説明

半導体用ウエハ製造方法及び装置

【課題】従来のインゴット(CZ法等)によらず、シリコンウエハを含む半導体ウエハを直接製造する方法及び装置を提供する。
【解決手段】不活性ガスを充填したチャンバ1内において、長手方向に延長した保持炉3に半導体の溶融体5を保持し、前記保持炉3の上方からウエハ基板となる金属テープ2を所定の速度で供給し、下降させて供給し、前記シリコン溶融体5上面に接触させ、前記テープ2の少なくとも1面に前記半導体を凝固付着させ、該テープ2を上方に引上げ、基板で補強されたウエハを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物及びシリコン等の半導体、特にシリコンウエハを、インゴットを製造し、切断、研磨して製造する方法に代わり、直接基板となる金属テープで補強されたシリコンウエハをする方法及び装置に係る。以下本明細書においては、半導体はIC回路用のシリコン半導体、太陽電池用シリコン半導体及びGaAs等化合物半導体を含む。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽電池用またはIC回路用半導体用のシリコンはシリコン溶融体を1方向凝固させ、インゴットを製造し、これを切断、研磨してウエハを製造していた(以下インゴット法という)。この方法は通常CZ法あるいは電磁鋳造法といわれている。高価な装置である。
【0003】
しかし、これらの方法は高純度シリコンを一度保持炉内で溶解し、精密な引上げ装置でインゴットを引上げ、凝固し、冷却するため、多大なエネルギーを消費する(150Kwh/kg)。また、製造されたインゴットを切断し、ウエハを製造するので、その歩留まりは60から70%である。その理由は、ウエハ厚み250から500μm、切断厚み150から200μm、その他頭部底部の切り代があるためである。
【0004】
従って、太陽電池及びIC回路用等に使用されるウエハの製造費はきわめて高い。そこで、溶解温度が低いGa−Asの結晶を製造するため液相エピタキシャル装置が開示されている(特開平3−80185号公報)。この方法は、Ga−As基板を目的とする成分組成となっている溜めに基板を順次接触させ、種々の成分組成の層を積層させて、半導体を製造している。製造されるウエハは基板の面積に限定されおり、又この方法は融点の高いシリコンには適用されていない。
また、特許第3210303号公報および特開平8−330316号公報には、シリコン単結晶のインゴットを製造する条件を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−80185号公報
【特許文献2】特許第3210303号公報
【特許文献3】特開平8−330316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在特に需要の高い太陽電池及びIC回路用半導体用のシリコンウエハを安価に大量に製造する要請がある。本発明は係る要請を解決する画期的発明を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記要請を解決する為に研究を進め、画期的な新しいシリコンウエハを連続的に製造する方法及び装置を着想し、完成させた。ここで、シリコンウエハは多結晶のウエハばかりでなく、製造条件を調整することにより、エピタキシャルウエハも製造できるので、従来の要請を一挙に解決するものである。
【0008】
本願発明の基本的思想は、薄い金属シリコンの融点よりも高いテープ状金属薄板を、不活性ガスを充填したチャンバ内において、長手方向に延長した保持炉にシリコン溶融体を保持し、前記保持炉の上方からウエハ基板となる金属テープを所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向に下降させて供給し、前記シリコン溶融体上面に所定距離接触させ、前記テープの少なくとも1面又は両面に前記シリコンを凝固付着させ、
該テープをガイドしながら上方に引上げ、基板で補強されたウエハを製造する方法である。
また、テープ上に凝固したシリコンの結晶方位制御するためにはシリコン溶融体に接触する側に、予め例えば所定の結晶面を生成させたシリコンの薄膜を形成しておくとことが望ましい。テープ面で凝固したシリコンの結晶方位は、テープに予め生成している結晶方位に成長することが多いためである。
【0009】
