説明

半導体装置、半導体モジュール及びその製造方法

【課題】配線基板との接続信頼性の高い半導体装置、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュール、および半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体モジュールは、集積回路12が形成された半導体基板10に形成された複数の電極14と、パッシベーション膜16上に形成され、第1の方向に沿って配置された樹脂突起18と、複数の電極上から樹脂突起上に至るように、第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線20を有する半導体装置と、半導体装置に対向して配置されたベース基板に対向する面上に形成され、配線の前記樹脂突起上にオーバーラップする部分に接触する複数のリードと、半導体装置とベース基板の間に配置された接着層を含み、リードは、幅が配線の幅よりも広く、配線との電気的接続部と、樹脂突起との接着部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に樹脂突起を形成し、その上に複数の配線を形成して、弾力性を有する端子を形成することが知られている(特許文献1)。ここで、半導体装置の配線は、例えば金などから形成され、配線基板のリードは、例えばスズなどから形成される。半導体装置が、例えばフィルム基板などからなる配線基板に実装される場合、配線とリードを接触させた状態で熱処理をすることで、配線の金とリードのスズとを共晶点で合金化させ、半導体基板を配線基板上に仮固定させることが知られている。しかし、特許文献1のような構造では、十分な強度を有するAu−Sn合金を形成するための金の量が、スズに対して相対的に少ない。よって、十分な強度を有するAu−Sn合金が形成されず、仮固定の強度が安定しない。そのため、Au−Sn合金による仮固定を必要とせずに、半導体基板と配線基板との仮固定の信頼性を向上させることが望まれている。
【特許文献1】特開1807−42867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一つは、配線基板との接続信頼性の高い半導体装置を提供することである。
本発明の目的の一つは、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールを提供することである。
本発明の目的の一つは、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る半導体モジュールは、
集積回路が形成された半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、
前記複数の電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、
を有する半導体装置と、
前記半導体装置に対向して配置されたベース基板と、
前記ベース基板の前記半導体装置に対向する面上に形成され、前記配線の前記樹脂突起上にオーバーラップする部分に接触する複数のリードと、
前記半導体装置と前記ベース基板の間に配置された接着層と、
を含み、
前記リードの幅は、前記配線の幅よりも広く、
前記リードは、前記配線との電気的接続部と、前記樹脂突起との接着部と、
を有する。
【0005】
本発明によれば、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールを提供することができる。
【0006】
(2)本発明に係る半導体モジュールにおいて
前記接着部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部であってもよい。
【0007】
(3)本発明に係る半導体モジュールにおいて
前記接着部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部と、前記面に隣り合う側面の一部であってもよい。
【0008】
(4)本発明に係る半導体モジュールにおいて
前記リードはスズを含み、前記配線は金を含んでいてもよい。
【0009】
(5)本発明に係る半導体モジュールの製造方法は、
集積回路が形成された半導体基板と、前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、前記電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、を有する半導体装置を準備する工程と、
前記半導体装置に対向して配置されたベース基板と、前記ベース基板の前記半導体装置に対向する面上に形成される複数のリードと、を有し、前記リードの幅は、前記配線の幅よりも広い配線基板を準備する工程と、
前記半導体装置の前記配線が形成された面と前記配線基板の前記リードが形成された面とを対向させ、位置合わせする工程と、
前記配線と前記リードとを接触させる工程と、
前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させることによって、前記半導体装置を前記配線基板に仮固定する工程と、
前記半導体装置と、前記配線基板との間に接着剤を流入させる工程と、
前記接着剤を熱処理し、接着層を形成する工程と、
を含む。
【0010】
本発明によれば、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールの製造方法を提供することができる。
【0011】
