説明

半導体パッケージ及びその製造方法

【課題】半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)において、ベースフィルムの歪みによる封止樹脂の未充填不良を防止する。
【解決手段】COFパッケージは、フレキシブルなベースフィルム20と、このベースフィルム20上における半導体チップ搭載予定箇所21の周縁に配置され、半導体チップ搭載予定箇所内へ突設された金属製の厚さd1の複数のインナリード22と、半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に配設された金属製の厚さd2(<(d1+d3)、但し、d3;バンプ電極の厚さ)のダミーパターン26と、半導体チップ30と、封止樹脂32とを備えている。半導体チップ30は、主表面に突設された厚さd3の複数のバンプ電極31を有し、このバンプ電極31がインナリード22に接合されている。更に、封止樹脂32は、半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路(以下「IC」という。)チップ等の半導体チップを搭載した半導体パッケージ及びその製造方法、特に、ベースフィルム上に半導体チップがフリップチップボンディング(以下「F/C」という。)技術により実装されたチップオンフィルム(Chip On Film、以下「COF」という。)パッケージと、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8(a)、(b)は、従来の半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造を示す概略の構成図であり、同図(a)は縦断面図、及び同図(b)は一部を透視した平面図である。
【0003】
このCOFパッケージは、帯状のフレキシブルな(即ち、可撓性のある。)ベースフィルム1を有し、このベースフィルム1の両側に、フィルム送り用のスプロケット1a,1bが所定間隔に形成されている。なお、図8では、帯状のベースフィルム1の内の1個のCOFパッケージ分のみが示されている。
【0004】
両側のスプロケット1a,1b間のほぼ中央部には、半導体チップ搭載予定箇所2が設けられている。半導体チップ搭載予定箇所2の周縁には、金属製の厚さd1の複数のインナリード3が配置され、これらのインナリード3の先端部が、半導体チップ搭載予定箇所2内へ突設されている。各インナリード3の後端部には、金属製の導体リード4がそれぞれ延設され、これらの導体リード4を介して、一辺側に配置された複数の入力端子5が接続されると共に、他辺側に配置された複数の出力端子6に接続されている。複数の導体リード4を保護するために、これらの導体リード4の上にソルダレジスト7が被覆されている。
【0005】
半導体チップ搭載予定箇所2上には、半導体チップ10がF/C技術により実装されている。即ち、半導体チップ10は、この主表面に厚さd3(>d1)の複数のバンプ電極11が突設され、これらのバンプ電極11が位置合わせされ、熱、荷重が加えられてインナリード3に接合されている。半導体チップ10の側面側から、半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間へ、溶融された封止樹脂12が注入され、半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間が封止されて保護されると共に、半導体チップ10の側面にも被覆されて保護されている。その後、溶融された封止樹脂12が固化される。
【0006】
この種のCOFパッケージでは、小型化、薄型化、高精度化、高容量化等に適しているが、例えば、図9に示すような不具合を有している。
【0007】
図9は、図8(a)においてベースフィルム1に歪みが生じた時の縦断面図である。
図8(a)、(b)に示すCOFパッケージでは、材料ロットや製造条件のばらつき等により、例えば、図9に示すように、ベースフィルム1の中央部が上方へ撓み、これが半導体チップ10の主表面に貼り付き、封止樹脂12が確実に充填されずに未充填不良が発生する場合があった。
【0008】
このような未充填不良を防止するために、例えば、下記のような文献に記載された技術を適用することが考えられる。
【0009】
【特許文献1】特許第3490987号公報
【0010】
この特許文献1の図9〜図12には、例えば、本願の図8において、導体リード4を保護するためにソルダレジスタ7(特許文献1ではレジスト樹脂を使用している。)を塗布すると同時に、ベースフィルム1における半導体チップ搭載予定箇所2の中央に、ソルダレジスタ7と同一の材料を用いた厚さ(d1+d3)の角柱状の1つのレジスト支持体を形成した半導体パッケージの技術が記載されている。
【0011】
そこで、例えば、本願の図9において、レジスト樹脂を用いたレジスト支持体をベースフィルム1上に形成しておけば、その後、半導体チップ10を搭載し、溶融した封止樹脂12を、半導体チップ側面から半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間へ注入する際に、ベースフィルム1の中央部が上方へ歪んだ場合でも、レジスト支持体により、ベースフィルム1の中央部と半導体チップ主表面との貼り付きを防止することができ、封止樹脂12の未充填不良を防止することができると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の図8のCOFパッケージにおいて、例えば、特許文献1に記載されたレジスト樹脂を用いたレジスト支持体を、半導体チップ搭載予定箇所2の中央に設けた場合でも、以下の(A)〜(C)のような課題が生じる。
