説明

半導体装置の製造方法

【課題】
本発明は、簡便に形成できて、チャージアップしにくいハードマスクを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
半導体装置の製造方法であって、半導体基板上に形成された被加工膜上に、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を含有するアルミニウム膜形成用材料を塗布して、塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に対して、加熱処理および光照射処理から選ばれる少なくとも一種の処理を行いアルミニウム膜を形成する工程と、 該アルミニウム膜をエッチングしてハードマスクを形成する工程と、前記ハードマスクをマスクにして被加工膜をエッチングする工程を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高アスペクト比のコンタクトホール等を形成するに際して、アッシングによって容易に除去が可能なハードマスク(アッシャブルハードマスク)が使用されるようになってきた。このようなアッシャブルハードマスクは、プラズマ励起CVD法(以下、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)という)で形成したカーボン膜が用いられている。
【0003】
従来の半導体装置の製造方法を説明する。従来は、先ず、トランジスタ等が形成された半導体基板(ウェハ)上に、加工対象となる膜(例えばシリコン酸化膜)を形成し、さらにシリコン酸化膜上に、アッシャブルハードマスクとなるカーボン膜を成膜する。
次いで、カーボン膜上に、中間層として、珪素と酸素とを含む酸化膜等の無機系の膜をPE−CVD法を用いて形成する。ここで、中間層に、リソグラフィー工程での反射防止を目的として光学的な吸収を持たせたい場合には、カーボンまたは窒素を導入して、SiOC膜またはSiON膜を形成したり、これらの膜と酸化膜との積層膜などを形成する。また、化学増感レジストの酸の失活が問題になる場合には、中間層としてSiOC膜などを用いる。このように、光学的な特性は中間層の組成比を調節することで、ある程度の対応が可能になっている。
【0004】
次に、中間層の上にレジスト層を形成し、露光、現像工程を経て、レジスト層に開口部を設けることでレジスト層をパターニングする。
次に、図9に示すように、パターニング後のレジスト層をマスクとして、既知のドライエッチング法によって、中間層をパターニングする。
次に、パターニング後の中間層をマスクとして、カーボン膜をエッチングする。この際、レジスト層はカーボン膜よりもエッチングされやすいので、カーボン膜のエッチングと同時にエッチング除去される。
【0005】
次に、エッチングによりパターニングされたカーボン膜をマスクとして、加工対象のシリコン酸化膜をエッチングする。
この際、カーボン膜のマスクとして用いられた中間層は、シリコン酸化膜を加工している間に、同時にエッチング除去されるので、中間層の除去工程を別に設ける必要はない。
最後に、シリコン酸化膜のエッチングが完了したら、アッシング処理を行って、カーボン膜を除去することで、シリコン酸化膜の加工を完了する。
【0006】
ところで、上記従来の半導体装置の製造方法において、露光装置を用いてレジスト層のパターニングを行う際に、下地として既に形成されているパターン(配線層等)とのアライメント(位置合わせ)が必要になる場合がある。ここで、アライメントは、半導体基板上の所定の場所に、下地のパターンを用いて形成されているアライメントマークの位置を、可視光を用いて検出することによって行うのが一般的である。したがってカーボン膜をマスクとして使用する場合には、下地アライメントマークの信号強度を充分に得る為に、従来は可視光領域で透明なカーボン膜が用いられていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−505498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、透明なカーボン膜は、比較的絶縁性が高いので、チャージアップしやすい性質がある。チャージアップは、ウェハの面内において不均一に発生する場合があり、このような不均一なチャージアップが発生すると、ウェハ面内で電位差が生じ、これがウェハ面内でのトランジスタのゲート電極の電位差となる。さらに、このゲート電極の電位差が基板とゲート電極間との電位差となり、この電位差が大きくなると、カーボン膜の成膜よりも前の工程において既に形成されているトランジスタ等のゲート絶縁膜を、絶縁破壊してしまう。
このように、カーボン膜をアッシャブルハードマスクとして用いる従来の半導体装置の製造方法では、透明なカーボン膜の成膜時に、トランジスタのゲート絶縁膜が絶縁破壊され、デバイスが破損する等の問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、簡便に形成できて、チャージアップしにくいハードマスクを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体デバイスが形成された半導体基板上に被加工膜を形成し、この被加工膜上にハードマスクを形成してから前記被加工膜をパターニングする工程を含む半導体装置の製造方法において、前記ハードマスクとして、前記被加工膜上にアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を含有するアルミニウム膜形成用材料を塗布して、塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜に対して、加熱処理および光照射処理から選ばれる少なくとも一種の処理を行い形成されたアルミニウム膜を用いることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の半導体装置の製造方法においては、半導体基板上の前記被加工膜上にアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を含有するアルミニウム膜形成用材料を塗布し、次いで前記塗布膜に対して、加熱処理および光照射処理から選ばれる少なくとも一種の処理を行いアルミニウム膜を形成し、次いで、前記透アルミニウム膜上にレジスト層を積層し、次いで、前記レジスト層をパターニングし、次いで、パターニング後の前記レジスト層をマスクにして前記アルミニウム膜をパターニングすることによって、前記ハードマスクを形成することが好ましい。