(6)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記樹脂突起は、前記複数の配線の隣り合う領域において、凹部を有していてもよい。
【0012】
(7)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記仮固定する工程において、前記樹脂突起は、粘着性を有していてもよい。
【0013】
(8)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記仮固定する工程は、前記半導体装置を前記配線基板に押圧することによって、前記樹脂突起を弾性変形させ、前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させてもよい。
【0014】
(9)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記樹脂突起と接着される前記リードの一部は、前記リードの前記配線に対向した面の一部であってもよい。
【0015】
(10)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記仮固定する工程は、前記半導体装置を前記配線基板に押圧することによって、前記樹脂突起を弾性変形させ、前記リードを前記樹脂突起が前記リードの側面の一部を覆うように前記樹脂突起内に押し込んで、前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させてもよい。
【0016】
(11)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記樹脂突起と接着される前記リードの一部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部と、前記面に連続する側面の一部であってもよい。
【0017】
(12)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記リードはスズを含み、前記配線は金を含んでいてもよい。
【0018】
(13)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記仮固定する工程は、前記樹脂突起を加熱処理する工程を含んでいてもよい。
【0019】
(14)本発明に係る半導体モジュールの製造方法において
前記加熱処理する工程は、140〜280℃で行われてもよい。
【0020】
(15)本発明に係る半導体装置は
集積回路が形成された半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、
前記複数の電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、
を含み、
前記樹脂突起は、前記複数の配線の隣り合う領域において、凹部を有する。
【0021】
本発明によれば、配線基板との接続信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施の形態および変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0023】
1. 半導体装置
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る半導体装置について説明する。
【0024】
図1(A)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールに使用される半導体装置1を示す平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す半導体装置のIB-IB線断面図であり、図1(C)は、図1(A)に示す半導体装置のIC-IC線断面図である。
【0025】
本実施の形態に係る半導体装置1は、図1(A)〜図1(C)に示すように、集積回路12が形成された半導体基板10と、半導体基板10に形成され、集積回路12に電気的に接続された電極14と、半導体基板10上に形成され、電極14上に開口を有するパッシベーション膜16と、パッシベーション膜16上に、第1の方向110に沿って配置された樹脂突起18と、電極14と樹脂突起18上に至るように、第1の方向110と直交する第2の方向120に沿って形成された配線20と、を有する。
【0026】
半導体基板10は、図1(A)に示すように、チップ状をなしていてもよい。すなわち、半導体基板10は半導体チップであってもよい。あるいは、半導体基板10は、ウエハ状をなしていてもよい(図示せず)。半導体基板10は、例えばシリコン基板であってもよい。このとき、半導体基板10は、複数の半導体装置となる領域を含んでいてもよい。図1(B)に示すように、半導体基板10には、集積回路12が形成される。集積回路12の構成は特に限定されないが、例えば、トランジスタ等の能動素子や、抵抗、コイル、コンデンサ等の受動素子を含んでいてもよい。半導体基板10がチップ状をなす場合、図1(A)に示すように、半導体基板10の集積回路12が形成された面(能動面)は矩形をなしていてもよい。
【0027】
半導体基板10は、図1(B)に示すように、電極14を有する。電極14は、半導体基板10の内部に形成された集積回路12と内部配線(図示せず)によって電気的に接続されていてもよい。電極14は、半導体基板10の内部配線の一部であってもよい。電極14が形成される領域は特に限定されるものではなく、集積回路12が形成される領域以外において、形成されていてもよい。また、電極14は、集積回路12が形成される領域において形成されていてもよい。また半導体基板10の能動面が矩形をなす場合、電極14は、例えば、該矩形の長辺および短辺のいずれか一方に沿って配列されていてもよい。電極14は、アルミニウム又は銅等の金属で形成されていてもよい。
