説明

半導体装置の製造方法

【課題】感光性樹脂膜を塗布した後のパターン形成不良を抑制する。
【解決手段】まず、基板上に、配線を形成する(S110)。次いで、配線上にパッシベーション膜を形成する(S120)。次いで、基板をアニールする(S130)。次いで、基板をアニールする工程(S130)の後、パッシベーション膜上に、感光性樹脂膜として、フォトレジスト膜を塗布する(S140)。次いで、フォトレジスト膜が塗布された基板を少なくとも一回以上ベークする(S150)。次いで、フォトレジスト膜を、露光および現像によりパターニングする(S160)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化が進み、微細パターンにおいて、半導体装置を構成する各層中にボイドが発生する問題がある。このようなボイドを抑制するため、または、ボイドによるパターン形成不良を抑制するため、様々な方法が提案されている。
【0003】
特許文献1(特開2004−266178号公報)には、下記のような配線形成方法が記載されている。ウエハ上の層間絶縁膜に配線溝を形成し、その後、層間絶縁膜上にバリアメタル膜、シード膜、及び配線膜を形成する。次いで、配線膜が形成された後、配線膜上に保護膜を形成し、配線膜をアニールする。さらにその後、保護膜、及び配線溝内に埋め込まれた部分以外の配線膜を除去する。これにより、配線膜中の応力集中を抑制することにより、ボイドの発生を抑制することができるとされている。
【0004】
また、特許文献2(特開2006−24685号公報)には、互いに略平行に配置された複数の配線と、複数の配線の終端部の近傍に、配線と直交する方向にダミーパターンを設けている半導体装置が記載されている。これにより、配線の終端部に発生したボイドの爆発によって、配線に損傷が生じることを抑制できるとされている。
【0005】
また、特許文献3(特開平09−106982号公報)には、下記のようなデバイスの絶縁被覆方法が記載されている。まず、Al配線が形成され、パッシベーション膜が形成された半導体デバイスに、ポリイミド前駆体と溶剤からなる有機絶縁膜材料を塗布して、シンナー処理およびプレベーク処理を行い、パッシベーション膜内のボイドを半硬化ポリイミドで埋め込む。次いで、再度ポリイミド前駆体と溶剤からなる有機絶縁膜材料を塗布し、ベークしてポリイミド膜を形成する。これにより、ピンホールのないポリイミド膜を形成することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−266178号公報
【特許文献2】特開2006−24685号公報
【特許文献3】特開平09−106982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、配線膜におけるボイドの発生を抑制することはできるものの、狭い配線間に生じたパッシベーション膜中のボイドに関しては発生を防ぐことができない可能性があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、たとえばL字に折れ曲がった配線パターンにおいて、ダミーパターンを形成することができず、ボイドの爆発を抑制することができない可能性があった。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術では、保護膜である感光性ポリイミド膜を形成する工程において、ボイドを埋め込むことができるものの、パッシベーション膜のパターニング工程において、フォトレジスト膜を塗布する際にはボイドは埋め込まれていない状態である。このため、フォトレジスト膜の塗布後にベークする工程において、ボイド中の水分、または溶剤成分が膨張し、フォトレジスト膜のパターンに破損が生じる可能性があった。
【0010】
このように、以上の従来技術では、配線間のパッシベーション膜にボイドが発生した場合において、ボイド中の水分または溶剤成分などが膨張し、フォトレジスト膜または感光性ポリイミド膜を破損させてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
基板上に、配線を形成する工程と、
前記配線上にパッシベーション膜を形成する工程と、
前記基板をアニールする工程と、
前記基板をアニールする工程の後、前記パッシベーション膜上に、感光性樹脂膜を塗布する塗布工程と、
前記感光性樹脂膜が塗布された前記基板を少なくとも一回以上ベークするベーク工程と、
前記感光性樹脂膜を、露光および現像によりパターニングするフォトリソグラフィ工程と、
を備える半導体装置の製造方法、が提供される。
【0012】
