説明

半導体レーザ及びその半導体レーザを備える光モジュール、光通信装置、光通信システム

【課題】GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合が生じることを抑制すること。
【解決手段】本発明は、基板10上に設けられ、GaAsのバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを少なくとも一部に有する活性層18と、活性層18上に設けられ、活性層18から発振される光を伝搬する導波路であるGaAs層(GaAs導波路層20及び回折格子層22)と、回折格子層22の上面に設けられた回折格子26と、回折格子26を埋め込むように設けられた埋め込み層24と、活性層18と回折格子26との間に設けられ、活性層18から回折格子層22と埋め込み層24との界面へのキャリアのオーバーフローを抑制するキャリアストップ層34と、を備える半導体レーザである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ及びその半導体レーザを備える光モジュール、光通信装置、光通信システムに関し、特に、回折格子を備えた半導体レーザ及びその半導体レーザを備える光モジュール、光通信装置、光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの分散による伝送信号劣化を低減するため、単一波長のレーザ光が出射される半導体レーザが求められている。このような半導体レーザとして、活性層で発振された光を、回折格子でのブラッグ反射を利用して、動的単一モードを実現する分布帰還型半導体レーザ(以下、DFBレーザ)が知られている。例えば特許文献1には、GaAs層の上面に回折格子が形成され、回折格子に埋め込まれるようにAlGaInP層が設けられたDFBレーザが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−299791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す構造のDFBレーザは、一般的に、GaAs層の成長、GaAs層をエッチングして回折格子の形成、回折格子を埋め込むようにAlGaInP層の成長、の順に実施することで作製される。このため、GaAs層の表面は酸化されてしまい、酸化されたGaAs層の表面上にAlGaInP層が再成長されることになる。つまり、GaAs層とAlGaInP層との界面は再成長界面となる。GaAsは例えばInGaP等と比べて酸化され易く、GaAs層の酸化された面である再成長界面には非発光再結合をするような準位が形成されてしまう。このため、活性層のキャリアがオーバーフローしてGaAs層の再成長界面に到達すると、GaAs層の再成長界面で非発光再結合が起こり、その結果、量子効率の低下、信頼性の低下等が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合が生じることを抑制可能な半導体レーザ及びその半導体レーザを備える光モジュール、光通信装置、光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板上に設けられ、GaAsのバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを少なくとも一部に有する活性層と、前記活性層上に設けられ、前記活性層から発振される光を伝搬する導波路であるGaAs層と、前記GaAs層の上面に設けられた回折格子と、前記回折格子を埋め込むように設けられた埋め込み層と、前記活性層と前記回折格子との間に設けられ、前記活性層から前記GaAs層と前記埋め込み層との界面へのキャリアのオーバーフローを抑制するキャリアストップ層と、を備えることを特徴とする半導体レーザである。本発明によれば、GaAs層の回折格子が形成された界面に活性層からのキャリアが到達することを抑制できるため、GaAs層の回折格子が形成された界面で、マイノリティキャリアとマジョリティキャリアとが非発光再結合することを抑制できる。
【0007】
上記構成において、前記回折格子は、前記活性層とp型クラッド層との間に設けられ、前記キャリアストップ層は、GaAsの伝導帯バンド端エネルギーよりも大きい伝導帯バンド端エネルギーを有する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記回折格子は、前記活性層とn型クラッド層との間に設けられ、前記キャリアストップ層は、GaAsの価電子帯バンド端エネルギーよりも小さい価電子帯バンド端エネルギーを有する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記キャリアストップ層は、前記活性層と前記GaAs層との間に設けられている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記キャリアストップ層の厚さは、50nm以上500nm以下である構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記キャリアストップ層は、AlGaAs又はInGaPからなる構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記活性層は、量子井戸活性層又は量子ドット活性層である構成とすることができる。
【0013】
