説明

半導体装置の製造方法

【課題】低電圧動作CMOS半導体装置の製造におけるイオン注入およびそれに伴うレジストのパターニング工程数を削減する。
【解決手段】第1導電型半導体基板上に第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタを有する半導体装置の製造方法において、第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域の表面に、前記第2導電型ウェル拡散層よりも低濃度の第2導電型低濃度拡散層を備えることで、第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタは共通の第2導電型ゲート電極であっても、第1導電型半導体装置は表面チャネル形での動作を実現する。これにより、製造工程数が削減可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。特に低電圧動作CMOS半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS半導体装置では低電圧動作、低消費電力および高駆動能力が要求される。低電圧動作を考える際に、既存の構造としては、特にPチャネル型MOSトランジスタ(以下PMOS)を表面チャネル形にすることでリーク電流の低減を図る両極ゲート構造が存在している。これは、同一導電型のゲート電極を備えた半導体装置では、特にPMOSにおいて、低電圧動作するようにしきい値を設定すると、埋め込みチャネル形になることから、サブスレッショルド領域が劣化してリーク電流が増えることがあるからである。
【0003】
しかしながら、上記の両極ゲート構造を実現するための既存の製造方法では、多結晶シリコン膜を積層後に極性の異なる不純物添加をおこなうためのレジストによるパターニングおよびイオン注入など製造工程数が増えてしまうことが問題としてあった。両極ゲート電極を備えるCMOSの従来の製造方法について、図3を用いて説明する。
【0004】
図3は、両極ゲート構造を有する半導体装置の製造方法を示す工程順模式的断面図フローである。
【0005】
図3(A)において、第1導電型半導体基板25、例えばP型半導体基板を第2導電型MOSトランジスタここでは例えばNチャネル型MOSトランジスタ(以下NMOS)が形成できる基板とし、第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層26、例えばN型ウェル拡散層は、砒素、燐などの不純物をイオン注入させた後に拡散層を形成させたものを第1導電型MOSトランジスタここでは例えばPMOSの基板として用いることでCMOS半導体装置を製造するための基板とする。そこに例えば、素子分離のために厚膜の酸化膜、例えばLOCOS酸化膜とチャネルカットの拡散層を備えた半導体素子で説明する。そのため、酸化膜27を例えば膜厚は数十nmの熱酸化膜で形成し、その上に窒化膜28を例えば、膜厚は数百nmに堆積させる。これはその後のLOCOS法によるLOCOS酸化膜を形成するためのものである。引き続き、レジスト膜29を用いてLOCOS酸化膜を形成するための窒化膜28の除去をおこなう。続いて、そのレジスト膜29のパターンを保持したままLOCOS直下のチャネルカットのためのフィールド拡散層を形成するための不純物添加をおこなう。ここで、例えば、第2導電型不純物の燐あるいは砒素などをイオン注入する。
【0006】
その後、図3(B)のように、第1導電型不純物を添加しない場所をレジスト膜30で覆う。続いて、第1導電型不純物の例えばホウ素などを図3(A)で先にイオン注入した不純物を反転させる程度かそれ以上のドーズ量でイオン注入する。その後、図3(C)のようにLOCOS酸化膜35を形成するための熱処理をおこなう。ここでは、同時にチャネルカット領域の低濃度の第2導電型フィールド拡散層31、32および第1導電型フィールド拡散層33、34を形成する。引き続き、ゲート絶縁膜36を例えば膜厚は数十nmに熱酸化させ、その上に多結晶シリコン膜37を堆積する。
【0007】
その後、図3(D)のように、多結晶シリコン膜を第1導電型MOSトランジスタここでは例えばPMOSのゲート電極となる第1導電型ゲート電極39と第2導電型MOSトランジスタここでは例えばNMOSのゲート電極となる第2導電型ゲート電極38になるようにパターニングをおこなって形成する。ゲート電極は第1導電型多結晶シリコンや第2導電型多結晶シリコンの単層構造であってもポリサイド構造であっても良く、第1導電型ゲート電極39がポリサイド構造の場合は、第1導電型多結晶シリコンとタングステンシリサイドやチタンシリサイドなどの金属シリサイドとの積層構造である。また、第2導電型ゲート電極38も第2導電型多結晶シリコンとタングステンシリサイドやチタンシリサイドなどの金属シリサイドとの積層構造になる。
【0008】
次に図3(E)のように、レジスト膜40を第2導電型MOSトランジスタに不純物添加できるようにパターニングして、第2導電型MOSトランジスタを形成するための不純物添加をおこなう。不純物添加は例えば、砒素あるいは燐をイオン注入する。これにより、多結晶シリコン膜を第2導電型ゲート電極38にするとともに、セルフアライン法により第2導電型ソース、ドレインの拡散層を形成する。
【0009】
引き続き、図3(F)のように、再度レジスト膜41で新たに第1導電型MOSトランジスタに不純物添加できるようにパターニングして、第1導電型MOSトランジスタを形成するための不純物添加をおこなう。不純物添加は例えば、ホウ素をイオン注入する。これにより、多結晶シリコン膜を第1導電型ゲート電極39にし、セルフアライン法により第1導電型ソース、ドレインの拡散層を形成する。
【0010】