【0013】
(A) レジスト樹脂を用いたレジスト支持体を半導体チップ搭載予定箇所2の中央に形成した場合、溶融した封止樹脂12を、半導体チップ側面から半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間へ注入する際に、ベースフィルム1の中央部が上方向へ歪んだ時、レジスト支持体も横方向へ湾曲しつつ上方向へ押し上げられて、このレジスト支持体の上端が半導体チップ主表面に接着し、その後、注入された溶融状態の封止樹脂12、及び湾曲したレジスト支持体が固化する。そのため、フレキシブルなベースフィルム1は、その弾性復元力によってそれが元の平らな状態に戻らず、そのまま歪んだ状態のCOFパッケージ製品となってしまい、その後の実装上の不具合等が生じる虞がある。
【0014】
(B) ソルダレジスト7を塗布する時に、同時にレジスト支持体を形成しなければならないので、製造工程数が増加したり、製造工程上の制約を受ける等の不都合が生じる虞がある。
【0015】
(C) レジスト支持体の厚さは、(インナリード3の厚さd1+バンプ電極11のd3)と等しいため、レジスト支持体の上端は、半導体チップ10の主表面に接触した状態となっている。そのため、溶融した封止樹脂12を、半導体チップ側面から半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間へ注入する際に、溶融した封止樹脂12が、レジスト支持体上端と半導体チップ主表面との間を通過することができず、溶融した封止樹脂12の流入が阻害され、充填不良が生じる虞がある。COFパッケージの薄型化の要求に応じて、半導体チップ搭載予定箇所2と半導体チップ主表面との間が更に短縮化されると、溶融した封止樹脂12の流入阻害が益々問題となる。特に、ベースフィルム1の歪みを防止するために、レジスト支持体を複数形成した場合には、溶融した封止樹脂12の流入阻害による未充填不良等の問題が益々問題になる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の半導体パッケージは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上における半導体チップ搭載予定箇所の周縁に配置され、前記半導体チップ搭載予定箇所内へ突設された金属製の厚さd1の複数のインナリードと、前記半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に配設され、前記インナリードに対して電気的に分離された金属製の厚さd2(<(d1+d3、但し、d3;バンプ電極の厚さ)のダミーパターンと、主表面に突設された厚さd3の複数のバンプ電極を有し、前記半導体チップ搭載予定箇所上に配置され、前記バンプ電極が前記インナリードに接合された半導体チップと、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間に充填された封止樹脂とを備えたことを特徴とする。
【0017】
なお、前記半導体チップの主表面の周縁側にも、封止樹脂を充填しても良い。
【0018】
本発明の半導体パッケージの製造方法では、前記発明の半導体パッケージの製造方法において、前記ベースフィルム上における前記半導体チップ搭載予定箇所の周縁に前記複数のインナリードを選択的に形成すると共に、同時に前記半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に前記ダミーパターンを選択的に形成する工程と、前記半導体チップの主表面に突設された前記複数のバンプ電極を、位置合わせをして前記インナリードに接合する工程と、前記半導体チップの主表面の周縁側から、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間へ、溶融された前記封止樹脂を注入して、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間を封止する工程と、前記溶融された封止樹脂を固化する工程とを有することを特徴とする。
【0019】
なお、前記封止する工程では、半導体チップの主表面の周縁側も封止しても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明の半導体パッケージ及びその製造方法によれば、次の(i)、(ii)のような効果がある。
【0021】
(i) ベースフィルムにおける半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に、半導体チップ側の厚さd3のバンプ電極よりも薄い、厚さd2のダミーパターンを形成したので、材料ロットや製造条件のばらつき等により、ベースフィルムが撓んでも、ダミーパターンが支え棒のような役割を果たし、ベースフィルムが半導体チップ主表面に貼り付かない。そのため、ベースフィルムの弾性復元力により、このベースフィルムが元の平らな状態に戻りやすくなる。その結果、樹脂未充填不良が発生することが無くなり、高い歩留まりで、半導体パッケージを製造することが可能となる。
