説明

半導体パッケージ構造の製造方法

【課題】半田付け工程を行う必要がなく、材料コストを効果的に低減するとともに製造工程の簡素化を図ることができる半導体パッケージ構造の製造方法を提供する。
【解決手段】能動面20aを有し、能動面に複数の導電バンプ200が設けられたチップ20と、表面にアンダーフィル210が設けられた基材21と、を提供する工程と、チップの能動面をアンダーフィルに結合させることにより各導電バンプをアンダーフィルに埋設させる工程と、基材を除去することによりアンダーフィルを露出させる工程と、チップをアンダーフィルによりパッケージ基板に結合させることでチップを各導電バンプによりパッケージ基板に電気的に接続させる工程と、を備える半導体パッケージ構造の製造方法。アンダーフィルをチップの能動面に結合させた上で、アンダーフィルをパッケージ基板に設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に半導体パッケージ構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子産業の急速な発展に伴い、電子製品は、軽薄短小、高集積度、多機能化の方向へ発展している。パッケージ構造の高集積度(Integration)及び小型化(Miniaturization)のパッケージ需要を満たすために、パッケージ基板には、ボールグリッドアレイ(Ball Grid Array、BGA)の構成が導入されているほか、パッケージ形式は、ワイヤボンディング(Wire Bonding)パッケージからフリップチップ(Flip Chip、FC)パッケージへと漸次発展してきている。このようなパッケージにより、ワイヤボンディング用金線のスペース占有を回避することができ、半導体装置全体の体積を効果的に減少させるとともに電気的性能を向上させることができる。
【0003】
図1Aないし図1Cは、従来のフリップチップ型パッケージ構造の製造方法を説明するための図である。図1Aに示すように、表面に半田パッド120が設けられたパッケージ基板12を提供する。図1Bに示すように、対向する能動面10a及び受動面10bを有し、前記能動面10aに複数の導電バンプ100が設けられたチップ10を提供し、次いで、半田付け工程を行い、導電バンプ100を半田バンプ11により各前記半田パッド120に電気的に接続させることでチップ10をパッケージ基板12に設ける。図1Cに示すように、アンダーフィル(underfill)110をチップ10の能動面10aとパッケージ基板12との間に形成させることにより各前記半田バンプ11を被覆し、これにより、フリップチップ工程が完了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のフリップチップ型パッケージ構造の製造方法では、まず半田付け工程を行い、次にアンダーフィルの充填を行う必要があるため、半田材料を使用する必要があることから材料コストが増加するのみならず、製造工程の煩雑化にもつながるという問題があった。
【0005】
従って、上述した従来の製造方法の問題を克服することは、現在解決すべき極めて重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、対向する能動面及び受動面を有し、前記能動面に複数の導電バンプが設けられたチップと、表面にアンダーフィルが設けられた基材と、を提供する工程と、前記チップの能動面を前記アンダーフィルに結合させることにより各前記導電バンプを前記アンダーフィルに埋設させる工程と、前記基材を除去することにより前記アンダーフィルを露出させる工程と、前記チップを前記アンダーフィルによりパッケージ基板に結合させることで前記チップを各前記導電バンプにより前記パッケージ基板に電気的に接続させる工程と、を備えることを特徴とする半導体パッケージ構造の製造方法を提供する。
【0007】
上述した製造方法において、前記基材は剥離により除去されるため、前記基材の剥離を容易にするために、前記基材と前記アンダーフィルとの間の結合力は、前記チップの能動面と前記アンダーフィルとの間の結合力よりも小さいことが好ましい。
【0008】
また、上述した製造方法において、前記基材と前記アンダーフィルとの間には離型層が設けられ、前記離型層を剥離することにより前記基材を除去するようにしてもよい。
【0009】
上述した製造方法において、アンダーフィルによりチップの能動面を保護するとともに前記基材により安定した搭載性及び支持性を提供できるようにするため、前記基材を除去する前に、前記チップの受動面を研磨してもよい。
【0010】
また、前記チップを前記アンダーフィルによりパッケージ基板に結合する工程においては、前記アンダーフィルを熱溶融することにより各前記導電バンプを前記パッケージ基板に電気的に接続させた上で、前記アンダーフィルを硬化させる。当然、さらに封止樹脂を前記パッケージ基板上に形成させることにより前記チップを被覆するようにしてもよい。
【0011】
上述のように、本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法によれば、アンダーフィルをチップの能動面に結合させた上で、チップをアンダーフィルによりパッケージ基板に設けるようにしたため、従来技術のような半田付け工程を行う必要がなく、材料コストを効果的に低減するとともに製造工程の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】従来のフリップチップ型基板構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図1B】従来のフリップチップ型基板構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図1C】従来のフリップチップ型基板構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図2A】本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図2B−1】本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図2B−2】図2B−1の他の実施形態を示す。
【図2C】本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図2D−1】本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【図2D−2】図2D−1の他の実施形態を示す。
【図2E】本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法の断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的な実施例を用いて本発明の実施形態を説明する。この技術分野に精通した者は、本明細書の記載内容によって簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。
【0014】
