説明

半導体回路

【課題】安定した動作を行うことができる半導体回路を提供することを課題とする。
【解決手段】ソースが第1の電位ノードに接続される第1のpチャネルトランジスタ(201)と、ソースが第2の電位ノードに接続される第1のnチャネルトランジスタ(202)と、ゲートが第1のnチャネルトランジスタのドレインに接続され、ドレインが第1のnチャネルトランジスタのゲートに接続される第2のpチャネルトランジスタ(203)と、ゲートが第1のpチャネルトランジスタのドレインに接続され、ドレインが第1のpチャネルトランジスタのゲートに接続される第2のnチャネルトランジスタ(204)と、第1のpチャネルトランジスタ及び第1のnチャネルトランジスタのドレイン間に接続される第1の抵抗(301,302)と、第2のpチャネルトランジスタ及び第2のnチャネルトランジスタのドレイン間に接続される第2の抵抗(303,304)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工技術の進化によって半導体回路の動作速度が向上するのに伴い、半導体チップ内部では高速且つ品質の良いクロック信号が必要となってくる。半導体チップ内部の動作速度と同じGHz超の周波数のクロック信号を実装基板上で生成して半導体チップに入力するのは困難なので、通常は実装基板上の水晶発振器等から低速なクロック信号を半導体チップに入力して、半導体チップ内部のPLL(位相ロックループ)回路で逓倍して高速なクロック信号を生成する。GHz超の周波数で品質の良いクロック信号を生成するためにはPLL回路内の発振回路が特に重要となり、近年インダクタと可変容量を使用する所謂LC発振器が使用されることが多くなっている。その中でもCMOSフリップフロップ型の発振回路は、サイズの大きいインダクタの個数が少なくてすむこと、消費電流が少ないことなどのメリットがある。
【0003】
また、出力電圧が"H"レベルから"L"レベルに変化するスイッチング動作時の駆動力を高くし得ると共にスイッチング動作時の接地電位の変動を抑制し得るバイ−CMOS出力回路が知られている(例えば、特開平5−37346号公報参照)。
【0004】
また、ソフトエラー耐性を向上させつつ高速動作が担保できる半導体記憶装置が知られている(例えば、特開2005−302121号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−37346号公報
【特許文献2】特開2005−302121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安定した動作を行うことができる半導体回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
半導体回路は、ソースが第1の電位ノードに接続される第1のpチャネル電界効果トランジスタと、ソースが第2の電位ノードに接続される第1のnチャネル電界効果トランジスタと、ソースが前記第1の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のpチャネル電界効果トランジスタと、ソースが前記第2の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のnチャネル電界効果トランジスタと、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第1の抵抗と、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第2の抵抗とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1の抵抗及び第2の抵抗を設けることにより、電界効果トランジスタのゲート及びソース間電圧を高くすることができ、電界効果トランジスタの増幅の利得を高くすることができ、安定した動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】CMOSフリップフロップ型LC発振回路の構成例を示す回路図である。
【図2】図1の発振回路の詳細な構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるCMOSフリップフロップ型LC発振回路(半導体回路)の構成例を示す回路図である。
【図4】図3の発振回路のノードの電圧波形例を示す図である。
【図5】トランスファーゲートを用いた抵抗の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるCMOSフリップフロップ型LC発振回路(半導体回路)の構成例を示す回路図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による2分周回路(半導体回路)の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7のラッチ回路(半導体回路)の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(参考技術)
図1は、CMOSフリップフロップ型LC発振回路の構成例を示す回路図である。反転増幅器101は、入力端子が反転出力端子OUTXに接続され、出力端子が正転出力端子OUTに接続される。反転増幅器102は、入力端子が正転出力端子OUTに接続され、出力端子が反転出力端子OUTXに接続される。インダクタ103は、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTX間に接続される。可変容量104は、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTX間に接続される。反転増幅器101及び102は、フリップフロップ回路を構成する。反転増幅器101及び102の利得がある程度大きければ、正転出力端子OUTは、ハイレベル及びローレベル間の遷移を交互に繰り返して発振する。発振周波数fは、1/{2π√(LC)}となる。ここで、Lはインダクタ103のインダクタンス、Cは可変容量104の容量値である。正転出力端子OUTは、発振信号を出力する。反転出力端子OUTXは、正転出力端子OUTの発振信号に対して逆相の発振信号を出力する。