【0022】
(ii) ベースフィルムの半導体チップ搭載予定箇所において、半導体チップ側の厚さd3のバンプ電極よりも薄い、厚さd2のダミーパターンを形成したので、樹脂封止工程において、注入された溶融樹脂が、ダミーパターン上端と半導体チップ主表面との間を通過でき、半導体チップ搭載予定箇所と半導体チップ主表面との間に円滑に充填される。その結果、樹脂封止工程において、封止時間を短縮できると共に、樹脂未充填不良の発生を防止できる。なお、半導体チップの主表面の周縁側も封止すれば、封止状態がより完全になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
COFパッケージは、絶縁性のフレキシブルなベースフィルムと、前記ベースフィルム上における半導体チップ搭載予定箇所の周縁に配置され、前記半導体チップ搭載予定箇所内へ突設された金属製の厚さd1の複数のインナリードと、前記半導体チップ搭載予定箇所内に配設され、前記インナリードに対して電気的に分離された金属製の厚さd2(<(d1+d3、但し、d3;バンプ電極の厚さ)のダミーパターンと、半導体チップと、封止樹脂とを備えている。
【0024】
前記半導体チップは、主表面に突設された厚さd3の複数のバンプ電極を有し、前記半導体チップ搭載予定箇所上に配置され、前記バンプ電極が前記インナリードに接合されている。更に、前記封止樹脂は、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間に充填されている。
【実施例1】
【0025】
(実施例1の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造を示す概略の構成図であり、同図(a)は縦断面図、及び同図(b)は一部を透視した平面図である。
【0026】
このCOFパッケージは、耐熱性・耐薬品性等に優れた機械的強度の大きな絶縁性のポリイミド樹脂(例えば、ポリイミド・ガラエポ)等により形成された帯状のフレキシブルなベースフィルム20を有し、このベースフィルム20の両側に、フィルム送り用のスプロケット20a,20bが所定間隔で形成されている。なお、図1では、帯状のベースフィルム20の内の1個のCOFパッケージ分のみが示されている。
【0027】
両側のスプロケット20a,20b間のほぼ中央部には、ほぼ方形の半導体チップ搭載予定箇所21が設けられている。半導体チップ搭載予定箇所21の周縁には、金属製(例えば、銅箔、アルミニュウム箔、金箔等)の厚さd1(例えば、8〜10μm程度)の複数のインナリード22が配置され、これらのインナリード22の先端部が、半導体チップ搭載予定箇所21内へ突設されている。各インナリード22の後端部には、例えばこのインナリード22と同一金属製の導体リード23がそれぞれ延設され、これらの導体リード23を介して、入力側基板と接続するために一辺側に配置された複数の入力端子24が接続されると共に、出力側基板と接続するために他辺側に配置された複数の出力端子25に接続されている。
【0028】
半導体チップ搭載予定箇所21内に突出した複数のインナリード先端部の内側には、このインナリード22に対して電気的に分離された金属製(例えば、インナリード22と同一金属製の銅箔、アルミニュウム箔、金箔等)の厚さd2(<(d1+d3、但し、d3;バンプ電極の厚さ)の複数のダミーパターン26が配設されている。複数のダミーパターン26は、半導体チップ搭載予定箇所21において撓みの大きな位置(例えば、中央部付近)に形成されるか、或いは、後述するような注入される溶融樹脂の流入を阻害しない位置に配置され、且つ、その溶融樹脂の流入を阻害しない所定の形状に形成されることが望ましい。図1では、複数のダミーパターン26は、半導体チップ搭載予定箇所21のほぼ中央部に所定間隔隔てて直線上に配設され、且つ、各ダミーパターン26の平面がほぼ方形の形状をしている。
【0029】
半導体チップ搭載予定箇所21と複数の入力端子24及び複数の出力端子25との間に配置された複数の導体リード23には、これらを保護するために、絶縁性の保護膜(例えば、ソルダレジスト)27が被覆されている。
【0030】
半導体チップ搭載予定箇所21上には、平面がほぼ方形のICチップ等の半導体チップ30がF/C技術により実装されている。即ち、半導体チップ30は、この主表面に厚さd3の複数のバンプ電極31が突設され、これらのバンプ電極31が位置合わせされ、例えば、F/C技術により、熱、荷重等が加えられてインナリード22に接合されている。半導体チップ30の側面側から、半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間へ、溶融された封止樹脂32が注入され、半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間が封止されて保護されている。なお、封止樹脂32により、半導体チッ30の側面にも被覆して保護しても良い。その後、溶融された封止樹脂32が固化される。
【0031】
(実施例1の動作)
