説明

半導体装置の製造方法

【課題】ウエハ等のめっき処理において、めっき処理面へ付着する気泡を除去する。
【解決手段】噴流式めっき装置100で、電界めっきに使用されためっき液をめっき液再生機構50で再生するに際し、めっき液をフィルタ室80へ入る直前に自己共鳴管90を通過させる。自己共鳴管90を通過しためっき液は、振動流となり、めっき液に付与された振動で、めっき液中のマイクロバブルBが互いに結合して大きな気泡Cとなり、自然に脱気しやすい状態となる。かかる状態のめっき液をフィルタ80aで濾過して、マイクロバブルBを含まないめっき液の再生を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造技術に関し、特に半導体装置の製造工程における再配線層等のめっき工程に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
以下に説明する技術は、本発明を完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
【0003】
半導体ウエハを対象とした金属膜のめっき方法の一つに、噴流方式がある。噴流方式では、処理面に導電性薄膜を付けたシリコンウエハを、そのめっき処理面を下向きにしてセットする。その状態で、めっき液貯蔵槽に蓄えられためっき液を、噴流ポンプによりめっき処理カップ内の下方から導入し、下向きのウエハ処理面全面に向けてめっき液を噴流状態で接触させて電解めっきを行うものである。
【0004】
かかる電界めっきでは、めっき処理カップ内に被めっき金属または白金類のアノード電極(正極)を設け、このアノードに対面配置させたウエハ側をカソード電極(負極)に接続して、ウエハのめっき処理面に所望の金属めっき膜を形成する。
【0005】
めっき処理液中には、めっき液が気泡を巻き込んだり、あるいはめっき反応等によって気泡が発生したりするが、かかる気泡は、めっき液中を上方に移動して、その一部が下向きにセットしたウエハのめっき処理面に付着する。
【0006】
例えば、バンプ形成用のウエハの場合には、めっき処理面には、パッシベーション膜を一部開口してめっき形成領域が狭小な凹部として多数形成されているが、かかる狭小な凹部等に一旦入り込んだ気泡は、めっき液の噴流による流れ程度では簡単に離散せず、気泡を残した状態で電解めっきが行われることとなる。
【0007】
気泡を残した状態でめっきを行うと、気泡が残留している箇所ではめっき液との接触が妨げられてめっき成長が不十分となる。例えば、気泡が配線パッド上に付着した状態では、めっき部分と配線パッド側との接触面積が少なくなり、根元の細いバンプ電極が形成される。かかる根元の細いバンプ電極では、例えば、実装基板側の電極との間に異方性導電膜を介在させて所定圧力で圧接実装するに際して、バンプ電極の折れが発生する虞がある。
【0008】
また、気泡が、バンプ電極形成範囲の配線パッド上の全面を覆った場合には、配線パッド上ではめっき成長が起きず、バンプ電極が全く形成されない無めっき状態のめっき膜欠陥に至ることともなる。
【0009】
このようにめっき時における残留気泡はめっき処理時の大きな欠陥の原因の一つとなるが、しかし、噴流式めっき方式では、噴流ポンプでめっき液を上方に噴き上げる構成を採用するため、どうしても、気泡が発生し、めっき液に巻き込まれることとなる。
【0010】
発生した気泡は自然消滅しにくく、噴流めっきと共に勢い良く上方に噴き上げられて、下方に向けたウエハ処理面の前記バンプ電極形成用の狭小な凹部に入る。一旦入った気泡は、狭小な凹部に閉じ込められた状態となりやすい。
【0011】
また、気泡の発生は、噴流ポンプに関わる以外にも、乾燥した状態でのウエハのめっき処理面に、めっき液が接触する場合にも起こりやすい。すなわち、めっき処理面の濡れ性によっても気泡発生が見られるのである。
【0012】
そこで気泡対策として、めっきスタート前に、例えば、10分程度、めっき液の噴流量を適宜変更しながら、めっき噴流を処理面に当てることでめっき処理面の濡れ性を確保し、併せて、めっき処理面の狭小な凹部内に入り込んだ気泡を、めっき液の流れにより離散させる予備的な前処理を行っている。しかし、電解めっき処理前のかかる前処理程度では、気泡を十分に取り除くことはできない。
【0013】
このようにめっきにおける気泡の問題は避けて通れない重要な解決課題であるため、例えば、以下に示すような様な方法で気泡を取り除く方法が提案されている。
【0014】
例えば、特許文献1には、めっき液の減圧脱気が開示されている。特許文献2、3には、それぞれめっき液の減圧、沸騰脱気が開示されている。特許文献4、5には、脱気装置を有しためっき装置の開示がある。特許文献6には、中空疎水性繊維膜によるめっき液の脱気が開示されている。
【0015】
また、特許文献7には、めっき液に微粒子を添加して不活性ガスをバブリングさせ、超音波振動子による超音波を照射し脱気を行うめっき装置の開示がある。特許文献8には、めっき液タンク内に仕切り板を設けてめっき液を静置して泡を消すめっき装置について開示がある。特許文献9には、超音波振動子による超音波でめっき面を洗浄しながらめっきを行うめっき装置に関しての開示がある。
【0016】
さらに、特許文献10には、例えば、段落0042〜0045、図2、図5において、ホトレジスト塗布前の濡れ性向上のためのシンナー塗布において、シンナー供給部分の下面に超音波振動子を配置して、シンナーに含まれる気泡を除去してシンナー供給タンクの下部によるシンナーを取り出し基板上に除去したシンナーを供給する技術が開示されている。
【0017】
特許文献11には、例えば、段落0021〜0025、図1等に、薬液中の不純物を除去するために、薬液の循環路において細孔を有する物質に窒素を注入して気泡を薬液中に発生させて気泡とともに不純物を取り込み、シリコン微粒子フィルタにおいて気泡とともに不純物を除去して薬液を薬液容器に返すようにした技術が開示されている。
【0018】
特許文献12には、例えば、段落0038〜0043、図5等に、液晶製造に用いる配向膜やレジストの機能性薄膜供給装置において、供給分岐間の途中にフッ素やナイロンの網目状の合成樹脂からなる気体分離材を配置して機能性薬液を供給する時の気体分離材により気泡を気体分離材に残して、寄り集めて大きな気体に成長させて上方に浮上させて気体を除去してから下方から薬液を供給する技術の開示がある。
【0019】
特許文献13には、例えば、段落0010〜0013、図1等に、液体中の気泡を脱泡する方法において、上流側と下流側に脱泡槽を設置して上流側には超音波振動数を低くして出力を大きくして発泡を促進させ、下流側には超音波振動数を高くして出力を小さくして気泡同士を集合させるようにした技術が開示されている。
【0020】
特許文献14には、例えば、段落0026〜0030、図1等に、噴流メッキ槽から循環路を経て気泡除去槽にメッキ液を循環させて、気泡除去槽の下部からメッキ液を流入して気泡除去槽の上部で気泡を除去した後に気泡除去槽に上部からあふれたメッキ液を循環路を経てメッキ液を噴流メッキ槽に戻す技術が開示されている。
【0021】
特許文献15の例えば段落0050〜0064、図1〜図3や、特許文献16の例えば段落0020〜0024、図1等には、噴流式メッキ処理においてメッキ液の噴流部分においてPTEF等の気液分離機能を有する管にメッキ液を通して気泡を脱気するようにして気泡を除去してからメッキ液の噴流部分に供給する技術が開示されている。
【0022】
特許文献17では、例えば、段落0014〜0016、図1、図2等に、噴流式メッキ装置においてメッキ液を旋回流を発生するメッキ液旋回室に導入して気泡を含む密度の小さいメッキ液を中央部に集め、気泡を含まない密度の大きいメッキ液を外周部に集めてメッキ液中から気泡を除去してメッキを行なう技術が開示されている。
【0023】
特許文献18では、例えば、段落0006〜0016、図1等に、液体中に自己共鳴の周波数になるように噴流ノズルの形状を形成して液体中に激しいキャビテーションを引き起こすようにしてバリや異物の除去を行なう技術が開示されている。
【0024】
特許文献19には、例えば、段落0062〜0064、図1等に、噴流式メッキ装置においてメッキ液供給部にベローズポンプまたはダイヤフラムポンプを用いてメッキ液の圧力に脈動周期を与えメッキ液中に発生した気泡を脈動の周期的変化で気泡が滞留するのを防止してメッキする技術が開示されている。
【0025】
特許文献20には、例えば、段落0019〜0023、図1等に、リードピンへの噴流式はんだメッキにおいて半田の噴流部分に超音波振動を与えて気泡がピンに付着しないようにしてメッキする技術が開示されている。
【0026】
特許文献21には、例えば、段落0020〜0028、図1等に、噴流式メッキ装置において超音波振動をメッキ液に与える時にプリント基板に合わせて超音波振動数を可変にして与えてメッキを良好に行なう技術が開示されている。
【0027】
また、例えば、特許文献22、23、24には、噴流めっき装置の構成をフェイスダウンの方式からフェイスアップの構成に変更することで、気泡の影響を回避する構成も提案されている。
【0028】
さらに半導体の分野とは異なるが、特許文献25には、石油等の探鉱用の掘削時に使用するトリコン型削岩ドリルに関し、自己共鳴管を用いた例が開示されている。
【特許文献1】特開2003−171791号公報
【特許文献2】特開平11−93000号公報
【特許文献3】特開平11−92948号公報
