説明

半導体検査システム、それを構成する半導体装置及び半導体検査装置、並びに半導体装置の検査方法

【課題】単一の電源から複数の半導体主回路部に電源を供給する場合に安定した電源を供給する半導体検査システムを供給する。
【解決手段】半導体検査システムは、半導体装置1100と、半導体検査装置1200とを有し、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に配置された複数の半導体回路領域1120を有し、半導体回路領域はそれぞれ、半導体検査装置による検査の対象となる半導体主回路部1121と、半導体主回路部に供給される電源を検出する検出回路部1122と、検出回路部の出力を無線方式で出力する第1の無線回路部1124と、を備え、半導体検査装置は、主電源部と、プローブカードとを有し、プローブカードは、主電源部に接続された共通電源配線と、共通電源配線に接続された複数の電源回路部と、電源回路部に接続され、電源回路部を制御する制御回路部と、制御回路部に接続された第2の無線回路部1224とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体検査システム、それを構成する半導体装置及び半導体検査装置、並びに半導体装置の検査方法に関し、特に、半導体装置への電源供給構造を備えた半導体検査システム、それを構成する半導体装置及び半導体検査装置、並びに半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上に配置された複数の半導体チップを同時に検査する場合、テスタ等から個々の半導体チップに電源を供給し、それぞれの半導体チップを動作させる必要がある。このとき、テスタの1電源チャネルが半導体チップの1チップに割り当てられ、テスタからプローブカードを介して半導体チップへ電源が供給される。しかしこの場合、同時にテストする半導体チップの個数が増加するほど、電源チャネル数が多いテスタが必要となり、テスタのコストが増加するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された試験システムは、個々の半導体チップに対応して、電力供給ピンとそれに直列に接続された電圧レギュレータをプローブカードにそれぞれ備えている。そして、テスタの1電源チャネルからDC/DC変換器を通して電力をそれぞれの電圧レギュレータに供給する構成としている。この構成により、複数の半導体チップでテスタの1電源チャネルを共有している。
【0004】
また特許文献2には、電圧発生器によって電源電圧を発生し、第1の配線を介して電源電圧を検査対象ICに供給するとともに、第2の配線を介して電圧印加ポイントにおける電源電圧のレベルを検出することとしたICテスタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−540612号公報(段落「0036」、図7)
【特許文献2】特開2005−331376号公報(段落「0038」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載された試験システムには、プローブカードに備えた電圧レギュレータによって電源電圧を安定化させたとしても、半導体チップ(以下、「半導体主回路部」という)には安定した電源を供給できない、という問題があった。その理由は、電力供給ピン(以下、「プローブ針」という)と半導体主回路部に接続される電極パッドとの接触抵抗、およびプローブ針の寄生成分の存在により、半導体主回路部に供給される電源電圧が安定しなくなるからである。
【0007】
特に、プローブカードに備えた電圧レギュレータによる電圧出力の安定性は、テスタの電源チャネルの電圧出力の安定性に比べて低いため、上述した接触抵抗およびプローブ針の寄生成分の影響がより顕著になる、という問題があった。
【0008】
ここで、半導体主回路部における電源電圧を安定化させるために、特許文献2に開示された技術を用いて、半導体主回路部における電源電圧をプローブ針によってプローブカード上の電圧レギュレータにフィードバックさせる半導体検査システムの構成が考えられる。しかし、この場合であっても、このフィードバック用のプローブ針と電極パッドとの接触抵抗、およびフィードバック用のプローブ針の寄生成分の影響が新たに加わるため、安定した電源を半導体主回路部に供給できない、という問題は解決できない。さらに、フィードバック用のプローブ針が新たに必要となるため、プローブカードのコストの増加を招く。これはテスタの電源チャネルを共有する目的に反することになるため、このような構成は採用できない。
【0009】
