説明

半導体装置用接着剤組成物およびそれを用いた半導体装置用接着剤シート

【課題】低吸湿で高接着性、高耐リフロー性を有する半導体装置用接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アクリロニトリルとブタジエンを共重合成分とする共重合体、スチレン、ブタジエンおよびエチレンを共重合成分とする共重合体、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体、およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エピスルフィド樹脂を含有する半導体装置用接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路を実装し、パッケージ化をする際に用いられる半導体集積回路接続用基板(インターポーザー)を構成する半導体装置に用いられる接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(IC)パッケージにおいて、多ピン化、小型化の手段としてBGA方式、LGA方式、PGA方式、等が実用化されてきた。中でもBGA方式はプラスチック材料の利用による低コスト化、軽量化、薄型化の可能性が高く注目されている。
【0003】
図1にBGA方式の例を示す。IC1を接続するために絶縁体層3および導体パターン5、接着剤4からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層7、およびこれらを積層するための接着剤層6を、それぞれ1層以上有しており、さらに金バンプ2、ソルダーレジスト8をもち、IC1を接続した半導体集積回路接続用基板の外部接続部としてICのピン数にほぼ対応する半田ボール9を格子状(グリッドアレイ)に有している。
【0004】
上記に説明したBGA方式は以下のような課題がある。(a)半田ボールの面の平面性を保つ、(b)放熱を良くする、(c)温度サイクルやリフローの際に半田ボールにかかる熱応力を緩和する、(d)リフロー回数が多いのでより高い耐リフロー性を要する。これらを改善する方法として、半導体集積回路接続用基板に補強、放熱、電磁的シールドを目的とする金属板等の材料を積層する方法が一般的である。特に、ICを接続するための絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層にTAB(Tape Automated Bonding)テープやフレキシブルプリント基板を用いた場合は重要である。このため、半導体集積回路接続用基板は、図2に例示するように、ICを接続するための絶縁体層11および導体パターン13、接着剤層12からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層15、およびこれらを積層するための接着剤層14、ソルダーレジスト16をそれぞれ1層以上有する構成となっている。
【0005】
最終的に、接着剤層14は、パッケージ内部に残留する。接着剤層14に要求される特性は(a)易加工性、(b)耐リフロー性、(c)温度サイクルやリフローの際に、配線基板層と補強板等の異種材料間で発生する応力吸収(低応力性)、(d)配線上に積層する場合の絶縁性等が挙げられる。
【0006】
中でも、重要な特性は耐リフロー性である。耐リフロー性は、半田浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ペーパーフェイズ法)や赤外線リフローなどパッケージ全体が高温に加熱される実装方法において、接着剤層が剥離しパッケージの信頼性を低下するというものである。リフロー工程における剥離の発生は、接着剤層を硬化してから実装工程の間までに部材に吸湿された水分が加熱時に爆発的に水蒸気化、膨張することに起因するといわれている。そこで接着剤としては、リフローにおいて発生する水蒸気が侵入できないくらい硬く、低吸湿性で接着力の高いことが求められる。
【0007】
一方、近年、環境への負荷の少ないことを考慮し、外部端子接続に使用される半田からの鉛フリー化が取り組まれている。各種鉛フリー半田は現行の鉛系半田より融点が高いため、半田リフロー時のパッケージ表面温度は250〜260℃に達する。この温度は現行の鉛系半田と比べると約30℃高いということになり、接着剤に対する半田リフロー性も従来より高温時の耐性が要求される。
【0008】
これまでに耐リフロー性に優れた半導体用接着剤組成物は、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤から成る接着剤が提案されている(例えば特許文献1参照)。また低吸湿性の樹脂組成物として、エピスルフィド樹脂を用いた熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2、3、4参照)。
【特許文献1】特開平11−116924号公報(7〜28段落)
【特許文献2】特開平7−138254号公報(4〜26段落)
【特許文献3】特開平7−196800号公報(5〜55段落)