【特許文献4】国際特許WO01/068952号公報
【特許文献5】国際特許WO00/28115号公報
【特許文献6】特表2004−531640号公報
【特許文献7】特開平5−106093号公報
【特許文献8】特開平6−280099号公報
【特許文献9】特開平9−202994号公報
【特許文献10】特開2000−140505号公報
【特許文献11】特開平8−288249号公報
【特許文献12】特開2005−58842号公報
【特許文献13】特開平11−197406号公報
【特許文献14】特開平7−106294号公報
【特許文献15】特開2003−201600号公報
【特許文献16】特開2003−129283号公報
【特許文献17】特開2003−277986号公報
【特許文献18】特開2003−80119号公報
【特許文献19】特開2002−363788号公報
【特許文献20】特開平7−321453号公報
【特許文献21】特開平9−293958号公報
【特許文献22】特開平6−188247号公報
【特許文献23】特開平7−216585号公報
【特許文献24】特開平6−280098号公報
【特許文献25】特表平7−504722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
ところが、上記気泡除去技術等にはおいては、以下の課題があることを本発明者は見出した。
【0030】
気泡付着を無くすことに関して、めっき処理面を上方に向けることにより、上昇する気泡を付着させないようにする構成は、確かに有効な技術ではあるが、それまでの噴流式めっき装置で採用されていた構成を大きく変える必要がある。
【0031】
例えば、アノード、カソードの電極配置を逆構成にする一方で、処理面を上方に向けた状態で、めっき処理カップ内の下方にアノード電極に相対するようにウエハを保持させることが必要となり、ウエハ裏面にはめっきが付着しないようにすることが求められる。
【0032】
装置経済の観点からは、これまで使用されてきた構成を大きく変えることなく、装置構成の一部の改作等で対応できるようにするのが好ましい。現在使用中の装置を入れ換えることなく、改作手段で対応できればより好ましい。また、既にある噴流式めっき装置の製造ラインを大幅に変えることなく対応できれば、装置の製造コストの大幅なアップも回避できる。
【0033】
そこで、本発明者は、これまでの噴流式めっき装置で採用されているウエハ処理面を下方に向けた状態で、めっき噴流を当てて電解めっきを行う構成で、如何に気泡付着を抑制できるかの技術開発が必要と考えた。
【0034】
また、例えば、前記提案のめっき液の減圧方式による脱気方法では、装置構成上バッチ処理となるため大量のめっき液を処理する場合には、大きな脱気処理槽が必要となり、連続処理が不可能となる。また、減圧に使用する真空ポンプも必要となり、全体としてのコスト上昇が避けられない。
【0035】
一方、めっき液の沸騰による脱気方法は、熱に弱いめっき液の場合には使用できない。また、脱気槽を耐熱にする必要がありコストが上昇する。
【0036】
また、中空疎水性繊維膜方式(デガッサー方式)によるめっき液の脱気方法では、液中の気体を除去する能力は高いが、めっき液中の異物による脱気膜の目詰まりによるメンテナンス頻度が増加し、併せて単位時間当たりの処理速度が遅い等のため、大量のめっき液を処理するためには脱気システムが大型化せざるを得ず、ランニングコスト、設備コスト等の上昇が避けられない。
【0037】
さらに、めっきタンク内に仕切り板を設けてめっき液を静置し、微小気泡を液面まで浮上させ消泡する脱気方法は、気泡を自然に沈静させるために、大きなめっき液貯蔵槽を設置する必要があり、泡が消えるまでに時間がかかるので工程ロス、コスト高となる。
【0038】
そこで、本発明者は、発生する気泡の処理をそのままにして気泡付着を回避するのではなく、めっき液中の気泡そのものの解消、排除に努める技術の開発が必要であると考えた。
【0039】
すなわち、めっき液中に発生する気泡の除去、あるいは、発生した気泡をめっき液の噴流と共にめっき装置外に効果的に排出する技術が開発できれば、気泡付着の問題点をより十分に解消できるものと考えた。
【0040】
また、噴流式めっき装置においても、他の装置同様にその小型化が求められている。現行の装置構成では、複数の噴流式めっき装置を平面配置して、必要枚数のウエハのめっき処理を平行処理できるように構成しているが、より省スペース化が図れる装置構成が望まれる。装置構成の拡大が必要となる超音波発生槽の併置構成等は、かかる観点からは採用し難い。
【0041】
本発明は、ウエハ等のめっき処理において、めっき処理面へ付着する気泡を除去することにある。
【0042】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0044】
すなわち、半導体ウエハのめっき処理を行うに際して、使用するめっき装置に自己共鳴管を設けることで、めっき液中のマイクロバブルが集合させられて大きな気泡となり除去されやすくなる。
【発明の効果】
【0045】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0046】
本発明では、めっき液を振動流とすることで、めっき液中のマイクロバブルを集合させて大きな気泡とすることができ、めっき液からの脱気が容易になる。
【0047】
めっき液を振動流とするには、めっき装置に自己共鳴管等を設置すればよく、装置構成上も特段のスペースを必要とせず、これまでの装置構成を踏襲することができ、装置経済の面でも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0049】
(実施の形態1)
図1は、本発明で使用する噴流式めっき装置の全体構成の一例を模式的に示す断面説明図である。図2(a)は噴流式めっき装置に設ける自己共鳴管の全体構成を模式的に示す斜視図であり、(b)はその断面構造を模式的に示す断面図である。図3は、これまでの噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す断面説明図であり。図4(a)〜(c)は、めっき膜欠陥の形成過程を模式的に示す部分断面説明図である。
【0050】
噴流式めっき装置100には、図1に示すように、ウエハW等の被めっき処理物を保持するホルダ10と、ホルダ10に保持された被めっき処理物に向けてめっき液が噴流するめっき処理カップ20とが設けられている。めっき処理カップ20は、噴流ポンプ30側と配管接続され、噴流ポンプ30側はめっき貯蔵タンク40と配管接続されている。さらに、めっき貯蔵タンク40は、めっき液再生機構50に接続されている。
【0051】
めっき処理カップ20は、上方に被めっき処理物の例えばウエハWのめっき処理面にほぼ合わせた大きさの開口部を有するカップ状に形成され、カップ底面側に、下方に向けて噴流ポンプ30側に通じる配管が設けられている。カップ底面側には、下方に向けて構成された配管口径に合わせためっきノズル21が設けられている。かかるめっきノズル21から、噴流ポンプ30によるめっき液が開口部に向けて噴流させられるようになっている。
【0052】
めっき処理カップ20は、図1に示すように、めっき液再生機構50の外方容器51内に二重容器状態に格納されている。外方容器51の側壁51a部分は、めっき処理カップ20の側壁20aより高く設定され、外方容器51部分の上方開口部を塞ぐようにホルダ10が載置できるようになっている。
【0053】
ホルダ10を載置した状態では、ホルダ10とめっき処理カップ20の側壁20aの上端側との間には隙間Sが形成されるようになっている。かかる隙間Sを通して、めっき処理に使用されためっき液が、めっき処理カップ20外に排出されるようになっている。
【0054】
さらに、外方容器51の側壁51a内面とめっき処理カップ20の側壁20aの外面との間には、めっき処理カップ20外に溢れ出た上記めっき液が流れるような隙間60が形成されている。かかる隙間60が、めっき液の流路60aとなっている。流路60aは、さらに、めっき液再生機構50の再生めっき槽52に通じるめっき液戻り配管61に接続されている。めっき処理カップ20から溢れて外に出ためっき液は、隙間S、隙間60(流路60a)、めっき液戻り配管61を通って、再生めっき槽52内に入ることとなる。
【0055】
めっき液戻り配管61の排出端61a側は、再生めっき槽52内のめっき液取り入れ口71近くの深さで開口されている。そのため、めっき液戻り配管61を介して再生めっき槽52内に排出されためっき液は、周囲に余り拡散することなくめっき液取り入れ口71内へ速やかに吸引される。めっき液取り入れ口71から吸引されためっき液は、循環ポンプ70により、再生めっき槽52との間を循環させられる。循環する間に、フィルタ室80のフィルタ80aを通過させられて、めっき液中の気泡、異物等が除去されるようになっている。
【0056】
かかるフィルタ80aは、例えばポリプロピレン、テフロン(登録商標)等で形成され、親水処理が予め施されている。親水処理は、例えば、純水を入れた耐圧容器に浸水させ、容器内部を真空ポンプにより減圧することにより行なう。親水処理によりメッシュを完全に濡れた状態にすることで、フィルタ80aのメッシュ孔径より大きい気泡を濾過することができるように構成されている。かかる親水処理を施さない場合は、メッシュ孔径より大きな気泡でも、気泡の形をメッシュ孔径に準じて変形させることでフィルタ80aを通過する。
【0057】
