説明

半導体ウェハ搬送容器

【課題】半導体ウェハを収容している搬送容器に衝撃力が作用した場合に、半導体ウェハが破損しないようにした半導体ウェハ搬送容器を提供する。
【解決手段】一組の対向する面17a,18aに半導体ウェハ27を収容するウェハ支持溝26が縦方向に形成され上部に開口部3を有するたボトムケース2にカバー4を着脱自在に係止可能に設け、このカバー4の裏面側に設けた保持部材41により半導体ウェハ27の上部外周縁27bを押圧保持させる。ボトムケース2の底部8に配設された弾性を有するクッション部材29を設け、半導体ウェハ27の下部外周縁27aを前記ウェハ支持溝26の谷部26aから若干離隔させるように保持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の半導体ウェハを収容可能な半導体ウェハ搬送容器に関わり、特に、半導体ウェハを収容している搬送容器に衝撃力が作用した場合において、半導体ウェハの破損防止を図った半導体ウェハ搬送容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウェハを複数枚収容する搬送容器は、底壁と前後左右の側壁とからなっていて上方に開口している箱状のボトムケースを備えている。このボトムケースの内部には、底壁と側壁とにわたって半円弧状をなすと共に上部が直線状をした断面V字状のウェハ支持溝を複数並べて設けられている。この各ウェハ支持溝に半導体ウェハを縦方向に向けて配置して半導体ウェハの下部外周縁を保持するようになっている。
【0003】
一方、前記ボトムケースの上部にはカバーを装着可能としている。すなわち、ボトムケースの両側部に設けられた一対の係止片に対しカバーに設けられた一対のクランプ部をそれぞれ係脱することにより、カバーはボトムケースの着脱自在に装着可能になっている。
【0004】
このカバーの裏面側には、前記ボトムケース内に収容した半導体ウェハの上部側に当着して半導体ウェハを押圧保持する複数のウェハ支持溝を有するクッション部材を備えている。
【0005】
また、カバーの上記クランプ部の中央にはガイドリブがあって、カバーの閉塞時には上記ボトムケースの係止片に設けられた溝部により誘導されるようになっていた。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−340310号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体ウェハ搬送容器においては、搬送容器内の半導体ウェハはその下部外周縁をボトムケースのウェハ支持溝に接触させて収納する構成になっている。このため、搬送容器に外部から衝撃力が作用した場合に、この衝撃力がウェハ支持溝を介し半導体ウェハに伝わって半導体ウェハが破損する虞があった。
【0008】
特に、薄くグラインドした半導体ウェハにおいては、半導体ウェハ搬送容器の搬送時において、半導体ウェハを破損しないように細心の注意を払って慎重に搬送作業を行う必要があって、搬送作業に手間と時間がかかるという問題があった。
【0009】
また、半導体ウェハの下方に弾性を有する支え体を配置して半導体ウェハを浮き上がらせるようにしても、支え体の弾性力は小さいので、大きい衝撃力には対抗できない虞があった。このため、例えば大きい衝撃力が搬送容器の略下方方向から搬送容器に作用した場合には、ウェハ支持溝が半導体ウェハの下部外周縁に衝合して半導体ウェハが破損する虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、半導体ウェハを収容している搬送容器に衝撃力が作用した場合においても、半導体ウェハが破損しないようにした半導体ウェハ搬送容器を提供することを目的とするものである。
【0011】
【解決するための手段】
本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、請求項1に記載の発明では、
上面に開口部を有すると共に両外側部に係止片を有し、且つ一組の対向する面に半導体ウェハを収容するウェハ支持溝が縦方向に形成されたボトムケースと、該ボトムケースの開口部に着脱自在に装着されて、両外側部に前記ボトムケースの前記係止片にそれぞれ係止可能なクランプ部を有するカバーと、該カバーの裏面側に着脱自在に装着されていて前記ボトムケース内に収容されている各半導体ウェハの上部への当接により上部外周縁を両側から挟持して半導体ウェハを押圧保持可能な弾性を有する保持部材と、を備える半導体ウェハ搬送容器であって、前記ボトムケースの底部に配設された弾性を有するクッション部材を備え、該クッション部材は、前記ウェハ支持溝内に収容された半導体ウェハの下部外周縁を前記ウェハ支持溝の谷部から若干離隔させるように前記半導体ウェハの下部外周縁を保持することを特徴としている。
【0012】