本発明によれば、感光性樹脂膜を塗布する工程の前に、基板をアニールする工程を行う。これにより、配線間のパッシベーション膜にボイドが発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを事前に気化させておくことにより、感光性樹脂膜を塗布した後のパターン形成不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、感光性樹脂膜を塗布した後のパターン形成不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】第1の実施形態の効果を説明するための断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、以下の構成を備えている。基板100上には、層間絶縁膜200が設けられている。また、層間絶縁膜200の最上層には配線(不図示)が設けられており、当該配線には、電極パッド320が設けられている。層間絶縁膜200及び電極パッド320の周縁部上には、パッシベーション膜400が設けられている。また、パッシベーション膜400上には、保護膜600が設けられている。以下、詳細を説明する。
【0017】
図1のように、半導体装置は、基板100、層間絶縁膜200、配線(不図示)、電極パッド320、パッシベーション膜400、及び保護膜600を備えている。
【0018】
半導体装置の基板100には、図示されていない領域に、半導体素子(不図示)が設けられている。ここで、半導体素子は、たとえば、FET(Field Effect Transistor)である。
【0019】
基板100上には、層間絶縁膜200が設けられている。層間絶縁膜200は、たとえば、SiOである。
【0020】
層間絶縁膜200には、図示されていない領域に、多層配線層(不図示)が形成されている。その層間絶縁膜200の最上層には、配線(不図示)が設けられている。多層配線層の最上層に位置する配線には、電極パッド320が設けられている。電極パッド320は、層間絶縁膜200中に形成されたビア(不図示)及びコンタクト(不図示)を介して、半導体素子に接続している。ここで、電極パッド320は、たとえば、Alである。また、ビア、コンタクトに埋め込まれる導電体は、たとえば、Cu、Wである。
【0021】
層間絶縁膜200及び電極パッド320の周縁部上には、パッシベーション膜400が設けられている。ここで、パッシベーション膜400は、たとえば、SiN、SiONである。
【0022】
また、パッシベーション膜400上には、保護膜600が設けられている。ここで、保護膜600は、たとえば、感光性ポリイミドである。
【0023】
以上のような構成を有する半導体装置の製造工程中に、配線間の層間絶縁膜200にボイド(不図示)が発生した場合、ボイド中の水分または溶剤成分などが膨張し、フォトレジスト膜(500)または感光性ポリイミド膜600を破損させてしまう可能性がある。第1の実施形態によれば、下記のような製造方法を用いることにより、感光性樹脂膜としてフォトレジスト膜500を塗布した後のパターン形成不良を抑制することができる。
【0024】
次に、図2〜4を用いて、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。図3、図4は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。まず、基板100上に、配線(不図示)を形成する(S110)。次いで、配線上にパッシベーション膜400を形成する(S120)。次いで、基板100をアニールする(S130)。次いで、基板100をアニールする工程(S130)の後、パッシベーション膜400上に、感光性樹脂膜として、フォトレジスト膜500を塗布する(S140)。次いで、フォトレジスト膜500が塗布された基板100を少なくとも一回以上ベークする(S150)。次いで、フォトレジスト膜500を、露光および現像によりパターニングする(S160)。以下、詳細を説明する。
【0025】
第1の実施形態では、感光性樹脂膜として、フォトレジスト膜500を用いた場合について説明する。
【0026】
図2のように、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、配線形成工程(S110)、パッシベーション膜形成工程(S120)、アニール工程(S130)、フォトレジスト膜塗布工程(S140)、ベーク工程(S150)、フォトリソグラフィ工程(S160)、パッシベーション膜エッチング工程(S170)、フォトレジスト膜剥離工程(S180)を備えている。
【0027】
まず、基板100に、半導体素子(不図示)を形成する。次いで、半導体素子が形成された基板100上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、層間絶縁膜200を形成する。ここでは、層間絶縁膜200として、たとえば、SiOを形成する。