めっき液取り入れ口71から循環ポンプ70により取り入れられためっき液は、配管72を通してフィルタ室80に送られる。フィルタ室80の手前には、図1に示すように、本発明の構成の特徴の一つである自己共鳴管90が設けられている。めっき液は自己共鳴管90を通過した後、フィルタ室80内に入るようになっている。
【0058】
フィルタ室80では、フィルタ80aの周囲を取り巻くようにめっき液の流路81が形成され、図1に示すように、フィルタ室80に入っためっき液は流路81からフィルタ80a内へ送り込まれ、フィルタ80aの全体から流れ込むことができるようになっている。すなわち、自己共鳴管90を出て、フィルタ室80に到達しためっき液は、フィルタ80aの全体を通じて、フィルタ80a内へ抜けるように構成されている。
【0059】
フィルタ80a内を抜けためっき液は、気泡、異物等が除去された再生めっき液として、配管73を通って、再生めっき液排出口74から、再生めっき槽52内に排出されるようになっている。再生めっき液排出口74から排出された再生めっき液は、隔壁部75により隔てられ、前記めっき液戻り配管61の排出端61aから排出されたマイクロバブルB等を含んだ戻りめっき液とは混ざり難いようになっている。
【0060】
一方、フィルタ80aの周辺側を包み込むように形成された流路81は、その天端側には、気泡溜まり82が設けられている。かかる気泡溜まり82は、自動弁83、圧縮窒素供給口84が設けられたエアーコンバム85を介して、受け皿86に配管接続されている。気泡溜まり82から受け皿86までのエアー抜き配管により、気泡Cの除去と共に、気泡Cと共に入り込んだ少量のめっき液を、再生めっき槽52内に戻すことができるようになっている。
【0061】
因に、マイクロバブルBとは、本明細書では、液体中に孤立して存在する直径1mm未満の気体のことを言うものとする。気泡Cは、かかるマイクロバブルBよりも大きな気泡である。
【0062】
一方、かかる構成の噴流式めっき装置100では、めっき処理カップ20の上方に対向配置されたホルダ10には、トップリング11が設けられている。トップリング11は、ウエハW等の被めっき処理物をめっき処理カップ20の開口部上方の所定高さにセットするセッティング用挿通孔12を中央に設けたリング状に形成されている。
【0063】
かかるトップリング11の裏面側には、ウエハW等の被めっき処理物を支持する支持部13が設けられている。支持部13は、その一部がセッティング用挿通孔12の周縁に沿って内側に迫り出して設けられている。本実施の形態では、かかる支持部13は、カソード13aの一部を平らに突出させて構成されている。
【0064】
そこで、セッティング用挿通孔12内に、支持部13に当接するまで被めっき処理物を落としこむことにより、被めっき処理物のめっき処理面が、めっき処理カップ20の上方開口部の所定高さにセットされることとなる。
【0065】
例えば、被めっき処理物としてウエハWを想定すれば、ウエハWの周縁部を予めレジスト剥離しておき、その状態で、上記セッティング用挿通孔12内にウエハWを挿入してセットする。セットした状態では、レジスト剥離がなされたウエハ周縁部が支持部13としてのカソード13aと接触することとなり、バンプ電極用として電解めっきによりこれから形成する再配線層との電気的接続が確保されるようになっている。
【0066】
このようにしてウエハWは、セッティング用挿通孔12内に入れられ、その周縁部がカソード13aに接触した状態で、ウエハW上には、ウエハ押え14が載せられる。ウエハ押え14の裏面側周縁部には、押圧用凸部14aが設けられ、ウエハWとカソード13aとの接続部を所定の圧力で押え付けて電気的接続が緩まないように構成されている。
【0067】
また、めっき処理カップ20内には、図1に示すように、アノード15が設けられている。アノード15は、例えば、白金をメッシュ状に形成する等して形成されている。アノード15と、カソード13aとで、回路が形成されて電界めっきが行えるように構成されている。
【0068】
かかる構成の噴流式めっき装置100では、めっき液中のマイクロバブルB等の気泡は、次のようにして効果的に除くことができる。
【0069】
すなわち、めっき処理カップ20から噴流として被めっき処理物であるウエハWのめっき処理面に当てられためっき液は、ホルダ10とめっき処理カップ20との間の隙間Sを通って、めっき処理カップ20外へ溢れ出る。かかるめっき液には、噴流としてめっき処理面に当てられた際等に、空気を巻き込み、マイクロバブルB等の気泡が混入させられている。
【0070】
かかるマイクロバブルBが混入しためっき液は、外方容器51とめっき処理カップ20との間の隙間60である流路60aを通り、めっき液再生機構50に送られる。すなわち、流路60aを通ってめっき液戻り配管61に入り、めっき液戻り配管61の排出端61aから再生めっき槽52内に排出される。排出されためっき液は、めっき液取り入れ口71から循環ポンプ70で速やかに吸引され、配管72を通してフィルタ室80側に送られる。配管72には、フィルタ室80に入る手前に自己共鳴管90が設けられており、かかる自己共鳴管90内を通過してフィルタ室80に入る。
【0071】
自己共鳴管90は、図2(a)に示すように、配管72と同口径に形成され、配管72の途中に介在させられるようにその両端側に取り付けねじ91が設けられている。配管72と同じ口径に形成されている自己共鳴管90の管内には、図1に示すように、流路方向に沿って2個のオリフィス92、93が所定間隔離されて設けられている。
【0072】
かかる2個のオリフィス92、93には、図2(a)、(b)に示すように、配管72の口径より小さい円形開口部92a、93aが設けられている。このようにして配管72と同じ口径の管内は、2個のオリフィス92、93により仕切られ、共鳴室94に構成されている。
【0073】
かかる共鳴室94は、オリフィス92、93に設けた円形開口部92a、93aの口径Xと、共鳴室94の長さLとの比が、例えばX:L=1:2の割合に設定されている。さらに、Xは、配管72の口径より小さく構成され、配管72の口径をYとしたとき、X:Y=1:2ならば、めっき液に脈動を付与することができることが実験で確認されている。
【0074】
このように構成されたオリフィス92、93を通過することで、配管72を流れてきためっき液は、所定の周波数で脈動を繰り返す振動流となる。配管72の口径を流れてきためっき液はオリフィス92の円形開口部92aを通過することで一旦絞られ、共鳴室94に入って元に戻され、さらにオリフィス93の円形開口部93aでまた絞られ、オリフィス93を通過してまた元に戻される。
【0075】
このようにして、オリフィス92、93の円形開口部92a、93aを通過する際に、めっき液は絞られるため、所定の周波数の脈動を伴うめっき流となる。脈動の周波数は、共鳴室Lの長さと、円形開口部の開口口径Xとで決まる値である。X、Lの値は、X=10mm、L=5〜20mmである。より好ましくはX=10mm、L=15mmである。
【0076】
めっき液は、オリフィス92を通過させられることで、上記の如く絞られて渦が発生する。かかる渦は、共鳴室94で増幅され、オリフィス93から共鳴噴流として放出される。かかる共鳴噴流は、めっき流速、共鳴室容量に応じた数〜十数kHzの周波数を持つ振動流であり、めっき液を激しく振動させる。
【0077】
かかる振動が、めっき液中のマイクロバブルBに伝わり、めっき液中のマイクロバブルB同士の結合を促し大きな気泡Cにさせるのである。このように、オリフィス92、93を通過しためっき液は、振動が付与されると共に、強いキャビテーション効果をも発揮し、めっき液中に混ざっていたマイクロバブルBを破裂させる等して互いに結合させてより大きな気泡Cに形成する作用を示す。
【0078】
すなわち、図1に示すように、めっき液中のマイクロバブルBを、めっき液に脈動を与えることで、複数のマイクロバブルBが一つになって自然脱気しやすい大きな気泡Cに変換するのである。
【0079】
ここで自己共鳴管90による自己共鳴振動については、めっき液中に含まれるマイクロバブルBの結合を促す程度の振動であり、またキャビテーション発生もめっき液中の気泡を破裂させる程度のキャビテーションの発生を行う程度のものであり、従来の自己共鳴管を用いた激しいキャビテーション発生により気泡破裂のエネルギーを用いてバリや異物の除去を行うようなキャビテーション発生を行うものではない。つまりキャビテーション発生はめっき液中の気泡を除去する程度のキャビテーションの発生になるように自己共鳴管90を設計する点において、従来のキャビテーション発生の自己共鳴管設計とは全く異なる設計思想であり、また自己共鳴管90の用途も従来の気泡破裂によるエネルギーを用いる用途とは全くことなる用途である。
【0080】
このようにして発生した大きな気泡Cは、めっき液と共にフィルタ室80のハウジング内に送られる。親水処理済みで完全に濡れた状態のフィルタ80aは、フィルタ80aのメッシュ孔径より大きい気体は通さないので、めっき液のみがフィルタ80aを通過するのである。
【0081】
すなわち、前記したように、自己共鳴管90を通過しためっき液は、自己共鳴管90を通過する前のマイクロバブルBが大きな気泡Cになった状態で、フィルタ室80に至るのである。フィルタ室80では、これまでと同様に流路81からフィルタ80a内に入って、配管73を通って、再生めっき液排出口74からマイクロバブルBの混入が無いめっき液が再生めっき槽52内へ戻されることとなる。
【0082】