このように構成された請求項1発明によれば、搬送容器内の半導体ウェハの下方に配設されたクッション部材が半導体ウェハの下部外周縁を押し上げて半導体ウェハの下部外周縁をウェハ支持溝から若干離隔させているので、例えば、搬送容器に略下方からの衝撃力が作用した場合には、半導体ウェハはクッション部材の押圧力に抗してクッション部材を押し下げた後にウェハ支持溝に比較的弱い力により当たることになるので、衝撃力の作用による半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、上面に開口部を有すると共に両外側部に係止片を有し、且つ一組の対向する面に半導体ウェハを収容するウェハ支持溝が縦方向に形成されたボトムケースと、該ボトムケースの開口部に着脱自在に装着されて、両外側部に前記ボトムケースの前記係止片にそれぞれ係止可能なクランプ部を有するカバーと、該カバーの裏面側に着脱自在に装着されていて前記ボトムケース内に収容されている各半導体ウェハの上部への当接により上部外周縁を両側から挟持して半導体ウェハを押圧保持可能な弾性を有する保持部材と、を備える半導体ウェハ搬送容器であって、前記ボトムケースの底部に配設された弾性を有する第1のクッション部材と、前記カバー内上部に配設された弾性を有する第2のクッション部材とを備え、前記第1のクッション部材は、前記ウェハ支持溝内に収容された半導体ウェハの下部外周を前記ウェハ支持溝の谷部から若干離隔させるように前記半導体ウェハの下部外周を圧接保持し、且つ、前記第2のクッション部材は前記保持部材により保持されている半導体ウェハの上部外周縁に当接していることを特徴としている。
【0014】
このように構成された請求項2発明によれば、搬送容器内の半導体ウェハの下に配設された第1のクッション部材が半導体ウェハの下部外周縁を押し上げて半導体ウェハの下部外周縁をウェハ支持溝から若干離隔させているので、例えば、搬送容器に略下方からの衝撃力が作用した場合には、半導体ウェハは第1のクッション部材の押圧力に抗して第1のクッション部材を押し下げた後にウェハ支持溝に比較的弱い力により当たることになるので、衝撃力の作用による半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0015】
また、搬送容器内の半導体ウェハの上部外周縁は、保持部材により押圧保持されていると共に、第2のクッション部材により押圧されているので、搬送容器に上方からの衝撃力が作用した場合には、保持部材の弾性力により上方への変位が規制される他に、さらに第2のクッション部材の弾性力によっても変位が規制されて、半導体ウェハがカバー又はカバーに装着されている保持部材の取り付け部に衝合する現象及びこれによる半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、前記クッション部材あるいは第1,第2のクッション部材の材質は、樹脂発泡体からなることを特徴としている。
【0017】
このように構成された請求項3発明によれば、クッション部材及び第1及び第2のクッション部材を発泡体により構成してあるので、搬送容器に作用する衝撃力により半導体ウェハがクッション部材に衝合しても、クッション部材の弾性変形により半導体ウェハに作用する力を安定して吸収することができて、半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図3は本発明の実施の形態1に係わる半導体ウェハ搬送容器を示している。
【0020】
図1及び図2において、半導体ウェハ搬送容器1はボトムケース2とこのボトムケース2の開口部3に後述するようにして着脱自在に装着されるカバー4とを有している。
【0021】
上記ボトムケース2は、上記開口部3を有する外側のケース本体5と、このケース本体5内に位置決めして出し入れ自在の内側のケースとしてのキャリア6から構成されている。なお、図1において矢印A方向は半導体ウェハ搬送容器1の正面視方向を示している。
【0022】
上記ケース本体5は、前後方向に沿う突出部7を有する底壁8と、この底壁8と対向する前後の側壁9,10と、左右の側壁11,12等により囲繞されていて上部が上記開口部3により開口して略箱状をなしている。
【0023】
上記ケース本体5及びキャリア6の材質は合成樹脂からなっていて、半導体ウェハ搬送容器1内にガスが発生しないように、例えば、高純度のポリプロピレンからなっており、カバー4の材質は例えば透明なポリカーボネートからなっている。
【0024】
上記ケース本体5の左右の両側壁11,12の対向する面11a,12aの下部は、底壁8にわたって半円弧状に湾曲している。両側壁11,12の外側面中央には、補強リブ13を介して係止片14がそれぞれ配設されている。
【0025】
図1に示すように、ケース本体5の開口部3上に環状に形成された溝15には、半導体ウェハ搬送容器1内を気密に保持するためのシール部材16が装着されている。
【0026】
キャリア6は、対向している左右の両側壁17,18と、前後の両側壁19,20とを有していて、上下に開口部21,22がそれぞれ形成されている。上記両側壁17,18の対向する面17a,18aの下部は、ケース本体5の下部の湾曲形状に沿うようにして湾曲している。