このように、関連する半導体検査システムにおいては、単一の電源から複数の半導体主回路部に電源を供給する場合、各半導体主回路部に安定した電源を供給することができない、という問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題である、単一の電源から複数の半導体主回路部に電源を供給する場合、各半導体主回路部に安定した電源を供給することができない、という課題を解決する半導体検査システム、それを構成する半導体装置及び半導体検査装置、並びに半導体装置の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体検査システムは、半導体装置と、半導体検査装置とを有し、半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に配置された複数の半導体回路領域を有し、半導体回路領域はそれぞれ、半導体検査装置による検査の対象となる半導体主回路部と、半導体主回路部に供給される電源を検出する検出回路部と、検出回路部の出力を無線方式で出力する第1の無線回路部と、を備え、半導体検査装置は、主電源部と、プローブカードとを有し、プローブカードは、主電源部に接続された共通電源配線と、共通電源配線に接続された複数の電源回路部と、電源回路部に接続され、電源回路部を制御する制御回路部と、制御回路部に接続された第2の無線回路部とを備え、電源回路部は、主電源部から共通電源配線に供給される第1の電源を供給源とし、第2の電源を半導体主回路部に供給し、検出回路部は、半導体主回路部に供給される電源を検出し、検出した電源の情報である電源情報を第1の無線回路部に出力し、第1の無線回路部は、電源情報を第2の無線回路部に送信し、第2の無線回路部は、受信した電源情報を制御回路部へ出力し、制御回路部は、電源情報に基づいて電源回路部を制御する。
【0012】
また、本発明の半導体検査装置は、主電源部と、プローブカードを有し、プローブカードは、主電源部に接続された共通電源配線と、共通電源配線に接続された複数の電源回路部と、電源回路部に接続され、電源回路部を制御する制御回路部と、制御回路部に接続され、検査対象となる半導体装置と通信する無線回路部とを備える。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板に配置された複数の半導体回路領域を有し、半導体回路領域はそれぞれ、電源供給機能を有する半導体検査装置による検査の対象となる半導体主回路部と、半導体主回路部に供給される電源を検出する検出回路部と、検出回路部の出力を半導体検査装置に無線方式で出力する無線回路部とを備える。
【0014】
また、本発明の半導体装置の検査方法は、主電源部と、主電源部に接続された共通電源配線を備えた半導体検査装置を用いて、半導体装置を構成する複数の半導体回路領域のそれぞれに対して、主電源部から共通電源配線に供給される第1の電源を供給源とし、第2の電源を個別に供給する電源供給工程と、半導体回路領域に供給されている電源を検出する検出工程と、検出した電源の情報である電源情報を無線形式で出力する出力工程と、受信した電源情報に基づいて第2の電源を制御する制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体検査システムによれば、単一の電源から複数の半導体主回路部に電源を供給する場合であっても、各半導体主回路部に安定した電源を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体検査システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る半導体検査システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る半導体検査システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る別の半導体検査システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体検査システム1000の構成を模式的に示すブロック図である。半導体検査システム1000は半導体装置1100と半導体検査装置1200を有する。半導体装置1100は半導体基板1110上に配置された複数の半導体回路領域1120を備える。各半導体回路領域1120にはそれぞれ、半導体検査装置1200による検査の対象となる半導体主回路部1121と、半導体主回路部1121に供給される電源を検出する検出回路部1122と、検出回路部1122の出力を無線方式で出力する無線回路部1124と、を備える。検出回路部1122には、アナログ・デジタル変換器や電圧比較器などを用いることができる。
【0019】
一方、半導体検査装置1200は主電源部1210とプローブカード1220とを有し、プローブカード1220には主電源部1210に接続された共通電源配線1221が配置され、共通電源配線1221に複数の電源回路部1223が接続されている。ここで、共通電源配線1221には主電源部1210から電源電圧がVDD1である第1の電源が供給される。電源回路部1223は第1の電源を供給源として、検査内容に応じて電源電圧がVDD2である第2の電源を半導体主回路部1121に供給する。このとき、検出回路部1122は半導体主回路部1121に供給されている電源を検出し、検出した電源の情報である電源情報を無線回路部1124に出力する。そして、無線回路部1124はこの電源情報を半導体検査装置1200に無線方式で送信する。
