説明

半導体発光素子の実装方法

【課題】発光特性および生産性に優れた半導体発光素子の実装方法を提供する。
【解決手段】本発明は、正電極6の上面が負電極5の上面より高い位置にあるLEDチップ1を、セラミック基板9に実装する実装方法であって、負電極5上および正電極6上にレジスト16を積層して、レジスト16に開口部16a・16bを形成する開口部形成工程と、開口部16a・16b内にそれぞれ、バンプ11・12を形成するバンプ形成工程と、レジスト16を除去するレジスト除去工程と、バンプ11・12をセラミック基板9にボンディングするボンディング工程と、を有し、さらに、開口部16aの断面積は、開口部16bの断面積よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ実装型の半導体発光素子の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(発光ダイオード)チップをセラミック基板(実装基板)等に実装する際に、ワイヤーボンド法が用いられていた。しかし、このワイヤーボンド法では、セラミック基板にワイヤーの接続領域を設ける必要があるため、小型化が難しいという問題や、ワイヤーによってLEDチップからの出射光の影が生じ、発光効率が低下するといった問題があった。そこで、近年では、LEDチップの電極をセラミック基板側に向けて実装するフリップチップ実装と呼ばれる方式が提案されている。
【0003】
図5は、サファイア基板を用いたLEDチップ1の断面図である。LEDチップ1は、サファイア基板2、n型窒化物半導体層3、p型窒化物半導体層4、負電極5および正電極6を備えている。負電極5と正電極6との間に順方向電圧を印加することにより、n型窒化物半導体層3とp型窒化物半導体層4との境界付近の活性層4aにおいて、電子と正孔とが合体して発光する。
【0004】
負電極5は、n型窒化物半導体層3の上面に形成されているのに対し、正電極6は、n型窒化物半導体層3の上面に積層されたp型窒化物半導体層4の上面に形成されているため、負電極5の上面と正電極6の上面との間に、高低差Hが存在する。このため、LEDチップ1をフリップチップ実装方式でセラミック基板に実装する場合、以下のような問題がある。
【0005】
図6は、LEDチップ1を2つのバンプ10a・10bを介してセラミック基板9に実装する状態を示す断面図である。バンプ10a・10bの大きさは同一であり、バンプ10aはLEDチップ1の負電極5上に形成され、バンプ10bはLEDチップ1の正電極6上に形成されている。上述のように、LEDチップ1の負電極5と正電極6との間に高低差があるため、バンプ10a・10bの各表面の高さも異なる。このため、図6に示す状態でLEDチップ1をセラミック基板9上にフリップチップ実装すると、LEDチップ1がセラミック基板9に対して傾いてしまい、LEDチップ1からの出射光の指向性が悪くなる。
【0006】
図7は、LEDチップ1全体にかかる荷重とバンプ10a・10bの変形量との関係を示すグラフである。例えば、バンプ10bを10μm変形させる場合、LEDチップ1全体に約14N/mmの荷重をかける必要があるのに対し、バンプ10aを10μm変形させる場合、LEDチップ1全体に約20N/mmの荷重をかける必要がある。このように、バンプ10aをバンプ10bと同程度変形させる場合、LEDチップ1全体にかける荷重は約1.5倍増加する。そのため、バンプ10a・10bを押しつぶすことによってバンプ10a・10b間の高低差を吸収しようとすると、正電極6の下層の素子に大きな荷重がかかり、当該素子にダメージが発生するという問題がある。
【0007】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、キャピラリーの先端部分において金属ワイヤの先端部を溶融させてボール(バンプ)を形成し、電極面に上記ボールを固着させた後に電極面に略平行にキャピラリーの先端部分をボール上で摺動させることにより該ボールの高さを揃える方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−118137号公報(2002年4月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、電極面に上記ボールを固着させた後にキャピラリーの先端部分をボール上で摺動させるため、バンプ作成に長時間を要するといった問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、発光特性および生産性に優れた半導体発光素子の実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る半導体発光素子の実装方法は、第1導電型半導体層と、第1導電型半導体層の上面の一部に積層された第2導電型半導体層と、第1導電型半導体層の上面の他の一部に形成された第1電極部と、第2導電型半導体層の上面に形成された第2電極部と、を備え、上記第1導電型半導体層に対して、上記第2電極部の上面が上記第1電極部の上面より高い位置にある半導体発光素子を、バンプを介して基板に実装する半導体発光素子の実装方法であって、上記第1電極部上および上記第2電極部上にレジストを積層して、当該レジストの上記第1電極部に対応する部分に第1開口部を形成し、当該レジストの上記第2電極部に対応する部分に第2開口部を形成する開口部形成工程と、上記第1開口部内および上記第2開口部内にそれぞれ、第1バンプおよび第2バンプを形成するバンプ形成工程と、上記レジストを除去するレジスト除去工程と、上記第1バンプおよび上記第2バンプを上記基板にボンディングするボンディング工程と、を有し、上記第1開口部の断面積は、上記第2開口部の断面積よりも大きいことを特徴としている。