【0027】
また、キャリア6は、下側の上記開口部22を図1に示すように底壁8の突出部7に嵌合させることでケース本体5に対して左右方向への位置決めがなされている。
【0028】
底壁8には、上記突出部7を形成することによって左右一対の脚部21,22が形成されており、この脚部21,22の中央には図2に示すように切欠25(他方は図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0029】
この切欠25をケース本体5内に設けられた図示しない係止部に係合させることにより、キャリア6はケース本体5に対して前後方向は位置決めされている。
【0030】
キャリア6の両側壁17,18には、両対向面17a,18aの前後方向に沿って複数個(例えば25個)のウェハ支持溝26が縦向きにそれぞれ形成されている。このウェハ支持溝26は、断面V字状をしていて、図1に示すようにキャリア6の上方から複数枚の半導体ウェハ27がそれぞれ挿入して収容される。
【0031】
図1に示すケース本体5内の下部には、突出部7の底壁8と側壁11,12の下方の開口部22とにより上方に開口している空間28が形成されている。この空間28内において、底壁8の突出部7上にはクッション部材29が固設されている。
【0032】
上記クッション部材29は、半導体ウェハ搬送容器1に衝撃力が作用した場合に弾性変形して、半導体ウェハ搬送容器1内の半導体ウェハ27を保護するためのものである。
【0033】
なお、上記クッション部材29の上面29aは、ウェハ支持溝26の下部側の円弧の延長線よりも若干上方に位置している。すなわち、ウェハ支持溝26内に収容されている半導体ウェハ27の下部外周縁27aは、クッション部材29の上面29aにより持ち上げられて半導体ウェハ27の下部外周縁はウェハ支持溝26の谷部26aから若干離隔した状態にある。
【0034】
クッション部材29は、樹脂発泡体からなっていて、材料は例えば、ポリプロピレン、PVC、ウレタン、ポリエチレン等の合成樹脂であり、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられる。
【0035】
クッション部材29としての樹脂発泡体の発泡倍率は、5〜100まで用いられるが、クッション部材29の衝撃性能を挙げるためには高倍率が望まれて、例えば、30〜80が好適である。
【0036】
ケース本体5の開口部3を閉塞するためのカバー4は、上板30と、この上板30を囲繞する前後の側壁31,32及び左右の側壁33,34を有していて下方に開口している。
【0037】
カバー4の左右の側壁33,34には、係合穴35を有するクランプ部36がそれぞれ設けられている。クランプ部36は弾性を有していて、カバー4をケース本体5の開口部3に装着するときにケース本体5の係止片14に係合穴35を係合させることでカバー4がクランプされるようなっている。
【0038】
上記カバー4の裏面側には、溝部37を構成するレール対38,39が前後方向に沿って固設されている。また、カバー4の両面側の前後には複数の係止片40がそれぞれ固設されている。上記溝部37は、図1及び図2に示す保持部材41を取り付けるためのものである。
【0039】
図1、図2において、保持部材41は前後に長尺の環状脚部42を有し、この環状脚部42の前後方向に沿う下部には、外側に向けて係止している複数の腕部43がそれぞれ複数本(例えば25本)設けられている。
【0040】
各腕部43の自由端には、図3に示すように下向きにV字状をなすウェハ支持溝44がそれぞれ設けられており、このウェハ支持溝44は隣接部が連続するように形成されている。
【0041】
次に、上記のように構成された半導体ウェハ搬送容器1の使用例について説明する。
【0042】
キャリア6のウェハ支持溝26内に複数枚の半導体ウェハ27が収納された状態で、キャリア6はケース本体5内に位置決めして収納される。この状態でカバー4がボトムケース2に対して真上から下降されると、カバー4のクランプ部36が拡開してケース本体5の係止片14に係合することでカバー4がボトムケース2に装着される。
【0043】
このカバー4を装着することで、カバー4内にある保持部材41の各ウェハ支持溝44は、図3に示すようにキャリア6内に収容されている対応する半導体ウェハ27の上部外周縁27bに押圧されて半導体ウェハ27を押圧保持する。
【0044】
このとき、保持部材41の溝部37は図1の破線で示す位置に撓んだ状態にある。また、保持部材41による半導体ウェハ27の押圧力により、クッション部材29の上面29aは若干凹んだ状態になるが、半導体ウェハ27の下部外周縁27aは、図1に示すようにウェハ支持溝26の谷部26aから若干離隔した状態に保持されている。
【0045】
すなわち、半導体ウェハ27は保持部材41よりも耐衝撃性能の高いクッション部材29と、保持部材41との両方により挟持して保持された状態にある。