【0020】
半導体検査装置1200の無線回路部1224は、半導体装置1100の無線回路部1124が出力した電源情報を受信し、この電源情報を制御回路部1225へ出力する。制御回路部1225は、電源情報に基づいて電源回路部1223を制御する。なお、制御回路部1225には、例えばフィルタを用いることができる。電源回路部1223には、例えば電圧レギュレータを用いることができる。
【0021】
本実施形態の半導体検査システム1000によれば、各半導体主回路部1121に供給される電源の供給源は、プローブカード1220の共通電源配線1221によって共有されている。そして、半導体主回路部1121毎に検出回路部1122と無線回路部1124が同一の半導体主回路領域1120内に配置される。検出回路部1122は半導体主回路部1121に供給される電源を検出し、制御回路部1225はこの検出した電源の情報である電源情報に基づいて電源回路部1223を制御する。このとき、検出回路部1122と電源回路部1223との間で、電源をフィードバックさせて制御するための経路には、半導体装置1100の無線回路部1124とプローブカード1200の無線回路部1224とを用いた無線通信を用いている。そのため、フィードバック経路で発生する接触抵抗や寄生成分の影響を、プローブ針を用いた場合に比べ極めて小さくすることができる。その結果、各半導体主回路部1121に対して安定した電源を供給することができる。
【0022】
以上より、本実施形態の半導体検査システム1000によれば、単一の主電源部1210から複数の半導体主回路部1121に電源を供給する場合であっても、各半導体主回路部1121に安定した電源を供給することができる。
【0023】
プローブカード1200の共通電源配線1221を供給源として電源回路部1223から、各半導体回路領域1120へ第2の電源を供給するには、図1に示すように、各電源回路部1223に接続した複数のプローブ針1222を用いることができる。このとき、半導体主回路部1121に第1のパッド部1123を接続し、各プローブ針1222が第1のパッド部1123に接触するように配置すれば良い。
【0024】
検出回路部1122は、電源情報として半導体主回路部1121に供給されている電源電圧を検出する。また、これに限らず、電流を検出しても良い。
【0025】
検出回路部1122は、電源情報をデジタル値に変換する機能を備えていても良い。電源情報をデジタル値に変換することにより、半導体主回路部1120に供給される電源の正確な情報を電源回路部1223にフィードバックすることができる。
【0026】
プローブカード1200の無線回路部1224及び半導体装置1100の無線回路部1124は、容量結合または誘導結合による無線通信を用いる構成としても良い。
【0027】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係る半導体検査システム2000の構成を模式的に示すブロック図である。半導体検査システム2000は半導体装置2100と半導体検査装置2200を有する。半導体装置2100は半導体基板2110上に配置された複数の半導体回路領域2120を備える。各半導体回路領域2120にはそれぞれ、半導体検査装置2200による検査の対象となる半導体主回路部2121と、半導体主回路部2121に供給される電源を検出する検出回路部2122と、検出回路部2122の出力を無線方式で出力する無線回路部2124と、を備える。
【0028】
一方、半導体検査装置2200は主電源部2210とプローブカード2220とを有し、プローブカード2220には主電源部2210に接続された共通電源配線2221が配置され、共通電源配線2221に複数の電源回路部2223が接続されている。ここで、共通電源配線2221には主電源部2210から電源電圧がVDD1である第1の電源が供給される。電源回路部2223は第1の電源を供給源として、検査内容に応じて電源電圧がVDD2である第2の電源を半導体主回路部2121に供給する。このとき、検出回路部2122は半導体主回路部2121に供給されている電源を検出し、検出した電源の情報である電源情報を無線回路部2124に出力する。そして、無線回路部2124はこの電源情報を半導体検査装置2200に無線方式で送信する。
【0029】
半導体検査装置2200の無線回路部2224は、半導体装置2100の無線回路部2124が出力した電源情報を受信し、この電源情報を制御回路部2225へ出力する。制御回路部2225は、電源情報に基づいて電源回路部2223を制御する。
【0030】
本実施形態の半導体検査システム2000はさらに、半導体検査装置2200に参照電圧VRを発生する参照電圧発生部2211を備える。参照電圧発生部2211は、半導体回路領域2120に備えられた検出回路部2122のそれぞれに対して共通の参照電圧VRを供給する。そして検出回路部2122は、参照電圧VRに基づいて半導体主回路部2121に供給される電源を検出する。
