説明

半導体ウエハ上に形成された構造体の光パルスを用いた光計測

ウエハ上に形成された構造体は、その構造体に入射するサブピコ秒の光パルスを導光することによって検査可能である。その構造体から回折された入射パルスによって生じる回折パルスが測定される。続いて、その測定された回折パルスに基づいて、その構造体のプロファイル特性が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は光計測に関し、より具体的には半導体ウエハ上に形成された構造体の光パルスを用いた光計測に関する。
【背景技術】
【0002】
光計測は、構造体へ入射するビームを導光する手順、その結果回折されたビームを測定する手順、及びその回折されたビームを解析することでその構造体のプロファイルを決定する手順を含む。半導体の製造では、光計測は典型的には品質保証のために用いられる。たとえば半導体ウエハ上の半導体チップに近接する周期回折格子の製造後、光計測システムが、その周期回折格子のプロファイルを決定するのに用いられる。その周期回折格子のプロファイルを決定することによって、その周期回折格子を形成するのに利用された製造プロセスの品質、ひいてはその周期回折格子に近接する半導体チップの品質を評価することが可能となる。
【特許文献1】米国特許出願第09/907488号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/923578号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/770997号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/608300号明細書
【非特許文献1】ウイバーナッカー(Uibernacker)、SPIE OE誌、2004年5月、pp.18−22
【非特許文献2】クルーガー(Kruger)、SPIE OE誌、2004年5月、pp.23−25
【非特許文献3】チェリオックス(Cheriaux)及びチャンバレット(Chambaret)、Measurement Science and Technology、第12巻、2001年、pp.1769−1776
【非特許文献4】ペータースタウト(Peter Staudt)(ベルリンのAPE社)、SPIE OE誌、2004年9月、pp.33−35
【非特許文献5】イアコニス(C.Iaconis)及びワームスレイ(I.A.Walmsley)、”Self Referencing Spectral Interferometry for Measuring Ultrashort Optical Pulses”、ロチェスター大学光学研究所研究レポート(ベルリンのAPE社提供)
【非特許文献6】ドラー(C.Dorrer)、”Characterization of Femtosecond Pulses for Phase and Amplitude Reconstruction using an Interferogram simultaneously with Spinder”、Batterie de l’Yvette、Laboratoire d’Optique Appliquee研究レポート(ベルリンのAPE社提供)
【非特許文献7】グッドマン(Goodman)、”Introduction to Fourier Optics”、マクグロウヒル(McGraw Hill)、第2版、1996年
【非特許文献8】リーフェン、Journal of Optical Society of America、第A13巻、pp.1024−1035、1996年)
【非特許文献9】サイモン(Simon Haykin)、「ニューラルネットワーク(Neural Networks)」、プレンティスホール(Prentice Hall)、1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の光計測では、光の波長に対する回折応答が一般的には計測される。光のスペクトル分解は、入射光路又は反射光路のいずれかで行なうことが可能である。この目的のため、プリズム又は回折格子による光分散に基づいたモノクロメータが一般的に用いられる。その分散した光は続いて、たとえば電荷結合素子(CCD)のアレイへ導光されて良いし、又はそのアレイが移動する、すなわち一検出器にわたって掃引されても良い。第1の場合では、検出器全体での許容度が存在するため、精度は制限される。第2の場合では、運動により、測定時間が増加してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一の典型的実施例では、ウエハ上に形成された構造体は、その構造体に入射するサブピコ秒の光パルスを導光することによって検査可能である。その構造体から回折された入射パルスによって生じる回折パルスが測定される。続いて、その測定された回折パルスに基づいて、その構造体のプロファイル特性が決定される。
【0005】
本願は、添付の図と一緒になった以降の説明を参照することによって最もよく理解することができる。図中では、同様の部品には同様の番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以降の説明では、特定の構成、パラメータ等について開示する。しかし係る説明は本発明の技術的範囲を限定することを意図するものでなく、典型的実施例についての説明を供するものであることに留意すべきである。
1 光パルスを用いた光計測
図1を参照すると、光計測システム100は、ウエハ104上に形成された構造体102を検査及び解析するのに用いられて良い。たとえば光計測システム100は、ウエハ104上に形成された周期回折格子の特徴を決定するのに用いられて良い。先述のように、周期回折格子は、たとえばウエハ104上に形成された素子の隣のような、ウエハ104上の検査領域内に形成されて良い。あるいはその代わりに、周期回折格子は、素子の動作と干渉しない素子の領域内又はウエハ104上のスクライビングラインに沿って形成されて良い。
【0007】
一の典型的実施例では、光計測システム100はパルス発生装置106を有する。パルス発生装置106は構造体102へ入射するパルス108を導光する。この典型的実施例では、入射パルス108はサブピコ秒光パルスである。光計測システム100はパルス検出器112を有する。パルス検出器112は、構造体102から回折される入射パルス108から生じた回折パルスを測定する。光計測システム100はまたプロセッサ120をも有する。プロセッサ120は回折パルス110に基づいて構造体102のプロファイル特性を決定する。
【0008】
以降でかなり詳しく説明されるように、一の典型的実施例では、構造体102のプロファイル特性は、測定された回折パルスと、構造体102の仮説プロファイルに関連するシミュレーションによる回折パルスとを比較することによって決定される。パルスが一致基準の範囲内で一致するとき、シミュレーションによる回折パルスに関連する構造体102の仮説プロファイルは、構造体102のプロファイル特性を決定するのに用いられる。
