半導体レーザ装置
【課題】電気変換効率が高い半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体レーザ装置において、活性層をp側クラッド層側に設けると共にn側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くする。n側ガイド層、活性層及びp側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層である。n側ガイド層、活性層及びp側ガイド層の厚さの合計Dudpが、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下である。
【解決手段】半導体レーザ装置において、活性層をp側クラッド層側に設けると共にn側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くする。n側ガイド層、活性層及びp側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層である。n側ガイド層、活性層及びp側ガイド層の厚さの合計Dudpが、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD書き込み用の情報処理用、NdドープYAG(Nd:YAG)レーザやYbドープYAG(Yb:YAG)レーザ等の固体レーザ、Ybドープファイバーレーザ、Erドープファイバアンプ等の励起光源用、及び光通信用といった、各種の用途の半導体レーザ装置が知られている。下記の非特許文献1にかかる半導体レーザ装置は、厚さ及び組成が同じであるAlxGa1-xAs光ガイド層によって、GaAsP活性層を挟んだ構造を備える。この構造によれば、高出力動作を可能とする半導体レーザ装置を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−233882号公報
【特許文献2】特開平11−233883号公報
【特許文献3】特開平11−243259号公報
【特許文献4】特開2006−32437号公報
【特許文献5】特開平11−163458号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Sebastian et al.、 “High-Power 810-nm GaAsP-AlGaAs Diode Lasers With Narrow Beam Divergence、” IEEE J. Select. Topics In Quantum Electron.、 vol. 7、 No. 2、 pp.334-339、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、消費電力を低減するために、電気変換効率の高い半導体レーザ装置の必要性が高まっている。しかしながら、ガイド層を厚くすることで光吸収を低減してスロープ効率を向上することも限界に達しつつある。このように消費電力低減のための技術が行き詰まりつつあるなかで、本願発明者は、鋭意研究を進め、高い電気変換効率を得ることができる半導体レーザ装置に想到した。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高いことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高く、前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第1の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共にn側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率より高くしたので、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0013】
第2の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第2の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共にp型クラッド層の屈折率をn型クラッド層の屈折率よりも低くしたので、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0014】
第3の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第3の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共に、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くし、更にp型クラッド層の屈折率をn型クラッド層の屈折率よりも低くした。よって、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつ、ガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0015】
第4の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第4の発明によれば、活性層がp型クラッド層側に近づけられていると共に、n側ガイド層の内部に外部よりも屈折率の高い領域が備えられる。このため、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。また、第4の発明によれば、n側ガイド層が、内部に外側より屈折率の高い領域を備える。この構成によれば、n側ガイド層の内部よりも外部の方が、バンドギャップエネルギーが大きい。このため、電子や正孔といったキャリアを、活性層に有効に閉じ込めることができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0016】
第5の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第5の発明によれば、活性層がp型クラッド層側に近づけられていると共に、n側ガイド層の内部に外部よりも屈折率の高い領域が備えられる。なおかつ、p型クラッド層の屈折率が、n型クラッド層の屈折率よりも低い。この構成の結果、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。また、第5の発明によれば、n側ガイド層が、内部に外部より屈折率の高い領域を備える。この構成によれば、n側ガイド層の内部よりも外部の方が、バンドギャップエネルギーが大きい。このため、電子や正孔といったキャリアを、活性層に有効に閉じ込めることができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態の機能の一部を説明するための半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態の機能の一部を説明するための半導体レーザ装置に関する、アンドープ領域光閉じ込め率のアンドープ領域の厚さ依存性を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1の第1実施例による半導体レーザ装置におけるキャリア分布及び光強度分布を示す図である。
【図5】比較例として示す半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図6】比較例の半導体レーザ装置におけるキャリア分布及び光強度分布を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態1の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態1の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態1の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態1の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態2の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態2の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態2の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態2の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態2の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態2の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態3の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態3の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図22】この発明の実施の形態3の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態3の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図24】この発明の実施の形態3の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図25】この発明の実施の形態3の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図26】この発明の実施の形態3の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図27】この発明の実施の形態4の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図28】この発明の実施の形態4の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図29】この発明の実施の形態5の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の機能説明を行うための、発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。以下、図1を用いて、ガイド層及び活性層等のアンドープ領域の厚さが、発振波長の0.5倍以上と厚い場合の効果を明らかにする。
【0019】
図1において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、1はn電極、2はn型GaAs基板、3はn型AlxGa1-xAsクラッド層(Al組成比xは0.55、厚さは1.5μm)、101はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.35、厚さはt/2nm)、6はAlwGa1-wAs活性層(w=0.10、厚さは10nm)、102はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さはt/2nm)、8はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.55、厚さは1.5μm)、9はp型GaAsコンタクト層、10はp電極、11はプロトン注入領域である。
【0020】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層101、及びp側AlsGa1-sAsガイド層102は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0021】
図2は、図1の半導体レーザ装置でn側AlyGa1-yAs外側ガイド層101(厚さt/2)、及びp側AlsGa1-sAsガイド層102(厚さt/2)を変えた場合において、アンドープ領域の厚さに対して当該アンドープ領域に閉じ込もる光の割合を求めたものである。アンドープ領域の厚さがたとえば100nmと薄い場合は、当該アンドープ領域内に閉じこもる光の割合は約28%である。残りの72%の光は、p型或いはn型にドーピングしたクラッド層に存在する。このため、半導体レーザ装置の損失は、その殆どが、クラッド層のフリーキャリア吸収で決まることになる。
【0022】
これに対して、アンドープ領域の厚さが当該半導体レーザの発振波長の0.5倍以上と厚い場合には、80%以上の光が当該アンドープ領域に存在する。この場合には、当該アンドープ領域のフリーキャリア吸収の影響を強く受け、当該吸収により半導体レーザの損失が決まることになる。
【0023】
図1及び図2は、例示である。半導体レーザ装置には、ガイド層の屈折率をクラッド層の屈折率よりも高くしてガイド層内に光を閉じ込める機構が、必ず備えられている。また、光閉じ込めの度合いは、前記ガイド層と前記クラッド層の屈折率差、アンドープ領域の厚さ及び発振波長で決まる正規化周波数によってほぼ一意的に決まる。従って、アンドープ領域の厚さが発振波長の0.5倍以上あれば、大半の光は当該アンドープ領域に閉じ込められることになる。
【0024】
また、実施の形態1では、アンドープ領域の厚さの上限を、電子及び正孔の拡散長である2〜3μmとすることとする。
【0025】
[実施の形態1の第1実施例の構成]
図3は、実施の形態1の第1実施例にかかる、発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図3において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、4はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.35、厚さは650nm)、5はn側AlzGa1-zAs内側ガイド層(z=0.30、厚さは50nm)、7はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さは300nm)である。
【0026】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4、n側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。結晶成長及びウエハプロセスにおいて、それらの層に対して意識的な不純物のドーピングを行わないことにより、それらの層をアンドープかそれに近いドーピングとすることができる。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含めて1010nmであり、発振波長の約1.24倍となっている。
【0027】
なお、以下の説明では、p型クラッド層の側に位置するガイド層を、単にp側ガイド層と称す。実施の形態1では、p側AlsGa1-sAsガイド層7が、p側ガイド層である。また、n型クラッド層の側に位置するガイド層を、単にn側ガイド層と称す。実施の形態1では、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4およびn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5が、n側ガイド層である。
