析溶液の非限定的実施例は、腹膜透析溶液、持続的外来腹膜透析溶液、断続的腹膜透析溶液、持続的周期腹膜透析溶液、持続的腎代償療法溶液、および血液透析溶液を含む。ある実施形態では、輸液のグルコース濃度は、約4%〜約5%w/vであってもよい。さらなる実施形態では、グルコース濃度は、輸液の約4.25%w/vであってもよい。
【0043】
ある実施形態では、輸液は、UHP滅菌透析溶液であって、GDPの濃度は、従来の湿熱滅菌後に同溶液中に存在するであろう濃度よりも低い。例えば、総GDP濃度は、従来の湿熱滅菌後に同溶液中に存在するであろうGDP濃度の約25%未満であってもよい。別の実施形態では、滅菌溶液は、約20ppm未満の3−DGを含有する。さらに別の実施形態では、滅菌溶液中の5-HMF、グリオキサール、メチルグリオキサール、3-DG、およびアセトアルデヒドの総濃度は、40ppmを超えない。
【0044】
本方法は、医療系を滅菌チャンバ内に載置するステップを含んでもよい。医療系は、1)容器と、2)それに含有される医療溶液と、を含んでもよい。ある実施形態では、医療溶液は、注入系であってもよい。医療系が滅菌チャンバ内に載置されると、本方法は、超高圧、すなわち、圧力約100MPa〜約1500MPaまたは本範囲内の任意の圧力に輸液を曝露するステップを生じさせてもよい。容器は、単一チャンバ内に医療溶液全体(すなわち、即時使用可能な輸液)を含有する単一チャンバ容器であってもよい。換言すると、医療溶液は、複数のチャンバ容器内に保存されるいくつかの従来の透析溶液の場合のように、グルコース溶液および緩衝剤溶液等の成分に分離されない。代替として、容器は、複数のチャンバ容器であってもよく、各チャンバは、別個の輸液成分を保持する(例えば、1つのチャンバ内に浸透剤、別のチャンバ内に緩衝剤溶液)。本方法は、超高圧を解放し、約45ppm未満の総グルコース分解産物を有する滅菌グルコース溶液を形成するステップをさらに含んでもよい。ある実施形態では、医療溶液系に印加される超高圧は、約600MPa〜約1000MPa、または約650MPa〜約800MPaであってもよい。さらなる実施形態では、医療溶液は、約690MPaの圧力に曝露されてもよい。
【0045】
本方法は、医療溶液系に継続的または断続的に超高圧を印加するステップを含んでもよい。ある実施形態では、超高圧は、約1秒〜約200秒、あるいは本範囲内の任意の持続時間、例えば、15、30、60、90、120、または180秒間、容器に継続的に印加されてもよい。さらなる実施形態では、医療溶液は、約1分間、約600MPa〜約690MPaの超高圧に曝露されてもよい。
【0046】
代替として、超高圧は、医療系に断続的に印加されてもよい。例えば、容器は、約1秒〜約60秒または本範囲内の任意の持続時間の間、超高圧に曝露されてもよい。その後、圧力は、解放されてもよい。次いで、超高圧は、約1秒〜約60秒(または、範囲内の任意の持続時間)間、容器に再印加されてもよい。容器に再印加される超高圧の量は、初期圧力印加の圧力レベルと同一または異なってもよい。容器へのUHPの再印加は、所望に応じて、2、3、4、または5回以上、繰り返されてもよい。
【0047】
ある実施形態では、医療溶液系は、約30秒間、690MPaの圧力に曝露されてもよい。その後、圧力は、解放されてもよい。次いで、医療溶液系は、少なくとも1回、さらに30秒間、約690MPaの圧力の印加に曝露され、圧力の解放が続き(例えば、最大約10回の総加圧サイクル)、それによって、約45ppm未満の総グルコース分解産物を伴う滅菌グルコース含有溶液を生成してもよい。さらなる実施形態では、医療溶液系は、30秒間、約690MPaに曝露され、圧力が解放され、そして、690MPaの圧力が、さらに30秒間、系に再印加され、解放されてもよい。690MPaの圧力は、3回目に、医療溶液系に約30秒間印加され、その後、解放されてもよい。本手順は、上述のように、非常に小量のGDPを伴う滅菌グルコース溶液を調製するために行なわれてもよい。
【0048】
ある実施形態では、医療系は、超高圧に曝露される前に、前処理または別様に予加熱されてもよい。例えば、医療系は、加圧前に、約60o〜約100oCまたは約70℃〜約90℃の温度に加熱されてもよい。容器および医療溶液の本前処理は、加熱された水浴中に容器を浸漬することによって、達成されてもよい。水浴は、約60℃〜約100℃の温度を有してもよい。さらなる実施形態では、本前処理手順は、滅菌医療溶液を生成するためのUHPの断続的印加と組み合わされてもよい。例えば、本方法は、容器を約70℃〜約90℃の温度に予加熱し、容器をUHPに曝露し、超高圧を解放し、容器を高温(周囲温度を超える温度)に加熱し、超高圧を容器に再印加し、45ppm未満の総グルコース分解産物を有する滅菌グルコース溶液を形成するステップを含んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「総グルコース分解産物」とは、HPLCによって測定される以下のグルコース分解産物の濃度の合計を意味するものとする(3−デオキシグルコソン(3-DG)、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)、グリオキサール(Gly)、メチルグリオキサール(MeGly)、およびアセトアルデヒド)。
【0049】
ある実施形態では、本方法は、溶液の超高圧への曝露に先立って、医療溶液を滅菌濾過するステップを含んでもよい。濾過プロセスは、フィルタを通して、医療溶液を濾過し、滅菌容器中の濾過輸液を収集するステップを含んでもよい。ある実施形態では、フィルタは、0.22ミクロンフィルタであってもよい。