【0028】
次いで、たとえば、ダマシン法を用い、層間絶縁膜200に、多層配線層(不図示)を形成する。このとき、層間絶縁膜200に、半導体素子と接続するように、ビア(不図示)及びコンタクト(不図示)を形成する。
【0029】
次いで、図3(a)のように、基板100上における層間絶縁膜200の最上層に、配線(不図示)を形成する。たとえば、スパッタにより、Al膜を形成する。次いで、電極パッド320、配線パターン(不図示)等をパターニングする(S110)。これにより、電極パッド320を、ビア(非図示)及びコンタクト(非図示)を介して半導体素子に接続する。
【0030】
次いで、図3(b)のように、層間絶縁膜200及び電極パッド320上に、パッシベーション膜400を形成する(S120)。ここでは、CVDにより、パッシベーション膜として、たとえば、SiONを形成する。
【0031】
次いで、図3(b)のように、パッシベーション膜400までが形成された基板100をアニールする(S130)。なお、以降、この基板100をアニールする工程を「アニール工程」と表記する。アニール工程(S130)は、たとえば、ベーク炉にて行う。
【0032】
このとき、アニール温度は、水の沸点、現像液の沸点、または、後述のフォトレジスト膜500を塗布する工程(S140)において使用する溶剤の沸点よりも高いことが好ましい。この場合においては、フォトレジスト膜500の溶剤の沸点が最も高いため、アニール温度は、フォトレジスト膜の溶媒の沸点よりも高いことが好ましい。具体的には、アニール温度は、たとえば、110℃以上500℃以下である。これにより、最上層の配線間におけるパッシベーション膜400にボイド(不図示)が発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを、事前に気化させておくことができる。
【0033】
また、アニール工程(S130)の雰囲気は、上記した水分や溶剤成分などを気化させるため、乾燥雰囲気であることが好ましい。具体的には、たとえば、窒素雰囲気で行う。なお、次の工程でフォトレジスト膜500を塗布するため、適宜、基板100の温度が低くなるのを待って次の工程を行う。
【0034】
次いで、図4(a)のように、基板100をアニールする工程(S130)の後、パッシベーション膜400上に、感光性樹脂膜として、フォトレジスト膜500を塗布する(S140)。このとき、フォトレジスト膜500は、感光性を有している。また、フォトレジスト膜500は、ネガ型でもポジ型でもどちらでもよい。ここでは、フォトレジスト膜500は、たとえば、ポジ型である。なお、以降、この感光性樹脂膜を塗布する工程を「塗布工程」と表記する。
【0035】
次いで、フォトレジスト膜500が塗布された基板100を少なくとも一回以上ベークする(S150)。これにより、フォトレジスト膜500を塗布する際に用いられた溶媒を気化させる。具体的には、ベーク温度は、たとえば、120℃である。ここで、この段階におけるベーク(プリベーク)の他に、使用するフォトレジスト膜500の材料に応じて、後述する露光後におけるベーク(PEB:Post Exposure Bake)、現像後におけるベーク(ポストベーク)を行っても良い。なお、以降、この感光性樹脂膜が塗布された基板100をベークする工程を「ベーク工程」と表記する。
【0036】
ここで、配線間の層間絶縁膜200にボイド(不図示)が発生した場合、このベーク工程(S150)において、パターン形成不良が起こることが考えられる。この場合、ベーク工程(S150)により、ボイド中の水分または溶剤成分などが膨張し、フォトレジスト膜500を破損させてしまう可能性がある。したがって、前述したアニール工程(S130)のアニール温度は、このベーク工程(S150)でのベーク温度よりも高く設定しておく。これにより、配線間のパッシベーション膜400にボイドが発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを、ベーク工程(S150)よりも前に気化させておくことができる。したがって、このベーク工程(S150)では、ボイド中の水分または溶剤成分が爆発することがない。
【0037】
次いで、図4(b)のように、フォトレジスト膜500を、露光および現像によりパターニングする(S160)。このとき、電極パッド320上に、フォトレジスト膜500の開口部を形成する。なお、電極パッド320の周縁部は、除去されないように残しておく。
【0038】
次いで、パターニングされたフォトレジスト膜500をマスクとして、パッシベーション膜400をエッチングする(S170)。ここで、パッシベーション膜400を、たとえば、RIE(Reactive Ion Etching)により除去する。
