説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】消費電力が低減された、半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1電圧が印加される第1導電型領域12と、前記第1導電型領域から離れた位置に設けられ、前記第1導電型とは逆の導電型の第2電圧が印加される第2導電型領域13と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間を占めるように配置された、ウェル層11と、オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第1領域に反転層を形成させる、第1ゲート電極15及び第2領域に反転層を形成させる、第2ゲート電極16とを具備する。前記第1領域と前記第2領域との間の間隔は、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極がオン状態である場合に、前記第1電圧と前記第2電圧との差によってインパクトイオン化現象が発生し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の少なくとも一方がオフ状態である場合に、インパクトイオン化現象が発生しないように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アバランシェ増倍は、電離衝突(インパクトイオン化)によってキャリア(電子又は正孔)が急激に増加する現象である。このアバランシェ増倍の原理を用いた半導体装置として、インパクトイオン化MISFET(Metal−Insulator−Semiconductor Field Effect Transistor)が提案され、研究されている。インパクトイオン化MISFETでは、アバランシェ増倍が、オン−オフ特性を急峻化させるために利用されている。インパクトイオン化MISFETは、MISFETに代わる半導体スイッチ素子として、期待されている。
【0003】
図1A及び図1Bは、インパクトイオン化MISFETの一例を示す概略断面図である。図1Aは、オフ状態(ゲート入力「0」)の様子を示しており、図1Bはオン状態(ゲート入力「1」)の様子を示している。図1Aに示されるように、このインパクトイオン化MISFETは、不純物濃度の低いp型シリコン基板101、ドレイン領域103(高濃度n型)、ソース領域102(高濃度p型)、ゲート酸化膜105、及びゲート電極106を有している。ドレイン領域103及びソース領域102は、p型シリコン基板101の表層部に設けられている。ドレイン領域103とソース領域102とは、離れた位置に設けられている。ゲート電極106は、ゲート酸化膜105を介して、p型シリコン基板101上に形成されている。ゲート電極106は、ソース領域102から離れた位置に形成されている。インパクトイオン化MISFETには、これら以外にも、素子分離領域、全体を覆う層間絶縁膜、配線等が含まれるが、図示は省略されている。
【0004】
図1Aに示されるオフ状態では、チャネルは形成されない。ドレイン領域103に印加されるドレイン電圧VDが、ソース領域102に印加されるソース電圧VSより高い場合について考える。この際、ほとんどの電圧は、p型シリコン基板101における、ドレイン領域103とソース領域102との間に加わる。ドレイン電圧VDとソース電圧VSとの電圧差VDSが十分に大きくなると、p型シリコン基板101が空乏化される。このとき、ドレイン電流は、P‐I‐N接合の逆バイアス状態における逆方向飽和電流となり、ほとんど流れない。
【0005】
一方、オン状態にするためには、電圧差VDSをある程度大きな電圧差に維持した上で、ゲート電圧VGを高くする。すると、図1Bに示されるように、ゲート絶縁膜105の下において、p型シリコン基板101の表面付近が反転状態に変わる。これにより、チャネル120が形成される。チャネル120により、p型シリコン基板101に形成された空乏層の実効的な長さが、ソース領域102からチャネル120までになる。すなわち、オン状態における空乏層の実効的な長さが、オフ状態のときの長さよりも、短くなる。その結果、空乏層内における電界強度が強くなる。これにより、ソース領域102から空乏層に注入された電子が、インパクトイオン化する。インパクトイオン化は、空乏層中で連鎖的に発生(アバランシェ増倍)する。そのため、ドレイン電流が急激に増加する。
【0006】
電圧差VDSは、チャネル120が形成されていないときにはインパクトイオン化が発生せず、チャネル120が形成されたときにはインパクトイオン化が発生するような範囲で設定される。p型シリコン基板101のうち、ゲート電圧の印加により、チャネルが形成される領域が、チャネル領域と記載される。また、ソース領域102とドレイン領域103との間において、チャネルが形成されない部分(インパクトイオン化現象が発生する部分)が、インパクトイオン化領域107として記載される。チャネル120を形成するために必要なゲート電圧が、ゲートしきい値電圧と記載される。また、インパクトイオン化現象を発生させるために必要なドレイン‐ソース間電圧差VDSが、ドレインしきい値電圧と記載される。
【0007】
図1A及び図1Bで示したようなインパクトイオン化MISFETの具体例は、例えば、非特許文献1(K. Gopalakrishnan et al., “I−MOS: A Novel Semiconductor Device with a Subthreshold Slope lower than kT/q”, IEDM Technical Digest, pp. 289−292, December 2002.)に記載されている。非特許文献1では、SOI(Silicon On Insulator)基板が用いられている。しかし、図1A及び図1Bに示したインパクトイオン化MISFETと非特許文献1に記載された装置とで、動作原理に違いはない。
【0008】
ドレインしきい値電圧は、インパクトイオン化領域107の長さに依存する。従って、ドレインしきい値電圧を所望する電圧に設定するためには、インパクトイオン化領域107の長さを精度良く制御することが重要である。これに関して、非特許文献2(C. Charbuillet et al., “High Current Drive in Ultra−Short Impact Ionization MOS(I−MOS) Devices”, IEDM Technical Digest, December 2006.)には、ゲート電極に側壁を設けたインパクトイオン化MISFETが記載されている。図2は、非特許文献2に記載されたインパクトイオン化MISFETを示す概略断面図である。このインパクトイオン化MISFETは、不純物濃度の低いp型シリコン基板101、ドレイン領域103(高濃度n型)、ソース領域102(高濃度p型)、ゲート酸化膜105、ゲート電極106、及びゲート電極106の両側部に設けられた側壁104を備えている。ソース領域102は、ゲート電極106と側壁104とが形成された後に、イオン注入により、形成される。このような構成及び製造方法によれば、インパクトイオン化領域107の長さが、側壁104の長さにより決定される。側壁104の長さは、比較的制御し易い。従って、インパクトイオン化領域107の長さを精度良く調整することができる。
【0009】
更に他の関連技術が、特許文献1(WO2007065985)に記載されている。特許文献1に記載されたトランジスタは、低濃度中間領域を介して隔てられたソース及びドレインを備えている。ソース及びドレインの間に、二つのゲート電極が形成されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2007065985
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】K. Gopalakrishnan et al., “I−MOS: A Novel Semiconductor Device with a Subthreshold Slope lower than kT/q”, IEDM Technical Digest, pp. 289−292, December 2002.