【0012】
上記の半導体発光素子は、第2電極部の上面が第1電極部の上面より高い位置にある構造であるため、第1電極部および第2電極部に、同一の高さを有するバンプを形成して基板にボンディングした場合、半導体発光素子が基板に対して傾いてしまう。
【0013】
そこで、本発明に係る実装方法では、バンプを形成するための開口部をレジストに形成する開口部形成工程において、レジストの第1電極部および第2電極部に対応する各部分に、それぞれ第1開口部および第2開口部を形成し、第1開口部の断面積が、第2開口部の断面積よりも大きいことを特徴としている。これにより、バンプ形成工程において、第1バンプの形成速度が第2バンプの形成速度よりも大きくなるため、第1バンプを第2バンプよりも高く形成することができる。よって、第1バンプの上面と第2バンプの上面との高低差を、第1電極部の上面と第2電極部の上面との高低差よりも小さくすることができる。これにより、ボンディング工程において、半導体発光素子の基板に対する傾きを低減することができ、半導体発光素子の発光特性が向上する。
【0014】
また、上記の実装方法では、レジストの開口部の断面積を異ならせるだけで、異なる高さを有するバンプを形成することができるので、特許文献1に係る発明と異なり、短時間でバンプを形成することができる。したがって、発光特性および生産性に優れた半導体発光素子の実装方法を提供することができる。
【0015】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記第2開口部の個数が上記第1開口部の個数よりも多いことが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、第2開口部の個数が第1開口部の個数よりも多いので、第1バンプおよび第2バンプをそれぞれ1個ずつ形成する場合に比べ、第1バンプの断面積の総和と第2バンプの断面積の総和との差を小さくすることができる。よって、接合強度の向上および接触抵抗の低減を図ることができる。
【0017】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記第2開口部の個数は、上記第1開口部の断面積の総和と上記第2開口部の断面積の総和との差が最小となる個数であることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、第1バンプの断面積の総和と第2バンプの断面積の総和との差が最小となるので、より安定したフリップチップ実装が可能となる。
【0019】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記第1バンプの上面と上記第2バンプの上面とは、上記第1導電型半導体層に対する高さが略同一であることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、半導体発光素子を基板に対して平行に実装することができるので、半導体発光素子の発光特性をより向上させることができる。
【0021】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記バンプ形成工程において、上記第1バンプおよび上記第2バンプの各上面の上記第1導電型半導体層に対する高さと、上記レジストの上面の上記第1導電型半導体層に対する高さとの差が、10μm以上であることが好ましい。
【0022】
バンプ形成工程では、第1バンプおよび上記第2バンプの各上面とレジストの上面との高低差が10μm以上の場合に、第1バンプの形成速度と第2バンプ形成速度との差が顕著になる。よって、上記の構成とすることで、さらに容易に第1バンプを第2バンプよりも高く形成することができる。
【0023】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記第1開口部の断面積は、上記第2開口部の断面積の10倍以下であることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、安定したフリップチップ実装のために第2バンプの個数をあまり多くする必要がないため、開口部形成工程において、レジストへのパターニングが容易となる。
【0025】