入力端子24から信号を入力すると、この入力信号が導体リード23、インナリード22、及びバンプ電極31を介して半導体チップ30へ与えられる。すると、半導体チップ30にて所定の電気的な処理が行われ、この処理結果が、バンプ電極31、インナリード22、及び導体リード23を介して出力端子25へ出力される。
【0032】
(実施例1の製造方法)
図1のCOFパッケージは、例えば、次の(1)〜(5)のような工程1〜5により製造される。
【0033】
(1) 工程1
所定幅の両端にスプロケット1a,1bが形成された帯状のベースフィルム20を用意する。ベースフィルム20上の所定間隔毎に、全面に金属膜を被着し、ホトリソグラフィ技術を用いて、その金属膜を選択的にエッチングする。これにより、半導体チップ搭載予定箇所21の周縁に厚さd1の複数のインナリード22が選択的に形成されると共に、同時に半導体チップ搭載予定箇所内に厚さd2(<(d1+d3、但し、d3;バンプ電極の厚さ)の複数のダミーパターン26が選択的に形成される。更に、複数のインナリード22に接続された複数の導体リード23と、これらの導体リード23に接続された複数の入力端子24、及び複数の出力端子25も、同時に選択的に形成される。
【0034】
(2) 工程2
半導体チップ搭載予定箇所21の周辺に露出する複数の導体リード23の部分に、選択的にソルダレジスタ27を被覆し、複数の導体リード23を保護する。
【0035】
(3) 工程3
予め、主表面に厚さd3の複数のバンプ電極31が形成された半導体チップ30を用意しておく。ベースフィルム20の半導体チップ搭載予定箇所21に対して半導体チップ30を位置合わせし、この半導体チップ30の複数のバンプ電極31を複数のインナリード先端部に載置し、F/C技術により、例えば、熱と荷重等を加えて、バンプ電極31をインナリード22に接合する。
【0036】
(4) 工程4
半導体チップ30の主表面の周縁側から、ソルダレジスタ27により囲まれた半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間へ、溶融された封止樹脂32を注入する。すると、注入された溶融樹脂が、各インナリード22間、各ダミーパターン26間、及び、各ダミーパターン26の上端と半導体チップ主表面との間を通り、半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間に充填され、これらの半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間が封止される。この際、溶融樹脂の注入量を多くすれば、半導体チップ32の側面も封止され、より完全に封止できる。
【0037】
(5) 工程5
溶融樹脂が固化した後、複数の半導体チップ30が所定間隔で搭載された帯状のベースフィルム20を、各半導体チップ箇所毎に切断等すれば、複数のCOFパッケージの製造工程が終了する。
【0038】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(a)〜(c)のような効果がある。
【0039】
(a) 図2は、図1(a)においてベースフィルム20に歪みが生じた時の縦断面図である。
【0040】
ベースフィルム20の半導体チップ搭載予定箇所21において、この歪みの大きな位置(例えば、中央部)に、(インナリード22の厚さd1+バンプ電極31の厚さd3)よりも薄い、厚さd2の複数のダミーパターン26を形成したので、材料ロットや製造条件のばらつき等により、例えば、図2に示すように、ベースフィルム20の中央部が上方へ撓んでも、ダミーパターン26が支え棒のような役割を果たし、ベースフィルム20が半導体チップ主表面に貼り付かない。そのため、フレキシブルなベースフィルム20の弾性復元力により、このベースフィルム20が元の平らな状態に戻りやすくなる。その結果、次の樹脂封止工程で樹脂未充填不良が発生することが無くなり、高い歩留まりで、COFパッケージを製造することが可能となる。
【0041】
(b) ベースフィルム20の半導体チップ搭載予定箇所21において、(インナリード22の厚さd1+バンプ電極31の厚さd3)よりも薄い、厚さd2の複数のダミーパターン26を形成したので、樹脂封止工程において、注入された溶融樹脂が、ダミーパターン26の上端と半導体チップ主表面との間を通過でき、半導体チップ搭載予定箇所21と半導体チップ主表面との間に円滑に充填される。その結果、樹脂封止工程において、封止時間を短縮できると共に、樹脂未充填不良の発生を防止できる。
【0042】
(c) 図3は、図1(b)の部分的な他の実装例を示す一部を透視した平面図である。
【0043】
図3に示すCOFパッケージでは、平面が円形の複数のダミーパターン26Aが、樹脂封止工程において、注入される溶融樹脂の流入を阻害しない位置に配置され、且つ、その溶融樹脂の流入を阻害しない所定の形状に形成されている(例えば、各ダミーパターン26Aは、平面が直径0.3mm程度の円形で、各ダミーパターン26A間の平面的なピッチが0.5〜0.6mm程度で、且つ、均等に多数配置されている。)。
【0044】
このような構成にすれば、封止時間を短縮できると共に、樹脂未充填不良の発生をより完全に防止できる。更に、多数のダミーパターン26Aが均等に配置されているので、半導体チップ30にて発生した熱が、それらの多数のダミーパターン26Aを介してベースフィルム20側へ放熱されるので、放熱性が良くなる。