【非特許文献2】C. Charbuillet et al., “High Current Drive in Ultra−Short Impact Ionization MOS(I−MOS) Devices”, IEDM Technical Digest, December 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、インパクトイオン化MISFETを用いて論理回路を構成することについて着目した。ここでは、基本的な論理回路である、AND型論理回路について考える。AND型論理回路を実現するために、2つのインパクトイオン化MISFETを用いることが考えられる。図3は、そのようなAND型論理回路の一例を示す概略断面図である。図3に示されるように、一方のインパクトイオン化MISFETには、ゲート電極106に、第1入力端108−1が接続されている。他方のインパクトイオン化MISFETには、ゲート電極106に、第2入力端108−2が接続されている。一方のインパクトイオン化MISFETのドレイン領域103は、他方のインパクトイオン化MISFETのソース領域102に接続されている。すなわち、2つのインパクトイオンかMISFETが、オン状態のときに電気的に直列となるように、接続されている。このような構成を採用することにより、AND型論理回路が実現される。
【0013】
しかし、図3に示されるような構成では、その両端間(一方のインパクトイオン化MISFETのソース領域102と、他方のインパクトイオン化MISFETのドレイン領域103との間)に必要な電圧が、単体のインパクトイオン化MISFETを動作させるときに必要な電圧の2倍になってしまう。そのため、電源回路として大規模な回路が必要となってしまう、という問題点があった。また、電圧増加に伴い、消費電力が増大してしまう、という問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る半導体装置は、第1導電型の不純物が高濃度でドープされ、第1電圧が印加される第1導電型領域と、前記第1導電型領域から離れた位置に設けられ、前記第1導電型とは逆の第2導電型の不純物が高濃度でドープされ、第2電圧が印加される、第2導電型領域と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間を占めるように配置され、不純物が低濃度でドープされた半導体領域である、ウェル層と、オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第1領域に反転層を形成させる、第1ゲート電極と、オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第2領域に反転層を形成させる、第2ゲート電極とを具備する。前記第1領域は、前記第1導電型領域に接している。前記第2領域は、前記第2導電型領域に接し、前記第1領域とは離れている。前記第1領域と前記第2領域との間の間隔は、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の双方がオン状態である場合に、前記第1電圧と前記第2電圧との差によってインパクトイオン化現象が発生し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の少なくとも一方がオフ状態である場合に、インパクトイオン化現象が発生しないように、設定されている。
【0015】
この発明によれば、第1領域と第2領域との双方に反転層が形成されたときにだけ、第1導電型領域と第2導電型領域とが導通する。すなわち、第1ゲート電極と第2ゲート電極とのそれぞれに印加される電圧のレベルによって、第1導電型領域と第2導電型領域との間の電気的接続状態が切り替えられる。これを利用すれば、入力端子を2つ有する論理回路を実現することができる。一つの半導体トランジスタで論理回路を実現することができるため、図3に示した論理回路に比べ、第1導電型領域と第2導電型領域との間に必要な電圧が少なくて済む。これにより、電源回路を小規模に構成することができ、消費電力を抑制することができる。
【0016】
本発明にかかる半導体装置の製造方法は、第1導電型の不純物が高濃度でドープされ、第1電圧が印加される、第1導電型領域を形成する工程と、前記第1導電型領域から離れた位置に、前記第1導電型とは逆の第2導電型の不純物が高濃度でドープされ、第2電圧が印加される、第2導電型領域を形成する工程と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間を占めるように配置され、不純物が低濃度でドープされた半導体領域である、ウェル層を形成する工程と、ゲート電極群を形成する工程とを具備する。前記ゲート電極群を形成する工程は、オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第1領域に反転層を形成させる、第1ゲート電極を形成する工程と、オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第2領域に反転層を形成させる、第2ゲート電極を形成する工程とを含む。前記第1領域は、前記第1導電型領域に接するように形成される。前記第2領域は、前記第2導電型領域に接し、前記第1領域とは離れるように形成される。前記第1領域と前記第2領域との間には、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の双方がオン状態である場合に、前記第1電圧と前記第2電圧との差によってインパクトイオン化現象が発生し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の少なくとも一方がオフ状態である場合に、インパクトイオン化現象が発生しないような間隔が設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大規模な電源回路を必要とせず、消費電力を抑制できる、半導体装置、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】インパクトイオン化MISFETの一例を示す概略断面図である。
【図1B】インパクトイオン化MISFETの一例を示す概略断面図である。
【図2】非特許文献2に記載されたインパクトイオン化MISFETを示す概略断面図である。
【図3】AND型論理回路の一例を示す概略断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図5】n型AND回路素子を示す概略断面図である。
【図6】n型AND回路素子を示す概略断面図である。
【図7】p型AND回路素子を示す断面図である。
【図8A】論理回路素子を示す断面図である。
【図8B】論理回路素子を示す断面図である。
【図8C】AND型論理回路装置を示す概略断面図である。
【図8D】OR型論理回路装置を示す概略断面図である。
【図8E】NOT型論理回路装置を示す概略断面図である。
【図9A】第2の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図9B】第2の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図10A】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10B】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10C】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10D】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10E】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11A】図2に示される半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11B】図2に示される半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】第3の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図13A】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13B】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13C】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13D】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13E】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13F】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13G】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図14】第4の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図15A】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図15B】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図15C】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図15D】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図15E】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図4は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。図4に示されるように、この半導体装置は、基板11、p型高濃度不純物領域12(第1導電型領域)、n型高濃度不純物領域13(第2導電型領域)、ゲート絶縁膜14、第1ゲート電極15、及び第2ゲート電極16を備えている。尚、実際には、半導体装置には、これら以外の構成(層間絶縁膜、他の素子との電気的接続を行うための配線、など)も含まれている。但し、本実施形態の要点とは直接関係しないため、図示が省略されている。