【0050】
ある実施形態では、医療溶液は、pH約1〜約11、例えば、約4.5〜約8.0、または約6.0〜約8.0、あるいは約6.5〜約7.5を有する透析溶液であってもよい。透析溶液は、以下の成分を含んでもよい。
【0051】
【化1】

さらなる実施形態では、医療溶液系は、以下の組成を伴う透析溶液であってもよい。
【0052】
【化2】

滅菌医療溶液は、容器中に超高圧滅菌グルコース溶液を含んでもよい。滅菌グルコース含有溶液は、約45ppm未満の総グルコース分解産物を含んでもよい。当業者は、超高圧滅菌グルコース含有溶液が、上述のUHP滅菌実施形態のいずれかに記載の滅菌を達成するために十分な持続時間、圧力約100MPa〜約1500MPaに曝露された溶液であることを認識するであろう。総グルコース分解産物は、滅菌輸液中に存在する未分解グルコースの量を説明または定義する別の方法であるとみなされ得る。総グルコース分解産物は、滅菌溶液中に存在する上述のグルコース分解産物の合計である。したがって、総グルコース分解産物は、上述のグルコース分解産物のいずれも含まない、またはそのうちの1つ、一部、全部、またはその組み合わせを含んでもよいことを理解されたい。
【0053】
当業者は、上述の溶液成分の分解の低減に優る、超高圧滅菌医療系のさらなる利点および独特の特徴が存在することを理解するであろう。例えば、また、UHP滅菌に付随する短滅菌時間(多くの場合、1分未満)は、溶液容器特性の向上をもたらす。具体的には、本短滅菌時間は、熱滅菌容器が多くの場合そうである程度において、皺形成、変形、および/または歪曲しない溶液容器をもたらす。したがって、短滅菌時間は、生成効率に寄与するだけではなく、容器寿命および生成物保存期間の向上にも寄与する。また、UHP滅菌容器は、従来の滅菌容器よりも歪みが少なく、UHP容器は、長期間、その独自の物理特性を維持することが可能である(機械的弾性率、光ヘイズ、引張強度、曲げ弾性率、ムーニー粘度、軟化点、融点、硬度、脆度等)。実際、剥離可能および/または恒久的シールを含むUHP滅菌容器は、典型的には、UHP滅菌前および後において、それぞれのシールに対して、実質的に同一シール強度を維持する。
【0054】
容器は、超高圧滅菌プロセスの力に耐えるために好適な任意の組成から成ってもよい。ある実施形態では、容器は、以下に詳述されるように、任意の可撓性PVCまたは非PVCポリマー組成から成ってもよい。代替として、容器は、以下に詳述されるように、半剛性物質から構築されてもよいが、超高圧の印加に応答する構造特徴を組み込む。容器の側壁は、単一層であってもよく、または多層構造であってもよい。ある実施形態では、容器は、約100ミリリットル〜約5リットルの内部保存体積、またはその間の任意の体積を有してもよい。
【0055】
ある実施形態では、医療溶液は、UHP滅菌透析溶液であってもよい。透析溶液は、グルコース、グルコースポリマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される浸透剤を含んでもよい。浸透剤は、溶液の約1%〜約50重量%の量で存在してもよい。溶液は、pH約6.0〜約8.0または約6.7〜約7.5を有してもよい。溶液は、約45ppm未満の総グルコース分解産物を含有してもよい。
【0056】
透析溶液は、即時使用可能であってもよい。すなわち、患者への投与に先立って、分離成分の混合、他の成分の添加、またはさらなる滅菌を必要としない。さらなる実施形態では、透析溶液は、アミノ酸、緩衝剤、または電解質等の浸透剤に加えて、付加的成分を含んでもよい。他の透析成分の非限定的実施例は、0-30重量%の少なくとも1つのアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質と、0-2mmol/Lカルシウムと、0-1mmol/Lマグネシウムと、0-120mmol/L塩化物と、0-140mmol/Lナトリウムと、0-40mmol/L乳酸塩と、0-40mmol/L重炭酸塩と、0-4mmol/Lカリウムと、0-40mmol/Lクエン酸塩と、0-40mmol/L酢酸塩と、それらの任意の組み合わせと、を含んでもよい。
【0057】
ある実施形態では、滅菌透析溶液は、任意の沈殿物を実質的または完全に含有しなくてもよい。また、滅菌透析溶液は、透明であってもよく、すなわち、不透明性および/または混濁がない、または実質的に存在しない。
【0058】
ある実施形態では、医療系は、図2に記載の容器等、単一チャンバ容器を含んでもよい。換言すると、UHP滅菌医療溶液は、単一チャンバ容器内に配される即時使用可能な医療溶液であってもよい。また、容器は、医療溶液と同時にUHP滅菌されてもよい。ある実施形態では、グルコース含有医療溶液全体が、容器の単一チャンバ内に配される。
【0059】
ある医療溶液系、特に、透析溶液は、2つの輸液成分、例えば、緩衝剤成分およびグルコース成分を別々に含有するための複数のチャンバ容器を採用し、各溶液成分は、複数のチャンバ容器の別個のチャンバ内に含有される。例えば、腹膜透析溶液は、組み合わされた溶液が生理学的に容認可能なpHを有するように、酸性pHのグルコース/電解質成分および塩基性緩衝剤溶液として提供されてもよい。高濃度および酸性環境においてグルコースを提供することは、従来の滅菌の際、グルコースの分解を制限することが知られている。任意の特定の理論に拘束されることなく、別個の容器チャンバ内への透析溶液の分離は、透析溶液が無傷または別様に未分離のままである場合、従来の熱滅菌プロセスの際に生じるであろう溶液成分の反応あるいは沈殿を防止する。
【0060】