【実施例2】
【0045】
(実施例2の構成、製造方法)
図4は、本発明の実施例2における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造の一部を示す透視した概略の平面図であり、実施例1を示す図1(b)中の要素と共通の要素には共通の記号が付されている。
【0046】
本実施例2のCOFパッケージでは、半導体チップ搭載予定箇所21内に突出した複数のインナリード先端部の内側には、複数の特定のインナリード26の前にだけ、平面がほぼ方形の複数のダミーパターン26が形成されている。
【0047】
例えば、COFパッケージは、数100〜1000ピン程度のインナリード22を有し、どのインナリード22が何の機能を持ったリードか一目で分からない。そこで、特定のインナリード22(例えば、出力1ピン、11ピン、21ピン等の10ピン毎や、電源ピン等)の前に、ダミーパターン22を設けることで、外観上ピンの機能を特定する構成にしている。その他の構成や製造方法は、実施例1と同様である。
【0048】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、ダミーパターン26を特定のインナリード22の前に配置して形成しているので、ベースフィルム20と半導体チップ主表面との貼り付きによる未充填不良が無くなるだけでなく、インナリード22のピン番号(No.)を特定することが可能となり、不良解析時等に速やかに該当ピンを見つけることができる。
【実施例3】
【0049】
(実施例3の構成、製造方法)
図5は、本発明の実施例3における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造の一部を示す透視した概略の平面図であり、実施例2を示す図4中の要素と共通の要素には共通の記号が付されている。
【0050】
本実施例3のCOFパッケージでは、半導体チップ搭載予定箇所21内に突出した複数のインナリード先端部の内側には、複数の特定のインナリード26の前にだけ、複数の特定の平面形状のダミーパターン(例えば、方形(□)のダミーパターン26、及び三角形(△)のダミーパターン26B)が配置されて形成されている。
【0051】
例えば、COFパッケージは、数100〜1000ピン程度のインナリード22を有し、どのインナリード22が何の機能を持ったリードか一目でわからない。特定のインナリード22の前に、平面形状の異なった特定のダミーパターン22(例えば、出力1ピン、11ピン、21ピン等の10ピン毎に方形(□)のダミーパターン26、100ピン、200ピン、300ピン等の100ピン毎に三角形(△)のダミーパターン26B)を設けることで、外観上ピンの機能を特定する構成にしている。その他の構成や製造方法は、実施例1と同様である。
【0052】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、平面形状の異なる方形(□)のダミーパターン26や三角形(△)のダミーパターン26B等を、特定のインナリード22の前に配置しているので、ベースフィルム20と半導体チップ主表面との貼り付による未充填不良がなくなるだけでなく、インナリード22のピンを実施例2より更に特定し易くすることが可能となり、不良解析時等に速やかに該当ピンを見つけることができる。
【実施例4】
【0053】
図6(a)〜(f)は、異なる平面形状のダミーパターン例を示す平面図であり、同図(a)は方形(□)のダミーパターン26、同図(b)は円形(○)のダミーパターン26A、同図(c)は矢印形(↑)のダミーパターン26C、同図(d)は菱形(◇)のダミーパターン26D、同図(e)は三角形(△)のダミーパターン26B、及び、同図(f)は直線形(−)のダミーパターン26Eを示す図である。
【0054】
本実施例4では、実施例3に示す方形(□)のダミーパターン26、及び三角形(△)のダミーパターン26Bの他に、円形(○)のダミーパターン26A、菱形(◇)のダミーパターン26D、矢印形(↑)のダミーパターン26C、及び、直線形(−)のダミーパターン26E等を用いることにより、更にインナリード22を機能別やピン毎別に細かく分類することが可能となる。
【0055】
図7は、図6のダミーパターン等を用いたCOFパッケージにおける部分的な実装例を示す一部を透視した平面図であり、実施例3、4を示す図5、図6中の要素と共通の要素には共通の記号が付されている。
【0056】
図7に示すCOFパッケージでは、例えば、入力端子側のインナリード22の前にはダミーパターンが配置されていないが、他の特定の複数のインナリード22の前には、平面が矢印形のダミーパターン26F、及び、鋲形のダミーパターン26G等が配置されて形成されている。
【0057】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、COFパッケージを図示以外の他の形状や構造等に変更したり、或いは、製造方法を図示以外の他の材料や製造工程等に変更する等、種々の利用形態や変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造を示す概略の構成図である。