【0021】
基板11は、半導体基板である。基板11において、少なくとも主面の表層部には、ウェル層が形成されている。ウェル層は、例えば、低濃度p型シリコン層、低濃度n型シリコン層、及びi型シリコン層などにより形成される。
【0022】
p型高濃度不純物領域12は、基板11の主面の表層部に形成されている。p型高濃度不純物領域12は、p型不純物が高濃度でドープされた領域である。p型高濃度不純物領域12には、第1電圧が印加される。
【0023】
n型高濃度不純物領域13は、基板11の主面の表層部に、形成されている。n型高濃度不純物領域13は、p型高濃度不純物領域12とは、離れている。p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間は、基板11のウェル層によって占められている。n型高濃度不純物領域13は、n型不純物が高濃度でドープされた領域である。n型高濃度不純物領域13には、第2電圧が印加される。
【0024】
第1ゲート電極15は、ゲート絶縁膜14を介して、基板11の主面上に形成されている。第2ゲート電極15も、ゲート絶縁膜14を介して、基板11の主面上に形成されている。第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間に、配置されている。第1ゲート電極15は、その直下の領域が、p型高濃度不純物領域12と接するように、配置されている。第2ゲート電極16は、その直下の領域が、n型高濃度不純物領域13と接するように、配置されている。第1ゲート電極15と第2ゲート電極16とは、離れた位置に形成されている。
【0025】
図4に示される半導体装置の動作方法について説明する。
【0026】
第1ゲート電極15に低電圧(以後「0」に対応する電圧として表現される)が印加されると、第1ゲート電極15の直下の領域に、p型チャネル(反転層)が形成される。これにより、第1ゲート電極15が、オン状態になる。p型チャネルが形成される領域が、第1領域19として示されている。一方、第2ゲート電極16に高電圧(以後、「1」に対応する電圧として表現される)が印加されると、第2ゲート電極16の直下の領域に、n型チャネルが形成される。これにより、第2ゲート電極16が、オン状態になる。n型チャネルが形成される領域が、第2領域20として示されている。
【0027】
第1領域19及び第2領域20の双方にチャネルが形成されている場合、基板11に形成された空乏層の実効的な長さが、短くなる。ここで、n型高濃度不純物領域13に印加される電圧(第2電圧)を増加させていく場合について考える。第2電圧が、p型高濃度不純物領域12に印加される電圧(第1電圧)よりも十分に高くなると、空乏層内の電界強度が十分に強くなる。その結果、p型高濃度不純物領域12から空乏層に注入された電子が、インパクトイオン化する。図4には、インパクトイオン化現象が発生する領域が、インパクトイオン化領域17として示されている。インパクトイオン化領域17は、第1領域19と第2領域20との間の領域である。インパクトイオン化は、空乏層の中で連鎖的に発生する(アバランシェ増倍)。これにより、ドレイン電流が急激に増加する。そこで、第1電圧と第2電圧との電圧差が、第1領域19及び第2領域20の少なくとも一方にチャネルが形成されていない場合にはインパクトイオン化現象が発生せずに、第1領域19及び第2領域20の両方にチャネルが形成されている場合にはインパクトイオン化現象が発生するように、設定される。このような電圧差を設定することにより、第1ゲート電極15に「0」に対応する電圧が印加され、第2ゲート電極16に「1」に対応するが印加されたときにのみ、p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間に電流が流れる。この場合、p型高濃度不純物領域12は電子のソース領域として機能し、n型高濃度不純物領域13は電子のドレイン領域として機能する。
【0028】
尚、第1電圧が第2電圧よりも高く設定された場合には、n型高濃度不純物領域13が正孔のソース領域として機能し、p型高濃度不純物領域12が正孔のドレイン領域として機能する。
【0029】
第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16に印加される電圧の具体例について説明する。基板11がシリコン基板であるものとする。ゲート絶縁膜14がシリコン酸化膜により形成され、その膜厚が2nm以下であったとする。このような場合、第1ゲート電極15に約−1Vの電圧を印加すると、第1領域19にチャネルが形成される。また、第2ゲート電極16に約1Vの電圧を印加すると、第2領域20にチャネルが形成される。
【0030】
続いて、インパクトイオン化領域17の材料及び長さについて説明する。インパクトイオン化を発生させるために必要な第1電圧と第2電圧との差、すなわちドレインしきい値電圧は、インパクトイオン化領域17の材料及び長さに依存する。バンドギャップの狭い材料では、インパクトイオン化率(注入された電子がインパクトイオン化する確率)が高い。インパクトイオン化率が高いと、ドレインしきい値電圧が低くなる。バンドギャップは、シリコンよりも、シリコンゲルマニウム及びゲルマニウムなどのほうが狭い。従って、インパクトイオン化領域17の構成材料として、シリコンゲルマニウム及びゲルマニウムなどを用いると、シリコンを用いた場合よりも、ドレインしきい値電圧を低くすることができる。また、インパクトイオン化率は、インパクトイオン化領域17の長さ(すなわち第1領域19と第2領域との間の間隔)が短いほど、高くなる。例えば、インパクトイオン化領域17の材料としてゲルマニウムを用いた場合には、インパクトイオン化領域の長さを50nm以下に設定することにより、ドレインしきい値電圧を1V以下にすることができる。
【0031】
以上説明した半導体装置10を利用することにより、論理回路素子が実現される。以下に、半導体装置10を利用した論理回路素子について説明する。
【0032】
図5は、半導体装置10を利用したn型AND回路素子を示す概略断面図である。n型AND回路とは、全ての入力端に高電圧(「1」に対応する電圧)が印加された場合に、ソース−ドレイン間に電流が流れる回路であるものとする。図5に示されるように、このn型AND回路素子では、図4に示した半導体装置である半導体素子10、インバータ18、第1入力端21−1、及び第2入力端21−2を含んでいる。インバータ18は、その出力端が第1ゲート電極15に接続されている。第1入力端21−1には、第1入力信号が供給される。インバータ18は、第1入力信号の電圧を論理的に反転させ、第1ゲート電極15に印加する。第2入力端21−2には、第2入力信号が供給される。第2入力端21−2は、第2入力信号を、第2ゲート電極16に供給する。p型高濃度不純物領域12に印加される第1電圧は、例えば0Vである。n型高濃度不純物領域13に印加される第2電圧は、第1電圧よりも高い。このような構成によれば、オン時には、p型高濃度不純物領域12が電子のソース領域として機能し、n型高濃度不純物領域13が電子のドレイン領域(正孔のソース領域)として機能する。
【0033】
図6は、図5に示されるn型AND回路素子において、第1入力信号及び第2入力信号が、両方とも「1」(ハイレベル)である場合の様子を示す図である。図6に示されるように、第1ゲート電極15には、「0」に対応する電圧が印加される。これにより、第1領域19にチャネルが形成される。一方、第2ゲート電極には、「1」に対応する電圧が供給される。これにより、第2領域20にもチャネルが形成される。その結果、インパクトイオン化領域17でインパクトイオン化現象が発生し、p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間に電流が流れる。すなわち、2つの入力端(21−1、21−2)の双方から「1」に対応する電圧が供給されたときに、ドレイン電流が流れる。これにより、n型AND回路としての機能が実現される。このn型AND回路素子10では、インパクトイオン化領域17が一つだけでよい。従って、n型AND回路の両端間(p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間)の電圧差は、ドレインしきい値電圧よりも大きければよい。図3に示したAND回路では、両端間(第1半導体素子101−1のp型高濃度不純物領域102と第2半導体素子101−2のn型高濃度不純物領域103との間)の電圧差として、ドレインしきい値電圧の2倍以上の電圧差が必要である。すなわち、図5に示される構成により、消費電力が抑制されたn型AND回路素子が提供される。
【0034】