本発明は、上記記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光モジュールである。本発明によれば、GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザを用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光モジュールを得ることができる。
【0014】
本発明は、上記記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光通信装置である。本発明によれば、GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザを用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光通信装置を得ることができる。
【0015】
本発明は、上記記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光通信システムである。本発明によれば、GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザを用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光通信システムを得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、GaAs層の回折格子が形成された界面に活性層からのキャリアが到達することを抑制できるため、GaAs層の回折格子が形成された界面で、マイノリティキャリアとマジョリティキャリアとが非発光再結合することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、比較例1に係る半導体レーザが有するエピ構造のエネルギーバンド図の例である。
【図2】図2は、実施例1に係る半導体レーザの斜視図の例である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、実施例1に係る半導体レーザの製造方法を示す斜視図の例(その1)である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、実施例1に係る半導体レーザの製造方法を示す斜視図の例(その2)である。
【図5】図5(a)は、比較例2に係る半導体レーザの信頼性試験の結果であり、図5(b)は、実施例1に係る半導体レーザの信頼性試験の結果である。
【図6】図6は、図2におけるn型GaAs基板からコンタクト層にかけてのエネルギーバンド図の例である。
【図7】図7は、実施例3に係る半導体レーザが有するエピ構造のエネルギーバンド図の例である。
【図8】図8は、実施例4に係る光モジュールのブロック図の例である。
【図9】図9は、実施例5に係る光通信装置のブロック図の例である。
【図10】図10は、実施例6に係る光通信システムのブロック図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、比較例1に係る半導体レーザについて説明する。比較例1に係る半導体レーザは、n型GaAs基板上に、n型AlGaAsクラッド層、アンドープGaAs導波路層、InGaAsの井戸層とGaAsのバリア層との多重量子井戸活性層、p型GaAs導波路層、p型GaAsの回折格子層、p型InGaPの埋め込み層、p型AlGaAsクラッド層、p型GaAsコンタクト層が順次積層されたエピ構造を有している。回折格子層の上面には回折格子が形成され、回折格子を埋め込むように埋め込み層が形成されている。
【0019】
比較例1に係る半導体レーザの回折格子は、p型GaAsの回折格子層の成長、回折格子層の上面をエッチングして回折格子の形成、回折格子を埋め込むようにp型InGaPの埋め込み層の成長、の順に実施することで形成される。したがって、回折格子層と埋め込み層との界面は再成長界面となる。
【0020】
図1は、比較例1に係る半導体レーザが有するエピ構造のエネルギーバンド図の例である。図1のように、回折格子層とp型GaAs導波路層とは共にGaAsからなるため、p型GaAs導波路層から回折格子まではバンドギャップが等しく、伝導帯バンド端エネルギーの大きさが等しい。このため、例えば高温動作時等において、活性層からp型GaAs導波路層側にオーバーフローした電子が、回折格子層の再成長界面に到達するようになる。
【0021】
回折格子層はGaAs層であるため、前述したように、再成長界面に非発光再結合をするような準位が形成されてしまう。また、回折格子層と埋め込み層はp型半導体であるため、回折格子層の再成長界面に到達した電子はマイノリティキャリアである。このようなマイノリティキャリアである電子が、再成長界面にて、マジョリティキャリアである正孔と非発光再結合をすることとなる。非発光再結合をすることで熱エネルギーが生じ、この熱エネルギーにより結晶に欠陥が生じてしまう。結晶欠陥は、非発光再結合が繰り返されることで増殖して、活性層にまで到達する。活性層には電子と正孔が多数存在するため、これら電子と正孔の非発光再結合により、活性層で結晶欠陥が一気に増殖してしまい、半導体レーザが故障してしまう場合がある。そこで、このようなメカニズムによる半導体レーザの故障を解決すべく、GaAs層の回折格子が形成された界面で非発光再結合が生じることを抑制することが可能な実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図2は、実施例1に係る半導体レーザの斜視図の例である。図2のように、n型GaAs基板である基板10上に、n型GaAsのバッファ層12、n型AlGaAsのn型クラッド層14、アンドープのGaAs導波路層16が順次積層されている。GaAs導波路層16上には、InAsの量子ドットと量子ドットを覆うように設けられたGaAsのバリア層とからなる量子ドット層が7層積層された量子ドット活性層である活性層18が設けられている。