本発明に係る半導体発光素子の実装方法では、上記第1導電型半導体層に対する、上記第1電極部の上面と上記第2電極部の上面との高低差が、2μm以下であることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第1開口部と第2開口部との断面積比を小さくすることができるので、第2開口部の断面積をあまり小さくする必要がない。そのため、開口部形成工程において、レジストへのパターニングが容易となる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係る半導体発光素子の実装方法は、上記第1電極部上および上記第2電極部上にレジストを積層して、当該レジストの上記第1電極部に対応する部分に第1開口部を形成し、当該レジストの上記第2電極部に対応する部分に第2開口部を形成する開口部形成工程と、上記第1開口部内および上記第2開口部内にそれぞれ、第1バンプおよび第2バンプを形成するバンプ形成工程と、上記レジストを除去するレジスト除去工程と、上記第1バンプおよび上記第2バンプを上記基板にボンディングするボンディング工程と、を有し、上記第1開口部の断面積は、上記第2開口部の断面積よりも大きいことを特徴としている。したがって、発光特性および生産性に優れた半導体発光素子の実装方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る実装方法を示す図である。
【図2】LEDチップの実装方法を示す断面図である。
【図3】レジストの2つの開口部の断面積比と、各開口部に形成されるバンプの高さ比との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態に係る実装方法の変形例を示す図である。
【図5】サファイア基板を用いたLEDチップの断面図である。
【図6】図5に示すLEDチップを2つのバンプを介してセラミック基板に実装する状態を示す断面図である。
【図7】LEDチップ全体にかかる荷重と2つのバンプの変形量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0030】
(フリップチップ実装の概要)
図1は、本実施形態に係る実装方法を示す図である。具体的には、図1(a)は、LEDチップ1にバンプ11・12を形成した状態を示す断面図であり、図1(b)は、当該状態におけるLEDチップ1の電極側からの平面図であり、図1(c)は、図1(a)に示すLEDチップ1をセラミック基板9に実装した状態を示す断面図である。
【0031】
LEDチップ1は、図5に示すものと同一である。すなわち、図5に示すように、LEDチップ(半導体発光素子)1は、サファイア基板2、n型窒化物半導体層(第1導電型半導体層)3、p型窒化物半導体層(第2導電型半導体層)4、負電極(第1電極部)5および正電極(第2電極部)6を備えている。n型窒化物半導体層3は、サファイア基板2上に積層されており、上面の一端が露出している。p型窒化物半導体層4は、n型窒化物半導体層3の上面の一部に積層されており、負電極5は、n型窒化物半導体層3の上面の他の一部に形成されている。また、正電極6は、p型窒化物半導体層4の上面に形成されている。
【0032】
負電極5と正電極6との間に順方向電圧を印加することにより、n型窒化物半導体層3とp型窒化物半導体層4との境界付近の活性層4aにおいて、電子と正孔とが合体して発光する。負電極5は、n型窒化物半導体層3の上面に形成されているのに対し、正電極6は、n型窒化物半導体層3の上面に積層されたp型窒化物半導体層4の上面に形成されているため、負電極5の上面と正電極6の上面との間に、高低差Hが存在する。このため、負電極5および正電極6に、同一の高さを有するバンプを形成してセラミック基板にボンディングした場合、LEDチップ1がセラミック基板に対して傾いてしまう。
【0033】
そこで、本実施形態では、図1(a)に示すように、LEDチップ1をフリップチップ実装するためのバンプとして、負電極5上には、バンプ11(第1バンプ)を形成され、正電極6上には、バンプ12(第2バンプ)が形成されており、さらに、バンプ11・12のサイズに関して、バンプ11の高さはバンプ12の高さよりも大きい。また、図1(b)に示すように、バンプ11の断面積(n型窒化物半導体層3に平行な断面の面積)が、バンプ12の断面積よりも大きくなっている。
【0034】
これにより、図1(a)に示すように、バンプ11の上面とバンプ12の上面とは、n型窒化物半導体層3に対する高さが略同一となっている。よって、図1(c)に示すように、LEDチップ1をセラミック基板9にフリップチップ実装した場合、LEDチップ1のn型窒化物半導体層3およびp型窒化物半導体層4がセラミック基板9に対して平行となる。したがって、LEDチップ1からの出射光の指向性が向上する。
【0035】
(実装方法の具体的内容)
続いて、LEDチップ1の実装方法の具体的内容について、図2を参照して説明する。本実施形態では、LEDチップ1をフリップチップ実装するためのバンプ11・12を、電解メッキ法によるAuメッキで形成する。
【0036】
図2(a)は、バンプ形成前におけるLEDチップ1を示している。ここで、図2(b)に示すように、LEDチップ1の電極側の表面に給電メタル15をスパッタ法で形成する。給電メタル15は、シード層となるAu膜と、Auのセラミック基板への拡散を防ぐバリア膜とからなる。
【0037】