本実施形態に係る半導体装置10を用いて、p型AND回路を実現することも可能である。p型AND回路とは、全てのゲート電極に「0」に対応する電圧を印加した場合に、ソース−ドレイン間に電流が流れる回路であるものとする。図7は、p型AND回路素子を示す断面図である。このp型AND回路では、第1入力端21−1が第1ゲート電極15に接続されている。また、第2入力端21−2は、インバータ18を介して、第2ゲート電極16に接続されている。p型高濃度不純物領域12には、n型高濃度不純物領域13よりも高い電圧が印加される。例えば、n型高濃度不純物領域13には、0Vが印加され、p型高濃度不純物領域12には、正電圧が印加される。このような構成によれば、第1ゲート電極15に「0」に対応する電圧が印加され、第2ゲート電極16に「1」に対応する電圧が印加されたときにのみ、n型高濃度不純物領域13とp型高濃度不純物領域12とが導通する。すなわち、第1入力端21−1及び第2入力端21−2の双方から「0」に対応する電圧が与えられたときに、ドレイン電流が流れる。これにより、p型AND回路が実現されることが理解される。
【0035】
本実施形態に係る半導体装置10は、単一の入力端を有するスイッチング素子(n型インパクトイオン化MISFET)としても機能させることができる。図8Aは、そのような論理回路素子を示す断面図である。図8Aに示されるように、第1ゲート電極15には、一定電圧供給端21−3が接続されている。第2ゲート電極16には、入力端21−4が接続されている。一定電圧供給端21−3からは、第1ゲート電極15に対して、常時、「0」に対応する電圧が印加される。その他の構造は、図7に示したp型AND回路と同じであるものとする。この論理回路素子では、第1ゲート電極15は、常時、オン状態である。すなわち、第1領域19には、常時、チャネルが形成されている。第2ゲート電極16は、「1」に対応する電圧が印加されたときに、オン状態になる。すなわち、第2領域20にチャネルが形成される。この論理回路素子では、入力端21−4に「1」に対応する電圧が印加されたときに、論理回路素子全体としてオン状態になる。すなわち、単一入力型のn型インパクトイオン化MISFETとして動作することがわかる。
【0036】
同様に、本実施形態に係る半導体装置10は、単一の入力端を有する、p型のインパクトイオン化MISFETとして機能させることもできる。図8Bは、そのような論理回路素子を示す断面図である。図8Bに示されるように、第1ゲート電極15には、入力端21−5が接続されている。第2ゲート電極16には、一定電圧供給端21−6が接続されている。一定電圧供給端21−6からは、第2ゲート電極16に対して、常時、「1」に対応する電圧が印加されている。その他の構造は、図7に示したp型AND回路と同じであるものとする。この論理回路素子では、第2ゲート電極16は、常時、オン状態である。すなわち、第2領域20には、常時、チャネルが形成されている。第1ゲート電極15は、「0」に対応する電圧が印加されたときに、オン状態になる。すなわち、第1領域19にチャネルが形成される。この論理回路素子では、入力端21−5に「0」に対応する電圧が印加されたときに、論理回路素子全体としてオン状態になる。すなわち、単一入力型のp型インパクトイオン化MISFETとして動作することがわかる。
【0037】
更に、本実施形態に係る半導体装置を複数用いることによって、論理回路装置を形成することも可能である。
【0038】
図8Cは、2つの半導体装置(10−1、10−2)を有する、AND型論理回路装置を示す概略断面図である。このAND型論理回路装置は、図8Aに示される二つの半導体素子10(第1半導体素子10−1及び第2半導体素子10−2)を含んでいる。各半導体素子10としては、図4に示した半導体装置が用いられる。図8Cに示されるように、このAND型論理回路装置では、第1半導体素子10−1のn型高濃度不純物領域13−1が、接続部22−1を介して、第2半導体素子10−2のp型高濃度不純物領域12−2と電気的に接続されている。第1半導体素子10−1の第1ゲート電極15−1には、常時、「0」に対応する電圧を与える、第1一定電圧供給端21−7が接続されている。第1半導体素子10−1の第2ゲート電極16−1には、第1入力端21−8が接続されている。第2半導体素子10−2の第1ゲート電極15−2には、常時、「0」に対応する電圧を与える、第2一定電圧供給端21−9が接続されている。第2半導体素子10−2の第2ゲート電極16−2には、第2入力端21−10が接続されている。n型高濃度不純物領域13−2とp型高濃度不純物領域12−1との間の電圧差は、第1半導体素子10−1のインパクトイオン化領域17−1と第2半導体素子10−2のインパクトイオン化領域17−2との双方でインパクトイオン化現象が発生するように、設定されている。
【0039】
図8Cに示されるAND型論理回路装置では、第1半導体素子10−1の第1領域19−1及び第2半導体素子10−2の第1領域19−2には、常時、チャネルが形成されている。そのため、第1入力端21−8と第2入力端21−10との双方から「1」に対応する電圧が供給されたときにだけ、p型高濃度不純物領域12−1とn型高濃度不純物領域13−2との間が導通する。これにより、AND型論理回路としての機能が実現される。
【0040】
また、図8Dは、2つの半導体素子(10−1、10−2)を有する、OR型論理回路装置を示す概略断面図である。このOR型論理回路装置は、図8Aに示されるn型インパクトイオン化MISFETを2つ用意し、これらを並列に組み合わせることにより実現される。図8Dに示されるように、このOR型論理回路装置では、第1半導体素子10−1のp型高濃度不純物領域12−1が、接続部22−2を介して、第2半導体素子10−2のp型高濃度不純物領域12−2と電気的に接続されている。第1半導体素子10−1のn型高濃度不純物領域13−1は、接続部22−3を介して、第2半導体素子10−2のn型高濃度不純物領域13−2と電気的に接続されている。第1半導体素子10−1の第1ゲート電極15−1には、常時、「0」に対応する電圧を与える、第1一定電圧供給端21−11が接続されている。第1半導体素子10−1の第2ゲート電極16−1には、第1入力端21−12が接続されている。第2半導体素子10−2の第1ゲート電極15−2には、常時、「0」に対応する電圧を与える、第2一定電圧供給端21−13が接続されている。第2半導体素子10−2の第2ゲート電極16−2には、第2入力端21−14が接続されている。n型高濃度不純物領域13−1とp型高濃度不純物領域12−1との間の電圧差は、第1半導体装置10−1のドレインしきい値電圧以上に設定される。例えば、n型高濃度不純物領域13−1及び13−2には1Vが印加され、p型高濃度不純物領域12−2及び12−2には0Vが印加される。
【0041】
図8Dに示されるOR型論理回路装置では、第1半導体素子10−1の第1領域19−1及び第2半導体素子10−2の第1領域19−2に、常時、チャネルが形成されている。そのため、第1入力端21−12と第2入力端21−13との少なくとも一方から「1」に対応する電圧が供給されると、p型高濃度不純物領域12−1とn型高濃度不純物領域13−2との間が導通する。これにより、OR型論理回路としての機能が実現される。
【0042】
また、図8Eは、2つの半導体素子(10−1、10−2)を有する、NOT型論理回路装置を示す概略断面図である。このNOT型論理回路装置では、n型のインパクトイオン化MISFET(図8A参照)とp型インパクトイオン化MISFET(図8B参照)とが、直列に組み合わせられている。図8Eに示されるように、このNOT型論理回路装置では、第1半導体素子10−1のn型高濃度不純物領域13−1が、第2半導体素子10−2のp型高濃度不純物領域12−2と電気的に接続されている。第1半導体素子10−1の第1ゲート電極15−1には、常時、「0」に対応する電圧を供給する、第1一定電圧供給端21−15が接続されている。第2半導体素子10−2の第2ゲート電極16−2には、常時、「1」に対応する電圧を供給する、第2一定電圧供給端21−17が接続されている。第1半導体素子10−1の第2ゲート電極16−1及び第2半導体素子10−2の第1ゲート電極15−2には、入力端21−16が接続されている。第1の半導体装置10−1のn型高濃度不純物領域13−1と、第2の半導体装置10−2のp型高濃度不純物領域12−2とに、出力端23が電気的に接続されている。第1半導体素子10−1のp型高濃度不純物領域12−1には、第2半導体素子10−2のn型高濃度不純物領域13−2よりも、低い電圧が印加される。
【0043】
図8Eに示されるNOT型論理回路装置では、第1半導体素子10−1の第1領域19−1と、第2の半導体素子10−2の第2領域20−2とに、常時、チャネルが形成されている。ここで、入力端21−16から、「1」に対応する電圧が供給されると、第1半導体素子10−1の第2領域20−1にチャネルが形成され、第1半導体素子10−1が導通する。一方、第2半導体素子10−2は、オフ状態のままである。その結果、出力端23からは、p型高濃度不純物領域12−1に印加された電圧(n型高濃度不純物領域13−2に印加された電圧よりも低い電圧)が出力される。逆に、入力端21−16から、「0」に対応する電圧が供給されると、第1の半導体装置10−1はオフ状態となり、第2半導体素子10−2はオン状態になる。その結果、出力端23からは、n型高濃度不純物領域13−2に印加された電圧(p型高濃度不純物領域12−1に印加された電圧よりも高い電圧)が出力される。このような構成及び動作により、NOT型論理回路が実現される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体装置によれば、1つのインパクトイオン化領域17により、論理回路素子(図5、図7参照)を実現することができる。これにより、消費電力を抑制することができ、回路構成を省スペース化することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、図4に示される半導体装置を基本素子として、n型AND回路素子(図5参照)、p型AND回路素子(図7参照)、単一入力型のn型インパクトイオン化MISFET(図8A参照)、及び単一入力型のp型インパクトイオン化MISFET(図8B参照)などが実現される。加えて、この基本素子を複数用いることにより、AND型論理回路装置(図8C参照)、OR型論理回路装置(図8D参照)、及びNOT型論理回路装置(図8E参照)などが実現される。すなわち、同一構造の半導体装置を複数用いることによって、様々な論理機能を有する論理回路素子及び論理回路装置が実現される。このことは、実用上の大きなメリットを有している。インパクトイオン化MISFETでは、インパクトイオン化領域の長さが素子特性に大きな影響を及ぼす。基本素子の構造が単一であることにより、基本素子間におけるインパクトイオン化領域の長さの製造ばらつきを抑制し易くなる。また、回路設計時には、例えば、複数の基本素子をアレー状に配置する。そして、必要に応じて配線を配置する。これにより、所望する論理回路を実現することができる。複数の基本素子を配置する際には、使用する基本素子を、論理機能により区別する必要がない。そのため、容易に回路設計処理を行うことができる。