【0039】
次いで、図4(c)のように、マスクとして使用したフォトレジスト膜500を、アッシングにより剥離する(S180)。
【0040】
次いで、パターニングされたパッシベーション膜400上に、保護膜600を形成する。以上により、図1に示されるような半導体装置を得る。
【0041】
次に、図5を用い、比較例と対しながら、第1の実施形態の効果について説明する。図5は、第1の実施形態の効果を説明するための図である。なお、図5(a)、図5(b)は、図1において図示されている領域と異なる領域を示している。また、図5(a)、図5(b)中の配線300は、電極パッド320と同一の層に形成されている。
【0042】
ここで、図5(a)、図5(b)は、パッシベーション膜形成工程(S220)において、配線300間のパッシベーション膜400中に、ボイド420が発生した場合を示している。そのうち、図5(a)は、比較例として、アニール工程(S130)を行わない場合を示している。一方、図5(a)は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を用いた場合を示している。
【0043】
図5(a)のように、配線300間のパッシベーション膜400中には、ボイド420が発生している。上記したように、比較例では、アニール工程(S130)を行っていないため、このボイド420中には、水分または溶剤成分などが残存している。このような状態で、フォトレジスト膜500の塗布工程(S140)、ベーク工程(S150)を行うと、ボイド420中に残存していた水分または溶剤成分などが爆発して、パターン形成不良部520が発生してしまう。このようなパターン形成不良部520が生じてしまった場合、そのままパッシベーション膜エッチング工程(S170)を行うと、不適切な位置にパッシベーション膜400の開口部を形成してしまう。
【0044】
一方、第1の実施形態では、フォトレジスト膜500の塗布工程(S140)の前に、基板をアニールする工程(S130)を行う。これにより、図5(b)のように、配線300間のパッシベーション膜400にボイド420が発生していても、ボイド420中の水分または溶剤成分などは、事前に気化されている。したがって、その後、フォトレジスト膜500の塗布工程(S140)、ベーク工程(S150)を行っても、図5(a)のように、ボイド420中に残存していた水分または溶剤成分などが爆発して、パターン形成不良部520が発生してしまうことがない。このように、第1の実施形態によれば、フォトレジスト膜500を塗布した後のパターン形成不良を抑制することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。第2の実施形態は、以下の点を除いて、第1の実施形態と同様である。配線上にパッシベーション膜400を形成する工程(S220)の後で、かつ、基板100をアニールする工程(S280)の前に、以下の工程を備える。第1塗布工程(S230)、第1ベーク工程(S240)、及び第1フォトリソグラフィ工程(S250)を順に行う。この第1フォトリソグラフィ工程(S250)において、当該フォトレジスト膜500のパターン形状に異常が無かったときは(S260のNO)、当該第1フォトリソグラフィ工程(S250)を終了する。一方、当該フォトレジスト膜500のパターン形状に異常があったときは(S260のYES)、フォトレジスト膜500を剥離する(S270)。次いで、フォトレジスト膜500を剥離する工程(S270)の後、基板100をアニールする工程(S280)、第2塗布工程(S290)、第2ベーク工程(S300)、及び第2フォトリソグラフィ工程(S310)を行う。以下、詳細を説明する。
【0046】
まず、配線形成工程(S210)、パッシベーション膜形成工程(S220)を行う。次いで、パッシベーション膜形成工程(S220)の後、第1塗布工程(S230)、第1ベーク工程(S240)、及び第1フォトリソグラフィ工程(S250)を順に行う。
【0047】
次いで、第1フォトリソグラフィ工程(S250)後において、フォトレジスト膜500のパターン形状について、異常の有無を確認する(S260)。ここでいうフォトレジスト膜500のパターン形状の異常とは、ボイド中に残存していた水分または溶剤成分などが爆発したことによるパターン形状不良だけでなく、他の原因によるパターン形状不良を含む。すなわち、再度、フォトレジスト膜500のフォトリソグラフィ工程を行った方が良いと判断されるようなパターン形状の異常があるか否かを判断する。
【0048】