【0028】
半導体基板10は、図1(B)に示すように、パッシベーション膜16を有する。パッシベーション膜16は、電極14の少なくとも一部を露出させるように形成されていてもよい。パッシベーション膜16は、電極14を露出させる開口を有していてもよい。パッシベーション膜16は、例えば、SiOやSiN等の無機絶縁膜であってもよい。あるいは、パッシベーション膜16は、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜であってもよい。
【0029】
樹脂突起18は、図1(B)に示すように、半導体基板10の電極14が形成された面に形成される。樹脂突起18は、パッシベーション膜16上に形成されることができる。樹脂突起18は、図1(A)に示すように、半導体基板10の電極14が形成された面(パッシベーション膜16上)において、所定の方向である第1の方向110に沿って延びるように形成されてもよい。その位置は特に限定されるものではなく、例えば、半導体基板10が矩形をなす場合、第1の方向110は、長手方向もしくは短手方向のいずれか一方に沿っていてもよく、樹脂突起18も長手方向もすくは短手方向のいずれか一方に沿って位置されていてもよい。図1(A)に示すように、樹脂突起18は、集積回路12の形成される領域の周辺部に沿って配置されてもよいし、集積回路12の中央部分を通るように配置されてもよい(図示せず)。また、半導体基板10において樹脂突起18の数は限定されることはなく、複数存在してもよい。例えば、図1(A)に示すように、複数の樹脂突起18が形成されていてもよい。また、樹脂突起18の形状は特に限定されるものではなく、図1(B)に示すように、樹脂突起18の表面の一部は、曲面になっていてもよい。このとき、樹脂突起18の後述される配線20がオーバーラップした部分における断面は、略半円状をなしていてもよい。また、後述される配線20が樹脂突起18上に複数形成される場合、図1(C)に示すように、樹脂突起18は、複数の配線20の隣り合う領域において、凹部19を有することができる。しかしながら、樹脂突起18の形状はこれに限定されるものではなく、隣り合う配線20の間の樹脂突起18は、凹部19を有さずに、配線20が樹脂突起18にオーバーラップする部分と同じ形状であってもよい(図示せず)。
【0030】
本実施の形態に係る樹脂突起18は、粘着性を有していてもよい。例えば、加熱処理を行わずとも粘着性を有する材料であってもよい。また、例えば、加熱処理によって粘着性を発現する材料であってもよい。このような材料としては、硬化されていない場合に粘性を有していればよいため、特に限定されず、既に公知となっているいずれかの材料を適用することができる。例えば、樹脂突起18は、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、フェノール樹脂等の樹脂で形成されていてもよい。
【0031】
配線20は、図1(B)に示すように、電極14上から、パッシベーション膜16上を通って、樹脂突起18上に至るように形成される。また、例えば、図1(A)に示すように、配線20は、第1の方向110に直交する第2の方向に沿って形成されてもよい。配線20は、電極14に電気的に接続している。例えば、配線20と電極14は直接接触していてもよいし、両者間に導電膜(図示せず)が介在していてもよい。また、図1(A)に示すように、半導体装置100は、複数の配線20を含んでいてもよい。このとき、図1(C)に示すように、複数の配線20が、一定の間隔で、1つの樹脂突起18を乗り越えるように形成されていてもよい。また、1つの樹脂突起18に、1つの配線20のみが形成されてもよい(図示せず)。1つの樹脂突起18に、1つの配線20のみが形成されている場合、樹脂突起18は半球状の形状であってもよい(図示せず)。配線20の構造及び材料は、特に限定されるものではない。例えば、配線20は、単層で形成されていてもよい。あるいは、図1(B)に示すように、配線20は、複数層で形成されていてもよい。このとき、配線20は、例えば、チタンタングステン(Ti−W)またはチタンによって形成された第1の層と、金によって形成された第2の層とを含んでいてもよい。
【0032】
以上より、本実施の形態に係る半導体装置1の構成とすることができる。
【0033】
本実施の形態に係る半導体装置1は、例えば、以下の特徴を有する。
【0034】
本実施の形態に係る半導体装置1によれば、樹脂突起18が、複数の配線20の隣り合う領域において凹部19を有していることから、配線基板に搭載される際、まず配線基板の電気的接続部と半導体装置1の配線20とのみを確実に接触させることができる。これによれば、半導体装置1に押圧力が加えられ配線基板に搭載される際、半導体装置1と配線基板との電気的接続部を確実に押し付けることが可能になるため、半導体装置と配線基板の接続信頼性が向上する。
【0035】
さらに、本実施の形態に係る半導体装置1によれば、樹脂突起18が弾性変形をする場合に、配線20と配線基板の電気的接続部との間に樹脂突起18の樹脂成分が流入することを確実に防ぐことができるため、配線基板との電気的接続の信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0036】
以上によって、本実施の形態に係る半導体装置によれば、配線基板との接続信頼性の高い半導体装置1を提供することができる。