その後、熱処理を経て図3(G)のように第1導電型MOSトランジスタの第1導電型ソース拡散層44、第1導電型ドレイン拡散層45および第2導電型MOSトランジスタの第2導電型ソース拡散層41、第2導電型ドレイン拡散層42をそれぞれ備えることで、極性の異なるゲート電極を備えたCMOS半導体装置が出来上がる(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】谷口研二 CMOSアナログ回路入門 CQ出版社P.23−27(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の製造方法によるCMOS半導体装置においては、第1導電型MOSトランジスタ、例えばPMOSではしきい値電圧を低電圧動作にするためには、第1導電型ゲート電極例えばP型ゲート電極を用いる必要があった。これは、PMOSのリーク電流を低減させるために表面チャネル型で動作させる必要があるからである。しかしながら、この方法では、多結晶シリコン膜を積層後に極性の異なる不純物添加をおこなうためのレジストによるパターニングおよびイオン注入など製造工程数が増えてしまうという問題があった。
【0013】
本発明は以上のような点に着目してなされたもので、本発明は従来のCMOS半導体装置の製造方法で、単一導電型のゲート電極を備え、かつ、フィールド拡散層形成時のイオン注入と同時に第1導電型MOSトランジスタ、例えばPMOSのチャネル領域に不純物添加することで、第2導電型ウェル拡散層の濃度を真性濃度にまで低下させた第2導電型低濃度拡散層を備えることで、リーク電流を低減する表面チャネルとして動作するPMOSを実現し、ゲート電極を第1導電型MOSトランジスタ、例えばPMOSと第2導電型MOSトランジスタ、例えばNMOSを共通の単一第2導電型例えばN型のみを備えることを可能とするものであり、製造工程数の削減を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明では次の手段を用いた。
【0015】
第1導電型半導体基板上に第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタを有する半導体装置の製造方法において、前記第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層を形成する工程と、前記第1導電型基板および前記第2導電型ウェル拡散層の表面に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜の上に窒化膜を堆積させる工程と、第1レジスト膜を前記第1導電型MOSトランジスタおよび前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を開口するようにパターニングした後、前記窒化膜を選択的にエッチング除去し、次いで前記エッチング除去した領域の直下の前記第1導電型半導体基板表面に第2導電型不純物を導入する工程と、前記第1レジスト膜を残し、前記第1レジスト膜より厚膜の第2レジスト膜を用いて、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域以外の領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域以外の領域を第2レジスト膜で覆うようにパターニングする工程と、前記第1レジストおよび前記第2レジストをマスクとして、前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を低エネルギーイオン注入する工程と、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を高エネルギーイオン注入する工程と、前記低エネルギーイオン注入工程および前記高エネルギーイオン注入工程を経た前記半導体基板を熱酸化処理して、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域の表面に、前記第2導電型ウェル拡散層よりも低濃度の第2導電型低濃度拡散層とLOCOS酸化膜とLOCOS酸化膜下のフィールド拡散層を形成する工程と、前記半導体基板表面の前記窒化膜および前記酸化膜を除去する工程と、前記半導体基板表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜表面に第2導電型多結晶シリコンを堆積後、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして、高濃度ソース領域および高濃度ドレイン領域を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【0016】
また、第1導電型半導体基板上に第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタを有する半導体装置の製造方法において、前記第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層を形成する工程と、前記第1導電型基板および前記第2導電型ウェル拡散層の表面に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜の上に窒化膜を堆積させる工程と、第1レジスト膜を前記第1導電型MOSトランジスタおよび前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を開口するようにパターニングした後、前記窒化膜を選択的にエッチング除去し、次いで前記エッチング除去した領域の直下の前記第1導電型半導体基板表面に第2導電型不純物を導入する工程と、前記第1レジスト膜を残し、前記第1レジスト膜より厚膜の第2レジスト膜を用いて、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域以外の領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