【0023】
活性層18上に、p型AlGaAsからなり活性層18の電子のオーバーフローを抑制するキャリアストップ層34、p型のGaAs導波路層20が順次積層されている。アンドープのGaAs導波路層16及びp型のGaAs導波路層20は活性層18で発振される光を伝搬する導波路であり、また、キャリアストップ層34も導波路としての機能を有する。GaAs導波路層20上に、p型GaAsからなる回折格子層22が設けられ、回折格子層22の上面には、活性層18で発振される光が伝搬する導波方向に周期的な凹凸からなる回折格子26が形成されている。回折格子層22上に、p型InGaPからなり回折格子26を埋め込むように埋め込み層24が設けられている。なお、回折格子層22は導波路としての機能を有し、埋め込み層24はクラッドとしての機能を有する。
【0024】
埋め込み層24上に、p型AlGaAsのp型クラッド層30、p型GaAs層のコンタクト層32が順次積層されている。各層の材料、膜厚、ドーパント、及びドーピング濃度について表1に示す。
【表1】

【0025】
p型クラッド層30及びコンタクト層32は、リッジ部36を形成している。リッジ部36の両側には埋め込み層24が露出する凹部が形成され、凹部に埋め込まれるようにBCB(ビスベンゾシクロブテン)膜38が設けられている。リッジ部36上及びBCB膜38上に、コンタクト層32に接するp電極40が設けられている。n型GaAs基板10の下面にはn電極42が設けられている。
【0026】
活性層18で誘導放出されたレーザ光が出射する前端面には、レーザ光の波長に対して低反射膜(不図示)が設けられ、前端面の反対側に位置する後端面には、レーザ光の波長に対して高反射膜(不図示)が設けられている。前端面と後端面との間隔である共振器長は、例えば300μmである。
【0027】
次に、図3(a)から図4(b)を用いて、実施例1に係る半導体レーザの製造方法を説明する。まず、厚さが例えば450μmで、Siが2×1018cm−3の濃度でドープされたn型GaAs基板である基板10を準備する。次いで、例えば原料にAs、Ga、Al、Inを、ドーパントにSi、Beを用いたMBE(分子線エピタキシー)法にて、基板10上に、バッファ層12、n型クラッド層14、アンドープのGaAs導波路層16、活性層18、キャリアストップ層34、p型のGaAs導波路層20、回折格子層22を順次堆積する。バッファ層12から回折格子層22までは、基板10をMBE装置から取り出すことなく連続して堆積する。以下に、各層の製造について詳しく説明する。
【0028】
図3(a)のように、基板10上に、成長温度600℃にて、膜厚が500nmで、Si(シリコン)が1×1018cm−3の濃度でドープされたn型GaAsのバッファ層12を形成する。続いて、成長温度600℃のまま、バッファ層12上に、膜厚が1500nmで、Siが1×1018cm−3の濃度でドープされたn型AlGaAsのn型クラッド層14を形成する。続いて、成長温度600℃のまま、n型クラッド層14上に、膜厚が50nmで、アンドープのGaAs導波路層16を形成する。
【0029】
図3(b)のように、成長温度を500℃に下げ、GaAs導波路層16上に、0.8nm膜厚相当の量のInAsを供給してInAsの量子ドットを自己形成し、量子ドット上に膜厚が30nmのGaAsからなるバリア層を堆積して量子ドットを埋め込み平坦化させる。このような量子ドットとバリア層とを7層繰り返し堆積して量子ドット構造を有する活性層18を形成する。次いで、成長温度を600℃に上げ、活性層18上に、膜厚が170nmで、Beが4×1017cm−3の濃度でドープされたp型AlGaAsのキャリアストップ層34を形成する。続いて、成長温度600℃のまま、キャリアストップ層34上に、膜厚が30nmで、Be(ベリリウム)が4×1017cm−3の濃度でドープされたp型のGaAs導波路層20を形成する。続いて、成長温度600℃のまま、GaAs導波路層20上に、膜厚が20nmで、Beが1×1018cm−3の濃度でドープされたp型GaAsの回折格子層22を形成する。
【0030】
図4(a)のように、回折格子層22まで堆積した基板10をMBE装置から取り出し、回折格子層22上にフォトレジストを塗布した後、干渉露光技術を用いて、回折格子用のパターンをフォトレジストに形成する。その後、フォトレジストをマスクに回折格子層22をウエットエッチングして、ピッチが200nm、深さが20nm、デューティ比が0.5の回折格子26を形成する。
【0031】
回折格子26を形成した後、基板10を例えばMOCVD(有機金属気相成長)装置に導入し、原料にTMGa(トリメチルガリウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、PH(ホスフィン)、DMZn(ジメチル亜鉛)、CBr(四臭化炭素)、を用いたMOCVD法にて、埋め込み層24、p型クラッド層30、コンタクト層32を順次堆積する。埋め込み層24からコンタクト層32までは、n型GaAs基板10をMOCVD装置から取り出すことなく連続して堆積する。具体的には、成長温度640℃にて、回折格子26を埋め込み平坦になるよう、回折格子層22上に、膜厚が50nmで、Zn(亜鉛)が1×1018cm−3の濃度でドープされたp型InGaPの埋め込み層24を形成する。このような製造工程により、回折格子層22の回折格子26が形成された上面は酸化され、酸化された回折格子層22の上面に埋め込み層24が形成されることになり、回折格子層22と埋め込み層24との界面は再成長界面となる。次いで、成長温度を680℃に上げ、埋め込み層24上に、膜厚が1500nmで、C(炭素)が1×1018cm−3の濃度でドープされたp型AlGaAsのp型クラッド層30を形成する。続いて、成長温度を680℃のまま、p型クラッド層30上に、膜厚が300nmで、Cが8×1019cm−3の濃度でドープされたp型GaAsのコンタクト層32を形成する。