【特許文献4】特開2003−55537号公報(8〜40段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これまでの接着剤を図1に示されるような半導体パッケージに適用した場合、従来の鉛系半田のおけるリフローでは問題が起こらないものの、依然として高温時の耐リフロー性が悪く、鉛フリー半田に対しては、半田リフロー時に吸湿水分が気化してしまい、接着界面剥離等の不具合を生じる。そこで本発明の目的は、上述の半導体用接着剤組成物の半田リフローにおける問題点を解決し、これまでの高接着性を確保しながら、低吸湿で、高耐リフロー性を有する半導体装置用接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、(A)アクリロニトリルとブタジエンを共重合成分とする共重合体、スチレン、ブタジエンおよびエチレンを共重合成分とする共重合体、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体、ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エピスルフィド樹脂を必須成分とする半導体装置用接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低吸湿で高接着性、高耐リフロー性を有する半導体装置用接着剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における半導体用接着剤組成物とは、スティフナー、ヒートスプレッダー、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用の層間接着剤であり、それら被着体の形状および材料は特に限定されない。
【0013】
本発明における接着剤組成物は(A)(A−1)アクリロニトリルとブタジエンを共重合成分とする共重合体、(A−2)スチレン、ブタジエンおよびエチレンを共重合成分とする共重合体、(A−3)炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体、(A−4)ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エピスルフィド樹脂を必須成分とする。(A)熱可塑性樹脂は接着性、可撓性、熱応力の緩和、低吸湿性による絶縁性の向上等の機能を有する。熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂やエピスルフィド樹脂だけでは、固いが脆い接着剤膜になり得る。そこに熱可塑性樹脂を加えることで靱性が加わり、優れた接着剤が得られる。またエピスルフィド樹脂は、エポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置き換わったもので、エポキシ樹脂では、熱硬化反応後、エポキシ基が開環し水酸基(OH基)となるが、エピスルフィド樹脂では、SH基となる。したがって、エピスルフィド樹脂では、エポキシ樹脂より吸湿性の低い熱硬化物が得られる。
【0014】
以上より、熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂が組み合わせられることで、接着性、耐熱性に優れ、低吸湿である接着剤を設計することができる。
【0015】
(A)熱可塑性樹脂としては、補強板、放熱板等の金属素材との接着性、可撓性、熱応力の緩和効果の点から、(A−1)アクリロニトリルとブタジエンを共重合成分とする共重合体、(A−2)スチレン、ブタジエンおよびエチレンを共重合成分とする共重合体、(A−3)炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体、(A−4)ポリアミド樹脂の4種類から少なくとも1種選ばれる。また、上記の熱可塑性樹脂であれば1種類でも複数種用いても良い。これらの熱可塑性樹脂は後述のエポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等である。これらの官能基によりエポキシ樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。
【0016】
ポリアミド樹脂としては、炭素数が36であるジカルボン酸(いわゆるダイマー酸)を必須成分として含むものが好適である。ダイマー酸を含むポリアミド樹脂は、常法によるダイマー酸とジアミンの重縮合により得られるが、この際にダイマー酸以外のアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸を共重合成分として含有してもよい。ジアミンはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン等の公知のものが使用でき、吸湿性、溶解性の点から2種以上の混合でもよい。
【0017】
本発明において特に好ましい熱可塑性樹脂としては、接着性、耐熱性、耐薬品性等のバランスから、カルボキシル基を有するアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR−C)、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS−C)、エポキシ基やカルボキシル基を有し、かつ炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体が挙げられる。ここで「C」はカルボキシル基を有するという意味である。
【0018】
NBR−Cとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴムなどが挙げられる。具体的には、PNR−1H(日本合成ゴム(株)製)、”ニポール”1072J、”ニポール”DN612、”ニポール”DN631(以上日本ゼオン(株)製)、”ハイカー”CTBN(BFグッドリッチ社製)等がある。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が例示できる。