投与のために組み合わせられると、混合溶液が、生理学的pH、すなわち、約6.0〜約8.0に近似するpHを有するように調製される、そのような2液型透析溶液を提供することが望ましい場合が多い。一方、混合溶液のpHが約6.0を下回る場合であっても、滅菌の際、グルコース成分が低pH(例えば、約1.9〜約4または約3〜約3.5)に維持される2液型透析溶液を提供することによって、ある利点が生じる。特に、そのような溶液は、単一チャンバ容器内で滅菌される同等製剤と比較して、滅菌の際、グルコース分解産物の形成を大幅に低減させるはずである。以下の表1は、混合溶液が市販の1液型溶液(Baxter Healthcare Corporation製DIANEAL 4)と非常に類似する、例示的2液型透析溶液系を記載する。例示的系は、約4.25%デキストロースを含有するが、当然ながら、低デキストロース濃度で類似系を調製可能である(例えば、2.5%または1.25%デキストロース)。また、当業者は、例示的系のいくつかのさらなる変形例も可能であることを理解するであろう。これらとして、デキストロースの一部を別の浸透剤と置換、乳酸塩緩衝剤の全部または一部を、重炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはピルビン酸塩等の1つ以上の代替の生理学的に容認可能な緩衝剤と置換、2つの溶液間のナトリウム、カルシウム、および/またはマグネシウム電解質の配分を変更等が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0061】
【表1】

しかしながら、単一チャンバ容器内に配される即時使用可能なUHP滅菌医療溶液の多数の利点が存在する。例えば、複数のチャンバ容器は、成分溶液を別々に維持するが、注入前に適切な混合を保証する観点から、困難点を提示し得る。結果として、単一チャンバの即時使用可能な容器内に透析溶液を提供することは、非常に望ましい。本超高圧滅菌医療溶液は、沈殿物が形成されないように、透析溶液を個々の成分に分離する必要性を排除する。故に、超高圧滅菌透析溶液は、滅菌後の沈殿物および/または不透明性を呈さないため、UHP滅菌透析溶液の提供は、別個の容器チャンバ内に透析溶液の緩衝剤およびグルコース成分を分離する必要性を回避する。
【0062】
UHP滅菌医療溶液のさらなる利点は、従来の透析溶液よりも高いpHを有し得ることである。任意の特定の理論に拘束されることなく、従来の透析溶液は、グルコース成分を安定化させ、熱滅菌の際の毒性メイラード反応産物の形成を防止するために、典型的には、約5.0-5.5の範囲のpHを有する。従来の熱滅菌を回避することによって、本UHP滅菌透析溶液は、より安定系を提供する。故に、ある実施形態では、滅菌透析溶液のpHは、約6.0〜約8.0、または約6.5〜約7.5、あるいはその間の任意のpH値であってもよい。本「生理学的」範囲内のpHを有する透析溶液は、pH約5.0〜約5.5を有する典型的透析溶液と比較して、患者は、そのような溶液の注入による疼痛が少ないため、有利である。
【0063】
しかしながら、また、複数のチャンバ容器(および、対応する分離/単離溶液成分)を利用する従来の透析溶液系も、上述の超高圧滅菌技術を使用して滅菌され得ることを理解されたい。ある実施形態では、医療系は、図3の容器160等の複数のチャンバ容器を含んでもよい。本実施形態では、透析溶液は、区画162内に配される浸透剤および区画164内に含有される緩衝剤成分に分割され、区画162、164は、剥離シール166によって分離されてもよい。
【0064】
ある実施形態では、浸透剤成分は、pH約1.5〜約5.5、例えば、約2.0〜約4.5を有してもよく、緩衝剤成分は、pH約6.0〜約10.0、例えば、約6.0〜約8.0を有してもよい。
【0065】
ある実施形態では、滅菌グルコース含有溶液は、2.34ppm未満のアセトアルデヒド、または約0ppm〜約2.34ppm(または、本範囲内の任意の量)のアセトアルデヒド、あるいは約0.2ppm〜約0.45ppmのアセトアルデヒドを含有してもよい。ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、0.29ppm未満のホルムアルデヒド、または約0ppm〜約0.29ppmのホルムアルデヒド(または、本範囲内の任意の量)、あるいは約0.05ppm〜約0.10ppmのホルムアルデヒドを含有してもよい。
【0066】
ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、約14ppm未満の3-デオキシグルコソン、または約0ppm〜約14ppmの3-デオキシグルコソン(または、本範囲内の任意の量)、あるいは7ppm未満の3-デオキシグルコソンを含有してもよい。さらなる実施形態では、UHP滅菌輸液は、グルコース1グラム当たり1mg未満の3-デオキシグルコソン、またはグルコース1グラム当たり0.5mg未満の3-デオキシグルコソン、あるいはグルコース1グラム当たり0.2mg未満の3-デオキシグルコソンを含んでもよい。
【0067】
ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、約2.3ppm未満のメチルグリオキサール、または約0ppm〜約2.3ppmのメチルグリオキサール(または、本範囲内の任意の量)、あるいは約0.5ppm未満のメチルグリオキサール、もしくは約0.3ppm未満のメチルグリオキサールを含有してもよい。ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、メチルグリオキサールを実質的にまたは全く含有していなくてもよい。