【0011】
図2は、図1の発振回路の詳細な構成例を示す回路図である。反転増幅器101は、第1のpチャネル電界効果トランジスタ201及び第1のnチャネル電界効果トランジスタ202を有する。反転増幅器102は、第2のpチャネル電界効果トランジスタ203及び第2のnチャネル電界効果トランジスタ204を有する。第1のpチャネル電界効果トランジスタ201は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートが正転出力端子OUTに接続され、ドレインが反転出力端子OUTXに接続される。第1のnチャネル電界効果トランジスタ202は、ソースが電流源205を介して基準電位ノードに接続され、ゲートが正転出力端子OUTに接続され、ドレインが反転出力端子OUTXに接続される。第2のpチャネル電界効果トランジスタ203は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートが反転出力端子OUTXに接続され、ドレインが正転出力端子OUTに接続される。第2のnチャネル電界効果トランジスタ204は、ソースが電流源205を介して基準電位ノードに接続され、ゲートが反転出力端子OUTXに接続され、ドレインが正転出力端子OUTに接続される。電流源205を設けると、製造バラツキによる特性劣化を抑えられる。
【0012】
発振回路は、反転増幅器101及び102の利得が小さいと、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXが同一の中間電位で固定となり、発振しなくなる。また、テクノロジが進んで回路の電源電圧が低くなってきたり、トランジスタ201〜204のリーク電流を抑えるためにトランジスタ201〜204の閾値電圧Vthが高くなってきたりすると、中間電位に対してpチャネル電界効果トランジスタ201,203及びnチャネル電界効果トランジスタ202,204が共に十分オンしない領域が生じてきて、反転増幅器101及び102の利得が低下する。そのとき、発振回路を発振させるためには、トランジスタ201〜204のサイズを非常に大きくして利得を確保する必要が生じ、製造コスト及び消費電流が増大することになる。
【0013】
また、トランジスタ201〜204のゲートの寄生容量が大きくなりすぎると、可変容量104及びトランジスタ201〜204のゲートの寄生容量が並列接続されているため、容量値の可変範囲が狭くなり、所望の発振周波数が得られなくなる。
【0014】
また、Q値(Quality Factor)の低いインダクタ103を使用する場合も同様に発振し難くなり、トランジスタ201〜204のサイズを大きくする必要が生じる。インダクタ103のQ値を高くし、発振し易くするためには、インダクタ103のサイズを大きくしたり、メタル配線の層数を増やす又は膜圧を厚くしたりするため、製造コストが増大する。
【0015】
以下、安定した動作を行うことができる半導体回路の実施形態を説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態によるCMOSフリップフロップ型LC発振回路(半導体回路)の構成例を示す回路図である。本実施形態の発振回路(図3)は、図2の発振回路に対して、抵抗301〜304を追加したものである。
【0017】
反転増幅器101は、第1のpチャネル電界効果トランジスタ201、抵抗301,302及び第1のnチャネル電界効果トランジスタ202を有する。反転増幅器102は、第2のpチャネル電界効果トランジスタ203、抵抗303,304及び第2のnチャネル電界効果トランジスタ204を有する。
【0018】
第1のpチャネル電界効果トランジスタ201は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートがノードNBNに接続され、ドレインがノードNAPに接続される。第1のnチャネル電界効果トランジスタ202は、ソースが第3のnチャネル電界効果トランジスタ305のドレインに接続され、ゲートがノードNBPに接続され、ドレインがノードNANに接続される。第2のpチャネル電界効果トランジスタ203は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートがノードNANに接続され、ドレインがノードNBPに接続される。第2のnチャネル電界効果トランジスタ204は、ソースが第3のnチャネル電界効果トランジスタ305のドレインに接続され、ゲートがノードNAPに接続され、ドレインがノードNBNに接続される。第3のnチャネル電界効果トランジスタ305は、ゲートが制御端子PDXに接続され、ソースが基準電位ノード(例えばグランド電位ノード)に接続される。
【0019】
インダクタ103は、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTX間に接続される。可変容量104は、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTX間に接続される。抵抗301は、ノードNAP及び反転出力端子OUTX間に接続される。抵抗302は、反転出力端子OUTX及びノードNAN間に接続される。抵抗303は、ノードNBP及び正転出力端子OUT間に接続される。抵抗304は、正転出力端子OUT及びノードNBN間に接続される。