【0032】
図4(b)のように、コンタクト層32まで堆積した基板10をMOCVD装置から取り出し、コンタクト層32上にフォトレジストを塗布した後、露光技術を用いて、ストライプパターンをフォトレジストに形成する。その後、フォトレジストをマスクにコンタクト層32とp型クラッド層30とをウエットエッチングして、p型クラッド層30とコンタクト層32とからなるリッジ部36を形成する。次いで、リッジ部36両側の凹部をBCB膜38で埋め込んだ後、基板10を例えば150μmの厚さまで研磨する。その後、リッジ部36上及びBCB膜38上にp電極40を形成し、基板10の下面にn電極42を形成する。最後に、基板10を劈開して共振器長300μmの共振器とし、劈開面のうちレーザ光を出射する前端面に低反射膜を、後端面に光反射膜を形成して、実施例1に係る半導体レーザが完成する。
【0033】
ここで、比較のために、キャリアストップ層34を有さない、表2に示す層構造の比較例2に係る半導体レーザを、実施例1に係る半導体レーザと同様の製造方法により作製した。
【表2】

【0034】
実施例1に係る半導体レーザの室温での発振波長は1305nmであった。また、実施例1に係る半導体レーザは、比較例2に係る半導体レーザに比べて、閾値電流は15%低下し、微分量子効率は12%向上した結果が得られた。
【0035】
次に、実施例1に係る半導体レーザと比較例2に係る半導体レーザについて、信頼性試験を実施した。信頼性試験は、85℃の温度環境下において、APC(Automatic Power Control)制御による15mWの一定の光出力駆動を行うことで実施した。また、実施例1に係る半導体レーザ及び比較例2に係る半導体レーザ共に、8つの素子を対象に信頼性試験を実施した。
【0036】
図5(a)は、比較例2に係る半導体レーザの信頼性試験の結果であり、図5(b)は、実施例1に係る半導体レーザの信頼性試験の結果である。図5(a)及び図5(b)において、横軸は駆動時間(任意座標)であり、縦軸は駆動電流(任意座標)である。図5(a)のように、比較例2に係る半導体レーザでは、8素子中の2素子について突発故障と見られる駆動電流増加が起こり、他の素子においても駆動時間の経過と共に駆動電流の増加が見られ、満足な信頼性が得られない結果となった。故障した素子の断面をTEM(透過電子顕微鏡)で観察したところ、再成長界面である回折格子26周辺に結晶欠陥の増殖が見られ、その一部が活性層18に到達し、活性層18において結晶欠陥が一気に増殖していることが確認できた。このような結晶欠陥の増殖は、比較例1に係る半導体レーザで述べたメカニズムによるものである。
【0037】
一方、図5(b)のように、実施例1に係る半導体レーザでは、8素子全てにおいて駆動電流の増加は見られず、ほぼ一定の駆動電流を維持し、十分な信頼性が得られた結果となった。また、素子の断面をTEMで観察すると、比較例1に係る半導体レーザで見られたような結晶欠陥は見当たらなかった。
【0038】
図6は、図2における基板10からコンタクト層32にかけてのエネルギーバンド図の例である。図6のように、活性層18と回折格子26との間に設けられたキャリアストップ層34は、AlGaAsからなることから、GaAs導波路層20に比べてバンドギャップエネルギーが大きく、伝導帯バンド端エネルギーが大きい。このため、活性層18の電子はキャリアストップ層34を超えることが難しく、回折格子層22の再成長界面に到達することが抑制される。つまり、キャリアストップ層34は、活性層18から回折格子層22と埋め込み層24との界面への電子のオーバーフローを抑制する働きをする。
【0039】
このように、実施例1によれば、基板10上に設けられた活性層18上に、p型のGaAs導波路層20とp型GaAsの回折格子層22が設けられ、回折格子層22の上面に回折格子26が形成されている。回折格子26を埋め込むように、p型InGaPの埋め込み層24が設けられていて、埋め込み層24上にはp型クラッド層30が設けられている。つまり、回折格子26は、活性層18とp型クラッド層30との間に設けられている。そして、活性層18と回折格子26との間には、GaAsよりも伝導帯バンド端エネルギーの大きいキャリアストップ層34が設けられている。このような構造により、図6で説明したように、回折格子層22の再成長界面に、マイノリティキャリアである電子が到達することを抑制される。このため、高温動作時等においても、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で、マイノリティキャリアである電子とマジョリティキャリアである正孔とが非発光再結合することを抑制できる。これにより、閾値電流の低下、微分量子効率の向上等が実現できる。また、図5(b)のように、信頼性の向上を実現できる。
【0040】