【0068】
ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、約2.3ppm未満のグリオキサール、例えば、約0ppm〜約2.3ppmのグリオキサール(または、本範囲内の任意の量)、あるいは約0.5ppm未満のグリオキサール、もしくは約0.3ppm未満のグリオキサールを含有してもよい。
【0069】
ある実施形態では、UHP滅菌グルコース含有溶液は、3,4-ジデオキシグルコソン-3-エンおよび/またはフルフラールを全くまたは実質的に含有していなくてもよい。GDPの議論は、本明細書に提示される医療溶液(輸液、透析溶液)を含有する任意のグルコースに適用することを理解されたい。
【0070】
UHP滅菌医療溶液の実施例は、後述される。
【0071】
ここで、高圧滅菌サイクルに曝露される1%イトラコナゾールナノ懸濁液の滅菌試験を実施する。生理食塩水中における、バチルス・ステアロサーモフィルスの致死率に及ぼす高圧滅菌法の効果は、既に、証明されている(生物学的負荷に関する耐高湿熱を立証するために上述の菌株の耐湿熱を使用--ANSI/AAMI/ISO 11134-1993, Sterilization of health care products--Requirements for validation and routine control--Industrial moist heat sterilization. American National Standard developed by the Association for the Advancement of Medical Instrumentation and approved by the American National Standards Institute, page 12, section A.6.6.参照)。バチルス・ステアロサーモフィルスの少なくとも100万個の胞子を植菌した試験および制御ユニットを2つの異なるプロセスに曝露した。第1のプロセスは、1分間の約600MPaの圧力を使用し、第2のプロセスは、6回の10秒のサイクルの間、約600MPaの圧力を使用した。両プロセスにおける初期および最高温度は、それぞれ、90℃および121℃であった。両プロセスに対して、生理食塩溶液中に生存菌は認められなかった(表2参照)。1%イトラコナゾールナノ懸濁液が植菌され、滅菌される場合も、同様の結果が得られると予測される。
【0072】
【表2】

以下の表3、4、および5は、従来の熱滅菌輸液中に存在するGDPの量と、UHP滅菌輸液中に存在するGDPとを比較したものである。具体的には、可撓性PVC容器中の市販の腹膜透析溶液試料(Baxter Healthcare Corporation製4.25%デキストロースを伴うDIANEAL PD-2溶液)を、従来の湿熱滅菌を使用して、いくつかの異なる超高圧滅菌条件下、滅菌した。従来の滅菌対照と比較して、GDPの顕著な減少が、UHP滅菌試料中に認められた。
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

表5のデータは、従来の湿熱滅菌と比較して、約10倍低減した濃度の3-デオキシグルコソンを反映する。
【0076】
医療デバイス(例えば、医薬投与、腎透析、および血液採取/処理用)として使用されるような種々の容器は、本開示の方法によって、滅菌可能である。そのような容器の実施例は、流体投与セット(シリンジを含有するものを含む)、採血アセンブリ(例えば、血液パックユニット)、自動血液処理のための使い捨てアセンブリ、透析器アセンブリ、ならびに腹膜透析バッグ、カテーテル、およびアセンブリを含むが、それらに限定されない。典型的には、そのような系は、流体移送部材(例えば、チューブ)を含有するであろう。
【0077】
図2は、その間のチャンバ154を画定する2つの側壁152を有する、流動性物質容器150を示す。アクセス部材155は、容器の中身に対し滅菌アクセスを提供する。図3は、剥離シール166によって接続される第1および第2のチャンバ162、164を有する、複数のチャンバ容器160を示す。そのような複数のチャンバ容器は、特に、1つのチャンバ内に液体を、第2のチャンバ内に粉末を、または両チャンバ内に液体を保存するために好適である。剥離シールは、使用直前に成分を混合可能とする。好適な複数のチャンバ容器は、米国特許第5,577,369号および第6,017,598号に開示されるものを含むが、それらに限定されず、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成す。例えば、容器は、密封流体容器、シリンジ、および/または密封チューブであってもよい。
【0078】
ある実施形態では、側壁は、非PVC含有ポリマーから成る。側壁は、単層または多層構造から形成可能である。ある実施形態では、側壁は、非配向性であって、熱収縮性膜ではないとみなされる。
【0079】
容器の側壁を形成するための好適な非PVC含有ポリマーは、同一出願人による米国特許第5,998,019号、第6,461,696号、第6,964,798号、第6,969,483号、欧州特許第EP 1 139 969号、国際特許公開第WO 2005/040268 A1号に開示されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成す。また、当該分野において周知の他の耐熱非PVC容器膜を使用して、容器の側壁を形成してもよいことは、当業者には明白であろう。例えば、付加的好適な膜は、米国特許第6,027,776号、第5,695,840号、および第4,643,926号に開示される。