予めリールに巻いてある金属テープを所定の速度で供給する方法は前記テープを供給ロールではさみ、供給する方法であり、また、該金属テープを所定の速度で上方に引き上げる方法は前記テープを引上げロールではさみ、引上げる方法である。
【0010】
上記製造方法を実施する装置は、不活性ガスを充填したチャンバと、このチャンバ内に以下の装置を収容したものである。
シリコン溶融体を保持し、該シリコンを加熱する設備を備え、長手方向に延長した保持炉と、
前記保持炉の上方からウエハ基板となる金属テープを所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向に下降供給させるテープ供給ロールと、
前記シリコン溶融体面に所定距離接触させ、前記テープの少なくとも1面に前記シリコンを凝固付着させるガイドと、
を備え、前記シリコンが凝固付着したテープを上方に引上げ、基板で補強されたウエハを製造する装置である。
【発明の効果】
【0011】
この方法及び装置は、予めリールに巻いてある金属テープを連続的に供給することにより、金属テープで補強されたウエハを連続的に一定の品質で大量に製造できる利点がある。少なくとも引上げ速度が高い場合でも太陽電池級のシリコンウエハを製造できる。引上げ速度を低くすれば、エピタキシャルウエハを製造できる。また、シリコンウエハばかりでなく、GaAs等の化合物半導体の製造にも適用できる方法及び装置である。シリコン溶融体の代わりにGaAsなどの溶融体を準備しておけば、これらの薄膜をテープ上に生成できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明のシリコンウエハ製造装置の基本構成を示す図である。
【図2】図2は、シリコン湯面に金属テープが接触し、ウエハを形成する様子を示す概要図である。
【図3】図3は、図2に示した本発明の基本構成の他の実施態様を示し、シリコン溶融体を保持する保持炉の長手方向の中心に沿った垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の基本的構成を図1に示す。不活性ガス、例えばArガスを1気圧程度充填したチャンバ1内に、高純度シリコン(太陽電池用のウエハを目的とする場合には10−7の不純物濃度を含む金属シリコン、IC回路用半導体を目的とする場合には10−11の不純物を含む)5を、長手方向に延長した舟状の保持炉3に収容し、高周波コイルを保持炉の先頭部6と、中間部を除き、後端部にリング状に巻いたコイル7‘及び7で加熱し、約1415から1430℃のシリコン溶融体5を用意する。
前記保持炉の上方からリ−ル(図示せず)に巻いてある基板となる金属テープ2をロール4により引き出し、所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向にテープ供給ロールから下降供給する。
【0014】
上記金属テープはシリコンの融点よりも高いTiまたはNi、またはこれ等の合金のテープ等が望ましい。これらのテープは予め、又はシリコン湯面に供給する前に水素ガスを吹き付けて酸化膜を除去しておくのが望ましい。シリコンの湯面は高周波コイル7,7‘の電磁力により保持炉の中間部で多少数ミリ盛上がっているので、テープ2をこの盛上がり10に接触させる。図2はシリコン湯面の盛り上がりを示す。テープとシリコン湯面の接触長さは1から10mm程度とすればよい。この接触長さでテープに付着するシリコンの厚みを目的とする厚さ20に制御する。また、テープ上に凝固したシリコンの結晶方位制御するためにはシリコン溶融体に接触する側に予め例えば所定の結晶面([100]、または [111])を生成させたシリコンの薄膜を形成しておくとことが望ましい。テープ面で凝固したシリコンの結晶方位は、テープに予め生成している結晶方位に成長することが多いためである。テープの厚みは1〜20μmでよい。一般に(Si)は腐食性が高いので、予めTiの表面にクロム(Cr)を1〜2μmのめっきをしておくと、Tiの溶解を防止し、かつSiの凝固の結晶方位を一定にすることが容易である。
【0015】
本発明では、シリコンの融点を1420℃と仮定する(高純度シリコンの融点は1427度とする場合もある)。他方テープの温度は、例えば1350から1400℃とし、テープがシリコン湯面に接触した際短時間で凝固層が生成するように配慮する。シリコン湯面の温度、テープの温度、テープ供給速度はシリコンの結晶粒度、結晶方位に影響するので、精密な制御が必要である。テープ供給速度制御は供給ロール4及び引上げロール6を従来の速度制御機器で制御する。