【0009】
別な典型的実施例では、測定された回折スペクトルは、測定された回折パルスから導かれる。測定された回折スペクトルは、構造体102の仮説プロファイルに関連するシミュレーションによる回折スペクトルと比較される。そのスペクトルが一致基準の範囲内で一致するとき、シミュレーションによる回折スペクトルに関連する構造体102の仮説プロファイルは、構造体102のプロファイル特性を決定するのに用いられる。
2 パルス発生装置
一の典型的実施例では、パルス発生装置106は超短パルスレーザーであって良い。超短パルスレーザーとはたとえば、モードロックレーザー、フェムト秒(fs)範囲のパルス長を有するダイオード励起チタンサファイアレーザー、イッテルビウム−タングステン酸(Yb:KGW)レーザー等である。非特許文献1、非特許文献2及び非特許文献3を参照のこと。パルスのチューニング(つまり波長を変化させること)は、光パラメトリック増幅(OPA)を用いることによって実現されて良い。この典型的実施例では、240nmから10μm範囲の波長が掃引されて良い。
3 パルス検出器
図1に図示されているように、入射パルス108は、構造体102から回折された回折パルス110となる。回折パルス110はパルス検出器112を用いて測定される。以降でより詳細に説明されるように、構造体102は入射パルス108の形状を変化させて良い。たとえば入射パルス108がガウシアン包絡関数を有するとき、入射パルス108は、構造体102から回折されるときに、伸張又は圧縮された回折パルス110となって良い。構造体102はまた、入射パルス108の周波数を変調させても良い。これは“チャープ”と呼ばれる。
【0010】
回折パルス110が測定された後、回折パルス110を評価する様々な方法が用いられて良い。たとえば周波数領域では、スペクトルの半値全幅(FWHM)を測定するのに分光計が用いられて良い。時間領域では、自己相関器が、自己相関関数(ACF)のFWHM−パルス間隔を測定するのに用いられて良い。周波数及び時間領域では、スペクトル位相干渉計(たとえば周波数分解光ゲート法(FROG)、直接電場再構築(SPIDER)のためのスペクトル位相干渉計等)が、ACF及びスペクトル位相を測定するのに用いられて良い。
【0011】
上述したように、自己相関は、回折パルス110の評価に適用されて良い(つまり回折パルス110は分割され、かつそれ自身と相関させる)。あるいはその代わりに、相互相関が適用されても良い(つまり回折パルス110は参照パルスと相関させる)。図1に図示された実施例では、参照パルス114は、半透明ミラー116を用いて入射パルス108を分割することによって得られる。この典型的実施例では、参照パルス114は、第2パルス検出器118を用いて測定される。ペータースタウト(Peter Staudt)(ベルリンのAPE社)の”FROG−Upgrade for APE Autocorrelator Pulse Check”というパワーポイントによるプレゼンテーションも参照のこと。
3.1 分光計
上述したように、周波数領域では、スペクトルのFWHM帯域を測定するのに分光計が用いられて良い。一般的に分光計では、射出スリットを通り抜ける光は、光電検出器を用いて記録される。分光計は、光をその波長で分解し、かつその光のスペクトル強度分布を決定する。一般的に分光計は、入力コリメータ(入力スリット及び入力対物レンズ)、出力光学系(対物レンズ及び射出スリット)、及びそれらの間に波長選択素子(たとえばプリズム、回折格子又は干渉計)を有する。
3.2 自己相関器
上述したように、時間領域では、自己相関器が、自己相関関数(ACF)のFWHM−パルス間隔を測定するのに用いられて良い。一般的に、自己相関器の基本原理は、回折パルス110を2のパルスに分割し、その2のパルスに時間遅延を与え、かつそれらを重ね合わせることである。時間遅延を掃引しながら、回折パルス110の強度包絡関数に対応するACFが記録されて良い。非特許文献4も参照のこと。
3.3 スペクトル位相干渉計
上述したように、周波数及び時間領域では、ACF及びスペクトル位相を測定するのにスペクトル位相干渉計が用いられて良い。非特許文献5及び非特許文献6も参照のこと。
【0012】
一の典型的実施例では、スペクトル位相干渉計は、自己相関システムに加えられたFROGオプションを用いることによって実行されて良い。他の典型的実施例では、スペクトル位相干渉計は、SPIDERを用いて実行されて良い。ベルリンAPE社の“SPIDERについての技術的説明”、2004年を参照のこと。
【0013】
一般的には、SPIDERは回折パルス110の2の複製を生成する手順を有し、これらの複製の一は、他の複製に対してτの時間遅延が与えられる。たとえばファブリペローエタロンが用いられて良い。ファブリペローエタロンは、両面が部分的にミラーである平板である。これにより、入射パルスは2以上のパルスに分割される(つまり1のパルスが直進する一方で、第2パルスは射出面から入射面へ反射されて反対方向へ進み、そこから元の方向へ進む)。よって第2パルスには2*d*nの光路遅延が生じる。ここでdは平板の厚さで、nは屈折率である。この結果、Δt=2*d*n/cの時間遅延が生じる。ここでcは真空中での光速である。
【0014】
2の複製が生成され、かつこれらに時間遅延が生じた後、第3パルスが、τよりもはるかに長い間隔に伸張(“チャープ”)される。続いて2の複製は、非線形媒質(χ(N))中で第3パルスAC02と混合される。その結果生じた信号S(ω)が分光計で分解される。
【0015】
チャープパルス(つまり第3パルス)は、パルスの周波数(又は色)が時間変化するパルスである(鳥の鳴き声の周波数(又はピッチ)が時間と共に増大するように)。チャープパルスは、分散する遅延ラインによって得られる。たとえば1対の回折格子、1対のプリズム、又は材料の異なるガラスが、この目的に用いられて良い。
【0016】
非線形の周波数混合の目的は、2の複製の各々に周波数シフトを加えることである。2の複製には時間遅延が与えられるので、各々は、非線形媒質中で、チャープパルス(つまり第3パルス)の異なる擬単色スライスと混合される。よって、各複製はわずかに異なる周波数シフトを起こす。その結果、1対の周波数シフトしたパルスは、互いのスペクトルが剪断された状態になる。
【0017】
様々な方法が、SPIDERデータを解析するのに用いられて良い。1の方法は、空間干渉計と同様の手順から導かれる。具体的には、単純フーリエ変換、フィルタリング及び逆変換ルーチン後、入射パルスのスペクトル位相のサンプリングが、連続で(又は離散的に)戻される。サンプリングされたスペクトル位相と独立して測定されたスペクトル振幅とを結合させ、かつWhittaker−Shannonのサンプリング理論を利用することで、パルスの時間依存強度及び位相が戻される。非特許文献7を参照のこと。
4.0 データ解析
次に光パルスを用いた光計測を行うにあたっての簡単な数学的基礎を供することにする。
【0018】
パルスの電界(電場E)は、周波数範囲にわたってスペクトル定数A(ω)の積分によって表すことができる。
【0019】
【数1】