域以外の領域を第2レジスト膜で覆うようにパターニングする工程と、前記第1レジストおよび前記第2レジストをマスクとして、前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を低エネルギーイオン注入する工程と、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を高エネルギーイオン注入する工程と、前記低エネルギーイオン注入工程および前記高エネルギーイオン注入工程を経た前記半導体基板を熱酸化処理して、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域の表面に、前記第2導電型ウェル拡散層よりも低濃度の第2導電型低濃度拡散層とLOCOS酸化膜とLOCOS酸化膜下のフィールド拡散層を形成する工程と、前記半導体基板表面の前記窒化膜および前記酸化膜を除去する工程と、
前記半導体基板表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜表面に多結晶シリコンを堆積後、前記多結晶シリコンに第2導電型不純物をイオン注入にて導入後、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして、高濃度ソース領域および高濃度ドレイン領域を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【0017】
また、前記低エネルギーイオン注入のエネルギーは25keV〜35keVであって、前記高エネルギーイオン注入のエネルギーは200〜250keVであることを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【0018】
さらに、前記ゲート電極はポリサイド構造であることを特徴とする半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明は低電圧動作CMOSにおける従来の両極ゲート電極を備えた半導体装置の製造方法と比較して、本発明の特徴である、第1導電型のチャネル領域に第2導電型低濃度拡散層を備えることで、ゲート電極を第1導電型MOSトランジスタ、例えばPMOSと第2導電型MOSトランジスタ、例えばNMOSとを共通の単一第2導電型ゲート電極、例えばN型のみを備えても第1導電型MOSトランジスタ、例えばPMOSが表面チャネル形として動作可能であることから、製造工程数の削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の特徴を示す半導体装置の製造方法の模式的断面図フローである。
【図2】本発明の第2の実施例の半導体装置の模式的断面図である。
【図3】従来の技術による半導体装置の製造方法の模式的断面図フローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の半導体装置の製造方法の第1の実施例を示す模式的断面図フローである。
【0023】
図1(A)において、第1導電型半導体基板1、例えばP型半導体基板は、ホウ素添加した抵抗率20Ωcmから30Ωcmの不純物濃度の半導体基板であり、第2導電型MOSトランジスタここでは例えばNMOSを配置するための基板とする。この第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層2、例えばN型ウェル拡散層として、砒素、燐などの不純物を好ましくは1×1012atom/cm2から1×1013atom/cm2のドーズ量でイオン注入させた後に拡散層を形成させたものを第1導電型MOSトランジスタここでは例えばPMOSを配置するための領域として用いることでCMOS半導体装置を製造するための基板とする。そこに酸化膜3を例えば膜厚は数十nmの熱酸化膜で形成し、その上に窒化膜4を例えば、膜厚は百数十nmに堆積させる。これはその後の素子分離領域となるLOCOS酸化膜を形成するためのものである。
【0024】
次に図1(B)のように、レジスト膜5を用いて第1導電型MOSトランジスタおよび第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を開口するようにパターニングした後、LOCOS酸化膜を形成するための窒化膜4の除去をおこなう。ここで、例えばレジスト膜厚は好ましくは、400nm以下にして、窒化膜除去可能なエッチング条件にておこなう。続いて、そのレジスト膜5のパターンを保持したままLOCOS直下のチャネルカットのためのフィールド拡散層を形成するための不純物添加をおこなう。ここで、例えば、第2導電型不純物の燐あるいは砒素などを好ましくは1×1012atom/cm2から1×1013atom/cm2程度のドーズ量でイオン注入する。
【0025】
その後、図1(C)のように、レジスト膜5よりも厚膜のレジスト膜6で第1導電型MOSトランジスタ例えばPMOSのチャネルが形成される領域を除く領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を除く領域を覆う。このときのレジスト被覆は次のようになっている。すなわち、第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域上は薄いレジスト5のみで覆われ、前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域は開口して酸化膜3が露出し、それ以外の領域は厚いレジスト6のみや薄いレジスト5と厚いレジスト6が重なったダブルレジストによって表面を覆われている。
【0026】