まず、基本的にはシリコンの望ましい厚みからテープ供給速度、または引き上げ速度を決定する。次に、シリコン湯面温度及びテープの温度を決定する。シリコンの湯面温度制御は、シリコン溶融体の温度を測定し、連動した高周波電力制御装置で制御する。テープの温度は湯面近傍で例えば1350℃から1400℃が望ましい。テープが形成する円弧半径rは、例えば望ましい範囲、半径20から70cmとする。
【0016】
テープ供給側では湯面にたいして30から90度(反時計方向に計り)の角度でテープを供給する。テープ引出側では、湯面に対して10から90度(時計方向に計り)方向にテープを引き出す。
凝固したシリコンをあまり湾曲させず、最終的にフラットなウエハにするためである。
基板である金属板はウエハを補強してウエハが割れないようにする。この基板はウエハを半導体に加工する場合には、電極として利用できる。なお、電極が不要な場合には、エッチング等により剥離してもよい。
【0017】
前記シリコンを溶融する保持炉3はたとえば石英を用いる。他の材質であるとシリコン溶湯が不純物で汚染されるからである。保持炉の中間部としてテープを浸漬する場所を10から30cm程度確保する。この場所は特にカバー(図せず)をかけない。その前方(テープ引き上げ方向)とその後端部にはカバーをかけてもよい。シリコンは溶解前では電気伝導度が小さいため高周波電力が入力しにくいため、温度が上昇しにくい。そこで、保持炉の外周を黒鉛のケースで周包し、他の交流は直流電力で加熱された黒鉛で保持炉内のシリコンを加熱することが望ましい。
これらの部分は垂直方向の高周波コイルを適度に巻いて、保持炉内に充填した金属シリコンを加熱する。この際高周波コイルは保持炉の長手方法と直角に巻いてあるので中央部で湯面の盛り上がりあるので、テープ表面に接触する。
【0018】
以下、多結晶またはエピタキシャル結晶成長の条件が成立しているかを検証する。
先に引用した先行特許文献2を参照すと、シリコン単結晶をCZ法で引上げる場合の種結晶引上げ条件としてV/G(r)≧1.3・10−3cm/Kmin(V:引き上げ速度、G:界面温度勾配)であることを要求する。そして、Vは2から8mm/minとしている。Vを5mmとするとG≧384.6K/mmである。また、先行特許文献3では、単結晶の引き上げ速度は1〜2mm/minとしている。
【0019】
本発明で、 テープに付着するシリコン凝固層の厚みを0.05mm(50μm)、シリコン湯面温度1420℃、テープの温度1400℃とすれば、温度勾配は400度C/mmである。従って、上方への引き抜き速度Vは0.52cm/minであり、水平の移動速度は104mm/minである。また、上方への引上げ速度を2mm/minとすると、水平の移動速度は41mm/minである。この程度の水平移動速度で単結晶、少なくとも多結晶の生成は可能である。上記言及はエピタキシャル成長が可能であるCZ法における一般的温度条件が本発明においても実現されていることを説明するための説明に過ぎず、先行技術を本願発明で利用していることを主張するものでない。
【0020】
金属テープは、供給側と引き上げ側ともに適当な間隔で設けたロールで供給または引上げる。必要によりテープをガイドするガイド8を設けことが出来る。ウエハを引上げるとシリコンは徐々に減少するので、保持炉の一方から金属シリコンを新たに供給し、湯面の位置を一定に保持すればよい。引上げたウエハエは適宜切断し、外部に取り出し保存する。ウエハの表面が全く平滑でないときは、必要により研磨機で平滑にする。
ウエハの厚みはその後利用するため、250から500μmとなるように引き上げ速度、シリコン湯面温度、テープの予熱温度を制御する。原則としては金属テープの一面のみにシリコンを付着すればよいが、テープ両面にシリコンを付着させてもよい。
【0021】
上記方法を実施する装置は、不活性ガスを充填したチャンバ1内に、
前記シリコン溶融体5を保持し、該シリコンを加熱する設備を備えた長手方向に延長した保持炉3と、
前記保持炉の上方からウエハ基板となる金属テープ2を所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向に下降供給させるテープ供給装置4と、
前記シリコン溶融体面に所定距離接触させ、前記テープの1面又は両面に前記シリコンを凝固付着させたテープと所定の方向に必要によりガイドするガイド8を備え、
前記シリコンが凝固付着したテープを上方に引上げ、基板2で補強されたウエハを製造する装置である。
【0022】