【図2】図1(a)においてベースフィルム20に歪みが生じた時の縦断面図である。
【図3】図1(b)の部分的な他の実装例を示す一部を透視した平面図である。
【図4】本発明の実施例2における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造の一部を示す透視した概略の平面図である。
【図5】本発明の実施例3における半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造の一部を示す透視した概略の平面図である。
【図6】異なる平面形状のダミーパターン例を示す平面図である。
【図7】図6のダミーパターン等を用いたCOFパッケージにおける部分的な実装例を示す一部を透視した平面図である。
【図8】従来の半導体パッケージ(例えば、COFパッケージ)の構造を示す概略の構成図である。
【図9】図8(a)においてベースフィルム1に歪みが生じた時の縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
20 ベースフィルム
21 半導体チップ搭載予定箇所
22 インナリード
23 導体リード
26,26A〜26G ダミーパターン
27 ソルダレジスタ
30 半導体チップ
31 バンプ電極
32 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上における半導体チップ搭載予定箇所の周縁に配置され、前記半導体チップ搭載予定箇所内へ突設された金属製の厚さd1の複数のインナリードと、
前記半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に配設され、前記インナリードに対して電気的に分離された金属製の厚さd2(<(d1+d3)、但し、d3;バンプ電極の厚さ)のダミーパターンと、
主表面に突設された厚さd3の複数のバンプ電極を有し、前記半導体チップ搭載予定箇所上に配置され、前記バンプ電極が前記インナリードに接合された半導体チップと、
前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間に充填された封止樹脂と、
を備えたことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体パッケージは、更に、
前記封止樹脂により、前記半導体チップの主表面の周縁側も封止されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】
前記ダミーパターンは、前記半導体チップ搭載予定箇所において撓みの大きな位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記ダミーパターンは、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間に充填される前記封止樹脂の流入を阻害しない位置に配置され、且つ、前記封止樹脂の流入を阻害しない所定の形状に形成されていることを特徴とする請求項3記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記ダミーパターンは、特定の前記インナリードの前に配置されて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記ダミーパターンは、前記インナリードを識別するための1種類又は複数種類の平面形状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
請求項1、3、4、5又は6記載の半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法において、
前記ベースフィルム上における前記半導体チップ搭載予定箇所の周縁に前記複数のインナリードを選択的に形成すると共に、同時に前記半導体チップ搭載予定箇所内の所定の位置に前記ダミーパターンを選択的に形成する工程と、
前記半導体チップの主表面に突設された前記複数のバンプ電極を、位置合わせをして前記インナリードに接合する工程と、
前記半導体チップの主表面の周縁側から、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間へ、溶融された前記封止樹脂を注入して、前記半導体チップ搭載予定箇所と前記半導体チップの主表面との間を封止する工程と、
前記溶融された封止樹脂を固化する工程と、
を有することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体パッケージの製造方法において、更に、
前記封止する工程では、前記封止樹脂により、前記半導体チップの主表面の周縁側も封止されることを特徴とする半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−211073(P2008−211073A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47847(P2007−47847)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】