【0031】
次に検出回路部2122の動作について説明する。半導体主回路部2121に安定した電源を供給するには、半導体主回路部2121に供給される電源の情報を高精度に検出し、その結果を電源回路部2223にフィードバックする必要がある。ここで、高精度に電源情報を検出するためには、高精度な参照電圧が必要となる。そこで、電源の情報を高精度に検出するために、例えば、検出回路部2122を、高精度な参照電圧生成機能を備えたアナログ・デジタル変換回路を有する構成とすることが考えられる。しかしながら、この構成では検出回路部2122の面積が大きくなるため、半導体回路領域2120の面積が大きくなるという問題が生じる。
【0032】
それに対して本実施形態の半導体検査システム2000によれば、参照電圧VRは半導体検査装置2200に備えられた参照電圧発生部2211から各半導体回路領域2120の検出回路部2122に供給される。そのため、半導体回路領域2120の面積の増大を招くことなく、外部信号源である参照電圧発生部2211によって生成された高精度の参照電圧VRを各検出回路部2122に供給することが可能となる。これにより、検出回路部2122は半導体主回路部2121に供給される電源の情報をより高精度に検出することができる。その結果、半導体主回路部2121に供給される電源の情報をより正確に電源回路部2223にフィードバックできるため、各半導体主回路部2121に安定した電源を供給することができる。
【0033】
検出回路部2122を簡素な電圧比較器で構成した場合の動作例について次に説明する。電圧比較器は、半導体主回路部2121に供給される電源電圧と参照電圧のどちらが高い電位かを検出し、その検出結果を電源情報として無線回路部2124へ出力する。検出回路部2122は、例えば、半導体主回路部2121に供給される電源電圧が参照電圧より大きければ1、半導体主回路部2121に供給される電源電圧が参照電圧より小さければ0を電源情報として出力することができる。そして、無線回路部2124は、電源情報をプローブカード2220の無線回路部2224へ送信する。次に、無線回路部2224は、受信した電源情報を制御回路部2225へ出力し、制御回路部2225は電源情報に基づいて電源回路部2223を制御する。例えば、半導体主回路部2121に供給される電源電圧が参照電圧よりも大きい場合は電源回路部2223をオン状態として、第2の電源を半導体主回路部2121に供給する。また、半導体主回路部2121に供給される電源電圧が参照電圧よりも小さい場合は電源回路部2223をオフ状態として、第2の電源を供給するのを停止する。
【0034】
このように、電圧比較器が参照電圧を外部信号として取得することにより、検出回路部をアナログ-デジタル変換回路で構成する場合に比べて、半導体回路領域2120の面積を大幅に小面積化することができる。
【0035】
プローブカード2220の電源回路部2223から、各半導体回路領域2120への第2の電源の供給には、第1の実施形態と同様に、各電源回路部2223に接続した複数のプローブ針2222を用いることができる。このとき、半導体主回路部2121に第1のパッド部2123をそれぞれ接続し、各プローブ針2222が第1のパッド部2123に接触するように配置すれば良い。
【0036】
また、参照電圧発生部2211から各半導体回路領域2120の各検出回路部2122への参照電圧VRの供給には、図2に示すように、参照電圧発生部2211に接続された参照電圧用プローブ針2212を用いることができる。
【0037】
さらに、半導体装置2100は、半導体基板2110上に第2のパッド部2111と、第2のパッド部2111と各検出回路部2122が接続された参照電圧配線2112を配置する構成とすることができる。この構成により、参照電圧用プローブ針2212と第2のパッド部2111、参照電圧配線2112を介して、検出回路部2122のそれぞれに対して共通に参照電圧VRを供給することができる。ここで、第2のパッド部2111は、複数の検出回路部2122に対して共通に用いることができる。そのため、本実施形態による半導体基板2110の面積の増大は最小限に抑制され、製造コストの増加を招くことはない。
【0038】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図3は、本発明の第3の実施形態に係る半導体検査システム3000の構成を模式的に示すブロック図である。半導体検査システム3000は半導体装置3100と半導体検査装置3200を有する。半導体装置3100は半導体基板3110上に配置された複数の半導体回路領域3120を備える。各半導体回路領域3120にはそれぞれ、半導体検査装置3200による検査の対象となる半導体主回路部3121と、半導体主回路部3121に供給される電源を検出する検出回路部3122と、検出回路部3122の出力を無線方式で出力する無線回路部3124と、を備える。