【0046】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図9Aは、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態では、第1の実施形態に対して、ダミーゲート24が追加されている。第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、ダミーゲート24の側壁として用いられている。その他の点については、第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。また、本実施形態に係る半導体装置には、図9Aに描かれる構成以外にも、層間絶縁膜や、他の素子等との電気的接続を行うための配線等が設けられている。但し、それらの図示及び説明についても、本実施形態に直接関係しないため省略する。
【0047】
ダミーゲート24は、基板11の主面上に形成されている。ダミーゲート24は、絶縁膜により形成される。ダミーゲート24は、p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間の領域に形成されている。第1ゲート電極15は、p型高濃度不純物領域12とダミーゲート24との間に設けられ、ダミーゲート24の一方の側面を覆っている。第2ゲート電極16は、n型高濃度不純物領域13とダミーゲート24との間に設けられ、ダミーゲート24の他方の側面を覆っている。
【0048】
この半導体装置では、インパクトイオン化領域17は、ダミーゲート24の直下の領域に形成される。本実施形態のような構成を採用しても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0049】
尚、ダミーゲート24を構成する材料としては、電気抵抗が十分に高い材料であればよい。例えば、ダミーゲート24として、絶縁膜の代わりにノンドープポリシリコン等の半導体層が用いられてもよい。また、図9Bに示されるように、ダミーゲート24が、絶縁膜14、ノンドープポリシリコン層40、ハードマスク層41(絶縁性)、及び側壁絶縁層42により形成されてもよい。図9Bに示される例では、基板1の主面上に、絶縁膜14、ノンドープポリシリコン層40、及びハードマスク層41がこの順で積層され、積層構造が形成されている。側壁絶縁層42は、その積層構造の両側面を覆うように、形成されている。
【0050】
本実施形態では、第1の実施形態における作用効果に加えて、製造時に、インパクトイオン化領域17の長さを精度よく制御することができる。以下に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図10A乃至図10Eは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0051】
まず、少なくとも表層部にウェル層(低濃度不純物領域)が形成された、シリコン基板11を用意する。その低濃度不純物領域としては、例えば、n型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、p型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、及びi型半導体領域が挙げられる。
【0052】
図10Aに示されるように、シリコン基板11の主面上に、一般に用いられている成膜技術、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術を用いて、ダミーゲート24を形成する。ダミーゲート24は、例えば、シリコン窒化膜等により形成される。
【0053】
次に、図10Bに示されるように、基板11上に、ゲート絶縁膜14として、シリコン酸化膜等を形成する。更に、基板11の主面上に、ダミーゲート24を被覆するように、ドーパントがドープされたポリシリコン層25(ゲート電極用導電層)を形成する。ドーパントのドーピングは、ノンドープのポリシリコン層を形成した後に、ドーパントのイオン注入により行ってもよい。
【0054】
次いで、図10Cに示されるように、ポリシリコン層25をエッチバックする。これにより、ダミーゲート24の側壁として、ゲート電極15及び16が形成される。
【0055】
次に、図10Dに示されるように、基板11上に、レジストマスク26が形成される。レジストマスク26は、p型高濃度不純物領域12が形成される予定の領域が露出し、n型高濃度不純物領域13が形成される予定の領域が被覆されるように、形成される。この際、レジストマスク26の端部は、第1ゲート電極15、ダミーゲート24、及び第2ゲート電極16の何れかの上に位置していればよい。そして、p型不純物(例えば、BF)のイオン注入により、p型高濃度不純物領域12が形成される。p型不純物は、例えば、エネルギー30keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、注入される。
【0056】
次に、図10Eに示されるように、レジストマスク26を除去する。そして、レジストマスク28を形成する。レジストマスク28は、p型高濃度不純物領域12が被覆され、n型高濃度不純物領域13が形成される予定の領域が露出するように、形成される。この際、レジストマスク28の端部は、第1ゲート電極15、ダミーゲート24、及び第2ゲート電極16の何れかの上に位置していればよい。そして、n型不純物29(例えば、砒素)をイオン注入することにより、n型高濃度不純物13が形成される。n型不純物は、例えば、エネルギー15keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、イオン注入される。
【0057】
その後、レジストマスク28が除去される。そして、1000℃、10秒程度で、熱処理が施され、イオン注入された不純物が活性化される。これにより、図9Aに示した半導体装置が得られる。
【0058】
本実施形態に係る半導体装置では、インパクトイオン化領域17の長さが、ダミーゲート24の長さに対応している。ダミーゲート24の長さは、比較的簡単に制御することができる。従って、インパクトイオン化領域17の長さを、精度よく制御することができる。その結果、ドレインしきい値電圧を所望の値に設定し易くなる。
【0059】
また、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、同一の素子構造で、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとの双方が実現される。そのため、同一の製造プロセスで、同一の基板上に、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとの双方を作成することができる。これにより、製造工程を少なくすることができる。以下に、この点について、詳細に説明する。
【0060】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法との比較のために、図2に例示した半導体装置の製造方法について説明する。既述のように、図2に例示した半導体装置でも、インパクトイオン化領域107の長さは、側壁104により形成される。本実施形態と同様に、インパクトイオン化領域107の長さを精度よく制御することは可能である。
【0061】
図11A及び図11Bは、図2に示される半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図11Aに示されるように、不純物濃度が1×1015cm−3以下であるp型のシリコン基板101の主面上に、一般に用いられている成膜技術、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術を用いて、絶縁膜105(シリコン酸化膜など)及びゲート電極106(ポリシリコン)を形成する。その後、レジストマスク130を形成する。そして、エネルギー15keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、ヒ素127をイオン注入する。これにより、n型高濃度不純物領域103が形成される。次に、図11Bに示されるように、レジストマスク130を除去する。そして、シリコン酸化膜等を成膜し、これをエッチバックする。これにより、側壁104が形成される。次いで、レジストマスク131を形成する。そして、エネルギー30keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、BF(128)をイオン注入する。これにより、p型高濃度不純物領域102が形成される。その後、レジストマスク131が除去される。1000℃、10秒程度で、熱処理が施される。これにより、イオン注入された不純物を活性化し、図2に示した半導体装置が得られる。
【0062】
