説明

半導体装置の製造方法

【課題】電子線式検査装置を用いて、半導体装置において発生するプラグの欠陥による電気的接続不良を精度よく検出し、欠陥の種類や電気抵抗値等を推定する。
【解決手段】下位配線20、プラグP2、上位配線21をX方向に鎖状に配置した鎖状構造パターンからなり、X方向の一方の端部に位置する下位基幹配線20aから下位配線20と上位配線21へ電子が供給される接続配線部と、下位配線20、プラグP2、上位配線21をX方向に鎖状に配置した鎖状構造パターンからなり、下位配線20と上位配線21へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、接続配線部と非接続配線部とがY方向に繰り返し配置された較正試料から取得された作り込み欠陥の二次電子電位コントラストの階調値と検査試料から取得された欠陥の二次電子電位コントラストの階調値との格差を補間することで、検査試料の欠陥の種類、電気抵抗値、間隙寸法を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、半導体製品の製造過程において実施するコンタクトプラグまたはビアプラグの欠陥の検出工程に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば既知の複数種類の欠陥の抵抗または既知の複数種類のウェルの容量および接合の抵抗が形成された標準ウェーハを用いて、その二次電子画像から検査装置の感度を較正する方法、ならびに上記標準ウェーハの二次電子画像から、被検査ウェーハの欠陥の抵抗値または残膜厚を非破壊で推定する方法が特開2004−319721号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
また、半導体ウェーハ上に回路パターンとともに所定寸法の作り込み欠陥からなる欠陥検査パターンを形成し、回路パターンの欠陥検査に先立って欠陥検査パターンを検出し、その検出結果に基づいて検査感度の調整を行う検査方法が特開2006−226792号公報(特許文献2)に開示されている。
【特許文献1】特開2004−319721号公報(段落[0014]、図7)
【特許文献2】特開2006−226792号公報(段落[0018]〜[0019]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体装置の微細化により、半導体装置に形成されたプラグの電気的欠陥は完全な非導通欠陥または短絡欠陥だけではなく、例えばプラグとその下層とが“微妙”な電気的接続状態となる半非導通欠陥または半短絡欠陥等が増加している。これらの半非導通欠陥または半短絡欠陥等は半導体デバイスの動作マージン不良に影響を与える可能性があることから、半導体装置の製造過程において、半非導通欠陥または半短絡欠陥等を検出することが重要となっている。
【0005】
ところで、非導通欠陥または短絡欠陥の検出には、例えば上記特許文献1に記載された電子線式検査装置を用いることができる。この検査装置では、比較する2つのパターンの二次電子の電位コントラストに差異が表れることにより欠陥が指摘できるので、微弱な電位コントラストしか得られない場合であっても、非導通欠陥または短絡欠陥の欠陥箇所を検出することが可能である。また、例えばプラグとその下層との接続状態を検査する場合、検査ウェーハの他に、プラグとその下層との間に残る絶縁膜が互いに異なる複数の欠陥を有する標準ウェーハを用意し、この標準ウェーハで得られる欠陥の電位コントラストを利用して、検査ウェーハにおける欠陥の電位コントラストの検出感度を較正している。これにより、検査ウェーハにおける非導通欠陥または短絡欠陥の欠陥箇所を正確に特定することができ、また欠陥箇所のプラグとその下層との間の電気抵抗値を推定することが可能となる。
【0006】
しかしながら、上記標準ウェーハでは、プラグとその下層との間に残る絶縁膜の厚さを制御することが難しいことから、必ずしも所望する厚さの絶縁膜は形成されていない。そのため、前述した半非導通欠陥または半短絡欠陥等においては、上記標準ウェーハを利用して検査ウェーハにおける欠陥の電位コントラストの検出感度を較正しても、欠陥箇所を正確に特定することが難しく、また欠陥箇所のプラグとその下層との間の電気抵抗値等を推定することが難しい。
【0007】
実際に、本発明者は、図28に示すビアプラグP3において、微妙な電気的接続不良を人工的に再現するために、原子層堆積装置(ALD:Atomic Layer Deposition)を用いて、図29に示すようにビアプラグのエッチングを行った後に数原子層の絶縁材料で被覆した擬似残膜23を際膜する方法(擬似残膜手法)を検討したが、成膜時間の制御が非常に困難であり、膜厚ばらつきも存在した。また、1箇所のビアプラグP3にのみ、この擬似残膜23を作製するためのフォトマスクを1枚追加しなければならなかった。かつ、そのフォトマスクの高度な重ね合わせ精度も要求された。
【0008】
本発明の目的は、電子線式検査装置を用いて、半導体装置において発生するプラグの欠陥による電気的接続不良を精度よく検出し、欠陥の種類や電気抵抗値等を推定することのできる技術を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、下位配線、プラグおよび上位配線をX方向に鎖状に配置した鎖状構造パターンから構成され、X方向の一方の端部に位置する下位基幹配線から下位配線および上位配線へ電子が供給される接続配線部と、下位配線、プラグおよび上位配線をX方向に鎖状に配置した鎖状構造パターンから構成され、下位配線および上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、接続配線部と非接続配線部とがY方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、較正試料に二次電子を照射して、較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、較正試料の作り込み欠陥の階調値、電気抵抗値および間隙寸法を記憶する工程と、検査試料に二次電子を照射して、検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、検査試料の欠陥の階調値に最も近い較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、検査試料の欠陥の階調値と較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とからなる検査工程を含み、上記較正試料の作り込み欠陥は、下位配線を削除、追加または縮小、あるいはプラグの径を縮小することにより形成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
較正試料に、“微妙”な電気的接続状態となるプラグの種々の作り込み欠陥、例えば半非導通欠陥や半短絡欠陥等を人工的に形成し、電子線式検査装置において種々の作り込み欠陥に対する二次電子の電位コントラストを取得することにより、較正試料の作り込み欠陥において得られたデータを基にして、製品等の検査試料に発生するプラグの欠陥による電気的接続不良を精度よく検出し、欠陥の種類や電気抵抗値等を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、本実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、本実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、本実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、本実施の形態において、ウェーハと言うときは、Si(Silicon)単結晶ウェーハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウェーハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。また、本実施の形態においては、配線パターンが鎖状に配置される方向に沿った方向をX方向とし、そのX方向と垂直な方向をY方向とする。