【0028】
[第1実施例の動作、光強度分布]
当該半導体レーザ装置に順方向のバイアスをかけ、n型AlxGa1-xAsクラッド層3から電子を、p型AltGa1-tAsクラッド層8からホール(正孔)を、それぞれn側AlyGa1-yAs外側ガイド層4とn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7を介してAlwGa1-wAs活性層6に注入する。
【0029】
図4は、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4とn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7内の電子及びホールであるキャリア分布及び屈折率分布で決定される近視野像(NFP)の光強度分布を、模式的に示す。
【0030】
図4において、破線は伝導帯のバンド構造を、太実線は電子及びホールのキャリア濃度を、一点鎖線は光強度分布を示す。光ガイド層内では電荷中性条件が保たれる必要から、任意の場所で電子とホールの密度は同じとなる。活性層中心をy軸方向の原点とすると、キャリア密度は、活性層に接する場所で最も小さくなり各クラッド層3、8に向かうに従い増加する。電子及びホールの移動度をそれぞれμn及びμpとすると、p側ガイド層内のキャリア分布の傾きは、n側ガイド層内キャリア分布の傾きのμn/μpとなる。
また、光強度分布は、非対称形となる。すなわち、光強度分布のピークが、活性層6及び屈折率の高いn側内側ガイド層5に、引き寄せられている。
【0031】
[比較例との比較による実施の形態1の効果の説明]
比較のため、図5に示す対称形の場合を考察する。図において、符号400はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.35、厚さは500nm)、符号700はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さは500nm)である。この場合のキャリア分布及び光強度分布を模式的に図6に示す。
【0032】
図6にあるように、キャリア密度は、活性層に接する場所で最も小さくなり、各クラッド層3、8に向かうに従い単調に増加する。このことは、実施の形態1と同じである。しかし、比較例では、p側ガイド層内のキャリア分布の傾きが、n側ガイド層内キャリア分布の傾きのμn/μp倍となるので、p側ガイド層内に多くのキャリアが存在することが判る。一方、光強度分布は、活性層を中心として対称形に分布する。
【0033】
これに対し、実施の形態1においては、p側ガイド厚さを薄く及びn側ガイド厚さを厚くした。このため、比較例に比して、p側ガイド層内キャリア密度を、大幅に低減することができる。その結果、ガイド層内のキャリアによる光吸収を低減でき、延いてはスロープ効率の向上が図れる。
【0034】
また、n側ガイド層を2つに分けることでnガイド層の屈折率をpガイド層の屈折率よりも高くし、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を活性層近傍に近づけるようにしている。これにより、活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率が、n側ガイド層の屈折率がp側ガイド層の屈折率と同じ場合に比べて、高くなる。このため、しきい値電流の増加を招くことなく、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0035】
また実施の形態1では、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0036】
以上の構成によれば、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。また、環境に対する有利な効果として、長寿命化(長期使用が可能、耐久性が向上)の効果や、エネルギー消費量の削減(省エネルギー)という効果を得ることができる。
【0037】
[実施の形態1にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図7は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図7において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、12はn型AlxGa1-xAsクラッド層(Al組成比xは0.30、厚さは1.5μm)、13はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.05、厚さは650nm)、14はn側GaAs内側ガイド層(厚さは50nm)、15はInzGa1-zAs活性層(z=0.20、厚さは10nm)、16はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.05、厚さは300nm)、17はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.30、厚さは1.5μm)である。
【0038】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層13、n側GaAs内側ガイド層14及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1010nmであり、発振波長の約1.03倍となっている。
【0039】
(第3実施例)
図8は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図8において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、18はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.50、厚さは1.5μm)、19はn側InGaP外側ガイド層(厚さは275nm)、20はn側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層(z=0.10、y=0.56、厚さは25nm)、21はGaAs1-wPw活性層(w=0.12、厚さは10nm)、22はp側InGaPガイド層(厚さは100nm)、23はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.50、厚さは1.5μm)である。
【0040】
n側InGaP外側ガイド層19、n側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層20及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め410nmであり、発振波長の約0.51倍となっている。
また、n側InGaAsP内側ガイド層のAs組成比z及びGa組成比yは、GaAsと格子整合するように決めている。
【0041】
(第4実施例)
図9は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図9において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、24はn電極、25はn型GaN基板、26はn型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.14、厚さは0.5μm)、27はn側GaN外側ガイド層(厚さは300nm)、28はn側InyGa1-yN内側ガイド層(In組成比y=0.05、厚さは25nm)、29はIn0.15Ga0.85N活性層(In組成比y=0.15、厚さは3.5nm)、30はGaNバリア層(厚さは7nm)、31はp側GaNガイド層(厚さは150nm)、32はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.14、厚さは0.5μm)、33はp型GaNコンタクト層、34はSiN絶縁膜、35はp電極である。
【0042】
当該実施例では、発振波長約400nmの半導体レーザを実現すべく、活性層を厚さ3.5nmのInzGa1-zN三重量子井戸(In組成比z=0.15)としたものである。
【0043】
尚、n側GaN外側ガイド層27、n側InyGa1-yN内側ガイド層28、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め499.5nmであり、発振波長の約1.25倍となっている。
【0044】
(第5実施例)
図10は、実施の形態1におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図10において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、36はn電極、37はn型InP基板、38はn型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.183、As組成比y=0.40、厚さ500nm)、39はn側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ600nm)、40はn側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層(Ga組成比s=0.348、As組成比t=0.750、厚さ50nm)、41はIn1-uGauAsvP1-v活性層(Ga組成比u=0.443、As組成比v=0.950、厚さ7.5nm)、42はIn1-qGaqAsrP1-rバリア層(Ga組成比q=0.262、As組成比r=0.568、厚さ23nm)、43はp側n1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ300nm)、44はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.183、As組成比y=0.40、厚さ500nm)、45はp型InPコンタクト層、46はSiO2絶縁膜、47はp電極である。
【0045】
当該実施例は、活性層を厚さ7.5nmのIn1-uGauAsvP1-v(Ga組成比u=0.443、As組成比v=0.950)三重量子井戸として波長1310nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
【0046】
n側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層39、 n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層40、 In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1018.5nmであり、発振波長の約0.78倍となっている。
【0047】
(第6実施例)
図11は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図11において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、48はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.70、厚さは1.5μm)、49はn側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは600nm)、50はn側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層(Al組成比zは0.30、厚さは50nm)、51はGa0.51In0.49P活性層(厚さは5.5nm)、52は(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層(Al組成比wは0.50、厚さは5nm)、53はp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは300nm)、54はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.70、厚さは1.5μm)である。
【0048】
n側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層49、n側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層50、(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め976.5nmであり、発振波長の約1.45倍となっている。
【0049】
(第7実施例)
図12は、実施の形態1におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図12において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、55はn型InPクラッド層(厚さ=0.75μm)、56はn側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ600nm)、 57はn側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層(Ga組成比z=0.277、As組成比w=0.600、厚さ50nm)、58はIn1-sGasAstP1-t活性層(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710、厚さ8nm)、59はIn1-uGauAsvP1-vバリア層(Ga組成比u=0.800、As組成比v=0.175、厚さ20nm)、60はp側In1-xGaxAsyP1-yガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ300nm)、61はp型InPクラッド層(厚さ0.75μm)である。
【0050】
当該実施例は、活性層を厚さ8nmのIn1-sGasAstP1-t(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710)五重量子井戸として波長1550nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
【0051】
n側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層56、n側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層57、In1-uGauAsvP1-vバリア層59及びp側In1-xGaxAsyP1-yガイド層60は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1070nmであり、発振波長の約0.69倍となっている。
【0052】
実施の形態2.