【0046】
このように半導体ウェハ27が保持された半導体ウェハ搬送容器1に対して、略下方からの衝撃力が作用した場合、半導体ウェハ27の下部外周縁27aはクッション部材29により衝撃力が吸収された後にウェハ支持溝26の谷部26aに当接する。
【0047】
すなわち、衝撃力がそのままの大きさで直接半導体ウェハ27に作用しないので、衝撃力による半導体ウェハ27の破損を防止することができる。
【0048】
衝撃試験機を用いて、半導体ウェハ搬送容器1及び従来品に与える加速度を変えて比較すると、表1に示すような結果が得られた。
【0049】
すなわち、30Gの加速度を従来品と半導体ウェハ搬送容器1とにそれぞれ与えると、従来品では半導体ウェハ27は25枚中12枚が破損したが、半導体ウェハ搬送容器1では25枚中1枚の破損しかなかった。
【0050】
また、40Gの加速度を従来品と半導体ウェハ搬送容器1とにそれぞれ与えると、従来品では25枚中20枚が破損したが、半導体ウェハ搬送容器1では25枚中5枚であった。
【0051】
このように、保持部材41よりも耐衝撃性能の高いクッション部材29により、半導体ウェハ27の下部外周縁27aをウェハ支持溝26の谷部26aから若干離隔させる状態で保持させることによって、半導体ウェハ搬送容器1に略下方からの衝撃力が作用しても半導体ウェハ27の破損を防止することができる。
【0052】
【実施の形態2】
次に、本発明の実施の形態2について、図4に基づいて説明する。なお、図1〜図3に示した実施の形態1と同一又は均等なものは、同一符号を付してその説明は省略する。
【0053】
図4において、底壁8の突出部7上には前述したクッション部材29と同様の第1のクッション部材29Aが設けられている。また、半導体ウェハ搬送容器1Aのカバー4には、裏面側におけるレール対38,39及び係止片40等で囲繞される空間45が形成されている。この空間45において、上板30の裏面には第2の第2のクッション部材46が固設されている。
【0054】
なお、第2のクッション部材46の下面46aは、カバー4がボトムケース2に装着されたときに、半導体ウェハ27の上部外周縁27bに当接する位置に設定されている。
【0055】
この第2のクッション部材46は、前述したクッション部材29と同様に樹脂発泡体からなっていて、例えば、ポリプロピレン、PVC、ウレタン、ポリエチレン等の合成樹脂であり、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン等が用いられる。
【0056】
クッション部材29としての樹脂発泡体の発泡倍率は、5〜100まで用いられるが、クッション部材29の衝撃性能を挙げるためには高倍率が望まれて、例えば、30〜80が好適である。
【0057】
上記の半導体ウェハ搬送容器1Aに略上方からの衝撃力が作用すると、この衝撃力により保持部材41が変形して衝撃力を吸収すると同時に耐衝撃性能の高い第2のクッション部材46が凹んで保持部材41と協働して衝撃力を吸収する。また、下方からの半導体ウェハ搬送容器1への衝撃力作用については、図1の半導体ウェハ搬送容器1と同様であるので説明を省略する。
【0058】
このように構成された半導体ウェハ搬送容器1A及び従来品を、加速度を変えて衝撃試験機により比較すると、表1に示すような結果が得られた。
【0059】
【表1】



【0060】
すなわち、30Gの加速度を従来品と半導体ウェハ搬送容器1Aとにそれぞれ与えると、従来品では半導体ウェハ27は25枚中12枚が破損したが、半導体ウェハ搬送容器1Aでは25枚中1枚の破損もなかった。
【0061】
また、40Gの加速度を従来品と半導体ウェハ搬送容器1Aとにそれぞれ与えると、従来品では25枚中20枚が破損したが、半導体ウェハ搬送容器1Aでは半導体ウェハ27の破損は全く生じなかった。
【0062】
このように、半導体ウェハ搬送容器1Aにおいては、半導体ウェハ搬送容器1Aに対する衝撃力が、上下側の何れの方向から作用しても半導体ウェハ搬送容器1A内に収容されている半導体ウェハ27の破損を防止することができる。
【0063】
なお、前記各実施の形態における半導体ウェハ搬送容器1,1Aでは、半導体ウェハ27を収容しているウェハ支持溝26はボトムケース2を構成していてケース本体5に着脱自在のキャリア6にそれぞれ設けられていていた。
【0064】
しかし、ボトムケース2は必ずしもこれに限らず、ケース本体5の対向する面11a,12aにウェハ支持溝26を直接設けられた形式のボトムケースであっても良いことは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係わる発明によれば、搬送容器内の半導体ウェハの下方に配設されたクッション部材が半導体ウェハの下部外周縁27aを押し上げて半導体ウェハの下部外周縁をウェハ支持溝から若干離隔させているので、例えば、搬送容器に略下方からの衝撃力が作用した場合には、半導体ウェハはクッション部材の押圧力に抗してクッション部材を押し下げた後にウェハ支持溝に比較的弱い力により当たることになるので、衝撃力の作用による半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0066】