このため、E(t)及びA(ω)は、フーリエ変換の対である。単純化のため、パルスはガウシアン形状を有すると仮定する。
【0020】
【数2】

よって次式に従ってスペクトルA(ω)を計算することができる。
【0021】
【数3】

この積分は、2次補間を用いて解くことができるので、次式のようになる。
【0022】
【数4】

λ=c/2πωなので、スペクトルA(ω)はA(λ)とも表されて良い。
【0023】
例として、パルスの波長λが400nmであると仮定する。さらに周波数範囲が1/eで減少する結果、
【数5】

となると仮定する。
【0024】
よって周波数帯域は2(ω−ω)と推定される。よってω=2πν及び次の微分式
【数6】

により、
【数7】

を導くことができる。
【0025】
よってカバーされる波長範囲が±50nmから100nmと仮定すると、τについて得られる値は約10fsである。広いスペクトル範囲をカバーするため、2以上の波長についての測定が、たとえば波長可変レーザーを用いて行われて良い。大雑把な概算(これは一般的なパルス形状について当てはまる)では、ΔωΔt=1である。
4.1 数値的手法
次に入射パルスと構造体との相互作用を解析する数値的手法について説明する。
【0026】
入射パルス(つまりパルスの電場E)が時間の関数E(t)として与えられていると仮定する。インパルス応答G(t−τ)(つまり構造体のディラックインパルスでの反応)は既知であると仮定する。よって回折パルスの電場E依存性は次の畳み込みとして記述されて良い。
【0027】
E(τ)=E(t)*G(t−τ) (8)
周波数領域では、畳み込み操作は次のようなかけ算となる。
【0028】
E(ν)=E(ν)*G(ν) (9)
ここでE(ν)及びE(ν)は入射及び回折スペクトルで、G(ν)は構造体の周波数応答である。スペクトルX(ν)と時間関数X(t)とはフーリエ変換の対である(X=E,E,G)。
【0029】
特に、インパルス応答G(t−τ)は周波数応答(つまり構造体のスペクトル応答)のフーリエ変換、
G(t−τ)=F(G(ν)) (10)
である。ここでνは光の振動数である。波長λがc/νに対応するので、これはスペクトル応答に対応し、G(ν)は容易にG(λ)へ変換することができる。スペクトル応答G(λ)は、たとえば厳密結合波解析(RCWA)、機械学習システム等の数値解析手法を用いて生成されて良い。
【0030】
一の典型的実施例においては、時間領域で、測定された回折パルスのパルス形状はシミュレーションによる回折パルスと比較される。具体的には図2を参照すると、測定された回折パルスとシミュレーションによる回折パルスとを比較する典型的処理が示されている。202では、入射パルスの時間信号(E(t))が得られる。204では、入射パルスの時間信号(E(t))は、構造体のインパルス応答(G(t−τ))と畳み込まれることで、シミュレーションによる回折パルスを生成する。
【0031】
図3を参照すると、典型的な畳み込み処理が示されている。302では、得られた時間信号のフーリエ変換が計算されることで、入射スペクトル(E(ν))が生成される。304では、構造体の周波数応答(G(ν))が得られる。306では、入射スペクトル(E(ν))に周波数応答(G(ν))が乗じられることで、回折スペクトル(E(ν))が生成される。308では、回折スペクトル(E(ν))の逆フーリエ変換が計算されることで、シミュレーションによる回折パルスが生成される。
【0032】
他の典型的実施例においては、時間領域で、測定された回折スペクトルが測定された回折パルスから導かれる。その測定された回折スペクトルはシミュレーションによる回折スペクトルと比較される。
【0033】
図4を参照すると、測定された回折パルスから測定された回折スペクトルを得る典型的な処理が示されている。402では、入射パルスの時間信号(E(t))が得られる。404では、測定された回折パルスの時間信号(E(t))が得られる。406では、得られた入射パルス(E(t))のフーリエ変換が計算されることで、入射スペクトル(E(λ))が生成される。408では、測定された回折パルス(E(t))のフーリエ変換が計算されることで、回折スペクトル(E(λ))が生成される。410では、回折スペクトル(E(λ))が入射スペクトル(E(λ))と分離されることで、構造体の測定された回折スペクトルが生成される。
4.2 数値的手法のモデリング
次に上述の数値的手法を行うシミュレーションについて説明する。このシミュレーションは、3fsのFWHM及び4THzのキャリア周波数(λ≒500nmに対応)を有するガウシアンビームが、シリコンにエッチングをして作製された2の異なる回折格子によって回折されるものと仮定する。その回折格子は、500nmの回折格子周期、200nmのエッチ深さ、及び、それぞれ250nmと240nmの線幅を有する。
【0034】
図5は、入射パルスについてのシミュレーションによる周波数スペクトル、及び2の回折格子についての応答スペクトルを図示している。便宜上、振幅スペクトルのみが図示されている。留意すべき点は、ガウシアンパルスについての位相スペクトルは平坦(一定)だが、応答スペクトルは一定でないことである。250nmの回折格子から回折された後のパルスのスペクトル(実線)も図示されている。
【0035】
図6は、回折格子のスペクトルとの畳み込みが行われ、かつフーリエ逆変換された後の回折パルスの時間信号を図示している。図6から分かるように、回折パルスは、入射パルス(破線)と比較すると、回折格子によってかなり歪められている。しかもCDの違いに起因する時間信号のわずかな差異も観測できる。
4.3 解析手法
次にパルスと構造体との相互作用を解析する解析手法について説明する。カールヘール(Karl Hehl)、”Phase and Phase Derivative Targets”、2000年6月の研究報告も参照のこと。しかし課せられた適用条件(ガウシアンパルス、べき級数展開)のため、上述の数値的手法に取って代わることはできない。
【0036】
例として以下を仮定する。
【0037】
(ω)=exp(iφ(ω)) (11)
(つまりスペクトルは指数関数で表される)。φの実部及び虚部は、次式を介してAと関連づけられる。
【0038】
【数8】