一方、めっき液が流路81からフィルタ80a内に移る間に、めっき液内の大きな気泡Cは、気泡溜まり82内に上る。気泡溜まり82内にたまった大きな気泡Cは、ある程度たまった時点で、自動弁83が開けられ、エアーコンバム85から窒素とともに流され、受け皿86に至る。めっき液の酸化劣化が問題となるような場合には、このように圧縮窒素を用いてめっき液を流すことでその劣化が防止できる。
【0083】
受け皿86では上方が大気に開口されており、大きな気泡Cと共に僅かながら付随してきためっき液から気泡Cが自然脱気される。このようにして受け皿86で気泡Cが自然脱気され、自然脱気されためっき液は、受け皿86から溢れて側壁を越えて再生めっき槽52内に戻るのである。
【0084】
上記の如く、再生めっき液排出口74、あるいは受け皿86から再生めっき槽52内へ戻された再生めっき液は、めっき液戻り配管61内を通って再生めっき槽52の低部に排出されるマイクロバブルBを混在した戻りのめっき液とは、隔壁部75、排出端61aの開口深度設定等により、両者は簡単に混ざり難いように構成されている。
【0085】
このようにして再生めっき槽52内に溜められた気泡を含まないめっき液は、めっき貯蔵タンク40との仕切り壁41を乗り越えて、めっき貯蔵タンク40内へ流れ込む。めっき貯蔵タンク40内の気泡を含まないめっき液は、噴流ポンプ30により噴流としてめっきノズル21を通してめっき処理カップ20内に送られる。被めっき処理物である例えばウエハW等のめっき処理面に当てられ、電界めっきに利用されることとなる。
【0086】
このように本実施の形態では、噴流式めっき装置100に、自己共鳴管90を設けることで、めっき液自体に脈動を与え、かかる脈動によりそれまでめっき液中に混入していた小さなマイクロバブルBを集合させて大きな気泡Cにすることができる。かかる気泡Cは、マイクロバブルBとは異なり、大きいため、その分浮力も大きくなり自然にめっき液から上方に上り脱気されやすくなる。
【0087】
本実施の形態では、このように、めっき液の流れを自己共鳴管90を通過させることで、めっき液に脈動を与え、小さいためなかなか消泡させづらいマイクロバブルBを、脱気されやすい大きな気泡Cに変えて、めっき液からマイクロバブルB等の気泡そのものを除去するものである。
【0088】
めっき液循環用のフィルタ室80の入り口手前に自己共鳴管90を設けることで、めっき液に脈動、すなわち振動を与え、めっき液中のマイクロバブルB等の溶存気体をガスとして脱気させたり、複数のマイクロバブル同士を結合させて大きな泡とすることができる。かかる泡を、フィルタ室80のハウジング内で、親水処理済で完全に濡れた状態のフィルタ80aではそのメッシュ孔径より大きい気泡は通過させない性質を利用して、めっき液から分離する。分離した気泡Cを、フィルタ室80に接続したエアー抜きラインで真空引きすることにより、めっき液の脱気を行うのである。
【0089】
めっき液の脈動の周波数は、めっき液の粘度との関係もあるが、一般的には、4〜6kHz程度が好ましい。かかる周波数であれば、現時点のめっき液として使用する粘度範囲では、マイクロバブルBを大きな気泡Cに変換させて、自然脱気を推進することができる。
【0090】
自己共鳴管90は、本実施の形態では、フィルタ室80に入る直前の配管72部分に設けた。自己共鳴管90により発生しためっき液の脈動で、マイクロバブルBが集合して大きな気泡Cになるため、かかる気泡Cの除去機構の直前に、自己共鳴管90を設ける方が好ましい。発生した気泡の再度の溶け込み等を極力防止して、より速やかに発生した気泡Cを除去するため、気泡除去機構の直前に設ける構成を採用したのである。
【0091】
発生する気泡には、マイクロバブルBに比べて十分に大きな気泡もあれば、マイクロバブルBよりは大きいがそれ程までに大きくはない気泡等、種々の大きさの気泡が生ずると考えられる。そこで、マイクロバブルBよりは大きいが十分とは言えない程度の大きさの気泡は、気泡除去機構までの距離が長いと、再度めっき液に溶け込む可能性も否定し得ない。そこで、かかる溶け込みを防止する意味で、気泡除去機構の直前配置の構成が好ましいと考えたものである。
【0092】
従って、かかる溶け込みが実質的に防止できる範囲であれば、直前でなくとも、気泡除去機構より離して設けることは構わない。
【0093】
めっき液中に溶解したガスは、高い濃度で長時間存在しやすい。めっき液中に存在する数μm以下のマイクロバブルBは、マイクロバブルB同士結合して大きな気泡Cとなることで、めっき液の液面に浮かび上がり、大気中に放出される。しかし、そのプロセスを自然に起こさせるには、大きなめっき液用の貯蔵タンクに長時間めっき液を静置させる必要があり、実際的な脱気方法とは言えない。
【0094】
また、溶存気体が脱気されためっき液では、噴流ポンプ30のインペラー等による攪拌で発泡しにくくなる。さらには、発生した気泡も、再びめっき液中に溶け込み、気泡としてはめっき液中に長時間存在できなくなり、ウエハのめっき処理面等に気泡が付着する虞がなくなり、めっき膜の成長不良等を未然に防止することができる。
【0095】
このようにしてめっき液の再生循環を繰り返すことで、よりめっき液中にマイクロバブルBは発生しにくくなり、めっき液中のマイクロバブルBは次第に減少することともなる。所謂、循環効果とも言うべき効果が得られるのである。
【0096】
しかし、これまでの噴流式めっき装置100aでは、図3に示すように、自己共鳴管90が設けられていない。これまでの噴流式めっき装置100aの構成は、噴流式めっき装置100の構成とほぼ同様であるが、配管72とフィルタ室80との間には、自己共鳴管90が設けられてない点で異なっている。
【0097】
これまでは、自己共鳴管90によりめっき液中のマイクロバブルBを大きな気泡Cとして脱気するとの考えがないため、エアー抜き配管には、気泡溜まり82と、エアーコンバム85等の構成が当初から設けられてない。さらには、配管73の再生めっき液排出口74では、めっき液戻り配管61から再生めっき槽52内へもどされためっき液と、めっき液再生機構50で再生されためっき液とを混ざらないようにするとの考えもない。そのため、隔壁部75が設けられていないのである。その他の構成は、基本的には、本発明に関わる噴流式めっき装置100と同様である。
【0098】
かかる構成のこれまでの噴流式めっき装置100aでは、めっき液戻り配管61の排出端61aから再生めっき槽52に戻されたマイクロバブルBが混入されためっき液は、循環ポンプ70によりめっき液取り入れ口71から吸引される。吸引されためっき液は、配管72を通ってフィルタ室80に送られる。
【0099】
フィルタ室80のハウジング内では、一部マイクロバブルBより大きな気泡はエアー抜き配管を通ってエアー抜きされるが、しかし、マイクロバブルBは、フィルタ80aのメッシュ孔径1.5μm程度より小さいため、めっき液と共にフィルタ80aを通過してしまう。フィルタ80aでは、めっき液中の異物のみが除去されるのである。
【0100】
その結果、異物除去の観点から再生されためっき液には、マイクロバブルBが依然として混入されたままである。かかるマイクロバブルBが混入された状態で、再生めっき液は、めっき貯蔵タンク40内に入り、噴流ポンプ30によりめっき処理カップ20からウエハW等の被めっき処理物の表面に噴流として当てられることとなる。
【0101】
その結果、例えば、図4(a)に示すように、ウエハWのめっき処理面に形成されたレジスト110による凹部120に、マイクロバブルBが入り込むこととなる。一旦入り込んだマイクロバブルBは、簡単には除かれず、図4(b)に示すように、そのまま電界めっきが行われめっき膜130が形成されることとなる。かかる場合に、図4(c)に示すように、めっき膜が一部欠損する等のめっき膜欠陥140が発生することとなる。
【0102】
しかし、本発明の如く、自己共鳴管90をフィルタ室80の配管72の手前に設ける簡単な構成で、めっき液からマイクロバブルBを除くことができ、電界めっき時におけるめっき膜欠陥の発生を未然に防止することができるのである。
【0103】
かかる構成の噴流式めっき装置100を用いて、半導体装置を製造する方法について、以下説明する。以下の説明においては、LCDドライバを半導体装置の一例として取り上げるが、しかし、本発明に係る噴流式めっき装置の適用は、かかるLCDドライバに限定するものではなく、LCDドライバ以外の構成を有する半導体装置にも適用できることは言うまでもない。
【0104】
先ず、ウエハプロセスにおいて、表面が鏡面研磨されたウエハWの主面上に、液晶表示装置の駆動に必要な素子、およびLCD( Liquid Crystal Display)のセルアレイの各画素に電圧供給を行い液晶分子の向きを制御するドライバ回路を設けて、多数の半導体チップ200を作り込む。ウエハ状態でのかかる様子を、図5(a)に示した。
【0105】
図5(a)に模式的に示す構成では、個々の半導体チップ200は、ドライバ回路として、ゲート駆動回路、ソース駆動回路、液晶駆動回路、グラフッイクRAM(Random Access Memory)、周辺回路が作り込まれている。さらに、個々の半導体チップ200の周縁域には、複数のパッド210が設けられている。
【0106】
このように形成された半導体チップ200のパッド210上に、めっき工程により、FC(フリップ・チップ)用のバンプ電極220が、図5(b)に模式的に示すように形成される。
【0107】