【0039】
一方、半導体検査装置3200は主電源部3210とプローブカード3220とを有し、プローブカード3220には主電源部3210に接続された共通電源配線3221が配置され、共通電源配線3221に複数の電源回路部3223が接続されている。ここで、共通電源配線3221には主電源部3210から電源電圧がVDD1である第1の電源が供給される。電源回路部3223は第1の電源を供給源として、検査内容に応じて電源電圧がVDD2である第2の電源を半導体主回路部3121に供給する。このとき、検出回路部3122は半導体主回路部3121に供給されている電源を検出し、検出した電源の情報である電源情報を無線回路部3124に出力する。そして、無線回路部3124はこの電源情報を半導体検査装置3200に無線方式で送信する。
【0040】
半導体検査装置3200の無線回路部3224は、半導体装置3100の無線回路部3124が出力した電源情報を受信し、この電源情報を制御回路部3225へ出力する。制御回路部3225は、電源情報に基づいて電源回路部3223を制御する。
【0041】
本実施形態の半導体検査システム3000はさらに、主電源部3210に接続された電源供給配線3211を備えている。ここで、電源供給配線3211には主電源部3210から、電源電圧がVDD3である第3の電源が供給されている。そして、この第3の電源は検出回路部3122と無線回路部3124とに供給される。
【0042】
検出回路部3122と無線回路部3124とを動作させるためには、それぞれに一定以上の電源を供給する必要があり、例えば、半導体主回路部3121のために供給された第2の電源を検出回路部3122と無線回路部3124とに供給することができる。しかしながら、半導体主回路部3121に供給される電源はテスト項目ごとに異なり、例えば、リーク試験などでは半導体主回路部3121が正常に動作しない程の低電位が電源として印加されることもある。そのため、テスト項目によっては、検出回路部3122又は無線回路部3124が正常に動作しないという問題が生じる。
【0043】
それに対して、本実施形態の半導体検査システム3000によれば、電源供給配線3211からそれぞれの半導体回路領域3210に対して、半導体主回路部3121用とは別に電源が供給される。すなわち、検出回路部3122と無線回路部3124に供給される電源は、半導体主回路部3121に供給される電源とは異なる。そのため、検出回路部3122と無線回路部3124に対して、安定して電源を供給することが可能となる。その結果、半導体主回路部3121に供給される電源の情報を確実に電源回路部3123にフィードバックできるため、各半導体主回路部3121に安定した電源を供給することができる。
【0044】
プローブカード3220の電源供給配線3211から、各半導体回路領域3120への第3の電源の供給には、図3に示すように、電源供給配線3211に接続された検出部電源用プローブ針3212を用いることができる。このとき、半導体装置3100は、半導体基板3110上に第3のパッド部3111を配置する構成とすることができる。第3のパッド部3111は検出回路部3122と無線回路部3124とに接続される。この構成により、検出部電源用プローブ針3212と第3のパッド部3111を介して、第3の電源を検出回路部3122と無線回路部3124とに供給することができる。
【0045】
また、各半導体回路領域3120へ供給する第3の電源は、電力消費が少なく安定した電源であれば良く、例えば、サブ回路やIOなどでも良い。
【0046】
半導体装置3100は、図3に示すように、テスト回路部3112を備える構成としても良い。図3の半導体検査システム3000によれば、第3の電源を用いてテスト回路部3112を動作させることができるため、テスト回路部3112は、第2の電源を用いて動作する半導体主回路部3121とは独立して動作することができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る別の半導体検査装置3300について説明する。図4は、半導体検査装置3300の構成を模式的に示すブロック図である。半導体検査装置3300は、半導体主回路部3121に電源を供給するためのプローブ針3322とは別のプローブ針である検出部電源用プローブ針3312を有する点は、半導体検査装置3200の構成と同様である。半導体検査装置3300では、図4に示すように、検出部電源用プローブ針3312が共通電源配線に第2の電源回路部3311を介して接続される。
【0048】
図3に示す半導体検査装置3200ように、主電源部3210に接続する配線として新たに電源供給配線3211に設ける場合、主電源部3210には新たな電源チャネルが必要になる。この場合、半導体検査装置3200のコストが高くなるという問題が生じる。
【0049】