【0017】
また、本実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明による実施の形態では、プラグの欠陥による電気的接続不良を再現する種々作り込み欠陥を備える鎖状構造パターンを較正試料に形成した。まず、図1〜図15を用いて、較正試料に形成した作り込み欠陥およびその二次電子画像の電位コントラストについて説明する。図1は本実施の形態による鎖状構造パターンの一例を示す要部断面図、図2および図3はそれぞれ本実施の形態による欠陥のない正常鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図4および図5はそれぞれ本実施の形態による完全非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図6および図7はそれぞれ本実施の形態による完全短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図8および図9はそれぞれ本実施の形態による半非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図10および図11はそれぞれ本実施の形態による半短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図12および図13はそれぞれ本実施の形態による細線状半短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像、図14および図15はそれぞれ本実施の形態による先細りビアプラグの半非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図および二次電子画像である。
【0019】
図1は、本実施の形態による鎖状構造パターンを示す要部断面図であり、一例として作り込み欠陥が半非導通欠陥である鎖状構造パターンの要部断面図を示している。
【0020】
鎖状構造パターンは、第1層目の配線M1、ビアプラグP2および第2層目の配線M2からなる鎖状構造配線と、例えばp型のシリコン単結晶からなる半導体基板(円形の薄い板状に加工した半導体ウェーハ)1および鎖状構造配線の端部の一方に位置する第1層目の配線M1に接続するコンタクトプラグP1とから構成される。本実施の形態では、第1層目の配線M1をシングルダマシン法により形成された銅配線、第2層目の配線M1をデュアルダマシン法により形成された銅配線を例示する。
【0021】
半導体基板1の表面側にp型の導電性を示す半導体領域2が形成されており、さらに半導体基板1の表面上に第1層間絶縁膜3が形成されている。この第1層間絶縁膜3には、半導体基板1(半導体領域2)に接する一つのコンタクト4が形成されており、コンタクト4の内壁に沿って第1バリア導体膜5が形成され、コンタクト4の内部にコンタクトプラグP1が埋め込まれている。第1層間絶縁膜3は、例えばアンドープケイ酸塩ガラス(Undoped Silicate Glass)膜、第1バリア導体膜5は、例えばチタン膜および窒化チタン膜を下層から順に堆積した積層膜、コンタクトプラグP1は、例えばタングステン膜からなる。
【0022】
第1層間絶縁膜3上には、例えば厚さ50nm程度の第1ライナー膜6が形成され、第1ライナー膜6上には第2層間絶縁膜7が形成されている。第1ライナー膜6および第2層間絶縁膜7には第1配線溝8が形成されており、この第1配線溝8の内壁に沿って第2バリア導体膜9が形成され、第1配線溝8の内部に第1層目の配線M1が埋め込まれている。第1ライナー膜6は、例えばSiCN膜、第2層間絶縁膜7は、例えばSiOC膜、第2バリア導体膜9は、例えば窒化タンタル膜、タンタル膜および銅膜を下層から順に堆積した積層膜、配線M1は、例えば銅膜からなる。コンタクトプラグP1は、鎖状構造配線の端部の一方に位置する第1層目の配線M1に接続されている。
【0023】
第1層目の配線M1および第2層間絶縁膜7上には、例えば厚さ60nm程度の第2ライナー膜10が形成され、第2ライナー膜10上には第3層間絶縁膜11が形成されている。第2ライナー膜10および第3層間絶縁膜11の下部にはビア12が形成され、さらに第3層間絶縁膜11の上部にはビア12に繋がる第2配線溝13が形成されており、これらビア12と第2配線溝13の内壁に沿って第3バリア導体膜14が形成され、ビア12と第2配線溝13の内部に第2層目の配線M2が埋め込まれている。すなわち、第1層目の配線M1と第2層目の配線M2とを接続するビアプラグP2は第2層目の配線M2と一体に形成される。第2ライナー膜10は、例えば厚さ30nm程度のSiCN膜および厚さ30nm程度のSiCO膜を下層から順に堆積した積層膜、第3層間絶縁膜11は、例えばSiOC膜、第3バリア導体膜14は、例えば窒化タンタル膜、タンタル膜および銅膜を下層から順に堆積した積層膜、配線M2は、例えば銅膜からなる。
【0024】
なお、本実施の形態では、第1層目の配線M1をシングルダマシン法により形成された銅配線、第2層目の配線M2をデュアルダマシン法により形成された銅配線を例示したが、これに限定されるものではない。例えば第2層目の配線M2をシングルダマシン法により形成してもよく、また、第1層目の配線M1および第2層目の配線M2をアルミニウム膜により構成することもできる。さらに、本実施の形態では、鎖状構造パターンを第1層目の配線M1および第2層目の配線M2により形成したが、使用する配線層はこれに限定されるものではなく、例えば第2層目の配線と第3層目の配線により鎖状構造パターンを形成してもよく、または3層目より上層の配線を使用することもできる。
【0025】
また、以下の図2〜図15を用いた説明においても、下位配線および下位基幹配線を第1層目の配線で構成し、上位配線および上位基幹配線を第2層目の配線で構成した鎖状構造パターンを例示するが、前述したように、第1層目の配線および第2層目の配線に限定されるものではない。
【0026】
図2は、本実施の形態による較正試料に搭載された欠陥のない正常鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は下位配線および上位配線の平面図、(b)はコンタクトプラグにより接地された接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(c)は接地されない非接地配線部のX方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)、(d)は接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のC−C′線における断面図)、(e)は非接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のD−D′線における断面図)である。図3は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた欠陥のない正常鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0027】
図2(a)、(b)および(c)に示すように、下位基幹配線20aおよび上位基幹配線21aはY方向に沿って形成されており、半導体基板1(半導体領域2)はコンタクトプラグP1を介して下位基幹配線20aに接続され、下位基幹配線20aは下位配線20、あるいはビアプラグP2を介して上位基幹配線21aまたは上位配線21に接続されている。