かかるバンプ電極220は、図5(a)で示すように所定のパッド210が形成された段階で、ウエハWごと一括して前記説明の噴流式めっき装置100を用いて電解めっきにより形成される。かかる電解めっきは、図6に示すフローに従って行われる。尚、図6では、説明のため、めっき工程の前後のステップをも示している。
【0108】
図6のめっき工程に入る前には、ウエハW上には、前述の通り、ウエハ状態で必要な素子、ドライバ回路、パッド210がそれぞれ形成され、その上にパッシベーション膜が設けられる。かかるパッシベーション膜にフォトレジスト膜を塗布し、露光、現像によりパッシベーション膜上にパッド210上に通じる開口部を形成する。
【0109】
この開口されたパッド210上に、図6のフローに示すように、UBM膜(Under Bump Metal、金属下地膜)をステップS10でスパッタにより形成する。
【0110】
その後、パッド210上に対応した部分に電解めっきによりバンプ電極220を形成するためのめっき用マスクを形成する。めっき用マスクは、図6のフローに示すように、ステップS20、S30においてUBM膜上にフォトレジスト用の感光性樹脂を塗布し、所定温度でベーク後、所望のマスクパターンを用いて露光させて樹脂感光を行えばよい。
【0111】
ステップS40で感光後の現像を行い、さらに、ステップS50で処理面のレジスト膜の残りを除去するためにプラズマ等のドライエッチングを利用してアッシングを行う。
【0112】
このようにしてめっき処理面の不要なレジスト残りを十分に除去した状態で、めっき工程S100に移行する。めっき工程S100における一連のステップは、図6のフローでは、四角の大枠で囲んで示した。
【0113】
めっき工程S100では、図6のフローに示すように、めっき付着が良好となるように、めっき前水洗ステップS110により、ウエハ表面を純水で濡らし、めっき処理面の濡れ性を確保する。例えば、5リットル/分の流量の水で洗浄を行う。
【0114】
このようにして水で濡れたままのウエハWは、ロボットにより前記説明の噴流式めっき装置100まで搬送される。搬送されたウエハWは、その裏面が吸着保持された状態で、噴流式めっき装置100のセッテイング用挿通孔12内に挿入される。支持部13にウエハWが支持された状態で吸着が解除され、ウエハ裏面側には上からウエハ押え14が被せられる。
【0115】
ウエハ押え14の内側、すなわち、ウエハWの裏面に相対する側には、押圧用凸部14aが設けられ、ウエハWを支持部13に圧接させる。圧接させられた状態では、ウエハWの周縁域のレジストが剥離されて露出しているUBMが、支持部13を兼ねているカソード13aと電気的に接続されることとなる。
【0116】
この状態で、ステップS120のめっき前フラッシングステップで、ウエハWのめっき処理カップ20に対向して下方を向けためっき処理面に、めっき液を噴流させる。かかるステップは、あくまで、めっき処理面の気泡を除去することを目的として行うもので、例えば、電解めっき時のめっき流量より多い流量のめっき液を噴き付ける。例えば、20リットル/分の流量のめっき液を、2分程度噴き付ける。
【0117】
しかし、かかるめっき前フラッシングステップS120は、前記説明の噴流式めっき装置100では、自己共鳴管90を設けることで噴流めっき液中のマイクロバブルBの混入を十分に抑制することができるので、めっき前フラッシングステップの省略、あるいは、めっき前フラッシング時間の短縮を行うこともできる。
【0118】
上記めっき前フラッシング時間は、自己共鳴管90による気泡処理を行わない場合は約10分程度必要とされていたが、自己共鳴管90を設けることで上記の如く例えば1/5の2分に時間短縮が可能となった。
【0119】
また、図6に示すフローでは、めっき前フラッシング処理を残した工程を示しているが、上記の如く、めっき前フラッシング処理を省く構成も可能となる。めっき前フラッシング処理を行う場合には、フラッシング用のめっき液を気泡除去の目的で勢い良く噴き付けることができるようにウエハWのめっき処理面とめっき処理カップ20側との間隔をある程度確保するように構成していた。
【0120】
しかし、かかるめっき前フラッシング処理を省く構成では、めっき処理カップ20とウエハWのめっき処理面との間を、これまでよりも短く設定することが可能となる。
【0121】
ステップS120の終了後は、ステップS130により電解めっきによる金めっきを施すこととなる。ウエハWの金めっきは、ウエハ周縁部のレジスト剥離により露出したUBM膜を支持部13を兼ねるカソード13aに電気的に接続させた状態で、電解めっきにより行われる。図示はしないが、カソード13aと、アノード15は電源を介して接続され、めっき液を介して通電したUBM上に金めっきを形成することとなる。
【0122】
めっき流量は、例えば、10リットル/分程度で、液温は約60℃に設定しておけばよい。因みに、金めっき液の組成としては、例えば、亜硫酸金ナトリウム(NaAu(SO)溶液を用いればよい。
【0123】
このようにしてマイクロバブルBの混入しないめっき液で、気泡付着を十分に抑制した状態でめっき処理を行った後は、図6のフローに示すように、ステップS140のめっき後水洗ステップで、ウエハWに付着しためっき液を純水で洗浄する。水洗後は、ステップS150に従って、例えばウエハWを高速回転させるスピン乾燥法等を用いてウエハWの乾燥を行う。
【0124】
その後は、レジスト除去ステップS60で、めっき用マスクとして使用していたフォトレジストをアッシング等で処理し、さらに、ステップS70で不要箇所のUBM膜もエッチング処理で除去すればよい。このようにして所要のバンプ電極220が形成された半導体チップ200が、図5(b)に示すように、ウエハW上に形成されることとなる。
【0125】
ウエハW上に多数個取りに構成された半導体チップ200は、その後、ダイシングにより個片化され、液晶表示機構の互いに交差する方向に設けられるゲート線群と、ドレイン線群との電圧切替え制御を行う細長矩形形状に形成されたLCDドライバ200aとなる。
【0126】
LCDドライバ200aには、図7に示すように、液晶表示画面の画素数に対応したゲート線群、ドレイン線群を構成する多数の線数に対応したバンプ電極220が、LCDドライバ200aの矩形面の長辺側、短辺側の周縁に沿って多数設けられている。
【0127】
このようにして形成されたLCDドライバ200aは、バンプ電極220を用いて、実装基板側の電極に、フリップチップボンダにより面実装することができる。上方に向けた実装側基板の電極上に、LCDドライバ200a側のバンプ電極220を下方に向けて相対させ、その状態で、両者の間に異方性導電膜を介在させて、所定圧力でLCDドライバ200aを圧着させればよい。
【0128】
圧着に際しては、異方性導電膜中の導電性粒子が両電極の間で、潰される程度に圧力を掛けて行えばよい。液晶基板では、例えば、実装側基板として、ガラス基板等を想定すればよい。
【0129】
LCDには、種々の形式のものが開発されているが、代表的なTFT( Thin Film Transistor )液晶ディスプレイでは、図8(a)、(b)に示すように、内側に配向膜(図示省略)を設けた2枚のガラス基板310a、310bを、配向膜同士を相対させた状態で、その間にSTN液晶320を挟んで液晶パネル300が構成されている。
【0130】
液晶パネル300の一方のガラス基板310bには、ガラス基板310bの板面方向に沿って互いに交差するX電極線、Y電極線がそれぞれ複数本設けられ、一方のX電極線がゲート線(データ信号線とも云う)に、他方のY電極線がドレイン線(アドレス線とも云う)に形成され、他方のガラス基板310aが共通電極に形成されている。
【0131】
両複数本のX電極線、Y電極線の各々の交差位置に対応してアドレスが指定された画素が設定され、個々の画素に対応してTFTアクティブ素子が設けられている。モノクロディスプレイでは、画素数は、X電極線の本数とY電極線の本数を掛け合わせた数となる。カラーディスプレイでは、各々の画素が、赤、青、黄色の三原色表示用のサブ画素にさらに分かれ、併せてX電極線の数も3倍となるため、画素数はモノクロディスプレイの場合の3倍となる。
【0132】
このようにX電極線群と、Y電極線群との交差域で画素を決めるマトリックス表示方式では、Y電極線により特定されたアドレスにX電極線から送られた映像データを、TFTアクティブ素子を介して取り込み、各々の画素に映像データの書込を行う。TFTアクティブ素子で取り込まれた映像データは、各々の画素に設けた蓄積キャパシタに充放電電荷として蓄えられ、この電荷により映像表示を行う。
【0133】
かかる構成の液晶パネル300では、図8(a)に示すように、ガラス基板310bがガラス基板310aより大きく形成されており、ガラス基板310aの二方の周縁に沿って、マトリックス表示に必要な上記X電極線群、Y電極線群の線数に合わせて、X電極線用、すなわちゲート線用にLCDドライバ200aが、Y電極線、すなわちドレイン線用にLCDドライバ200bが、それぞれ必要な数COG実装形式で設けられている。
【0134】
図8(b)に示すように、ガラス基板310a、310bの間にシール部330により封止されたSTN液晶320が封入されている。かかる液晶ディスプレイ側からは、入力側基板配線340が延ばされて外部端子が形成され、かかる外部端子とLCDドライバ200aのバンプ電極220の一方がフリップチップ方式で、異方性導電膜240を介在させて実装されている。
【0135】