[実施の形態2の第1実施例]
図13は、実施の形態2における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図13において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、62はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.35、厚さは700nm)、63はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.60、厚さは1.5μm)である。実施の形態2の第1実施例は、内側ガイド層の構成を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。
【0053】
AlGaAs活性層6は、p型AlGaAsクラッド層63側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下しスロープ効率が向上する。
【0054】
また、p型AltGa1-tAsクラッド層63のAl組成比tをn型AlxGa1-xAsクラッド層3のAl組成比xより大きくしているので、p型AlGaAsクラッド層63の屈折率はn型AlGaAsクラッド層3の屈折率よりも小さくなる。このため、p側AlGaAsガイド層7とp型AlGaAsクラッド層63間の屈折率差は、n側AlGaAsガイド層62とn型AlGaAsクラッド層3間の屈折率差よりも大きくなり、光強度分布はp側AlGaAsガイド層7からp型AlGaAsクラッド層63に向けて急峻となりAlGaAs活性層6への光閉じ込め率が増す。これにより、しきい値電流低減が図れる。
【0055】
また、上述したように、実施の形態2の第1実施例は、内側ガイド層の構成を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。すなわち、実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0056】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0057】
[実施の形態2にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図14は、実施の形態2のその他の実施例における発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図14において、64はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.05、厚さは700nm)、65はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.35、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図7と同じである。尚、n側AlyGa1-yAsガイド層64及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0058】
(第3実施例)
図15は、実施の形態2のその他の実施例における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図15において、66はn側InGaPガイド層(厚さは300nm)、67はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.55、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図8と同じである。尚、n側InGaPガイド層66及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0059】
(第4実施例)
図16は、実施の形態2のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図16において、68はn側GaNガイド層(厚さは350nm)、69はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.16、厚さは0.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図9と同じである。尚、n側GaNガイド層68、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0060】
(第5実施例)
図17は、実施の形態2におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図17において、 70はn側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ650nm)、71はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.160、As組成比y=0.350、厚さ500nm)である。内側ガイド層を除き、その他は図10と同じである。尚、n側In1-zGazAswP1-wガイド層70、In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0061】
(第6実施例)
図18は、実施の形態2のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図18において、72はn側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは650nm)、 73はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.80、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図11と同じである。尚、n側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層72、 (AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0062】
(第7実施例)
図19は、実施の形態2におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図19において、74はn型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.023、As組成比y=0.050、厚さ=1.0μm)、75はn側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.800、As組成比w=0.175、厚さ650nm)、76はIn1-sGasAstP1-t活性層(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710、厚さ8nm)、77はIn1-uGauAsvP1-vバリア層(Ga組成比u=0.800、As組成比v=0.175、厚さ20nm)、78はp側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.800、As組成比w=0.175、厚さ300nm)、79はp型InPクラッド層(厚さ1.0μm)である。
【0063】
当該実施例は、活性層を厚さ8nmのIn1-sGasAstP1-t(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710)五重量子井戸として波長1550nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
尚、n側In1-zGazAswP1-wガイド層75、In1-uGauAsvP1-vバリア層77及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層78は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0064】
実施の形態3.
[実施の形態3の第1実施例]
図20は、実施の形態3における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図20において、80はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.60、厚さは1.5μm)である。その他は、図3と同じである。AlGaAs活性層6がp型AlGaAsクラッド層80側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0065】
また、n側ガイド層を2つに分けることで、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。その結果、活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率が、n側ガイド層の屈折率がp側ガイド層の屈折率と同じ場合に比べて、高くなる。
【0066】
更に、p型AltGa1-tAsクラッド層80のAl組成比tを、n型AlxGa1-xAsクラッド層3のAl組成比xより大きくしている。このため、p型AlGaAsクラッド層80の屈折率はn型AlGaAsクラッド層3の屈折率よりも小さくなる。よって、p側AlGaAsガイド層7とp型AlGaAsクラッド層80間の屈折率差は、n側AlGaAsガイド層4とn型AlGaAsクラッド層3間の屈折率差よりも大きくなる。これに伴い、光強度分布がp側AlGaAsガイド層7からp型AlGaAsクラッド層80に向けて急峻となり、AlGaAs活性層6への光閉じ込め率が増す。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0067】
また、上述したように、実施の形態3の第1実施例は、p型AltGa1-tAsクラッド層80を備える点を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。すなわち、実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0068】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0069】
[実施の形態3にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図21は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図21において、81はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.35、厚さは1.5μm)である。その他は図7と同じである。尚、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層13、n側GaAs内側ガイド層14及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0070】
(第3実施例)
図22は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図22において、82はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.55、厚さは1.5μm)である。その他は図8と同じである。尚、n側InGaP外側ガイド層19、n側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層20及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0071】
(第4実施例)
図23は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図23において、83はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.16、厚さは0.5μm)である。その他は、図9と同じである。尚、n側GaN外側ガイド層27、n側InyGa1-yN内側ガイド層28、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0072】
(第5実施例)
図24は、実施の形態3におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図24において、84はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.160、As組成比y=0.35、厚さ500nm)である。その他は図10と同じである。尚、n側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層39、 n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層40、 In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0073】
(第6実施例)
図25は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図25において、85はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.80、厚さは1.5μm)である。その他は図11と同じである。尚、n側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層49、n側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層50、(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0074】
(第7実施例)
図26は、実施の形態3におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図26において、86はn側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ600nm)、87はn側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層(Ga組成比z=0.277、As組成比w=0.600、厚さ500nm)である。n側ガイド層を除き、その他は図19と同じである。尚、n側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層86、n側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層87、In1-uGauAsvP1-vバリア層77及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層78は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0075】
実施の形態4.