次いで、図1(C)のパターニングのまま、第1導電型不純物の例えばホウ素などをイオン注入する。ここでのイオン注入は2回に分けておこなう。まず1回目のイオン注入は、フィールド拡散層を形成するための酸化膜3の直下に注入するエネルギーが例えば25keV〜35keV程度で、かつ、図1(B)で先にイオン注入した不純物を反転させる程度のドーズ量でイオン注入する。続いて2回目のイオン注入は、本発明の特徴である、第1導電型MOSトランジスタ例えばPMOSのチャネルが形成される領域にイオンを配置するためのイオン注入で、酸化膜3、窒化膜4およびレジスト膜5を貫通させるために注入エネルギーは例えば200〜250keV程度で、かつ、第1導電型MOSトランジスタ例えばPMOSのチャネル領域の第2導電型ウェル拡散層の濃度を真性濃度になる程度のドーズ量でイオン注入する。
【0027】
その後図1(D)のようにLOCOS酸化膜12を形成するための熱処理をおこなう。ここでは、1000〜1200℃で数時間熱酸化することにより、例えば膜厚は500nm〜1μmに熱酸化成長させ、同時にチャネルカット領域の低濃度の第2導電型フィールド拡散層7、8および第1導電型フィールド拡散層9、10を形成する。このときにあわせて、本発明の特長である、第1導電型半導体素子例えばPMOSのチャネルに第2導電型ウェル拡散層2を真性濃度になる程度の第2導電型低濃度拡散層11を形成する。これにより、最終的に、CMOSのゲート電極を第2導電型ゲート電極ここでの例えばN型の単一導電型で形成しても第1導電型MOSトランジスタここでは例えばPMOSにおいて、表面チャネル形として動作できるため、リーク電流の低減が可能になり、従来のようにNMOSにはN型ゲート電極でPMOSにはP型ゲート電極を備えるためのマスク追加およびイオン注入なる工程数の削減が可能である。
【0028】
その後、図1(E)のように、ゲート絶縁膜13を例えば熱酸化により膜厚は数十nmとなるよう形成し、その上に多結晶シリコン膜14を例えば膜厚を100nm〜500nmで堆積し、プリデポあるいはイオン注入法により不純物を導入して第2導電型ここでは例えばN型にする。
【0029】
引き続き、図1(F)のように、第1導電型MOSトランジスタここでは例えばPMOSの第2導電型ゲート電極16と第2導電型MOSトランジスタここでは例えばNMOSの第2導電型ゲート電極15を形成する。ここで、第2導電型ゲート電極15,16は第2導電型多結晶シリコン単層であってもポリサイド構造であっても構わない。ポリサイド構造の場合は第2導電型多結晶シリコンとタングステンシリサイドやチタンシリサイドなどの金属シリサイドとの積層構造になる。ゲート電極形成後にレジスト膜17で第2導電型MOSトランジスタのソース、ドレインと第1導電型MOSトランジスタの基板電位領域の拡散層をセルフアライン法により形成するためパターニングをおこなう。なお、セルフアライン法は本発明の本質とは関係ない。その後、例えば砒素あるいは燐を好ましくは1×1015atom/cm2から1×1016atom/cm2のドーズ量でイオン注入する。
【0030】
引き続き、800℃〜1000℃で数時間熱処理することで、図1(G)のように、第2導電型ソース拡散層18、第2導電型ドレイン拡散層19および第1導電型MOSトランジスタの第2導電型基板電位拡散層20をそれぞれ備える。その後、レジスト膜21で第1導電型MOSトランジスタのソース、ドレインと、第2導電型MOSトランジスタの基板電位領域の拡散層をセルフアライン法により形成するためパターニングをおこなって、不純物は例えば、ホウ素あるいはニフッ化ホウ素を好ましくは1×1015atom/cm2から1×1016atom/cm2のドーズ量でイオン注入する。
【0031】
その後、熱処理を経て図1(H)のように第1導電型MOSトランジスタここでの例えばPMOSに第1導電型ソース拡散層22、第1導電型ドレイン拡散層23および第2導電型基板電位拡散層20を備え、あわせて、第2導電型MOSトランジスタここでの例えばNMOSに第2導電型ソース拡散層18、第2導電型ドレイン拡散層19および第1導電型基板電位拡散層24をそれぞれ備えることで、最終的に本発明の特徴である第1導電型MOSトランジスタ例えばPMOSに第2導電型低濃度拡散層11を備えたCMOS半導体装置が出来上がる。
【0032】
第2の実施例として、図2にあるように、第1導電型ウェル拡散層52を備えた場合でも本発明の効果は第1の実施例と同じく可能である。この第3の実施例の半導体装置の製造方法は第1の実施例に第1導電型ウェル拡散層52を備えたものと同じである。
【0033】
上述した半導体装置の製造方法を用いれば、多結晶シリコン膜を積層後に極性の異なる不純物添加をおこなうためのレジストによるパターニングおよびイオン注入など製造工程数が増えてしまうという問題が解消され、工程数が軽減される。
【符号の説明】
【0034】
1、25、46 第1導電型半導体基板
48 第1導電型ウェル拡散層
2、26、47 第2導電型ウェル拡散層
3、27 酸化膜
4、28 窒化膜
5、6、17、21、29 レジスト膜
30、40、43 レジスト膜
7、8、31、32、49、50 第2導電型フィールド拡散層
9、10、33、34、51、52 第1導電型フィールド拡散層
11、53 第2導電型低濃度拡散層
12、35、54 LOCOS酸化膜
13、36、55 ゲート絶縁膜
14、37 多結晶シリコン膜
15、16、38、56、57 第2導電型ゲート電極
39 第1導電型ゲート電極
18、41、58 第2導電型ソース拡散層
19、42、59 第2導電型ドレイン拡散層
20、60 第2導電型基板電位拡散層
22、44、61 第1導電型ソース拡散層
23、45、62 第1導電型ドレイン拡散層
24、63 第1導電型基板電位拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体基板上に第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタを有する半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層を形成する工程と、