LCDドライバ200aの他方のバンプ電極220は、図8(b)に示すように、出力側基板配線350に、異方性導電膜240を介してフリップチップ方式で実装され、出力側基板配線350が異方性導電膜240を介在させてプリント基板などの外部回路360に接続されている。かかる構成は、LCDドライバ200bにおいても同様である。
【0136】
外部回路360から映像データが出力側基板配線350を通してLCDドライバ200a、入力側基板配線340を通して所定アドレスにX電極線を通して送られることとなる。同様に、LCDドライバ200bによりY電極線による画素の書込などのアドレス指定がなされる。このようにして、LCDドライバ200a、200bにより、X電極線を介しての所要アドレスの画素における電圧制御が行われる。
【0137】
図9には、フィルムなどフレキシブル素材上に液晶パネルに必要な周辺回路を設けて、かかるフィルム上に前記構成の電極表面の平坦度を向上させたバンプ電極220を有するLCDドライバ200aを実装した構成を示す。
【0138】
フィルム370上には、周辺回路がプリントされ、これに通じる配線電極380、390が、それぞれ異方性導電膜240を介在させて、ガラス基板310b上の透明な入力側基板配線340、LCDドライバ200aのバンプ電極220に接続されている。このようにLCDにおける分野のCOF実装方式でも本発明は有効に適用することができる。
【0139】
かかるCOF実装においても、前述の如く、バンプ電極220の平坦化により導電性粒子との接触面積の増加により、LCDモジュールの信頼性が向上する。
【0140】
例えば、上記説明では、LCDドライバを例に挙げて説明したが、本発明は、LCDドライバ以外でも、異方性導電膜を介在させてフェイスダウン実装によりバンプ電極を実装基板側電極等の相手側電極と電気的に接続させる構成の半導体装置に適用しても構わない。
【0141】
尚、上記説明のLCDドライバ200aでは、例えば、図7に示すように、バンプ電極220を周辺配置にした構成を示したが、例えば、図5(a)に示す構成のパッド210の配置から、図示はしないが、樹脂封止をウエハ状態で行い、さらに再配線を行って、バンプ電極を周辺域に過密に設けるのではなく、中央側にも設けるようにして、WPP(ウエハ・プロセス・パッケージ)に基づく構成にしても構わない。
【0142】
また、上記の如く、本発明に関わる半導体装置の製造方法では、半導体装置として半導体チップ200をLCDドライバ200a等に構成した場合を例に挙げて説明したが、本発明に関わる半導体装置の製造方法により、噴流めっきを用いて再配線層をめっきで形成する場合にも適用できることは言うまでもない。
【0143】
(実施の形態2)
本実施の形態では、自己共鳴管90を、噴流式めっき装置100bのめっき液の噴流側に設けた場合について示す。図10に示すように、噴流式めっき装置100bでは、自己共鳴管90が、図1に示す構成のめっき処理カップ20のめっきノズル21に代えて設けられている。かかる構成では、自己共鳴管90の取り付けねじ91は片方のみに設けられ、オリフィス92、93、円形開口部92a、93a、共鳴室94は、前記実施の形態1と同様に形成されている。
【0144】
このように、めっき処理カップ20内に自己共鳴管90を設けることで、噴流ポンプ30により攪拌されたマイクロバブルBが混入させられためっき液は、被めっき物のウエハWに当てられる直前で、大きな気泡Cに変換させられる。
【0145】
かかる大きな気泡Cは、ウエハWのめっき処理面の細かな凹部にはマイクロバブルBとは異なり、入り込み難く、めっき処理カップ20から排出されるめっき液と共に排出されることとなる。
【0146】
また、自己共鳴管90を出ためっき液は、前記の如く脈動を伴う振動流となっているため、大きな気泡Cがめっき処理面の凹部にかかっても、その脈動で気泡Cを凹部から追い出すこともできる。
【0147】
さらには、自己共鳴管90を出ためっき液は、周期的な振動を伴った脈動であるため、かかる振動が大きなキャビテーション効果を示すこととなる。そのため、マイクロバブルBが凹部に引っかかっていても、大きな気泡Cが破裂してマイクロバブルB等の小さな気泡をも消滅させることができる。
【0148】
図10では、自己共鳴管90により、噴流ポンプ30により発生したマイクロバブルBが大きな気泡Cとなって、めっき処理面に付着することなく、めっき処理カップ20外に出ていく様子を示している。
【0149】
めっき処理カップ20から排出されためっき液は、図10に示すように、めっき処理カップ20と外方容器51との間に設けられた隙間60である流路60aからめっき液戻り配管61内に入り、めっき貯蔵タンク40内に戻される。めっき貯蔵タンク40内に戻されためっき液には、めっき液中に大きな気泡Cが混在しているが、めっき貯蔵タンク40内に戻された段階で、浮力でめっき液の液面に出て自然の脱気が行われることとなる。
【0150】
従って、本実施の形態の構成では、図10に示すように、図1に示す場合とは異なり、めっき液再生機構50の構成は不要となる。勿論、マイクロバブルBの存在を確実に無くす意味では、めっき液再生機構50を併置した構成であっても構わない。併置した構成では、図1に示すように、めっき液戻り配管61を、再生めっき槽52に戻し、循環ポンプ70によりめっき液をフィルタ室80のフィルタ80aを通して循環させることで、めっき液の再生を行うようにしても構わない。
【0151】
尚、本実施の形態では、めっきノズル21に代えて、自己共鳴管90を設ける構成であるが、噴流となってウエハWのめっき処理面にあたるめっき液は、前記の如く強いキャビテーション効果を有している。そのために、めっき液があたるめっき処理面、あるいはめっき処理面のレジスト等が、キャビテーション効果のために痛む虞もある。
【0152】
かかる場合には、めっき処理開始前のフラッシング中の短時間のみめっき流速を上昇させて気泡、異物等を除去して、めっき中に流速を落としてキャビテーション効果を低減するようにすればよい。
【0153】
(実施の形態3)
本発明は、前記実施の形態でも重ねて強調したように、自己共鳴管90を設けることで、めっき液を所定の周波数で振動させてめっき液中のマイクロバブルBを結合させ、大きな気泡Cに変換して、自然脱気を促す方法であった。
【0154】
そこで、本発明者は、めっき液にマイクロバブルBを結合させて大きな気泡とすることができるような振動を与えさえすれば、自己共鳴管90の構成でなくても、マイクロバブルBを大きな気泡Cとして脱気させることができる筈と考えた。
【0155】
例えば、図11に示すように、超音波振動子400を噴流式めっき装置100cのめっき液中に置いて、マイクロバブルBを大きな気泡Cに変換することを着想した。例えば、発振器400aに接続させた超音波振動子400を、再生めっき槽52の低部側に置いた。めっき液戻り配管61の付近、例えば、めっき液戻り配管61の排出端61aと、めっき液取り入れ口71との間の再生めっき槽52の底面側に配置した。
【0156】
かかる構成では、被めっき処理物の例えばウエハWのめっき処理面に、噴流めっきとして当てられ、その際に空気を巻き込んでマイクロバブルBが混入しためっき液を、めっき処理カップ20から、隙間S、隙間60である流路60a、めっき液戻り配管61を通して、再生めっき槽52内に戻す。
【0157】
再生めっき槽52内に戻っためっき液は、再生めっき槽52の低部に配置した超音波振動子400からの例えば15〜50kHz程度の振動により、マイクロバブルB同士が結合促進されて大きな気泡Cが形成される。かかる大きな気泡Cが混在しためっき液はめっき液再生機構50のめっき液取り入れ口71から、循環ポンプ70によりフィルタ室80に送られる。
【0158】
フィルタ室80に送られためっき液は、大きな気泡Cを除いてフィルタ80aに濾過され、再生めっき液排出口74から再生めっき槽52内に戻される。一方、大きな気泡Cは、エアー抜き配管を構成する自動弁83を経て受け皿86で大気に自然開放される。
【0159】
このようにしてマイクロバブルBが除かれためっき液は、再生めっき槽52からめっき貯蔵タンク40内に入り、その後噴流ポンプ30によりめっき処理カップ20に向けて噴流されて循環する。
【0160】
(実施の形態4)
本実施の形態では、前記実施の形態3におけると同様に、めっき液にマイクロバブルBを結合させて大きな気泡Cとすることができるような振動を与えることで、自己共鳴管90の構成でなくても、マイクロバブルBを大きな気泡Cとして脱気させることができる筈との考えに基づいてなされたものである。
【0161】
本実施の形態では、噴流式めっき装置100dでは、前記実施の形態3とは異なり、図12に示すように、めっき液の噴流側に発振器410aに接続された超音波振動子410を設けた。超音波振動子410は、めっきノズル21のめっき液突出口の中央に設けられ、めっき液は、超音波振動子410とめっきノズル21とのリング状の隙間から噴流となって突出するように構成されている。
【0162】
かかる構成では、噴流としてめっきノズル21から突出するめっき液は、突出口を出る際に超音波振動子410により、所定の振動を付与された振動流となる。かかるめっき液の振動により、めっき液中に混在していたマイクロバブルBは互いに結合されて大きな気泡Cとなる。
【0163】
大きな気泡Cは、ウエハWのめっき処理面の細かな凹部にはマイクロバブルBとは異なり、入り込み難く、めっき処理カップ20から排出されるめっき液と共に排出されることとなる。
【0164】