【0037】
2. 半導体モジュールの製造方法
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法について説明する。
【0038】
図2〜図5は、本実施の形態に係る半導体モジュール1000の製造方法を説明する図である。図2(A)および図2(B)は、半導体装置1と配線基板100とを対向させて位置合わせした状態の要部を模式的に示す断面図であり、図3(A)および図3(B)は、半導体装置1と配線基板とを接触させた状態の要部を模式的に示す断面図であり、図4(A)および図4(B)は、半導体装置1を配線基板100に仮固定した状態の要部を模式的に示す断面図であり、図5(A)および図5(B)は、半導体モジュール1000の要部を模式的に示す断面図である。
【0039】
本実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法は、図2〜図5に示すように、半導体装置1を準備する工程と、配線基板100を準備する工程と、半導体装置1の配線20が形成された面と配線基板100のリード26が形成された面とを、対向させ、配線20の一部の面とリード26の一部の面が対向するように位置合わせする工程と、配線20とリード26とを接触させる工程と、リード26の一部と樹脂突起18の一部とを接着させることによって、半導体装置1を配線基板100に仮固定する工程と、半導体装置1と、配線基板100との間に接着剤28を流入させる工程と、接着剤28を熱処理し、接着層30を形成する工程と、を含む。
【0040】
半導体装置1は、樹脂突起18が、複数の配線20の隣り合う領域において、凹部を有していてもよい(図1(C)参照)。半導体装置1のその他の構成の詳細は、既に述べられているため省略する。
【0041】
配線基板100は、図2(A)に示すように、半導体装置1に対向して配置されたベース基板24と、ベース基板24の半導体装置1に対向する面上に形成されるリード26と、を有する。
【0042】
ベース基板24の材料は、例えば、有機系の弾性材料であってもよく、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムであってもよい。あるいは、ベース基板24としてポリイミド樹脂等からなるフレキシブル基板を使用してもよい。フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)や、TAB(Tape Automated Bonding)技術で使用されるテープを使用してもよい。または、ベース基板24の材料は、例えば、無機系の材料であることができる。このとき、ベース基板83は、ガラス基板やセラミックス基板等のリジッド基板であってもよい。
【0043】
リード26は、図2(A)に示すように、ベース基板24の半導体装置1に対向する面上に形成される。図2(B)に示すように、配線20の幅をW、リード26の幅をWとする。ここで、リード26の幅Wは、配線20の幅Wより広く形成される。リード26は、スズ、金、銅、ITO(Indium Tin Oxide)、アルミニウム、クロム、チタン、ニッケル、チタンタングステンなどの金属膜、金属化合物膜、又は、それらの複合膜によって形成されていてもよい。より好適には、スズを含む金属膜または、上述された金属膜、金属化合物膜、又は、それらの複合膜にスズメッキすることによって形成されていてもよい。また、リード26は、その一部がベース基板24の内側を通るように形成されていてもよい(図示せず)。
【0044】
配線基板100は、以上のいずれかの構成をなしていればよい。
【0045】
本実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法は、図2〜図5に示すように、半導体装置1の配線20が形成された面と配線基板100のリード26が形成された面とを対向させ、位置合わせする工程と、配線20とリード26とを接触させる工程と、リード26の一部と樹脂突起18とを接着させることによって、半導体装置1を配線基板100に仮固定する工程と、半導体装置1と、配線基板100との間に接着剤28を流入させる工程と、接着剤28を熱処理し、接着層30を形成する工程と、を含む。
【0046】
図2(B)に示すように、第1の方向110に直交する方向(第2の方向120)において、配線20のリード26に対向し接触する面がリード26上方に位置するように、半導体装置1と配線基板100は位置合わせされてよい。好ましくは、第1の方向110における配線20の中心点とリード26の中心点(図示せず)が一致するように位置合わせされてもよい。
【0047】
位置合わせする工程の後、ベース基板24の水平方向の位置を維持したまま、図3(A)に示すように、配線20とリード26との対向した面とを接触させる。図3(B)に示すように、リード26の配線20との接触部分を電気的接続部27とする。図3(B)に示すように、樹脂突起18が凹部19を有しているため、配線20とリード26とを所定の位置において確実に接触させることができる。
【0048】