【0028】
図2(b)および(d)に示すように、接地配線部は、半導体基板1(半導体領域2)、コンタクトプラグP1、下位基幹配線20a、下位配線20、ビアプラグP2(第1プラグ)および上位配線21と接続され、その後、上位配線21、ビアプラグP2(第2プラグ)、下位配線20、ビアプラグP2(第2プラグ)および上位配線21の接続が繰り返される鎖状構造となっている。
【0029】
また、図2(c)および(e)に示すように、非接地配線部は、上位配線21、ビアプラグP2(第2プラグ)、下位配線20、ビアプラグP2(第1プラグ)および上位配線21の接続が繰り返される鎖状構造となっており、下位基幹配線20aおよび上位基幹配線21aには接続されていない。すなわち、非接地配線部は電気的に非接地の構造である。また、下位基幹配線20aおよび上位基幹配線21aとは反対側の端部には上部配線21と同層からなる配線端子21bが形成されている。
【0030】
このような正常鎖状構造パターンでは、図3に示すように、上位基幹配線21aおよび接地配線部が明るく、非接地配線部が暗い二次電子画像が得られる。接地配線部では、二次電子が放出されても、コンタクトプラグP1を経由して半導体基板1(半導体領域2)から電子が供給され続けるので、上位配線21が帯電せず、明るい二次電子画像が観察される。これに対して非接地配線部では、二次電子が放出されて、次第に上位配線21が正に帯電することにより、暗い二次電子画像が観察される。
【0031】
図4は、本実施の形態による較正試料に搭載された完全非導通鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(d)は非接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)である。図5は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた完全非導通鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0032】
図4に示すように、完全非導通鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、接地配線部の下位配線20の一箇所(A−A′線とB−B′線との接地配線部におけるXY交点)が削除されている。
【0033】
このような完全非導通鎖状構造パターンでは、図5に示すように、接地配線部の削除された下位配線20から、上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が暗い電位コントラストとなって二次電子画像に表れる。すなわち、接地配線部の下位配線20の一箇所を削除することにより、完全非導通の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、非接地配線部の二次電子画像は暗い電位コントラストで表れるため、非接地配線部の下位配線20を一箇所削除しても完全非導通の作り込み欠陥を電位コントラスト欠陥として顕在化することができないので、完全非導通の作り込み欠陥には接地配線部の下位配線20を用いる。
【0034】
図6は、本実施の形態による較正試料に搭載された完全短絡鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は非接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(d)は接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)、(e)は非接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のC−C′線における断面図)である。図7は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた完全短絡鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0035】
図6に示すように、完全短絡鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、非接地配線部の下位配線20の一箇所(A−A′線とB−B′線との非接地配線部におけるXY交点)が削除され、かつ削除された非接地配線部の下位配線20とY方向に隣接する一方の接地配線部の下位配線20が、削除された非接地配線部の下位配線20の領域にまで所定の長さで追加形成され、この非接地配線部に追加形成された接地配線部の下位配線20の部分がビアプラグP2(第1プラグ)を介して非接地配線部の上位配線21に接続されている。追加形成された接地配線部の下位配線20とビアプラグP2との間の電気抵抗値は約10〜10Ωである。
【0036】
このような完全短絡鎖状構造パターンでは、図7に示すように、削除された非接地配線部の下位配線20の領域に追加形成された接地配線部の下位配線20から、上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が明るい電位コントラストとなって二次電子画像に表れる。すなわち、削除された非接地配線部の下位配線20の領域に接地配線部の下位配線20を追加形成することにより、完全短絡の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、接地配線部の二次電子画像は明るい電位コントラストで表れるため、接地配線部の下位配線20を一箇所削除し、ここに非接地配線部の下位配線20を追加形成しても完全短絡の作り込み欠陥を電位コントラスト欠陥として顕在化することができないので、完全短絡の作り込み欠陥には非接地配線部の下位配線20を用いる。
【0037】
図8は、本実施の形態による較正試料に搭載された半非導通鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)である。図9は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた半非導通鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0038】
図8に示すように、半非導通鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、接地配線部の一箇所の下位配線20において、下位基幹配線20aと反対側の一部が削除されて、接地配線部の一箇所の下位配線20が接地配線部の他の箇所の下位配線20よりもX方向に短く(図8では、短くした距離をαで記載)形成されている。その結果、この短い下位配線20の端部とビアプラグP2(第1プラグ)とが微妙に接触する。ここで下位配線20とビアプラグP2とが“微妙”に接触するとは、完全非導通または完全導通以外の接続状態を言い、例えば下位配線20とビアプラグP2とが完全非導通の場合は、両者間の電気抵抗値は約1011〜1012Ω、下位配線20とビアプラグP2とが完全導通の場合は、両者間の電気抵抗値は約10〜10Ωであるが、下位配線20とビアプラグP2とが“微妙”に接触する場合は、両者間の電気抵抗値は約10〜10Ωの範囲の抵抗を有する。
【0039】
このような半非導通鎖状構造パターンでは、図9に示すように、接地配線部の短くした下位配線20から、上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が、薄暗い電位コントラストとなって二次電子画像に表れる。すなわち、ビアプラグP2と微妙に接続する短い下位配線20を接地配線部に形成することにより、半非導通の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、非接地配線部の二次電子画像は暗い電位コントラストで表れるため、非接地配線部の下位配線20の一箇所を短くしても半非導通欠陥の作り込み欠陥を電位コントラスト欠陥として明確に顕在化することができないので、半非導通の作り込み欠陥には接地配線部の下位配線20を用いる。