不活性ガスとしては高純度Arガス、He、Neガスも利用できる。ただし、熱容量の大きいArガスが装置の冷却効果が大きい。シリコン溶融体を保持する船型保持炉は、テープの幅が10cmの場合には例えば断面が20cm×25cm、長さ50から70cm、壁厚み30mm程度のシリカで構成する。約70kgのシリコンを保持する。保持炉の幅は使用するテープの幅に応じて大きくする。
長手方向の前方(引上げ側)に例えば1000サイクルの3から10ターンの高周波コイル7‘を巻く。同じく長手方向の後端部にも同じ高周波コイル7を巻く。シリコンを溶解するには最初は約200kw、シリコンが溶解したら約50kw程度で、1420から1450℃の温度を維持する。
【0023】
供給側金属テープの温度はシリコン湯面から20cm程度高い場所に高周波電力を供給するコイル9を設け、金属テープを囲み20kw程度の電力で加熱し、常温から所定の温度、例えば1400℃に加熱する。金属テープは高周波電力で急激に加熱すると変形することがあるので、その場合には予め他の方法で、予熱することが望ましい。
また、シリコンを付着させたテープにも同じような高周波加熱装置(図示せず)を設け、加熱処理をするとシリコンの結晶粒度を一般的には拡大させ、シリコンの電気的性質を望ましくする。
【0024】
図3には、図2に示した装置概要の他の実施例を示す。シリコンの溶融体5は長い箱形の保持炉3に保持されている。中心部に堰き35があり、図の左右から高周波電力によって堰きに付き当たった溶融体が上方に流れ、盛り上がり10を形成する。堰は盛り上がり10の位置を固定する作用がある。保持炉には、最初細かくした金属シリコンを充填してあるので、コイル7‘及び7からの電力が、入力されにくい。そこで、箱型の保持炉の外周を凹型の黒鉛のケースで囲んでいる。保持炉3の先頭部と後端部は保温のためカバーで覆われている。一旦溶融体が形成されると、溶融体の電気伝導度が上がり、高周波電力がインプットされ易くなり、加熱が容易となる。シリコンの凝固厚みをX線厚み測定器34等で常時測定することは望ましい。
【0025】
保持炉5の中心部は、図2に示したように、金属テープ2が上方から供給され、シリコンの湯面盛り上がり10に接触し、前方に引上げられる。この際ガイド8と、ロールはテープの移動を容易にする。供給ロール4と引上げロール6(図6)又は40(図3)は連動し金属テープを移動させる。金属テープ2にシリコンを均一に付着させるためには、溶融体の湯面を正確に一定位置に制御することが重要である。そこで、保持炉5の後端に減少するシリコンを供給するための溶解炉を保持炉5に接続させる。溶解炉は断面が円形または四角形の石英ルツボで、外周を黒鉛の加熱体でカバーし、さらに高周波コイルで巻き、電力を供給し、新たに供給されるシリコンを溶解する。
【0026】
金属テープに付着させるシリコンの厚みを一定にするためには、基本的にはシリコン溶融体の湯面を一定に保持することが重要である。そのためには湯面の位置を精度高いレーザ距離計で測定し、制御器を介して、細粒のシリコンを収容するホッパの開閉弁を開閉器で制御することが望ましい。
太陽電池用ウエハの場合には、基板である金属テープ上には通常P型半導体を形成しているので、保持炉内のシリコン溶融体を予め3価のB等をドープしてP型半導体とすることがのぞましい。要は基板と接する半導体がP型の場合は3価のドープ材を、N型の場合には5価のPをドープしておくと、シリコン溶融体の電気伝導度が高くなるので、高周波による加熱・溶解が促進される。
【0027】
次にシリコンの結晶粒の方位をのべる。一般にCZ法で一方向凝固したインゴットは例えば[100] の方向がインゴットの長手方向に揃っている。Tiテープで製造したウエハの結晶方位を調べた。従来、インゴットを引上げるとき引上げ前の金属の結晶方位がそのまま延長するように引上げ速度等を選択する。実験の結果、テープの移動速度が遅いときには金属テープ面の結晶方位によらず、ウエハの結晶方位[100](ウエハ面の法線方向)は抜熱方向と一致することが判明した。結晶の[100]方向は比較的に原子が祖に配置されているため冷却速度が遅い場合には抜熱方向(テープ面の法線方向)と一致したためと推定される。なお、この理由は不明な点が残されている。従って、凝固開始前記のTiテープの結晶方位が必ずしもウエハの結晶方位と同じことは要しない。
【0028】
比較的凝固速度が遅い場合には、一般に凝固開始前の結晶方位を引き継ぐことがあるが、凝固速度が早い場合には抜熱方法に種々の結晶方位が混在することも判明した。
