説明

半導体チップを内蔵するプリント配線板

【課題】層間接着材料による悪影響のない半導体チップを内蔵するプリント配線板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体チップを内蔵するプリント配線板10は、複数の接続パッドが形成される第1基板100と、前記第1基板100の前記複数の接続パッド160上に接続される半導体チップ400と、前記第1基板100と共同して前記半導体チップを覆う金属ケース500と、前記第1基板100に積層された状態では前記金属ケース500の露出面と同じ高さを有し、かつ前記金属ケース500が位置する箇所に切り欠き部が形成される第2基板200,300と有する。そして、前記金属ケース500の露出面を露出して前記第1基板100に第2基板200,300を積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアチップ等の半導体チップを内蔵するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上にベアチップ等の半導体チップを実装する場合、プリント配線板の厚さにベアチップの厚さが加算されるため、ベアチップを実装する基板の厚さが厚くなると言う問題があった。
【0003】
これを解決するために、多層プリント配線板にベアチップを内蔵して実装する構造が発明されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。しかしながら、多層プリント配線板では、基板層間を接続するための層間接着材料(例えば、エポキシ系樹脂)がベアチップに流れ込むことになり、層間接着材料によってベアチップが覆れることになってしまう虞があった。この場合、ベアチップに接着された層間接着材料が温度変化により悪影響を及ぼし、例えば層間接着材料とベアチップの熱膨張の差による応力がベアチップ及び、ベアチップとプリント配線板の接続部に加わり、亀裂等の破壊が生じる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−101973号公報
【特許文献2】特開2002−184931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、層間接着材料による悪影響のない半導体チップを内蔵するプリント配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の半導体チップを内蔵するプリント配線板は、複数の接続パッドが形成される第1基板と、前記第1基板の前記複数の接続パッド上に接続される半導体チップと、前記第1基板と共同して前記半導体チップを覆う金属ケースと、前記第1基板に積層された状態では前記金属ケースの露出面と同じ高さを有し、かつ前記金属ケースが位置する箇所に切り欠き部が形成され、前記第1基板に積層される第2基板と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の半導体チップを内蔵するプリント配線板の製造方法は、複数の接続パッドが形成される第1基板の前記複数の接続パッド上に半導体チップを接続する工程と、前記半導体チップを覆うように前記第1基板に金属ケースを配置する工程と、前記第1基板に積層される状態では前記金属ケースの露出面と同じ高さを有し、かつ前記金属ケースが位置する箇所に切り欠き部が形成される第2基板を前記第1基板に積層する工程と、により製造することを特徴する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体チップを内蔵するプリント配線板の低背化を実現し、ベアチップ実装基板の信頼性向上することができる。また、ベアチップ実装基板のリワーク性と検査の作業性向上、並びに半導体チップを内蔵するプリント配線板の放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板を示す図。
【図2】本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板の第1の製造工程を示す図。
【図3】本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板の第2の製造工程を示す図。
【図4】本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板の第3の製造工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(実施例)
図1は、本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板を示している。図1において、プリント配線板100は、1層目及び2層目の配線を形成する第1基板である。プリント配線板200は、3層目および4層目の配線を形成する第2基板である。プリント配線板300は、5層目および6層目の配線を形成する第3基板である。なお、本実施形態では6層配線としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも3層配線以上の多層プリント配線板であれば良い。
【0012】
ベアチップ400は、上記多層プリント配線板10に内蔵される半導体チップである。ベアチップ400とプリント配線板100の2層面との接続は、半田ボール450(例えば、フリップチップボールFCB)によって接続される。
【0013】
金属ケース500は、ベアチップ400を覆うケースである。金属ケース500は、上面から見た場合、例えば正方形の形状をなし、プリント配線板100に向かって4方向に側壁部が形成されている。これにより、プリント配線板100と金属ケース500とによって形成された取り付け部に、ベアチップ400が内蔵(密閉)される。金属ケース500によってベアチップ400を覆う際、金属ケース500とベアチップ400との間は、放熱用の金属ペースト600が塗布されている。これにより、ベアチップ400で発生した熱は、金属ペースト600を介して金属ケース500の露出面から放熱される構造となっている。
【0014】
プリント配線板100の1層面には、基板パッド110や,配線部120,130,140が形成されている。プリント配線板100の2層面には、基板パッド110とスルーホール接続されている基板パッド150、およびベアチップ400と接続する半田ボール450が載置される複数の接続パッド160が形成されている。
【0015】
プリント配線板200の3層面と4層面には、基板パッド210,220,230,240が形成されている。基板パッド210と220はスルーホール接続されており、また基板パッド230と240はスルーホール接続されている。
【0016】
プリント配線板300の5層面と6層面には、基板パッド320,330,340,350、配線部310,360が形成されている。基板パッド320と330はスルーホール接続されており、また基板パッド340と350はスルーホール接続されている。例えば、基板パッド320と330は、スルーホール370により内部接続されている。