さらに、アルミニウム膜とレジスト層の間に反射防止膜層を形成することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法においては、前記アルミニウム膜の膜厚が300nm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ハードマスクとしてアルミニウム膜を使用することで、ハードマスク及び半導体基板のチャージアップを防止し、これにより半導体基板上の半導体デバイスにおける絶縁破壊を防止できる。
また、ハードマスクと中間層とレジスト層とからなる多層マスク構造を採用することによって、高解像度のパターニングが可能になり、例えば高アスペクト比のコンタクトホールを容易に形成できる。
【0014】
このように本発明によれば、アライメントマークの検出が可能であるとともに、チャージアップしにくいハードマスクおよびこのハードマスクを用いた半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法およびハードマスクの一例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではない。
【0017】
図1〜図6は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であって、半導体装置のコンタクトホールの形成工程の一例を示す工程断面図である。
以下、前記製造工程を順に追って説明する。
【0018】
(被加工膜の形成工程)
先ず、図1に示すように半導体デバイス(図示せず)が形成された半導体基板11上に加工対象となる被加工膜12を形成する。
なお、半導体デバイスとしては、ゲート絶縁膜及びゲート電極を有するMOSトランジスタ、トレンチゲートトランジスタ、フィン型トランジスタ、容量電極間に絶縁薄膜を有するキャパシタなどを例示することができるが、本発明に係る半導体デバイスはこれらに限定されるものではない。
被加工膜12は例えばシリコン酸化膜(SiO)であり、PE−CVD法やシリコン基板の表面を熱処理する等の公知の方法を用いて形成する。
なお、被加工膜12は、シリコン酸化膜(SiO)に限定されるものではなく、シリコン窒化膜(Si)や、それらの積層膜であってもよい。さらに、絶縁体などのチャージアップしやすい加工対象膜を被加工膜12として用いることができる。
【0019】
(アルミニウム膜の形成工程)
次に、被加工膜12の上に、ハードマスクとなるアルミニウム膜13を形成する。アルミニウム膜13は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を含有するアルミニウム膜形成用材料を塗布し、加熱することで形成できる。
【0020】
本発明で使用されるアルミニウム膜形成用組成物に含有されるアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体は、例えば、「J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc.、82巻,2141ページ,1960年」、「G.W.Fraserら、J.Chem.Soc.、3742ページ,1963年」、および「J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.、113巻,8133ページ,1991年」等に記載された方法に準じて合成することができる。
本発明で使用されるアルミニウム膜形成用組成物に含有されるアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体は、例えば、水素化リチウムアルミニウムのジエチルエーテル懸濁液にアミン化合物の塩化水素酸塩を添加し、例えばNガス中にて室温で撹拌しながら反応させて合成することができる。反応温度、反応溶媒等は、所望するアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体の種類に応じて、適宜に選択される。
【0021】
本発明で用いられるアミン化合物は、モノアミン化合物又はポリアミン化合物であることができる。上記ポリアミン化合物としては、例えばジアミン化合物、トリアミン化合物、テトラアミン化合物等を挙げることができる。
【0022】
上記モノアミン化合物としては、例えば下記式(1)
N ・・・(1)
(ここで、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基である。)
で表されるモノアミン化合物、および、それ以外のモノアミン化合物を挙げることができる。式(1)中のR、RおよびRとしてのアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、直鎖状であっても環状であってもよく、また分岐していてもよい。
【0023】
上記アルキル基としては、例えば炭素数1〜12のアルキル基を挙げることができる。