しかも指数関数φ(ω)の偏角は、周波数ωの周りでべき級数展開される。
【0039】
【数9】

ここでφ’,φ’’,…はωの導関数である。形式的にφ(ω)=φ,φ’=T,φ’’=G,及びφ’’’=TOP(つまり3次の係数)と置き換えると、次式が得られる。
【0040】
【数10】

ここでAのべき級数表現が応答の式に導入され、パルスへの高次項の効果が計算される。
4.3.a 1次の効果
周波数領域でのパルスと構造体との相互作用は、次式で表すことができる。
【0041】
(ω)=A(ω)*A(ω) (15)
ここでA(ω)は入射パルスの周波数スペクトル、A(ω)は回折パルスの周波数スペクトルで、A(ω)は構造体の周波数スペクトルである。
【0042】
式(15)において、関数A(ω)を、exp(iφ(ω))の1次べき級数で置き換えることで次式が導かれる。
【0043】
(ω)=exp(i{φ+(ω−ω)*T(ω)})*A(ω) (16)
式(16)をガウシアン入射パルス(式(4)参照)へ適用することで次式が得られる。
【0044】
【数11】

パルスの時間的振る舞いは、式(1)に従って式(17)をフーリエ変換し、かつ積分を解くために2次補間を再度利用することによって、計算することができる。その結果は次式である。
【0045】
【数12】

4.3.b 2次の効果
式(15)中の関数A(ω)は、式(14)中のexp(iφ(ω))の2次までのべき級数によって置き換えられることで次式が得られる。
【0046】
【数13】