【0040】
図10は、本実施の形態による較正試料に搭載された半短絡鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は非接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(d)は非接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)である。図11は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた半短絡鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0041】
図10に示すように、半短絡鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、非接地配線部の下位配線20の一箇所(A−A′線とB−B′線との非接地配線部におけるXY交点)が削除され、かつ削除された非接地配線部の下位配線20とY方向に隣接する一方の接地配線部の下位配線20に、所定の長さで、かつ所定の幅で、削除された非接地配線部の下位配線20の方向へ伸びる部位(図10では、Y方向へ伸びる長さをβで記載)が追加形成されている。その結果、この追加形成された接地配線部の下位配線20と非接地配線部の削除された下位配線20上に位置するビアプラグP2(第1プラグ)とが微妙に接触する。追加形成された接地配線部の下位配線20とビアプラグP2との間の電気抵抗値は約10〜10Ωである。
【0042】
このような半短絡鎖状構造パターンでは、図11に示すように、接地配線部の下位配線20に追加形成された部分の端部と“微妙”に接触するビアプラグP2に接続される非接地配線部の上位配線21から、上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が、薄明るい電位コントラストとなって二次電子画像に表れる。すなわち、削除された非接地配線部の下位配線20の方向へ伸びて、非接地配線部のビアプラグP2と“微妙”に接触する下位配線20を接地配線部に追加形成することにより、半短絡の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、接地配線部の二次電子画像は明るい電位コントラストで表れるため、接地配線部の下位配線20を一箇所削除し、削除された接地配線部の下位配線20の方向へ伸びる下位配線20を非接地配線部に追加形成しても半短絡の作り込み欠陥を電位コントラスト欠陥として明確に顕在化することができないので、半短絡の作り込み欠陥には非接地配線部の下位配線20を用いる。
【0043】
図12は、本実施の形態による較正試料に搭載された細線状の半短絡鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は非接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(d)は接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)である。図13は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた細線状の半短絡鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0044】
図12に示すように、細線状の半短絡鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、非接地配線部の下位配線20の一箇所が削除され、かつ削除された非接地配線部の下位配線20に隣接する下位基幹配線20aと反対側の非接地配線部の下位配線20(A−A′線とB−B′線との非接地配線部におけるXY交点)と、この非接地配線部の下位配線20とY方向に隣接する一方の接地配線部の下位配線20とが幅γの追加された下位配線20により接続されている。
【0045】
このような細線状の半短絡鎖状構造パターンでは、図13に示すように、削除された非接地配線部の下位配線20から、上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が薄明るい電位コントラストとなる。すなわち、削除された非接地配線部の下位配線20に隣接する下位基幹配線20aと反対側の非接地配線部の下位配線20と、この非接地配線部の下位配線20とY方向に隣接する接地配線部の下位配線20とを接続することにより、細線状の半短絡の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、非接地配線部の下位配線20の一箇所を削除せずに、接地配線部の下位配線20の一箇所を削除すると、A−A′線とB−B′線とのXY交点で追加される下位配線20は、接地配線部から非接地配線部へ伸びるY方向に細線状の半短絡が発生するように追加されなければならない。しかし、この場合は、非接地配線部の1列全てが薄明るい電位コントラストとして二次電子画像に取得されるため、電位コントラストが変化する箇所が表れにくくなる。従って、非接地配線部の下位配線20の一箇所を削除する。
【0046】
図14は、本実施の形態による較正試料に搭載された先細りビアプラグによる半非導通鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線およびビアプラグの平面図、(c)は先細りビアプラグを含む接地配線部のX方向の断面図((a)のA−A′線における断面図)、(d)は先細りビアプラグを含む接地配線部の上位配線と下位配線とが接続された部分を示すY方向の断面図((a)のB−B′線における断面図)である。図15は、本実施の形態による電子線式検査装置を用いて得られた半非導通鎖状構造パターンの二次電子画像である。
【0047】
図14に示すように、半非導通鎖状構造パターンの基本的な構造は、前述した欠陥のない正常鎖状構造パターンと同じであるが、接地配線部の一箇所のビアプラグP2a(第1プラグ)を他のビアプラグP2よりも細く(図14では、細いビアプラグP2aの径をδで記載)形成して、細いビアプラグP2aと接地配線部の下位配線20とを“微妙”に接触させる。細いビアプラグP2aと下位配線20との間の電気抵抗値は約10〜10Ωである。なお、コンタクトまたはビアをドライエッチング法により形成すると、一般にはコンタクトまたはビアの径は徐々に細くなり先細り形状となる。図14で示した細いビアプラグP2aの径δは、最上部におけるサイズを示す。
【0048】
このような先細りビアプラグP2aによる半非導通鎖状構造パターンでは、図15に示すように、接地配線部の下位配線20と “微妙”に接触する先細りビアプラグP2aが接続する接地配線部の上位配線21から上位基幹配線21aと反対側の上位配線21が薄暗い電位コントラストとなって二次電子画像に表れる。すなわち、先細りビアプラグP2aを形成することにより、半非導通の作り込み欠陥を較正試料内に人工的に作り出すことができる。なお、非接地配線部の二次電子画像は、暗い電位コントラストで表れるため、非接地配線部の下位配線20に先細りビアプラグP2aを接触させても、先細りビアプラグP2aによる半非導通の作り込み欠陥を電位コントラスト欠陥として明確に顕在化することができないので、先細りビアプラグP2aによる半非導通の作り込み欠陥には接地配線部の下位配線20に接続するビアプラグP2aを用いる。
【0049】
このように、二次電子画像に電位コントラストで表すことのできる完全非導通、完全短絡、半非導通および半短絡の作り込み欠陥を容易に較正試料に形成することができる。
【0050】