【0019】
(B)エポキシ樹脂は、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層の強度等のバランスを実現するために必要である。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものなら特に制限されないが、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミン、シクロヘキサンエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。具体的には、YD−128(東都化成(株)製)、”エピコート”828、”エピコート”180(油化シェルエポキシ(株)製)等が例示できる。さらに、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いることも有効である。臭素化エポキシ樹脂は難燃性の付与ができ、非臭素化エポキシ樹脂との混合系とすると、接着剤の耐熱性の低下が大きくなるためさらに有効である。臭素化エポキシ樹脂の例としては、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAの共重合型エポキシ樹脂、あるいは”BREN”−S(日本化薬(株)製)等の臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの臭素化エポキシ樹脂は臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合しても良い。
【0020】
また、本発明の接着剤組成物に、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を添加することも有効である。具体的には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、シアン酸エステル樹脂、等公知のものが例示される。エポキシ樹脂との反応性が良く、絶縁性に優れることから、フェノール樹脂は特に好適である。
【0021】
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂がいずれも使用できる。たとえば、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールからなる樹脂が挙げられる。
【0022】
エポキシ樹脂および熱硬化性樹脂の合計添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部、好ましくは50〜200重量部である。添加量が5重量部未満であると、高温での弾性率低下が著しく、半導体装置を実装した機器の使用中に半導体集積回路接続用基板の変形が生じるとともに加工工程において取り扱いの作業性に欠けるので好ましくない。添加量が400重量部を越えると弾性率が高く、熱膨張係数が小さくなり熱応力の緩和効果が小さいので好ましくない。
【0023】
本発明の接着剤組成物は、(C)エピスルフィド樹脂を必須成分として含有する。エピスルフィド樹脂とは、エピスルフィド基を1分子中に2個以上有する化合物全般を示す。エピスルフィド樹脂の好ましい例としては、下に示すような化合物が挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
〜Rは、同じでも異なっていても良く水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R〜R10は、同じでも異なっていても良く水素原子またはメチル基を示す。nは繰り返し数を表し、0〜10の範囲である。
【0026】
繰り返し数は、樹脂の重合度を示し、GPC(ゲル浸透クロマトグラム)等の分析を行うことで測定出来る。GPC分析においては、エポキシ樹脂等をTHF(テトラヒドロフラン)等の溶媒に溶解させ、GPCカラムにより繰り返し数の異なるものが分離され、検出することが出来る。GPCカラムに充填されるゲルとしては、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体が主に用いられ、本発明においても一般的なカラムで分析することができる。
【0027】
特に本発明においては、上記にある一般式(I)で示されるビスフェノール型エピスルフィド樹脂を用いることが好ましく、なかでも下記式(II)で示されるビスフェノールA型エピスルフィド樹脂が好ましい。
【0028】
【化2】

【0029】
(C)エピスルフィド樹脂の含有量は、(B)エポキシ樹脂100重量部に対し、5重量部以上900重量部以下であることが望ましい。5重量部未満であると、接着剤組成物への吸湿性改善効果が得られない。また900重量部を越えて配合すると、エピスルフィド樹脂の硬化反応が主として起こり、接着剤が脆くなり好ましくない。
【0030】
本発明の接着剤組成物にエポキシ樹脂ならびにエピスルフィド樹脂の硬化剤および硬化促進剤を添加することは何等制限されない。たとえば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、3,3’5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物等が使用できる。これらを単独または2種以上混合しても良い。添加量は接着剤組成物100重量部に対して0.1〜50重量部であると好ましい。
【0031】