キャリアストップ層34は、表1のように、Al組成比が0.2であるAlGaAs層である場合を例に示したがこれに限られない。キャリアストップ層34は、高温動作時等において、活性層18の電子がキャリアストップ層34を超えることを抑制できる程度の大きさの伝導帯バンド端エネルギーを有していればよい。したがって、キャリアストップ層34がAlGaAs層である場合、例えば、Al組成比は0.1以上で1未満の場合が好ましく、0.1以上で0.4以下である場合がより好ましい。また、キャリアストップ層34の伝導帯バンド端エネルギーとGaAsの伝導帯バンド端エネルギーとの差である伝導帯バンド端オフセット量は、例えば70meV以上である場合が好ましく、140meV以上である場合がより好ましい。
【0041】
キャリアストップ層34の厚さは、活性層18の電子がトンネルしない程度の厚さ以上である場合が好ましく、例えば50nm以上である場合が好ましく、150nm以上である場合がより好ましい。また、活性層18と回折格子26との距離は、光閉じ込め係数Γ、結合係数κ等に基づき設計されるものであるため、光閉じ込め係数Γ、結合係数κ等を考慮すると、活性層18と回折格子26との距離は1μm以下となる。したがって、活性層18と回折格子26との間に設けられるキャリアストップ層34の厚さは1μm以下になることになるが、キャリアストップ層34の厚さが厚くなると、キャリアストップ層34が導波路として機能しなくなるため、キャリアストップ層34の厚さは薄い方が好ましく、例えば500nm以下の場合が好ましく、300nm以下の場合がより好ましい。以上のことから、キャリアストップ層34の厚さは、50nm以上500nm以下の場合が好ましく、150nm以上300nm以下の場合がより好ましい。
【0042】
キャリアストップ層34は、活性層18とGaAs導波路層20との間に設けられている場合を例に示したが、GaAs導波路層20に挟まれるように設けられている場合でもよい。つまり、活性層18上に、GaAs導波路層20、キャリアストップ層34、GaAs導波路層20の順に積層されている場合でもよい。しかしながら、活性層18に接してキャリアストップ層34を設けると、活性層18の電子が活性層18の外部に漏れることを抑制できるため量子効率の改善が実現できる。よって、キャリアストップ層34は、活性層18とGaAs導波路層20との間に設けられている場合が好ましい。つまり、活性層18上に、キャリアストップ層34、GaAs導波路層20の順に積層されている場合が好ましい。また、活性層18上に、キャリアストップ層34、GaAs導波路層20が順次積層された構造とすることで、薄膜成長の際の成長条件の切り替え回数を少なくでき、製造が容易となる。
【0043】
埋め込み層24は、InGaPからなる場合に限られず、例えばAlGaAsからなる場合等、GaAsよりもバンドギャップが大きく、回折格子層22と屈折率に差が生じる材料を用いることができる。これにより、屈折率変調型の回折格子が得られる。
【0044】
活性層18は、InAsの量子ドットと量子ドットを覆うように設けられたGaAsのバリア層とで構成される量子ドット活性層である場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。活性層18を挟むようにGaAs導波路層16、20が設けられていることから、活性層18はGaAsのバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを少なくとも一部に有していればよく、活性層18から発振される光の波長がGaAsのそれよりも長波長であればよい。例えば、InAsの量子ドットの代わりに、InGaAsの量子ドット、GaInNAsの量子ドット、GaInNAsSbの量子ドットを用いることができる。また、バリア層は、GaAs導波路層16、20と同じ材料のGaAsからなる場合が好ましい。
【0045】
キャリアストップ層34は、AlGaAsからなる場合を例に示したが、活性層18の電子が回折格子層22の再成長界面に到達することが抑制できるような、GaAsの伝導帯バンド端エネルギーよりも大きい伝導帯バンド端エネルギーを有する材料であればよい。例えば、キャリアストップ層34にInGaPを用いることもできる。
【0046】
実施例1において、活性層18を上下方向から挟み込むように、GaAs導波路層16とGaAs導波路層20とが設けられている場合を例に示したが、活性層18の下側のGaAs導波路層16は設けられていない場合でもよい。
【実施例2】
【0047】
実施例2に係る半導体レーザは、活性層18が多重量子井戸活性層の場合である。実施例2に係る半導体レーザは、活性層18が、InGaAsの井戸層とGaAsのバリア層とが交互に2層積層された多重量子井戸構造をしている。また、キャリアストップ層34、GaAs導波路層20、回折格子層22のドーパントはCである。さらに、共振器長は800μmである。これらの点以外は、図2に示した実施例1に係る半導体レーザと同様な構造であるため図示を省略する。実施例2に係る半導体レーザの各層の材料、膜厚、ドーパント、及びドーピング濃度について表3に示す。
【表3】

【0048】
次に、実施例2に係る半導体レーザの製造方法を説明する。まず、厚さが例えば450μmで、Si(シリコン)が2×1018cm−3の濃度でドープされたn型GaAs基板である基板10を準備する。次いで、例えば原料にTMGa、TMAl(トリメチルアルミニウム)、TMIn、AsH(アルシン)を、ドーパントにSiH(シラン)、CBr、DMZnを用いたMOCVD法にて、基板10上に、バッファ層12、n型クラッド層14、アンドープのGaAs導波路層16、活性層18、キャリアストップ層34、p型のGaAs導波路層20、回折格子層22を順次堆積する。バッファ層12から回折格子層22までは、基板10をMOCVD装置から取り出すことなく連続して堆積をする。以下に、各層について詳しく説明する。