なお、前述した作り込み欠陥は、第1層目の配線M1、ビアプラグP2および第2層目の配線M2から構成される鎖状構造パターンを例示し、ビアプラグP2の検査工程に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばコンタクトプラグP1の検査工程にも適用することができる。図16に、本実施の形態による半非導通構造パターンの作り込み欠陥の他の例を示す。ここでは、コンタクトプラグの検査工程に本願発明を適用した場合を説明しており、例えば半導体基板1(半導体領域2)、コンタクトプラグP1から構成されるコンタクトプラグ構造パターンを形成する。半導体基板1(半導体領域2)または素子分離領域22をシフトさせることにより、コンタクトプラグP1と半導体基板1(半導体領域2)とが“微妙”に接続する構造として、コンタクトプラグP1の“微妙”な電気的接続不良を人工的に作り出すことができる。
【0051】
さらに、コンタクトプラグの検査工程には、前記図16に示した半非導通構造パターンの作り込み欠陥のみではなく、完全非導通構造パターン、完全短絡構造パターンおよび半短絡構造パターンの作り込み欠陥を作り出すことができる。図17に、本実施の形態による完全非導通構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図((a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(c)は(a)のB−B′線における要部断面図)、図18に、本実施の形態による完全短絡構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図((a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(c)は(a)のB−B′線における要部断面図)、図19に、本実施の形態による半非導通構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図((a)および(c)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(d)は(c)のB−B′線における要部断面図)、図20に、本実施の形態による半短絡構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図((a)および(c)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(d)は(c)のB−B′線における要部断面図)を示す。
【0052】
完全非導通コンタクトプラグにおける作り込み欠陥は、図17に示すように、正常な構造であれば半導体基板1(半導体領域2)と接続するコンタクトプラグP1の下部の全部を素子分離上に形成することにより実現することができる。また、完全短絡コンタクトプラグにおける作り込み欠陥は、図18に示すように、正常な構造であれば素子分離上に形成されるコンタクトプラグP1の下部の全部を、素子分離を形成せずに、半導体基板1(半導体領域2)に接続することにより実現することができる。また、半非導通コンタクトプラグにおける作り込み欠陥は、図19に示すように、正常な構造であれば半導体基板1(半導体領域2)と接続するコンタクトプラグP1の下部の一部を素子分離上に形成することにより実現することができる(図19中のεは作り込み欠陥部分の素子分離の長さを示し、εは作り込み欠陥部分の半導体領域2の長さを示す。)。また、半短絡コンタクトプラグにおける作り込み欠陥は、図20に示すように、正常な構造であれば素子分離上に形成されるコンタクトプラグP1の下部の一部を半導体基板1(半導体領域2)に接続することにより実現することができる(図20中のζは作り込み欠陥部分の半導体領域2の長さを示し、ζは作り込み欠陥部分の素子分離の長さを示す。)。
【0053】
また、作り込み欠陥を形成する較正試料は、較正用半導体ウェーハに形成してもよく、あるいは製品用半導体ウェーハに形成してもよい。製品用半導体ウェーハに較正試料を形成する場合は、製品チップに隣接して配置されるTEGチップやスクライブ領域等に形成される。
【0054】
次に、図21〜図27を用いて、検査試料および前述した作り込み欠陥を搭載した較正試料における電気的接続不良を電子線式検査装置で感度よく検出する方法について説明する。図21は本実施の形態による電子線式検査装置の概略図、図22は本実施の形態による各種鎖状構造パターンの作り込み欠陥の各種データを取得する工程図、図23は本実施の形態による電子線式検査装置により得られた半非導通鎖状構造パターンの二次電子画像の一例、図24は本実施の形態による半非導通鎖状構造パターンの階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図、図25は本実施の形態による完全非導通構造パターンの作り込み欠陥の階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図、図26は本実施の形態による欠陥の種類、間隙寸法および電気抵抗値を推定する工程図、図27は本実施の形態による欠陥分類方法の説明に用いる電位コントラストおよび階調値の一例を示すグラフ図である。
【0055】
まず、本実施の形態による電子線式検査装置について図21を用いて説明する。図中、51は電子線式検査装置、52は電子銃、53は試料、54はリターディング電極、55は検出器、56は信号検出系制御部、57は電極、58はデータ管理部、59は画像処理部、60は測定値記憶部、61は階調値記憶部、62は電子光学系、63はアノード電極、64は引き出し電極、65はコンデンサレンズ、66は入射電子、67はブランキング偏向器、68は絞り、69はE×B偏向器、71は走査偏向器、72は対物レンズ、73は高さセンサ、74はXYステージ、75はウェーハホルダ、76はステージ、77は光源、78は光学レンズ、79はCCDカメラ、80はブランキング制御部、81はビーム偏向補正部、82は電子光学系制御部、83は高さ検出系、84はステージ制御部、85は制御系、86は演算部、87は欠陥判定部、88は画面表示、89は電気的特性測定装置、90は断面解析装置、91は真空排気系、92はウェーハカセット、93はウェーハローダ、94はウェーハ搬送系である。
【0056】
図21に示すように、電子線式検査装置51に備わる電子銃52からは10keVに加速された入射電子(1次電子)が直下に配置した試料53、例えば半導体ウェーハに向かって入射されるが、入射時の試料53の表面への電子線損傷を避けるため、試料53の表面にはリターディング電源54により負電圧(−9.7〜−7.0keV)が印加されている。そのため、入射電子は試料53の表面近傍で減速され、0.3〜3.0keVの照射エネルギーが試料53の表面に入射される構成となっている。試料53の表面の電子線電流値は30〜150nAの範囲で設定することができる。
【0057】
上記の照射エネルギーで入射電子が試料53の表面に照射されると試料53の表面からは二次電子が発生する。検出器55は二次電子を捕獲し、信号検出系制御部56で電気信号に変換された形で処理される。また、二次電子を捕獲しやすいように試料53の直上に設けた電極57に正電圧を印加することによって二次電子を検出器55側に引っ張り出したり、逆に電極57に負電圧を印加することによって二次電子を試料53の表面側に押し戻したりすることもできる。電極57には、−6.0〜+6.0keVの電圧を印加することができる構造とした。
【0058】
検出器55から伝送された信号検出系制御部56の信号は制御系を経由し、データ管理部58に伝送される。このデータ管理部58の画像処理部59において二次電子信号の画像処理が行われると同時に階調値が伝送され、記憶される。このとき、階調値は0(黒)から255(白)までの値が記憶される。
【0059】