【0020】
反転増幅器101及び102は、フリップフロップ回路を構成する。反転増幅器101及び102の反転増幅により、正転出力端子OUTは、ハイレベル及びローレベル間の遷移を交互に繰り返して発振する。発振周波数fは、1/{2π√(LC)}となる。ここで、Lはインダクタ103のインダクタンス、Cは可変容量104の容量値である。可変容量104の容量を変化させることにより、発振周波数fを変えることができる。正転出力端子OUTは、発振信号を出力する。反転出力端子OUTXは、正転出力端子OUTの発振信号に対して逆相の発振信号を出力する。
【0021】
制御端子PDXに固定バイアス電圧を印加すると、第3のnチャネル電界効果トランジスタ305は電流源として機能する。トランジスタ305の電流源を設けることにより、製造バラツキによる特性劣化を抑制することができる。
【0022】
また、電流源を必要としない場合でも、トランジスタ305は、パワーダウン時の電流パスを遮断するためのトランジスタとして機能させることができる。パワーダウン時には、制御端子PDXを基準電位ノードに接続することにより、トランジスタ305がオフし、電流パスを遮断することができる。それ以外の時には、上記と同様に、制御端子PDXにバイアス電圧(電源電圧又は中間電圧)を印加することができる。
【0023】
また、トランジスタ305は、基準電位ノード側ではなく、電源電位ノードVdd側に設けても、同様の効果を得ることができる。すなわち、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートが制御端子PDXに接続され、ドレインがトランジスタ201及び203のソースの相互接続点に接続されたpチャネル電界効果トランジスタを設け、トランジスタ202及び204のソースを直接、基準電位ノードに接続することができる。
【0024】
また、トランジスタ305を削除し、トランジスタ202及び204のソースを直接、基準電位ノードに接続してもよい。
【0025】
例えば、電源電位ノードVddは1.2Vであり、基準電位ノードは0Vである。発振の初期時には、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXは、共に例えば0.6Vの同一の中間電位になる。
【0026】
図2の発振回路の場合、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXが共に0.6Vになると、トランジスタ201〜204のゲート電圧はすべて0.6Vになる。すると、pチャネル電界効果トランジスタ201及び203のソース及びゲート間電圧は1.2V−0.6V=0.6Vになる。また、nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のソース及びゲート間電圧は0.6V−0V=0.6Vになる。
【0027】
図4は、図3の発振回路のノードNAP、NAN、NBP及びNBNの電圧波形例を示す図である。例えば、電源電位ノードVddは1.2Vであり、基準電位ノードは0Vである。ノードNAP及びNBPの最大電圧は1.2V付近であり、ノードNAN及びNBNの最低電圧は0V付近である。図3の発振回路では、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXが共に0.6Vになると、抵抗301〜304の電圧降下により、例えば、ノードNAPが0.7V、ノードNANが0.5V、ノードNBPが0.7V、ノードNBNが0.5Vになる。その結果、pチャネル電界効果トランジスタ201及び203のゲート電圧はそれぞれ0.5Vになり、nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のゲート電圧はそれぞれ0.7Vになる。すると、pチャネル電界効果トランジスタ201及び203のソース及びゲート間電圧は1.2V−0.5V=0.7Vになり、図2の発振回路のものより高くなる。また、nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のソース及びゲート間電圧は0.7V−0V=0.7Vになり、図2の発振回路のものより高くなる。
【0028】
この状態では、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXのいずれがハイレベルになるか不確定であるが、やがてノイズにより、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXのうちのいずれか一方がハイレベルになり、他方がローレベルになる。
【0029】
上記のように、pチャネル電界効果トランジスタ201及び203のソース及びゲート間電圧が高くなり、nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のソース及びゲート間電圧が高くなる。これにより、トランジスタ201〜204に流せる電流が増えるので、反転増幅器101及び102の利得が高くなる。反転増幅器101及び102の利得が高くなるので、トランジスタ201〜204のサイズが小さくても、発振回路は安定して発振を開始することができる。また、電源電圧が低くても、発振回路は安定して発振を開始することができる。
【0030】