【0049】
基板10上に、成長温度690℃にて、膜厚が500nmで、Siが1×1018cm−3の濃度でドープされたn型GaAsのバッファ層12を形成する。続いて、成長温度690℃のまま、バッファ層12上に、膜厚が1500nmで、Siが1×1018cm−3の濃度でドープされたn型AlGaAsのn型クラッド層14を形成する。続いて、成長温度690℃のまま、n型クラッド層14上に、膜厚が50nmで、アンドープのGaAs導波路層16を形成する。
【0050】
成長温度を560℃に下げ、GaAs導波路層16上に、厚さが6nmのInGaAsの井戸層と厚さが30nmのGaAsのバリア層とを2層繰り返して堆積して多重量子井戸構造を有する活性層18を形成する。その後、成長温度を630℃に上げ、活性層18上に、膜厚が170nmで、Cが4×1017cm−3の濃度でドープされたp型AlGaAsのキャリアストップ層34を形成する。続いて、成長温度630℃のまま、キャリアストップ層34上に、膜厚が30nmで、Cが4×1017cm−3の濃度でドープされたp型のGaAs導波路層20を形成する。続いて、成長温度630℃のまま、GaAs導波路層20上に、膜厚が20nmで、Cが1×1018cm−3の濃度でドープされたp型GaAsの回折格子層22を形成する。
【0051】
回折格子層22まで堆積した基板10をMOCVD装置から取り出し、回折格子層22上にフォトレジストを塗布した後、干渉露光技術を用いて、回折格子用のパターンをフォトレジストに形成する。その後、フォトレジストをマスクに回折格子層22をウエットエッチングして、ピッチが310nm、深さが20nm、デューティ比が0.5の回折格子26を形成する。
【0052】
回折格子26を形成した後、基板10を再度MOCVD装置に導入し、埋め込み層24、p型クラッド層30、コンタクト層32を順次堆積する。埋め込み層24からコンタクト層32までは、基板10をMOCVD装置から取り出すことなく連続して堆積する。具体的には、成長温度640℃にて、回折格子26を埋め込んで平坦化するように、回折格子層22上に、膜厚が50nmで、Znが1×1018cm−3の濃度でドープされたp型InGaPの埋め込み層24を形成する。このような製造工程により、回折格子層22の回折格子26が形成された上面は酸化され、酸化された回折格子層22の上面に埋め込み層24が形成されることになり、回折格子層22と埋め込み層24との界面は再成長界面となる。次いで、成長温度を680℃に上げ、埋め込み層24上に、膜厚が1500nmで、Cが1×1018cm−3の濃度でドープされたp型AlGaAsのp型クラッド層30を形成する。続いて、成長温度680℃のまま、p型クラッド層30上に、膜厚が800nmで、Cが8×1019cm−3の濃度でドープされたp型GaAsのコンタクト層32を形成する。
【0053】
コンタクト層32まで堆積した基板10をMOCVD装置から取り出し、コンタクト層32上にフォトレジストを塗布した後、露光技術を用いて、ストライプパターンをフォトレジストに形成する。その後、フォトレジストをマスクにコンタクト層32とp型クラッド層30とをウエットエッチングして、p型クラッド層30とコンタクト層32とからなるリッジ部36を形成する。次いで、リッジ部36両側の凹部にBCB膜38を埋め込んだ後、基板10を例えば150μmの厚さにまで研磨する。その後、リッジ部36上及びBCB膜38上にp電極40を形成し、基板10の下面にn電極42を形成する。最後に、基板10を劈開して共振器長800μmの共振器とし、劈開面のうちレーザ光を出射する前端面に低反射膜(不図示)を、後端面に高反射膜(不図示)を形成して、実施例2に係る半導体レーザが完成する。
【0054】
ここで、比較のために、キャリアストップ層34を有さない、表4に示す層構造の比較例3に係る半導体レーザを、実施例2に係る半導体レーザと同様の製造方法により作製した。
【表4】

【0055】
実施例2に係る半導体レーザの室温での発振波長は1063nmであった。また、実施例2に係る半導体レーザは、比較例3に係る半導体レーザに比べて、閾値電流は21%低下し、微分量子効率は14%向上した結果が得られた。また、実施例2に係る半導体レーザについても、実施例1に係る半導体レーザと同様に十分な信頼性が得られた。
【0056】
このように、活性層18を、量子井戸構造の量子井戸活性層とした場合であっても、活性層18と回折格子26との間に、GaAsの伝導帯バンド端エネルギーよりも大きい伝導帯バンド端エネルギーを有するキャリアストップ層34を設けることで、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で非発光再結合することを抑制できる。
【0057】
実施例2では、活性層18は、InGaAsの井戸層とGaAsのバリア層とからなる量子井戸活性層である場合を例に示したがこれに限られる訳ではない。例えば、GaAsSbの井戸層とGaAsのバリア層との量子井戸構造の場合や、GaInNAsの井戸層とGaAsのバリア層との量子井戸構造の場合や、GaInNAsSbの井戸層とGaAsのバリア層との量子井戸構造の場合でもよい。また、実施例2では、活性層18は、2層の多重量子井戸活性層の場合を例に示したが、3層、4層など2層以上の多重量子井戸活性層の場合でもよく、また単層の量子井戸活性層の場合でもよい。
【0058】