よってガウシアン入射パルスについては、スペクトルは次式のようになる。
【0047】
【数14】

繰り返しになるが、パルスの時間的振る舞いは、フーリエ変換から次式のように導かれる。
【0048】
【数15】

4.4 解析手法のモデル化
次に構造体からの回折パルスの応答振る舞いに係るある特性についてのモデル化の例について説明する。後述するモデル化の例はτ=3fs及びω=4*1015Hzであると仮定した。これはλ≒500nmに対応する。
4.4.a 1次
構造体が入射パルスへ及ぼすことのできる一の1次効果は、回折パルスの時間シフト(T)である。Tの符号に依存して、回折パルスは前進又は遅延する。たとえば図7Aから図7Dは、構造体による入射パルスの時間シフトを図示している。構造体のスペクトル応答の振幅は、周波数範囲にわたり1で一定している。つまり反射効率はどこでも100%である。スペクトル位相の振る舞いは、図7A及び図7Cに図示されている。図7A及び図7Bに図示されているように、Tが正(T=5)のとき、その結果生じる回折パルスは前進する。図7Cに図示されているように、Tが負(T=−5)のとき、その結果生じる回折パルスは遅延する。
【0049】
構造体が入射パルスへ及ぼすことのできる他の1次効果は、位相が変化しない振幅変化(T)である。たとえば図8Aから図8Dは、構造体による入射パルスの振幅変化を図示している。図8A及び図8Bに図示されているように、Tが正(T=j*2)のとき、その結果生成される回折パルスは、そのガウシアン形状及びキャリア周波数ωを保持しながら、伸張される。図8C及び図8Dに図示されているように、Tが負(T=−j*2)のとき、その結果生成される回折パルスは、そのガウシアン形状及びキャリア周波数ωを保持しながら、圧縮される。
【0050】
図8Aから図8Dでの1よりも大きな振幅の図示は仮説であることに留意して欲しい。また図7Aから図7D、及び図8Aから図8Dのグラフに図示されている振る舞いは、波長の代わりに周波数に対してプロットすると、反比例ではなく1次関数となることにも留意して欲しい。
4.4.b 2次
純然たる2次の効果を示すため、1次の項Tはゼロに設定される。2次の項の効果は、Gの項(式19−21参照)によって支配される。繰り返しになるが、位相及び振幅の効果は分離しているものと考えられる。
【0051】
図9Aから図9Dは、位相変化が入射パルスの伸張を引き起こしていることを示している。それに加えて、時間信号の位相は時間と共に変化する。その結果、キャリア周波数は連続的に変化する。このことを“チャープ”と呼ぶ。図9A及び図9Bに図示されているように、周波数が時間と共に減少するとき、その変化は“ダウンチャープ”と呼ばれる。図9C及び図9Dに図示されているように、周波数が時間と共に増加するとき、その変化は“アップチャープ”と呼ばれる。いずれの場合でも、結果として生成される回折パルスは、ガウシアン包絡関数の形状を保ったままで伸張される。
【0052】
図10Aから図10Dは、2次(2乗)の振幅変化を図示している。図10A及び図10Bは、入射パルスの振幅減衰を図示している。図10C及び図10Dは、入射パルスの増幅を図示している。繰り返しになるが、1よりも大きな振幅は仮説であることに留意して欲しい。
5.ライブラリに基づいた処理
上述したように、一の典型的実施例では、検査される構造体のプロファイル特性を決定するため、測定された回折パルスは、その構造体の仮説プロファイルに関連するシミュレーションによる回折パルスと比較される。そのシミュレーションによる回折パルスの一部は、その構造体の仮説プロファイルに関連する、その構造体のスペクトル応答を得ることによって生成される。
【0053】
よってこの典型的実施例において、図11を参照すると、スペクトル応答及びそれに関連する仮説プロファイルが、スペクトル応答及び仮説プロファイルのライブラリ1102から得られる。具体的には、ライブラリ1102中の各スペクトル応答は、その構造体の仮説プロファイルに関連する。よって測定された回折パルスを得た後、プロセッサ120は続いて、測定された回折パルスと、ライブラリ1102に保存されたスペクトル応答から生成されたシミュレーションによる回折パルスと比較される。その測定された回折パルスと、ライブラリ1102中のスペクトル応答から生成されたシミュレーションによる回折パルスとが一致基準の範囲内で一致するとき、その一致したシミュレーションによる回折パルスに関連する仮説プロファイルは、検査されるその構造体の実際のプロファイルを表すものと推定することができる。
【0054】
上述したように、別な典型的実施例では、測定された回折スペクトルは、その測定された回折パルスから得られる。その測定された回折スペクトルは、その構造体の仮説プロファイルに関連するシミュレーションによる回折パルスと比較される。
【0055】
よってこの典型的実施例では、シミュレーションによる回折スペクトル及び関連する仮説プロファイルは、シミュレーションによる回折スペクトル及び仮説プロファイルのライブラリ1102から得られる。具体的には、ライブラリ1102中の各シミュレーションによる回折スペクトルは、その構造体の仮説プロファイルに関連する。よって測定された回折パルスを得て、測定された回折スペクトルを得た後、プロセッサ120はその測定された回折スペクトルとライブラリ1102内に保存されたシミュレーションによる回折スペクトルとを比較する。その測定された回折スペクトルと、ライブラリ1102中のシミュレーションによる回折スペクトルとが一致基準の範囲内で一致するとき、その一致したシミュレーションによる回折スペクトルに関連する仮説プロファイルは、検査されるその構造体の実際のプロファイルを表すものと推定することができる。