【0080】
また、本開示の高圧滅菌技術は、米国特許第6,004,636号に開示されており、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成す容器等、腎CAPD用途のための空の排液バッグを滅菌するために好適である。本開示の高圧滅菌技術を使用する最終的滅菌のために好適な他の容器は、米国特許第5,935,847号、第4,417,753号、および第4,210,686号に開示されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成すもの等、可撓性細胞培養容器を含む。また、米国特許第6,309,723号に開示され、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成すもの等、タンパク質適合性膜および容器も、本明細書で開示される高圧滅菌技術を使用して、滅菌可能である。さらにまた、滅菌技術は、米国特許第6,271,351号に開示されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれ、その一部を成すような脱酸素化ヘモグロビン等、酸素感受性化合物を含有する容器を滅菌するために好適である。滅菌技術は、短時間の間のみ、そのような容器を100℃を超える温度に曝露させることを必要とするため、1時間、121℃の蒸気に容器を曝露する標準的技術を使用する定的的滅菌に望ましくない多くの容器が、本開示の高圧技術によって、最終的に滅菌可能である。
【0081】
図14は、当該分野において周知のように、バレル222と、プランジャ224と、を有する、シリンジ220を示す。シリンジ220は、上述の物質から加工可能である。シリンジバレルは、医薬化合物の分散体または乾燥粉末のうちの1つによって充填され、その後、上述のように高圧蒸気滅菌可能である。シリンジバレル、好ましくは、バレルおよびプランジャの両方が、上昇圧力に応答して、体積を変化可能でなければならず、両部分222および224は、本開示の最終的滅菌プロセスに耐え得る十分な耐加熱ひずみを有していなければならない。
【0082】
図15は、チャンバ234を画定する本体232を有するカートリッジ230または挿入物を示す。チャンバ234は、必要に応じて、エンドキャップ236または一対のエンドキャップで密封される。カートリッジは、米国特許第6,132,395号に記載のようなジェット式注射器等の送達デバイス、またはチャンバ234の中身にアクセスし、使用のために中身を送達可能な他の送達デバイス内に挿入可能である。
【0083】
図16は、医療チューブ252と、アクセスデバイス254と、を有する、流体アクセスデバイス250を示す。アクセスデバイスは、アクセス部材154を穿刺するための物体であることが可能である、もしくは滅菌のために使用される容器から患者に送達する流体を運搬するシリンジバレル222、または組成物を患者に送達するために使用される別のデバイスにドッキングあるいは別様に接続するように適合可能である。
【0084】
本開示は、医療溶液、輸液、医薬製剤、容器、滅菌医療溶液を含有する容器等の滅菌医療系を提供し、系は、任意に、生成物に熱を供給し、生成物を0.25MPa超の圧力に加圧することによって、滅菌される。また、本開示は、低量または非常に微量のグルコース分解産物を伴うグルコース含有溶液等の滅菌医療溶液を提供する。
【0085】
本明細書に記載される本好ましい実施形態に対する種々の変更および修正は、当業者には明白であろうことを理解されたい。そのような変更および修正は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を低減することなく、成され得る。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求項によって網羅されるものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌透析溶液を生成する方法であって、
浸透剤および緩衝剤を含む含水透析溶液を可撓性容器中に提供するステップと、
前記溶液および容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに加圧するステップと、
前記静水圧を解放し、それによって、滅菌溶液を前記容器内に生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
実質的に全ての前記透析溶液が、前記加圧ステップの際、前記容器の1つの区画内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器は、前記浸透剤および前記緩衝剤を含有する別個の区画を備え、前記容器は、前記区画間の選択的流体連通を可能にするように適合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記透析溶液は、酸化阻害剤を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記浸透剤は、グルコース、そのポリマー、およびその混合物から選択され、前記滅菌透析溶液は、最終的な湿熱滅菌後に前記含水透析溶液中に存在するものよりも低濃度のグルコース分解産物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記滅菌透析溶液中のグルコース分解産物の濃