実施例1では、回折格子層22をMBE法により形成し、実施例2では、回折格子層22をMOCVD法により形成している。このように、回折格子層22を、MBE法、MOCVD法のどちらを用いて形成した場合であっても、また、他の形成方法を用いた場合であっても、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面に非発光再結合をするような準位が形成されてしまう。したがって、回折格子層22の形成方法によらず、活性層18と回折格子26との間に、GaAsよりも伝導帯バンド端エネルギーの大きいキャリアストップ層34を設けることで、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で非発光再結合することを抑制できる。
【実施例3】
【0059】
実施例3に係る半導体レーザは、回折格子26が、活性層18とn型クラッド層14との間に設けられている場合である。実施例3に係る半導体レーザは、p型GaAs基板である基板10上に、p型GaAsのバッファ層12、p型AlGaAsのp型クラッド層30、アンドープのGaAs導波路層16、InAsの量子ドットとGaAsのバリア層との量子ドット層を有する活性層18、n型AlGaAsのキャリアストップ層34、n型のGaAs導波路層20、n型GaAsの回折格子層22、n型InGaPの埋め込み層24、n型AlGaAsのn型クラッド層14、n型GaAsのコンタクト層32が順次積層されたエピ構造を有する。回折格子層22の上面には、活性層18で発振される光が伝搬する導波方向に周期的な凹凸からなる回折格子26が形成されていて、回折格子26を埋め込むように埋め込み層24が設けられている。実施例3に係る半導体レーザの斜視図は、図2に示した実施例1に係る半導体レーザの斜視図と同様であるため、ここでは図示を省略する。
【0060】
図7は、実施例3に係る半導体レーザのエピ構造のエネルギーバンド図の例である。図7のように、活性層18と回折格子26との間に、GaAsよりもバンドギャップエネルギーが大きく、価電子帯バンド端エネルギーが小さいキャリアストップ層34が設けられている。これにより、活性層18の正孔が、回折格子層22の再成長界面に到達することが抑制される。
【0061】
このように、実施例3によれば、回折格子26が活性層18とn型クラッド層14との間に設けられ、活性層18と回折格子26との間に、GaAsよりも価電子帯バンド端エネルギーが小さいキャリアストップ層34が設けられている。このような構造により、図7で説明したように、回折格子層22の再成長界面に、マイノリティキャリアである正孔が到達することが抑制される。これにより、高温動作時においても、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面でマイノリティキャリアである正孔とマジョリティキャリアである電子との非発光再結合を抑制することができ、閾値電流の低下、微分量子効率の向上等が実現できる。また、信頼性も向上できる。
【0062】
実施例3では、活性層18は、実施例1と同様に量子ドット構造を有する場合を例に説明したが、実施例2と同様に量子井戸構造を有する場合でもよい。
【実施例4】
【0063】
実施例4は、実施例1から3のいずれかに係る半導体レーザを備えた光モジュールの例である。図8は、実施例4に係る光モジュールのブロック図の例である。図8のように、光モジュール200は、実施例1から3のいずれかに係る半導体レーザ100、光導波部210、光変調部220を有する。半導体レーザ100から出射されたレーザ光は、光導波部210を通って光変調部220に導かれる。光変調部220では、入射された光を変調する。変調された光は、光導波部210を通って、光ファイバ結合部230で光結合したシングルモードファイバに入射され、シングルモードファイバ内を伝搬する。
【0064】
実施例4によれば、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザ100を用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光モジュールを得ることができる。
【実施例5】
【0065】
実施例5は、実施例4に係る光モジュールを備えた光通信装置の例である。図9は、実施例5に係る光通信装置のブロック図の例である。図9のように、光通信装置300は、送信部として機能する実施例4に係る光モジュール200、受信部310、制御部320を有する。光モジュール200は、制御部320からの送信データ信号を光に変換して出射する。出射された光はシングルモードファイバに入射され、シングルモードファイバ内を伝搬する。受信部310は、シングルモードファイバ内を伝搬してきた光を受光し、受信データとして制御部320に出力する。
【0066】
実施例5によれば、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザ100を用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光通信装置を得ることができる。
【実施例6】
【0067】