[実施の形態4の第1実施例]
図27は、実施の形態4における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図27において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、201はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.30、厚さは1.5μm)、202はn側InGaP外側ガイド層(厚さは630nm)、203はn側In1-yGayAszP1-z中ガイド層(z=0.10、y=0.56、厚さは100nm)、204はn側InGaP内側ガイド層(厚さは20nm)、205はGaAs1-wPw活性層(w=0.12、厚さは12.5nm)、206はp側InGaPガイド層(厚さは450nm)、207はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.30、厚さは1.5μm)である。
【0076】
上記の構成によれば、GaAsP活性層205を中央にして、n側ガイド層のほうが、p側ガイド層よりも厚い。つまり、GaAsP活性層205は、p型AlGaInPクラッド層207側に近く配置されている。この構成により、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0077】
また、実施の形態4では、n側ガイド層を3つの層に分けかつ内部の層の屈折率を外側の層の屈折率よりも高くすることにより、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率について比較すると、n側ガイド層において内部の屈折率と外側の屈折率とが同じである場合には光閉じ込め率が約1.7%であるのに対して、実施の形態4によれば光閉じ込め率が約1.8%である。このように、実施の形態4によれば、高い光閉じ込め率を実現することができる。
【0078】
更に、GaAsP活性層205に接するn側InGaP内側ガイド層204のバッドギャップエネルギーは、n側InGaAsP中ガイド層203のバンドギャップエネルギーより大きい。このため、電子及び正孔といったキャリアはnガイド側に漏れ難くなりGaAsP活性層内に有効に閉じ込められる。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0079】
また、実施の形態4でも実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずにアンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計(図27のDudpの厚さ)を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0080】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0081】
[実施の形態4にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図28は、実施の形態4のその他の実施例である発振波長915nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図28において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、208はn型In0.49Ga0.51Pクラッド層(厚さは1.5μm)、209はn側In1-sGasAstP1-t外側ガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは600nm)、210はn側In1-yGayAszP1-z中ガイド層(z=0.7、y=0.85、厚さは100nm)、211はn側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは50nm)、212はInwGa1-wAs活性層(w=0.05、厚さは12.5nm)、213はp側In1-sGasAstP1-tガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは450nm)、214はp型In0.49Ga0.51Pクラッド層(厚さは1.5μm)である。
【0082】
尚、n側In1-sGasAstP1-t外側ガイド層209、n側In1-yGayAszP1-z中ガイド層210、n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層211、InwGa1-wAs活性層212およびp側In1-sGasAstP1-tガイド層213は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、実施例1と同じく、図28のDudpの厚さは、発振波長の0.5倍以上の値である。
なお、実施の形態4では810nm帯及び915nm帯の半導体レーザ装置を例に説明したが、本発明はこれに限るものではない。他の材料系や波長帯においても同様な効果を奏する。
【0083】
実施の形態5.
[実施の形態5の第1実施例]
図29は、実施の形態5における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図29において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、215はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.40、厚さは1.5μm)である。図29におけるその他の構成は、図27と同じ構成である。
【0084】
実施の形態5でも実施の形態4と同様に、GaAsP活性層205を中央にして、n側ガイド層のほうが、p側ガイド層よりも厚い。これにより、GaAsP活性層205がp型AlGaInPクラッド層215側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0085】
また、n側ガイド層を3つの層に分けかつ内部の層の屈折率を外側の層の屈折率よりも高くすることにより、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。
【0086】
その上、実施の形態5では、p型クラッド層215の屈折率を、n型クラッド層201の屈折率よりも小さくしている。その結果、光強度分布がp側InGaPガイド層206からp型AlGaInPクラッド層215に向けて急峻となり、GaAsP活性層205への光閉じ込め率が増す。
【0087】
更に、GaAsP活性層205に接するn側InGaP内側ガイド層204のバッドギャップエネルギーは、n側InGaAsP中ガイド層203のバンドギャップエネルギーより大きい。このため、電子及び正孔と言ったキャリアは、nガイド側に漏れ難くなりGaAsP活性層内に有効に閉じ込められる。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0088】
また、実施の形態5でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計(図29のDudpの厚さ)を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0089】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。実施の形態5では、810nm帯半導体レーザ装置を例に説明したが、これに限るものではなく、他の材料系は波長帯においても同様な効果を奏する。
【0090】
なお、上記説明した実施例においては、発振効率を高めるための電流狭窄方法として、プロトン注入による方法と絶縁膜によるストライプ形成方法を示した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。リッジ形成等の導波路による方法、n-GaAs半導体層を埋め込む等の電流ブロック層を挿入する方法等でも、本発明を実現できることは言うまでもない。又、当該実施例における各層の厚さ(厚さ)及び組成は一例であり、特に明記した場合を除き、本発明がこれらの数値や組成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 n電極
2 n型GaAs基板
3 n型AlxGa1-xAsクラッド層
4 n側AlyGa1-yAs外側ガイド層
5 n側AlzGa1-zAs内側ガイド層
6 AlwGa1-wAs活性層
7 p側AlsGa1-sAsガイド層
8 p型AltGa1-tAsクラッド層
9 p型GaAsコンタクト層
10 p電極
11 プロトン注入領域
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD書き込み用の情報処理用、NdドープYAG(Nd:YAG)レーザやYbドープYAG(Yb:YAG)レーザ等の固体レーザ、Ybドープファイバーレーザ、Erドープファイバアンプ等の励起光源用、及び光通信用といった、各種の用途の半導体レーザ装置が知られている。下記の非特許文献1にかかる半導体レーザ装置は、厚さ及び組成が同じであるAlxGa1-xAs光ガイド層によって、GaAsP活性層を挟んだ構造を備える。この構造によれば、高出力動作を可能とする半導体レーザ装置を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−233882号公報
【特許文献2】特開平11−233883号公報
【特許文献3】特開平11−243259号公報
【特許文献4】特開2006−32437号公報
【特許文献5】特開平11−163458号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Sebastian et al.、 “High-Power 810-nm GaAsP-AlGaAs Diode Lasers With Narrow Beam Divergence、” IEEE J. Select. Topics In Quantum Electron.、 vol. 7、 No. 2、 pp.334-339、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、消費電力を低減するために、電気変換効率の高い半導体レーザ装置の必要性が高まっている。しかしながら、ガイド層を厚くすることで光吸収を低減してスロープ効率を向上することも限界に達しつつある。このように消費電力低減のための技術が行き詰まりつつあるなかで、本願発明者は、鋭意研究を進め、高い電気変換効率を得ることができる半導体レーザ装置に想到した。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高いことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高く、前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、上記の目的を達成するため、半導体レーザ装置であって、
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第1の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共にn側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率より高くしたので、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0013】
第2の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第2の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共にp型クラッド層の屈折率をn型クラッド層の屈折率よりも低くしたので、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0014】
第3の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第3の発明によれば、活性層をp型クラッド層側に近づけると共に、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くし、更にp型クラッド層の屈折率をn型クラッド層の屈折率よりも低くした。よって、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつ、ガイド層内の光吸収を減少することができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0015】