また、大きな気泡Cを含むめっき液は、めっき処理前のめっき液の吹きつけにおいて、マイクロバブルBに比べてめっき処理面の凹部から出やすく、前処理段階でめっき処理面から追い出すことが可能となる。
【0165】
さらには、めっき液には超音波振動子410によりキャビテーション効果が付与されており、マイクロバブルBが凹部に引っかかっていても、大きな気泡Cが破裂してマイクロバブルB等の小さな気泡をも消滅させることができる。
【0166】
図12では、超音波振動子410により、噴流ポンプ30により発生したマイクロバブルBが大きな気泡Cとなって、めっき処理面に付着することなく、めっき処理カップ20外に出ていく様子を示している。
【0167】
めっき処理カップ20から排出されためっき液は、図12に示すように、めっき処理カップ20と外方容器51との間に設けられた隙間60である流路60aからめっき戻り配管61内に入り、めっき貯蔵タンク40内に戻される。めっき貯蔵タンク40内に戻されためっき液には、めっき液中に大きな気泡Cが混在しているが、めっき貯蔵タンク40内に戻された段階で、浮力でめっき液の液面に出て自然の脱気が行われることとなる。
【0168】
従って、本実施の形態の構成では、図1に示す場合とは異なり、敢えてめっき液再生機構50の構成を設けない構成とすることができる。勿論、マイクロバブルBの存在を確実に無くす意味では、めっき液再生機構50を併置した構成も考えられる。
【0169】
(実施の形態5)
前記実施の形態の噴流式ポンプ100、100b、100c、100dでは、全て被めっき処理物であるウエハW等のめっき処理面を、下方に向けてセットするフェイスダウンの方式であった。しかし、本発明は、必ずしもフェイスダウンの場合にのみ有効なのではなく、フェイスアップの方式でも当然に使用することができることは言うまでもない。
【0170】
本実施の形態で述べる噴流式めっき装置100eは、フェイスアップに対応するものである。かかる構成では、図13に示すように、めっき液再生機構50については前記の図1に示す構成と同様であるが、めっき液を噴流させてめっきを行う箇所が、図1に示すフェイスダウンの構成とは異なっている。
【0171】
すなわち、めっき処理を行うめっきヘッド600の構成が、フェイスアップ対応の構成となっている。図13に示す構成では、めっき噴流は、めっきヘッド600を構成するめっき処理カップ610の上方から入り、めっき処理カップ610の底面側の側方から排出されるようになっている。
【0172】
めっき処理カップ610は、下方に開口されており、めっき処理カップ610内にアノード15としての白金メッシュが設けられている。かかるアノード15に対向して、被めっき処理物であるウエハW等をセットする支持部材620が設けられている。対向支持する支持部材620は、ウエハWを保持した状態で、上下動できるように構成されている。
【0173】
かかる支持部材620は、めっきヘッド下方部材630から下方に移動して、その状態でウエハWがセットされる。ウエハWのセットに際しては、めっき時にウエハWの裏面側にめっき液が回り込まないように構成されている。
【0174】
このようにウエハWをセットした状態で、支持部材620は上方に移動して、めっきヘッド下方部材630と密着接続する。図13は、支持部材620が、めっきヘッド下方部材630に密着している様子を示している。
【0175】
かかるめっきヘッド下方部材630と、支持部材620との密着は、間にゴム、あるいは樹脂等でできたOリング等を介して、めっき液がもれないように確実にシールすることができるように構成されている。
【0176】
かかる支持部材620上に裏面を密着させてシールした状態のウエハWを保持した状態で、図13に示すように、めっきヘッド下方部材630との間がシーリングされて密着させられている。
【0177】
めっきヘッド下方部材630は、中央開口のリング状に形成され、その周囲にはカソード13aが設けられている。ウエハWを保持した状態で支持部材620をめっきヘッド下方部材630に密着させると、カソード13aが、ウエハWのめっき処理面のレジストが剥離された箇所に接触できるようになっている。
【0178】
このようにして、ウエハWにカソード13aを接触させた状態で、めっき処理カップ610内にめっき噴流を上方から下方のウエハWのめっき処理面に向けて吹き出す。めっき処理面では、噴流めっきが当てられ電界めっきが行われる。電界めっきに使用されためっき液は、めっきヘッド下方部材630側の底面側を経て、めっき処理カップ610の側方から、めっき液戻り配管61内に入り、再生めっき槽52内に戻される。
【0179】
再生めっき槽52内に戻されためっき液は、前掲の図1のめっき液再生機構50と同様に構成された図13に示すめっき液取り入れ口71から、循環ポンプ70により、フィルタ室80内に送られる。フィルタ室80内に入る直前の配管72部分に設けられた自己共鳴管90で、めっき液は脈動を有する振動流となる。
【0180】
かかる振動流となっためっき液からは、混在するマイクロバブルBが振動により結合して大きな気泡Cとなり脱気される。めっき液は、フィルタ80で濾過され、再生めっき液排出口74から、再生めっき槽52内に戻される。一方、大きな気泡Cは、気泡溜まり82、自動弁83、エアーコンバム85等のエアー抜き配管を経て、受け皿86で大気に放出され、気泡Cの除去の際に混入した少量のめっき液は受け皿86に溜まって、再生めっき槽52内に戻される。
【0181】
再生めっき槽52に戻されためっき液は、マイクロバブルBが含まれないめっき液となり、めっき貯蔵タンク40に移される。その後、噴流ポンプ30により噴流として、上方から下方に向けて、フェイスアップ状態にセットされたウエハW等のめっき処理面に当てられる。
【0182】
かかる構成では、前記実施の形態の場合とは異なり、フェイスアップの構成であるため、めっき液にマイクロバブルB等の気泡が混じっていても、めっき処理面の凹部には気泡が溜まりにくい。しかし、かかる場合であっても、僅かにマイクロバブルBがめっき処理面の凹部等に付着する場合が当然に考えられるので、本実施の形態のようなめっき液からマイクロバブルBを除去する構成は極めて有効である。
【0183】
図14に示す場合は、噴流式めっき装置100fのめっきヘッド600の構成において、めっき液の流れる方向が、図13の構成と逆にされている。すなわち、めっきヘッド600を構成するめっき処理カップ610では、使用されためっき液は、めっき処理カップ610の上方のめっき液排出口640から、めっき液戻り配管61に入り再生めっき槽52に排出される。
【0184】
一方、噴流ポンプ30により噴流となっためっき液は、めっき処理カップ610の下方に位置するめっきヘッド下方部材630側の側方から導入されることとなる。このようにしてめっき処理カップ610内にめっき液が満たされた状態で、めっき液は循環されることとなる。
【0185】
また、支持部材620は、図13に示す場合と同様に、図14の場合にも、上下に移動できるように構成され、めっきヘッド下方部材630から下方に離された状態で、ウエハW等の被めっき処理物を支持部材620にセットできるように構成されている。支持部材620にウエハWを装着した状態で、支持部材620を上方に移動させ、めっきヘッド下方部材630に密着させる。
【0186】
密着状態は、支持部材620とめっきヘッド下方部材630との間に、ゴム、あるいは樹脂等でできたOリング等を介して、めっき液がもれないように確実にシールして、密着させることができるようになっている。
【0187】
また、めっきヘッド下方部材630は、中央が開口されたリング状に形成されており、リング周辺にはカソード13aが設けられており、ウエハWをセットした状態では、ウエハWの周辺のレジストを剥離した箇所にカソード13aを接触させることができるようになっている。
【0188】
かかる状態で、めっきヘッド600内に下方側面からめっき液を導入し、導入しためっき液を上方から排出することで、めっき液を循環させながら、ウエハWの電界めっきを行うことができる。
【0189】
電界めっきに使用されためっき液は、めっきヘッド600のめっき液排出口640から、めっき液戻り配管61を経て再生めっき槽52に戻される。再生めっき槽52内に戻されためっき液は、前掲の図1のめっき液再生機構50で説明したと同様に、図14のめっき液取り入れ口71から、循環ポンプ70により、フィルタ室80内に送られる。フィルタ室80内に入る直前の配管72部分で、自己共鳴管90を通過してめっき液は脈動を有する振動流となる。
【0190】
振動流となっためっき液は、混在するマイクロバブルBをめっき液の振動により結合させて大きな気泡Cとして脱気する。めっき液は、フィルタ80aで濾過され、再生めっき液排出口74から、再生めっき槽52内に戻される。大きな気泡Cは、気泡溜まり82、自動弁83、エアーコンバム85等のエアー抜き配管を経て、受け皿86で大気に放出される。気泡Cの除去の際に混入した少量のめっき液は、受け皿86に溜まって、その後再生めっき槽52内に戻される。
【0191】
再生めっき槽52に戻されためっき液は、マイクロバブルBが含まれないめっき液となり、めっき貯蔵タンク40を経て、噴流ポンプ30により噴流として、めっきヘッド600の下方側方から、フェイスアップ状態にセットされたウエハW等のめっき処理面に満たされ、電界めっきが行われる。
【0192】