その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、2−メチルブチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
上記アルケニル基としては、例えば、不飽和基を有するアルケニル基を挙げることができる。その具体例としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基、エチニル基等を挙げることができる。
上記アルキニル基としては、例えばフェニルエチニル基等を挙げることができる。
上記アリール基としては、例えばフェニル基等を挙げることができる。
上記アラルキル基としては、例えばベンジル基等を挙げることができる。
【0024】
上記ジアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、フェニレンジアミン等を挙げることができる。これらのアミン化合物は、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
【0025】
上記アルミニウム膜形成用材料はアミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体は溶媒に溶解させた状態であってもよい。ここで使用できる溶媒としては、例えばn−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエンの水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、t−ブチルベンゼン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワラン等の炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒を挙げることができる。
【0026】
また、アルミニウム膜形成用材料は、チタン化合物を配合していてもよい。
チタン化合物としては、例えば下記式(3)〜(7)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
Ti(OR ・・・(3)
ここで、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化フェニル基である。
Ti(OR4−x ・・・(4)
ここで、Rの定義は上記式(3)のRに同じであり、Lは式
【0027】
【化1】

【0028】
で表わされる基である。ここで、RおよびR10は同一もしくは異なり、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン化フェニル基であり、xは0〜3の整数である。
【0029】
Ti(OR11(X)4−y ・・・(5)
ここで、R11はアルキル基又はフェニル基であり、Xはハロゲン原子であり、yは0〜3の整数である。
Ti(NR12 ・・・(6)
ここで、R12はアルキル基又はフェニル基である。
Ti(Cp)(Y)4−n ・・・(7)
ここで、Cpはシクロペンタジエニル骨格を有する基であり、Yはハロゲン原子又はアルキル基であり、nは1〜4の整数である。
【0030】
上記式(3)、(4)中、RおよびRは、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、トリフルオロメチル基である。また、上記式(4)中、LのRおよびR10は、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、トルフルオロメチル基である。
【0031】
上記式(3)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばチタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウム−n−ノニルオキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウム−t−ブトキシド、チタニウムトリメチルシロキシド、チタニウム−2−エチルヘキソオキシド、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウムフェノキシド、チタニウムメチルフェノキシド、チタニウムフルオロメトキシドおよびチタニウムクロロフェノキシド等を挙げることができる。
【0032】
上記式(4)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばテトラキス(ペンタ−2,4−ジケト)チタニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタ−3,5−ジケト)チタニウム、テトラキス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)チタニウム、テトラキス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタ−2,4−ジケト)チタニウム等を挙げることができる。
【0033】
上記式(5)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばトリメトキシチタニウムクロライド、トリエトキシチタニウムクロライド、トリ−n−プロポキシチタニウムクロライド、トリ−i−プロポキシチタニウムクロライド、トリ−n−ブトキシチタニウムクロライド、トリ−t−ブトキシチタニウムクロライド、チタニウムテトラクロライド等を挙げることができる。
【0034】