実施例6は、実施例5に係る光通信装置を備えた光通信システムの例である。図10は、実施例6に係る光通信システムのブロック図の例である。図10のように、光通信システム400は、第1の光通信装置300aと、第2の光通信装置300bと、第1の光通信装置300aと第2の光通信装置300bとを接続するシングルモードファイバ410と、を有する。第1の光通信装置300aは、光モジュール200a、受信部310a、制御部320aを有する。第2の光通信装置300bは、光モジュール200b、受信部310b、制御部320bを有する。例えば、第1の光通信装置300aの光モジュール200aが、制御部320aからの送信データ信号を光に変換して出射すると、出射された光はシングルモードファイバ410内を伝搬し、第2の光通信装置300bの受信部310bで受光される。受信部310bで光を受光すると、受信データが制御部320bに出力される。同様に、第2の光通信装置300bの光モジュール200bが、制御部320bからの送信データ信号を光に変換して出射すると、出射された光はシングルモードファイバ410内を伝搬し、第1の光通信装置300aの受信部310aで受光される。受信部310aで光を受光すると、受信データが制御部320aに出力される。これにより、第1の光通信装置300aと第2の光通信装置300bとの間でデータ通信を行うことができる。
【0068】
実施例6によれば、GaAsからなる回折格子層22の再成長界面で非発光再結合することが抑制された半導体レーザ100を用いているため、量子効率の向上、信頼性の向上がなされた光通信システムを得ることができる。
【0069】
実施例6のように、第1の光通信装置300aと第2の光通信装置300bとの間でシングルモードファイバ410を用いてデータ通信を行う光通信システム400は、FTTH(Fiber To The Home)や光通信基幹網に用いられる場合が好ましい。また、シングルモードファイバ410を用いずに、第1の光通信装置300aと第2の光通信装置300bとが、空間に出射した光を受光することでデータ通信を行う場合でもよい。この場合、第1の光通信装置300aと第2の光通信装置300bとは、例えばパーソナルコンピュータとすることができ、また、第1の光通信装置300a及び第2の光通信装置300bの一方はパーソナルコンピュータとし、他方は携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の電子機器やプロジェクタとしてもよい。
【0070】
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 基板
12 バッファ層
14 n型クラッド層
16 GaAs導波路層
18 活性層
20 GaAs導波路層
22 回折格子層
24 埋め込み層
26 回折格子
30 p型クラッド層
32 コンタクト層
34 キャリアストップ層
36 リッジ部
38 BCB膜
40 p電極
42 n電極
100 半導体レーザ
200 光モジュール
210 光導波部
220 光変調部
230 光ファイバ結合部
300 光通信装置
310 受信部
320 制御部
400 光通信システム
410 シングルモードファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられ、GaAsのバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを少なくとも一部に有する活性層と、
前記活性層上に設けられ、前記活性層から発振される光を伝搬する導波路であるGaAs層と、
前記GaAs層の上面に設けられた回折格子と、
前記回折格子を埋め込むように設けられた埋め込み層と、
前記活性層と前記回折格子との間に設けられ、前記活性層から前記GaAs層と前記埋め込み層との界面へのキャリアのオーバーフローを抑制するキャリアストップ層と、を備えることを特徴とする半導体レーザ。
【請求項2】
前記回折格子は、前記活性層とp型クラッド層との間に設けられ、
前記キャリアストップ層は、GaAsの伝導帯バンド端エネルギーよりも大きい伝導帯バンド端エネルギーを有することを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
【請求項3】
前記回折格子は、前記活性層とn型クラッド層との間に設けられ、
前記キャリアストップ層は、GaAsの価電子帯バンド端エネルギーよりも小さい価電子帯バンド端エネルギーを有することを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
【請求項4】
前記キャリアストップ層は、前記活性層と前記GaAs層との間に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の半導体レーザ。
【請求項5】
前記キャリアストップ層の厚さは、50nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の半導体レーザ。
【請求項6】
前記キャリアストップ層は、AlGaAs又はInGaPからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の半導体レーザ。
【請求項7】
前記活性層は、量子井戸活性層又は量子ドット活性層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の半導体レーザ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光通信装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項記載の半導体レーザを備えることを特徴とする光通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−84661(P2012−84661A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228839(P2010−228839)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(506423051)株式会社QDレーザ (26)
【Fターム(参考)】