仮固定する工程は、図4(A)に示すように、半導体装置1およびベース基板24の間に押圧力を加える工程を含む。押圧力を加えることによって、配線20とリード26との電気的接続部27を樹脂突起18内部へ押し込むように樹脂突起18を弾性変形させることができる。このとき、電気的接続部27以外のリード26の配線20に対向した面の一部が樹脂突起18の凹部19の底面に接触するまで押圧力が加えられる。樹脂突起18が凹部19を有していることによって、電気的接続部27と配線20とを確実に押し付けることができる。また、樹脂突起18が凹部19を有していることによって、押圧力を加えて樹脂突起18を弾性変形させる際、可撓性を有した樹脂突起18の樹脂成分が、リード26の電気的接続部27と配線20との間に流入することを確実に防ぐことができる。図4(A)に示すように、押圧力は、リード26の配線20と対向した面が、樹脂突起18に接触するまで加えることができる。リード26の樹脂突起18との接着した部分を接着部29とする。つまりは、リード26の配線20と接する部分を電気的接続部27とし、樹脂突起18と接する部分を接着部29とする。上述のように樹脂突起18は粘着性を有しているため、接着部29においてリード26と樹脂突起18とが接着する。これによって、半導体装置1は、配線基板100に仮固定されることができる。
【0049】
仮固定をする工程は、加熱処理する工程を含んでいてもよい。つまり、加熱を行いながら、半導体装置1と配線基板100とに押圧力を加えてもよい。例えば、半導体装置1に対してのみ熱を加えてもよい。樹脂突起18が、加熱されることによって粘着性を発現する材料である場合、これによって、仮固定する工程において樹脂突起18と接着部29とを接着させることができる。この熱処理する工程は、140〜280℃で行われてもよい。例えば、配線20が金(Au)を含み、リード26がスズ(Sn)を含む場合であっても、加熱される温度が金(Au)とスズ(Sn)の共晶点より低いため、熱処理によるAu−Snの合金形成を防ぐことができる。つまりは配線20とリード26との接触する部分において、Au−Snの拡散を防ぐことができ、配線20とリード26との電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0050】
配線20の幅Wは、リード26の幅Wより狭くなるように形成されている。これによって、仮固定する工程において、リード26に電気的接続部27と接着部29とを確保することができる。
【0051】
さらには、半導体装置1と配線基板100に押圧力が加えられ、樹脂突起18が弾性変形を行う場合に、配線20に応力が集中することを防ぐことができる。よって、配線20に押圧力によるクラックが発生することを防ぎ、配線20とリード26との電気的接続の信頼性が低下することを防ぐことができる。
【0052】
仮固定する工程において、図4(B)に示すように、半導体装置1と配線基板100との間にさらに押圧力を加えることによって、リード26の配線20に対向した面と連続する側面の一部を樹脂突起18の一部が覆うように、リード26を樹脂突起18内部に押し込んでもよい。これによって、リード26の側面の一部を接着部29として仮固定に用いることができる。その結果、接着部の面積を増やすことができるため、仮固定の強度をより高めることができる。
【0053】
図5(A)および図5(B)に示すように、半導体装置1が配線基板100に仮固定された状態で、半導体装置1と配線基板100との間に接着剤28が流入される。接着剤28は、接合部を保護するためのアンダーフィルであってもよい。また接着剤28は封止樹脂であってもよい。このとき、配線20とリード26の電気的接続部において、配線20はリード26の電気的接続部27と樹脂突起18によって覆われている。よって、電気的接続部における接着剤28の配線20の材料に対した密着性を考慮する必要が無い。例えば、配線20が金(Au)を含む場合、接着剤28は、金(Au)との密着性を考慮する必要がなくなるため、ベース基板24やリード26の材料などとの密着性を考慮した封止樹脂を用いることができる。これによって、半導体装置1と配線基板100との密着性をより向上させることができる。接着剤28は熱処理され、図6(A)および図6(B)に示すように、接着層30が形成される。
【0054】
以上の工程によって、本実施の形態に係る半導体モジュール1000を製造してもよい。
【0055】
本実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0056】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、例えば、Au−Sn合金を形成することなく、リード26と樹脂突起18とを接着させることによって、半導体装置1と配線基板100との仮固定を確実に行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、樹脂突起18が凹部19を有していることから、配線基板100に搭載される際、まずリード26と配線20とを所定箇所において確実に接触させることができる。これによれば、仮固定する工程において、電気的接続部27を配線20に確実に押し付けることが可能になる。
【0058】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、樹脂突起18が弾性変形をする場合に、配線20と電気的接続部27との間に樹脂突起18の樹脂成分が流入することを防ぐことができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、仮固定する工程において、リード26を樹脂突起18の一部がリード26の側面の一部を覆うように樹脂突起18の内部に押し込ませることによって、仮固定の強度をさらに高めることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、配線20の幅Wは、リード26の幅Wより狭くなるように形成されているため、配線20に押圧力によるクラックが発生することを防ぐことができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、仮固定する工程における熱処理は140〜280℃で行われる。これによれば、配線20が金を含み、リード26がスズを含んでいる場合であっても、電気的接続部27における金とスズの拡散を防ぐことができる。