【0056】
ライブラリ1102内に保存された仮説プロファイルの組は、1組のパラメータを用いて仮説プロファイルの特徴を明らかにし、続いてそのパラメータの組を変化させることで、様々な形状及び大きさを有する仮説プロファイルが生成されて良い。1組のパラメータを用いてプロファイルの特徴を明らかにするプロセスは、パラメータ化と呼ぶことができる。
【0057】
たとえば図12Aに図示されているように、仮説プロファイル1200が、その高さを定義するパラメータh1及びその幅を定義するパラメータw1によって、その特徴が明らかにすることができると仮定する。図12Bから図12Eで図示されているように、別な形状及び特徴を有する仮説プロファイル1200は、パラメータの数を増やすことによってそれらの特徴が明らかにされて良い。たとえば図12Bに図示されているように、仮説プロファイル1200は、高さを定義するパラメータh1、下底を定義するパラメータw1、及び上底を定義するパラメータw2によって特徴が明らかにされて良い。仮説プロファイル1200の幅は限界寸法(CD)と呼ぶことがあることに留意して欲しい。たとえば図12Bに図示されているように、パラメータw1及びw2は、仮説プロファイル1100の底部CD及び上部CDをそれぞれ定義するものとして記述されて良い。
【0058】
上述のように、ライブラリ1102(図11)内に保存されている仮説プロファイルの組は、仮説プロファイルを特徴づけるパラメータを変化させることによって生成されて良い。たとえば図12Bを参照すると、パラメータh1、w1及びw2を変化させることによって、様々な形状及び大きさを有する仮説プロファイルが生成されて良い。1、2又は全部である3のパラメータは、相互に対して変化させて良い。
【0059】
ライブラリに基づいた処理のより詳細については、特許文献1を参照のこと。
6.回帰分析に基づく処理
ライブラリ1102を用いずに、スペクトル応答/シミュレーションによる回折スペクトル、及び関連する仮説プロファイルは、回帰分析に基づいた処理を用いることによって得ることが可能である。図13を参照すると、スペクトル応答/シミュレーションによる回折スペクトルが、スペクトル応答/シミュレーションによる回折信号発生装置1302を用いて生成されている。
【0060】
特に、測定された回折パルスがシミュレーションによる回折パルスと比較される典型的実施例では、その測定された回折パルスとそのシミュレーションによる回折パルスとが一致基準の範囲内で一致しない場合、別な仮説プロファイルについてのパラメータの別な組を用いて、別なスペクトル応答が生成される。別なシミュレーションによる回折パルスは、新たに生成されたスペクトル応答を用いて生成され、続いて測定された回折パルスと比較される。
【0061】
測定された回折パルスから得られる測定された回折スペクトルがシミュレーションによる回折スペクトルと比較される典型的実施例では、その測定された回折スペクトルとそのシミュレーションによる回折スペクトルとが一致基準の範囲内で一致しない場合、別な仮説プロファイルについてのパラメータの別な組を用いて、別なスペクトルが生成される。別なシミュレーションによる回折パルスは、新たに生成されたスペクトルを用いて生成され、続いて測定された回折スペクトルと比較される。
【0062】
続いて生成されたスペクトル応答/シミュレーションによる回折スペクトルは、最適化アルゴリズムを用いて生成されて良いことに留意して欲しい。最適化アルゴリズムとはたとえば、焼き鈍し法を含む大域最適化法、及び最急降下法アルゴリズムを含む局所最適化法のようなものである。
【0063】
回帰分析に基づいた処理のより詳細については、特許文献2を参照のこと。
7.数値解析手法
一の典型的実施例では、スペクトル応答/シミュレーションによる回折スペクトルは、マクスウエル方程式を適用し、かつそれを解く数値解析手法を用いることによって生成することが可能である。より詳細には、後述する典型的実施例ではRCWAが用いられる。しかしRCWA、モード解析、積分法、グリーン関数法、フレネル法、有限要素法等のバリエーションを含む様々な数値解析が利用可能であることに留意すべきである。
【0064】
一般的には、RCWAはプロファイルを多数の部分、スライス又はスラブ(以降では単純に部分と呼ぶ)に分ける手順を有する。プロファイルの各部分については、結合微分方程式系が、マクスウエル方程式のフーリエ級数展開(つまり電磁場及び誘電率(ε)の成分)を用いて生成される。続いて微分方程式の系は、関連する微分方程式の系の固有行列の固有値及び固有ベクトル分解(つまり固有分解)を有する対角化手続きを用いることによって解かれる。最終的には、プロファイルの各部分の解は、たとえば散乱行列法のような繰り返し結合手順を用いて結合される。散乱行列法についての説明は、非特許文献8を参照のこと。RCWAのより詳細な説明は、特許文献3を参照のこと。
8.機械学習システム
図14を参照すると、一の典型的実施例では、スペクトル応答/シミュレーションによる回折スペクトルは、機械学習システム(MLS)1402を用いることによって生成することが可能である。MLS1402は、逆伝播、動径分布関数、サポートベクトル、カーネル回帰等の機械学習アルゴリズムを用いている。機械学習システム及びアルゴリズムのより詳細な説明については、非特許文献9及び特許文献4を参照のこと。
【0065】
本発明の特定実施例についての前述の説明は、例示及び説明を目的としている。この説明は、本発明を開示された厳密な実施形態に限定することを意図していない。上述の説明を考慮すれば、多くの修正型及び変化型が可能であることに留意して欲しい。