一方、ブロック図に示すように、予め同じ試料53の欠陥箇所を電気的特性装置で測定した値が測定値記憶部60に伝送されている。また、予め同じ試料53の欠陥箇所を断面解析装置で測定した値も測定値記憶部60に伝送されている。これにより、欠陥箇所の階調値、電気的特性および寸法値等が一つの欠陥箇所に対するデータとして電子線式検査装置51の階調値記憶部61および測定値記憶部60に記憶される。
【0060】
次に、各種鎖状構造パターンの作り込み欠陥の各種データの取得手順について説明する。図22は、各種鎖状構造パターンの作り込み欠陥の二次電子画像を取得し(工程A1)、欠陥箇所の階調値を画像処理部を通して階調値記憶部に記憶する(工程A2)とともに、電気的特性装置で測定した欠陥箇所の電気的抵抗値と断面解析装置で測定した欠陥箇所の寸法値とを測定値記憶部に記憶する(工程A3〜A5)までの手順を示している。
【0061】
まず、工程A1では、電子線式検査装置を用いて較正試料の作り込み欠陥の二次電子画像を取得する。較正試料には、完全非導通構造パターン、完全短絡構造パターン、半非導通構造パターン、半短絡構造パターン、細線状の半短絡構造パターンおよび先細りビアプラグによる非導通構造パターンの作り込み欠陥が形成されており、さらに非導通構造パターンではα値が互いに異なる複数パターンの作り込み欠陥、非短絡構造パターンではβ値が互いに異なる複数パターンの作り込み欠陥、細線状の半短絡構造パターンではγ値が互いに異なる複数パターンの作り込み欠陥、先細りビアプラグによる非導通構造パターンではδ値が互いに異なる複数パターンの作り込み欠陥が形成されている。それぞれの作り込み欠陥箇所に電子線式検査装置のステージが移動してそれぞれの二次電子画像を取得することができる。または、作り込み欠陥の箇所を検査領域に設定してから電子線式検査装置で検査領域を検査し、作り込み欠陥を検出してから二次電子画像を取得することもできる。
【0062】
図23に、電子線式検査装置により得られた半非導通鎖状構造パターンの二次電子画像の一例を示す。正常な接地配線部では上位配線は明るい電位コントラストとなり、正常な非接地配線部では上位配線は暗い電位コントラストとなって表れるが、半非導通の作り込み欠陥を有する接地配線部では、半非導通の作り込み欠陥から上位基幹配線と反対側の上位配線が薄暗い電位コントラストとなる。
【0063】
次に、工程A2では、取得した各種作り込み欠陥の二次電子画像の階調値を電子線式検査装置の階調値記憶部に記憶する。二次電子画像の階調値の一例として、半非導通鎖状構造パターンの階調値を図24に示す。図24は、半非導通鎖状構造パターンの階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図であり、(a)は下位配線とビアプラグとの間隙α値がtnm、電気抵抗値がRΩである半非導通の作り込み欠陥の場合、(b)は下位配線とビアプラグとの間隙α値がt(t>t)nm、電気抵抗値がR(R>R)Ωである半非導通の作り込み欠陥の場合である。図24に示す階調値の信号波形(1)〜(13)の測定箇所は、図23に示す半非導通鎖状構造パターンの電位コントラストの(1)〜(13)のA−A′線で測定した信号に対応しており、図24の信号波形(7)が図23のA−A′線とB−B′線との交点に位置する作り込み欠陥の階調値に相当する。なお、比較のために、図25に完全非導通構造パターンの階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図を示す。完全非導通の作り込み欠陥における下位配線とビアプラグとの電気抵抗値はR(R>R)Ωである。
【0064】
図24(a)に示すように、半非導通の作り込み欠陥の下位配線とビアプラグとの間隙tnmが非常に近い場合は、階調値は例えば175となる。これに対して、図24(b)に示すように、半非導通の作り込み欠陥の下位配線とビアプラグとの間隙tnmが上記間隙tnmよりも大きい場合は、階調値は例えば130となる。さらに、図25に示すように、非導通の作り込み欠陥の場合は、階調値は例えば70となる。このように、電位コントラストの違いを階調値として表すことができる。
【0065】
次に、工程A3では、電気的特性測定装置を用いて較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する。電気的特性測定装置は、例えばそれぞれに電圧を印加することができる2本以上の探針を備えており、電圧−電流特性を測定することができる。例えば前述した図23に示す半非導通鎖状構造パターンの場合は、半非導通の作り込み欠陥を中心としてC点およびC′点に探針を当て、印加した電圧値を変動させながら、そのときのC点−C′点間を流れる電流値を測定することによって、C点−C′点間の鎖状構造の電気抵抗値、すなわち半非導通の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定することができる。ここで、可変電圧値として−20〜+20mVを、そのときの電流値から換算した鎖状構造のC点−C′点間の測定抵抗値として10Ω(正常箇所)〜1012Ω(完全非導通の欠陥箇所)を例示することができる。例えば前述した図24(a)に示す半非導通の作り込み欠陥における電気抵抗値は約10〜10Ω、図24(b)に示す半非導通の作り込み欠陥における電気抵抗値は約10〜10Ω、図25に示す完全非導通の作り込み欠陥における電気抵抗値は約1011〜1012Ωである。
【0066】
次に、工程A4では、透過型電子顕微鏡などの断面解析装置を用いて較正試料の作り込み欠陥の断面観察を行い、下位配線とビアプラグとの間隙寸法を測定する。例えば前述した図23の鎖状構造の半非導通欠陥箇所であるA−A′線とB−B′線との交点に存在する作り込み欠陥は、図24(a)および(b)に示す欠陥箇所の断面のように観察することができる。ここで、断面解析装置で測定した下位配線とビアプラグとの間隙寸法tnmおよびtnmを測定し、測定値記憶部に間隙寸法値を伝送する。
【0067】
工程A3で得られた電気抵抗値および工程A4で得られた間隙寸法のデータとは、工程A5において測定値記憶部に伝送され、記憶される。また、測定値記憶部に伝送された電気抵抗値と間隙寸法に対応して階調値記憶部に記憶されている階調値も作り込み欠陥毎に対応付けられて処理を終了する。
【0068】
以上の工程A1〜A5により、較正試料の作り込み欠陥の階調値、電気抵抗値および間隙寸法値が一つの作り込み欠陥に対するデータとして与えられる。これにより、例えば図24(a)に示す半非導通の作り込み欠陥では、電子線式検査装置の階調値記憶部に階調値175、測定値記憶部に間隙tnmおよび電気抵抗値RΩが記憶され、図24(b)に示す半非導通の作り込み欠陥では、電子線式検査装置の階調値記憶部に階調値130、測定値記憶部に間隙tnmおよび電気抵抗値RΩが記憶され、図25に示す完全非導通の作り込み欠陥では、電子線式検査装置の階調値記憶部に階調値70、測定記憶部に電気抵抗値RΩが記憶される。
【0069】
次に、検査試料を電子線式検査装置で検査し、前述した較正試料の作り込み欠陥の階調値を基に、検査試料の欠陥の種類、電気抵抗値および間隙寸法値を推定する手順について図26を用いて説明する。
【0070】
まず、工程B1では、電子線式検査装置で検査試料を検査し、検出した欠陥の二次電子画像を取得する。
【0071】
次に、工程B2では、工程B1において検出した欠陥の階調値を測定する。
【0072】
次に、工程B3では、測定した検査試料の欠陥の階調値に最も近い較正試料の作り込み欠陥の階調値を階調値記憶部から読み出し、同時にその読み出した階調値に対応付けられている電気抵抗値および間隙寸法の測定値を測定値記憶部より読み出す。
【0073】
次に、工程B4では、電子線式検査装置の演算部において、検査試料の欠陥の階調値と、階調値記憶部に格納されていた作り込み欠陥の階調値のうちで最も近い階調値と比較し、その格差を補間して測定値記憶部に格納されていた対応する電気抵抗値と間隙寸法とを演算部において補間計算を実施した後、検査試料の欠陥の階調値に対する電気抵抗値および間隙寸法の推定値を得る。