第4の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第4の発明によれば、活性層がp型クラッド層側に近づけられていると共に、n側ガイド層の内部に外部よりも屈折率の高い領域が備えられる。このため、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。また、第4の発明によれば、n側ガイド層が、内部に外側より屈折率の高い領域を備える。この構成によれば、n側ガイド層の内部よりも外部の方が、バンドギャップエネルギーが大きい。このため、電子や正孔といったキャリアを、活性層に有効に閉じ込めることができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【0016】
第5の発明によれば、半導体レーザ装置において、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層が、積極的なドーピングがされずにアンドープかそれに近いドープ量の層にされている。更に、これと共に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上かつ2μm以下にされている。このため、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層内のフリーキャリア吸収を抑制することができる。そして、第5の発明によれば、活性層がp型クラッド層側に近づけられていると共に、n側ガイド層の内部に外部よりも屈折率の高い領域が備えられる。なおかつ、p型クラッド層の屈折率が、n型クラッド層の屈折率よりも低い。この構成の結果、活性層への光閉じ込め率の低減を抑えつつガイド層内の光吸収を減少することができる。また、第5の発明によれば、n側ガイド層が、内部に外部より屈折率の高い領域を備える。この構成によれば、n側ガイド層の内部よりも外部の方が、バンドギャップエネルギーが大きい。このため、電子や正孔といったキャリアを、活性層に有効に閉じ込めることができる。これらの結果、高い電気変換効率を有する半導体レーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態の機能の一部を説明するための半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態の機能の一部を説明するための半導体レーザ装置に関する、アンドープ領域光閉じ込め率のアンドープ領域の厚さ依存性を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1の第1実施例による半導体レーザ装置におけるキャリア分布及び光強度分布を示す図である。
【図5】比較例として示す半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図6】比較例の半導体レーザ装置におけるキャリア分布及び光強度分布を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態1の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態1の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態1の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態1の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態2の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態2の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態2の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態2の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態2の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態2の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態3の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態3の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図22】この発明の実施の形態3の第3実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態3の第4実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図24】この発明の実施の形態3の第5実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図25】この発明の実施の形態3の第6実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図26】この発明の実施の形態3の第7実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図27】この発明の実施の形態4の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図28】この発明の実施の形態4の第2実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図29】この発明の実施の形態5の第1実施例による半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の機能説明を行うための、発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。以下、図1を用いて、ガイド層及び活性層等のアンドープ領域の厚さが、発振波長の0.5倍以上と厚い場合の効果を明らかにする。
【0019】
図1において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、1はn電極、2はn型GaAs基板、3はn型AlxGa1-xAsクラッド層(Al組成比xは0.55、厚さは1.5μm)、101はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.35、厚さはt/2nm)、6はAlwGa1-wAs活性層(w=0.10、厚さは10nm)、102はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さはt/2nm)、8はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.55、厚さは1.5μm)、9はp型GaAsコンタクト層、10はp電極、11はプロトン注入領域である。
【0020】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層101、及びp側AlsGa1-sAsガイド層102は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0021】
図2は、図1の半導体レーザ装置でn側AlyGa1-yAs外側ガイド層101(厚さt/2)、及びp側AlsGa1-sAsガイド層102(厚さt/2)を変えた場合において、アンドープ領域の厚さに対して当該アンドープ領域に閉じ込もる光の割合を求めたものである。アンドープ領域の厚さがたとえば100nmと薄い場合は、当該アンドープ領域内に閉じこもる光の割合は約28%である。残りの72%の光は、p型或いはn型にドーピングしたクラッド層に存在する。このため、半導体レーザ装置の損失は、その殆どが、クラッド層のフリーキャリア吸収で決まることになる。
【0022】
これに対して、アンドープ領域の厚さが当該半導体レーザの発振波長の0.5倍以上と厚い場合には、80%以上の光が当該アンドープ領域に存在する。この場合には、当該アンドープ領域のフリーキャリア吸収の影響を強く受け、当該吸収により半導体レーザの損失が決まることになる。
【0023】
図1及び図2は、例示である。半導体レーザ装置には、ガイド層の屈折率をクラッド層の屈折率よりも高くしてガイド層内に光を閉じ込める機構が、必ず備えられている。また、光閉じ込めの度合いは、前記ガイド層と前記クラッド層の屈折率差、アンドープ領域の厚さ及び発振波長で決まる正規化周波数によってほぼ一意的に決まる。従って、アンドープ領域の厚さが発振波長の0.5倍以上あれば、大半の光は当該アンドープ領域に閉じ込められることになる。
【0024】
また、実施の形態1では、アンドープ領域の厚さの上限を、電子及び正孔の拡散長である2〜3μmとすることとする。
【0025】
[実施の形態1の第1実施例の構成]
図3は、実施の形態1の第1実施例にかかる、発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図3において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、4はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.35、厚さは650nm)、5はn側AlzGa1-zAs内側ガイド層(z=0.30、厚さは50nm)、7はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さは300nm)である。
【0026】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4、n側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。結晶成長及びウエハプロセスにおいて、それらの層に対して意識的な不純物のドーピングを行わないことにより、それらの層をアンドープかそれに近いドーピングとすることができる。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含めて1010nmであり、発振波長の約1.24倍となっている。
【0027】
なお、以下の説明では、p型クラッド層の側に位置するガイド層を、単にp側ガイド層と称す。実施の形態1では、p側AlsGa1-sAsガイド層7が、p側ガイド層である。また、n型クラッド層の側に位置するガイド層を、単にn側ガイド層と称す。実施の形態1では、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4およびn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5が、n側ガイド層である。
【0028】
[第1実施例の動作、光強度分布]
当該半導体レーザ装置に順方向のバイアスをかけ、n型AlxGa1-xAsクラッド層3から電子を、p型AltGa1-tAsクラッド層8からホール(正孔)を、それぞれn側AlyGa1-yAs外側ガイド層4とn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7を介してAlwGa1-wAs活性層6に注入する。
【0029】
図4は、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層4とn側AlzGa1-zAs内側ガイド層5及びp側AlsGa1-sAsガイド層7内の電子及びホールであるキャリア分布及び屈折率分布で決定される近視野像(NFP)の光強度分布を、模式的に示す。
【0030】
図4において、破線は伝導帯のバンド構造を、太実線は電子及びホールのキャリア濃度を、一点鎖線は光強度分布を示す。光ガイド層内では電荷中性条件が保たれる必要から、任意の場所で電子とホールの密度は同じとなる。活性層中心をy軸方向の原点とすると、キャリア密度は、活性層に接する場所で最も小さくなり各クラッド層3、8に向かうに従い増加する。電子及びホールの移動度をそれぞれμn及びμpとすると、p側ガイド層内のキャリア分布の傾きは、n側ガイド層内キャリア分布の傾きのμn/μpとなる。
また、光強度分布は、非対称形となる。すなわち、光強度分布のピークが、活性層6及び屈折率の高いn側内側ガイド層5に、引き寄せられている。
【0031】
[比較例との比較による実施の形態1の効果の説明]
比較のため、図5に示す対称形の場合を考察する。図において、符号400はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.35、厚さは500nm)、符号700はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.35、厚さは500nm)である。この場合のキャリア分布及び光強度分布を模式的に図6に示す。