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は典型的な光計測システムを図示している。
【図2】測定された回折パルスとシミュレーションによる光パルスとを比較する典型的な処理を示している。
【図3】典型的な畳み込み処理を示している。
【図4】測定された回折パルスとシミュレーションによる光パルスとを比較する別な典型的な処理を示している。
【図5】入射パルスの典型的な振幅信号を図示している。
【図6】反射パルスの典型的な時間信号を図示している。
【図7A】入射パルスの時間シフトを図示している。
【図7B】入射パルスの時間シフトを図示している。
【図7C】入射パルスの時間シフトを図示している。
【図7D】入射パルスの時間シフトを図示している。
【図8A】入射パルスの振幅変化を図示している。
【図8B】入射パルスの振幅変化を図示している。
【図8C】入射パルスの振幅変化を図示している。
【図8D】入射パルスの振幅変化を図示している。
【図9A】入射パルスの位相変化を図示している。
【図9B】入射パルスの位相変化を図示している。
【図9C】入射パルスの位相変化を図示している。
【図9D】入射パルスの位相変化を図示している。
【図10A】入射パルスの2次の振幅変化を図示している。
【図10B】入射パルスの2次の振幅変化を図示している。
【図10C】入射パルスの2次の振幅変化を図示している。
【図10D】入射パルスの2次の振幅変化を図示している。
【図11】検査される構造体のプロファイル特性を決定する、ライブラリに基づいた処理を示している。
【図12A】構造体の仮説プロファイルを図示している。
【図12B】構造体の仮説プロファイルを図示している。
【図12C】構造体の仮説プロファイルを図示している。
【図12D】構造体の仮説プロファイルを図示している。
【図12E】構造体の仮説プロファイルを図示している。
【図13】検査される構造体のプロファイル特性を決定する、回帰分析に基づいた処理を示している。
【図14】検査される構造体のプロファイル特性を決定する、機械学習システムに基づいた処理を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上に形成された、プロファイルを有する構造体を検査する方法であって:
サブピコ秒光パルスである入射パルスを前記構造体へ導光する導光手順;
前記構造体から回折される前記入射パルスから生成される回折パルスを測定する測定手順;及び
前記測定された回折パルスに基づいて前記構造体の前記プロファイル特性を決定する決定手順;
を有する方法。
【請求項2】
前記測定手順が前記回折パルスを自己相関させる自己相関手順を有する方法であって:
前記回折パルスを2のパルスに分割する手順;
前記パルスを時間遅延させる手順;及び
前記の遅延させたパルスを重ね合わせる手順;
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自己相関手順が、周波数分解光ゲート法を用いる手順を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自己相関手順が、直接電場再構築のためのスペクトル位相干渉計を用いる手順を有する方法であって:
前記回折パルスの複製を2つ生成する手順;
前記複製を互いにτだけ時間遅延させる手順;
別なパルス(チャープパルス)を、τより長い間隔に伸張する手順;
前記複製と前記チャープパルスとを非線形媒質中で混合させ、その結果として信号を発生させる手順;及び
前記の結果として発生した信号を分光計で分解する手順;
を有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記測定手順が前記回折パルスを相互相関させる手順を有する方法であって:
参照パルスを測定する手順;及び
前記回折パルスと前記参照パルスとを比較する手順;
を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記参照パルスが前記入射パルスから測定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定手順が前記測定された回折パルスとシミュレーションによる回折パルスとを比較する手順を有する方法であって、
前記構造体の仮説プロファイルが前記シミュレーションによる回折パルスに関連し、かつ
前記パルスが一致基準の範囲内で一致するとき、前記のシミュレーションによる回折パルスに関連する構造体の仮説プロファイルは、前記の構造体のプロファイル特性を決定するのに用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記入射パルスの時間信号(E(t))を得る手順;及び
前記の入射パルスの時間信号(E(t))と前記構造体のインパルス応答(G(t−τ))とを畳み込むことで、前記シミュレーションによる回折パルスを得る畳み込み手順;
をさらに有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記畳み込み手順が:
前記の得られた時間信号のフーリエ変換を計算することで入射スペクトル(E(ν))を生成する手順;
前記構造体の周波数応答(G(ν))を得る手順;
前記入射スペクトル(E(ν))と前記周波数応答(G(ν))とを乗じることで、回折スペクトル(E(ν))を生成する手順;及び
前記回折スペクトル(E(ν))の逆フーリエ変換を計算することで、前記シミュレーションによる回折パルスを得る計算手順;
を有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構造体のスペクトル応答(G(λ))を得る手順;及び
前記スペクトル応答(G(λ))を前記周波数応答(G(ν))に変換する手順;
をさらに有する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記の構造体のスペクトル応答(G(λ))がスペクトル応答のライブラリから得られ、かつ
前記ライブラリ中の各スペクトル応答は前記構造体の各異なる仮説プロファイルに関連する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の構造体のスペクトル応答(G(λ))は、前記シミュレーションによる回折パルスと前記測定された回折パルスとが比較される前に生成され、かつ
前記測定された回折パルスと前記シミュレーションによる回折パルスとが前記一致基準の範囲内で一致しないときには、前記構造体の異なる仮説プロファイルについての別なスペクトル応答が生成される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記スペクトル応答が、数値解析手法を用いることによって生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記スペクトル応答が、機械学習システムを用いることによって生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記決定手順が:
前記測定された回折パルスから測定された回折スペクトルを得る手順;及び
前記測定された回折スペクトルとシミュレーションによる回折スペクトルとを比較する手順;
を有し、
前記構造体の仮説プロファイルが前記シミュレーションによる回折スペクトルに関連し、かつ
前記スペクトルが一致基準の範囲内で一致するとき、前記のシミュレーションによる回折パルスに関連する構造体の仮説プロファイルは、前記の構造体のプロファイル特性を決定するのに用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
測定された回折スペクトルを得る前記手順が:
前記入射パルスの時間信号(E(t))を得る手順;
前記測定された回折パルスの時間信号(E(t))を得る手順;
前記の得られた入射パルス(E(t))のフーリエ変換を計算することで入射スペクトル(E(λ))を生成する手順;
前記測定された回折パルス(E(t))のフーリエ変換を計算することで回折スペクトル(E(λ))を生成する手順;及び
前記回折スペクトル(E(λ))と前記入射スペクトル(E(λ))とを分離することで前記構造体の前記測定された回折スペクトルを生成する手順;
を有する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シミュレーションによる回折スペクトルがシミュレーションによる回折スペクトルのライブラリから得られ、