それに対して、図4に示す半導体検査装置3300は、一本の共通電源配線3321から半導体主回路部3121のための第2の電源と、検出回路部3122及び無線回路部3124のための第3の電源とを半導体回路領域3120に供給する構成を備える。そのため、電源チャネルの数を最小限に抑えることができ、半導体検査装置3300のコストの増加を招くことはない。
【0050】
なお、テスト回路部3112は半導体主回路部3121のテストを補助するための回路である。そして、テスト回路部3112の消費電力は半導体主回路部3121の消費電力に比べ小さいため、供給する電源をフィードバック制御しなくてもテスト回路部3112は安定的に動作する。従って、テスト回路部3112に供給される第3の電源をフィードバック制御することは必ずしも必要ではない。
【0051】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1000、2000、3000、3010 半導体検査システム
1100、2100、3100 半導体装置
1110、2110、3110 半導体基板
1120、2120、3120 半導体回路領域
1121、2121、3121 半導体主回路部
1122、2122、3122 検出回路部
1123、2123、3123 第1のパッド部
1124、2124、3124 無線回路部
1200、2200、3200、3300 半導体検査装置
1210、2210、3210、3310 主電源部
1220、2220、3220、3320 プローブカード
1221、2221、3221、3321 共通電源配線
1222、2222、3222、3322 プローブ針
1223、2223、3223、3322 電源回路部
1224、2224、3224、3324 無線回路部
1225、2225、3225、3325 制御回路部
2111 第2のパッド部
2112 参照電圧配線
2211 参照電圧発生部
2212 参照電圧用プローブ針
3111 第3のパッド部
3112 テスト回路部
3211 電源供給配線
3212、3312 検出部電源用プローブ針
3311 第2の電源回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置と、半導体検査装置とを有し、
前記半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に配置された複数の半導体回路領域を有し、
前記半導体回路領域はそれぞれ、前記半導体検査装置による検査の対象となる半導体主回路部と、前記半導体主回路部に供給される電源を検出する検出回路部と、前記検出回路部の出力を無線方式で出力する第1の無線回路部と、を備え、
前記半導体検査装置は、主電源部と、プローブカードとを有し、
前記プローブカードは、前記主電源部に接続された共通電源配線と、前記共通電源配線に接続された複数の電源回路部と、前記電源回路部に接続され、前記電源回路部を制御する制御回路部と、前記制御回路部に接続された第2の無線回路部とを備え、
前記主電源部は前記共通電源配線に第1の電源を供給し、
前記電源回路部は、前記主電源部から前記共通電源配線に供給される第1の電源を供給源とし、第2の電源を前記半導体主回路部に供給し、
前記検出回路部は、前記半導体主回路部に供給される電源を検出し、検出した電源の情報である電源情報を前記第1の無線回路部に出力し、
前記第1の無線回路部は、前記電源情報を前記第2の無線回路部に送信し、
前記第2の無線回路部は、受信した前記電源情報を前記制御回路部へ出力し、
前記制御回路部は、前記電源情報に基づいて前記電源回路部を制御する
半導体検査システム。
【請求項2】
前記第1の無線回路部及び前記第2の無線回路部は、容量結合または誘導結合による無線通信を用いる
請求項1に記載の半導体検査システム。
【請求項3】
前記半導体装置は、前記各検出回路部に共通に接続された参照電圧配線と、前記参照電圧配線に接続されたパッド部を有し、
前記パッド部には、前記半導体検査装置から参照電圧が印加され、
前記検出回路部は前記参照電圧に基づいて前記半導体主回路部に供給される電源を検出する
請求項1又は2に記載の半導体検査システム。
【請求項4】
前記半導体検査装置は、参照電圧を発生する参照電圧発生部をさらに備え、前記検出回路部のそれぞれに対して共通に前記参照電圧を供給し、
前記検出回路部は、前記半導体主回路部に供給される電源を前記参照電圧に基づいて検出する
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体検査システム。
【請求項5】
前記検出回路部と前記第1の無線回路部に供給される電源が、前記半導体主回路部に供給される電源とは異なる供給源から供給される請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体検査システム。
【請求項6】
前記半導体検査装置は、前記共通電源配線に接続された第2の電源回路部を備え、
前記第2の電源回路部は、前記第1の電源を供給源として第3の電源を前記検出回路部及び前記第1の無線回路部に供給する
