説明

半導体封止用樹脂タブレットおよびその製造方法、樹脂成形体の製造方法ならびに半導体装置

【課題】 金属等の不純物の混入が少ない樹脂成形体(特に半導体封止用樹脂タブレット)およびその製造方法ならびにそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法は、熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧してタブレットを成形する成形工程とを有し、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを成形する。また、本発明の半導体封止用樹脂タブレットは、上記に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法で得られる。また、本発明の半導体用装置は、上記に記載の半導体封止樹脂用タブレットで封止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体封止用樹脂タブレットおよびその製造方法、樹脂成形体の製造方法ならびに半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の封止方法として、熱硬化性樹脂と、無機充填材とを含む封止材料を用いてトランスファー成形により封止する方法が使用されている。
このトランスファー成形に用いる封止材料としては、熱硬化性樹脂、硬化剤および無機充填材等を配合した組成物等が挙げられる。そして、この組成物をロールまたは押し出し機等で溶融混練し、その混練物をシート状に伸ばして冷却した後に粉砕し、混練物を線状に押し出して冷却しながら切断して封止材料の粉砕物を形成している。そして、その粉砕物を所定量だけ計量した後、円柱状の穴があいた金型に挿入し、加圧することによって内部の空気を抜きながら円柱状に成形して製造するタブレット状の封止材料を用いることが一般に行われている。
【0003】
そのタブレット状の封止材料をトランスファー成形機に取り付けられた金型に供給し、加熱して溶融させた後、プランジャーで加圧して、前記金型が備えるランナーおよびゲートを経由して、半導体素子等が配置された樹脂成形用のキャビティーに封止材料が送られ、更に加熱することにより封止材料を硬化させて封止する方法が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような封止材料は、半導体装置製造後の接続信頼性を維持するために、金属等の不純物を除去することが要求されている。
しかし、封止材料を構成する組成物を溶融混練および粉砕する工程において、それらの設備の磨耗等によって、金属等の不純物が混入してしまう場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−340014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属等の不純物の混入が少ない樹脂成形体(特に半導体封止用樹脂タブレット)およびその製造方法ならびにそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、以下(1)〜(15)に記載の本発明により達成される。
(1)半導体封止用樹脂タブレットを製造する方法であって、熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧してタブレットを成形する成形工程とを有し、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを成形することを特徴とする半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(2)前記第1混合工程は、前記第1配合物を粉末化すると共に混合するものである上記(1)に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(3)前記第1配合物を粉末化すると共に混合する工程では、ジェットミル、ボールミルおよび湿式ポットミルの中から選ばれる1種以上の粉砕機を用いるものである上記(2)に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(4)前記第1混合工程では、粒子径75μm以上の粒子が5%以下となるまで前記第1配合物を微粉末化するものである上記(2)または(3)に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(5)前記第1混合工程の前に、さらに前記熱硬化性樹脂を粉末化する粉末化工程を有するものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(6)前記粉末化工程では、前記熱硬化性樹脂を平均粒子径100μm以下まで粉末化するものである上記(5)に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(7)前記第1混合工程の後、かつ前記成形工程の前に、前記第1配合物とは異なる第2配合物を前記混合粉体に混合する第2混合工程を有するものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(8)前記タブレットの成形工程の前に、さらに前記混合粉体を加圧して予備タブレットに成形する予備成形工程を有するものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(9)前記第1配合物は、さらに硬化剤を含むものである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(10)前記無機充填材の粉体は、平均粒子径5μmを超える第1無機充填材と、平均粒子径5μm以下の第2無機充填材とを含むものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(11)前記第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径[A]と、前記第1無機充填材の粉体の平均粒子径[B]との比(A/B)は、0.1〜5である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(12)前記半導体封止用樹脂タブレットの金属含有量は、1ppm以下である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