度は、最終的な湿熱滅菌後に前記含水透析溶液中に存在するグルコース分解産物の濃度の約25%未満である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記浸透剤は、グルコースを含み、前記滅菌溶液は、約20ppm未満の3−デオキシグルコソンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記浸透剤は、グルコース、そのポリマー、およびその混合物から選択され、前記滅菌透析溶液中の5−ヒドロキシメチルフルフラール、グリオキサール、メチルグリオキサール、3−デオキシグルコソン、およびアセトアルデヒドの総濃度は、40ppmを超えない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記容器の加圧前に、前記透析溶液を約70℃〜約99℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記圧力は、約600MPa〜約1000MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加圧および解放ステップを少なくとも2回行なうステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液をさらに加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記加圧ステップは、約1秒〜約200秒持続する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
透析溶液を調製する方法であって、
複数のチャンバ容器の個別チャンバ内に第1および第2の成分溶液を提供するステップであって、前記容器は、前記チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合され、前記第1の成分溶液は、pH約1.5〜約5.5を有し、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含み、前記第2の成分溶液は、pH約6.0〜約10.0を有する緩衝剤濃縮物を含み、前記第1および第2の成分溶液は、混合時、pH約4.5〜約8.0を有する即時使用可能な透析溶液を形成する、ステップと、
1〜約300秒間、前記複数のチャンバ容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の成分溶液は、pH約1.9〜約4.5を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の成分溶液は、pH約6〜約8を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第2の成分溶液は、pH約8.5〜約10.0を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記容器を前記静水圧に曝露する前に、前記容器を約70℃〜約99℃の温度に前もって前もって加熱するステップをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
透析溶液を調製する方法であって、
複数のチャンバ容器の個別チャンバ内に第1、第2、および第3の成分溶液を提供するステップであって、
前記容器は、前記チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合され、
前記第1の成分溶液は、pH約3.0〜約6.0を有し、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含み、
前記第2の成分溶液は、pH約6.5〜約10.0を有する緩衝剤濃縮物を含み、
前記第3の成分溶液は、pH約1.5〜約4.5を有し、
前記第1、第2、および第3の成分溶液の混合時に、pH約4.5〜約8.0を有する即時使用可能な透析溶液が形成される、ステップと、
1〜約300秒間、前記複数のチャンバ容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の成分は、グルコースポリマーを含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第3の成分溶液は、グルコースを含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記容器を前記静水圧に曝露する前に、前記容器を約70℃〜約99℃の温度に前もって前もって加熱するステップをさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項23】
透析溶液を調製する方法であって、
複数のチャンバ容器の個別チャンバ内に第1および第2の成分溶液を提供するステップであって、
前記容器は、前記チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合され、
前記第1の成分溶液は、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含み、前記第2の成分溶液は、緩衝剤濃縮物を含み、
前記第1および第2の成分溶液の混合時に、pH約4.5〜約8.0を有する即時使用可能な透析溶液が形成される、ステップと、
1〜約300秒間、前記複数のチャンバ容器を静水圧約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記容器を前記静水圧に曝露する前に、前記容器を約70℃〜約99℃の温度に前もって加熱するステップをさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