また、硬化剤として、シランカップリング剤を併用することもできる。シランカップリング剤は、ケイ素に有機マトリックスと親和もしくは結合可能な有機官能基と無機材料と結合可能な加水分解基を持った構造している。有機官能基としては、アルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプトキシ基等があり、一般的には炭素数1〜6のアルキレン基を介してケイ素原子と結合している。また、有機官能基はエポキシ基、アミノ基を有しているものは反応性がよく、接着剤の耐リフロー性に優れ、好ましい。具体的には、有機官能基がアミノ基の場合、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(β−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−4,5−ジヒドロキシイミダゾールプロピルトリエトキシシランが挙げられる。有機官能基がエポキシ基の場合、β−3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0032】
以上の成分以外に、吸水率低減かつ膜強度を向上させる目的で(D)無機粒子を添加しても良い。(D)無機粒子の配合量は、接着剤組成物全体の5重量%以上50重量%以下が好ましく、10重量%以上45重量%以下がさらに好ましい。5重量%未満であると、吸水率低減効果は小さくなる。また、50重量部を超えると接着剤組成物の吸水率は低くなるが、被着体への接着強度が低下する。
【0033】
(D)無機粒子の種類については、特に耐リフロー性の点より、半田リフロー時の250〜260℃といった温度で分解が生じないものが好ましい。具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄、等の金属微粒子、あるいはカーボンブラック、ガラスが挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。
【0034】
中でも熱分解温度が300℃を大きく超える点、接着剤シートの流動性を調整しやすい点、粒径の安定性からシリカが特に好ましい。粒子形状、結晶性は特に制限はされず、破砕系、球状、鱗片状などが用いられるが、塗料への分散性の良さ、接着剤組成物の接着強度・膜強度等が優れ、かつ熱膨張係数の低下効果が大きい、溶融球状シリカが好ましく用いられる。ここでいう溶融シリカとは、真比重2.3の非晶性シリカを意味する。この溶融シリカの製造は、必ずしも溶融状態を経る必要はなく、例えば結晶性シリカを溶融する方法および各種原料から合成する方法などが挙げられる。
【0035】
(D)無機粒子の粒径については、分散性および塗工性、耐リフロー性等の観点から、最大粒径は10μm以下が好ましく、さらに好ましくは最大粒径は5μm以下である。また平均粒径は0.1μmを越えて2μm以下が好ましく、さらに好ましくは、平均粒径が0.1μmを越えて1μm以下である。平均粒径が2μmを越えると、接着剤組成分中の粒子の分散が劣り、膜強度向上効果も低くなる。また、最大粒径10μmを越えると、被着体への接着剤埋まり込みを悪化させ、接着強度、耐リフロー性が低下する。平均粒径が0.1μm以下であると接着剤製造工程中での接着剤塗料中で粒子の凝集が起こりやすく、均一な分散状態にすることが困難となる場合がある。
【0036】
なお、無機粒子の平均粒径、最大粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、動的光散乱式粒径分布測定装置などを用いて測定することができる。また、硬化後の接着剤層断面のTEM(透過型電子顕微鏡)観察により、接着剤層中に含有する粒子径を調べることもできる。
【0037】
また、実装後の信頼性向上のため、無機粒子の純度は99%を越え、好ましくは99.8%を越え、さらに好ましくは99.9%を越えることが好ましい。純度99%以下であると、ウラン、トリウム等の放射線不純物により放出されるα線により、半導体素子のソフトエラーが生じやすくなる。また、これらの無機粒子に耐熱性、接着強度等の向上のため、シランカップリング剤等を用いて、表面処理を施しても良い。
【0038】
本発明において接着剤層の厚みは、接着強度、耐リフロー性等との関係で適宜選択できるが、10μm以上250μm以下が好ましく、さらに好ましくは12μm以上150μm以下である。
【0039】
本発明の半導体装置用接着剤シートは、有機絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に本発明の組成物からなる接着剤層が形成されたものであれば良く、接着剤層の両面に有機絶縁性フィルムを有している態様も含む。用いられる有機絶縁性フィルムは大きく分けて2通りあり、基材として用いられる場合と保護層として用いられる場合とで以下のような材料が挙げられる。
【0040】
有機絶縁性フィルムを基材として用いられた場合を以下に示す。銅箔等の金属板を、本発明の接着剤層により有機絶縁性フィルムへ貼り合わせ、銅箔をエッチングすることによりパターン形成をすると、配線基板として用いることができる。このときの有機絶縁性フィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルムが用いられる。
【0041】