かかる構成でも、フェイスアップの構成であるため、めっき液にマイクロバブルB等の気泡が混じっていても、めっき処理面の凹部には気泡が溜まりにくい。しかし、かかる場合であっても、僅かにマイクロバブルBがめっき処理面の凹部等に付着する場合が当然に考えられるので、本実施の形態のようなめっき液からマイクロバブルBを除去する構成は極めて有効な構成である。
【0193】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0194】
前記実施の形態では、自己共鳴管は直管に構成した場合を例に挙げて説明したが、曲がり管に構成しても一向に構わない。共鳴室部分で曲がりが入るようにしても、あいるは共鳴室を避けて曲がりが入るようにしても一向に構わない。
【0195】
また、前記実施の形態では、自己共鳴管をめっき装置に一つ設けた構成について説明したが、例えば噴流側のめっきノズル位置に、めっき再生機構側のめっき室直前部分に等のように、複数設けても一向に構わない。さらには、自己共鳴管を直列に設ける構成も考えられる。
【0196】
自己共鳴管は、ダイヤフラムポンプと、あるいは超音波振動子と併せて使用しても構わない。さらには、自己共鳴管を、ダイヤフラムポンプ、超音波振動子と共に3者併置した構成も考えられる。
【0197】
前記実施の形態では、フェイスアップ方式で電界めっきを行う場合には、めっきヘッドが固定されているため、被めっき処理物のウエハのセットは、めっきヘッド下方部材より支持部材を離してウエハをセットし、その後に両者を密着させる構成であった。
【0198】
しかし、めっきヘッド自体を反転できるように構成して、フェイスダウン方式と同様に被めっき処理物のウエハをめっき処理カップに対してフェイスダウン状態でセットし、その後にめっきヘッドを反転させて、フェイスアップ状態で電界めっきを行うように構成しても一向に構わない。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明は、工程にめっき処理工程を含む半導体装置等の製造方法において有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】本発明に関わる一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成の一実施例を模式的に示す断面説明図である。
【図2】(a)は本発明に関わる一実施の形態の自己共鳴管の一実施例を模式的に示す斜視図であり、(b)はその断面図である。
【図3】これまでの噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す断面説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、マイクロバブルに起因しためっき膜欠陥のできる様子を模式的に示した部分断面説明図である。
【図5】(a)ウエハプロセスにおける半導体チップのパッドの形成状況をウエハ状態で模式的に示す平面説明図であり、(b)はウエハプロセスにおける半導体チップのバンプ電極の形成状況をウエハ状態で模式的に示す平面説明図である。
【図6】本発明に関わる一実施の形態のめっき処理工程の一実施例の処理ステップを示すフロー図である。
【図7】ウエハ状態から個片化された状況でのLCDドライバにおけるバンプ電極の配列状況を示す平面図である。
【図8】(a)液晶パネルを模式的に示す平面図であり、(b)は(a)におけるLCDドライバの接続状況を模式的に示す要部断面図である。
【図9】液晶ディスプレイにおいてLCDドライバをCOF実装方式で実装した様子を模式的に示す要部断面図である。
【図10】本発明に関わる変形例の一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す一実施例の断面説明図である。
【図11】本発明に関わる変形例の一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す一実施例の断面説明図である。
【図12】本発明に関わる変形例の一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す一実施例の断面説明図である。
【図13】本発明に関わる変形例の一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す一実施例の断面説明図である。
【図14】本発明に関わる変形例の一実施の形態の噴流式めっき装置の全体構成を模式的に示す一実施例の断面説明図である。
【符号の説明】
【0201】
10 ホルダ
11 トップリング
12 セッティング用挿通孔
13 支持部
13a カソード
14 ウエハ押え
14a 押圧用凸部
15 アノード
20 めっき処理カップ
20a 側壁
21 めっきノズル
21a 側壁
30 噴流ポンプ
40 めっき貯蔵タンク
41 仕切り壁
50 めっき液再生機構
51 外方容器
51a 側壁
52 再生めっき槽
60 隙間
60a 流路
61 めっき液戻り配管
61a 排出端
70 循環ポンプ
71 めっき液取り入れ口
72 配管
73 配管
74 再生めっき液排出口
75 隔壁部
80 フィルタ室
80a フィルタ
81 流路
82 気泡溜まり
83 自動弁
84 圧縮窒素供給口
85 エアーコンバム
86 受け皿
90 自己共鳴管
91 取り付けねじ
92 オリフィス
92a 円形開口部
93 オリフィス
93a 円形開口部
94 共鳴室
100 噴流式めっき装置
100a 噴流式めっき装置
100b 噴流式めっき装置
100c 噴流式めっき装置
100d 噴流式めっき装置
100e 噴流式めっき装置
100f 噴流式めっき装置
110 レジスト
120 凹部
130 めっき膜
140 めっき膜欠陥
200 半導体チップ
200a LCDドライバ
200b LCDドライバ
210 パッド
220 バンプ電極
240 異方性導電膜
300 液晶パネル
310a ガラス基板
310b ガラス基板
320 STN液晶
330 シール部
340 入力側基板配線
350 出力側基板配線
360 外部回路
370 フィルム
380 配線電極
390 配線電極
400 超音波振動子
400a 発振器
410 超音波振動子
410a 発振器
600 めっきヘッド
610 めっき処理カップ
620 支持部材
630 めっきヘッド下方部材
640 めっき液排出口
B マイクロバブル
C 気泡
S 隙間
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき装置により半導体ウエハのめっき処理を行う工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記めっき装置は、めっき液を通し気泡を発生する自己共鳴管を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記自己共鳴管は、めっき液流路のフィルタ前に設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記自己共鳴管は、めっき液の噴流口側に設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体ウエハは、めっきに際して、下方から噴流するめっき液に対してめっき処理面を下方に向けてセットすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体ウエハは、めっき処理面を上方に向けてセットし、その後に電界めっきを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記めっき装置では、めっき液は、親水処理により濡れた状態のフィルタを介して循環させられることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記めっき装置では、めっき液は、超音波振動子により振動を付与された状態で、めっき液から気泡を含めた異物を除去するめっき液再生機構に送られることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
めっき装置により半導体ウエハのめっき処理を行う工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記めっき装置は、めっき液中のマイクロバブルを結合させて大きな気泡として前記めっき液から前記マイクロバブルを除去して、マイクロバブル除去前の前記めっき液と混合しないように前記めっき装置に循環させながら前記半導体ウエハのめっきを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記めっき液中のマイクロバブルを結合させて大きな気泡として前記めっき液から前記マイクロバブルを除去するに際しては、前記めっき液に超音波を照射することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記めっき液中のマイクロバブルを結合させて大きな気泡として前記めっき液から前記マイクロバブルを除去するに際しては、前記めっき液を脈動を伴った振動流に変換して行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−262466(P2007−262466A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87700(P2006−87700)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】