【0062】
以上によって、本実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法によれば、半導体基板1と配線基板100との接続信頼性の高い半導体モジュール1000の製造方法を提供することができる。
【0063】
3. 半導体モジュール
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る半導体モジュールについて説明する。
【0064】
本実施の形態に係る半導体モジュール1000は、図6(A)および図6(B)に示すように、集積回路12が形成された半導体基板10と、半導体基板10に形成され、集積回路12に電気的に接続された複数の電極14と、半導体基板10上に形成され、電極14上に開口を有するパッシベーション膜16と、パッシベーション膜16上に、第1の方向110に沿って配置された樹脂突起18と、複数の電極14上から樹脂突起18上に至るように、第1の方向110と直交する第2の方向120に沿って形成された複数の配線20と、を有する半導体装置1と、半導体装置1に対向して配置されたベース基板24と、ベース基板24の半導体装置1に対向する面上に形成され、配線20の樹脂突起18上にオーバーラップする部分に接触する複数のリード26と、半導体装置1とベース基板24の間に配置された接着層30と、を含み、リード26の配線20に対向する面の第1の方向110に沿った幅Wは、配線20のリード26に対向する面の第1の方向110に沿った幅Wよりも広く、リード26は、配線20との電気的接続部27と、樹脂突起18との接着部29と、を有する。
【0065】
図6(A)に示すように、接着層30は、リード26の配線20に対向する面の一部であってもよい。また、図6(B)に示すように、接着層30は、リード26の配線20に対向する面の一部と、配線20に対向する面と隣り合う側面の一部であってもよい。
【0066】
半導体モジュール1000のその他の構成の詳細は上述されているため省略する。
【0067】
半導体モジュール1000は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のような電子機器に用いられる液晶表示素子(LCD)などに含まれていてもよい。
【0068】
本実施の形態に係る半導体モジュール1000は、例えば、以下の特徴を有する。
【0069】
本実施の形態に係る半導体モジュール1000よれば、例えば、Au−Sn合金を形成することなく、リード26の接着部29と樹脂突起18とによって仮固定が行われているため、金とスズの拡散が低減され、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールを提供することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る半導体モジュール1000よれば、リード26が樹脂突起18との接着部28を有しているため、半導体基板と配線基板との接続信頼性の高い半導体モジュールを提供することができる。
【0071】
上記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1(A)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールに使用される半導体装置を模式的に示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す半導体装置のIB−IB線断面図であり、図1(C)は、図1(A)に示す半導体装置のIC−IC線断面図である。
【図2】図2(A)および図2(B)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図3】図3(A)および図3(B)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図4】図4(A)および図4(B)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図5】図5(A)および図5(B)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明する図である。
【図6】図6(A)および図6(B)は、本発明の実施の形態に係る半導体モジュールを説明する図である。
【符号の説明】
【0073】
1 半導体装置、10 半導体基板、12 集積回路、14 電極、16 パッシベーション膜、18 樹脂突起、19 凹部、20 配線、24 ベース基板、26 リード、27 電気的接続部、28 接着剤、29 接着部、30 接着層、100 配線基板、1000 半導体モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路が形成された半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、
前記複数の電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、
を有する半導体装置と、
前記半導体装置に対向して配置されたベース基板と、
前記ベース基板の前記半導体装置に対向する面上に形成され、前記配線の前記樹脂突起上にオーバーラップする部分に接触する複数のリードと、