図2に示した半導体装置は、n型インパクトイオン化MISFETである。p型インパクトイオン化MISFETを実現する為には、p型高濃度不純物領域103がn型高濃度不純物領域に変更され、n型高濃度不純物領域103がp型高濃度不純物領域に変更される。p型インパクトイオン化MISFETを製造するためには、イオン注入時のドーパントの導電型を反対にする必要がある。同一基板上にn型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとを形成するためには、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとで、p型高濃度不純物領域を別々に形成する必要がある。n型高濃度不純物領域も、同様に、別々に形成する必要がある。すなわち、レジスト形成工程及びイオン注入工程が、それぞれ、4回ずつ必要である。
【0063】
これに対して、本実施形態に係る半導体装置では、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとの基本構造が同一である。n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとで、各導電型の高濃度不純物領域を別々に形成する必要がない。本実施形態では、レジスト形成工程とイオン注入工程とが、それぞれ2回でよい。すなわち、図2に示される半導体装置と比較して、製造工程を少なくすることができる。
【0064】
また、図2に示した半導体装置では、レジストマスク130の端部が、ゲート電極106上に載っている必要がある(図11A参照)。そのため、レジストマスク130を形成する際に、精度よく位置あわせを行う必要がある。ゲート電極106に微細化に伴い、レジストマスク103形成時の難易度が高くなる。これに対して、本実施形態では、図10D及び図10Eに示したように、レジストマスク26及び28は、その端部が第1ゲート電極15、ダミーゲート24、及び第2ゲート電極16の何れかの上に位置するように、形成されればよい。レジストマスク形成時に必要とされる位置あわせ精度を緩和することができる。すなわち、容易に半導体装置を製造することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態では、第1の実施形態に対して、絶縁層43が追加されている。絶縁層43は、基板11の主面上に、p型高濃度不純物領域12及びn型高濃度不純物領域13を被覆するように、形成されている。また、絶縁層43は、p型高濃度不純物領域12とn型高濃度不純物領域13との間の領域を露出させる開口33を有している。第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、それぞれ、開口33内に、絶縁層43の側壁として形成されている。その他の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態のような構造を採用しても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、インパクトイオン化領域17の長さを精度よく制御することができる。以下に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。
【0067】
図13A乃至図13Gは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0068】
まず、少なくとも表層部にウェル層(低濃度不純物領域)が形成された、シリコン基板11を用意する。その低濃度不純物領域は、例えば、n型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、p型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、及びi型半導体領域により、形成される。
【0069】
次いで、図13Aに示されるように、基板11の主面上に、酸化膜44とダミーゲート32とを、この順番で積層する。これらは、一般に用いられている成膜技術、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術により、形成される。酸化膜44としては、例えば、シリコン酸化膜が用いられる。ダミーゲート32としては、例えば、ポリシリコン層等が用いられる。
【0070】
次に、図13Bに示されるように、レジストマスク26を形成する。レジストマスク26は、p型高濃度不純物領域12が形成される予定の領域が露出し、n型高濃度不純物領域13が形成される予定の領域が被覆されるように、形成される。そして、p導電型の不純物27(例えばBF)をイオン注入する。これにより、p型高濃度不純物領域12が形成される。p導電型の不純物は、例えば、エネルギー30keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、イオン注入される。
【0071】
次に、レジストマスク26が除去される。そして、図13Cに示されるように、レジストマスク28を形成する。そして、n導電型の不純物29(例えば、砒素)を、イオン注入する。これにより、n導電型高濃度不純物領域13が形成される。n導電型の不純物は、例えば、エネルギー15keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、イオン注入される。
【0072】
次に、レジストマスク28が除去される。そして、図13Dに示されるように、シリコン窒化膜等の絶縁膜を成膜し、これをエッチバックする。これにより、ダミーゲート32の側部に、側壁30が形成される。
【0073】
次に、図13Eに示されるように、絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)を全面に堆積させる。そして、絶縁層をCMP(化学的機械研磨)により、ダミーゲート32の上面が露出するまで平坦化する。これにより、絶縁膜31が形成される。次に、1000℃、10秒程度で、熱処理を施す。これにより、イオン注入された不純物が活性化する。
【0074】
次に、図13Fに示されるように、ダミーゲート32及び酸化膜44を除去し、絶縁層43に開口33を形成する。
【0075】
次いで、図13Gに示されるように、開口33に、ゲート絶縁膜14として、シリコン酸化膜などを堆積させる。更に、ゲート電極用導電層として、ドーパントがドープされたポリシリコン層34を堆積させる。ドーパントのドーピングは、ノンドープのポリシリコン層を形成した後に、ドーパントのイオン注入により行ってもよい。その後、ポリシリコン層34をエッチバックする。これにより、開口33内に、絶縁層43の側壁として、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16が形成される。すなわち、図12に示した半導体装置が得られる。
【0076】
上述のような製造方法によれば、インパクトイオン化領域17の長さが、ダミーゲート32、及び各ゲート電極(15、16)の長さにより決定される。ここで、第1ゲート電極15及び第2ゲート電極16は、エッチバックにより、形成される。第1ゲート電極15と第2ゲート電極16との間の間隔は、エッチバック量によって決まり、比較的精度よく制御することが可能である。すなわち、第2の実施形態と同様に、インパクトイオン化領域17の長さを精度よく制御することができる。
【0077】
また、本実施形態では、既述の実施形態と同様に、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとで、基本構造が同一である。そのため、第2の実施形態で説明したように、製造工程を削減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、レジストマスク26及びレジストマスク28を形成する際に、各レジストマスク(26、28)の端部は、ダミーゲート32上に位置していればよい。第2の実施形態と同様に、レジストマスク(26、28)を形成する際に、高い位置あわせ精度を必要としない。従って、製造時における難易度を下げることが可能である。
【0079】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。図14は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。図14に示されるように、本実施形態に係る半導体装置では、第1ゲート電極15上に、絶縁膜35が形成されている。また、第1ゲート電極15及び絶縁膜35の側壁として、側壁絶縁膜36が形成されている。更に、第1ゲート電極15のn型高濃度不純物領域13側の側部には、側壁絶縁膜36に加えて、側壁絶縁膜37が形成されている。一方、第2ゲート電極16は、側壁絶縁膜37を覆うように、形成されている。本実施形態では、インパクトイオン化領域17は、側壁絶縁膜36及び側壁絶縁膜37の直下に形成される。尚、これら以外の点については、既述の実施形態と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0080】
続いて、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。図15A乃至図15Eは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0081】
まず、少なくとも表層部にウェル層(低濃度不純物領域)が形成された、シリコン基板11を用意する。その低濃度不純物領域は、例えば、n型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、p型不純物が1×1015cm−3以下の濃度でドープされた領域、及びi型半導体領域により、形成される。
【0082】