有機絶縁性フィルムを接着剤の保護層(以下、保護フィルムともいう)の役割として用いる場合を以下に示す。本発明の半導体装置用接着剤シートは、接着剤層の保護のために、少なくとも片面、必要であれば両面に保護層を有することは構わない。保護層の材料は、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)、あるいは導体パターンが形成されていない層(リードフレーム、ヒートスプレッター等)に接着剤層を貼り合わせるまでに、接着剤層の形態および機能を損なわず、また必要に応じ接着剤層から剥離できれば特に限定されない。その具体例はポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーン、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいは含フッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルム、あるいはこれらのフィルムをラミネートした紙やこれらフィルムの積層体、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティング処理した紙等が挙げられる。また、サンドマット加工フィルムも挙げられる。これはフィルム表面を微粒子吹きつけなどにより、微小の凹凸を付けたもので、離型性を凹凸レベルにより調節できる。これらの保護フィルムの中で、特に本発明で好ましく用いられるものは離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。さらに好ましくは、前述の離型処理が施されたポリエステルフィルムが耐熱性の点で優れている。
【0042】
また、特に図3のように接着剤層の両面に保護フィルムを有する場合は、それぞれの保護フィルムの接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、F1−F2は好ましくは5N/m以上、さらに好ましくは10N/m以上が必要である。F1−F2が5N/mより小さい場合は、剥離面がいずれの保護フィルム側になるかが安定せず、使用上問題となるので好ましくない。また、剥離力F1、F2はいずれも1〜200N/m、好ましくは3〜150N/m、さらに好ましくは3〜100N/mである。1N/mより小さい場合は保護フィルムの脱落が生じ、200N/mを越えると剥離が困難になり好ましくない。
【0043】
保護フィルムは、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることができる。
【0044】
また、本発明における接着剤シートは、銅箔や補強板等の被着体へ貼り合わせ時に気泡を噛み込むとリフロー時の膨れ原因にもなり好ましくない。したがって接着剤自体の粘着性を下げるため、接着剤層の片面、必要であれば両面が粗面化されていても構わない。ここでいう粘着性とは、いわゆる接着剤表面のべたつきであり、接着剤の粘着性が高い場合、接着剤を被着体へ貼る際に気泡を噛み込みやすくなる。一旦噛み込んだ気泡は逃げ道が無く、そのまま残留気泡として残り、その後の信頼性に悪影響を及ぼす。この方法によれば、接着剤層自体の粘着性が高くても粗面化することで、貼り合わせる対象物への接点が分散されることにより粘着性が低減される。接着剤の粗面化の方法は、特に限定されるものではないが、次の例が挙げられる。
【0045】
接着剤組成物が溶解された塗液をフィルム上に塗布、乾燥し、半硬化状態の接着剤シートを作製する際、接着剤組成物が塗布されるフィルムの表面形状に凹凸があれば、その凹凸が接着剤シート表面に転写され、粗面化できる。例えばエンボス加工やサンドマット加工されたフィルムであれば良い。また、作製された接着剤シートの保護フィルムに凹凸のあるフィルムを用い、ラミネートすれば同様に凹凸が接着剤シート表面に転写される。ただし、フィルム表面の凹凸に接着剤が埋まり込むことより、実際の使用の際、フィルムを剥がしにくくなることがある。このため、特に本発明で好ましく用いられるフィルムは、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。その他にも、接着剤シートを凹凸のあるゴムロールなどで粗面化することもできる。
【0046】
また、本発明の接着剤層に、低粘着な接着剤層を薄く積層して粘着性を下げる手法と粗面化を組み合わせることで、より低粘着な接着剤シートにすることもできる。低粘着な接着剤層の具体的な例としては、無機粒子を増量した組成から成る接着剤、もしくは薄厚の接着剤シートに加熱エージングをかけることで粘着性をコントロールしたものなどが挙げられる。
【0047】
次に、本発明の半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体集積回路接続用基板の製造方法、半導体装置の製造方法の例について説明する。
【0048】
(1)半導体装置用接着剤シートの作製:本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、両面ともに離型処理を行ったポリエステルフィルム上に塗布、乾燥することで半硬化、すなわちBステージ状態の接着剤を得る。接着剤層の膜厚は10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分である。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロドリン等の非プロトン系極性溶剤単独あるいは混合物が好適である。
【0049】