【0032】
図6にあるように、キャリア密度は、活性層に接する場所で最も小さくなり、各クラッド層3、8に向かうに従い単調に増加する。このことは、実施の形態1と同じである。しかし、比較例では、p側ガイド層内のキャリア分布の傾きが、n側ガイド層内キャリア分布の傾きのμn/μp倍となるので、p側ガイド層内に多くのキャリアが存在することが判る。一方、光強度分布は、活性層を中心として対称形に分布する。
【0033】
これに対し、実施の形態1においては、p側ガイド厚さを薄く及びn側ガイド厚さを厚くした。このため、比較例に比して、p側ガイド層内キャリア密度を、大幅に低減することができる。その結果、ガイド層内のキャリアによる光吸収を低減でき、延いてはスロープ効率の向上が図れる。
【0034】
また、n側ガイド層を2つに分けることでnガイド層の屈折率をpガイド層の屈折率よりも高くし、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を活性層近傍に近づけるようにしている。これにより、活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率が、n側ガイド層の屈折率がp側ガイド層の屈折率と同じ場合に比べて、高くなる。このため、しきい値電流の増加を招くことなく、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0035】
また実施の形態1では、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0036】
以上の構成によれば、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。また、環境に対する有利な効果として、長寿命化(長期使用が可能、耐久性が向上)の効果や、エネルギー消費量の削減(省エネルギー)という効果を得ることができる。
【0037】
[実施の形態1にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図7は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図7において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、12はn型AlxGa1-xAsクラッド層(Al組成比xは0.30、厚さは1.5μm)、13はn側AlyGa1-yAs外側ガイド層(y=0.05、厚さは650nm)、14はn側GaAs内側ガイド層(厚さは50nm)、15はInzGa1-zAs活性層(z=0.20、厚さは10nm)、16はp側AlsGa1-sAsガイド層(s=0.05、厚さは300nm)、17はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.30、厚さは1.5μm)である。
【0038】
n側AlyGa1-yAs外側ガイド層13、n側GaAs内側ガイド層14及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1010nmであり、発振波長の約1.03倍となっている。
【0039】
(第3実施例)
図8は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図8において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、18はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.50、厚さは1.5μm)、19はn側InGaP外側ガイド層(厚さは275nm)、20はn側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層(z=0.10、y=0.56、厚さは25nm)、21はGaAs1-wPw活性層(w=0.12、厚さは10nm)、22はp側InGaPガイド層(厚さは100nm)、23はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.50、厚さは1.5μm)である。
【0040】
n側InGaP外側ガイド層19、n側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層20及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め410nmであり、発振波長の約0.51倍となっている。
また、n側InGaAsP内側ガイド層のAs組成比z及びGa組成比yは、GaAsと格子整合するように決めている。
【0041】
(第4実施例)
図9は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図9において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、24はn電極、25はn型GaN基板、26はn型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.14、厚さは0.5μm)、27はn側GaN外側ガイド層(厚さは300nm)、28はn側InyGa1-yN内側ガイド層(In組成比y=0.05、厚さは25nm)、29はIn0.15Ga0.85N活性層(In組成比y=0.15、厚さは3.5nm)、30はGaNバリア層(厚さは7nm)、31はp側GaNガイド層(厚さは150nm)、32はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.14、厚さは0.5μm)、33はp型GaNコンタクト層、34はSiN絶縁膜、35はp電極である。
【0042】
当該実施例では、発振波長約400nmの半導体レーザを実現すべく、活性層を厚さ3.5nmのInzGa1-zN三重量子井戸(In組成比z=0.15)としたものである。
【0043】
尚、n側GaN外側ガイド層27、n側InyGa1-yN内側ガイド層28、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め499.5nmであり、発振波長の約1.25倍となっている。
【0044】
(第5実施例)
図10は、実施の形態1におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図10において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、36はn電極、37はn型InP基板、38はn型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.183、As組成比y=0.40、厚さ500nm)、39はn側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ600nm)、40はn側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層(Ga組成比s=0.348、As組成比t=0.750、厚さ50nm)、41はIn1-uGauAsvP1-v活性層(Ga組成比u=0.443、As組成比v=0.950、厚さ7.5nm)、42はIn1-qGaqAsrP1-rバリア層(Ga組成比q=0.262、As組成比r=0.568、厚さ23nm)、43はp側n1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ300nm)、44はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.183、As組成比y=0.40、厚さ500nm)、45はp型InPコンタクト層、46はSiO2絶縁膜、47はp電極である。
【0045】
当該実施例は、活性層を厚さ7.5nmのIn1-uGauAsvP1-v(Ga組成比u=0.443、As組成比v=0.950)三重量子井戸として波長1310nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
【0046】
n側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層39、 n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層40、 In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1018.5nmであり、発振波長の約0.78倍となっている。
【0047】
(第6実施例)
図11は、実施の形態1のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図11において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、48はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.70、厚さは1.5μm)、49はn側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは600nm)、50はn側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層(Al組成比zは0.30、厚さは50nm)、51はGa0.51In0.49P活性層(厚さは5.5nm)、52は(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層(Al組成比wは0.50、厚さは5nm)、53はp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは300nm)、54はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.70、厚さは1.5μm)である。
【0048】
n側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層49、n側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層50、(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め976.5nmであり、発振波長の約1.45倍となっている。
【0049】
(第7実施例)
図12は、実施の形態1におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図12において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、55はn型InPクラッド層(厚さ=0.75μm)、56はn側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ600nm)、 57はn側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層(Ga組成比z=0.277、As組成比w=0.600、厚さ50nm)、58はIn1-sGasAstP1-t活性層(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710、厚さ8nm)、59はIn1-uGauAsvP1-vバリア層(Ga組成比u=0.800、As組成比v=0.175、厚さ20nm)、60はp側In1-xGaxAsyP1-yガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ300nm)、61はp型InPクラッド層(厚さ0.75μm)である。
【0050】
当該実施例は、活性層を厚さ8nmのIn1-sGasAstP1-t(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710)五重量子井戸として波長1550nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
【0051】
n側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層56、n側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層57、In1-uGauAsvP1-vバリア層59及びp側In1-xGaxAsyP1-yガイド層60は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、本実施例におけるアンドープ層の厚さ(図のDudp)は、活性層を含め1070nmであり、発振波長の約0.69倍となっている。
【0052】
実施の形態2.