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体検査システム。
【請求項7】
前記半導体検査装置は、前記主電源部に接続された電源供給配線をさらに備え、前記半導体回路領域に対して第3の電源を供給し、
前記第3の電源は、前記検出回路部及び前記第1の無線回路部に供給される
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体検査システム。
【請求項8】
主電源部と、プローブカードを有し、
前記プローブカードは、前記主電源部に接続された共通電源配線と、前記共通電源配線に接続された複数の電源回路部と、前記電源回路部に接続され、前記電源回路部を制御する制御回路部と、前記制御回路部に接続され、検査対象となる半導体装置と通信する無線回路部とを備える
半導体検査装置。
【請求項9】
前記無線回路部は、容量結合または誘導結合による無線通信を用いる
請求項8に記載の半導体検査装置。
【請求項10】
前記複数の電源回路部のそれぞれに接続され、前記半導体装置を構成する複数の半導体回路領域がそれぞれ備える半導体主回路部に接続された第1のパッド部に対向するように配置されたプローブ針と、
参照電圧を発生する参照電圧発生部と、
前記参照電圧発生部に接続され、前記半導体回路領域がそれぞれ備える検出回路部に対して共通に前記参照電圧を供給する参照電圧用プローブ針とを有する
請求項8又は9に記載の半導体検査装置。
【請求項11】
前記共通電源配線に接続された第2の電源回路部と、
前記第2の電源回路部に接続され、前記複数の半導体回路領域がそれぞれ備える無線回路部及び前記検出回路部に対して電源を供給する検出部電源用プローブ針を有する
請求項7から10のいずれか一項に記載の半導体検査装置。
【請求項12】
前記主電源部に接続された電源供給配線をさらに備え、
前記電源供給配線に接続され、前記複数の半導体回路領域がそれぞれ備える無線回路部及び前記検出回路部に対して電源を供給する検出部電源用プローブ針を有する
請求項7から1のいずれか一項に記載の半導体検査装置。
【請求項13】
半導体基板と、前記半導体基板に配置された複数の半導体回路領域を有し、
前記半導体回路領域はそれぞれ、電源供給機能を有する半導体検査装置による検査の対象となる半導体主回路部と、前記半導体主回路部に供給される電源を検出する検出回路部と、前記検出回路部の出力を前記半導体検査装置に無線方式で出力する無線回路部とを備える
半導体装置。
【請求項14】
前記無線回路部は、容量結合または誘導結合による無線通信を用いる
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体主回路部に接続された第1のパッド部を備え、前記第1のパッド部を介して前記半導体主回路部に電源が供給される
請求項13又は14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記各検出回路部に共通に接続された参照電圧配線と、前記参照電圧配線に接続された第2のパッド部を有し、
前記第2のパッド部には、前記半導体検査装置から参照電圧が印加され、
前記検出回路部は前記参照電圧に基づいて前記半導体主回路部に供給される電源を検出する
請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記検出回路部及び前記無線回路部に接続された第3のパッド部を有し、
前記検出回路部及び前記無線回路部に、前記第3のパッド部を介して電源が供給される
請求項15又は16に記載の半導体装置。
【請求項18】
主電源部と、前記主電源部に接続された共通電源配線を備えた半導体検査装置を用いて、半導体装置を構成する複数の半導体回路領域のそれぞれに対して、前記主電源部から前記共通電源配線に供給される第1の電源を供給源とし、第2の電源を個別に供給する電源供給工程と、
前記半導体回路領域に供給されている電源を検出する検出工程と、
検出した電源の情報である電源情報を無線形式で出力する出力工程と、
受信した前記電源情報に基づいて第2の電源を制御する制御工程とを有する
半導体装置の検査方法。
【請求項19】
参照電圧を発生し、前記半導体回路領域のそれぞれに対して共通に前記参照電圧を供給する参照電圧供給工程を有し、
前記参照電圧に基づいて、前記半導体回路領域に供給されている電源を検出する請求項18に記載の半導体装置の検査方法。
【請求項20】
前記半導体回路領域に対して第3の電源を供給する検出電源供給工程を有し、
前記検出工程と前記出力工程とは、前記第3の電源を用いて行われる請求項18又は19に記載の半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−204815(P2011−204815A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69102(P2010−69102)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】