塗工、乾燥した接着剤層上にさらに高い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルムをラミネートして、本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、接着剤シートを複数回積層すればよく、場合によってはラミネート後に、例えば40〜100℃で1〜200時間程度エージングして硬化度を調整してもよい。図3に本発明で得られた半導体装置用接着剤シートの形状を例示する。保護フィルム18を接着剤層17の両面に有している。
【0050】
(2)接着剤付き半導体集積回路接続用基板(TABテープ)の作製:ポリイミドフィルム上に接着剤層および保護フィルム層を積層した3層構造のTAB用テープを下記(a)〜(d)の工程により加工する。(a)スプロケットおよびデバイス孔の穿孔、(b)銅箔との熱ラミネート、(c)スズまたは金メッキ処理を施す。以上のようにして、パターン付きTABテープを得る。そのTABテープの導体パターン面あるいは裏面のポリイミドフィルム面に上記(1)作製した半導体装置用接着剤シートの片面の保護フィルムを剥がした後にラミネートする。貼り合わせ条件は温度20〜200℃、圧力0.1〜5MPaが好適である。以上述べた半導体集積回路接続用基板の例を図2に示す。
【0051】
(3)半導体装置の作製:(2)で得られた部品(接着剤付きTABテープ)から残りの保護フィルムを剥がし、適宜成型したヒートスプレッダーに貼り合わせる。ヒートスプレッダーに用いられる金属としては、銅、ステンレス、42アロイが好適で、厚さ0.05〜0.5mmが通常である。貼り合わせ条件は、温度20〜200℃、圧力0.1〜5MPaが好適である。最後に熱風オーブン内で接着剤層の加熱硬化のため、80〜200℃で15〜180分程度のポストキュアを行う。
【0052】
次に半導体集積回路接続用基板のインナーリード部を、半導体チップの金バンプに熱圧着(インナーリードボンディング)し、半導体チップを搭載する。次いで、封止樹脂による封止工程を経て半導体装置を作製する。図1に半導体装置の一態様の断面図を示す。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。まず、実施例および比較例で用いた評価方法について説明する。
【0054】
<1>接着強度
0.35mm厚の純銅板上に厚み50μmの接着剤シートを130℃、1MPa、0.5m/分の条件でロールラミネートした。その後、ポリイミドフィルム(75μm:宇部興産(株)製「ユーピレックス75S」)を先の純銅板上にラミネートした接着剤シート面に130℃、1MPa、0.5m/分の条件でさらにロールラミネートした後、エアオーブン中で、100℃、1時間、150℃、1時間の順次ポストキュアを行い、評価用サンプルを作製した。ポリイミドフィルムを5mm幅にスリットした後、5mm幅のポリイミドフィルムを90°方向に50mm/分の速度で剥離し、その際の接着力を測定した。接着強度としては、加工性、ハンドリング性、半導体装置の信頼性の観点より、10N/cm以上であることが好ましい。
【0055】
<2>吸水率
厚さ50μmのBステージ状接着剤単膜を、100℃、1時間、150℃、1時間のポストキュアを行った。このポストキュア直後のサンプルの重量を測定しておく。その後85℃、85%RHの条件下、168時間吸湿させた後に、重量を測定しておく。吸湿前の重量からの重量増加率を吸水率(%)とする。
【0056】
<3>耐リフロー性
上記<1>の方法で作製したポストキュア済みサンプルを30mm角に切断したものを20個片準備する。そのサンプルを125℃、12時間の加熱乾燥させた後に30℃、70%RHの条件下、168時間吸湿させた後、最高温度250℃、10秒または260℃、10秒のIRリフローにかけ、その剥離状態を超音波短傷機により観察した。各リフロー温度における試験で剥離が生じたサンプルが20個片中何個あるかを調べ、その割合を不良率とした。
【0057】
参考例1(ポリアミド樹脂の合成)
酸としてダイマー酸PRIPOL1009(ユニケマ社製)およびアジピン酸を用い、酸/アミン比を等量で、酸/アミン反応物、消泡剤および1%以下のリン酸触媒を加え、140℃、1時間、205℃、1.5時間撹拌加熱を行った。2KPaの真空下で、0.5時間保持、放冷させ、重量平均分子量20000、酸価10のポリアミド樹脂を得た。
【0058】
実施例1
下記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂およびその他添加剤を、それぞれ表1に示した組成比となるように配合し、濃度28重量%となるようにDMF(ジメチルホルムアミド)/モノクロルベンゼン/MIBK(メチルエチルイソブチルケトン)混合溶媒に40℃で撹拌、溶解して接着剤溶液を作製した。
【0059】
A.熱可塑性樹脂
NBR−C(日本ゼオン(株)製、商品名Nipol1072)
SEBS−C(旭化成(株)製、商品名MX−073)
エポキシ基含有アクリル樹脂(日本ゼオン(株)製、商品名AR−51)
参考例で作製したダイマー酸ポリアミド
フェノール変性ポリブタジエン(新日本石油(株)製、商品名PP−700−300)。
【0060】
B.エポキシ樹脂
o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート180、エポキシ当量:200)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828、エポキシ当量:186)。
【0061】
C.エピスルフィド樹脂
下記式(II)で示されるビスフェノールA型エピスルフィド樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名YL7000)
【0062】