続いて、負電極5上および正電極6上にレジスト16を積層して、図2(c)に示すように、パターニングによって、レジスト16の負電極5に対応する部分に開口部16a(第1開口部)を形成し、レジスト16の正電極6に対応する部分に開口部16b(第2開口部)を形成する(開口部形成工程)。
【0038】
続いて、開口部16a内および開口部16b内にそれぞれ、バンプ11およびバンプ12を形成した後(図2(d)、バンプ形成工程)、給電メタル15およびレジスト16を除去し(図2(e)、レジスト除去工程)、バンプ11およびバンプ12をセラミック基板9にボンディングする(図2(f)、ボンディング工程)。これにより、LEDチップ1がセラミック基板9に実装される。
【0039】
図2(c)に示す開口部形成工程では、開口部16aの断面積が開口部16bの断面積よりも大きくなるように、開口部16a・16bを形成する。これにより、バンプ形成工程において、バンプ11の形成速度がバンプ12の形成速度よりも大きくなるため、バンプ11をバンプ12よりも高く形成することができる。
【0040】
図3は、開口部16aの開口部16bに対する断面積比と、バンプ11のバンプ12に対する高さ比との関係を示すグラフである。実線に示すように、レジスト16が充分厚い場合、上記断面積比が大きいほど、上記高さ比が大きくなることが分かる。
【0041】
この特性を利用して、開口部16a・16bの各断面積を、負電極5および正電極6の高低差に基づいて選択する。具体的には、バンプ11およびバンプ12の高低差が負電極5および正電極6の高低差に等しくなるように、開口部16a・16bの各断面積を設定する。例えば、開口部16bの断面積を、300〜5000μm程度に設定する。これにより、図2(e)に示すように、バンプ11の上面とバンプ12の上面とは、n型窒化物半導体層3に対する高さが略同一となる。
【0042】
なお、図3において、破線に示すように、レジスト16が薄い場合、開口部16a・16bの断面積比が大きくなっても、バンプ11・12の高さ比はほとんど変化しない。そのため、図2(d)に示すバンプ形成工程において、バンプ11およびバンプ12の各上面のn型窒化物半導体層3に対する高さと、レジスト16の上面のn型窒化物半導体層3に対する高さとの差が、10μm以上であることが望ましい。これにより、バンプ11・12の高さを容易に制御することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態に係るLEDチップ1の実装方法では、バンプ11・12の高さを制御することで、バンプ11・12の各上面のn型窒化物半導体層3に対する高さを揃えることができる。これにより、コンタクト抵抗や機械的強度を劣化させずに、LEDチップ1をセラミック基板9に実装することが可能となり、LEDチップ1からの出射光の指向性が向上する。
【0044】
(変形例)
上記の構成では、LEDチップ1の負電極5上および正電極6上に、それぞれ1つのバンプを形成していた。これに対し、以下では、正電極6上に複数のバンプを形成することにより、接合強度の向上および接触抵抗の低減を実現する構成について説明する。
【0045】
図4は、本実施形態に係る実装方法の変形例を示す図である。具体的には、図4(a)は、LEDチップ1に1個のバンプ11と3個のバンプ12とを形成した状態を示す断面図であり、図4(b)は、当該状態におけるLEDチップ1の電極側からの平面図であり、図4(c)は、図4(a)に示すLEDチップ1をセラミック基板9に実装した状態を示す断面図である。図4に示す構成は、LEDチップ1の正電極6上に3個のバンプ12を形成した点を除き、図1に示す構成と同一である。
【0046】
バンプ12の断面積は、バンプ11の断面積よりも小さい。一方、LEDチップ1の実装時において、バンプ11への荷重とバンプ12への荷重とは、ほぼ等しくなる。そのため、図1(c)に示す状態では、バンプ12はバンプ11に比べて変形しやすくなる。また、バンプ12と正電極6との接合面積が小さいため、接合強度が不足したり接触抵抗が大きくなるおそれがある。
【0047】
そこで、図4に示すように、正電極6上に形成されるバンプ12の個数を多くすることで、1個のバンプ12にかかる荷重を減少させることができる。これにより、バンプ12の変形を防止することができる。また、接合強度が向上するとともに、接触抵抗を低減することができるので、より安定したフリップチップ実装が可能となる。
【0048】
このように、バンプ12の個数を負電極5上に形成されるバンプ11の個数よりも多く形成する場合、図2(c)に示す開口部形成工程において、開口部16bの個数が開口部16aの個数よりも多くなるようにすればよい。
【0049】
なお、図4では、バンプ11は1個であったが、バンプ11を複数形成してもよい。
【0050】
また、バンプ11の断面積の総和とバンプ12の断面積の総和との差を極力小さくすることが望ましい。そのため、図2(c)に示す開口部形成工程において、開口部16bの個数を、開口部16aの断面積の総和と開口部16bの断面積の総和との差が最小となる個数に設定する。例えば、開口部16aが1個の場合であって、開口部16aの断面積と開口部16bの断面積との比率が7:3の場合には、開口部16bを2個形成する。また、上記比率が8:3の場合には、開口部16bを3個形成する。