また、抵抗301〜304を設けると、トランジスタ201〜204のゲートの寄生容量は、それぞれ抵抗301〜304を介して可変容量104に接続される。そのため、図3の発振回路は、図2の発振回路に比べ、可変容量104による容量値の可変範囲が広くなり、発振周波数の範囲を広くすることができる。ただし、抵抗301〜304の抵抗値を大きくし過ぎると、RCの遅延により発振回路の高周波特性が劣化する。
【0031】
なお、図3の発振回路において抵抗302及び304を削除しても、同様の効果が得られる。その場合、抵抗301は、第1のpチャネル電界効果トランジスタ201のドレイン及び反転出力端子OUTX間に接続される。抵抗303は、第2のpチャネル電界効果トランジスタ203のドレイン及び正転出力端子OUT間に接続される。反転出力端子OUTXは、第1のnチャネル電界効果トランジスタ202のドレインに接続される。正転出力端子OUTは、第2のnチャネル電界効果トランジスタ204のドレインに接続される。
【0032】
また、図3の発振回路において抵抗301及び303を削除しても、同様の効果が得られる。その場合、抵抗302は、第1のnチャネル電界効果トランジスタ202のドレイン及び反転出力端子OUTX間に接続される。抵抗304は、第2のnチャネル電界効果トランジスタ204のドレイン及び正転出力端子OUT間に接続される。反転出力端子OUTXは、第1のpチャネル電界効果トランジスタ201のドレインに接続される。正転出力端子OUTは、第2のpチャネル電界効果トランジスタ203のドレインに接続される。
【0033】
抵抗301〜304は、ポリシリコン抵抗、メタル(金属)抵抗、拡散抵抗等の受動素子で構成することができるが、図5のようなトランスファーゲートのオン抵抗を抵抗素子として用いてもよい。
【0034】
図5は、トランスファーゲートを用いた抵抗301の構成例を示す図である。pチャネル電界効果トランジスタ501は、ソースがノードNAPに接続され、ゲートが基準電位ノードに接続され、ドレインが反転出力端子OUTXに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ502は、ソースが反転出力端子OUTXに接続され、ゲートが電源電位ノードVddに接続され、ドレインがノードNAPに接続される。トランジスタ501及び502は、共にオンし、そのオン抵抗により、抵抗として機能させることができる。抵抗302〜304も、図5の抵抗301と同様に、トランスファーゲートで構成することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態によるCMOSフリップフロップ型LC発振回路(半導体回路)の構成例を示す回路図である。本実施形態の発振回路(図6)は、図3の発振回路に対して、トランジスタ305及び抵抗301〜304の代わりに、トランジスタ601〜604を設けたものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0036】
pチャネル電界効果トランジスタ601は、ソースがノードNAPに接続され、ゲートが基準電位ノードに接続され、ドレインが反転出力端子OUTXに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ602は、ソースがノードNANに接続され、ゲートが制御端子PDXに接続され、ドレインが反転出力端子OUTXに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ603は、ソースがノードNBPに接続され、ゲートが基準電位ノードに接続され、ドレインが正転出力端子OUTに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ604は、ソースがノードNBNに接続され、ゲートが制御端子PDXに接続され、ドレインが正転出力端子OUTに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のソースは、基準電位ノードに接続される。
【0037】
トランジスタ601及び603は、共にオンし、そのオン抵抗により、抵抗として機能させることができる。
【0038】
トランジスタ602及び604は、図3の抵抗302,304及びトランジスタ305の機能を有する。通常時には、制御端子PDXは電源電位ノードVddに接続され、トランジスタ602及び604は共にオンし、そのオン抵抗により抵抗として機能する。パワーダウン時には、制御端子PDXは基準電位ノードに接続され、トランジスタ602及び604は共にオフし、電流パスを遮断する。
【0039】
トランジスタ601〜604を図3の抵抗301〜304として機能させると、図5のトランスファーゲートを用いる場合に比べ、ノードNAP,NAN,NBP,NBNの電圧がフル振幅しないので、トランジスタ201〜204が完全にオフしなくなり、消費電流が増える欠点があるが、サイズを小さくすることができる利点がある。なお、図6の発振回路においても、図2に示す電流源205を設けてもよい。
【0040】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態による2分周回路(半導体回路)の構成例を示すブロック図である。ラッチ回路701は、正転入力端子Dが反転分周出力端子DIVOUTXに接続され、反転入力端子DXが正転分周出力端子DIVOUTに接続され、正転クロック端子CKには正転クロック信号が供給され、反転クロック端子CKXには反転クロック信号が供給される。ラッチ回路701の正転出力端子OUTはラッチ回路702の正転入力端子Dに接続され、ラッチ回路701の反転出力端子OUTXはラッチ回路702の反転入力端子DXに接続される。ラッチ回路702は、正転クロック端子CKには正転クロック信号が供給され、反転クロック端子CKXには反転クロック信号が供給され、正転出力端子OUTが正転分周出力端子DIVOUTに接続され、反転出力端子OUTXが反転分周出力端子DIVOUTXに接続される。