【0074】
次に、工程B5では、電子線式検査装置の画像処理部に伝送された二次電子画像データをもとに二次電子画像の階調値分布、特徴量から欠陥の種類を欠陥判定部にて判定する。以下に、同様の階調値が得られた場合の欠陥分類方法を説明する。図27(a)は半非導通欠陥の電位コントラストおよび階調値であり、図27(b)は半短絡欠陥の電位コントラストおよび階調値である。図27(a)に示す信号波形(7)が低くなる半非導通欠陥箇所の両隣に隣接する信号波形(6)と(8)は階調値70程度の最低階調値であるのに対して、図27(b)に示す信号波形(8)が低くなる半短絡欠陥箇所の両隣に隣接する信号波形(7)と(9)は階調値200程度の最高階調値である。従って、図27(a)に示す二次電子画像データは半非導通欠陥、図27(b)に示す二次電子画像データは半短絡欠陥を表していると欠陥を分類することができる。
【0075】
次に、工程B6では、電子線式検査装置の画面表示部において、欠陥判定部で判定された欠陥の種類、例えば完全非導通欠陥、完全短絡欠陥、半非導通欠陥、半短絡欠陥などの情報とともに、検出した検査試料の欠陥の二次電子画像、階調値、および推定された電気抵抗値および間隙寸法を画面上に表示して、処理を終了する。
【0076】
以上の工程B1〜B6により、予め較正試料に搭載された各種作り込み欠陥により得られた階調値を階調値記憶部から読み出し、電気抵抗値および間隙寸法のデータを測定値記憶部から読み出し、電子線式検査装置で検出した検査試料の欠陥の階調値をもとに、検査試料のデータと較正試料のデータとの格差を補間することによって、検出した検査試料の欠陥の種類に加えて、電気抵抗値および間隙寸法の推定値が得られ、さらに画面表示することができる。
【0077】
このように、本実施の形態によれば、較正試料に、微妙な電気的接続不良を人工的に再現することのできる種々の作り込み欠陥(例えば半非導通欠陥や半短絡欠陥等)が形成できるので、電子線式検査装置において種々の作り込み欠陥に対する二次電子の電位コントラストを取得し、較正試料のデータと検査試料のデータとの格差を補間することにより、検査試料において微妙な電気的接続不良を精度よく検出することができ、欠陥の種類の特定や、電気抵抗値および間隙寸法の推定を精度よく行うことができる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0079】
例えば、本実施の形態では、較正試料に形成した鎖状構造パターンに種々の構造の作り込み欠陥を搭載したが、これに限定されるものではなく、単一構造パターンに作り込み欠陥を搭載することもできる。例えば下位配線の位置をずらして、下位配線とビアプラグとの接触部の間隙寸法を調整することにより、半非導通欠陥の単一構造パターン作り込み欠陥を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、半導体装置の製造過程において行われるプラグとその下層との電気的接続状態を検査する工程に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施の形態による鎖状構造パターンの一例を示す要部断面図である。
【図2】本実施の形態による正常鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は(a)のA−A′線における接地配線部の要部断面図、(c)は(a)のB−B′線における非接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のC−C′線における要部断面図、(e)はD−D′線における要部断面図である。
【図3】本実施の形態による正常鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図4】本実施の形態による完全非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は(a)のA−A′線における接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図5】本実施の形態による完全非導通欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図6】本実施の形態による完全短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は(a)のA−A′線における非接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のB−B′線における要部断面図、(e)は(a)のC−C′線における要部断面図である。
【図7】本実施の形態による完全短絡欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図8】本実施の形態による半非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は(a)のA−A′線における接地配線部の要部断面図である。
【図9】本実施の形態による半非導通欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図10】本実施の形態による半短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は(a)のA−A′線における非接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図11】本実施の形態による半短絡欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図12】本実施の形態による細線状半短絡欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線の平面図、(c)は(a)のA−A′線における非接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図13】本実施の形態による細線状半短絡欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図14】本実施の形態による先細りビアプラグによる半非導通欠陥の鎖状構造パターンの概略構造図であり、(a)は上位配線および下位配線の平面図、(b)は下位配線およびビアプラグの平面図、(c)は(a)のA−A′線における接地配線部の要部断面図、(d)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図15】本実施の形態による先細りビアプラグによる半非導通欠陥の鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図16】本実施の形態による半非導通構造パターンの作り込み欠陥部の要部断面図の他の例である。
【図17】本実施の形態による完全非導通構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(c)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図18】本実施の形態による完全短絡構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(c)は(a)のB−B′線における要部断面図である。
【図19】本実施の形態による半非導通構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図であり、(a)および(c)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(d)は(c)のB−B′線における要部断面図である。