(13)上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法で得られたことを特徴とする半導体封止用樹脂タブレット。
(14)上記(13)に記載の半導体封止用樹脂タブレットで封止されたことを特徴とする半導体装置。
(15)熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧して樹脂成形体を成形する成形工程とを有し、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記樹脂成形体を成形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属等の不純物の混入が少ない樹脂成形体(特に半導体封止用樹脂タブレット)を得ることができる。
また、本発明によれば金属等の不純物の混入が少ない半導体装置を得ることができる。
また、前記第1混合工程の前に前記粉末化工程を有している場合、前記熱硬化性樹脂と前記無機充填材との混合を均一にすることができる。
また、前記第1混合工程を、前記第1配合物を粉末化すると共に混合した場合、特に前記熱硬化性樹脂と、前記無機充填材とをより均一に混合することができ、それによって得られた混合粉体の予備成形を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の樹脂成形体の製造方法を半導体封止用樹脂タブレットの製造方法に適用した場合について説明する。
半導体封止用樹脂タブレットの製造方法は、熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧してタブレットを成形する成形工程とを有し、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを成形することを特徴とする。
また、本発明の半導体封止用樹脂タブレットは、上記に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法で得られたことを特徴とする。
また、本発明の半導体装置は、上記に記載の半導体封止用樹脂タブレットで封止されたことを特徴とする。
【0010】
まず、半導体封止用樹脂タブレットの製造方法(以下、「タブレットの製造方法」と略す)および半導体封止用樹脂タブレット(以下、「タブレット」と略す)について説明する。
図1は、本発明のタブレット製造方法の一例を示す工程図である。
図1に示すように、本発明のタブレットの製造方法は、前記熱硬化性樹脂を粉末化する粉末化工程(1A)と、前記熱硬化性樹脂の粉体と前記無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程(2A)と、第1混合工程(2A)で得られた混合粉体に、前記第1配合物と異なる第2配合物を混合する第2混合工程(3A)と、第2混合工程(3A)で得られた混合粉体を加熱・加圧して予備タブレットを成形する予備成形工程(4A)と、前記予備タブレットを金型内に供給し、加熱・加圧してタブレットを成形する成形工程(5A)と、を順次行う。すなわち、本発明のタブレットの製造方法は、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを成形するものである。
【0011】
以下、各工程について説明する。
【0012】
粉末化工程(1A)では、第1混合工程(2A)の前に、前記熱硬化性樹脂を粉末化する。これにより、第1混合工程(2A)での前記熱硬化性樹脂と前記無機充填材との混合をより均一にすることができる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる(これらは単独でも混合して使用しても良い)。なお、ここでエポキシ樹脂とは、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を意味する。ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましい。これにより、電気特性を向上することができる。さらに、前記無機充填材を多量に添加しても成形可能な流動性を維持することができる。
【0013】
粉末化工程(1A)では、粉末化工程(1A)後の前記熱硬化性樹脂の平均粒子径が、100μm以下にすることが好ましく、特に50μm以下にすることが好ましく、最も5〜30μmにすることが好ましい。平均粒子径が前記範囲内であると、前記熱硬化性樹脂と前記無機充填材との混合をより均一にすることができる。
【0014】
粉末化工程(1A)では、例えばジェットミル、振動ボールミル、連続式回転ボールミル、バッチ式ボールミル等のボールミル、湿式ポットミル、遊星ポットミル等のポットミル、ローラミル等の粉砕機を用いることができる。これらの中でもジェットミルが好ましい。これにより、前記熱硬化性樹脂を効率良く粉末化することができる。
【0015】
粉末化工程(1A)は、本発明のタブレットの製造方法で必須のものではないが、前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径が100μmを超える場合には、実施することが好ましい。