【0051】
このように、開口部16a・16bの各個数(すなわち、バンプ11・12の各個数)を、バンプ11の断面積の総和とバンプ12の断面積の総和との差が小さくなるように設定することで、より安定したフリップチップ実装が可能となる。
【0052】
なお、レジスト16に形成する開口部の個数が増加するほど、微細なパターニングが必要となる。そのため、開口部16aの断面積は、開口部16bの断面積の10倍以下であることが望ましい。この場合、図3に示すグラフから、バンプ11・12の高さ比は、1.2程度が上限となる。そのため、本実施形態に係る実装方法の適用対象となるLEDチップ1は、n型窒化物半導体層3に対する、負電極5の上面と正電極6の上面との高低差H(図5参照)が、2μm以下であることが望ましい。
【0053】
(付記事項)
なお、上述した実施形態では、電解メッキ法によってバンプを形成したが、パッド法などの他の方法を用いてバンプを形成してもよい。また、LEDチップ1は、正電極6が負電極5よりも高い位置にある構造であったが、負電極5が正電極6よりも高い位置にある構造であってもよい。この場合、p型窒化物半導体層4の上面にn型窒化物半導体層3が積層され、p型窒化物半導体層4の上面に正電極6が形成され、n型窒化物半導体層3の上面に負電極5が形成される。
【0054】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の実装方法は、2つの電極が高低差を有する半導体発光素子の基板への実装に好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 LEDチップ(半導体発光素子)
2 サファイア基板
3 n型窒化物半導体層(第1導電型半導体層)
4 p型窒化物半導体層(第2導電型半導体層)
4a 活性層
5 負電極(第1電極部)
6 正電極(第2電極部)
9 セラミック基板(基板)
10a バンプ
10b バンプ
11 バンプ(第1バンプ)
12 バンプ(第2バンプ)
15 給電メタル
16 レジスト
16a 開口部(第1開口部)
16b 開口部(第2開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体層と、
第1導電型半導体層の上面の一部に積層された第2導電型半導体層と、
第1導電型半導体層の上面の他の一部に形成された第1電極部と、
第2導電型半導体層の上面に形成された第2電極部と、を備え、
上記第1導電型半導体層に対して、上記第2電極部の上面が上記第1電極部の上面より高い位置にある半導体発光素子を、バンプを介して基板に実装する半導体発光素子の実装方法であって、
上記第1電極部上および上記第2電極部上にレジストを積層して、当該レジストの上記第1電極部に対応する部分に第1開口部を形成し、当該レジストの上記第2電極部に対応する部分に第2開口部を形成する開口部形成工程と、
上記第1開口部内および上記第2開口部内にそれぞれ、第1バンプおよび第2バンプを形成するバンプ形成工程と、
上記レジストを除去するレジスト除去工程と、
上記第1バンプおよび上記第2バンプを上記基板にボンディングするボンディング工程と、を有し、
上記第1開口部の断面積は、上記第2開口部の断面積よりも大きいことを特徴とする半導体発光素子の実装方法。
【請求項2】
上記第2開口部の個数が上記第1開口部の個数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の実装方法。
【請求項3】
上記第2開口部の個数は、上記第1開口部の断面積の総和と上記第2開口部の断面積の総和との差が最小となる個数であることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子の実装方法。
【請求項4】
上記第1バンプの上面と上記第2バンプの上面とは、上記第1導電型半導体層に対する高さが略同一であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の半導体発光素子の実装方法。
【請求項5】
上記バンプ形成工程において、上記第1バンプおよび上記第2バンプの各上面の上記第1導電型半導体層に対する高さと、上記レジストの上面の上記第1導電型半導体層に対する高さとの差が、10μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光素子の実装方法。
【請求項6】
上記第1開口部の断面積は、上記第2開口部の断面積の10倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子の実装方法。
【請求項7】
上記第1導電型半導体層に対する、上記第1電極部の上面と上記第2電極部の上面との高低差が、2μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−49296(P2012−49296A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189382(P2010−189382)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】