前記ライブラリ中の各シミュレーションによる回折スペクトルは前記構造体の各異なる仮説プロファイルと関連する、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記シミュレーションによる回折スペクトルは、前記シミュレーションによる回折スペクトルと前記測定された回折スペクトルとが比較される前に生成され、かつ
前記測定された回折スペクトルと前記シミュレーションによる回折スペクトルとが前記一致基準の範囲内で一致しないときには、前記構造体の異なる仮説プロファイルについての別なシミュレーションによる回折スペクトルが生成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記シミュレーションによる回折スペクトルが数値解析手法を用いて生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記シミュレーションによる回折スペクトルが機械学習システムを用いて生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
ウエハ上に形成された、プロファイルを有する構造体の検査システムであって:
サブピコ秒光パルスである入射パルスを前記構造体へ導光するように備えられたパルス発生装置;
前記構造体から回折される前記入射パルスから生成される回折パルスを測定するように備えられたパルス検出器;及び
前記測定された回折パルスに基づいて前記の構造体のプロファイル特性を決定するように備えられたプロセッサ;
を有するシステム。
【請求項22】
前記構造体のスペクトル応答及び仮説プロファイルのライブラリをさらに有するシステムであって、
前記ライブラリ中の各スペクトル応答は前記構造体の各異なる仮説プロファイルと関連し、かつ
前記プロセッサは、前記ライブラリからのスペクトル応答を用いたシミュレーションによる回折パルスの生成、及び、前記測定された回折パルスと前記シミュレーションによる回折パルスとの比較を行うように備えられている、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記構造体のシミュレーションによる回折スペクトル及び仮説プロファイルのライブラリをさらに有するシステムであって、
前記ライブラリ中の各シミュレーションによる回折スペクトルは前記構造体の各異なる仮説プロファイルと関連し、かつ
前記プロセッサは、前記測定された回折パルスから測定された回折スペクトル得て、かつ、前記測定された回折スペクトルと前記ライブラリからのシミュレーションによる回折スペクトルとを比較するように備えられている、
請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
スペクトル応答を発生させる装置をさらに有するシステムであって、前記プロセッサが、前記スペクトル応答を発生させる装置によって生成されたスペクトル応答を用いてシミュレーションによる回折パルスを生成し、かつ前記測定された回折パルスと前記シミュレーションによる回折パルスとを比較するように備えられた、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
シミュレーションによる回折信号を発生させる装置をさらに有するシステムであって、前記プロセッサが、前記回折パルスから測定された回折スペクトルを得て、かつ前記測定された回折スペクトルと前記シミュレーションによる回折信号を発生する装置によって生成されたシミュレーションによる回折信号とを比較するように備えられた、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
ウエハ上に形成された、プロファイルを有する構造体をコンピュータに検査させる、コンピュータでの実行が可能な命令を有するコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体であって:
サブピコ秒光パルスである入射パルスを前記構造体へ導光する導光命令;
前記構造体から回折される前記入射パルスから生成される回折パルスを測定する測定命令;及び
前記測定された回折パルスに基づいて前記構造体の前記プロファイル特性を決定する決定命令;
を有するコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項27】
前記決定命令が前記測定された回折パルスとシミュレーションによる回折パルスとを比較する命令を有するコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体であって、
前記構造体の仮説プロファイルが前記シミュレーションによる回折パルスに関連し、かつ
前記パルスが一致基準の範囲内で一致するとき、前記のシミュレーションによる回折パルスに関連する構造体の仮説プロファイルは、前記の構造体のプロファイル特性を決定するのに用いられる、
請求項26に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項28】
前記入射パルスの時間信号(E(t))を得る命令;及び
前記の入射パルスの時間信号(E(t))と前記構造体のインパルス応答(G(t−τ))とを畳み込むことで、前記シミュレーションによる回折パルスを得る畳み込み命令;
をさらに有する、
請求項27に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項29】
前記畳み込み命令が:
前記の得られた時間信号のフーリエ変換を計算することで入射スペクトル(E(ν))を生成する命令;
前記構造体の周波数応答(G(ν))を得る命令;
前記入射スペクトル(E(ν))と前記周波数応答(G(ν))とを乗じることで、回折スペクトル(E(ν))を生成する命令;及び
前記回折スペクトル(E(ν))の逆フーリエ変換を計算することで、前記シミュレーションによる回折パルスを得る計算命令;
を有する、
請求項28に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項30】
前記構造体のスペクトル応答(G(λ))を得る命令;及び
前記スペクトル応答(G(λ))を前記周波数応答(G(ν))に変換する命令;
をさらに有する、
請求項29に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項31】
前記決定命令が:
前記測定された回折パルスから測定された回折スペクトルを得る命令;及び
前記測定された回折スペクトルとシミュレーションによる回折スペクトルとを比較する命令;
を有し、
前記構造体の仮説プロファイルが前記シミュレーションによる回折スペクトルに関連し、かつ
前記スペクトルが一致基準の範囲内で一致するとき、前記のシミュレーションによる回折パルスに関連する構造体の仮説プロファイルは、前記の構造体のプロファイル特性を決定するのに用いられる、
請求項26に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。
【請求項32】
測定された回折スペクトルを得る前記命令が:
前記入射パルスの時間信号(E(t))を得る命令;
前記測定された回折パルスの時間信号(E(t))を得る命令;
前記の得られた入射パルス(E(t))のフーリエ変換を計算することで入射スペクトル(E(λ))を生成する命令;
前記測定された回折パルス(E(t))のフーリエ変換を計算することで回折スペクトル(E(λ))を生成する命令;及び
前記回折スペクトル(E(λ))と前記入射スペクトル(E(λ))とを分離することで前記構造体の前記測定された回折スペクトルを生成する命令;
を有する、
請求項31に記載のコンピュータでの読み取りが可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【図12−C】
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【図12−D】
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【図12−E】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−530819(P2008−530819A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556183(P2007−556183)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/004291
【国際公開番号】WO2006/088698
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】