【0016】
次に、第1混合工程(2A)では、前記熱硬化性樹脂の粉体と、前記無機充填材との粉体とを含む第1配合物を混合する。これにより、前記熱硬化性樹脂と前記無機充填材とが均一に混合された混合粉体を得ることができる。特に、平均粒子径が100μm以下(特に平均粒子径5〜50μmが好ましい)の前記熱硬化性樹脂の粉体と、前記無機充填材の粉体とを混合する場合に特に好ましい。
前記熱硬化性樹脂の粉体と、前記無機充填材の粉体とを混合する方法としては、例えば羽根回転式ミキサ、ボールミル、リボンブレンダー等の混合機を用いることができる。
【0017】
前記熱硬化性樹脂は、上述した通りである。
また、前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカ等のシリカ粉末等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。前述の無機充填材は、単独でも混合して使用しても良い。これらの中でも溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末が好ましく、特に球状溶融シリカが好ましい。これにより、耐熱性、耐湿性、強度等を向上させることができる。前記無機充填材の形状は、特に限定されないが、真球状であることが好ましく、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。これにより、流動性を特に向上することができる。
【0018】
さらに、前記無機充填材は、異なる平均粒子径を有する無機充填材(特にシリカ粉末)を併用することが好ましい。これにより、得られるタブレットに無機充填材の充填性を向上させることができる。具体的には、前記無機充填材の粉体は、平均粒子径5μmを超える第1無機充填材と、平均粒子径5μm以下の第2無機充填材とを含むことが好ましい。これにより、無機充填材の充填性を向上すること(最密充填に近づけること)ができる。
前記第1無機充填材と、前記第2無機充填材とは異なる種類の充填材であっても、同じ種類の充填材であって良い。
さらに、前記第2無機充填材よりも平均粒子径が小さい第3無機充填材を含んでいても良い。
【0019】
前記第1配合物に含まれる前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記第1配合物全体の20〜95重量%が好ましく、特に30〜90重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐湿性が低下する場合があり、前記上限値を超えると流動性が低下する場合がある。
さらに、具体的には前記第1無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記第1配合物全体の15〜85重量%が好ましく、特に25〜80重量%が好ましい。また、前記第2無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記第1配合物全体の3〜15重量%が好ましく、特に5〜10重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に無機充填材の充填性に優れる。
【0020】
一方、前記第1配合物に含まれる前記熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記第1配合物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると流動性が低下し樹脂を封止するのが困難となる場合があり、前記上限値を超えると半田耐熱性が低下する場合がある。
【0021】
また、前記第1配合物には、特に限定されないが、さらに硬化剤を含んでいることが好ましい。これにより、硬化剤の分散性も向上し、それによって最終製品の硬化性を向上することができる。
【0022】
このような硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジド等を含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールポリマー等のフェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂が挙げられる。
【0023】
また、前記熱硬化性樹脂として上述のエポキシ樹脂を用いる場合、前記硬化剤は、特に限定されないが、フェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)を用いるのが好ましい。ここでフェノール系硬化剤とは、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。具体的にはフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂、ビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは単独でも混合して使用しても良い。
【0024】
前記硬化剤の含有量は、特に限定されないが、前記第1配合物全体の2〜10重量%が好ましく、特に4〜7重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると流動性が低下する場合があり、前記上限値を超えると吸湿量が増えリフロー後の密着性を向上する効果が低下する場合がある。
また、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、前記硬化剤としてフェノール系硬化剤(フェノール性水酸基を有する硬化剤)が好ましく用いられ、その場合、前記エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基との当量比(エポキシ基/フェノール性水酸基)は、特に限定されないが、0.5〜2.0が好ましく、特に0.7〜1.5が好ましい。当量比が前記範囲内であると、特に硬化性および耐湿信頼性に優れる。