【0041】
図8は、図7のラッチ回路(半導体回路)701及び702の構成例を示す回路図である。図8のラッチ回路は、図3の発振回路に対して、インダクタ103、可変容量104、抵抗302,304及びトランジスタ305を削除し、トランジスタ801〜804を追加したものである。
【0042】
第1のpチャネル電界効果トランジスタ201は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートがノードNBNに接続され、ドレインがノードNAPに接続される。第1のnチャネル電界効果トランジスタ202は、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがノードNBPに接続され、ドレインがノードNANに接続される。第2のpチャネル電界効果トランジスタ203は、ソースが電源電位ノードVddに接続され、ゲートがノードNANに接続され、ドレインがノードNBPに接続される。第2のnチャネル電界効果トランジスタ204は、ソースが基準電位ノードに接続され、ゲートがノードNAPに接続され、ドレインがノードNBNに接続される。
【0043】
nチャネル電界効果トランジスタ801は、ソースが正転入力端子Dに接続され、ゲートが正転クロック端子CKに接続され、ドレインがノードNAPに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ802は、ソースが正転入力端子Dに接続され、ゲートが反転クロック端子CKXに接続され、ドレインがノードNANに接続される。
【0044】
nチャネル電界効果トランジスタ803は、ソースが反転入力端子DXに接続され、ゲートが正転クロック端子CKに接続され、ドレインがノードNBPに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ804は、ソースが反転入力端子DXに接続され、ゲートが反転クロック端子CKXに接続され、ドレインがノードNBNに接続される。
【0045】
抵抗301は、ノードNAP及びNAN間に接続される。抵抗302は、ノードNBP及びNBN間に接続される。正転出力端子OUTは、ノードNANに接続される。反転出力端子OUTXは、ノードNBNに接続される。
【0046】
トランジスタ801〜804の駆動力をトランジスタ201〜204の駆動力より十分大きくしておくことにより、ラッチ回路のデータの書き換えを行うことができる。正転クロック端子CKの正転クロック信号及び反転クロック端子CKXの反転クロック信号は、相互に反転したクロック信号である。正転クロック信号がハイレベルのときには反転クロック信号がローレベルであり、正転クロック信号がローレベルのときには反転クロック信号がハイレベルである。
【0047】
まず、ラッチ回路の書き込みモードについて説明する。正転クロック端子CKがハイレベル、反転クロック端子CKXがローレベルになると、トランジスタ801〜804がオンし、正転入力端子DはノードNAP及びNANに接続され、反転入力端子DXはノードNBP及びNBNに接続される。正転入力端子Dの信号はノードNAP及びNANに書き込まれ、反転入力端子DXの信号はノードNBP及びNBNに書き込まれる。
【0048】
正転入力端子Dの正転入力信号及び反転入力端子DXの反転入力信号は、相互に反転した信号である。トランジスタ201及び202は、反転増幅器を構成し、ノードNBP及びNBNの入力信号を反転増幅し、ノードNAP及びNANに出力する。同様に、トランジスタ203及び204は、反転増幅器を構成し、ノードNAP及びNANの入力信号を反転増幅し、ノードNBP及びNBNに出力する。上記の書き込みにより、正転出力端子OUTの信号及び反転出力端子OUTXの信号は、相互に反転した信号になる。
【0049】
次に、ラッチ回路の保持モードについて説明する。正転クロック端子CKがローレベル、反転クロック端子CKXがハイレベルになると、トランジスタ801〜804がオフする。これにより、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXの信号は、保持される。
【0050】
図7の2分周回路において、正転分周出力端子DIVOUT及び反転分周出力端子DIVOUTXからは分周信号が出力される。正転分周出力端子DIVOUT及び反転分周出力端子DIVOUTXの分周信号は、相互に反転した信号であり、正転クロック端子CK及び反転クロック端子CKXのクロック信号の周波数の1/2の周波数を持つ。すなわち、2分周回路は、クロック端子CK,CKXのクロック信号を入力し、そのクロック信号を2分周し、分周信号を分周出力端子DIVOUT,DIVOUTXから出力する。
【0051】
ラッチ回路701及び702の入力端子D,DXは、フィードバックループにより信号を入力するものであるため、初期時には、第1の実施形態と同様に、入力端子D及びDXが共に同一の中間電位になることがある。例えば、電源電位ノードVddが1.2V、基準電位ノードが0Vであるとき、初期時には、入力端子D及びDXが共に0.6Vになる。
【0052】
第1の実施形態と同様に、抵抗301及び302を設けることにより、例えば、ノードNAPが0.7V、ノードNANが0.5V、ノードNBPが0.7V、ノードNBNが0.5Vになる。すると、pチャネル電界効果トランジスタ201及び203のソース及びゲート間電圧は1.2V−0.5V=0.7Vになり、nチャネル電界効果トランジスタ202及び204のソース及びゲート間電圧は0.7V−0V=0.7Vになる。図8のラッチ回路は、抵抗301及び302を設けない場合に比べ、トランジスタ201〜204のソース及びゲート間電圧が高くなり、利得が高くなる。この状態では、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXのいずれがハイレベルになるか不確定であるが、やがてノイズにより、正転出力端子OUT及び反転出力端子OUTXのうちのいずれか一方がハイレベルになり、他方がローレベルになる。