前記第1導電型半導体基板および前記第2導電型ウェル拡散層の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜の上に窒化膜を堆積させる工程と、
第1レジスト膜を前記第1導電型MOSトランジスタおよび前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を開口するようにパターニングした後、前記窒化膜を選択的にエッチング除去し、次いで前記エッチング除去した領域の直下の前記第1導電型半導体基板表面に第2導電型不純物を導入する工程と、
前記第1レジスト膜を残し、前記第1レジスト膜より厚膜の第2レジスト膜を用いて、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域以外の領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域以外の領域を第2レジスト膜で覆うようにパターニングする工程と、
前記第1レジストおよび前記第2レジストをマスクとして、前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を低エネルギーイオン注入する工程と、
前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を高エネルギーイオン注入する工程と、
前記低エネルギーイオン注入工程および前記高エネルギーイオン注入工程を経た前記半導体基板を熱酸化処理して、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域の表面に、前記第2導電型ウェル拡散層よりも低濃度の第2導電型低濃度拡散層とLOCOS酸化膜とLOCOS酸化膜下のフィールド拡散層を形成する工程と、
前記半導体基板表面の前記窒化膜および前記酸化膜を除去する工程と、
前記半導体基板表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜表面に第2導電型多結晶シリコンを堆積後、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、高濃度ソース領域および高濃度ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1導電型半導体基板上に第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタを有する半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型半導体基板に第2導電型ウェル拡散層を形成する工程と、
前記第1導電型半導体基板および前記第2導電型ウェル拡散層の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜の上に窒化膜を堆積させる工程と、
第1レジスト膜を前記第1導電型MOSトランジスタおよび前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域を開口するようにパターニングした後、前記窒化膜を選択的にエッチング除去し、次いで前記エッチング除去した領域の直下の前記第1導電型半導体基板表面に第2導電型不純物を導入する工程と、
前記第1レジスト膜を残し、前記第1レジスト膜より厚膜の第2レジスト膜を用いて、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域以外の領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域以外の領域を第2レジスト膜で覆うようにパターニングする工程と、
前記第1レジストおよび前記第2レジストをマスクとして、前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を低エネルギーイオン注入する工程と、
前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域および前記第2導電型MOSトランジスタの素子分離領域に第1導電型不純物を高エネルギーイオン注入する工程と、
前記低エネルギーイオン注入工程および前記高エネルギーイオン注入工程を経た前記半導体基板を熱酸化処理して、前記第1導電型MOSトランジスタのチャネルが形成される領域の表面に、前記第2導電型ウェル拡散層よりも低濃度の第2導電型低濃度拡散層とLOCOS酸化膜とLOCOS酸化膜下のフィールド拡散層を形成する工程と、
前記半導体基板表面の前記窒化膜および前記酸化膜を除去する工程と、
前記半導体基板表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜表面に多結晶シリコンを堆積後、前記多結晶シリコンに第2導電型不純物をイオン注入にて導入後、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして、高濃度ソース領域および高濃度ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記低エネルギーイオン注入のエネルギーは25keV〜35keVであって、前記高エネルギーイオン注入のエネルギーは200〜250keVであることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート電極はポリサイド構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−71244(P2011−71244A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219782(P2009−219782)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】