【0025】
また、前記第1配合物には、本発明の目的を損なわない範囲で、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケンおよびその誘導体、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート等の硬化促進剤を添加することもできる。
【0026】
また、第1混合工程(2A)では、前記第1配合物を粉末化(微粉末化)すると共に前記無機充填材と混合することが好ましい。これにより、前記熱硬化性樹脂と、前記無機充填材とがより均一に混合される。具体的には、最終的に成形したタブレットを電子線マイクロアナライザ(EPMA)で測定した際に、強度分布のばらつきを特に低減することができる。
【0027】
前記第1配合物を粉末化(微粉末化)すると共に混合する方法としては、ジェットミル、振動ボールミル、連続式回転ボールミル、バッチ式回転ボールミル等のボールミル、(湿式)ポットミル、ローラミル、衝撃式粉砕機等を用いることが挙げられる。これらの中でもジェットミル、ボールミルおよび湿式ポットミルの中から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、特にジェットミルを用いることが好ましい。これにより、粉砕と混合とを生産性良く行なうことができる。
【0028】
前記第1配合物を粉末化(微粉末化)すると共に混合するのに、例えばジェットミルを用いる場合は、その混合条件は特に限定されないが、空気圧0.5〜1.0MPaが好ましく、特に0.6〜0.8MPaが好ましい。
原料の供給速度は、特に限定されないが、5〜100kg/hが好ましく、特に10〜50kg/hが好ましい。
【0029】
前記第1配合物を粉末化(微粉末化)すると共に混合する場合、第1混合工程(2A)では、粒子径75μm以上の粒子が5%以下となるまで前記第1配合物を微粉末化するものであることが好ましく、特に粒子径75μm以上の粒子が1%以下となることが好ましい。第1混合工程(2A)の前記第1配合物の粒子径が前記範囲内であると、特に予備成形する際のタブレット化に優れる。
【0030】
前記第1混合工程前における(特に、前記第1配合物を粉末化(微粉末化)すると共に混合する場合における)前記第1配合物中の前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径[A]と、前記第1無機充填材の粉体の平均粒子径[B]との比(A/B)は、特に限定されないが、0.1〜5.0であることが好ましく、特に0.2〜2.5が好ましい。平均粒子径の比が前記範囲内であると、特に粉末化すると共に行なう混合を均一にすることができる。
【0031】
次に、第2混合工程(3A)では、前記第1配合物とは異なる第2配合物を前記混合粉体に混合する。これにより、粉体による混合が困難な第2配合物を均一に混合することができる。
第2混合工程(3A)は、本発明において必須のものでは無いが、例えばジェットミル等を用いて混合と共に粉末化を行なう場合に好適に用いられるものである。
ここで、ジェットミル等を用いた場合に配合物を第1混合工程および第2混合工程の2回に分けて混合することが好ましい理由は、以下の通りである。
タブレットを構成する配合物は、前述した熱硬化性樹脂、無機充填材等の粉体物と、シランカップリング剤またはシランカップリング剤を含有する溶液等の液状物、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分およびイオンキャッチャーのようにジェットミル等による粉砕(混合)に適さないものがある。つまり液状成分のようにジェットミルに投入することが困難である場合、イオンキャッチャーのように粉砕することが好ましくない場合である。そこで、タブレットを構成する配合物を第1混合工程と、第2混合工程に分けて混合することが好ましい。
【0032】
第2混合工程(3A)に用いる混合機は、第1混合工程(2A)で用いられる混合機と異なる種類であることが好ましく、具体的には羽根回転式ミキサ、ボールミル、リボンブレンダー等が挙げられる。これらの中でも羽根回転式ミキサが好ましい。これにより、液状成分を容易に混合することできる。
【0033】
第2混合工程として、例えばヘンシェルミキサ等の羽根回転式混合機を用いた場合、回転数500〜1,800rpmで第1混合工程(2A)で得られた前記混合粉体と、前記第2配合物とを同時に添加することが好ましい。さらに、第2混合工程の温度は、10〜30℃が好ましい。
【0034】
前記第2配合物としては、例えばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィン等の離型剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体等の添加剤を挙げることができる。
【0035】
予備成形工程(4A)では、第2混合工程で得られた混合粉体を加圧して予備タブレットを成形する。これにより、最終的にタブレットを製造するのを容易にすることができる。
前記予備成形を行なうには、例えば圧縮成形機を使用して、圧縮率70〜95%で圧縮成形を実施する。この予備成形は、混合粉末を後述する成形工程(5A)で加熱しやすいように、タブレット状にすることが目的である。したがって、予備成形時のタブレットのサイズ等は、特に限定されないが、具体的には外径(D)が20mm以下で、外径(D)と長さ(L)との比L/Dが1以上である場合、外径(D)が20mm以上で、外径(D)と長さ(L)との比L/Dが1以下である場合等の形状が挙げられる。
なお、予備成形工程(4A)は、本発明において必須の工程ではないが、後述する成形工程でのタブレットの製造を容易にするためにも予備成形工程(4A)を有していることが好ましい。