ここで注意すべき点は、本明細書の図面に示す構造、比例、サイズ等は、いずれも明細書の記載内容と合わせることでこの技芸に熟知した者が容易に理解できるようにするための例示に過ぎず、本発明の実施可能な限定条件を限定するものではなく、技術上の実質的な意味を有せず、如何なる構造上の修正、比例関係の変更又はサイズの調整も、本発明によって奏する効果及び達成される目的に影響を与えない前提において、本発明の技術内容の範囲内に含まれるものである。
【0015】
図2Aないし図2Eは、本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法を示す。
図2Aに示すように、対向する能動面20a及び受動面20bを有し、前記能動面20aに複数の導電バンプ200が設けられたチップ20を提供する。
【0016】
図2B−1に示すように、表面にアンダーフィル210が設けられた基材21を提供し、チップ20の能動面20aをアンダーフィル210に結合させることにより各前記導電バンプ200をアンダーフィル210に埋設させる。具体的な実施において、アンダーフィル210は、非導電性フィルム(NCF、NAMICS CORPORATION)であり、研磨工程を行う場合に導電バンプ200を保護することができる。この実施例において、基材21とアンダーフィル210との間の結合力は、能動面20aとアンダーフィル210との間の結合力よりも小さい。
【0017】
図2B−2に示すように、他の実施形態において、基材21とアンダーフィル210との間には離型層211が設けられている。
【0018】
図2Cに示すように、チップ20の受動面20bを破線L−Lまで研磨することによりチップの厚さを低減させてもよい。
【0019】
図2D−1に示すように、基材21とアンダーフィル210との結合力がチップ20の能動面20aとアンダーフィル210との結合力よりも小さいため、基材21を剥離により除去することにより、アンダーフィル210を能動面20aに付着させることができる。
【0020】
図2D−2に示すように、図2B−2に示す構造で除去工程を行うと、離型層211を剥離することにより基材21を除去することができる。
【0021】
図2Eに示すように、チップ20をアンダーフィル210によりパッケージ基板22に設け、次いでアンダーフィル210を熱溶融することで、各前記導電バンプ200をパッケージ基板22に接触させ、それによりパッケージ基板22の半田パッド220に電気的に接続させ、次いでアンダーフィル210を硬化させることによりアンダーフィル210をパッケージ基板22に接着させ、これによりチップ20をパッケージ基板22に固定させる。当然、さらに封止樹脂230をパッケージ基板22に形成させることによりチップ20を被覆してもよい。
【0022】
上述のように、本発明に係る半導体パッケージ構造の製造方法によれば、アンダーフィル210をチップ20の能動面20aに結合させた上で、アンダーフィル210をパッケージ基板22上に設けるようにしたため、従来技術のように半田付け工程を行い且つ半田付け後にアンダーフィルを形成する必要がなく、材料コストを効果的に低減するとともに製造工程の簡素化を図ることができる。
【0023】
上記のように、これらの実施形態は本発明の原理および効果・機能を例示的に説明するに過ぎず、本発明は、これらによって限定されるものではない。本発明は、この技術分野に精通した者により本発明の主旨を逸脱しない範囲で色々な修正や変更をすることが可能であり、そうした修正や変更は本発明の特許請求の範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0024】
10、20 チップ
10a、20a 能動面
10b、20b 受動面
100、200 導電バンプ
11 半田バンプ
110、210 アンダーフィル
12、22 パッケージ基板
120、220 半田パッド
21 基材
211 離型層
230 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する能動面及び受動面を有し、前記能動面に複数の導電バンプが設けられたチップと、表面にアンダーフィルが設けられた基材と、を提供する工程と、
前記チップの能動面を前記アンダーフィルに結合させることにより各前記導電バンプを前記アンダーフィルに埋設させる工程と、
前記基材を除去することにより前記アンダーフィルを露出させる工程と、
前記チップを前記アンダーフィルによりパッケージ基板に結合させることで前記チップを各前記導電バンプにより前記パッケージ基板に電気的に接続させる工程と、
を備えることを特徴とする半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項2】
前記基材は、剥離により除去されることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項3】
前記基材と前記アンダーフィルとの間の結合力は、前記チップの能動面と前記アンダーフィルとの間の結合力よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項4】
前記基材と前記アンダーフィルとの間には離型層が設けられ、前記離型層を剥離することにより前記基材を除去することを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項5】
前記基材を除去する前に前記チップの受動面を研磨する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項6】
前記チップを前記アンダーフィルによりパッケージ基板に結合する工程においては、前記アンダーフィルを熱溶融することにより各前記導電バンプを前記パッケージ基板に電気的に接続させた上で、前記アンダーフィルを硬化させることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。
【請求項7】
前記チップを被覆するように、封止樹脂を前記パッケージ基板に形成させる工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B−1】
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【図2B−2】
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【図2C】
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【図2D−1】
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【図2D−2】
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【図2E】
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【公開番号】特開2012−178565(P2012−178565A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38739(P2012−38739)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(501343868)聯測科技股▼分▲有限公司 (6)
【Fターム(参考)】