【0053】
以上のように、トランジスタ201〜204の反転増幅器の利得が高くなるので、トランジスタ201〜204のサイズが小さくても、ラッチ回路は安定したレベルの信号を保持することができる。また、電源電圧が低くても、ラッチ回路は安定したレベルの信号を保持することができる。また、ノードNAP,NAN,NBP,NBNがフル振幅できないような高い動作周波数でも動作可能となる広帯域なラッチ回路を実現できる。本実施形態のラッチ回路は、低電源電圧で且つ入力信号が微小振幅のときでもラッチ可能である。
【0054】
2分周回路は、入力端子D及びDXが中間電位になると、動作困難である。本実施形態の2分周回路は、図7のラッチ回路を用いることにより、低電源電圧でも動作可能である。また、内部ノードがフル振幅できないような高い動作周波数でも動作可能となる広帯域な2分周回路を実現できる。
【0055】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0056】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0057】
(付記1)
ソースが第1の電位ノードに接続される第1のpチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが第2の電位ノードに接続される第1のnチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが前記第1の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のpチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが前記第2の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のnチャネル電界効果トランジスタと、
前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第1の抵抗と、
前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第2の抵抗と
を有することを特徴とする半導体回路。
(付記2)
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量と、
前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続される第3の抵抗と、
前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続される第4の抵抗とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続されることを特徴とする付記1記載の半導体回路。
(付記3)
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続され、
前記反転出力端子は、前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、
前記正転出力端子は、前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されることを特徴とする付記1記載の半導体回路。
(付記4)
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続され、
前記反転出力端子は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、
前記正転出力端子は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されることを特徴とする付記1記載の半導体回路。
(付記5)
さらに、ドレインが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのソース及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのソースの相互接続点に接続され、ソースが第3の電位ノードに接続される第3のnチャネル電界効果トランジスタを有することを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体回路。
(付記6)
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗は、それぞれパワーダウン時にはオフする電界効果トランジスタにより構成されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体回路。
(付記7)
さらに、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続され、ラッチした信号を出力する正転出力端子と、
前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続され、前記正転出力端子の出力信号に対して逆相の信号を出力する反転出力端子と、
入力信号を入力する正転入力端子と、
前記正転入力端子の入力信号に対して逆相の信号を入力する反転入力端子と、