次に、図15Aに示されるように、基板11の主面上に、ゲート絶縁膜14、第1ゲート電極15、及び絶縁膜35をこの順で積層し、第1ゲート電極構造体45を形成する。これらは、一般に用いられている成膜技術、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術により、形成される。ゲート絶縁膜14としては、例えば、シリコン酸化膜等が用いられる。第1ゲート電極15としては、例えば、ドーパントがドープされたポリシリコン層などが用いられる。絶縁膜35としては、例えば、シリコン窒化膜等が用いられる。
【0083】
次に、図15Bに示されるように、第1ゲート電極構造体15の側壁として、側壁絶縁膜36及び側壁絶縁膜37を形成する。側壁絶縁膜36及び側壁絶縁膜37は、例えばそれぞれシリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を成膜し、それらをエッチバックすることにより、形成される。
【0084】
次に、図15Cに示されるように、基板11上で第2ゲート電極16が形成される予定の領域に、ゲート絶縁膜46(例えばシリコン酸化膜)を形成する。更に、第2ゲート電極16として、ドーパントがドープされたポリシリコン層を形成する。ポリシリコン層は、一般に用いられている成膜技術、フォトリソグラフィー技術、及びエッチング技術を利用して、形成される。ドーパントのドーピングは、ノンドープのポリシリコン層を形成した後に、ドーパントのイオン注入により行ってもよい。次に、フッ酸溶液により側壁絶縁膜37を除去する。
【0085】
次に、図15Dに示されるように、レジストマスク38を形成する。レジストマスク38は、p型高濃度不純物領域12が形成される予定の領域を被覆するように、形成される。そして、エネルギー15keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、n型不純物29(例えばヒ素)をイオン注入する。これにより、n型高濃度不純物領域13が形成される。
【0086】
次に、レジストマスク38を除去する。そして、図15Eに示されるように、レジストマスク39を形成する。レジストマスク39は、n型高濃度不純物領域13を被覆するように、形成される。そして、エネルギー30keV程度、ドーズ量1×1014cm−2以上で、p型不純物27(例えばBF)をイオン注入する。これにより、p型高濃度不純物領域12が形成される。
【0087】
その後、レジストマスク39を除去する。そして、1000℃、10秒程度で、熱処理を施す。これにより、イオン注入された不純物を活性化し、図14に示した半導体装置が得られる。
【0088】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0089】
加えて、本実施形態でも、インパクトイオン化領域17の長さを精度よく制御することが可能である。すなわち、本実施形態では、インパクトイオン化領域17の長さは、側壁絶縁膜36の長さと側壁絶縁膜37の長さによって決定される。これらの側壁絶縁膜(36、37)の長さは、比較的簡単に制御することが可能である。これにより、インパクトイオン化領域17の長さを精度よく制御できる。
【0090】
また、本実施形態においても、n型インパクトイオン化MISFETとp型インパクトイオン化MISFETとで、素子構造が同一である。そのため、既述の実施形態(第2の実施形態)で述べたのと同様に、製造工程を少なくすることができる。
【0091】
また、本実施形態では、レジストマスク38及びレジストマスク39を形成する工程(図15D、図15E参照)において、レジストマスクの位置合わせに必要な精度を緩和できる。すなわち、本実施形態では、レジストマスク38の端部は、各ゲート電極(15、16)、側壁絶縁膜36、及び側壁絶縁膜37の何れかの上に位置していればよい。
【0092】
以上、本発明を、第1乃至第4の実施形態により説明した。既述のように、本発明によれば、論理回路における動作電圧を低減することができ、これにより、消費電力を低減することが可能である。加えて、本発明では、同じ構造で、n型のAND型論理回路動作とp型のAND型論理回路動作とを実現することができ、論理回路装置における素子特性のばらつきを抑制することが可能である。更に、本発明によれば、AND型論理回路動作のみならず、インパクトイオン化MISFET自体も実現することができる。更に、インパクトイオン化MISFETを用いたn型およびp型のOR型論理回路動作も実現することができる。更に、インパクトイオン化MISFETを用いたCMOS型のNOT型論理回路も実現することができる。これらの論理機能を同一素子構造で実現できるため、インパクトイオン化MISFETを用いた大規模集積回路内における素子特性を、均一化することがでる。その結果、大規模集積回路の動作を安定させることが可能である。更に、本発明にかかる第1乃至第4実施形態の半導体装置は、n型とp型の素子構造が同一であるため、従来構造に比べて製造工程を削減できる。また、高濃度不純物領域を形成するためのレジストマスク形成工程において、必要となる位置合わせ精度を緩和させることができる。
【0093】
尚、本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。更に、本発明は、インパクトイオン化MISFETに限定されず、例えばゲート絶縁膜とゲート電極とが一体化された、インパクトイオン化MES(Metal Semiconductor)FET、ゲート部を受光部としたインパクトイオン化光ゲートトランジスタ、及びゲート部をセンサ部としたインパクトイオン化センサなどについても適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 半導体装置
10−1 第1の半導体装置
10−2 第2の半導体装置
11 半導体基板(ウェル層)
12 p型高濃度不純物領域
13 n型高濃度不純物領域
14 ゲート絶縁膜
15 第1ゲート電極
16 第2ゲート電極
17 インパクトイオン化領域
18 インバータ回路
19 第1チャネル領域(第1領域)
20 第2チャネル領域(第2領域)
21−1 第1入力端
21−2 第2入力端
21−3 一定電圧供給端
21−4 入力端
21−5 入力端
21−6 一定電圧供給端
21−7 第1一定電圧供給端
21−8 第1入力端
21−9 第2一定電圧供給端
21−10 第2入力端
21−11 第1一定電圧供給端
21−12 第1入力端
21−13 第2一定電圧供給端
21−14 第2入力端
21−15 第1一定電圧供給端
21−16 入力端
21−17 第2一定電圧供給端
22−1 接続部
22−2 第1接続部
22−3 第2接続部
23 出力端
24 ダミーゲート
25 ゲート電極用導電層
26 第1レジストマスク
27 BFイオン
28 第2レジストマスク
29 砒素イオン
30 側壁
31 絶縁膜
32 ダミーゲート
33 開口
34 ゲート電極用導電層
35 絶縁膜
36 側壁絶縁膜
37 側壁絶縁膜
38 レジストマスク
39 レジストマスク
40 ノンドープポリシリコン層
41 ハードマスク
42 側壁絶縁層
43 絶縁層
44 酸化膜
45 第1ゲート電極構造体
127 砒素イオン
128 BFイオン
130 レジストマスク
131 レジストマスク
101 半導体基板(ウェル層)
102 p型高濃度不純物領域(第1導電型領域)
103 n型高濃度不純物領域(第2導電型領域)
104 側壁
105 ゲート絶縁膜
106 ゲート電極
107 インパクトイオン化領域
108−1、108−2 入力端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の不純物がドープされ、第1電圧が印加される第1導電型領域と、
前記第1導電型領域から離れた位置に設けられ、前記第1導電型とは逆の第2導電型の不純物がドープされ、第2電圧が印加される、第2導電型領域と、
前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間を占めるように配置された、ウェル層と、
オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第1領域に反転層を形成させる、第1ゲート電極と、
オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第2領域に反転層を形成させる、第2ゲート電極と、
を具備し、
前記第1領域は、前記第1導電型領域に接しており、
前記第2領域は、前記第2導電型領域に接し、前記第1領域とは離れており、
前記第1領域と前記第2領域との間の間隔は、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の双方がオン状態である場合に、前記第1電圧と前記第2電圧との差によってインパクトイオン化現象が発生し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の少なくとも一方がオフ状態である場合に、インパクトイオン化現象が発生しないように、設定されている
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載された半導体装置であって、
前記第1導電型領域、前記第2導電型領域、及び前記ウェル層のそれぞれは、基板内に、一部が前記基板の主面に露出するように形成されており、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極は、それぞれ、ゲート絶縁膜を介して、前記基板の主面上に形成されている
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載された半導体装置であって、
更に、
前記基板の主面上に形成され、絶縁性であるダミーゲート、
を具備し、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とは、前記ダミーゲートの側壁として形成されている