上記式(6)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばテトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジ−t−ブトキシアミノ)チタニウム、テトラキス(ジ−i−プロポキシアミノ)チタニウム、テトラキス(ジフェニルアミノ)チタニウムを挙げることができる。
【0035】
上記式(7)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムジブロマイド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリブロマイド、ジシクロペンタジエニルジメチルチタニウム、ジシクロペンタジエニルジエチルチタニウム等を挙げることができる。
【0036】
本発明で使用されるアルミニウム膜形成用組成物がチタン化合物を含有する場合、チタン化合物の濃度は、アミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体、および、チタン化合物の合計に対して、好ましくは1モル%以下であり、より好ましくは0.00001〜1モル%であり、更に好ましくは0.00005〜0.01モル%である。チタン化合物の濃度をこの範囲内とすることにより、良好なアルミニウムの生成効率と、組成物の安定性を両立することができる。
【0037】
アルミニウム膜形成用組成物中の溶媒とアミン化合物とを除いた質量が組成物の全質量中に占める割合(以下、「非揮発成分含有率」という。)は、成膜すべきアルミニウム膜の膜厚に応じて変動させるのが望ましい。例えば、アルミニウム膜の膜厚を200nm以下とする場合、アルミニウム膜形成用組成物の非揮発成分含有率は、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上30質量%以下である。
【0038】
本発明で使用されるアルミニウム膜形成用組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、アミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体を溶媒の存在下で合成した後、副生物等の不溶物をフィルター等で除去した溶液をそのままアルミニウム膜形成用組成物として用いることができる。あるいは、この溶液に所望の溶媒を添加した後、反応に用いた溶媒、例えばジエチルエーテルを減圧下で除去することによって、アルミニウム膜形成用組成物としてもよい。
【0039】
本発明で使用されるアルミニウム膜形成用組成物がチタン化合物を含有する場合、その製造にあたっては、例えば上記のようにして製造したアミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体を含有する溶液に、攪拌しながら所定量のチタン含有化合物の溶液を添加して調製することができる。添加するときの温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは5〜100℃である。攪拌する時間は、好ましくは0.1〜120分間、より好ましくは0.2〜60分間である。このような条件で混合することにより、安定な組成物を得ることができる。
【0040】
上記のようにして得られたアルミニウム膜形成層組成物を被加工膜上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、液滴吐出法等の適宜の方法を用いることができる。塗布工程では、塗布の対象となる被加工膜の形状、大きさ等により、被加工膜を有する半導体基板の表面の隅々にまでアルミニウム膜形成用組成物が行き亘るような塗布条件が採用される。例えば塗布法としてスピンコート法を採用する場合において、スピナーの回転数を、好ましくは300〜2,500rpm、更に好ましくは500〜2,000rpmとすることができる。その後、塗布したアルミニウム膜形成用組成物(塗布膜)中に含有される溶媒等の低沸点成分を除去するために、加熱処理を行ってもよい。加熱する温度及び時間は、使用する溶媒の種類、沸点(蒸気圧)により異なるが、例えば100〜350℃で、1〜90分間とすることができる。このとき、系全体を減圧にすることで、溶媒の除去をより低温で行うこともできる。好ましくは100〜250℃において、2〜60分間である。
【0041】
次に、上記の工程で形成された塗布膜に対して熱処理および光照射処理から選ばれる少なくとも一種の処理を行い、アルミニウム膜(通常、硬化物)を形成する。
【0042】
上記の処理が加熱処理の場合、熱処理の温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃〜600℃、さらに好ましくは200℃〜500℃である。加熱時間は、好ましくは30秒〜120分間、より好ましくは1〜90分間、更に好ましくは2〜60分間である。
【0043】
上記の処理が光照射の場合、処理に用いる光源としては、例えば水銀ランプ、重水素ランプ、希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、希ガスハロゲンエキシマレーザー等を挙げることができる。上記水銀ランプとしては、例えば低圧水銀ランプ又は高圧水銀ランプを挙げることができる。上記希ガスの放電光に用いる希ガスとしては、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン等を挙げることができる。上記希ガスハロゲンエキシマレーザーに使用する希ガスハロゲンとしては、例えばXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等を挙げることができる。
【0044】