また、請求項2に係わる発明によれば、搬送容器内の半導体ウェハの下に配設された第1のクッション部材が半導体ウェハの下部外周縁を押し上げて半導体ウェハの下部外周縁をウェハ支持溝から若干離隔させているので、例えば、搬送容器に略下方からの衝撃力が作用した場合には、半導体ウェハは第1のクッション部材の押圧力に抗して第1のクッション部材を押し下げた後にウェハ支持溝に比較的弱い力により当たることになるので、衝撃力の作用による半導体ウェハの破損を防止することができる。
【0067】
また、請求項3に係わる発明によれば、クッション部材及び第1及び第2のクッション部材を樹脂発泡体により構成してあるので、搬送容器に作用する衝撃力により半導体ウェハがクッション部材に衝合しても、クッション部材の弾性変形により半導体ウェハに作用する力を安定して吸収することができて、半導体ウェハの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる半導体ウェハ搬送容器の縦断面図である。
【図2】半導体ウェハ搬送容器の分解斜視図である。
【図3】保持部材及び半導体ウェハの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係わる半導体ウェハ搬送容器の縦断面図である。
【符号の説明】
1,1A 半導体ウェハ搬送容器
2 ボトムケース
3 開口部
4 カバー
5 ボトムケースのケース本体
6 ボトムケースのキャリア
11,12 ケース本体の対向する側壁
14 係止片
17a,18a キャリアの対向する面
26 ボトムケースのウェハ支持溝
26a ウェハ支持溝の谷部
27 半導体ウェハ
27a 半導体ウェハの下部外周縁
27b 半導体ウェハの上部外周縁
29 クッション部材
29A 第1のクッション部材
33,34 カバーの対向する側壁
36 クランプ部
41 保持部材
46 第2のクッション部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有すると共に両外側部に係止片を有し、且つ一組の対向する面に半導体ウェハを収容するウェハ支持溝が縦方向に形成されたボトムケースと、該ボトムケースの開口部に着脱自在に装着されて、両外側部に前記ボトムケースの前記係止片にそれぞれ係止可能なクランプ部を有するカバーと、該カバーの裏面側に着脱自在に装着されていて前記ボトムケース内に収容されている各半導体ウェハの上部への当接により上部外周縁を両側から挟持して半導体ウェハを押圧保持可能な弾性を有する保持部材と、を備える半導体ウェハ搬送容器であって、
前記ボトムケースの底部に配設された弾性を有するクッション部材を備え、該クッション部材は、前記ウェハ支持溝内に収容された半導体ウェハの下部外周縁を前記ウェハ支持溝の谷部から若干離隔させるように前記半導体ウェハの下部外周縁を保持することを特徴とする半導体ウェハ搬送容器。
【請求項2】
上面に開口部を有すると共に両外側部に係止片を有し、且つ一組の対向する面に半導体ウェハを収容するウェハ支持溝が縦方向に形成されたボトムケースと、該ボトムケースの開口部に着脱自在に装着されて、両外側部に前記ボトムケースの前記係止片にそれぞれ係止可能なクランプ部を有するカバーと、該カバーの裏面側に着脱自在に装着されていて前記ボトムケース内に収容されている各半導体ウェハの上部への当接により上部外周縁を両側から挟持して半導体ウェハを押圧保持可能な弾性を有する保持部材と、を備える半導体ウェハ搬送容器であって、
前記ボトムケースの底部に配設された弾性を有する第1のクッション部材と、前記カバー内上部に配設された弾性を有する第2のクッション部材とを備え、前記第1のクッション部材は、前記ウェハ支持溝内に収容された半導体ウェハの下部外周を前記ウェハ支持溝の谷部から若干離隔させるように前記半導体ウェハの下部外周を圧接保持し、且つ、前記第2のクッション部材は前記保持部材により保持されている半導体ウェハの上部外周縁に当接していることを特徴とする半導体ウェハ搬送容器。
【請求項3】
前記クッション部材あるいは第1,第2のクッション部材の材質は、樹脂発泡体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェハ搬送容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−158808(P2004−158808A)
【公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−325593(P2002−325593)
【出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(596163747)株式会社ヴァンテック (10)
【Fターム(参考)】