【図20】本実施の形態による半短絡構造パターンの作り込み欠陥の概略構造図であり、(a)および(c)は要部平面図、(b)は(a)のA−A′線における要部断面図、(d)は(c)のB−B′線における要部断面図である。
【図21】本実施の形態による電子線式検査装置の概略図である。
【図22】本実施の形態による各種鎖状構造パターンの作り込み欠陥の各種データを取得する手順を示す工程図である。
【図23】本実施の形態による電子線式検査装置により得られた半非導通鎖状構造パターンの二次電子画像の一例である。
【図24】本実施の形態による半非導通鎖状構造パターンの作り込み欠陥の階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図であり、(a)は下位配線とビアプラグとの間隙α値がtnm、電気抵抗値がRΩである半非導通の作り込み欠陥の場合、(b)は下位配線とビアプラグとの間隙α値がt(t>t)nm、電気抵抗値がR(R>R)Ωである半非導通の作り込み欠陥の場合である。
【図25】本実施の形態による完全非導通構造パターンの階調値の一例を示すグラフ図および作り込み欠陥の断面図である。
【図26】本実施の形態による欠陥の種類、電気抵抗値および間隙寸法を推定する手順を示す工程図である。
【図27】本実施の形態による欠陥分類方法の説明に用いる電位コントラストおよび階調値の一例を示すグラフ図である。
【図28】本発明者が検討したビアプラグの要部断面図である。
【図29】本発明者が検討した擬似残膜を含むビアプラグの要部断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 半導体基板
2 半導体領域
3 第1層間絶縁膜
4 コンタクト
5 第1バリア導体膜
6 第1ライナー膜
7 第2層間絶縁膜
8 第1配線溝
9 第2バリア導体膜
10 第2ライナー膜
11 第3層間絶縁膜
12 ビア
13 第2配線溝
14 第3バリア導体膜
20 下位配線
20a 下位基幹配線
21 上位配線
21a 上位基幹配線
21b 配線端子
22 素子分離領域
23 擬似残膜
51 電子線式検査装置
52 電子銃
53 試料
54 リターディング電極
55 検出器
56 信号検出系制御部
57 電極
58 データ管理部
59 画像処理部
60 測定値記憶部
61 階調値記憶部
62 電子光学系
63 アノード電極
64 引き出し電極
65 コンデンサレンズ
66 入射電子
67 ブランキング偏向器
68 絞り
69 E×B偏向器
71 走査偏向器
72 対物レンズ
73 高さセンサ
74 XYステージ
75 ウェーハホルダ
76 ステージ
77 光源
78 光学レンズ
79 CCDカメラ
80 ブランキング制御部
81 ビーム偏向補正部
82 電子光学系制御部
83 高さ検出系
84 ステージ制御部
85 制御系
86 演算部
87 欠陥判定部
88 画面表示
89 電気的特性測定装置
90 断面解析装置
91 真空排気系
92 ウェーハカセット
93 ウェーハローダ
94 ウェーハ搬送系
M1,M2 配線
P1 コンタクトプラグ
P2,P2a,P3 ビアプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記非接続配線部の下位配線の一つが削除されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記非接続配線部の下位配線の一つが削除され、前記削除された下位配線の前記Y方向の一方に隣接する前記接続配線部の下位配線の一つに、前記削除された下位配線の方向へ伸びる追加下位配線が形成されており、前記追加下位配線は、前記削除された下位配線に代わり前記第1プラグと接続し、前記追加下位配線と前記第1プラグとの間の電気抵抗値が10〜10Ωであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記接続配線部の下位配線の一つが他の下位配線よりも短く形成されており、前記短く形成された下位配線と前記第2プラグとの間の電気抵抗値は10〜10Ω、前記短く形成された下位配線と前記第1プラグとの間の電気抵抗値は10〜10Ωであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記非接続配線部の下位配線の一つが削除され、前記削除された下位配線の前記Y方向の一方に隣接する前記接続配線部の下位配線の一つに、前記削除された下位配線の方向へ伸びる追加下位配線が形成されており、前記追加下位配線と、前記削除された下位配線上に位置する前記第1プラグとの間の電気抵抗値が10〜10Ωであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記非接続配線部の下位配線の一つが削除され、前記削除された下位配線の前記X方向であって、前記下位基幹配線と反対側に隣接する前記非接続配線部の下位配線の一つと前記接続配線部の下位配線の一つとが接続していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
(a)Y方向に沿って形成された下位基幹配線と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記Y方向と直交するX方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位基幹配線から前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給される接続配線部と、
前記下位基幹配線を端部とし、前記X方向に沿って、下位配線と、前記下位配線に接続する第1プラグと、前記第1プラグに接続する上位配線と、前記上位配線に接続する第2プラグと、前記第2プラグに接続する下位配線とが繰り返される鎖状構造パターンであって、前記下位配線および前記上位配線へ電子が供給されない非接続配線部とを有し、前記接続配線部と前記非接続配線部とが前記Y方向に繰り返し配置された較正試料を準備する工程と、
(b)前記較正試料に二次電子を照射して、前記較正試料に形成された作り込み欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(c)前記較正試料の作り込み欠陥の電気抵抗値を測定する工程と、
(d)前記較正試料の作り込み欠陥の下位配線とプラグとの間隙寸法を測定する工程と、
(e)前記較正試料の作り込み欠陥の前記階調値、前記電気抵抗値および前記間隙寸法を記憶する工程と、
(f)検査試料に二次電子を照射して、前記検査試料の欠陥の電位コントラストの階調値を取得する工程と、
(g)前記検査試料の欠陥の階調値に最も近い前記較正試料の作り込み欠陥の階調値を読み出し、同時にその階調値が取得された作り込み欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を読み出す工程と、
(h)前記検査試料の欠陥の階調値と前記(g)工程で読み出された前記較正試料の作り込み欠陥の階調値との格差を補間し、前記検査試料の欠陥の電気抵抗値および間隙寸法を算出する工程とを含む検査工程を有し、
前記較正試料の作り込み欠陥は、前記接続配線部の一つの第1プラグの径が、他の第1プラグの径よりも小さく形成されており、前記接続配線部の下位配線と前記径が小さい第1プラグとの間の電気抵抗値は10〜10Ωであることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−159887(P2008−159887A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347604(P2006−347604)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】