【0036】
次に、成形工程(5A)で、最終的にタブレットを成形する。
成形工程(5A)では、例えば予備成形したタブレットを80〜130℃まで加熱し、樹脂を一部溶融させて柔らかくする。そして、顧客の要求に合わせたタブレットのサイズ(径、高さ、重量)の金型に投入して圧縮成形しタブレット成形をして、冷却する。
加熱する方法としては、マイクロウェーブにより加熱する方法、高周波により加熱する方法、金型自体を加熱する方法等が挙げられる。
前記タブレットのサイズとしては、特に限定されないが、具体的には外径(D)が20mm以下で、外径(D)と長さ(L)との比L/Dが1以上である場合、外径(D)が20mm以上で、外径(D)と長さ(L)との比L/Dが1以下である場合等の形状が挙げられる。
【0037】
前記タブレットの金属含有量は、特に限定されないが、1ppm以下が好ましく、特に0.5ppm以下が好ましい。金属含有量が前記下限値未満であると、半導体装置とした際の電気的信頼性に特に優れる。すなわち、半導体装置内の配線間またはピン間に存在して、半導体装置の不良の原因となる金属等の不純物を低減できる。
前記金属含有量は、例えば得られたタブレットを有機溶剤アセトンに溶解し、溶解液をマグネット上に流し付着した磁性物の重量により評価できる。
【0038】
以上のように本発明のタブレットの製造方法では、実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを製造する。これにより、タブレットの金属含有量を低減することができる。
従来のように溶融混練する工程を経る場合、得られた溶融混練物を粉砕する工程が必要になる。この粉砕工程で用いられる粉砕機等の製造装置が磨耗等して、溶融混練物中に鉄粉等の金属が混入することがあった。混入した金属は確実に除去する必要が有り、製造工程の一部に磁石等を設置して、この磁石により吸着して除去する方法等が行なわれていた。しかし、通常装置に使用されているステンレスの磨耗粉のような弱磁性体などは磁石等では、タブレット中の金属の除去が十分に行なわれない場合があった。
これに対して、本発明のタブレットの製造方法では、前記熱硬化性樹脂の粉体と、前記無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程(特に好ましくは、前記第1配合物を粉末化すると共に混合する工程)を有しているので、実質的に溶融混練する工程を経ずにタブレットを製造することができる。したがって、鉄粉等の金属の混入が低減されるものである。
【0039】
なお、本発明の樹脂成形体の製造方法について、半導体封止用樹脂タブレットの製造方法を具体的に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、フェノール樹脂成形材料、エポキシ樹脂成形材料等の熱硬化性樹脂成形材料等にも適用可能である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
タブレットの製造
(実施例1)
1.熱硬化性樹脂の粉末化工程(1A)
前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000、フレーク状、平均粒子径:約5mm)を、予めハンマーミルで粉砕し、500μmの篩で篩ったものを用いた。粉砕後のエポキシ樹脂をジェットミル(日本ニューマチック社製、PJM200SP)で供給速度10kg/時、空気圧0.8MPaで粉末化処理を行なった。得られたエポキシ樹脂の平均粒子径は、約10μmであった(顕微鏡観察により測定)。
【0041】
2.第1混合工程(2A)
上述の条件で粉末化したエポキシ樹脂(平均粒子径10μm)7重量%と、前記無機充填材として第1無機充填材(シリカ:電気化学社製、FB560、メジアン径30μm)79.6重量%と、第2無機充填材(シリカ:メジアン径0.5μm以下)10重量%と、硬化剤(明和化成社製 MEH7851)2重量%と、硬化促進剤(北興化学社製TPP)1重量%、カーボンブラック(三菱化学製社 ♯5)0.4重量%とをジェットミル(日本ニューマチック社製、PJM200SP)で供給速度10kg/時、空気圧0.8MPaで粉末化(微粉末化)すると共に混合した。得られた混合粉体の平均粒子径は、15μmであった。
なお、第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径Aと、前記第1無機充填材の平均粒子径Bとの比(A/B)は、0.3であった。
また、第1混合工程後おける粒子径75μm以上の粒子は、全粒子中で1%以下であった。
【0042】
3.第2混合工程(3A)
第1混合工程で得られた混合粉体に、第1無機充填材100重量部に対してシランカップリング剤0.3重量部を、ヘンシェルミキサを用いて、混合した。
【0043】
4.予備成形工程(4A)
第2混合工程で得られた混合粉体を、予備成形機タブレットマシン(星野特殊社製)を用いて、圧縮率86%でサイズφ14の予備成形体を得た。
【0044】
5.成形工程(5A)
予備成形体を高周波により100℃に加熱し、成形機タブレットマシン(星野特殊社製)を用いて、予備成形と同様の条件で成形して最終的にタブレットを得た。
【0045】
(実施例2)
粉末化工程(1A)を以下の様にした以外は、実施例1と同様にした。
前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000、フレーク状、平均粒子径:約5mm)を、予めハンマーミルで粉砕し、500μmの篩で篩って、得られたものをそのまま用いた。得られたエポキシ樹脂の平均粒子径は、約80μmであった(顕微鏡観察により測定)。
得られた混合粉体の平均粒子径は、25μmであった。