[実施の形態2の第1実施例]
図13は、実施の形態2における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図13において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、62はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.35、厚さは700nm)、63はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.60、厚さは1.5μm)である。実施の形態2の第1実施例は、内側ガイド層の構成を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。
【0053】
AlGaAs活性層6は、p型AlGaAsクラッド層63側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下しスロープ効率が向上する。
【0054】
また、p型AltGa1-tAsクラッド層63のAl組成比tをn型AlxGa1-xAsクラッド層3のAl組成比xより大きくしているので、p型AlGaAsクラッド層63の屈折率はn型AlGaAsクラッド層3の屈折率よりも小さくなる。このため、p側AlGaAsガイド層7とp型AlGaAsクラッド層63間の屈折率差は、n側AlGaAsガイド層62とn型AlGaAsクラッド層3間の屈折率差よりも大きくなり、光強度分布はp側AlGaAsガイド層7からp型AlGaAsクラッド層63に向けて急峻となりAlGaAs活性層6への光閉じ込め率が増す。これにより、しきい値電流低減が図れる。
【0055】
また、上述したように、実施の形態2の第1実施例は、内側ガイド層の構成を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。すなわち、実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0056】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0057】
[実施の形態2にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図14は、実施の形態2のその他の実施例における発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図14において、64はn側AlyGa1-yAsガイド層(y=0.05、厚さは700nm)、65はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.35、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図7と同じである。尚、n側AlyGa1-yAsガイド層64及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0058】
(第3実施例)
図15は、実施の形態2のその他の実施例における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図15において、66はn側InGaPガイド層(厚さは300nm)、67はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.55、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図8と同じである。尚、n側InGaPガイド層66及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0059】
(第4実施例)
図16は、実施の形態2のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図16において、68はn側GaNガイド層(厚さは350nm)、69はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.16、厚さは0.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図9と同じである。尚、n側GaNガイド層68、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0060】
(第5実施例)
図17は、実施の形態2におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図17において、 70はn側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.262、As組成比w=0.568、厚さ650nm)、71はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.160、As組成比y=0.350、厚さ500nm)である。内側ガイド層を除き、その他は図10と同じである。尚、n側In1-zGazAswP1-wガイド層70、In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0061】
(第6実施例)
図18は、実施の形態2のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図18において、72はn側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層(Al組成比yは0.50、厚さは650nm)、 73はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.80、厚さは1.5μm)である。内側ガイド層を除き、その他は図11と同じである。尚、n側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層72、 (AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0062】
(第7実施例)
図19は、実施の形態2におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図19において、74はn型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.023、As組成比y=0.050、厚さ=1.0μm)、75はn側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.800、As組成比w=0.175、厚さ650nm)、76はIn1-sGasAstP1-t活性層(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710、厚さ8nm)、77はIn1-uGauAsvP1-vバリア層(Ga組成比u=0.800、As組成比v=0.175、厚さ20nm)、78はp側In1-zGazAswP1-wガイド層(Ga組成比z=0.800、As組成比w=0.175、厚さ300nm)、79はp型InPクラッド層(厚さ1.0μm)である。
【0063】
当該実施例は、活性層を厚さ8nmのIn1-sGasAstP1-t(Ga組成比s=0.329、As組成比t=0.710)五重量子井戸として波長1550nm近傍で発振するようにした半導体レーザ装置である。
尚、n側In1-zGazAswP1-wガイド層75、In1-uGauAsvP1-vバリア層77及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層78は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0064】
実施の形態3.
[実施の形態3の第1実施例]
図20は、実施の形態3における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図20において、80はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.60、厚さは1.5μm)である。その他は、図3と同じである。AlGaAs活性層6がp型AlGaAsクラッド層80側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0065】
また、n側ガイド層を2つに分けることで、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。その結果、活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率が、n側ガイド層の屈折率がp側ガイド層の屈折率と同じ場合に比べて、高くなる。
【0066】
更に、p型AltGa1-tAsクラッド層80のAl組成比tを、n型AlxGa1-xAsクラッド層3のAl組成比xより大きくしている。このため、p型AlGaAsクラッド層80の屈折率はn型AlGaAsクラッド層3の屈折率よりも小さくなる。よって、p側AlGaAsガイド層7とp型AlGaAsクラッド層80間の屈折率差は、n側AlGaAsガイド層4とn型AlGaAsクラッド層3間の屈折率差よりも大きくなる。これに伴い、光強度分布がp側AlGaAsガイド層7からp型AlGaAsクラッド層80に向けて急峻となり、AlGaAs活性層6への光閉じ込め率が増す。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0067】
また、上述したように、実施の形態3の第1実施例は、p型AltGa1-tAsクラッド層80を備える点を除き、実施の形態1の第1実施例(すなわち図3の構成)と同じである。すなわち、実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0068】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0069】
[実施の形態3にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図21は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長980nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図21において、81はp型AltGa1-tAsクラッド層(t=0.35、厚さは1.5μm)である。その他は図7と同じである。尚、n側AlyGa1-yAs外側ガイド層13、n側GaAs内側ガイド層14及びp側AlsGa1-sAsガイド層16は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0070】
(第3実施例)
図22は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図22において、82はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.55、厚さは1.5μm)である。その他は図8と同じである。尚、n側InGaP外側ガイド層19、n側In1-yGayAszP1-z内側ガイド層20及びp側InGaPガイド層22は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0071】
(第4実施例)
図23は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長400nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図23において、83はp型AlxGa1-xNクラッド層(Al組成比x=0.16、厚さは0.5μm)である。その他は、図9と同じである。尚、n側GaN外側ガイド層27、n側InyGa1-yN内側ガイド層28、GaNバリア層30及びp側GaNガイド層31は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0072】
(第5実施例)
図24は、実施の形態3におけるその他の実施例である発振波長1310nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図24において、84はp型In1-xGaxAsyP1-yクラッド層(Ga組成比x=0.160、As組成比y=0.35、厚さ500nm)である。その他は図10と同じである。尚、n側In1-zGazAswP1-w外側ガイド層39、 n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層40、 In1-qGaqAsrP1-rバリア層42、及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層43は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0073】
(第6実施例)
図25は、実施の形態3のその他の実施例である発振波長660nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図25において、85はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(Al組成比xは0.80、厚さは1.5μm)である。その他は図11と同じである。尚、n側(AlyGa1-y)0.51In0.49P外側ガイド層49、n側(AlzGa1-z)0.51In0.49P内側ガイド層50、(AlwGa1-w)0.51In0.49Pバリア層52及びp側(AlyGa1-y)0.51In0.49Pガイド層53は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0074】
(第7実施例)
図26は、実施の形態3におけるその他の実施例である発振波長1550nm帯の半導体レーザ装置を示す断面図である。図26において、86はn側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層(Ga組成比x=0.800、As組成比y=0.175、厚さ600nm)、87はn側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層(Ga組成比z=0.277、As組成比w=0.600、厚さ500nm)である。n側ガイド層を除き、その他は図19と同じである。尚、n側In1-xGaxAsyP1-y外側ガイド層86、n側In1-zGazAswP1-w内側ガイド層87、In1-uGauAsvP1-vバリア層77及びp側In1-zGazAswP1-wガイド層78は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。
【0075】
実施の形態4.