滅菌の間、単一チャンバ一次容器内に封入される最終的に滅菌された透析溶液であって、
前記溶液の約1%〜約50重量%の量で存在する、グルコースを含む浸透剤を含み、前記滅菌された溶液は、pH約5.0〜約6.0を有し、約5ppm未満の3−デオキシグルコソンを含有する、透析溶液。
【請求項26】
滅菌の間、単一チャンバ一次容器内に封入される最終的に滅菌された透析溶液であって、
前記溶液の約1%〜約50重量%の量で存在する、グルコースを含む浸透剤を含み、前記滅菌溶液は、pH約6.0〜約8.0を有し、約40ppm未満の3−デオキシグルコソンを含有する、透析溶液。
【請求項27】
前記pHは、約6.5〜約7.5である、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項28】
前記溶液中のグルコースの濃度は、約1.5%〜約5%w/vである、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項29】
前記溶液は、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ピルビン酸塩、重炭酸塩、およびその混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの緩衝剤をさらに含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項30】
前記緩衝剤は、重炭酸塩を含む、請求項29に記載の透析溶液。
【請求項31】
0〜30重量%の少なくとも1つのアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質と、0〜2mmol/Lカルシウムと、0〜1mmol/Lマグネシウムと、0〜4mmol/Lカリウムと、0〜120mmol/L塩化物と、0〜140mmol/Lナトリウムと、0.1〜40mmol/Lの乳酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、および酢酸塩のうちの1つまたは任意の組み合わせと、をさらに含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項32】
前記溶液は、約14ppm未満の3−デオキシグルコソンを含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項33】
前記溶液は、約7ppm未満の3−デオキシグルコソンを含有する、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項34】
前記溶液は、3−デオキシグルコソンを実質的に含有しない、請求項33に記載の透析溶液。
【請求項35】
前記溶液は、約2.3ppm未満のグリオキサ−ルを含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項36】
前記溶液は、約1ppm未満のメチルグリオキサールを含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項37】
前記溶液は、約2.3ppm未満のアセトアルデヒドを含む、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項38】
前記溶液は、フルフラールを実質的に含有しない、請求項26に記載の透析溶液。
【請求項39】
滅菌透析溶液を可撓性容器中に提供するステップを含む、腎疾患を治療する方法であって、前記溶液は、少なくとも1つの浸透剤と、少なくとも1つの緩衝剤と、少なくとも1つの電解質と、を含み、前記溶液および容器は、圧力約100MPa〜約1500MPaでともに加圧されている、方法。
【請求項40】
必要とする患者に前記滅菌溶液を注入するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記可撓性容器は、加圧の際、前記緩衝剤および浸透剤の混合物を含有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記容器は、1つのみの溶液区画を備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記容器は、前記浸透剤および前記緩衝剤のための別個の区画を備える、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記溶液は、酸化阻害剤を実質的に含んでいない、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
単一チャンバ容器内の最終的に滅菌された医療溶液であって、
前記滅菌溶液は、水、グルコース、またはそのポリマー、0.1〜30重量%のアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質のうちの少なくとも1つ、0〜2mmol/Lカルシウム、0〜1mmol/Lマグネシウム、0〜120mmol/L塩化物、0〜140mmol/Lナトリウム、0〜4mmol/Lカリウム、および0〜40mmol/Lの少なくとも1つの乳酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ピルビン酸塩、またはその混合物から本質的に成り、そしてpH約6.0〜約8.0を有し、約40ppm未満の総グルコース分解産物を含有する、医療溶液。