【化3】

【0063】
D.無機粒子
平均粒径1.6μm、最大粒径7μmの球状シリカ((株)アドマテックス製、商品名SO−C5)
平均粒径0.7μm、最大粒径3μmの球状シリカ((株)トクヤマ製、商品名SE−1)
平均粒径0.2μm、最大粒径1.5μmの球状シリカ((株)アドマテックス製、商品名SO−C1)
平均粒径5μm、最大粒径15μmの球状シリカ(富士シリシア化学(株)製、商品名サイリシア740)
平均粒径0.04μm、最大粒径0.2μmの球状シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名OX50)。
【0064】
E.フェノール樹脂
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量:107、群栄化学工業(株)製、商品名PSM4261)
F.添加剤
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
2−ヘプタデシルイミダゾール。
【0065】
これらの接着剤溶液をバーコータで、両面ともシリコーン処理された厚さ75μmのポリエステルフィルム(以下、ポリエステルフィルム1という)に、50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、100℃、1分および150℃で5分間乾燥し、その上にポリエステルフィルム1より剥離力が低いポリエステルフィルム(以下、ポリエステルフィルム2という)をラミネートしながらロール上に巻き取り、Bステージ状(半硬化)の接着剤で厚さ50μmの接着剤シートを作製した。ここで用いたポリエステルフィルムは、日東電工(株)31Bテープによる剥離試験により、ポリエステルフィルム1で7N/m、ポリエステルフィルム2で3N/mの剥離力を示すものを用いた。得られた接着剤シートは図3に示された構造を有する。
【0066】
実施例2〜9、比較例1〜3
表1に記載の組成で上記実施例1と同様に接着剤シートを作製した。
【0067】
【表1】

【0068】
表1の実施例および比較例の結果から明らかなように、本発明により得られた半導体装置用接着剤シートは、低吸水率で接着強度、耐リフロー性のいずれも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工したBGA型半導体装置の一態様の断面図。
【図2】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工した半導体集積回路接続前の半導体集積回路接続用基板の一態様の断面図。
【図3】本発明の半導体装置用接着剤シートの一態様の断面図。
【符号の説明】
【0070】
1 半導体集積回路
2 金バンプ
3、11 可撓性を有する絶縁体層
4、12 配線基板層を構成する接着剤層
5、13 半導体集積回路接続用の導体
6、14、17 本発明の接着剤組成物より構成される接着剤層
7、15 導体パターンが形成されていない層
8、16 ソルダーレジスト
9 半田ボール
10 封止樹脂
18 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリロニトリルとブタジエンを共重合成分とする共重合体、スチレン、ブタジエンおよびエチレンを共重合成分とする共重合体、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体、およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エピスルフィド樹脂を含有する半導体装置用接着剤組成物。
【請求項2】
さらに(D)無機粒子を含有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
【請求項3】
エピスルフィド樹脂(C)が一般式(I)で表されるビスフェノール型エピスルフィド樹脂であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
【化1】

(R〜Rは、同じでも異なっていても良く水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは繰り返し数を表し、0〜10の範囲である。)
【請求項4】
(D)無機粒子の含有量が組成物全体量に対し5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置用接着剤組成物。
【請求項5】
(D)無機粒子がシリカであることを特徴とする請求項2記載の半導体装置用接着剤組成物。
【請求項6】
(D)無機粒子の最大粒径が10μm以下、平均粒径が0.1μmを越えて2μm以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置用接着剤組成物。
【請求項7】
有機絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を有する半導体装置用接着剤シートであって、接着剤層が請求項1〜6のいずれか記載の接着剤組成物である半導体装置用接着剤シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−117824(P2006−117824A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308053(P2004−308053)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】