また、テープの表面に予め望ましい結晶方位を有するシリコン、GaP,AlP,CaF等、Siの格子定数に近い物質の薄膜(厚み2μm程度)を種結晶として形成しておくのは望ましい。シリコンは公知の方法(特開2006−245326号公報)などにより金属テープ表面に予め形成することが出来る。
【実施例1】
【0029】
実施態様で述べた装置を用い、巾10mmのTiテープ(例えば厚み10μm)を半導体用の高純度シリコンの湯面に接触させて、ウエハを製造した。実験用のチャンバは巾2m、長さ4m、高さ3mでArを充満させたチャンバである。
シリコンの湯面温度は最初1425℃、その後1417℃とした。引上げ速度(水平移動速度)は120mm/min とした。付着したシリコンの厚みは最初200μmであったが、シリコン浴の温度を1416℃としたところ500μmとなった。次に結晶方位を調べたところ、テープ法線方向に[100]が約90%揃っていた。このウエハは完全ではないが、ほぼ半導体用に使用可能であった。
【実施例2】
【0030】
実施例1と同じ条件で、ただし太陽電池用のシリコン溶湯を溶解し、テープ引き上げ速度を50mm/minとした。この場合には、結晶方位は[100] と [111]とが混合していた。このウエハは太陽電池用シリコンとして使用可能であった。
【実施例3】
【0031】
実施例1と同じ条件で、ただし太陽電池用のシリコン溶湯を溶解し、テープ引き上げ速度を50mm/minとした。この場合予めTiテープの1面にシリコン薄膜(厚み2μmの多結晶または[100]面が形成されている)を形成したテープを使用した。結晶方位は[100] と [111]とが混合していた。このウエハは太陽電池用シリコンとして使用可能であった。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・装置全体を囲むチャンバ 2・・・・金属テープ、基板
3・・・・シリコン溶融体のための保持炉
4・・・・テープ供給ロール 40・・・・テープ引上げロール
5・・・・シリコン溶融体 7・・・・高周波コイル
7‘・・・高周波コイル 8・・・・テープガイド
9・・・・テープ加熱用高周波コイル
10・・・湯面の盛り上がり
20・・・テープに付着したシリコンウエハ
34・・・X線厚み計 35・・・・堰



【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスを充填したチャンバ内において、
長手方向に延長した保持炉に半導体の溶融体を保持し、
前記保持炉の上方からウエハ基板となる金属テープを所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向に下降させて供給し、
前記金属テープを前記半導体の溶融体上面に所定距離接触させ、前記テープの少なくとも1面に前記半導体を平面的に凝固付着させ、
該テープを上方に引上げ、基板で補強されたウエハを製造する方法。
【請求項2】
前記金属テープは、予めシリコンの薄膜を形成した金属テープであることを特徴とする請求項1記載のウエハを製造する方法。
【請求項3】
前記金属テープを所定の速度で供給する方法及び前記金属テープを所定の速度で上方に引き上げる方法は、前記テープを供給ロールではさみ供給又は引上げる方法であることを特徴とする請求項1記載のウエハを製造する方法。
【請求項4】
不活性ガスを充填したチャンバ内に、
前記半導体の溶融体を保持し、該半導体の溶融体を加熱する設備を備えた長手方向に延長した保持炉と、
前記保持炉の上方からウエハ基板となる金属テープを所定の速度で供給し、前記長手方向と同じ方向に下降供給させるテープ供給装置と、
前記半導体溶融体面に所定距離接触させ、前記テープの少なくとも1面に前記半導体を凝固付着させたテープを上方に引上げる引上げ装置を備える、基板で補強されたウエハを製造する装置。
【請求項5】
前記半導体はシリコンであることを特徴とする請求項4に記載のウエハを製造する装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−93785(P2011−93785A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216539(P2010−216539)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(503070605)有限会社三和知財研究所 (2)
【Fターム(参考)】