半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載された半導体装置であって、
更に、
前記基板の主面上に形成された絶縁層、
を具備し、
前記絶縁層には、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間の領域を露出させる開口が設けられ、
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とは、前記開口に、前記絶縁層の側壁として形成されている
半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載された半導体装置であって、
前記第1ゲート電極の側部には、絶縁性の側壁が形成されており、
前記第2ゲート電極は、前記絶縁性の側壁を覆うように、形成されている
半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置と、
第1入力信号を供給する第1入力端と、
第2入力信号を前記第2ゲート電極に印加する、第2入力端と、
前記第1入力信号の論理レベルを反転させて第1反転信号を生成し、前記第1反転信号を前記第1ゲート電極に供給するするインバータ回路と、
を具備する
論理回路素子。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置と、
第1入力信号を前記第1ゲート電極に供給する、第1入力端と、
第2入力信号を供給する、第2入力端と、
前記第2入力信号の論理レベルを反転させて第2反転信号を生成し、前記第2反転信号を前記第2ゲート電極に供給するするインバータ回路と、
を具備する
論理回路素子。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置と、
一定のレベルの電圧を、常時、前記第1ゲート電極に印加する、一定電圧供給端と、
入力信号を、前記第2ゲート電極に供給する、入力端と、
を具備する
論理回路素子。
【請求項9】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置と、
入力信号を、前記第1ゲート電極に供給する、入力端と、
一定のレベルの電圧を、常時、前記第2ゲート電極に印加する、一定電圧供給端と、
を具備する
論理回路素子。
【請求項10】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第1の半導体素子と、
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の前記第2導電型領域と、前記第2の半導体素子の前記第1導電型領域とを電気的に接続する、接続部と、
前記第1の半導体素子の前記第1ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第1一定電圧供給端と、
前記第1の半導体素子の前記第2ゲート電極に、第1入力信号を供給する、第1入力端と、
前記第2の半導体素子の前記第1ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第2一定電圧供給端と、
前記第2の半導体素子の前記第2ゲート電極に、第2入力信号を供給する、第2入力端と、
を具備する
論理回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第1の半導体素子と、
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の前記第1導電型領域と、前記第2の半導体素子の前記第1導電型領域とを電気的に接続する、第1接続部と、
前記第1の半導体素子の前記第2導電型領域と、前記第2の半導体素子の前記第2導電型領域とを電気的に接続する、第2接続部と、
前記第1の半導体素子の前記第1ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第1一定電圧供給端と、
前記第1の半導体素子の前記第2ゲート電極に、第1入力信号を供給する、第1入力端と、
前記第2の半導体素子の前記第1ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第2一定電圧供給端と、
前記第2の半導体素子の前記第2ゲート電極に、第2入力信号を供給する、第2入力端と、
を具備する
論理回路装置。
【請求項12】
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第1の半導体素子と、
請求項1乃至5の何れかに記載された半導体装置を含む、第2の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の前記第2導電型領域と、前記第2の半導体素子の前記第1導電型領域とを電気的に接続する、接続部と、
前記第1の半導体素子の前記第1ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第1一定電圧供給端と、
前記第1の半導体素子の前記第2ゲート電極と、前記第2の半導体素子の前記第1ゲート電極とに、入力信号を供給する、入力端と、
前記第2の半導体素子の前記第2ゲート電極に、常時、一定のレベルの電圧を供給する、第2一定電圧供給端と、
前記接続部に接続された出力端と、
を具備する
論理回路装置。
【請求項13】
第1導電型の不純物が高濃度でドープされ、第1電圧が印加される、第1導電型領域を形成する工程と、
前記第1導電型領域から離れた位置に、前記第1導電型とは逆の第2導電型の不純物が高濃度でドープされ、第2電圧が印加される、第2導電型領域を形成する工程と、
前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間を占めるように配置され、不純物が低濃度でドープされた半導体領域である、ウェル層を形成する工程と、
ゲート電極群を形成する工程と、
を具備し、
前記ゲート電極群を形成する工程は、
オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第1領域に反転層を形成させる、第1ゲート電極を形成する工程と、
オン状態であるときに、前記ウェル層に含まれる第2領域に反転層を形成させる、第2ゲート電極を形成する工程とを含み、
前記第1領域は、前記第1導電型領域に接するように形成され、
前記第2領域は、前記第2導電型領域に接し、前記第1領域とは離れるように形成され、
前記第1領域と前記第2領域との間には、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の双方がオン状態である場合に、前記第1電圧と前記第2電圧との差によってインパクトイオン化現象が発生し、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極の少なくとも一方がオフ状態である場合に、インパクトイオン化現象が発生しないような間隔が設けられる
半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載された半導体装置の製造方法であって、
更に、
基板を準備する工程と、
前記基板の主面上に、絶縁性であるダミーゲートを形成する工程と、
を具備し、
前記ウェル層を形成する工程は、前記ウェル層を、前記基板の主面に形成する工程を含み、
前記ゲート電極群を形成する工程は、前記ダミーゲートを側方から挟むように、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を形成する工程を含み、
前記第1導電型領域を形成する工程は、
前記第2導電型領域が形成される予定の領域が被覆され、前記第1導電型領域が形成される予定の領域が露出するように、レジストマスクを形成する工程と、
前記レジストマスクを形成する工程の後に、前記第1導電型領域が形成される予定の領域に、前記第1導電型の不純物を注入する工程とを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載された半導体装置の製造方法であって、
更に、
基板を準備する工程、
を具備し、
前記ウェル層を形成する工程は、ウェル層を、前記基板の主面に形成する工程を含み、
前記ゲート電極を形成する工程は、
前記基板の主面上に、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間の領域を露出させる開口を有する、絶縁層を形成する工程と、
前記基板の主面上に、前記開口を埋めるように、ゲート電極用導電層を形成する工程と、
前記ゲート電極用導電層をエッチバックすることにより、前記開口内に、前記絶縁層の側壁として、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を形成する工程とを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13に記載された半導体装置の製造方法であって、
更に、
基板を準備する工程、
を具備し、
前記ウェル層を形成する工程は、ウェル層を、前記基板の主面に形成する工程を含み、
前記第2ゲート電極を形成する工程は、
前記第1ゲート電極の側部に、絶縁層の側壁を形成する工程と、
前記第2ゲート電極を、前記絶縁性の側壁を覆うように、形成する工程とを含む
半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【公開番号】特開2011−44645(P2011−44645A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193110(P2009−193110)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】