これらの光源の出力としては、好ましくは10〜5,000W、より好ましくは100〜1,000Wである。これらの光源の波長は特に限定されないが、好ましくは170nm〜600nmである。また、形成されるアルミニウム膜の膜質の点で、レーザー光の使用が特に好ましい。また、より良好なアルミニウム膜を形成する目的で、酸化性ガス雰囲気下でプラズマ酸化させることもできる。このときのプラズマ酸化の酸化条件としては、例えばRF電力を20〜100Wとし、導入ガスとして、酸素ガスを90〜100%、残り(10%以下)をアルゴンガスとし、導入ガスの導入圧を0.05〜0.2Paとし、プラズマ酸化時間を10〜240秒とすることができる。
【0045】
アルミニウム膜形成用組成物の塗布、任意に実施される溶媒の除去、および、熱処理及び/又は光照射処理を実施する際の雰囲気としては、アルミニウム膜の形成の促進の観点から、酸化条件であることが好ましい。酸化条件を実現する酸化性ガスとして、例えば水蒸気、酸素、オゾン、一酸化炭素、炭素数が1〜3の過酸化物、アルコール、アルデヒドなどが挙げられる。なかでも水蒸気、酸素、オゾンが好ましい。また、上記酸化性ガスと不活性ガスとを混合することも、酸化条件のコントロールの観点から好ましい。上記不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。不活性ガスと酸化性ガスの合計に占める酸化性ガスの割合は、好ましくは1〜70モル%、より好ましくは3〜40モル%である。
【0046】
上記熱処理及び光照射処理は、どちらか一方のみを行ってもよく、双方を行ってもよい。熱処理と光照射処理の双方を行う場合には、その順番の前後は問わず、熱処理と光処理を同時に行ってもよい。これらのうち、熱処理のみを行うか、熱処理と光処理の双方を行うことが好ましい。また、より良好なアルミニウム膜を形成する目的で、上記熱処理及び/又は光照射処理工程とは別に、プラズマ酸化を実施してもよい。
また、アルミニウム膜を形成する手法として、上記塗布法にて、酸化性ガスを含まない不活性ガス雰囲気下で未硬化のアルミニウム膜を形成し、次いで、陽極酸化することで、硬化したアルミニウム膜を形成することもできる。
【0047】
上記のように形成されたアルミニウム膜の膜厚は、ハードマスクとして使用するためには、300nmより厚い膜厚でも問題なく使用できるが、下の層の形状を追従させてアライメントマークの視認性を向上させるために、300nm以下であることが好ましい。
【0048】
(中間層形成工程)
次に、アルミニウム膜13の上に、中間層14を形成する。中間層14は、PE−CVD装置を用いて、シリコン酸化膜(SiO2)等の無機系の膜を、例えば20〜90nmの膜厚となるように形成する。後述するレジスト層形成工程において、リソグラフィー工程での反射防止を目的として、この中間層14に光学的な吸収を持たせたい場合は、カーボンや窒素を導入して、炭素含有シリコン酸化膜(SiOC)や酸化窒化シリコン膜(SiON)を中間層14として形成する。また中間層14としては、は、SiOC膜やSiON膜とシリコン酸化膜との積層膜などを用いてもよい。また、レジスト層に使用する材料に依っては、中間層および後述する中間層マスクの形成を省略することも可能である。
【0049】
(レジスト層形成工程)
次に、中間層14の上に、例えば膜厚200〜500nmとなるようにフォトレジストを塗布して、レジスト層15を形成する。その後、図2に示すように、レジスト層15を露光、現像して、レジスト層15に開口パターン21を形成する。
【0050】
(中間層マスク形成工程)
次に、図3に示すように、パターンを形成したレジスト層15をマスクとして、中間層14を公知の方法によってドライエッチングすることにより、レジスト層15と中間層14とを貫通する開口パターン22を形成する。エッチングは、四フッ化炭素、三フッ化メタン、フロン116等のフッ素原子を含むガスを使用することができる。
【0051】
(ハードマスク形成工程)
次に、図4に示すように、パターニング後の中間層14をマスクとして、アルミニウム膜13を公知の方法によってドライエッチングすることにより、開口パターン23を有するハードマスクを形成する。エッチングガスは、塩素、三塩化ホウ素、四塩化炭素等が使用でき、RIE装置でエッチングを行うことができる。ハードマスクは、エッチング加工されたアルミニウム膜から構成される。なお、各工程の条件に依り、レジスト層がハードマスク形成工程まで残存している場合があるが、通常は、後述する被加工膜パターニング工程で消失するため、除去を行う必要はない。ただし、被加工膜のパターニングに影響を与える可能性もあるため、ハードマスク形成工程の前、または後でアッシング処理を行い残存したレジスト層を除去してもよい。
【0052】
(被加工膜パターニング工程)
次に、図5に示すように、ハードマスクをマスクにして、被加工膜12を公知の方法を用いてドライエッチングして、コンタクトホール24を形成する。エッチングガスとして、例えば、トリフルオロメタン等を使用することができる。
被加工膜のパターニングは、コンタクトホールの形成を目的とするものに限らず、例えば導電膜上に絶縁膜を設けた積層構造の配線の形成などを目的とするものが挙げられる。
なお、ハードマスクのエッチングマスクとして用いられた、パターニング後の中間層14は、被加工膜12(例えばシリコン酸化膜)を加工している際に、同時にエッチング除去されるため、中間層14の除去工程を別に設ける必要はない。
【0053】
最後に、加工対象である被加工膜12のエッチングが完了後、ハードマスクを除去して被加工膜12の加工が完了する。
除去は具体的には、上記RIE装置を用いることが可能である。また、エッチング用の反応ガスとしては、上記のとおり塩素、三塩化ホウ素、四塩化炭素等を含有するガスを用いることが好ましい。
【0054】