このとき、当該フォトレジスト膜500のパターン形状に異常が無かったときは(S260のNO)、当該第1フォトリソグラフィ工程(S250)を終了する。一方、当該フォトレジスト膜500のパターン形状に異常があったときは(S260のYES)、フォトレジスト膜500を剥離する(S270)。
【0049】
次いで、フォトレジスト膜500を剥離する工程(S270)の後、基板100をアニールする工程(S280)を行う。アニール工程(S280)は、たとえば、ベーク炉にて行う。これにより、第1の実施形態と同様に、最上層の配線間におけるパッシベーション膜400にボイドが発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを、気化させることができる。
【0050】
次いで、第2塗布工程(S290)、第2ベーク工程(S300)、及び第2フォトリソグラフィ工程(S310)を行う。これにより、再度、フォトレジスト膜500のパターニングが行われる。
【0051】
次いで、第1の実施形態と同様にして、パッシベーション膜エッチング工程(S320)、フォトレジスト膜剥離工程(S330)を行う。次いで、パターニングされたパッシベーション膜400上に、保護膜600を形成する。
【0052】
次に、第2の実施形態の効果を説明する。
【0053】
通常、パッシベーション膜400中のボイドを製造工程中に発見することは困難である。そのため、一度、フォトレジスト膜500のパターニングを行った後に、フォトレジスト膜500中のパターン形成不良により、ボイドの発生を認識する場合がある。その場合は、リワークと呼ばれるフォトレジスト膜を再度パターニングする工程(S270〜S310)が行われる。第二の実施形態によれば、このリワークの際に、基板のアニール工程(S280)を行うことにより、ボイド中の水分または溶剤成分などを、気化させることができる。
【0054】
また、一度、フォトレジスト膜500のパターニングを行ったときに、他の原因によりフォトレジスト膜500にパターン形成不良が生じた場合においても、リワークを行う。このリワーク時の段階になって、初めて、ボイドに残存した水分や溶剤成分が爆発し、パターン形成不良を生じることがある。実際には、このリワーク時の工程によって、ボイド中に水分や溶剤成分が混入して爆発を起こすことが多い。したがって、第2の実施形態によれば、特にリワークの際に生じやすいパターン形成不良を抑制することができる。
【0055】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。また、図8は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。第3の実施形態は、感光性樹脂膜が感光性ポリイミド膜600である点を除いて、第1の実施形態と同様である。
【0056】
まず、配線形成工程(S410)、パッシベーション膜形成工程(S420)を行う。このとき、パッシベーション膜400をパターニングすることにより、電極パッド320上のパッシベーション膜400に、開口部を形成する。
【0057】
次いで、図8(a)のように、アニール工程を行う(S430)。このとき、次の工程で感光性ポリイミド膜600を塗布するため、このアニール工程(S430)のアニール温度は、たとえば、感光性ポリイミド膜600の硬化温度よりも高い。具体的には、アニール温度は、250℃以上500℃以下である。これにより、配線間のパッシベーション膜400にボイドが発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを、感光性ポリイミド膜600の硬化工程(後述S470)よりも前に気化させておくことができる。したがって、感光性ポリイミド膜600の硬化工程(後述S470)では、ボイド中の水分または溶剤成分が爆発することがない。
【0058】
次いで、図8(b)のように、基板100上に、保護膜として、感光性ポリイミド膜600を塗布する(S440)。このとき、感光性ポリイミド膜600は、たとえば、感光性のポジ型感光性ポリイミドである。次いで、ベーク工程(S450)を行う。
【0059】
次いで、図8(c)のように、感光性ポリイミド膜600を、露光および現像によりパターニングする(S460)。
【0060】
次いで、図8(c)の状態の基板をオーブンに投入して加熱を行うことにより、感光性ポリイミド膜600を硬化させる(S470)。具体的には、この硬化工程は、たとえば、250℃を30min及び350℃を60min行う。
【0061】
次に、第3の実施形態の効果を説明する。
【0062】