前記正転入力端子を前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続するための第1のスイッチと、
前記反転入力端子を前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続するための第2のスイッチと
を有することを特徴とする付記1記載の半導体回路。
【符号の説明】
【0058】
101,102 反転増幅器
103 インダクタ
104 可変容量
201 第1のpチャネル電界効果トランジスタ
202 第1のnチャネル電界効果トランジスタ
203 第2のpチャネル電界効果トランジスタ
204 第2のnチャネル電界効果トランジスタ
301〜304 抵抗
305 nチャネル電界効果トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが第1の電位ノードに接続される第1のpチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが第2の電位ノードに接続される第1のnチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが前記第1の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のpチャネル電界効果トランジスタと、
ソースが前記第2の電位ノードに接続され、ゲートが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続される第2のnチャネル電界効果トランジスタと、
前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第1の抵抗と、
前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン間に接続される第2の抵抗と
を有することを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量と、
前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続される第3の抵抗と、
前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続される第4の抵抗とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続されることを特徴とする請求項1記載の半導体回路。
【請求項3】
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続され、
前記反転出力端子は、前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、
前記正転出力端子は、前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されることを特徴とする請求項1記載の半導体回路。
【請求項4】
さらに、発振信号を出力する正転出力端子と、
前記正転出力端子の発振信号に対して逆相の発振信号を出力する反転出力端子と、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続されるインダクタと、
前記正転出力端子及び前記反転出力端子間に接続される容量とを有し、
前記第1の抵抗は、前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記反転出力端子間に接続され、
前記第2の抵抗は、前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記正転出力端子間に接続され、
前記反転出力端子は、前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続され、
前記正転出力端子は、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続されることを特徴とする請求項1記載の半導体回路。
【請求項5】
さらに、前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続され、ラッチした信号を出力する正転出力端子と、
前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのゲートに接続され、前記正転出力端子の出力信号に対して逆相の信号を出力する反転出力端子と、
入力信号を入力する正転入力端子と、
前記正転入力端子の入力信号に対して逆相の信号を入力する反転入力端子と、
前記正転入力端子を前記第1のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第1のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続するための第1のスイッチと、
前記反転入力端子を前記第2のpチャネル電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2のnチャネル電界効果トランジスタのドレインに接続するための第2のスイッチと
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−283532(P2010−283532A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134352(P2009−134352)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】