なお、第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径Aと、前記第1無機充填材の平均粒子径Bとの比(A/B)は、2.7であった。
また、第1混合工程後における粒子径75μm以上の粒子は、全粒子中で1%を超え、5%以下であった。
【0046】
(実施例3)
第1混合工程(2A)の条件を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ジェットミル(日本ニューマチック社製、PJM200SP)で供給速度100kg/時、空気圧0.8MPaで粉末化(微粉末化)すると共に混合した。得られた混合粉体の平均粒子径は、30μmであった。
なお、第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径Aと、前記第1無機充填材の平均粒子径Bとの比(A/B)は、0.3であった。
また、第1混合工程後における粒子径75μm以上の粒子は、全粒子中で5%を超え、10%以下であった。
【0047】
(実施例4)
粉末化工程(1A)を以下の様にした以外は、実施例1と同様にした。
前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000、フレーク状、平均粒子径:約5mm)を、予めハンマーミルで粉砕し、得られたものを用いた。得られたエポキシ樹脂の平均粒子径は、約200μmであった(顕微鏡観察により測定)。
なお、第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径Aと、前記第1無機充填材の平均粒子径Bとの比(A/B)は、6.7であった。
また、第1混合工程後における粒子径75μm以上の粒子は、全粒子中で1%を超え、5%以下であった。
【0048】
(実施例5)
第1混合工程(2A)を以下の様にした以外は、実施例1と同様にした。
第1混合工程(2A)でジェットミルを用いる代わりに、ボールミル(ポットミル・アルミナの容器にアルミナのボールが入った粉砕装置)を用いて、熱硬化性樹脂と、無機充填材とを粉末化すると共に混合した。得られた混合粉体の平均粒子径は、20μmであった。
なお、第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径Aと、前記第1無機充填材の平均粒子径Bとの比(A/B)は、0.3であった。
また、第1混合工程後における粒子径75μm以上の粒子は、全粒子中で1%以下であった。
【0049】
(比較例1)
前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(平均粒子径500μm)7重量%と、前記無機充填材として第1無機充填材(シリカ:電気化学工業社製、FB560、メジアン径30μm)79.6重量%と、第2無機充填材(シリカ:メジアン0.5μm以下)10重量%と、硬化剤(明和化成社製 MEH7851)2重量%と硬化促進剤(北興化学社製TPP)1重量%と、カーボンブラック(三菱化学社製 ♯5)0.4重量%、前記第1無機充填材100重量部に対して0.3重量部のシランカップリング剤を配合したものを混練機で溶融混練した。得られた溶融混練物を粉砕して、タブレット成形を行って、タブレットを得た。
【0050】
各実施例および比較例で得られたタブレットについて、以下の評価を行なった。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。なお、表1中の混合状態の評価は、10個のタブレットを用いて評価した。
1.金属含有量
金属含有量は、得られたタブレット(300g)を有機溶剤アセトン(500cc)に溶解し、溶解液をマグネット(10,000ガウス)上に流し、付着した磁性物の重量により測定した。なお、評価については、比較例1で測定された数値を基準(100)として、相対的に比較した。
【0051】
2.流動性
流動性は、高架式フローにより粘度を測定した。ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ1.0mm、温度175℃、予熱時間1s、荷重40kgの条件で粘度(Pa・S)を測定した。
【0052】
3.混合状態
熱硬化性樹脂と、無機充填材との混合の状態を電子線マイクロアナライザーで測定した強度で測定した。ここで、強度が高いほど均一に混合されていることを示す。なお、評価については、比較例1で測定された数値を基準(100)として、相対的に比較した。各符号は、以下の通りである。
◎:強度が200以上
○:強度が160以上、180未満
△:強度が100を超え、160未満
×:強度が100以下
【0053】
4.顆粒密度
打錠したタブレットを粉砕機で粉砕した後に密度を測定した。評価は比較例1を基準(100)とし、各実施例の顆粒密度を比較した。
【0054】
【表1】

【0055】
表1から明らかなように、実施例1〜5のタブレットは金属等の不純物が少なかった。ここで、実施例1の金属含有量0.4は、1ppm以下に相当し、比較例1の金属含有量100は、100ppm程度に相当する。また、実施例1〜4の金属含有量の値は、製造工程で混入した不純物よりも熱硬化性樹脂、無機充填材等の原料に由来する不純物量が多いと考えられた。
また、実施例1〜4のタブレットは、電子線マイクロアナライザーで測定した強度が高く、混合状態が特に均一であることが示された。
また、実施例1のタブレットは、流動性が比較例1と同等であり、流動性にも優れていた。
【0056】
半導体装置の製造
(実施例1A〜5A)
各実施例で得られたタブレットを用いて、トランスファー成形により半導体素子を封止して、半導体装置を得た。
【0057】
(比較例1A)
比較例1で得られたタブレットを用いて、トランスファー成形により半導体素子を封止して、半導体装置を得た。
【0058】
得られた半導体装置は、半導体素子と封止樹脂との密着性に優れ、かつ半導体装置の信頼性にも優れていた。すなわち、実施例1〜5で得られたタブレットを用いた半導体装置は、比較例1のタブレットを用いた半導体装置とで特性に相違は無かった。