前記半導体装置と前記ベース基板の間に配置された接着層と、
を含み、
前記リードの幅は、前記配線の幅よりも広く、
前記リードは、前記配線との電気的接続部と、前記樹脂突起との接着部と、
を有する、半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記接着部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部である半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記接着部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部と、前記面に隣り合う側面の一部である半導体モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項において、
前記リードはスズを含み、前記配線は金を含む半導体モジュール。
【請求項5】
集積回路が形成された半導体基板と、前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、前記電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、を有する半導体装置を準備する工程と、
前記半導体装置に対向して配置されたベース基板と、前記ベース基板の前記半導体装置に対向する面上に形成される複数のリードと、を有し、前記リードの幅は、前記配線の幅よりも広い配線基板を準備する工程と、
前記半導体装置の前記配線が形成された面と前記配線基板の前記リードが形成された面とを対向させ、位置合わせする工程と、
前記配線と前記リードとを接触させる工程と、
前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させることによって、前記半導体装置を前記配線基板に仮固定する工程と、
前記半導体装置と、前記配線基板との間に接着剤を流入させる工程と、
前記接着剤を熱処理し、接着層を形成する工程と、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記樹脂突起は、前記複数の配線の隣り合う領域において、凹部を有する半導体モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記仮固定する工程において、前記樹脂突起は、粘着性を有する半導体モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項において、
前記仮固定する工程は、前記半導体装置を前記配線基板に押圧することによって、前記樹脂突起を弾性変形させ、前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させる半導体モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記樹脂突起と接着される前記リードの一部は、前記リードの前記配線に対向した面の一部である半導体モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項5から請求項7のいずれか1項において、
前記仮固定する工程は、前記半導体装置を前記配線基板に押圧することによって、前記樹脂突起を弾性変形させ、前記リードを前記樹脂突起が前記リードの側面の一部を覆うように前記樹脂突起内に押し込んで、前記リードの一部と前記樹脂突起とを接着させる半導体モジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記樹脂突起と接着される前記リードの一部は、前記リードの前記配線に対向する面の一部と、前記面に連続する側面の一部である半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項5から請求項11のいずれか1項において、
前記リードはスズを含み、前記配線は金を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項12項において、
前記仮固定する工程は、前記樹脂突起を加熱処理する工程を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項14】
請求項14項において、
前記加熱処理する工程は、140〜280℃で行われる半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
集積回路が形成された半導体基板と、
前記半導体基板に形成され、前記集積回路に電気的に接続された複数の電極と、
前記半導体基板上に形成され、前記電極上に開口を有するパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に、第1の方向に沿って配置された樹脂突起と、
前記複数の電極上から前記樹脂突起上に至るように、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って形成された複数の配線と、
を含み、
前記樹脂突起は、前記複数の配線の隣り合う領域において、凹部を有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−171191(P2010−171191A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12186(P2009−12186)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】