上記の各工程は、適宜、変更、追加、削除を行うことが可能である。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、以下の操作は、特に記した場合を除き、すべて乾燥窒素雰囲気下で実施した。また、用いた溶媒は、すべて事前にモレキュラーシーブス4A(ユニオン昭和(株)製)で脱水し、かつ窒素ガスをバブリングすることにより脱気、さらに蒸留操作にて精製した。
得られたアルミニウム膜について、KRATOS ANALYTICAL社製ESCA分析装置、型式「AXIS−UltraDLD」にてアルミニウム膜組成同定を、フィリップス社製斜入射X線分析装置、形式「X’Pert MRD」により膜厚を、ナプソン社製探針抵抗率測定器、形式「RT−80/RG−80」により比抵抗を、それぞれ測定した。
【0056】
実施例1
1−1.チタン化合物を含有する溶液の調製
シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド0.11gを30mLガラス容器に仕込み、ここへt−ブチルベンゼンを加えて全量を25gとした。十分に攪拌した後、室温で4時間静置し、次いでこれをポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを20μmol/g含有する溶液を得た。
【0057】
1−2.下地膜形成用組成物の調製
ポリ(ジブチルチタナート)0.19gを20mLガラス容器にとり、ここへプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて全量を19gとした。混合物を充分に攪拌した後、室温で2時間静置した。次いでこれをポリテトラフロロエチレン製の
孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、下地膜形成用組成物(2)を得た。
【0058】
1−3.アルミニウム形成用組成物(1)の調製
(アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体(1)を含有する溶液)
磁気攪拌子を入れた200mLの三口フラスコ中に水素化リチウムアルミニウム3.8gを仕込んだ。三口フラスコの3つの接続口にはそれぞれ100mLの粉体添加用漏斗、窒素気流に接続した吸引栓三方コック及びガラス栓を接続した。トリエチルアミンの塩化水素酸塩17.8gを粉体添加用漏斗に仕込んだ後に、三口フラスコを吸引栓三方コックを介して窒素シール下においた。
上記の三口フラスコにガラス製シリンジを用いてヘキサン100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、トリエチルアミンの塩化水素酸塩を10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
その後、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)により濾過した。濾液は300mLなす型フラスコで受け、濾過終了後に磁気攪拌子を入れ、吸引栓三方コックを装着した。
この吸引栓三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体10.25gを、無色透明の液体として得た(収率55%)。
このトリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.0gにt−ブチルベンゼンを加えて全量を10.0gとすることにより、トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体とt−ブチルベンゼンとの混合物(1)を40質量%含有する溶液を調製した。さらに上記溶液1.0mLに、上記1で調製したシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを40μmol/g含有する溶液16μLを、室温にて攪拌下に加え、次いで1分間攪拌を継続することにより、アルミニウム形成用組成物(1)を調製した。
【0059】
1−4.アルミニウムハードマスクの形成
先ず、膜厚4nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜を備えたMOSトランジスタが形成された半導体基板上に、加工対象となる被加工膜として、層冠絶面膜となるシリコン酸化膜を形成した。
次に、半導体基板をスピンコーターに装着し、窒素ガス雰囲気下にて、上記1−2.で調製した下地膜形成用組成物1mLを滴下して、回転数2,000rpmで10秒間スピンさせた。この基板を150℃に設定したホットプレートに乗せ、10分間加熱した。下地膜の厚さは2nmであった。
次いでこの基板を窒素雰囲気下でスピンコーターに再び装着し、上記1−3.で調製したアルミニウム形成用組成物(1)の全量を滴下し、回転数800rpmで10秒間スピンさせた。この基板を直ちに窒素ガス雰囲気下、150℃のホットプレートで10分間加熱した。さらに窒素ガス雰囲気下、更に350℃で30分間加熱したところ、基板表面は銀白色金属光沢を持った膜で覆われた。得られた膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。また斜入射X線分析によりこの膜が膜厚150nmであることがわかった。このアルミニウム膜の抵抗率を四端子法で測定した所、抵抗率は4.0μΩcmであった。
次に、アルミニウム膜の上に、前記PE−CVD装置を用い、中間層としてシリコン酸化膜を膜厚20〜90nmとなるように形成し、フォトレジストを塗布、露光、現像して、レジスト層のパターンを形成した。
つぎに、形成されたレジスト層をマスクに中間層をパターニングした。さらにパターニングされた中間層をマスクにしてアルミニウム膜ををエッチングし、ハードマスクを形成した。更にまた、ハードマスクをマスクにして、被加工膜をエッチングしてコンタクトホールを形成した。