また、実施例1〜5で得られたタブレットを用いた半導体装置は、半田耐熱性にも優れていた。具体的には、60℃、相対湿度60%の環境下で168時間処理した後、ピーク温度260℃のIRリフロー処理(255℃以上が10秒)を行い、処理後の内部の剥離およびクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良となった半導体装置は無かった。
【0059】
また、フェノール樹脂等の他の熱硬化性樹脂を用いて同様の方法で得られた樹脂成形体も良好な特性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、半導体素子を封止する半導体封止用樹脂タブレットへの金属等の不純物の混入を少なくすることができる方法ならびにそれを用いた半導体装置を提供することができるものである。
また、本発明の樹脂成形体の製造方法は、フェノール樹脂成形材料等の熱硬化性樹脂成形材料の製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のタブレット製造方法の一例を示す工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体封止用樹脂タブレットを製造する方法であって、
熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、
前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧してタブレットを成形する成形工程とを有し、
実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記タブレットを成形することを特徴とする半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項2】
前記第1混合工程は、前記第1配合物を粉末化すると共に混合するものである請求項1に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項3】
前記第1配合物を粉末化すると共に混合する工程では、ジェットミル、ボールミルおよび湿式ポットミルの中から選ばれる1種以上の粉砕機を用いるものである請求項2に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項4】
前記第1混合工程では、粒子径75μm以上の粒子が5%以下となるまで前記第1配合物を微粉末化するものである請求項2または3に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項5】
前記第1混合工程の前に、さらに前記熱硬化性樹脂を粉末化する粉末化工程を有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項6】
前記粉末化工程では、前記熱硬化性樹脂を平均粒子径100μm以下まで粉末化するものである請求項5に記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項7】
前記第1混合工程の後、かつ前記成形工程の前に、前記第1配合物とは異なる第2配合物を前記混合粉体に混合する第2混合工程を有するものである請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項8】
前記タブレットの成形工程の前に、さらに前記混合粉体を加圧して予備タブレットに成形する予備成形工程を有するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項9】
前記第1配合物は、さらに硬化剤を含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項10】
前記無機充填材の粉体は、平均粒子径5μmを超える第1無機充填材と、平均粒子径5μm以下の第2無機充填材とを含むものである請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項11】
前記第1混合工程前における前記熱硬化性樹脂の粉体の平均粒子径[A]と、前記第1無機充填材の粉体の平均粒子径[B]との比(A/B)は、0.1〜5である請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項12】
前記半導体封止用樹脂タブレットの金属含有量は、1ppm以下である請求項1ないし11のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の半導体封止用樹脂タブレットの製造方法で得られたことを特徴とする半導体封止用樹脂タブレット。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体封止用樹脂タブレットで封止されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
熱硬化性樹脂の粉体と、無機充填材の粉体とを含む第1配合物を混合する第1混合工程と、
前記第1混合工程で得られた混合粉体を金型内に供給し、加熱・加圧して樹脂成形体を成形する成形工程とを有し、
実質的に前記混合粉体を溶融混練する工程を経ずに前記樹脂成形体を成形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−187873(P2006−187873A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381793(P2004−381793)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】