第3の実施形態によれば、感光性樹脂膜として、感光性ポリイミド膜600においても適用することができる。また、アニール工程(S430)のアニール温度は、感光性ポリイミド膜600の硬化温度よりも高くすることができる。これにより、配線間のパッシベーション膜400にボイドが発生していても、ボイド中の水分または溶剤成分などを、感光性ポリイミド膜600の硬化工程(S470)よりも前に気化させておくことができる。したがって、感光性ポリイミド膜600の硬化工程(S470)では、ボイド中の水分または溶剤成分が爆発することがない。一般に、感光性ポリイミド膜600の硬化温度は高いため、ボイド中の水分または溶剤成分の爆発による損傷は大きくなる傾向にある。このため、第3の実施形態のように、上記したアニール工程(S430)を事前に行っておくことにより、より効果的にパターン形成不良を抑制することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。第4の実施形態は、以下の点を除いて、第2の実施形態と同様である。感光性樹脂膜は、感光性ポリイミド膜である。また、第1フォトリソグラフィ工程(S550)において、感光性ポリイミド膜600のパターン形状に異常が無かった場合(S560のNO)の後、または、当該感光性ポリイミド膜600のパターン形状に異常があり(S560のYES)、リワーク(S570〜S610)を行った場合の後において、感光性ポリイミド膜600の硬化工程(S620)を行う。
【0064】
アニール工程(S580)においては、第3の実施形態におけるアニール工程(S430)と同様の工程を行う。
【0065】
第4の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
以上、第1〜第4の実施形態では、アニール工程(S130)(S280)(S430)(S580)をベーク炉にて行う場合を説明したが、ランプ加熱や、ステージヒーティングなどによる加熱方法を用いてもよい。また、感光性樹脂膜の塗布装置において、上記した加熱工程を組み込んでおいてもよい。これにより、工数を削減することができる。
【0067】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
100 基板
200 層間絶縁膜
300 配線
320 電極パッド
400 パッシベーション膜
420 ボイド
500 フォトレジスト膜
520 パターン形成不良部
600 保護膜(感光性ポリイミド膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、配線を形成する工程と、
前記配線上にパッシベーション膜を形成する工程と、
前記基板をアニールする工程と、
前記基板をアニールする工程の後、前記パッシベーション膜上に、感光性樹脂膜を塗布する塗布工程と、
前記感光性樹脂膜が塗布された前記基板を少なくとも一回以上ベークするベーク工程と、
前記感光性樹脂膜を、露光および現像によりパターニングするフォトリソグラフィ工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線上にパッシベーション膜を形成する工程の後で、かつ、前記基板をアニールする工程の前に、
第1の前記塗布工程と、
第1の前記ベーク工程と、
第1の前記フォトリソグラフィ工程と、
前記第1のフォトリソグラフィ工程において、当該感光性樹脂膜のパターン形状に異常が無かったときは当該第1のフォトリソグラフィ工程を終了する一方、当該感光性樹脂膜のパターン形状に異常があったときは、前記感光性樹脂膜を剥離する工程と、
を備え、
前記感光性樹脂膜を剥離する工程の後、前記基板をアニールする工程、第2の前記塗布工程、第2の前記ベーク工程、及び第2の前記フォトリソグラフィ工程を行う半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記感光性樹脂膜は、フォトレジスト膜である半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記感光性樹脂膜は、ポリイミド膜である半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記基板をアニールする工程におけるアニール温度は、前記塗布工程における溶媒の沸点よりも高い半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記基板をアニールする工程におけるアニール温度は、前記感光性樹脂膜の硬化温度よりも高い半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−243790(P2012−243790A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109198(P2011−109198)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】