【請求項46】
前記pHは、約6.5〜約7.5である、請求項45に記載の前記医療溶液。
【請求項47】
前記溶液は、グルコース、グルコースポリマー、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、約1%〜約50重量%の浸透剤を含有する、請求項45に記載の医療溶液。
【請求項48】
前記溶液は、約40ppm未満の3-デオキシグルコソンを含む、請求項45に記載の医療溶液。
【請求項49】
前記溶液は、約2.3ppm未満のグリオキサールを含む、請求項45に記載の医療溶液。
【請求項50】
前記溶液は、約0.75ppm未満のメチルグリオキサールを含む、請求項45に記載の医療溶液。
【請求項51】
前記溶液は、約2.3ppm未満のアセトアルデヒドを含む、請求項45に記載の医療溶液。
【請求項52】
単一チャンバ容器内の最終的に滅菌された透析溶液であって、前記溶液は、グルコース、水、0〜10重量%のアミノ酸、0〜30重量%のペプチド、0〜2mmol/Lカルシウム、0〜1mmol/Lマグネシウム、0〜120mmol/L塩化物、0〜140mmol/Lナトリウム、0〜4mmol/Lカリウム、および0〜40mmol/Lの乳酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、および酢酸塩のうちの1つまたは組み合わせから本質的に成り、そしてpH約6.0〜約8.0を有し、約45ppm未満の総グルコース分解産物を含有する、溶液。
【請求項53】
医療系を滅菌するための方法であって、
グルコース溶液を含有する容器を圧力約100MPa〜約1500MPaに曝露するステップと、
前記圧力を解放するステップと、
を含み、
それによって、約40ppm未満の総グルコース分解産物を含有する滅菌グルコース溶液を形成する、方法。
【請求項54】
前記滅菌グルコース溶液は、約20ppm未満の3-デオキシグルコソンを含有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記容器を前記圧力に曝露する前に、前記グルコース溶液を約70℃〜約99℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記圧力は、約600MPa〜約1000MPaである、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも2回、前記曝露および解放ステップを行なうステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記グルコース溶液をさらに加熱するステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記曝露ステップは、約1秒〜約200秒持続する、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記グルコース溶液は、輸液であり、そしてグルコース、グルコースポリマー、アミノ酸、ペプチド、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの浸透剤;ならびにカルシウム、マグネシウム、塩化物、ナトリウム、乳酸塩、重炭酸塩、カリウム、クエン酸塩、酢酸塩、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのさらなる成分を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記容器は、単一チャンバ容器である、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
複数のチャンバ容器の個別チャンバ内の第1および第2の成分溶液を含む、2液型透析溶液生成物であって、
前記容器は、前記チャンバ間の選択的流体連通を可能にするように適合され、
前記第1の成分溶液は、pH約1.9〜約4.0を有し、最大約50重量%のグルコース、グルコースポリマー、またはその混合物を含み、
前記第2の成分溶液は、緩衝剤濃縮物を含み、
前記第1および第2の成分溶液の混合時に、pH約4.5〜約6.0を有する即時使用可能な透析溶液が形成される、透析溶液生成物。
【請求項63】
前記第1の成分溶液は、pH約3.1〜約3.5を有する、請求項62に記載の透析溶液。
【請求項64】
前記緩衝剤濃縮物は、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ピルビン酸塩、重炭酸塩、およびその混合物から選択される緩衝剤を含む、請求項62に記載の透析溶液。
【請求項65】
前記即時使用可能な透析溶液は、pH約5.8〜約6.0を有する、請求項62に記載の透析溶液。
【請求項66】
前記即時使用可能な透析溶液は、約40重量ppm未満の総グルコース分解産物を含有する、請求項62に記載の透析溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−531677(P2010−531677A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513428(P2010−513428)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067616
【国際公開番号】WO2008/157748
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】