[実施の形態4の第1実施例]
図27は、実施の形態4における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図27において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、201はn型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.30、厚さは1.5μm)、202はn側InGaP外側ガイド層(厚さは630nm)、203はn側In1-yGayAszP1-z中ガイド層(z=0.10、y=0.56、厚さは100nm)、204はn側InGaP内側ガイド層(厚さは20nm)、205はGaAs1-wPw活性層(w=0.12、厚さは12.5nm)、206はp側InGaPガイド層(厚さは450nm)、207はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.30、厚さは1.5μm)である。
【0076】
上記の構成によれば、GaAsP活性層205を中央にして、n側ガイド層のほうが、p側ガイド層よりも厚い。つまり、GaAsP活性層205は、p型AlGaInPクラッド層207側に近く配置されている。この構成により、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0077】
また、実施の形態4では、n側ガイド層を3つの層に分けかつ内部の層の屈折率を外側の層の屈折率よりも高くすることにより、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。活性層に閉じ込められる光密度の割合である光閉じ込め率について比較すると、n側ガイド層において内部の屈折率と外側の屈折率とが同じである場合には光閉じ込め率が約1.7%であるのに対して、実施の形態4によれば光閉じ込め率が約1.8%である。このように、実施の形態4によれば、高い光閉じ込め率を実現することができる。
【0078】
更に、GaAsP活性層205に接するn側InGaP内側ガイド層204のバッドギャップエネルギーは、n側InGaAsP中ガイド層203のバンドギャップエネルギーより大きい。このため、電子及び正孔といったキャリアはnガイド側に漏れ難くなりGaAsP活性層内に有効に閉じ込められる。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0079】
また、実施の形態4でも実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずにアンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計(図27のDudpの厚さ)を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0080】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。
【0081】
[実施の形態4にかかる他の実施例]
(第2実施例)
図28は、実施の形態4のその他の実施例である発振波長915nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図28において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、208はn型In0.49Ga0.51Pクラッド層(厚さは1.5μm)、209はn側In1-sGasAstP1-t外側ガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは600nm)、210はn側In1-yGayAszP1-z中ガイド層(z=0.7、y=0.85、厚さは100nm)、211はn側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは50nm)、212はInwGa1-wAs活性層(w=0.05、厚さは12.5nm)、213はp側In1-sGasAstP1-tガイド層(t=0.6、s=0.8、厚さは450nm)、214はp型In0.49Ga0.51Pクラッド層(厚さは1.5μm)である。
【0082】
尚、n側In1-sGasAstP1-t外側ガイド層209、n側In1-yGayAszP1-z中ガイド層210、n側In1-sGasAstP1-t内側ガイド層211、InwGa1-wAs活性層212およびp側In1-sGasAstP1-tガイド層213は、積極的なドーピングを行っていないため、アンドープかそれに近いドーピングとなっている。また、実施例1と同じく、図28のDudpの厚さは、発振波長の0.5倍以上の値である。
なお、実施の形態4では810nm帯及び915nm帯の半導体レーザ装置を例に説明したが、本発明はこれに限るものではない。他の材料系や波長帯においても同様な効果を奏する。
【0083】
実施の形態5.
[実施の形態5の第1実施例]
図29は、実施の形態5における発振波長810nm帯の半導体レーザ装置を示す斜視図である。図29において、符号と構成の対応関係は、次の通りである。すなわち、215はp型(AlxGa1-x)0.51In0.49Pクラッド層(x=0.40、厚さは1.5μm)である。図29におけるその他の構成は、図27と同じ構成である。
【0084】
実施の形態5でも実施の形態4と同様に、GaAsP活性層205を中央にして、n側ガイド層のほうが、p側ガイド層よりも厚い。これにより、GaAsP活性層205がp型AlGaInPクラッド層215側に配置されているので、ガイド層内に溜まるキャリア数は、活性層がガイド層中央に存在する場合に比べて減少する。このため、フリーキャリア吸収に起因する損失が低下し、スロープ効率が向上する。
【0085】
また、n側ガイド層を3つの層に分けかつ内部の層の屈折率を外側の層の屈折率よりも高くすることにより、n側ガイド層の屈折率をp側ガイド層の屈折率よりも高くした。これにより、光強度分布で光強度が最も強くなる部分を、活性層近傍に近づけることができる。
【0086】
その上、実施の形態5では、p型クラッド層215の屈折率を、n型クラッド層201の屈折率よりも小さくしている。その結果、光強度分布がp側InGaPガイド層206からp型AlGaInPクラッド層215に向けて急峻となり、GaAsP活性層205への光閉じ込め率が増す。
【0087】
更に、GaAsP活性層205に接するn側InGaP内側ガイド層204のバッドギャップエネルギーは、n側InGaAsP中ガイド層203のバンドギャップエネルギーより大きい。このため、電子及び正孔と言ったキャリアは、nガイド側に漏れ難くなりGaAsP活性層内に有効に閉じ込められる。これらにより、しきい値電流の低減が図れる。
【0088】
また、実施の形態5でも、実施の形態1と同様に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層を、積極的なドーピングをせずに、アンドープかそれに近いドーピングとしている。更に、p側ガイド層、活性層及びn側ガイド層の厚さの合計(図29のDudpの厚さ)を、発振波長の0.5倍以上の値にしている。これにより、レーザ光の大部分をそれらの層内に存在するようにでき、且つ、クラッド層のフリーキャリア吸収を減ずることができる。
【0089】
以上の構成により、電気変換効率の高い半導体レーザ装置を得ることができる。実施の形態5では、810nm帯半導体レーザ装置を例に説明したが、これに限るものではなく、他の材料系は波長帯においても同様な効果を奏する。
【0090】
なお、上記説明した実施例においては、発振効率を高めるための電流狭窄方法として、プロトン注入による方法と絶縁膜によるストライプ形成方法を示した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。リッジ形成等の導波路による方法、n-GaAs半導体層を埋め込む等の電流ブロック層を挿入する方法等でも、本発明を実現できることは言うまでもない。又、当該実施例における各層の厚さ(厚さ)及び組成は一例であり、特に明記した場合を除き、本発明がこれらの数値や組成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 n電極
2 n型GaAs基板
3 n型AlxGa1-xAsクラッド層
4 n側AlyGa1-yAs外側ガイド層
5 n側AlzGa1-zAs内側ガイド層
6 AlwGa1-wAs活性層
7 p側AlsGa1-sAsガイド層
8 p型AltGa1-tAsクラッド層
9 p型GaAsコンタクト層
10 p電極
11 プロトン注入領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項3】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高く、前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置であって、
前記活性層が、バリア層を含んでなる多重量子井戸構造の層であり、
前記バリア層は、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層、前記p側ガイド層、及び前記バリア層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置であって、
前記アンドープの層、または、前記ドープ量が抑制された層が、結晶成長及びウエハプロセスにおいて積極的な不純物のドーピングが行われない層であることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項6】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項7】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項1】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項2】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項3】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層の屈折率が、前記p側ガイド層の屈折率よりも高く、前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低いことを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置であって、
前記活性層が、バリア層を含んでなる多重量子井戸構造の層であり、
前記バリア層は、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層、前記p側ガイド層、及び前記バリア層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置であって、
前記アンドープの層、または、前記ドープ量が抑制された層が、結晶成長及びウエハプロセスにおいて積極的な不純物のドーピングが行われない層であることを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項6】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【請求項7】
n型クラッド層と、p型クラッド層と、これらの層の間に位置する活性層と、前記n型クラッド層側に位置したガイド層であるn側ガイド層と、前記p型クラッド層側に位置したガイド層であるp側ガイド層と、を備え、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層が、アンドープの層またはドープ量が抑制された層であり、
前記n側ガイド層、前記活性層及び前記p側ガイド層の厚さの合計が、半導体レーザ装置の発振波長の0.5倍以上、かつ2μm以下であり、
前記p側ガイド層が、前記n側ガイド層より薄く、
前記p型クラッド層の屈折率が、前記n型クラッド層の屈折率よりも低く、
前記n側ガイド層が、前記活性層側に位置する第1の層と、前記n型クラッド層側に位置する第2の層と、前記第1、2の層の間に位置しかつ前記第1の層の屈折率および前記第2の層の屈折率よりも高い屈折率を備えた第3の層と、を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2010−135724(P2010−135724A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90934(P2009−90934)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「エネルギー使用合理化技術戦略的開発 エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発 省エネルギーレーザ加工のための高効率ファイバ結合型レーザ光源の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「エネルギー使用合理化技術戦略的開発 エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発 省エネルギーレーザ加工のための高効率ファイバ結合型レーザ光源の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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