【0017】
プリント配線板200とプリント配線板300のベアチップ400が内蔵される箇所には、後述するキャビティ(切り欠き部)が形成されている。ここでは、プリント配線板200とプリント配線板300とが一体化した状態で、積層用接着剤700(例えば、プリプレグ)によってプリント配線板100に接続した構造としている。
【0018】
本実施形態では、金属ケース500の上蓋500aが、例えば図示しないヒンジ機構により開閉可能に多層プリント配線板10に取り付けられている。また、金属ケース500の上蓋500aに配線ライン510,520,530を形成してもよい。
【0019】
次に、上述した半導体チップを内蔵する多層プリント配線板10の製造方法を説明する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る半導体チップを内蔵する多層プリント配線板の第1の製造工程を示している。両面基板の1層目と2層目に基板パッドおよび配線部110乃至150を形成し、2層目に半田ボール450が載置される複数の接続パッド160を形成したプリント配線板100の2層目の上に、半田ボール450が接続されるベアチップ400を実装する。これにより、ベアチップ400の半田ボール450とプリント配線板100の複数の接続パッド160が接続される。
【0021】
図3は、本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板の第2の製造工程を示している。次に、ベアチップ400を覆うように金属ケース500をプリント配線板100上に実装する。この際、金属ケース500とベアチップ400との間には、放熱用の金属ペースト600が塗布される。これにより、ベアチップ400で発生した熱は、金属ペースト600を介して金属ケース500の露出面から放熱される。また、ベアチップ400をグランド接続することもできる。
【0022】
また、金属ケース500内に不活性ガス(例えば、ヘリウム等)を充填し、ベアチップ400を機密封止してもよい。これにより、ベアチップ400に対する不正アクセスを確認することができ、ベアチップ実装基板の信頼性を向上することができる。
【0023】
図4は、本実施形態に係る半導体チップを内蔵するプリント配線板の第3の製造工程を示している。この工程では、図4の下側に示すように、プリント配線板100に一体化したプリント配線板200,300が積層される。一体化したプリント配線板200,300は、金属ケース500が実装されたプリント配線板100(ベアチップ実装基板)に積層された状態では、金属ケース500の上面(露出面)と同じ高さになる高さを有している。そして、積層する一体化したプリント配線板200,300のベアチップ400を内蔵する箇所には、キャビティ650(切り欠き部)が形成されている。また、プリント配線板200,300を積層する際、プリント配線板200とプリント配線板100との間には層間接着材料700(例えば、プリプレグ)が塗布される。
【0024】
本実施形態では、層間接着材料700は、金属ケース500によって堰き止められる構造となっているので、ベアチップ400が取り付けられている金属ケース500内に流入することはない。したがって、ベアチップ400に層間接着材料700が付着することはなく、ベアチップ400とプリント配線板100の接続部に掛かる応力を心配する必要がない。
【0025】
また、本実施形態では、図1に示すように金属ケース500の上面の上蓋500aが開閉できる構造(上蓋構造)とすることもできる。このような開閉構造とすることにより、多層プリント配線板10に内蔵するベアチップ400のリワーク性を向上することができる。例えば、故障したベアチップを容易に交換することができる。また、ベアチップ400の検査作業を容易に行うことができる。
【0026】
更に、金属ケース500の上蓋500aに配線を施すことにより、配線密度を向上させることができる。
【0027】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、半導体チップを内蔵するプリント配線板の低背化を実現し、ベアチップ実装基板の信頼性向上することができる。また、ベアチップ実装基板のリワーク性と検査の作業性向上、並びに半導体チップを内蔵するプリント配線板の放熱性の向上を図ることができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
100‥プリント配線板(第1基板)
200‥プリント配線板(第2基板)
300‥プリント配線板(第3基板)
110,150,210,220,230,240,320,330,340,35‥基板パッド
120,130,140,310,360‥配線部
160‥接続パッド
400‥半導体チップ(ベアチップ)
450‥半田ボール
500‥金属ケース
600‥放熱用の金属ペースト
650‥キャビティ(切り欠き部)
700‥層間接着材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続パッドが形成される第1基板と、
前記第1基板の前記複数の接続パッド上に接続される半導体チップと、
前記第1基板と共同して前記半導体チップを覆う金属ケースと、
前記第1基板に積層された状態では前記金属ケースの露出面と同じ高さを有し、かつ前記金属ケースが位置する箇所に切り欠き部が形成され、前記第1基板に積層される第2基板と、
を有することを特徴とする半導体チップを内蔵するプリント配線板。
【請求項2】
前記金属ケースの露出面は開閉可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップを内蔵するプリント配線板。
【請求項3】
前記半導体チップと前記金属ケースの間には放熱用の金属ペーストが塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップを内蔵するプリント配線板。
【請求項4】
前記半導体チップを覆った前記金属ケース内には不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップを内蔵するプリント配線板。
【請求項5】
複数の接続パッドが形成される第1基板の前記複数の接続パッド上に半導体チップを接続する工程と、
前記半導体チップを覆うように前記第1基板に金属ケースを配置する工程と、
前記第1基板に積層される状態では前記金属ケースの露出面と同じ高さを有し、かつ前記金属ケースが位置する箇所に切り欠き部が形成される第2基板を前記第1基板に積層する工程と、
により製造することを特徴する半導体チップを内蔵するプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−146497(P2011−146497A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5617(P2010−5617)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(504426126)東芝ディーエムエス株式会社 (21)
【Fターム(参考)】