最後に、RIE装置を用いてドライエッチング処理し、ハードマスクを除去する事によって、層間絶縁膜にコンタクトホールを設けた。
【0060】
実施例2
2−1.チタン化合物を含有する溶液の調製は実施例1と同様に行った。
2−2.下地膜形成用組成物の調製は実施例1と同様に行った。
【0061】
2−3.アルミニウム形成用組成物(2)の調製
(アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体(2)を含有する溶液)
磁気攪拌子を入れた200mLの三口フラスコ中に水素化リチウムアルミニウム3.8gを仕込んだ。三口フラスコの3つの接続口にはそれぞれ100mLの粉体添加用漏斗、窒素気流に接続した吸引栓三方コック及びガラス栓を接続した。ジメチルエチルアミンの塩化水素酸塩17.8gを粉体添加用漏斗に仕込んだ後に、三口フラスコを吸引栓三方コックを介して窒素シール下においた。
上記の三口フラスコにガラス製シリンジを用いてヘキサン100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、ジメチルエチルアミンの塩化水素酸塩を10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
【0062】
その後、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)により濾過した。濾液は300mLなす型フラスコで受け、濾過終了後に磁気攪拌子を入れ、吸引栓三方コックを装着した。
この吸引栓三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、ジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体9.4gを、無色透明の液体として得た(収率60%)。
このジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.0gにt−ブチルベンゼンを加えて全量を10.0gとすることにより、ジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体とt−ブチルベンゼンとの混合物(2)を40質量%含有する溶液を調製した。さらに上記溶液1.0mLに、上記1で調製したシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを40μmol/g含有する溶液16μLを、室温にて攪拌下に加え、次いで1分間攪拌を継続することにより、アルミニウム形成用組成物(2)を調製した。
【0063】
2−4.アルミニウムハードマスクの形成
先ず、膜厚4nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜を備えたMOSトランジスタが形成された半導体基板上に、加工対象となる被加工膜として、層間絶縁膜となるシリコン酸化膜を形成した。
次に、半導体基板をスピンコーターに装着し、窒素ガス雰囲気下にて、上記2−2.で調製した下地膜形成用組成物1mLを滴下して、回転数2,000rpmで10秒間スピンさせた。この基板を150℃に設定したホットプレートに乗せ、10分間加熱した。下地膜の厚さは2nmであった。
次いでこの基板を窒素雰囲気下でスピンコーターに再び装着し、上記2−3.で調製したアルミニウム形成用組成物(2)の全量を滴下し、回転数800rpmで10秒間スピンさせた。この基板を直ちに窒素ガス雰囲気下、150℃のホットプレートで10分間加熱した。さらに窒素ガス雰囲気下、更に350℃で30分間加熱したところ、基板表面は銀白色金属光沢を持った膜で覆われた。得られた膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。また斜入射X線分析によりこの膜が膜厚120nmであることがわかった。このアルミニウム膜の抵抗率を四端子法で測定した所、抵抗率は4.1μΩcmであった。
以下、実施例1と同様の手法にて層間絶縁膜にコンタクトホールを設けた。
【0064】
実施例3
3−3.アルミニウム形成用組成物(3)の調製
(アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体(2)を含有する溶液)
磁気攪拌子を入れた200mLの三口フラスコ中に水素化リチウムアルミニウム3.8gを仕込んだ。三口フラスコの3つの接続口にはそれぞれ100mLの粉体添加用漏斗、窒素気流に接続した吸引栓三方コック及びガラス栓を接続した。ジメチルエチルアミンの塩化水素酸塩17.8gを粉体添加用漏斗に仕込んだ後に、三口フラスコを吸引栓三方コックを介して窒素シール下においた。
上記の三口フラスコにガラス製シリンジを用いてヘキサン100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、ジメチルエチルアミンの塩化水素酸塩を10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
【0065】
その後、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)により濾過した。濾液は300mLなす型フラスコで受け、濾過終了後に磁気攪拌子を入れ、吸引栓三方コックを装着した。
この吸引栓三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、ジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体9.4gを、無色透明の液体として得た(収率60%)。
このジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.0gにt−ブチルベンゼンを加えて全量を10.0gとすることにより、ジメチルエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体とt−ブチルベンゼンとの混合物(2)を40質量%含有する溶液を調製した。本溶液を1mL取り分ける事によりアルミニウム形成用組成物(3)を調製した。
【0066】
3−4.アルミニウムハードマスクの形成
先ず、膜厚4nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜を備えたMOSトランジスタが形成された半導体基板上に、加工対象となる被加工膜として、層間絶縁膜となるシリコン酸化膜を形成した。
次に、半導体基板をスピンコーターに装着し、窒素ガス雰囲気下にて、上記3−3.で調製したアルミニウム形成用組成物(3)の全量を滴下し、回転数800rpmで10秒間スピンさせた。この基板を直ちに窒素ガス雰囲気下、150℃のホットプレートで10分間加熱した。さらに窒素ガス雰囲気下、更に350℃で30分間加熱したところ、基板表面は銀白色金属光沢を持った膜で覆われた。得られた膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。また斜入射X線分析によりこの膜が膜厚80nmであることがわかった。このアルミニウム膜の抵抗率を四端子法で測定した所、抵抗率は5.1μΩcmであった。
以下、実施例1と同様の手法にて層間絶縁膜にコンタクトホールを設けた。
【0067】
4.比較例
比較例のコンタクトホールを有する半導体装置を以下のようにして製造した。
実施例1と相違する点は、アルミニウム膜を形成することなく、層間絶面膜となるシリコン酸化膜の上に透光性カーボン膜を膜厚300nmとなるように成膜した点、および、被加工膜のパターニングに際して、透光性カーボン膜単層のハードマスクを用いた点である。それ以外は、実施例1と同じ条件で、層間絶縁膜にコンタクトホールを設けた。
上記のように、2層構造のハードマスクを用いてコンタクトホールを形成した場合(実施例1、2、3)とについて、MOSトランジスタのゲート絶縁膜に対するチャージアップの影響について比較評価を行った。比較評価は、比較例の場合と実施例1との場合で、コンタクトホール形成前後におけるMOSトランジスタの良品率(歩留まり)の調査を実施した。
その結果、比較例ではチャージアップによってゲート絶縁膜が絶縁破壊され、7%ほど歩留まりを悪化させたが、実施例1では、アルミニウム膜性膜工程によるゲート絶縁膜の絶縁破壊は、抑制出来た。
また、実施例1及び比較例のいずれの場合においても、レジスト層のパターニング時のアライメントにおいて、アライメントマークが検出できないという問題は発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の活用例として、絶縁体などのチャージアップしやすい加工対象膜上にアルミニウム膜をハードマスクとしてパターン形成する場合全般に用いることができる。
本発明は、DRAM等のメモリーデバイスやパワーMOS等を有する半導体装置の製造産業、および前記半導体装置を用いる電子情報産業等において産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0069】
11・・・半導体基板、12・・・被加工膜、13・・・アルミニウム膜、14・・・中間層、15・・・レジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された被加工膜上に、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を含有するアルミニウム膜形成用材料を塗布して、塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜に対して、加熱処理および光照射処理から選ばれる少なくとも一種の処理を行いアルミニウム膜を形成する工程と、
該アルミニウム膜をエッチングしてハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスクをマスクにして被加工膜をエッチングする工程
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記アルミニウム膜をエッチングしてハードマスクを形成する工程が、
前記アルミニウム膜上にレジスト層を形成する工程、前記レジスト層にパターンを形成する工程、パターンを形成した前記レジスト層をマスクにして前記アルミニウム膜をエッチングする工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記アルミニウム膜をエッチングしてハードマスクを形成する工程が、
前記アルミニウム膜上に中間層を積層する工程、前記中間層上にレジスト層を形成する工程、前記レジスト層にパターンを形成する工程、パターニングした前記レジスト層をマスクにして前記中間層をパターニングする工程、前記パターニングされた中間層をマスクにして前記アルミニウム膜をエッチングする工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記アルミニウム膜の膜厚が300nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記被加工膜が絶縁膜である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−216570(P2012−216570A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79059(P2011−79059)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】